JP5893187B2 - 水処理システム - Google Patents
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Description
その一つとして、汚水をリアクタの下部に供給し、上向流で嫌気性微生物層と接触させ、嫌気性微生物群の働きで水処理を行うとする上向流嫌気性汚泥床(UASB:Upflow Anaerobic Sludge Bed)が知られている。
汚水中の有機物の除去を向上させるために、汚水と嫌気性微生物の接触する機会を増加する必要があり、そのため汚水の一部を循環させることにより攪拌効率を向上させ、汚水と嫌気性微生物の接触効率を向上させたシステムが提案されている。
しかし、給水の流量が上がる場合、反応槽内の上昇流速が上昇し、グラニュールの流出の原因となる可能性がある。
これを解決すべく、特許文献1記載の技術は、循環水を処理水と別に引抜く循環配管が設置されており、引き抜いた循環水をリアクタの外部に設置した調整槽に重力で流すようにされている。原水も調整槽に流入されることにより、原水と循環水を混合する。そして、混合水を給水としてリアクタの下部にポンプで供給し、処理水は従来と同様にオーバーフローで流出する構造となっている。
このように原水が循環水引抜管を逆流した場合には、混合水または原水が直接にセパレータに流れこんで、処理されずに流出することとなり、処理水の水質が悪化する可能性がある。
調整タンクは、リアクタの上方に原水を前記リアクタで処理され、セパレータにより分離された処理水の一部である循環水と混合して調整水とし、調整水をリアクタに供給するために貯留する。
供給配管は、調整タンクから調整水を当該調整水の自重によりリアクタの下部に供給すし、循環配管は、ポンプによりセパレータにより分離された処理水の一部である循環水を調整タンクに供給する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の水処理システムの概要構成ブロック図である。
第1実施形態の水処理システム100は、処理対象の原水W1を供給する供給配管1と、原水W1のpH及び温度などを処理に対して好適な状態にするために、後述する循環水W2と混合して調整水WMとする調整を行う原水貯留部分2a及び循環水W2を貯留する循環水貯留部分2bを備えた調整槽2と、原水貯留部分2aの限界水位を検出するレベルスイッチ(LS)3と、原水貯留部分2a内の調整水WM(=W1+W2)を原水貯留部分2aの底部からリアクタ(反応槽)9に供給するための搬送配管4と、を備えている。
隔壁SWの高さは、原水貯留部分2aにおける最大水量時の水面よりも十分に高く設定されている。これにより、循環水W2は、隔壁SWを乗り越えてオーバーフローして原水貯留部分2aに流れ込むが、原水W1及び原水W1の浮遊物等が隔壁SWを乗り越えて循環水貯留部分2b側に流れ込むことはないようになっている。
まず、原水W1は供給配管1によって調整槽2の原水貯留部分2aに供給される。
循環水貯留部分2bに収集された循環水W2は、循環水貯留部分2bからオーバーフローすると、原水貯留部分2aに流れ込んで、原水W1と混合し、調整水WMとなる。このとき、調整水WMは、pH及び温度が原水W1よりも循環水W2に近づくこととなる。
そして、調整水WMは、リアクタ9内で上向きに流される。
この結果、調整水WMは、グラニュール9aを介して、嫌気性微生物と接触し、嫌気性消化プロセスにより処理がなされることとなる。
嫌気性消化プロセスは、実際には、四つの主要ステージで構成されている。
このため、グラニュール9aは、嫌気性消化の4段階に関与する細菌で構成されている。
第1ステージ[加水分解]: 炭水化物、脂肪、および蛋白質は、単純な糖、脂肪酸、およびアミノ酸に分解される。
第2ステージ[酸生成] :第1ステージにおける反応生成物は、さらに小さなコンポーネント(炭酸酸、アルコール、水素、二酸化炭素、アンモニア)に分割される。
第4ステージ[メタン生成]:第4ステージにおいては、第3ステージの反応生成物はメタンと二酸化炭素に変換される。
上記嫌気性消化プロセスにおける一般的なプロセスは、次の化学反応式で表すことができる。
C6H12O6 → 3CO2 + 3CH4
上述したように、リアクタ9内において、嫌気性消化プロセスによりバイオガスが発生するが、バイオガスがグラニュール9aに付着し、グラニュール9aの一部が上昇流に乗って上昇する。
そして、セパレータ8により分離されたバイオガスは、ガス送出配管10によりガス出口まで送出される。
また、セパレータ8に設置された循環配管7を介して、処理水W3の一部は、循環水貯留部分2bに送られ、残った処理水W3は、順次、処理水送出配管11により送出される。
また、循環水W2の供給に伴って、循環水貯留部分2bの底部にグラニュール9bが沈殿した場合には、バルブ5aをオペレータが開状態とし、戻し配管5bを介して、引き抜き、ポンプ6により調整水WMと一緒に流すことで、リアクタ9内に戻されることとなる。
したがって、循環水貯留部分2b及び循環配管7を介して、原水W1及び調整水WMがリアクタ9内のセパレータ8内に直接逆流することがなく、逆流に起因して処理水W3の水質が悪化することがない。
図2は、第2実施形態の水処理システムの概要構成ブロック図である。図2において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第2実施形態の水処理システム200は、処理対象の原水W1を供給する供給配管1と、原水W1のpH及び温度などを処理に対して好適な状態にするために後述する循環水W2と混合して調整水WMとする調整を行う原水貯留部分2a及び循環水W2を貯留する循環水貯留部分2bを備えた調整槽2と、原水貯留部分2aの限界水位を検出するレベルスイッチ(LS)3と、原水貯留部分2a内の調整水WM(=W1+W2)を原水貯留部分2aの底部からリアクタ(反応槽)9に供給するための搬送配管4と、を備えている。
本第2実施形態においても、隔壁SW1の高さは、原水貯留部分2aにおける最大水量時の水面よりも十分に高く設定されている。これにより、循環水W2は、隔壁SW1を乗り越えてオーバーフローして原水貯留部分2aに流れ込むが、原水W1及び原水W1の浮遊物等が隔壁SWを乗り越えて循環水貯留部分2b側に流れ込むことはないようになっている。
まず、原水W1は供給配管1によって調整槽2の原水貯留部分2aに供給される。
したがって、循環水W2とともにセパレータ8から循環水貯留部分2bに引き出されて浮遊しているグラニュール9bがある場合でも、確実に堆積させて、バルブ5a及び戻し配管5bを介して、リアクタ9に戻してグラニュール9bの再利用を効率的に行える。
図3は、第3実施形態の水処理システムの概要構成ブロック図である。図3において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第3実施形態の水処理システム300は、処理対象の原水W1を供給する供給配管1と、原水W1のpH及び温度などを処理に対して好適な状態にするために後述する循環水W2と混合して調整水WMとする調整を行う原水貯留部分2a、循環水W2を貯留する循環水貯留部分2b及び原水調整部分2cを備えた調整槽2と、原水貯留部分2aの限界水位を検出するレベルスイッチ(LS)3と、原水貯留部分2a内の調整水WM(=W1+W2)を原水貯留部分2aの底部からリアクタ(反応槽)9に供給するための搬送配管4と、循環水貯留部分2b内にリアクタ9から供給された循環水W2とともに搬送された嫌気整備生物群を含むグラニュール(グラニュール層)9bを搬送配管4を介して再びリアクタ9に戻す際に開状態とされるバルブ5a及び戻し配管5bを有する引抜配管5と、を備えている。
ここで、隔壁SW11の高さは、原水貯留部分2aにおける最大水量時の水面よりも十分に高く設定されている。これにより、原水調整部分2cに供給された原水W1は、当該原水W1に含まれるスラッジやゴミ(例えば、石、流木など)が沈殿させられた後に、隔壁SW11を乗り越えてオーバーフローして原水貯留部分2aに流れ込むが、原水W1及び原水W1の浮遊物等が隔壁SW11を乗り越えて原水貯留部分2a側に流れ込むのを抑制することができるようになっている。
まず、原水W1は供給配管1によって調整槽2の原水調整部分2cに供給された原水W1は、当該原水W1に含まれるスラッジやゴミが沈殿させられた後に、隔壁SW11を乗り越えてオーバーフローして原水貯留部分2aに供給される。
また、原水調整部分2c内に原水W1とともに導入されたスラッジ12が原水調整部分2cの底部に堆積した場合には、バルブ13が開状態とされて、自重により、あるいは、図示しないポンプを接続して、排出配管14を介して、スラッジ12を原水調整部分2c外に排出する。
以上の説明は、第1実施形態の水処理システムに、原水調整部分2cを設けた構成となっていたが、第2実施形態の水処理システムに同様に原水調整部分2cを設けるように構成することも可能である。
図4は、第4実施形態の水処理システムの概要構成ブロック図である。
第4実施形態の水処理システム400は、処理対象の原水W1を供給する供給配管1Bと、供給配管1Bを介して供給された原水W1を貯留する原水タンク21と、原水タンク21に貯留された原水W1を原水W1の自重により調整タンク23に供給する供給配管22と、原水W1のpH及び温度などを処理により好適な状態にするために後述する循環水W2と混合して調整水WMとする調整を行う調整タンク23と、を備えている。
したがって、原水W1及び調整水WMがリアクタ28内のセパレータ27内に直接逆流することがなく、逆流に起因して処理水W3の水質が悪化することがない。
まず、原水W1は供給配管1Bによって、原水タンク21に供給される。
これにより、原水タンク21は、供給配管1Bを介して供給された原水W1を貯留する。
原水タンク21に貯留された原水W1を原水W1の自重により供給配管22を介して、調整タンク23に供給される。
これにより、調整タンク23内では、原水W1のpH及び温度などを処理に対して好適な状態にするために循環水W2と混合して調整水WMとする調整がなされる。
この結果、リアクタ28では、調整水WMをグラニュール28aと接触させて嫌気消化を行わせる。
そして、セパレータ27により分離されたバイオガスは、ガス送出配管29によりガス出口まで送出される。
以上の説明のように、各実施形態によれば、極力、ポンプなどの使用を避けて水処理システムを構築しているので、開発途上国等のように電源供給インフラなどのインフラが整備されていない場所に設置される水処理システムであっても、循環水引抜管への原水の逆流を避けるとともに、原水流量の変動、特に原水流量の急激な増加に対して順応力を高めることが可能となる。
[6]実施形態の変形例
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
2 調整槽
2a 原水貯留部分
2b 循環水貯留部分
2b−1 第1循環水貯留部分
2b−2 第2循環水貯留部分
2c 原水調整部分
3 レベルスイッチ
4 搬送配管
5 引抜配管
5a バルブ
5b 配管
6 ポンプ
7 循環配管
8 セパレータ
9 リアクタ
9a グラニュール
9b グラニュール
W3 処理水
10 ガス送出配管
11 処理水送出配管
12 スラッジ
13 バルブ
14 排出配管
21 原水タンク
22 供給配管
23 調整タンク
24 供給配管
25 循環配管
26 ポンプ
27 セパレータ
28 リアクタ
28a グラニュール
29 ガス送出配管
30 処理水送出配管
SW11 隔壁
SW12 隔壁
100 水処理システム
200 水処理システム
300 水処理システム
400 水処理システム
SW、SW1、SW2、SW12 隔壁
SW11 隔壁(原水隔壁)
W1 原水
W2 循環水
WM 調整水
Claims (2)
- 処理対象の原水を嫌気性微生物群により嫌気性処理するリアクタと、前記リアクタにおいて得られた処理水とバイオガスとを分離するセパレータと、を備えた水処理システムにおいて、
前記リアクタの上方に前記原水を前記リアクタで処理され、セパレータにより分離された処理水の一部である循環水と混合して調整水とし、前記調整水を前記リアクタに供給するために貯留する調整タンクを有し、
前記調整タンクから前記調整水を当該調整水の自重により前記リアクタの下部に供給する供給配管と、
ポンプにより前記セパレータにより分離された処理水の一部である循環水を前記調整タンクに供給する循環配管と、
を備えた水処理システム。 - 前記原水を当該原水の自重により前記調整タンクに供給するために貯留する原水タンクを備えた、
請求項1記載の水処理システム。
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