JP5893453B2 - メンブレンプローブの製造方法 - Google Patents

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本発明は、バンプを有するシートと、シートに固定されるリングとを備えるメンブレンプローブの製造方法に関する。
被検査体(半導体ウエハ)の電気的特性の検査は、被検査体(半導体ウエハ)上に形成された半導体デバイスの接触部(電極)にメンブレンプローブのバンプを接触させ、信号を送信することにより検査が行われる。
この種のメンブレンプローブは、電極と接触するバンプを有するシートと、シートを固定するリングとを備えており、該フィルムは、バンプの位置精度を確保するために、しわやたるみが生じないようにシートをリングに固定する必要がある。係る方法として、特許文献1が開示されている。特許文献1には、熱硬化性接着剤を塗布したリングをフィルム(シート)上に置き、この状態でバーンイン試験の設定温度以上の温度で加熱して熱膨張させ、フィルムとリングを接着固定することが記載されている。
特開平11−67856号公報
係る方法によれば、フィルムに皺や撓み、弛みなく、リングにフィルムを確実かつ容易に高歩留まりで接着することができ、また、フィルムの貼り具合の均一性ひいては均一な張力歪みの精度の向上を図ることができるとされている。しかしながら、係る方法は、フィルム上に接着剤を介してリングを置いた状態でバーンイン試験の設定温度以上の温度で加熱するので、加熱によって膨張するフィルムがリングに塗布された接着剤を持ち去ってしまって接着剤の位置ズレが生じ、フィルムとリングとの接着を精度良くできなかった。また、予め配置されたリング及び徐々に熱硬化する接着剤がフィルムの熱膨張を妨げていた。これにより、フィルムにテンションをかけることができず、フィルムに皺、撓み、弛みが残ったままとなるおそれがあった。
本発明の目的は、シートに均一な張力を加え、この状態でリングを固定することで、シートにしわやたるみのないメンブレンプローブの製造方法を提供することにある。
本発明は、バンプ3が形成されたシート2と、シート2に固定されるリング4とを備えており、被検査体上に形成された接触部の電気的特性検査に用いられるメンブレンプローブの製造方法であって、シート2となるシート体2’にリング4を固定するリング固定工程と、シート体2’にバンプ3を形成するバンプ形成工程とを備え、リング固定工程は、シート体2’を基台40上に固定する第一固定工程と、基台40を加熱手段50によって加熱して膨張させることで、基台40上に固定したシート体2’を膨張させる膨張工程と、シート体2’上にリング4を固定する第二固定工程とを有する。そして、第一固定工程と、第二固定工程においては、接着剤を用いて行い、第二固定工程におけるシート体2’とリング4との接着固定位置は、第一固定工程におけるシート体2’と基台40との接着固定位置より内側にあることを特徴とする。
また、第二固定工程後、シート体2’をリング4の外周に沿ってカットする切断工程を有し、切断工程後、基台40及び加熱手段50を取り除く基台・加熱手段取り除き工程を行って、シート体2’に張力を付与することを特徴とする。
また、基台40の線膨張係数がシート体2’の線膨張係数より大きいことを特徴とする。
また、リング固定工程後に、バンプ形成工程を行うことを特徴とする。
また、バンプ形成工程においては、シート体2’上に、レジスト体20aを有する一次パターンレジスト20を形成する第1レジストパターニング工程と、一次パターンレジスト20を用いて、シート体2’に穴26を形成する穴あけ工程と、シート体2’にメッキ処理を施すことにより、穴26の内部空隙を埋めるように電着金属を電鋳して、バンプ3となる電着金属体29を形成する電着工程と、シート体2’の電着金属体29形成側とは反対側に、レジスト体25aを有する二次パターンレジスト25を形成する第2レジストパターニング工程と、二次パターンレジスト25を用いて、シート体2’の不要部分を除去する除去工程とを有することを特徴とする。
また、電着工程においては、シート体2’の上端面を越えて電着金属を電鋳させて電着金属体29を形成することを特徴とする。
係る製造方法によれば、基台40を加熱手段50によって加熱して膨張させることで、基台40上に固定したシート体2’を膨張させ、そのうえでシート体2’上にリング4を固定するので、シート2(シート体2’)に均一な張力を作用させることができ、メンブレンプローブの検査精度の向上に貢献できる。
本発明に係るメンブレンプローブの平面図及び部分拡大断面図 本発明に係るメンブレンプローブの製造方法の工程説明図 本発明に係るメンブレンプローブの製造方法の工程説明図 本発明に係るメンブレンプローブの製造方法の工程説明図
図1に、本発明に係るメンブレンプローブの実施形態を示す。図1において、メンブレンプローブ1は、バンプ3が形成されたシート2と、このシート2の外周に固定されるリング4とを備える。シート2は、張力を持った状態でリング4に固定されている。シート2の所定位置には、該シート2の下面から下方に突出する多数独立のバンプ3を有する。バンプ3は、半導体デバイス5に対する探触子となるバンプ本体6と、メンブレンプローブ1をプローブカードに組み付けた際に、該メンブレンプローブ1の上方に存する導電性ゴム(不図示)に対して接触するパッド部7とからなり、これらバンプ本体6とパッド7とを一体的に形成してなる。
バンプ本体6は、シート2に多数個独立状に開設された穴26を介して、該シート2の下面から下方に向かって突出状に形成されている。バンプ本体6は、下方に行くに従って漸次横方向の直径寸法が小さくなるような、下窄まりの円錐台状とするのが好ましい。これは、半導体デバイスの接触部に対する接触面積を小さくすることができ、高密度に集積された半導体デバイスに対する高精度な検査が可能となるからである。また、半導体デバイスの電極と接触するバンプ本体6の先端面には、機械的処理(サンドブラスト)や化学的処理(エッチング)などによる粗面化処理を施すのが好ましい。これは、半導体デバイス5の電極表面を覆っている酸化皮膜を破壊して、安定な導通接触状態を得るためである。
図2ないし図4は、本実施形態に係るメンブレンプローブ1の製造方法を示す。このメンブレンプローブ1の製造方法は、シート体(シート)にリングを固定するリング固定工程と、シート体(シート)にバンプを形成するバンプ形成工程とに大別できる。最初に、リング固定工程について説明する。
まず、図2(a)に示すごとく、樹脂シート2aに金属箔2bが積層されたシート体2’を基台40上に固定する。このとき、シート体2’において外周を固定することが好ましい。このシート体2’としては、例えば、ポリイミドの樹脂シート2a上に金属箔2bとして銅をスパッタしたものを用いた。シート体2’を固定する際には、金属箔2b側を基台40と対向するように配する。ここで、基台40としては、ステンレスやアルミニウム、その他線膨張係数の大きい材質、特に基台40と対向する金属箔2bよりも線膨張係数の大きい材質を用いることができ、本実施形態では、ステンレスを採用した。また、樹脂シート2aとしては、ポリイミドの他に、ポリエチレン、ポリエステルが挙げられ、金属箔2bとしては、銅の他に、ニッケルが挙げられる。また、シート体2’(シート2)の厚みを10〜70μmの範囲(樹脂シート2aの厚みを9.9〜50μmの範囲、金属箔2bの厚みを0.1〜20μmの範囲)とし、本実施形態では、シート体2’(シート2)の厚みを21.5μm(樹脂シート2aの厚みを12.5μm、金属箔2bの厚みを9μm)とした。樹脂シート2aの厚みは、金属箔2bの厚みより厚い方が好ましい。また、シート体2’の寸法は、リング4の形状や寸法にもよるが、シート体2’上にリング4を配置した際に、リング4の周囲に10〜50mmの余白があることが好ましく、本実施形態では、430×430mmとした。
次に、図2(b)に示すごとく、シート体2’が固定された状態の基台40をホットプレート(加熱手段)50上に載置し、加熱する。ホットプレート50を設定温度(100〜200℃の範囲が好ましく、本実施形態では180℃とした)まで加熱し、基台40を所望の温度(100〜200℃の範囲が好ましく、本実施形態では165℃とした)まで加熱する。このように、加熱手段50によって基台40を加熱して熱膨張させることで、基台40上に固定したシート体2’を均一に膨張させることができる。これは、ステンレス(基台)40の線膨張係数が17.3ppm/℃であり、シート体2’のポリイミド(樹脂シート)2aの線膨張係数が20.0ppm/℃、銅(金属箔)2bの線膨張係数が16.8ppm/℃であり、基台(ステンレス)40の線膨張係数をこの基台(ステンレス)40上に対向するように配置される金属箔(銅)2bの線膨張係数より大きくすることで、シート体2’の均一膨張が実現できる。ここで、シート体2’は、0.2%以上膨張させることが好ましく、本実施形態では、室温を23℃、基台40の温度を165℃として、600μm膨張させている。これにより、シート体2’のしわやたるみを取ることができる。なお、基台40を加熱する際には、基台40をホットプレート50上に載置してからホットプレート50を設定温度まで加熱するより、ホットプレート50を設定温度まで加熱した状態で基台40をホットプレート50上に載置する方が好ましい。
次に、図2(c)に示すごとく、リング4をシート体2’の樹脂シート2a側に固定する。ここで、リング4はSiCのものを用いており、SiCの線膨張係数は、3.0ppm/℃であるので、加熱状態のシート体2’に固定しても、リング4の熱膨張の影響はほとんどない。このように、リング4としては、線膨張係数が小さい材質、特にシート体2’や基台40よりも線膨張係数の小さい材質が好ましく、SiCの他に、インバー、42アロイが挙げられる。なお、リング4の形状としては、直径200〜400mm、厚さ1〜10mmの範囲が好ましく、本実施形態では、直径350mm、厚さ4mmとした。
次に、リング4の外周に沿ってシート体2’をカットして、基台40及びホットプレート50を取り除くことで、図2(d)に示すごとく、均一な張力が加えられた状態でシート体2’がリング4に固定されたリング付シート体2”を得ることができる。なお、このカットする際には、シート体2’を常温まで戻してから行うことが好ましい。続いて、バンプ形成工程について説明する。
まず、図3(a)に示すごとく、シート体2’(リング付シート体2”)の樹脂シート2a側にフォトレジスト層16を形成する。このフォトレジスト層16は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
次に、フォトレジスト層16の上に、バンプ3の形成位置に対応する透光孔を有するパターンフィルム(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプで紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図3(b)に示すごとく、バンプ3に対応するレジスト体20aを有する一次パターンレジスト20を樹脂シート2a上に形成する。
次に、図3(c)に示すごとく、樹脂シート2aに穴26を形成する。具体的には、一次パターンレジスト20を用いて樹脂シート2aに対してエッチング処理またはレーザー処理を施すことにより、金属箔2b上面に至る穴26を形成する。この時、エッチング処理を施す際には、樹脂シート2aのみをエッチングして、金属箔2bに対してはエッチングしないエッチング液を使用し、レーザー処理を施す際には、樹脂シート2aのみを気化蒸発させ、金属箔2bに対しては作用しない程度に、レーザー光線の出力を調整する。また、レーザー処理を施す際には、レーザー光線のビーム幅(ビーム出力)を調整することで、内径寸法が下方向に行くに従って漸次大きくなるような下拡がりの円錐台状とすることができる。なお、穴26形成後は、一次パターンレジスト20を構成するレジスト体20aを除去した。
次に、図4(a)に示すごとく、露出された金属箔2bにメッキ処理を施すことにより、穴26を埋めるようにニッケル−コバルトを電鋳して、バンプ3となる電着金属体29を形成した。すなわち、穴26部分に存する金属箔2bを電鋳始端として、当該電鋳始端から上方に向かって電着金属を電鋳させることにより、穴26内にバンプ3となる電着金属体29を形成した。この時、電着金属体29の高さ位置は、樹脂シート2aの上端面を超えるまでとした。これにて、先端が突出した電着金属体29を得た。なお、これら電着金属体29の形成素材としては、ニッケル−コバルト合金のほかに、ニッケルや銅などといった電鋳金属が使用できる。
次に、シート体2’(リング付シート体2”)の金属箔2b側にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層の上に、バンプ3の形成位置に対応する透光孔を有するパターンフィルム(ガラスマスク)を密着させ、紫外光ランプで紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図4(b)に示すごとく、バンプ3と対応する位置にレジスト体25aを有する二次パターンレジスト25を形成する。
次に、二次パターンレジスト25を用いて金属箔2bに対してエッチング処理を施した後に、二次パターンレジストを除去することにより、図4(c)および図1に示すごとく、リング4が固定されたシート2と、シート2の所定位置に配されて該シート2の下面から下方に突出する多数独立のバンプ3とを備えるバンプ付きメンブレン1が得られた。
このように、バンプ形成工程をリング固定工程後に行うことで、メンブレンプローブ1の面方向におけるバンプ3の位置ズレを可及的に抑えることができ、半導体デバイスに対して高精度な検査が可能となる。
上記実施形態において、図2(a)及び図2(c)の部分拡大図に示すように、シート体2’と基台40との固定並びにシート体2’とリング4との固定は接着剤による固定が好ましい。その際、シート体2’とリング4とを接着固定する位置は、基台40とシート体2’とを接着固定する位置より正面視で内側にあることが好ましい。なお、シート体2’と基台40との固定に用いる接着剤としては、エポキシ系樹脂(常温硬化)が好ましく、シート体2’(金属箔2b)の外周上あるいは基台40の外周上に、望ましくは円周状に、接着剤を付与してシート体2’と基台40とを接着固定する。また、シート体2’とリング4との固定に用いる接着剤としては、フッ素系樹脂(加熱硬化)が好ましく、リング4上あるいはシート体2’(樹脂シート2a)上のリング4が配置される位置に接着剤を付与してシート体2’上に接着固定する。
また、シート体2’としては、円形、三角形、四角形、その他多角形と種々の形状が考えられるが、リング4は、円形のものを用いるのが好ましい。これは、メンブレンプローブ1を製造するにあたり、加熱手段50によってシート体2’を加熱して、シート体2’を均一に膨張させ、この均一に膨張されたシート体2’をその状態でしっかりと保持するためである。
また、バンプ3の形状は、先端が膨らんだ形状(半球状)とするのが好ましく、さらに、バンプ3の導電性を良くするために、バンプ3(電着金属体29)表面にメッキを施してめっき層を形成するのが好ましい。このめっき層としては、金、銀、パラジウムなといった貴金属が好ましい。また、パッド部7の表面にもメッキを施してめっき層を形成しても良い。
1 メンブレンプローブ
2 シート
2’ シート体
2a 樹脂シート
2b 金属箔
3 バンプ
4 リング
6 バンプ本体
7 パッド部
20 一次パターンレジスト
25 二次パターンレジスト
26 穴
29 電着金属体
40 基台
50 加熱手段

Claims (6)

  1. バンプ(3)が形成されたシート(2)と、前記シート(2)に固定されるリング(4)とを備えており、被検査体上に形成された接触部の電気的特性検査に用いられるメンブレンプローブの製造方法であって、
    前記シート(2)となるシート体(2’)に前記リング(4)を固定するリング固定工程と、前記シート体(2’)にバンプ(3)を形成するバンプ形成工程とを備え、
    前記リング固定工程は、
    前記シート体(2’)を基台(40)上に固定する第一固定工程と、
    前記基台(40)を加熱手段(50)によって加熱して膨張させることで、前記基台(40)上に固定した前記シート体(2’)を膨張させる膨張工程と、
    前記シート体(2’)上に前記リング(4)を固定する第二固定工程とを有し、
    前記第一固定工程と、前記第二固定工程においては、接着剤を用いて行い、前記第二固定工程における前記シート体(2’)と前記リング(4)との接着固定位置は、前記第一固定工程における前記シート体(2’)と前記基台(40)との接着固定位置より内側にあることを特徴とするメンブレンプローブの製造方法。
  2. 前記第二固定工程後、前記シート体(2’)を前記リング(4)の外周に沿ってカットする切断工程を有し、
    前記切断工程後、前記基台(40)及び前記加熱手段(50)を取り除く基台・加熱手段取除工程を行って、前記シート体(2’)に張力を付与することを特徴とする請求項1に記載のメンブレンプローブの製造方法。
  3. 前記基台(40)の線膨張係数が前記シート体(2’)の線膨張係数より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のメンブレンプローブの製造方法。
  4. 前記リング固定工程後に、前記バンプ形成工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のメンブレンプローブの製造方法。
  5. 前記バンプ形成工程は、
    前記シート体(2’)上に、レジスト体(20a)を有する一次パターンレジスト(20)を形成する第1レジストパターニング工程と、
    前記一次パターンレジスト(20)を用いて、前記シート体(2’)に穴(26)を形成する穴あけ工程と、
    前記シート体(2’)にメッキ処理を施すことにより、前記穴(26)の内部空隙を埋めるように電着金属を電鋳して、前記バンプ(3)となる電着金属体(29)を形成する電着工程と、
    前記シート体(2’)の前記電着金属体(29)形成側とは反対側に、レジスト体(25a)を有する二次パターンレジスト(25)を形成する第2レジストパターニング工程と、
    前記二次パターンレジスト(25)を用いて、前記シート体(2’)の不要部分を除去する除去工程と
    を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のメンブレンプローブの製造方法。
  6. 前記電着工程においては、前記シート体(2’)の上端面を越えて電着金属を電鋳させて前記電着金属体(29)を形成することを特徴とする請求項5に記載のメンブレンプローブの製造方法。
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