JP5891548B2 - 殺菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機酸を使用した殺菌方法に関する。
従来、食品等の殺菌方法として、酸性又はアルカリ性の殺菌剤やオゾンなどの殺菌剤を使用して化学的に殺菌する方法と、加熱や紫外線の照射により物理的に殺菌する方法とが知られている。しかしながら、殺菌対象を高温にしたり酸性又はアルカリ性の殺菌剤を使用したりすると、対象を変質させるおそれがある。一方で、例えば、加熱の際に殺菌温度を低くしたり、酸性の殺菌剤を使用する際に水素イオン指数(以下、pHと略記する。)を高くしたりすると、十分な殺菌効果が得られない可能性がある。特許文献1は、100℃以上の処理温度を避けつつ、酸性の殺菌剤のpHを比較的高くすることで、食品を保存する方法に関わる。また、特許文献2は、比較的低い温度で食品や調理用器具を殺菌する方法に関わる。
特開平11−313651号公報 特許第3658113号
特許文献1では、100℃未満で食品を加熱しているが、同文献に含まれるいずれの実施例も80℃以上に加熱しており、ある程度高い加熱温度を必要とする。特許文献2では、30〜45℃の温度範囲を採用している一方、濃度1〜5%(w/v)の酢酸を使用しており、pHが比較的低いと考えられる。
本発明の目的は、pHが比較的高い酸性の溶液を用いながら、比較的低温の条件でも殺菌効果を確保できる殺菌方法を提供することにある。
本発明の殺菌方法は、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液及びフマル酸の混合液であって、フマル酸の濃度が0.02%以上であり、酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の濃度がそれぞれ2mM以上であり、pHが3.5〜5.5の範囲内に調整された混合液に物体を浸漬すると共に、前記物体の温度を40℃〜70℃の範囲内として1〜15分間維持する。なお、物体の温度とは、より詳しくは、冷点温度又は中心温度である。
ハクサイにEscherichia coliを接種して行う殺菌処理の手順を示すフロー図である。 Escherichia coliに対する有機酸混合液の殺菌値を測定した結果を示すグラフである。
本発明に係る一実施の形態である殺菌方法について説明する。本殺菌方法は、酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の少なくともいずれかとフマル酸との混合液を殺菌剤として用いる。好適には、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液及びフマル酸の混合液を用いる。酢酸緩衝液又は乳酸緩衝液により、混合液の終末pHを調整可能である。本実施形態では、pHの範囲は3.5〜5.5が好ましい。なお、3.5〜4.0の範囲は、殺菌効果上、好ましい。また、殺菌効果と食品自体への酸の影響とのバランスを考慮すると、4.0〜5.0の範囲が好ましい。このような混合液に殺菌対象となる物体を浸漬する。主な殺菌対象は食品であるが、調理器具など、食品以外の物品であってもよい。そして、殺菌対象を浸漬させた混合液を加温することにより、殺菌対象の温度を40℃〜70℃の範囲にして1.5〜15分間維持する。より好適な温度範囲は40℃〜55℃である。生野菜など、加熱処理が施されていない多くの食品において、55℃より高温になると変色したり軟化したりするが、55℃以下であればこのような変化が生じにくいからである。なお、食品によっては、55℃より高温であって70℃付近まで温度を上げても変色等が生じず、むしろ、この温度条件において褐変を防止できる場合がある。温度範囲は、より好適には45℃〜53℃、さらに好適には48℃〜53℃である。15分間も維持しなくても、大抵の場合は10分以内に効果が表れ、多くの場合に5分以内に効果が表れる。
酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の両方を使用する場合には、混合液においてそれぞれの緩衝液の濃度が2mM(ミリモル)以上であることが好ましい。より好適には4mM以上、さらに好適には20mM以上である。また、混合液におけるフマル酸の濃度は0.02%(「%」は重量パーセントを示す。以下、同様である)以上であることが好ましく、より好適には0.04%以上、さらに好適には0.2%以上である。なお、乳酸緩衝液を使用せず、酢酸緩衝液とフマル酸の混合液を使用することでも効果を得られる。また、乳酸とフマル酸の混合液を使用しても効果が得られることから、酢酸緩衝液を使用せず、乳酸緩衝液とフマル酸の混合液を使用しても効果が得られることが類推できる。
以上の条件下で野菜や鶏肉、豚肉製品、加工食品等を殺菌処理することにより、殺菌前に食品に付着していた一般生菌、大腸菌、大腸菌群などの汚染指標菌の数がほぼ100分の1又はそれ以下になる。例えば、一般生菌数の測定値にして10、10、10、又はそれ以上であったものが、ほぼ100分の1又はそれ以下になる。また、大腸菌群や乳糖分解性グラム陰性桿菌の測定値にして10、10、10又はそれ以上であったものが、ほぼ100分の1又はそれ以下になる。さらに、条件によっては1000分の1以下になる場合もある。また、上記条件下の殺菌処理により、サルモネラ属菌、リステリア属菌、腸管出血性大腸菌O157又はカンピロバクター属菌の数がほぼ100分の1又はそれ以下になる。例えば、10以上の接種菌数で殺菌試験をした結果が、1000分の1以下になる。
なお、ブタホルモンなどの肉類については、本実施形態に係る殺菌処理により、硬くなってしまうおそれがある。このような場合に、殺菌後の食品に重曹処理を施すことにより、殺菌処理前と同程度の硬さとすることができる。
以下の実施例において、試料となる食品は、特に断りのない限り、加熱処理が施されていない食品(生野菜など)である。
[実施例1]
(1)有機酸を使用した殺菌剤
フマル酸一ナトリウム塩(東京化成工業株式会社製)、酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液については食品添加物を用いた。濃度1M、pH5.0に調整された酢酸緩衝液、及び、濃度1M、pH5.0に調整された乳酸緩衝液を等量に混合し、その混合液における酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液のそれぞれの終末濃度が0.5Mとなるものを得た。以下、かかる酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の混合液並びに濃度を、0.5M ALB(0.5M Acetate Lactate Buffer)と表記する。この混合液にフマル酸を、濃度が5%になるように添加した混合液を殺菌剤の濃縮原液とした。以下、フマル酸をFrと省略して記載する場合がある。この原液をオートクレーブ(株式会社トミー精工製LBS−325を使用)で高圧滅菌(121℃、15分間)した。滅菌後、滅菌蒸留水で適宜希釈して用いた。例えば、原液を希釈し、Fr濃度が0.2%、ALB濃度が20mMとなるように調整した混合液(以下、0.2%Fr及び20mM ALB混合液などと記載する)を殺菌剤として使用した。
(2)次亜塩素酸ナトリウムを使用した殺菌剤
次亜塩素酸ナトリウム(オーヤラックス株式会社製、6%溶液。以下、次亜Naと記載する。)及び酢酸を、それぞれ滅菌水道水に100ppm及び10mMとなるように添加する。この殺菌剤を使用する際は、本溶液中に試料を接種した後、常温で10分間処理した。殺菌処理後は直ちに10%チオ硫酸ナトリウム溶液を1ml添加して次亜Naを中和し、次いで水道水で試料を十分に洗浄した後、常温で水を十分に切って次亜Na処理試料とした。
(3)Escherichia coli IFO 3972(以下、Ecと記載する。)接種試験
(3−1)殺菌試験
図1に示す手順でハクサイにEcを接種して殺菌試験を行った。まず、ハクサイにおける外層の芯と葉から、25gを1単位として7試料を採取した。7試料のうちの1試料について一般生菌数(Standard Plate Count; 以下、SPCと記載する)及び大腸菌群(Coliform; 以下、CFと記載する)を測定(この結果をAとする)した後、残り6試料にEcを接種した。普通ブイヨンにて新鮮培養のEc菌液1mlを1Lの滅菌蒸留水に接種してEc浮遊液を調製し、浮遊液に試料を浸漬した後、常温で緩やかに撹拌しながら5分間保持した。Ec浮遊液から試料を取り出し、常温で15分間静置して余剰の菌液を除去した後、その1試料のEc菌数をデソキシコレート培地にて測定した(この結果をBとする)。残りの5試料のうちの4試料を次亜Naで処理し、その1試料についてSPC及びCFを測定(この結果をCとする)した後、3試料を0.2%Fr及び20mM ALB混合液に浸漬し、恒温水槽を用いて試料を50℃の状態で5分間維持した。このとき同時に次亜Na処理を行っていない残りの1試料を滅菌蒸留水で同様に加温処理し、これを対照として用いた。殺菌後、試料を水道水で十分に洗浄し、水を切って細菌試験に供した(滅菌蒸留水による殺菌後の試験結果をDとし、Fr及びALB混合液による殺菌後の試験結果をEとする)。
(3−2)細菌試験
細切したハクサイをストマフィルターに無菌的に秤量し、滅菌リン酸緩衝液(0.1M、pH 7.2;以下、同様である)を加えた後、ストマッキング(オルガノ株式会社製EXNIZER400を使用)して10倍乳剤を調製した。これを試料原液として10倍段階希釈し、その1mlを各々標準寒天培地及びデソキシコレート培地に接種した。各寒天培地を35℃で24〜48時間培養し、標準寒天培地については出現したすべての集落を、また、デソキシコレート培地については赤色集落を計測して試料1g中の各細菌数を算定した。
(3−3)試験結果
表1は、細菌試験の結果を示す。数値はいずれも、log/cfu/gである。なお、「<1」は、1未満であることを示す(以下、同様である)。
[実施例2]
ハクサイに次亜Naを使用した予備殺菌を施し、次いで試料を45〜50℃に加温した0.2%Fr及び20mM ALB混合液に浸漬し、3〜5分間、加温処理した。殺菌後、水道水で試料を十分に洗浄し、水を切って実施例1と同様の細菌試験に供した。細菌試験と共に、食品の色調、香り、歯応え等の官能試験も併せて実施した。その結果、予備殺菌前のSPC/CFは、5.6/4.7(log/cfu/g)であったのに対し、殺菌処理後の細菌試験によるSPC/CFは、<2/<2(log/cfu/g)であった。同様の試験を、キャベツ、赤キャベツ、ニンジン、ナスビ、カイワレダイコン、ミズナ、コネギ、オオバ、グリーンアスパラ、モヤシ、オクラ、カット野菜(野菜9種混合)等にも行ったところ、予備殺菌前のSPCが4以上、CFが4以上(いずれもlog/cfu/g)であったものが、殺菌処理後の細菌試験によるSPC/CFは、いずれの野菜に関しても<2/<2(log/cfu/g)となった。
[実施例3]
実施例2と同様の試験をダイコンツマについて行い、官能試験を含めた保存試験を行った。殺菌処理前及び殺菌処理後の各試料を10℃で保存し、1日ごとに試験検査担当者が複数名で細菌試験と官能試験を行った。その結果は表2のとおりである。「D+0」〜「D+4」は、試験初日〜初日から4日後を示す。いずれの数値も3試料の平均値であり、単位はlog/cfu/gである。「○」は正常であることを示し、「×」は鮮度の低下や腐敗臭が感じられたことを示す。「褐変」は、食品が褐色化したことを示す。
[実施例4]
下記の4種類の食中毒菌に関して殺菌試験を行った:腸管出血性大腸菌(以下、EHECと記載する)O157 CE 273,Salmonella spp. serovar Enteritidis IFO 3313(以下、サルモネラ属菌と記載する),Campylobacter jejuni JCM 2013(以下、カンピロバクター属菌),Listeria monocytogenes JCM 7671(以下、リステリア菌と記載する)。試験は、「地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 微生物実験取扱要領」に従い、P1レベル実験室で行った。使用菌株と殺菌対象とした食品の関係は以下のとおりである。
本実施例は、実施例1に準じて行った。各食品は25gを1単位として5試料を採取し、その1試料についてSPC及びCFを測定した後、残り4試料に各食中毒菌を接種した。新鮮培養の各菌液1mlを1Lの滅菌蒸留水に接種して細菌浮遊液を調製し、各食中毒菌浮遊液に試料を接種した後、常温で緩やかに撹拌しながら5分間保持した。各食中毒菌浮遊液から試料を取り出し、常温で15分間静置して余剰の菌液を除去した後、そのうちの1試料の食中毒菌数を各分離培地にて測定した。残りの3試料を次亜Naで処理し、45℃又は50℃に加温した0.2%Fr及び20mM ALB混合液に浸漬して5分間処理した。加温温度は、食品のうち、カイワレダイコン及びソーセージが45℃であり、残りが50℃である。加温処理後、試料を水道水で十分に洗浄し、水を切って食中毒菌試験用の試料とした。
食中毒菌に対する殺菌効果の検定は、実施例2の殺菌試験に準じて行い、分離培地としてO157にはクロモアガーO157 TAM(CHROMagar社(フランス)製)、サルモネラ属菌にはDHL寒天培地(栄研化学株式会社製)、カンピロバクター属菌には微好気培養によるCCDA血液無添加培地(OXOID社(イギリス)製)、リステリア菌にはクロモアガーリステリア(CHROMagar社(フランス)製)をそれぞれ用いた。
本実施例における殺菌処理前のSPC/CF、接種菌数、殺菌処理後のSPC/CF、及び、食中毒菌数は表4のとおりである。数値はいずれも3試料の平均値であり、単位はlog/cfu/gである。
[実施例5]
本実施例では、Fr及びALB混合液を使用して、混合液における最終的なpHをさまざまに調整しつつ殺菌試験を行った。殺菌対象はパプリカである。加温条件は50℃であり、この温度で5分間維持した。この条件下で、次亜Naによる予備殺菌を行わずに、実施例2と同様に殺菌試験及び細菌試験を行った。表5は、この試験における混合液中のFr濃度、ALB濃度、pH及び殺菌処理前後のSPCを示す。なお、殺菌処理後のパプリカの色は、いずれも、わずかに変化するが生食用としてほぼ問題ないか、全く変化しなかった。
[実施例6]
洗浄ブタホルモン50gを1単位として、無処理、薬剤1(0.2%Fr及び20mM ALB混合液)、薬剤2(0.1%Fr及び10mM ALB混合液)、薬剤3(0.05%Fr及び5mM ALB混合液)、薬剤4(0.2%Fr及び20mM ALBCの混合液)、薬剤5(0.1%Fr及び10mM ALBC混合液)、薬剤6(0.1%Fr及び10mM ALBC混合液、ただし、乳酸緩衝液として食品添加物の乳酸及び乳酸ナトリウムを用いたもの)による殺菌試験を行った。なお、「20mM ALBC」とは、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液及びクエン酸緩衝液の混合液であって、各緩衝液の終末濃度が20mMであるものを示す。
ブタホルモン300gを40℃に加温した薬剤3で軽く洗浄し、予め40℃に加温した各薬剤に50gずつ浸漬した後、緩やかに撹拌しながら5分間殺菌処理した。殺菌処理終了後、ブタホルモンをそれぞれ水道水で十分に洗浄し、水を切って細菌試験の試料とした。各試料を無菌的に細切りし、その25gをストマフィルターに秤量した後、滅菌リン酸緩衝液を加えて10%乳剤を調製した。各乳剤を3管法による最確数法によって試料100g中のEc菌数及びClostridium perfringens(以下、Cpと記載する。)菌数を測定した。Ecの測定にはECブイヨンおよびEMB培地、Cpの測定にはTGC培地およびカナマイシン加卵黄CW寒天培地を用いた。その結果は表6のとおりである。
[実施例7]
実施例6の薬剤4を用いて殺菌処理(処理温度45℃、5分間)し、これを水道水で十分に洗浄した後、水を切って重曹処理を行った。重曹濃度を適宜の濃度とし、ブタホルモンと重曹溶液の比率を1:1の割合で滅菌ビーカー内で混ぜ合わせた後、常温で40分間緩やかに撹拌しながら軟化を試みた。重曹処理後、試料を水道水で十分に洗浄し、水を切った。かかる重曹処理を施した重曹処理試料と、殺菌処理も重曹処理も行わない未処理試料と、殺菌処理後、重曹処理を施さない殺菌処理試料とについて官能試験を行った。その結果、未処理試料を標準とすると、殺菌処理試料は著しく硬かった。一方、重曹処理試料のうち、重曹濃度が比較的低いものについては硬く、重曹濃度が比較的高いものについては顕著に柔らかかった。重曹濃度が高すぎず低すぎず、適度な濃度の重曹で処理した重曹処理試料については、未処理試料とほぼ同程度の硬さだった。
[実施例8]
野菜25gを1試料として5試料を採取し、その1試料についてSPC及び乳糖分解集落(Lactose Positive Clolony;以下、LPCと記載する。)を測定した後、残り4試料の野菜にEcを接種した。新鮮培養のEc菌液を1Lの滅菌蒸留水に10ml接種し、これに各野菜を入れ、5分間常温で撹拌しながら保持した。その1試料について接種Ec菌数を測定した後、残りの3試料を次亜Na溶液に入れ、撹拌しながら常温で5分間保持した後、次亜Na溶液を捨て、等量の次亜Na溶液を添加した。これを再度撹拌しながら常温で5分間保持した後、次亜Na溶液を捨て、滅菌水道水で洗浄した。その1試料を次亜Na処理による除菌効果試験に供した後、酢酸緩衝液(pH5.0)とFrの混合液に接種し、各試料を45〜55℃で1.5〜15分間保持した後、滅菌水道水で洗浄した。試料を細切りしてストマフィルターに入れた後、滅菌蒸留水を225ml加えてストマッキングし、10倍乳剤を調製した。これを試料原液として10倍段階希釈し、その0.1mlを各々標準寒天培地及びデソキシコレート寒天培地の表面に塗抹して培養を行った。その後、両培地について試料1g中の細菌数を算定した。表7及び表8はその結果である。
表7は、殺菌対象(試料)、加温による温度、当該温度に維持した時間、Frの濃度、酢酸緩衝液の濃度、次亜Na処理後の菌数及び殺菌処理後の菌数を含んでいる。表8は、表7の次亜Na処理後の菌数の代わりに、試料における当初の菌数を含んでいる。表8は、次亜Na処理後の菌数を含んでいないが、次亜Na処理による菌数の減少が大抵1/10程度であることと、当初菌数がSPCにおいて10のオーダーであり、LPCにおいて10のオーダーであることから、次亜Na処理後の菌数はSPCにおいて10程度、LPCにおいて10程度であると考えられる。したがって、表8のいずれにおいても、Fr及び酢酸緩衝液を使用した殺菌によって、次亜Na処理後の菌数が1/100以下になったことは明らかである。
[実施例9]
Ecの殺菌に好適な濃度を決定するため、Fr及びALBを種々の濃度に変化させて最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration; 以下、MICと記載する。)を測定した。MICの測定法は、Clinical and Laboratory Standards Institute : CLSI,Approved Standard Eighth ed., Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that, Grow Aerobically. M7-A8, 2009に従った。なお、Fr及びALB混合液の調整法は、実施例1と同様である。
殺菌処理は、恒温水槽(アズワン株式会社製HB−1400)を使用して殺菌温度を保持し、試料を50℃、5分間で加温処理することで行った。最初にFr濃度を固定し、ALB濃度を普通ブイヨンで適宜10倍段階希釈(500mM、100mM、10mM、1mM)あるいは2倍段階希釈(80mM、40mM、20mM、10mM、5mM、2.5mM)し、各希釈液にEcを一定量接種した後、上記の通り加温処理した。加温処理後、試料を37℃で48時間培養してEcに対するMICを測定した。次にALB濃度を固定し、Fr濃度を普通ブイヨンで適宜10倍段階希釈(5.0%、1%、0.1%、0.01%)あるいは2倍段階希釈(0.8 %、0.4 %、0.2 %、0.1 %、0.05 %、0.025 %)し、各希釈液にEcを一定量接種した後、加温処理した。加温処理後、試料を37度で48時間培養してEcに対するMICを測定した。Ecの発育の確認については、目視によりブイヨンが混濁している試料を発育陽性とし、ブイヨンが混濁していない試料については、標準寒天培地に培養して集落形成が確認された試料を発育のエンドポイントとし、集落が確認されなかった試料を発育陰性とした。
試験の結果は表9のとおりである。表9において、「+」は増殖を、「±」はブイヨンが混濁しないが寒天培地で集落形成が確認されたことを、「−」は増殖しないことを示している。Fr濃度を1.0 % に固定した場合、ALB濃度が20mM以上で発育を完全に阻止し、10mMで発育が±、5 mM以下では発育は阻止されなかった。同様にALB濃度を20 mMに固定した場合、Fr濃度が0.2 %以上で発育を完全に阻止し、0.1 %以下では発育が確認された。このため、混合液の好適な濃度は、Frが0.2 %以上、ALBが20 mM以上であると考えられた。
[実施例10]
Ecに対する殺菌値(以下、F値と記載する)を測定した。測定法は、松田典彦、駒木勝:缶・びん詰・レトルト食品・飲料製造講義総論編第4部製造原理第5章微生物3.殺菌値(F). 社団法人日本缶詰協会編集、東京、平成14年5月20日にしたがった。殺菌温度を50℃とし、対照として滅菌蒸留水を用いた。先ずD値(Decimal Reduction Time)を測定するため、新鮮培養のEcを約10cfu/mlになるように0.2%Fr及び20mM ALB混合液中に接種した。接種直後から経時的に菌液を1mlずつ採取し、これに等量の滅菌リン酸緩衝液を添加して酸を中和した後、適宜希釈し、希釈液を標準寒天培地に定量的に接種して生菌数を測定した。その結果により、以下の計算式からF値を算定した。なお、Dとは、一定温度において生菌数を10分の1に減少させるために必要な時間で、Aは殺菌開始時の生菌数、Bは生菌数100cfu/mlである。
F=D(logA−logB)
図2は、殺菌温度を50℃としたときのEcの増殖曲線である。殺菌開始時のEc菌数は5.7log/cfu/gであり、有機酸混合液を用いた場合にその菌数を10分の1に低下させるのに要する時間(1D値)は0.536分であった。これらの数値を計算式に当てはめると、F50℃=0.54×5.7=3.06(分)となる。すなわち本試験において、初発菌数5.7log/cfu/gを1log/cfu/g未満まで低下させるのに3.06分を要することになる。
[実施例11]
皮を剥いたナガイモと皮を剥いた後で短冊状に切断したナガイモとを用意し、65℃、3分間の条件で、0.2%Fr及び20mM ALB混合液による殺菌処理をそれぞれに行った。また、殺菌処理後、それぞれのナガイモを殺菌剤(20ppmアスコルビン酸を加えた0.2%Fr及び20mM ALB混合液)中に密封し、4℃で10日間保存した。また、各段階で官能試験を行った。その結果が表10である。皮を剥いただけのものと短冊状に切断したものとで同様の結果であったため、一方の結果のみ示す。なお、表中の“Fungi”はかび・酵母数を示す。表中のSPC及びFungiのいずれの数値も単位はcfu/gである。「D+0」、「D+5」及び「D+10」は、試験初日、初日から5日後及び初日から10日後を示す。官能試験では、いずれの試験区においても歯応えが良好であり、表面は白色で褐変はみられなかった。
[参考例1]
表11は、酢酸緩衝液の代わりに酢酸又は乳酸を使用して実施例8と同様の殺菌処理試験を行った結果を示し、殺菌対象(試料)、加温による温度、当該温度に維持した時間、Frの濃度、酢酸又は乳酸の濃度、Ec接種菌数、次亜Na処理後の菌数及び殺菌処理後の菌数を含んでいる。なお、4つの試験のうち、下2つは、次亜Naによる予備殺菌を行っていない。

Claims (5)

  1. 酢酸緩衝液、乳酸緩衝液及びフマル酸の混合液であって、フマル酸の濃度が0.02%以上であり、酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の濃度がそれぞれ2mM以上であり、pHが3.5〜5.5の範囲内に調整された混合液に物体を浸漬すると共に、前記物体の温度を40℃〜70℃の範囲内として1〜15分間維持することを特徴とする殺菌方法。
  2. 前記混合液において、前記フマル酸の濃度が0.2%以上であり、前記酢酸緩衝液及び乳酸緩衝液の濃度がそれぞれ20mM以上であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 前記混合液のpHが4.0〜5.0の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の殺菌方法。
  4. 前記混合液に浸漬した後の物体に付着した汚染指標菌数を前記混合液に浸漬する前と比べてほぼ100分の1又はそれ以下にすることが可能な条件下で実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  5. 前記混合液に浸漬した後の物体に付着したサルモネラ属菌、リステリア属菌、腸管出血性大腸菌O157及びカンピロバクター属菌のうちの少なくともいずれかを前記混合液に浸漬する前と比べてほぼ100分の1又はそれ以下にすることが可能な条件下で実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺菌方法。
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JP4073119B2 (ja) * 1999-06-01 2008-04-09 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 食品保存剤

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