JP2016160500A - Wc系超硬合金およびその製造方法 - Google Patents

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Tadashi Furuya
匡 古谷
秀峰 小関
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秀峰 小関
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Daiki Shinno
大樹 進野
謙一 井上
Kenichi Inoue
謙一 井上
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Abstract

【課題】高硬度で、かつ、高温強度に優れ、製造時の変形を抑制できるWC系超硬合金と、その製造方法を提供する。【解決手段】炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなるWC系超硬合金において、前記WC系超硬合金の硬さが400〜800HVであり、前記WC系超硬合金に占める前記コバルトまたはコバルト合金の含有量が35〜50質量%であり、前記WC系超硬合金の断面組織における前記炭化タングステン粒子の平均粒径が円相当径で0.4〜1.0μmであり、前記断面組織における前記コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる前記炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μmのWC系超硬合金である。また、前記WC系超硬合金の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、WC系超硬合金およびその製造方法に関するものである。
従来、WC系超硬合金は、コバルトを結合相とした組織中に、炭化タングステン粒子を分散させたことで、高い硬さを有していることから、耐摩耗性の要求される各種製品に用いられている。このとき、結合相の耐摩耗性等を向上させることを目的として、前記コバルトを、各種のコバルト合金に替えたものがある。また、WC系超硬合金の耐酸化性等を向上させることを目的として、前記炭化タングステン粒子の一部を、炭化チタンや炭化タンタル等の粒子で置換したものがある。
このようなWC系超硬合金は、通常、炭化タングステンの原料粉末を、コバルトを結合剤に用いて、焼結等の固化処理で固化して製造される。そして、前記結合剤に用いられるコバルトの含有量を増やすことで、WC系超硬合金の靱性が向上することが知られており、例えば、5〜25質量%のコバルトを含有し、平均粒径が1〜5μmの炭化タングステン粒子が分散したWC系超硬合金が提案されている(特許文献1)。また、固化処理前の前記炭化タングステン粉末の粒径を0.3〜3μmに調整して、かつ、コバルトの含有量を25〜45質量%としたWC系超硬合金が提案されている(特許文献2)。
特開平06−158114号公報 特開平07−126792号公報
WC系超硬合金のコバルト含有量を増やすことは、WC系超硬合金の靱性を向上させるのに有効である。しかし、一方で、前記コバルト含有量を増やすと、WC系超硬合金の硬度が低くなるという課題がある。そして、WC系超硬合金の代表的な用途である各種工具への適用を考えたときには、使用中の昇温によって、前記硬度がさらに低下し得る(つまり、高温強度が低下し得る)という課題がある。さらに、前記コバルト含有量を増やすと、WC系超硬合金の製造工程における前記固化処理の際に、変形等が生じて、所定の形状のWC系超硬合金の作製が困難になるという課題もある。
本発明の目的は、高硬度で、かつ、高温強度に優れ、製造時の変形を抑制できるWC系超硬合金と、その製造方法を提供することである。
本発明は、炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなるWC系超硬合金において、
前記WC系超硬合金の硬さが400〜800HVであり、
前記WC系超硬合金に占める前記コバルトまたはコバルト合金の含有量が35〜50質量%であり、
前記WC系超硬合金の断面組織における前記炭化タングステン粒子の平均粒径が円相当径で0.4〜1.0μmであり、前記断面組織における前記コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる前記炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μmであることを特徴とするWC系超硬合金である。
また、本発明は、炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなるWC系超硬合金の製造方法において、
積算値が50%のときの平均粒子径であるD50が1〜50μmのコバルトまたはコバルト合金の原料粉末の表面に、前記D50が0.4〜1.0μmの炭化タングステンの原料粉末を付着させた混合粉末を、固化処理することを特徴とするWC系超硬合金の製造方法である。
本発明によれば、高硬度で、かつ、高温強度に優れ、製造時の変形を抑制できるWC系超硬合金を得ることができる。
本発明に係るWC系超硬合金の製造方法の各工程での粉末の状態を示す概念図である。 本発明のWC系超硬合金の断面組織を示す概念図である。
最初に、本発明のWC系超硬合金について説明する。
(A−1)本発明のWC系超硬合金は、「炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなる」ものである。
一般的に、WC系超硬合金は、炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金で結合されてなるものである。この点において、本発明のWC系超硬合金は、従来のそれと同じ構成とすることができる。そして、通常、このようなWC系超硬合金は、炭化タングステン粉末を、コバルトまたはコバルト合金を結合剤に用いて、固化処理することで製造される。なお、本発明のWC系超硬合金の製造方法に係る、前記固化処理については、後でも説明する。
(A−2)本発明のWC系超硬合金は、「硬さが400〜800HV」である。
従来、WC系超硬合金の用途は、各種工具が代表的である。そして、前記WC系超硬合金の硬度に関し、熱間工具の硬度は、例えば、アルミニウム等の鋳造用金型で概ね400〜500HV(約40〜50HRC)に調整され、熱間鍛造用金型で概ね400〜650HV(約40〜58HRC)に調整される。また、冷間工具の硬度は、例えば、プレス金型で概ね500〜700HV(約50〜60HRC)に調整される。それぞれの工具において、前記硬度が低いと、使用中の工具の強度が不足して、座屈や摩耗、熱軟化、熱疲労亀裂等を生じることがある。また、前記硬度が必要以上に高いと、使用中の工具の靭性が不足して、割れが発生し、その割れが進展して、工具の破損に至ることがある。したがって、本発明のWC系超硬合金は、硬度を400〜800HVとする。
(A−3)本発明のWC系超硬合金は、これに占める「コバルトまたはコバルト合金の含有量が35〜50質量%」である。
WC系超硬合金に占めるコバルトまたはコバルト合金の含有量を増やすことで、WC系超硬合金の靭性が向上する。そして、本発明のWC系超硬合金では、前記コバルトまたはコバルト合金の含有量を35質量%以上とする。しかし、前記コバルトまたはコバルト合金の含有量が増え過ぎると、根本的に、WC系超硬合金の硬度が低くなって、前記「400〜800HV」の硬度を達成し難くなる。また、使用中の昇温による前記硬度の低下を抑制し難くなる。そして、WC系超硬合金の製造過程において、前記固化処理中のWC系超硬合金の変形を抑制し難くなる。よって、本発明のWC系超硬合金は、前記コバルトまたはコバルト合金の含有量を50質量%以下とする。なお、WC系超硬合金中のコバルトまたはコバルト合金の含有量の測定には、従来、超硬合金の成分組成分析に使用されている蛍光X線分析等を用いることができる。
(A−4)本発明のWC系超硬合金は、その「断面組織における前記炭化タングステン粒子の平均粒径が円相当径で0.4〜1.0μm」である。
前記(A−3)において、WC系超硬合金が「35質量%以上」のコバルトまたはコバルト合金を含むと、WC系超硬合金の硬度が低下して、本発明の狙いとする「400〜800HV」の硬度を達成し難しくなる。そこで、本発明のWC系超硬合金では、その組織中に含まれる炭化タングステン粒子を微細にすることが、前記「400〜800HV」の硬度の達成に効果的である。
つまり、前記コバルトまたはコバルト合金の含有量が多いときに、WC系超硬合金の組織中に分布する炭化タングステン粒子を微細にすると、前記コバルトまたはコバルト合金の増量によって向上させた靱性を損なわずに、WC系超硬合金の硬度を高くすることができる。そして、前記炭化タングステン粒子を微細にすると、使用中の高温環境下で、組織中の該炭化タングステン粒子が、前記コバルトまたはコバルト合金でなる結合相中に流動することを抑制できて、WC系超硬合金の高温強度を高く維持することができる。また、WC系超硬合金の耐摩耗性も向上する。そして、上記の効果を得るために、本発明のWC系超硬合金では、その断面組織における前記炭化タングステン粒子の平均粒径を、円相当径で1.0μm以下とする。但し、粒径のあまりにも小さな炭化タングステン粒子は、後述するWC系超硬合金の製造方法において、その粒径を調整することが容易ではない。よって、本発明のWC系超硬合金では、前記円相当径による平均粒径の下限を0.4μmとする。
(A−5)本発明のWC系超硬合金は、その「断面組織における前記コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる前記炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μm」である。
また、前記(A−3)において、WC系超硬合金が「35質量%以上」のコバルトまたはコバルト合金を含むと、WC系超硬合金の製造過程において、前記固化処理中のWC系超硬合金の変形を抑制し難くなる。つまり、WC系超硬合金中のコバルトまたはコバルト合金の含有量が増えると、その断面組織において、炭化タングステン粒子に対するコバルトまたはコバルト合金の結合相の面積率が増加することとなる。このことは、前記結合相との関係において、炭化タングステン粒子に“動きしろ”を与えることを意味する。
そして、WC系超硬合金の製造過程において、例えば、炭化タングステンの原料粉末とコバルトまたはコバルト合金の原料粉末とが“均一に”混合されていない等の状態であると、固化処理中のコバルトまたはコバルト合金の液相中で、前記炭化タングステンの原料粉末が偏った状態で固化処理される。この結果、固化処理後のWC系超硬合金の断面組織には、炭化タングステン粒子が存在しない広い領域の結合相が“部分的に”存在することとなる。そして、この部分的に存在した結合相の面積が広いと、固化処理中において、コバルトまたはコバルト合金の液相が流動して、固化処理前の形状を維持できず、目的とする製品形状から変形した形状のWC系超硬合金となってしまう。または、そもそも、形状が崩れて、固化処理自体できない場合もある。
そこで、本発明のWC系超硬合金では、その断面組織中におけるコバルトまたはコバルト合金の結合相の領域を狭くすることが、固化処理中のWC系超硬合金の変形の抑制に効果的である。そして、具体的には、前記断面組織において、コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる、炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径(図2参照)を30μm以下とすることである。なお、前記最大内接円の直径が小さすぎると、炭化タングステン粒子間の結合力が弱くなる。よって、前記最大内接円の直径の下限は5μmとする。このようなWC系超硬合金の断面組織は、炭化タングステン粒子がネット状に配列した「炭化タングステンの骨格構造」を呈している。そして、この骨格構造が、固化処理中の前記形状の変形を抑制している。
(A−6)好ましくは、本発明のWC系超硬合金は、「前記結合相がコバルト合金であり、該コバルト合金の成分組成が、質量%で、C:0.3〜0.4%、Cr:10〜30%、Ni:15〜25%、Mo:3〜5%、W:3〜5%、NbおよびTaのうちの1種または2種の合計:3〜5%を含み、残部がコバルトおよび不純物でなる」ものである。
または、
(A−7)好ましくは、本発明のWC系超硬合金は、「前記結合相がコバルト合金であり、該コバルト合金の成分組成が、質量%で、C:0.1〜0.2%、Cr:10〜30%、Ni:5〜15%、W:10〜20%、NbおよびTaのうちの1種または2種の合計:3〜5%を含み、残部がコバルトおよび不純物でなる」ものである。
WC系超硬合金の高温強度は、その結合相を構成しているコバルトまたはコバルト合金の高温強度に強く依存している。例えば、WC系超硬合金をアルミニウム等の鋳造用金型に用いる場合、アルミニウム溶湯の温度は600℃を超えることから、前記結合相の高温強度を上げておくことが好ましい。そして、前記結合相を、クロム、ニッケル、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル等を含有したコバルト合金とすることで、WC系超硬合金の高温強度を向上させることができる。また、これによって、WC系超硬合金の耐酸化性、耐食性等も向上させることができる。そして、これら特性を付与できる結合相の成分組成として、例えば、上記の(A−6)または(A−7)が好ましい。なお、(A−6)の成分組成は、優れた高温強度に加えて、優れた耐摩耗性を重視したものである。また、(A−7)の成分組成は、優れた高温強度に加えて、優れた耐食性を重視したものである。(A−6)、(A−7)のどちらの成分組成においても、3質量%以下のSi、3質量%以下のMnを、選択的に含有することができる。
次に、本発明のWC系超硬合金の製造方法について説明する。
(B−1)本発明のWC系超硬合金の製造方法は、「コバルトまたはコバルト合金の原料粉末と、炭化タングステンの原料粉末との混合粉末を、固化処理する」ものである。
この点について、本発明のWC系超硬合金の製造方法は、従来の製造方法を利用できるものである。通常、WC系超硬合金は、炭化タングステンの原料粉末を、コバルトまたはコバルト合金を結合剤に用いて、焼結等の固化処理で固化して製造される。前記炭化タングステンの原料粉末は、固化処理後のWC系超硬合金の組織中の炭化タングステン粒子の形成源となる。そして、前記炭化タングステンの原料粉末に混合された前記コバルトまたはコバルト合金の原料粉末は、同組織中において、前記炭化タングステン粒子どうしを結合する結合相の形成源となる。固化処理とは、例えば、上述の通り、焼結等の粉末冶金法による処理を含むものである。そして、これ以外には、基材上に実施される各種溶接や溶射による被覆処理であってもよい。前記基材とは、例えば、各種工具等の製品表面に超硬合金を被覆する場合において、この被覆前の「各種工具」に相当する。また、前記被覆処理の終了後において、基材が製品の構成に必要のないものであるなら、この基材の部分を切断する等して除去してもよい。
(B−2)本発明のWC系超硬合金の製造方法は、「前記コバルトまたはコバルト合金の原料粉末の粒径が、積算値が50%のときの平均粒子径であるD50で1〜50μmであり、前記炭化タングステンの原料粉末の粒径が、前記D50で0.4〜1.0μm」のものである。
前記(B−1)の製造方法において、前記炭化タングステンの原料粉末のなかでも粒径の小さなものは、固化処理中にコバルトまたはコバルト合金の液相中に溶融し易い。そして、固化処理後において、前記溶融した炭化タングステンの成分が、炭化タングステン粒子として析出しなければ、もとより、WC系超硬合金として成立しない。また、前記溶融した炭化タングステンの成分が、炭化タングステン粒子として析出したとしても、それが成長すると、炭化タングステン粒子の粒径が大きくなって、WC系超硬合金の硬度が向上しない。また、微細な炭化タングステンの原料粉末を製造すること自体、工業的に容易ではない。よって、炭化タングステンの原料粉末の粒径は、積算値が50%のときの平均粒子径であるD50で、0.4μm以上とする。但し、炭化タングステンの原料粉末の粒径が大きすぎると、固化処理後の炭化タングステン粒子でも、この大きな粒径が保たれて、WC系超硬合金の硬度が向上しない。よって、炭化タングステンの原料粉末の粒径は、前記D50で、1.0μm以下とする。
そして、前記炭化タングステンの原料粉末の粒径を、D50の値で0.4〜1.0μmとしたことに対して、前記コバルトまたはコバルト合金の原料粉末の粒径は、D50の値で1〜50μmとする。これら原料粉末の粒径の関係によって、固化処理後の断面組織では、コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径を、本発明の5〜30μmに調整することが容易となる。
(B−3)本発明のWC系超硬合金の製造方法は、前記混合粉末を、「前記コバルトまたはコバルト合金の原料粉末の表面に、前記炭化タングステンの原料粉末を付着させた混合粉末」とするものである。
前記(B−1)の製造方法において、それに供給する前記混合粉末を、単純に、コバルトまたはコバルト合金の原料粉末と、炭化タングステンの原料粉末とを混合しただけのものとすると、両原料粉末間の比重差や粒径差によって、両原料粉末どうしの混じり方が不均一となり、固化処理後のWC系超硬合金中の炭化タングステン粒子の分布に“偏り”が生じ得る。そして、この偏りが顕著であると、本発明の「断面組織におけるコバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μm」のWC系超硬合金を達成し難くなる。
そこで、前記混合粉末を、「コバルトまたはコバルト合金の原料粉末の表面に、炭化タングステンの原料粉末を付着させた形態」とすることで、両方の原料粉末どうしが“均一微細に”混じり合った状態であり、かつ、この状態が崩れ難い混合粉末とすることができる。図1は、本発明に係るWC系超硬合金の製造方法の各工程での、前記粉末の状態の概念図である。また、図2は、前記WC系超硬合金の断面組織を、概念的に示した図である。図1の混合粉末3の状態において、コバルトまたはコバルト合金の原料粉末1の表面は、該表面に付着した炭化タングステンの原料粉末2で囲まれている。そして、このような形態をもって集合した前記混合粉末3は、前記コバルトまたはコバルト合金の原料粉末1どうしの間に、ほぼ必然的に、前記炭化タングステンの原料粉末2が介在して、かつ、その介在状態も均一微細である。そして、この混合粉末3を固化処理に供すれば、炭化タングステン粒子4がコバルトまたはコバルト合金の結合相5で結合されてなるWC系超硬合金6において、この炭化タングステン粒子4の分布の偏りが抑制されて、前記領域の最大内接円(図2中の実線で描かれた円)の直径を5〜30μmに維持することができる。
(B−4)好ましくは、本発明のWC系超硬合金の製造方法は、前記固化処理が「レーザー加熱による積層焼結」である。
一般的に、WC系超硬合金中の炭化タングステン粒子の粒径、形状、および分布は、固化処理前の炭化タングステンの原料粉末のそれとは異なる。これは、上述の通り、固化処理中において、炭化タングステンの原料粉末が、少なからず溶融し、また、析出し、成長することによる。また、このような過程を経て、析出し、成長した炭化タングステン粒子の形状は、その断面組織において、“角ばった形状”をしている。この角ばり方が著しく鋭角状であり、さらに、炭化タングステン粒子が粗大であると、WC系超硬合金の靭性が低下することが考えられる。また、この角ばり方が著しく鋭角状であり、さらに、炭化タングステン粒子が粗大であると、この炭化タングステン粒子を起点にして、クラックが発生し易いと考えられる。
そこで、前記炭化タングステン粒子の粗大化を抑制して、かつ、鋭角状の角ばり方を抑制するためには、固化処理における温度、時間等の条件、特に時間の調整が有効である。固化処理の時間を短くすることで、炭化タングステンの原料粉末の溶融を抑制でき、また、溶融した炭化タングステン成分の析出や、該析出後の成長を抑制できて、炭化タングステン粒子の著しい鋭角状の角ばり方の抑制に有利である。これによって、固化処理後の炭化タングステン粒子の形状を“略円形”に調整することができる。
また、炭化タングステンの原料粉末の溶融や成長を抑制できることは、固化処理後の炭化タングステン粒子の粒径の調整にも有利である。すなわち、炭化タングステンの原料粉末の粒径を、固化処理後の狙いとする炭化タングステン粒子の粒径と“略同一に”しておけば、固化処理後には、炭化タングステンの原料粉末の粒径が“略そのまま”炭化タングステン粒子の粒径となり、本発明の「断面組織における炭化タングステン粒子の平均粒径が円相当径で0.4〜1.0μm」のWC系超硬合金の製造に利用できる。また、炭化タングステンの原料粉末の形状を“略円形”にしておけば、固化処理後の炭化タングステン粒子の形状も“略円形”に調整することができる。
固化処理の時間を短くすることができる手法として、例えば、加熱源にレーザー、アーク、プラズマ、高速火炎等を用いた、焼結、溶接、溶射等を適用することが好ましい。特に、レーザー加熱による積層焼結は、加熱後の冷却速度が速いので、より好ましい。なお、溶射による固化処理を行う際には、その基材に、鉄系、コバルト系、またはニッケル系の材質を用いることができる。
(B−5)好ましくは、本発明のWC系超硬合金の製造方法は、「炭化タングステンの原料粉末のうちの15体積%以下を、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウム、クロムの元素群から選択される少なくとも1種の元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上の原料粉末で置換した」ものである。
本発明のWC系超硬合金において、さらに、前記炭化タングステン粒子の一部を、別の炭化物、窒化物、炭窒化物等の置換粒子と置換することが可能である。このとき、前記置換粒子を、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウム、クロムの元素群から選択される少なくとも1種の元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上として、これを、炭化タングステン粒子の占める領域の一部と置換すれば、WC系超硬合金の耐酸化性等を向上することができる。また、前記置換粒子の成分は、固化処理中のコバルトまたはコバルト合金の液相に溶融し難い。よって、この成分でなる粉末を“置換原料粉末”として、WC系超硬合金を製造するときに用いる炭化タングステンの原料粉末の一部と置換すれば、前記置換粒子の粒径の調整が容易である。
前記置換原料粉末を利用する場合、炭化タングステンの原料粉末のうちの15体積%以下と置換することが、WC系超硬合金の本来の特性を維持する点で好ましい。また、前記置換原料粉末の粒径は、炭化タングステンの原料粉末のそれと同様、D50の値で0.4〜1.0μmとすることが好ましい。また、前記置換原料粉末を利用して作製したWC系超硬合金においては、その断面組織におけるコバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる炭化タングステン粒子および前記置換粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μmであることが好ましい。
1 コバルトまたはコバルト合金の原料粉末
2 炭化タングステンの原料粉末
3 混合粉末
4 炭化タングステン粒子
5 コバルトまたはコバルト合金の結合相
6 WC系超硬合金

Claims (2)

  1. 炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなるWC系超硬合金において、
    前記WC系超硬合金の硬さが400〜800HVであり、
    前記WC系超硬合金に占める前記コバルトまたはコバルト合金の含有量が35〜50質量%であり、
    前記WC系超硬合金の断面組織における前記炭化タングステン粒子の平均粒径が円相当径で0.4〜1.0μmであり、前記断面組織における前記コバルトまたはコバルト合金の結合相に描くことのできる前記炭化タングステン粒子が含まれない領域の最大内接円の直径が5〜30μmであることを特徴とするWC系超硬合金。
  2. 炭化タングステン粒子がコバルトまたはコバルト合金の結合相で結合されてなるWC系超硬合金の製造方法において、
    積算値が50%のときの平均粒子径であるD50が1〜50μmのコバルトまたはコバルト合金の原料粉末の表面に、前記D50が0.4〜1.0μmの炭化タングステンの原料粉末を付着させた混合粉末を、固化処理することを特徴とするWC系超硬合金の製造方法。
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