JP5893331B2 - Ni基耐食耐摩耗合金の製造方法 - Google Patents

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本発明は、Ni基耐食耐摩耗合金の耐食性または耐摩耗性向上のための技術に関する。
バレル、シリンダ、スクリュ等の樹脂成形機の溶融プラスチック環境下に置かれる成形機部品には、高い耐摩耗性が要求されるので、このような部品は、例えば本件出願人と同一人に係る特許第4121694号公報(特許文献1)に記載されているような、Ni基サーメットと呼ばれるNi基耐食耐摩耗合金の焼結体が用いられている。
最近、太陽電池、リチウムイオン電池、燃料電池等の成長技術分野では、高強度樹脂材料、高機能樹脂材料のニーズが高まっている。このような樹脂材料を成形するための成形機の溶融樹脂に接触する部品には、より高い耐摩耗性が求められている。また、フッ素(F)および塩素(Cl)を含有する樹脂材料の成形機部品では、より高い耐食性も求められている。このような要求に十分に答えるために、上記特許文献1の合金に対するさらなる改良が求められている。
特許第4121694号
本発明は、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の耐食性及び/又は耐摩耗性の向上を、当該Ni基耐食耐摩耗合金が元々備えていた優れた性能を損なうことなく、かつ、製造性を悪化させることなく、実現することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、溶湯噴霧法(アトマイズ法)により製造された特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の原料粉末を母粒子として用いて、それに、添加子粒子として、合金の耐摩耗性を向上させるための硬質粒子、あるいは合金の耐食性を向上させるための添加元素等を含めたものを原料粉末として焼結を行うことにより、耐食性又は耐摩耗性が向上したNi基耐食耐摩耗合金を提供するものである。
本発明によれば、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の優れた特性を有する硬質物集合体の部分が実質的にそのまま維持され、弱点部分である硬質物間結合相の性能が子粒子添加により向上する。よって合金全体の性能が向上する。
従来合金の金属組織を説明するための模式図である。 従来合金の金属組織を説明するための模式図である。 本発明合金の金属組織を説明するための模式図である。 本発明合金の別の製造方法を説明するための模式図である。 本発明合金と鉄鋼材料からなる基材とを複合化させる方法を説明するための概略図である。 (a)が従来合金、(b)が本発明合金の金属組織を示す電子顕微鏡写真(二次電子線像)の写しである。
発明の実施の形態
前述したように、本発明合金は、特許文献1(特許第4121694号)の合金を基礎として、その弱点部分を補強したものである。本発明合金は、以下に説明するような特許文献1の金属組織および性能の解析に基づいて開発されたものである。特許文献1の合金は、図1に示すように、その金属組織が、Ni−Si−Mo合金またはNi−Si合金からなる結合相(a)(「集合体間結合相」ともいう)と、結合相(a)中に分散した球状または塊状の硬質物集合体(b)とを含んでいる。また、硬質物集合体(b)の金属組織は、Ni−Si−Mo合金またはNi−Si合金からなる結合相(c)(「集合体内結合相」ともいう)と、この結合相(c)中に分散したNi−Mo硼化物からなる分散相(d)とを含んでいる。
図2(a)は図1に示す従来合金を製造するためにアトマイズ法(溶湯噴霧法)により製造された原料粉末(アトマイズ粉末)であり、ここに図示されるように、原料粉末は、硬質物集合体(b)と概ね同様の金属組織である、結合相中に硼化物粒子が分散している金属組織を有している。このような原料粉末を適当な成形金型に充填して焼結すると、図1および図2(b)に示すような金属組織が得られる。焼結により液相を発生させて緻密化を行う際に、原料粉末同士の間の微小隙間は原料粉末中の結合相由来の金属により満たされ、この部分は硬質のNi−Mo硼化物が存在しない領域となる。このような領域すなわち集合体間結合相(a)のサイズは、焼結により液相を発生させて緻密化を行う際に大きくなる。また、液相を発生させて緻密化を行う際には成分移動が生じるため、集合体間結合相(a)(特に硬質物集合体(b)から遠い部分、図2(b)でハッチングを付けた部分)の組織および成分は、焼結前の原料粉末の組織および成分とかなり異なっており、合金が過酷な環境に置かれた場合には、微視的にみると、この集合体間結合相(a)の部分が優先的に摩耗または腐食してしまうことが、発明者の調査研究により確認された。
すなわち、集合体間結合相(a)の部分は合金の弱点部分となるため、当該部分の耐摩耗性、耐食性を向上させることは、合金全体の耐摩耗性、耐食性の向上に大きく寄与することになる。なお、HIP法により焼結を行った場合には、液相がわずかしか発生しないため、隣接する硬質物集合体(b)に存在する集合体間結合相(a)のサイズは比較的小さいため、上述の問題はあまり顕在化しない。
本発明では、上記の知見に基づいて、集合体間結合相(a)の耐摩耗性および耐食性の少なくとも一方を効率良く改善する。すなわち、本発明では、上記特許文献1の合金のアトマイズ法により製造された原料粉末を母粒子(第1原料粒子)として用い、前記母粒子と別個に作製された第2原料粒子を子粒子として用い、母粒子の間の隙間を埋めるように子粒子が存在する合金を作製する。すなわち、子粒子は、集合体間結合相(a)中に分散するか、固溶するか、化合物を作って存在する等して、集合体間結合相(a)の耐摩耗性および耐食性を強化する。通常は、第1原料粒子と第2原料粒子は、混合機を用いて、焼結前に均一に混合される。混合機は、回転および振動の少なくとも一方を与えることができる容器を備えて構成したものを用いることができる。
母粒子をなす第1原料粒子は、前述した特許文献1(特許第4121694号明細書)に記載された通り、重量%で、B:0.6〜3.2%、Si:0.5〜8%、Mo:5〜24%を含み残部Niおよび不可避的不純物である組成溶湯から、アトマイズ法により作製したものである。アトマイズ法実行時に噴霧する溶湯を作製するにあたっては、BはNiBの形で溶湯に溶解させることができる。すなわち、例えば、噴霧する溶湯は、例えば、NiB,Si,Mo,Ni,Cuを溶解することによって作製することができる。好ましくは、アトマイズ法により作製された粉末から、所定メッシュの篩いを用いて30〜300μmの粒径のものが選別され、これが前述した第1原料粒子として用いられる。また、焼結性を向上させるため、第1原料粒子に、0.01〜0.5wt%のCを添加してもよい。なお、上記の第1原料粒子の組成を定めた理由は、特許第4121694号明細書にて説明されているため、本明細書においてあらためて説明はしない。
子粒子をなす第2原料粒子は、合金の耐摩耗性を向上させるための硬質粒子、あるいは合金の耐食性を向上させるための添加元素としての金属(合金を含む)粒子等からなる。硬質粒子としては、例えばWC(炭化タングステン)、TiC(炭化チタン)等の炭化物、あるいはTiCN(炭窒化チタン)等の炭窒化物が例示される。合金の耐食性を向上させるための添加元素としては、Cr、Cu、Mo等が例示される。2種類以上の硬質粒子(例えばWCおよびTiCの両方)を子粒子として用いることもできる。2種類以上の添加元素としての金属を子粒子として用いることもできる。また、耐摩耗性および耐食性の両方を向上させたいのであれば、それぞれに有効な異なる2種類以上の子粒子を用いることもできる。
図3に示すように、例えば硬質粒子からなる子粒子(S)を母粒子(B)と混合して得られた原料粉末を焼結させると、隣接する硬質物集合体(b)同士の間に生じる液相に硬質粒子(e)がそのまま取り込まれ、その結果、結合相(a)内に硬質粒子(e)が実質的に焼結前の状態を維持した状態で存在する金属組織を有する合金が得られる。硬質粒子(e)は、結合相(a)の領域の耐摩耗性を向上させ、ひいては合金全体の耐摩耗性を向上させる。なお、焼結時に液相が殆ど発生しないHIP法により焼結が行われる場合(すなわち結合相(a)が狭い場合)にも、合金全体の耐摩耗性向上効果は得られる。図6(a)に従来合金(特許文献1の合金)、図6(b)に本発明合金の一例の金属組織の電子顕微鏡写真(SEI)が示されている。図6(b)において、白い大きな粒子が硬質粒子(e)である。硬質粒子(e)は結合相(a)中に存在していることがわかる。なお、硬質粒子(e)の一部は、硬質物集合体(b)内にも取り込まれている。
図示はしていないが、例えばCu(Cr、Moでもよい)粒子を子粒子として母粒子と混合して得られた原料粉末を焼結させると、隣接する硬質物集合体(b)同士の間に生じる液相に子粒子元素が溶け込み、最終的に子粒子元素が固溶した結合相(a)が得られる。
上述したように、子粒子は、焼結後においても実質的に添加したままの状態で(すなわち母粒子成分と実質的に反応しないで)集合体間結合相(a)内に存在するようなものであってもよいし、焼結時に生じる液相と反応し集合体間結合相(a)内に化合物(析出物)を形成するようなものであってもよい。化合物を子粒子として用いることもできる。
子粒子の粒径(平均粒径)は、1.0〜10.0μmの範囲内であることが好ましい。1.0μmより小さい場合には、子粒子添加量が多くなると母粒子との混合時に子粒子が凝集体となりやすく、焼結後の合金組織に偏析が生じるため好ましくない。また、子粒子の凝集部では焼結前の充填ないし成形時に充填密度が低くなるため、巣(空洞)が生じやすい(充填不十分な部分が焼結後もそのまま残る)。巣が存在すると、合金の強度に悪影響を及ぼす。なお、子粒子添加量が少ない場合には、上記の問題は生じ難いが、子粒子による性能向上効果が現れにくい。一方、子粒子の粒径が10.0μmより大きい場合には、母粒子との混合後ないし成形後の充填密度が低下する傾向にある。充填密度が低下すると、液相を多く発生させないと(すなわち焼結温度を高めないと)健全な焼結を行う(緻密化)ことが困難となり、生産性が低下する。また、液相で満たされる領域(=集合体間結合相(a)の部分、粉末充填時の母粒子間の隙間に相当)が広くなるため、当該領域の全体において性能低下を子粒子により補いきれなくなる。言い換えれば、性能の低い集合体間結合相(a)の性能向上を目的として子粒子を添加したことが、性能の低い集合体間結合相(a)の領域の大幅な拡大をもたらすのなら、子粒子添加の効果が無くなるかあるいは非常に小さくなってしまう。さらには、母粒子と子粒子との混合後ないし焼結前成形後の充填密度が低下すると、焼結時の変形が大きくなり、焼結後の後加工工数が増加して、製造コストの増大につながる。子粒子の粒径は、1.0〜5.0μmの範囲内であることがより好ましい。なお、本発明において用いられる子粒子は、通常は、空気分級法により分級される。また、本明細書中における「子粒子の粒径」とは、分級された1つのグループに含まれる粒子の平均粒子径を意味する。平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて測定された1つのグループに含まれる粒子の直径の測定値の平均値として定義される。
子粒子の添加量は、子粒子と母粒子の重量の和に対する子粒子の重量比(すなわち[子粒子重量/(子粒子重量+母粒子重量)])(以下、簡略のため「子粒子重量比」と称する)が10〜30%となるようにすることが好ましい。子粒子重量比が10%より小さいと、全ての母粒子間に子粒子が配置されず、子粒子の存在しない領域が存在するようになり(子粒子が偏析した状態となる)、当該領域においては耐食性または耐摩耗性向上の効果が現れない。一方、子粒子重量比が30%より大きいと、母粒子と子粒子とを混合した後の充填密度が低下するか、あるいは、子粒子の過剰供給により合金組織の偏析が生じる。さらには、母粒子と子粒子とを混合した状態での粉末の流動性が低下するため、作業性が悪化する。微細な子粒子は凝集しやすいためである。子粒子重量比が15〜30%であることが、偏析が小さくなるので、特に好ましい。なお、上記の子粒子の適正含有量は、母粒子の性状および寸法の影響を受けた結果により定まっているものと考えられる。
本発明合金においては、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の耐食性及び/又は耐摩耗性の向上を、当該Ni基耐食耐摩耗合金が元々備えていた優れた性能を損なうことなく、かつ、製造性を悪化させることなく、実現することができる。すなわち、本発明合金においては、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金が有している優れた特性を有する硬質物集合体の部分が実質的にそのまま維持され、弱点部分である硬質物間結合相の性能が子粒子(S)添加により向上する。本発明合金においては、焼結前の原料粉末を構成する母粒子(B)は、焼結性および(アトマイズ粉末の)製造性に問題の無い特許文献1に記載されたアトマイズ粉末がそのまま用いられる。当該アトマイズ粉末は、優れた性能を有する焼結後の合金組織における硬質物集合体(b)の組織(硼化物粒子が結合相中に分散した組織)に相応する組織を既に有しており、添加される子粒子(S)は、焼結時に隣接する母粒子(B)間に取り込まれるというシンプルなメカニズムにより合金組織を構成するので、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の性能を低下させたり、製造性を悪化させることは全くまたは殆ど無い。
なお、特許文献1に記載されたNi基耐食耐摩耗合金の原料粉末であるアトマイズ粉末を作製するときに、子粒子(S)に相当する成分を一緒に溶解することも考えられるが、子粒子(S)がWC、TiC等の炭化物粒子である場合には、当該炭化物粒子によりアトマイズ装置のノズルが詰まってしまうため、製造は実質的に不可能である。また、子粒子(S)が、Cr、Cu、Mo等の耐食性向上元素である場合には、添加量次第では溶解が困難な場合もあり、また、これらの元素はアトマイズ粉末中に概ね均一に分布してしまうため、添加量を多くする必要がある場合もある。また、集合体間結合相(a)を生じさせないようにするには、別々の粉末(例えばNiB粉末、Si粉末、Mo粉末、WC粉末等)を粉末のまま混合して原料粉末を作製し、それを焼結することにより合金を製造することが考えられる。しかし、この製法は工程が非常に煩雑であって製造コストが高くなるし、また、非常に優れた耐摩耗性を有する球状ないし塊状の硬質物集合体(b)の組織が得られなくなる。すなわち、本発明合金は、低コストで高性能なNi基耐食耐摩耗合金を得ることができる非常に優れたものといえる。
なお、上記では母粒子と子粒子は、通常の粉体混合技術を用いて(混合機を用いて)混合するものとしている。しかしながら、上記に代えて、母粒子(第1原料粒子)を子粒子(第2原料粒子)によりコーティングしてもよい。コーティングは、子粒子を衝撃力により母粒子に打ち込むことにより固定化することにより行うことができる。具体的には、内部に回転羽根車が設けられた混合容器を備えた混合機を用い、前記混合容器内に母粒子および子粒子を投入する。羽根車を回転させることにより、打撃力により硬い子粒子が軟らかい母粒子(特に結合相部分)に押し込まれ、図4に概略的に示すように、母粒子(B)が子粒子(S)によりコーティングされる。この方法によれば、母粒子の表面が子粒子により均一にコーティングされるので、焼結後に得られる合金の均一性をより高めることができる。
本発明合金は、もともと優れた耐食性および耐摩耗性を有している特許文献1のNi基耐食耐摩耗合金を基礎として、これに対してさらに耐食性および耐摩耗性の少なくとも一方を向上させたものであるので、樹脂成形機の溶融樹脂に接触する部品(例えばバレル、シリンダ、スクリュ等)、AlまたはMg合金用のダイカスト機の溶湯に接触する部品(例えばプランジャ、プランジャチップ等)の材料として好適に用いることができる。なお、本発明合金は比較的高価であるため、一つの部品の全体を本発明合金によって構成するよりむしろ、溶融樹脂(あるいは溶湯)に接触する部分のみを基材(通常は鉄鋼材料または鋳鉄からなる)の上にライニングとして設けることが好ましい。図5を参照して製法について簡単に説明する。図5において1は筒状体、2は棒状体、3は上下の蓋体、4は筒状体1と棒状体2との間に充填された原料粉末である。この状態で、筒状体1の表面若しくは棒状体2の表面、蓋体3の表面に離型剤を塗布して所定温度で焼結を行うことにより、筒状体1(または棒状体2)と原料粉末4(原料粉末4の焼結体)とが一体化された構造体が得られる。
以下、具体的実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
下表1に示す試料番号1〜12の12種類の試料を作製した。試料1は、従来合金であり、特許第4121694号明細書(特許文献1)に記載された製法により製造されたものであり、具体的にはNiB,Si,Mo,Ni,Cuを溶解し、溶湯噴霧法により、重量%で、B:0.6〜3.2%、Si:0.5〜8%、Mo:5〜24%を含み残部Niおよび不可避的不純物である組成の粉末を作製し、次いで、この粉末から30〜300μmの粒径のもののみを所定メッシュの篩いにより篩い分けして、これを原料粉とし、次いで、この原料粉を、焼結して得たものである。詳細には、試験に用いた従来合金の組成は、重量%で、B:2%、Si:5%、Mo:18%、残部Niおよび不可避的不純物である。焼結は1040℃で行った。
試料2〜12は、上記試料1の作製に用いた原料粉(母粒子)に、表1に示す比率でCuのみ、WCのみ、あるいはCuおよびWCの両方からなる子粒子を混合して得た原料粉を焼結して得たものである。母粒子と子粒子の混合は、容器回転式ブレンダーを用い、両者を密閉容器内に表1に示した各配合比率(重量比)で投入し、30〜60分間攪拌した。焼結条件は、試料1と同じである。試料1〜12は、焼結後、4×8×20mmの平板、および5×25×50mmの平板に研削加工し、各種試験に供した。
上記試料1〜12に対して、光学顕微鏡での組織観察による空孔および偏析の有無の確認、耐食性、耐摩耗性の評価を行った。なお、偏析の有無については、硬さ測定値のバラツキ(データの分散)からも評価した。金属組織内に空孔が存在すると、破損起点となり得ることが考えられ、好ましくない。また、偏析が存在すると、合金性能の安定性の面で好ましくない。耐食性は、1%フッ酸水溶液に5時間浸漬後の腐食減量(mg/m・hr)を測定することにより評価した。耐摩耗性は、摩擦速度:0.2〜2.0m/sec、摩擦距離:600m、最終荷重:182N、相手材:SKD11硬さHRC58にて大越式摩耗試験を行い、比摩耗量で評価した。その結果が上記表1に示されている。組織観察結果において、空孔有りが「×」、空孔無しが「○」、偏析有りが「×」、偏析無しが「○」で表記されている。耐食性、耐摩耗性試験結果において、従来材(試料1)並みが「○」、従来材より優れているが「◎」、従来材より劣る が「△」で示されている。また、「評価」の欄には、従来材よりも劣る評価項目が無く、かつ、少なくとも一つの評価項目が従来材よりも優れているものに「◎」を付けた。
上記表1に示すように、適切な粒径の子粒子を適正量添加することにより、特許文献1記載の従来合金の優れた性能を維持しつつ、かつ、製造性に問題を生じさせることなく、耐食性および耐摩耗性の少なくもいずれか一方を向上させることができることが明らかである。また、表1に示す結果は、子粒子の粒径が好ましくは1.0〜10.0μm、より好ましくは1.0〜5.0μmとし、かつ子粒子重量比が好ましくは10〜30%、より好ましくは15〜30%とする発明の実施の形態の説明に合致している。

Claims (7)

  1. 第1原料粒子と、前記第1原料粒子と別個に作製された第2原料粒子とを含む原料を焼結し、焼結後において、集合体内結合相中に金属硼化物が分散した金属組織を有する球状または塊状の硬質粒子集合体と、前記硬質粒子集合体の間にあって前記硬質粒子集合体同士を結合する集合体間結合相とを有してなる金属組織を有するNi基耐食耐摩耗合金を製造する方法において、
    前記第1原料粒子は、重量%で、B:0.6〜3.2%、Si:0.5〜8%、Mo:5〜24%を含み残部Niおよび不可避的不純物である組成の溶湯から溶湯噴霧法によって粉末を作製し、この粉末から30〜300μmの粒径のものを選別したものからなり、結合相中に金属硼化物が分散した金属組織を有しており、
    前記第2原料粒子は、焼結後に、前記集合体間結合相内に固溶した状態、あるいは前記集合体間結合相と反応して化合物を形成した状態で前記集合体間結合相内に存在して、前記集合体間結合相の耐食性を向上させる金属の粒子からなるか、あるいは、前記第2原料粒子は、前記金属の粒子、および、焼結後に、焼結前の状態を維持して前記集合体間結合相内に取り込まれる硬質金属炭化物粒子からなり、
    前記金属の粒子は、Cr、MoおよびCuのうちの少なくともいずれか1つからなり、
    前記第2原料粒子が1.0〜10.0μmの粒径を有し、
    前記第1原料粒子および前記第2原料粒子の重量の和に対する前記第2原料粒子の重量の比が、百分率で10〜30%である、Ni基耐食耐摩耗合金の製造方法。
  2. 前記第2原料粒子は、前記金属の粒子および前記硬質金属炭化物粒子からなり、前記硬質金属炭化物粒子は、WC(炭化タングステン)、TiC(炭化チタン)およびTiCN(炭窒化チタン)のうちの少なくともいずれか1つからなる、請求項1記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
  3. 前記第2原料粒子を前記第1原料粒子の表面に衝撃力により固定した後に焼結を行う、請求項1または2に記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
  4. 前記第1原料粒子と前記第2原料粒子とを混合した後に焼結を行う、請求項1または2に記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
  5. 前記第1原料粒子と前記第2原料粒子とを含む前記原料を焼結するときに、鉄鋼材料または鋳鉄からなる基材と一体化させる、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
  6. 前記Ni基耐食耐摩耗合金により少なくともその一部が形成されている樹脂成形機の溶融樹脂に接触する部品を形成するために用いられる、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
  7. 前記Ni基耐食耐摩耗合金により少なくともその一部が形成されているAlまたはMg合金用のダイカスト機の溶湯に接触する部品を形成するために用いられる、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のNi基耐食耐摩耗合金の製造方法
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