JP5892596B2 - 繭を用いた汚染物質除去装置 - Google Patents

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Description

本発明は,繭を用いた汚染物質除去装置及び方法に関するものである。特に詳しく説明すると,本発明は,繭やシルクフィルタを用いた,放射性物質などの汚染物質を除去するための装置及び方法に関するものである。
様々な技術分野において,汚染物質を除去する試みがなされている。特に食物が放射性物質に汚染されないよう,田畑から放射性物質を除去することは重要である。
特表2008−510903号公報には,繭から汚染物質を除去する工程が開示されている。
特表2008−510903号公報
本発明は,汚染物質を効果的に除去する装置や方法を提供することを目的とする。本発明は,特に放射性物質を効果的に除去する装置や方法を提供することを目的とする。
本発明は,繭やシルク,及び繭に封入されたゼオライトが放射性物質などの汚染物質を効果的に除去でき,しかも繭内にコンポスト等を封入することで,処理が容易となるという知見に基づくものである。
本発明の第1の側面は,繭11を含む汚染物質の除去装置1に関する。上述したとおり,繭11を用いることで汚染物質を効果的に除去できる。汚染物質の除去装置1は,繭11を有するので,特に放射性セシウムを含む放射性物質を効果的に除去できる。
本発明の好ましい態様は,繭11が,ゼオライト21を内部に含むものである。ゼオライト21は,汚染物質の除去効果を有するものの,そのまま散布すると田畑をドロドロした状態に変えてしまう。本発明では,ゼオライト21が,繭内に収容されているため,繭を回収することで,ゼオライトをも回収できる。よって,繭とゼオライトの汚染物質を除去する機能を発揮しつつ,ゼオライトによる田畑のダメージを防止できる。
本発明の好ましい態様は,繭11が,コンポスト22及び粘土23を更に含む。コンポストには,田畑の育成に好ましい微生物が多数含まれるため,この除去装置を用いた場合に,田畑の育成に好ましい影響を与えることができる。また,この態様は,粘土を含むので,ゼオライトの溶出を好ましく防止できる。さらに,コンポスト22により,繭11を使用した後に,繭11を分解し易い。さらに,繭11は,粘土23と合わせて浄化土壌として再利用することもできる。
本発明の好ましい態様は,繭11を収容する篭31を更に含む。篭31を有するため,繭が田畑へ出ていく事態を効果的に防止できる。また,篭31がメッシュ状の面を有するため,篭内外に液体の授受を可能にしつつ,繭11が篭から出る事態を防止できる。また,例えば,篭31のメッシュに絹を用いることで,汚染物質の除去機能を高めることもできる。
本発明の好ましい態様は,篭31は,発酵液及び柿酢液の何れか又は両方を篭内部に徐々に放出するための徐放装置32をさらに含む。発酵液には,微生物が多く含まれるため,田畑の成長を促進できる。柿酢液はカリウムを多く含む。カリウムは,セシウムと同じアルカリ金属である。このため,仮に田畑で採れる米や果実にセシウムが吸収されることとなった場合に,放射性セシウムではなく通常の柿酢液由来のカリウムが吸収されることで,米や果実に吸収される放射性セシウムの量を減少させることができる。
本発明の好ましい態様は,シルクフィルタを有する第1のろ過部41と,第1のろ過部41においてろ過が行われた液を,さらにろ過するための第2のろ過部42とを含み,第2のろ過部42は篭31を含む。シルクフィルタで,放射性セシウムを除去した後に,先に説明した繭玉を用いることで,より効果的に放射性セシウムを除去できる。
本発明の第2の側面は,水田のセシウム除去方法に関する。この方法は,まず,水田内に水を流入するための水田流入口111に設置されたシルクフィルタを有する第1のろ過部41により,水中に含まれる放射性セシウムの一部を除去する(第1のろ過工程)。そして,次に,第1のろ過部41においてろ過が行われた水を,繭11を内部に有する篭31を含む第2のろ過部42により,さらにろ過する(第2のろ過工程)。ここで,繭11は,ゼオライト21を内部に含む。この方法は,先に説明した装置を用いた水田のセシウム除去方法である。
本発明の第3の側面は,果樹畑のセシウム除去方法である。この方法は,ゼオライト21を内部に含む繭31を果樹畑に散布する工程を含む。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,さらに発酵液及び柿酢液の何れか又は両方を果樹畑に散布する工程と,果樹畑に散布した繭31を回収し,新たな繭であって内部にゼオライトを含むものを散布する工程とを更に含む。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,回収した繭31を発酵液を含む液に浸漬する工程を更に含む。このようにすれば,繭31を分解し,浄化土壌として再利用できる。
本発明によれば,繭を用いることで汚染物質を効果的に除去する装置や方法を提供することができる。本発明によれば,繭を用いることで特に放射性物質を効果的に除去する装置や方法を提供することができる。
図1は,本発明の装置を説明するための概念図である。 図2は,繭を示す概念図である。
以下,図面を用いて本発明を説明する。先に説明したとおり,本発明の第1の側面は,繭11を含む汚染物質の除去装置1に関する。繭11を用いることで汚染物質を効果的に除去できる。汚染物質の除去装置1は,繭11を有するので,特に放射性セシウムを含む放射性物質を効果的に除去できる。図1に示される通り,この装置は,繭11を含む。図1は,この装置1を水田に設置した際の様子を示す。
この例では,水路110を流れる水の一部が水田流入部111から水田112へと侵入する。そして,水田112から水田流出部112を経て,別の水路110から放出される。
図2は,繭を示す概念図である。図2に示されるように,本発明の好ましい態様は,繭11が,ゼオライト21を内部に含むものである。ゼオライト21は,汚染物質の除去効果を有するものの,そのまま散布すると田畑をドロドロした状態に変えてしまう。本発明では,ゼオライト21が,繭内に収容されているため,繭を回収することで,ゼオライトをも回収できる。よって,繭とゼオライトの汚染物質を除去する機能を発揮しつつ,ゼオライトによる田畑のダメージを防止できる。
ゼオライトは,公知の物質である。本発明は,公知のゼオライトを適宜用いることができる。ゼオライトの例は,X型ゼオライト,Y型ゼオライト,モルデナイト,ZSM型ゼオライト等の合成ゼオライトや天然ゼオライトが使用できる。ゼオライトの例は,超安定化Y型ゼオライト(USY),レアアース交換Y型ゼオライト(Rare
Earth exchanged Y zeolite。REY),レアアース交換超安定化Y型ゼオライト(Rare Earth exchanged USY。REUSY)である。超安定化Y型ゼオライトは,Y型ゼオライトを水熱処理等の脱アルミニウム処理することで製造できる。また,レアアース交換Y型ゼオライトは,一部がレアアースで交換されたY型ゼオライトであり,Y型ゼオライトに,例えば,塩化レアアース水溶液を含浸し,イオン交換によってレアアースを担持させて製造することができる。レアアース交換超安定化Y型ゼオライトは,一部がレアアースで交換されたUSYゼオライトであり,超安定化Y型ゼオライトに,例えば,塩化レアアース水溶液を含浸し,イオン交換によってレアアースを担持させて製造することができる。なお,レアアース(希土類元素。以下,「RE」ともいう)とは,スカンジウム,イットリウム,及び,ランタノイドの17元素の総称であって,本発明では,その内のいずれか1又は2以上が使用され,特に,ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,サマリウムが好適に使用される。
本発明の好ましい態様は,繭11が,コンポスト22及び粘土23を更に含む。コンポストには,田畑の育成に好ましい微生物が多数含まれるため,この除去装置を用いた場合に,田畑の育成に好ましい影響を与えることができる。また,この態様は,粘土を含むので,ゼオライトの溶出を好ましく防止できる。さらに,コンポスト22が次第に繭11を分解するので,除染後に繭11を浄化土壌として利用できる。
繭は,天然の蚕の繭を用いることが好ましい。蚕の繭の一部を切り出し,さなぎを取り出す。その後,切り出した部分から,内容物(例えば,ゼオライト,コンポスト及び粘土)を入れる。その後,例えば切り出した繭の一部でふたをする。ふたをした繭を1日から10日(例えば5日)発酵液(又は発酵液と柿酢液)に漬ける。このようにして本発明において用いられる繭を製造できる。内容物の例は,ゼオライト,コンポスト及び粘土を1:1:1の重量比で含むものである。これらの重量比は適宜変更することができる。
発酵液は,植物由来の成分(例えば,果実,稲,茎,草,根,花,及び米)又は動物由来の成分(例えば,牛乳,魚,及び骨)を発酵させて得られる液である。発酵液は,公知である。
柿酢は,例えば特許第4294249号公報に開示される通り公知である。柿酢液は,柿酢を適宜薄めた液体であってもよい。
本発明の好ましい態様は,繭11を収容する篭31を更に含む。篭31を有するため,繭が田畑へ出ていく事態を効果的に防止できる。また,篭31を形成するメッシュを特殊なものとすることで,汚染物質の除去機能を高めることもできる。
篭は,例えば,金網製のものであってもよい。篭の各面は,複数の篭穴が設けられる。篭の上面には,ふたが設けられ,篭の上面を開閉できるようにされているものが好ましい。そして,複数の繭11が網状の袋にいれられ,繭を収容した袋が1〜数個程度(例えば2,3,4又は5個),篭31に収容される。
本発明の好ましい態様は,篭31は,発酵液及び柿酢液の何れか又は両方を篭内部に徐々に放出するための徐放装置32をさらに含む。徐放装置32の例は,点滴装置である。点滴装置は,例えば,先端部と液収容部とを有するもので,先端部に穴を有する。その穴を通じて,液収容部に収容された液が少しずつ放出される。発酵液には,微生物が多く含まれるため,田畑の成長を促進できる。柿酢液はカリウムを多く含む。カリウムは,セシウムと同じアルカリ金属である。このため,仮に田畑で採れる米や果実にセシウムが吸収されることとなった場合に,放射性セシウムではなく通常の柿酢液由来のカリウムが吸収されることで,米や果実に吸収される放射性セシウムの量を減少させることができる。
本発明の好ましい態様は,シルクフィルタを有する第1のろ過部41と,第1のろ過部41においてろ過が行われた液を,さらにろ過するための第2のろ過部42とを含み,第2のろ過部42は篭31を含む。シルクフィルタで,放射性セシウムを除去した後に,先に説明した繭玉を用いることでより効果的に放射性セシウムを除去できる。
シルクフィルタは,天然絹又は人口絹をろ過用の線維として含むフィルタである。シルクフィルタの例は,絹の塊,繭をある程度伸ばした状態のもの,又はシルクけばを,ろ過用線維として含むものである。具体的なシルクフィルタの例は,2枚の金網の間にシルクけばや絹の塊を挟んだものである。
本発明の第2の側面は,水田のセシウム除去方法に関する。この方法は,まず,水田内に水を流入するための水田流入口111に設置されたシルクフィルタ40を有する第1のろ過部41により,水中に含まれる放射性セシウムの一部を除去する(第1のろ過工程)。
水田流入口111は,例えば,U字溝が形成されている。このU字溝は,断面がU字状となっている溝である。そして,たとえば,水田流入口111の1〜数か所にシルクフィルタが設けられる。U字溝の側壁には,フィルタ差し込み口が設けられ,そのフィルタ差し込み口にシルクフィルタを挿入することで,シルクフィルタを挿入できる。
そして,次に,第1のろ過部41においてろ過が行われた水を,繭11を内部に有する篭31を含む第2のろ過部42により,さらにろ過する(第2のろ過工程)。ここで,繭11は,ゼオライト21を内部に含む。この方法は,先に説明した装置を用いた水田のセシウム除去方法である。
本発明の第3の側面は,果樹畑のセシウム除去方法である。この方法は,ゼオライト21を内部に含む繭31を果樹畑に散布する工程を含む。
この方法の例は,例えば,地表に繭31を散布してもよい。また,地中に繭31を散布してもよい。さらに,地中に複数の繭31を置き,農具(例えば熊手)を用いて地表部分の土と繭31とを混合してもよい。その場合,例えば,地表から20cm(また別の例では地表から10cm)程度の土と繭31とを混合するようにしてもよい。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,さらに発酵液及び柿酢液の何れか又は両方を果樹畑に散布する工程と,果樹畑に散布した繭31を回収し,新たな繭であって内部にゼオライトを含むものを散布する工程とを更に含む。
繭31を回収した後は,例えば,発酵液や柿酢液に使用後の繭31を浸漬することで,繭31を土壌化できる。
実施内容
実施内容;汚染水をシルクけばのフィルター浄化篭(マユ玉にゼオライト,粘土,コンポストを封入)を各々8か所水路に設置し,セシウム低減化と減容化をはかった。
成果目標:汚染水の70%〜90%を除染。汚染篭の60%以上を除染。
実証の進め方(放射性の廃棄物が生じる場合には実施後の処理の方法を含む)
実施の手順,手法:長さ100mの人工水路にフィルタと浄化篭を設置し,月3回3か所で線量を測定した。
放射性廃棄物の処理方法:コンテナに移し,マユ玉と発酵液で除染した。
フィルタにシルクけばを用い,微細孔にセシウムを吸着させた。マユ玉内に天然混合資材を封入し,コンポスト中のバクテリアを用いてマユ玉を分解した。すべて天然除染資材のため土との同化が早く,最終処分も容易であった。
放射性セシウム含有土を採取し,600mm×150mm×80mmの樹脂製ばんじゅうに,50mm厚さに盛った。9月10日から11月10日までは玄関先に,2011年11月11日から2012年2月20日までは福島事業所に保存した。マユ玉数は16粒(毎回)であった。
5日毎に,地上10mmの高さで放射線量を計測した。計測値は,10回計測の平均値を用いた。計測期間は,2011年9月10日から2012年2月20日であった。その結果を表1に示す。
Figure 0005892596
表1に示される通り,マユ玉を用いることで放射性セシウムの線量が減少することがわかる。
次に,水田の浄化を行った。この実施例は,水路を通じ,水によって運ばれ,水田に流入する放射性物質セシウムを流入口で除去するものである。水田流入口には,天然資材のマユ玉(中にゼオライト,コンポスト,粘土を封入)と汚染水浄化篭と特殊加工フィルタを用いた。浄化篭には点滴発酵液と柿酢液を組み込んだ。
水田流入水の取水口にU字溝を設置した。水路からの水はこのU字溝だけを通すようにした。その長さは1から2m,幅は30cm,深さは30cmであった。
長さは,10cm以上5m以下,幅は10cm以上1m以下,深さは5cm以上50cm以下の範囲で適宜変更してもよい。
水田に突き出したU字溝の受け皿は,樹脂製のタフブネ(長さ136cm,幅90cm,深さ20cm)(株式会社三甲製)を用いた。タフブネの中にゼオライトを10cmの厚みで敷きつめた。ゼオライトは粒状(3〜5mm直径)(日東粉化工業株式会社製)を用いた。タフブネの真中までU字溝を伸ばし設置した。U字溝の重みは,タフブネの移動を押えてくれる。タフブネは,取水口のところを約10cm高くし,U字溝の水の流れを良くした。U字溝には複数箇所,例えば,30〜60cm毎に1箇所のフィルタをセットした。フィルタは,けば(生糸くず糸)で作られている物を用いた。このフィルタは,水はけが良く,数億穴があると言われている。けばをワタシ状のものでサンドイッチにしたものをフィルタとして用いた。けばの穴は,セシウムを吸着する能力がずば抜けて優れている。
U字溝の先端には,コンテナ(長さ52cm,幅37cm,深さ30cm)(株式会社三甲製)を2基設置した。コンテナは,フタ付のものを用いた。コンテナ内には,マユ玉(ゼオライト,コンポスト,粘土を封入)を2kg以上入れた。マユ玉は,アミ状の袋に入れると固定する。ゼオライトはセシウムを更に吸着し,コンポストは微生物を増殖させ,活性化させるから,汚染水を浄化し,粘土は放射性セシウムを固着させる働きをする。コンテナを浄化篭とも呼ぶ。
浄化篭のフタの上に,点滴装置を設ける。この装置には,発酵液(土着菌)と柿酢液(柿酢を50倍〜100倍に希釈)を入れた。点滴装置先端を浄化篭上から水田に多少せり出す。発酵液には数億の各種微生物が含まれていて,稲の生育を助長する。稲に栄養素を適度に吸収し易くする環境を作ってくれる。柿酢は,リンゴ酢の約4倍のカリウムを含有している。カリウムは,米粒の充実を計ってくれる。水田にカリウムが不足し,放射性セシウム(カリウムと酷似している分子構造を持つ)が増加すると,稲は根からセシウムを吸い上げる。結果として,線量の高い放射性セシウム米となる。10アール当り発酵液を100リットル,柿酢を1000リットル施用すれば,安心安全な米(放射性セシウム不検出)が収穫できると考えられる。
水田流入水は,天然資材によって放射性セシウムを,U字溝のフィルタと浄化篭によって80〜90%除去できた。残余の10〜20%は水田に流入する。これは,放射性セシウムの4倍以上のカリウムを施用することによって解決できる。本発明によれば,このようにして安全な米を製造できる。
本実施例では,果樹畑の浄化を行った。畑に残留するセシウムは,地表1〜6cmに集中する。一方,果樹の養分吸収細根は,地表3〜10cmに多い。果樹の根からセシウムを吸収させないためには,マユ玉に詰めたセシウム吸着材とカリウムとバクテリアが有効であると考えられる。マユ玉とカリウムとバクテリアの散布を繰り返し行うことにより放射性セシウム除去を目指した。以下,セシウムとは放射性セシウムを指す。
果樹(柿の木に限定して実証する)は,水分吸収を太根で,養分吸収を細根で行なう。柿の実は,細根で育てられ,カリウムによって充実させられる。カリウムが不足すれば,カリウムと分子構造が似ているセシウムを吸収し,果実の充実をはかる。このようにして,セシウムを多く含む柿の実が出現する。
柿の木の除染は,高圧洗浄機で表皮を剥ぎ取ることである。剥ぎ取られた表皮を樹下に残して強いセシウムを保ったままにしておくことが問題であり,セシウム低減除去の解決策が示されていない。セシウムをこのままの状態にしておけば,畑全体に拡散し,土中に永遠に滞留し,柿の実は常にセシウム汚染にさらされることになる。解決策は,柿畑からセシウムを完全に除去することである。
マユ玉(ゼオライト,コンポスト,粘土の混合物を封入し,フタをする。)を柿の木の周り約5〜10m四方に2〜5kgばら撒いた。
マユ玉を,15〜30日に最低1回,熊手状の農具でかき混ぜた。
セシウムを吸着しているマユ玉を1〜2月に1度交換し,これを数回続けた。
マユ玉の線量を定期的に計測し,大気中の線量と同じであれば,マユ玉のばら撒きを中止した。
マユ玉を柿畑にばら撒いた直後に発酵液(土着菌を培養)と柿酢を散布した。柿畑10アール当り合計約1000リットルを目安とした。
発酵液とマユ玉中のコンポストには,バクテリアが数億も存在し,柿の細根からの栄養吸収を助けるので,必ずマユ玉とセットして使用した。
柿酢には,カリウムがリンゴ酢に比べ,約4倍も多く含まれている。柿の根にセシウムを吸わせないため散布した。
このような方法によって柿畑からセシウムは除去され,除染されない柿の木から果実にセシウムが移行することもないし,根からもセシウムを吸収せず,カリウムだけを吸収し,結果として,セシウムの線量未検出の果実が得られた。無添加食品販売協同組合検査センターによるセシウム検出結果を表2に示す。
Figure 0005892596
これは,柿の実が細根から吸収されたカリウムによって充実させられている実証である。このときには,柿の木はいまだ除染されていなかった。
次に使用済み繭を以下のようにして処理した。
マユ玉を使用した柿畑の空地に約1〜3m四方の穴(深さ50cm以上100cm以下)を掘り,厚手の合成樹脂シートを敷いた。シート上にマユ玉を入れ,約10リットル(マユ玉1kgにつき)の発酵液と柿酢を注ぎ水が入らないようにフタをした。この穴には,その柿畑で使用したマユ玉を順次,全部入れ,その都度発酵液と柿酢を注いだ。約6ヶ月でマユ玉そのものは,バクテリアにより分解された。約10ヶ月でセシウム線量は,穴に入れる直前の計測に比べると80%〜90%%低減した。
他果樹畑への適用については,セシウムを果樹畑から除去する手順と方法は,柿畑で実証したのと同様である。また,使用済マユ玉の処理手順も方法も同じである。
ゼオライトは,果樹畑へそのまま散布してはならない。畑が永久にセシウム土に化してしまうからである。ゼオライトを畑に散布し耕作すれば,果樹の実をつけるための細根は表土近くに集中しているので,不作の原因となる。要は,畑にゼオライトを散布し,カリウムを多用する農法は,重大な禍根を後世に残す。これは,絶対に慎まなければならない。
果樹畑のセシウムの除染は,マユ玉と発酵液と柿酢で行われ,果実への放射性セシウムの移行は柿カリウムで阻止できることも実証された。
本発明は,農業用機器の分野において利用され得る。
1 汚染物質の除去装置,
11 繭,
21 ゼオライト, 22 コンポスト, 23 粘土,
31 篭,
40 シルクフィルタ, 41 第1のろ過部, 42 第2のろ過部
110 水路, 111 水田流入部, 112 水田, 113 水田流出部

Claims (4)

  1. 汚染物質の除去装置であって,
    繭(11)と,
    前記繭(11)の内部に収容されたゼオライト(21),コンポスト(22),及び粘土(23)を含み,
    前記繭(11)は,発酵液及び柿酢液が含浸されている
    装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって,
    前記繭(11)を収容する篭(31)を更に含む,
    装置。
  3. 汚染物質の除去装置であって,
    繭(11)と,
    前記繭(11)の内部に収容されたゼオライト(21),コンポスト(22),及び粘土(23)と,
    前記繭(11)を収容する篭(31)と,を含み,
    前記篭(31)は,発酵液及び柿酢液の何れか又は両方の液を篭内部に徐々に放出するための徐放装置(32)をさらに含み,
    前記徐放装置(32)は,
    前記液を収容する液収容部と,
    前記液収容部に収容された前記液を篭内部に放出する穴を有する先端部と,を有する
    装置。
  4. 請求項3に記載の装置であって,
    前記篭(31)は,絹からなるメッシュ部分を含む,
    装置。
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