JP5887035B2 - 蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル - Google Patents

蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル Download PDF

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Description

本発明は、蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネルに関し、より詳細には、蓄熱剤としてパラフィンを利用する場合、所望の蓄熱特性を確保しつつ、蓄熱剤の熱膨張および/または熱収縮に伴う内圧変動に対して構造健全性を保持することが可能な一体ブロー成形品の蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネルに関する。
従来から、樹脂製蓄熱ボードが、たとえば建築構造物等に埋め込んで、暖房パネルとして用いられている。
特許文献1および特許文献2は、その例として蓄熱ボード体を開示する。
特許文献1によれば、蓄熱ボード体は、蓄熱剤として硫酸ナトリウムを採用し、蓄熱剤を充填するのに、樹脂製パネルを採用し、一方特許文献2によれば、蓄熱ボード体は、蓄熱剤として、グリコール類を採用し、蓄熱剤を充填するのに、樹脂製パネルを採用する。
より詳細には、両者共通に、多数の凹部を有する板状の樹脂製パネル材を2枚、各々のパネル材の凹部の底面同士を突き合わせて融着するとともに、各々の樹脂製パネル材の表面に樹脂製表面シート材を融着して、2枚の樹脂製パネル間の縁部を封止することにより、蓄熱剤を充填する密閉中空部を形成している。
しかしながら、硫酸ナトリウムは、他の蓄熱剤に比べて、蓄熱性が高くなく、その分、蓄熱剤の充填量を多くするために、容器の高さを確保すべく凹部の高さを増したり、凹部の数を低減する必要があるが、これらは容器の強度、特に圧縮強度の低減につながる。一方、グリコール類は高温での保形性が悪く、さらに繰り返しの使用によって蓄熱量が低下し易いため所望の蓄熱量を得るために蓄熱剤の充填量を多くしておく必要があるため、同様に容器の強度、特に圧縮強度の低減につながることとなる。
この点、特許文献3には、パラフィンを用いた恒温輸送用樹脂製容器が開示されている。
より詳細には、恒温輸送用樹脂製容器は、フッ化処理された高密度ポリエチレン製であり、2つの容器部品を締め付け方式または施錠方式で連結することにより、パラフィンを収容するための収容空間が形成される。
パラフィンは、硫酸ナトリウムの約1.4倍の蓄熱性を有する反面、凝固温度が3〜35℃の範囲にあり、無機水和塩からなる蓄熱剤と比べ体積変化率が2〜10倍で極めて高い熱膨張率を有し、容器の使用中に、液相と固相との間で相変化を繰り返すところ、容器内の内圧変動幅が大きくなる。
そのため、単に樹脂製の容器を用いる場合、特に結晶性樹脂、たとえば高密度ポリエチレンの容器を用いると、パラフィンが容器の厚み方向に浸透して漏れ出し、所望の蓄熱特性を奏することが困難となったり、あるいは容器の使用中に、パラフィンの熱膨張収縮に起因して、容器が変形、場合により破損することがある。
この点から、特許文献3において、恒温輸送用樹脂製容器を製造するのに、容器の表面に表面保護皮膜を形成し、それによりパラフィンを不浸透性としており、2つの容器部品を締め付け方式または施錠方式で連結することと相まって、単純な構成の容器となっていない。
これに対して、蓄熱剤としてパラフィンを用いる場合、パラフィンをたとえばゴムあるいは合成樹脂に練り込み、板状に成形したものをアルミラミネートフィルムで被覆するものが知られている(例えば、特許文献4)。
アルミラミネートフィルムは、金属製であるから、樹脂製容器とは異なり、パラフィンの漏れ出しを防止することが可能である。
しかしながら、このような容器は、以下の技術的問題点を有する。
すなわち、所望の強度特性を具備した蓄熱ボードを提供することが困難である。より詳細には、板状の成形体を単にアルミラミネートフィルムで被覆したに過ぎないため、成形体の強度、特に厚み方向の圧縮強度を確保することが困難であり、そのために、強度が必要となる場合、別途成形体を収容する容器が必要となる。
この点において、パラフィンの長所である優れた蓄熱特性を生かしつつ、パラフィンの短所である体積変化に起因する内圧変動又は膨張変形に対して、所望の強度特性を具備した蓄熱ボードの実現が要望されている。
この場合、薄板状の蓄熱ボードを複数準備し、それを厚み方向に積み重ねて用いるとすれば、1つ1つの蓄熱ボードの構造健全性に対して影響は与えないものの、厚み方向に隣接する蓄熱ボード間での熱損失が大きく、蓄熱特性としての利点が小さくなる。
一方、従来このような樹脂製蓄熱ボードは、たとえば、いわゆるプラ段により製造されていたところ、そのためにパネルの端面処理が別途必要であり、このような端面処理を不要とするブロー成形による樹脂製蓄熱ボードの実現も要望されている。
この点に関し、所望の蓄熱あるいは放熱特性を得るのに、パラフィンの充填量に応じて、蓄熱ボードの使用中におけるパラフィンの温度変動幅が決定される。つまり、パラフィンの充填量が多ければ、熱容量が大となるので、その分、温度変動幅が狭まり、一方パラフィンの充填量が少なければ、熱容量が小となるので、その分、温度変動幅が拡がる。
この点、パラフィンの充填量は、蓄熱ボード内の中空部の容積に依存するところ、蓄熱ボードの平面部の面積は、伝熱面積として機能するので、蓄熱ボードの嵩を調整することにより中空部の容積を増減させるとすれば、蓄熱ボードのブロー成形性に影響を与える。より詳細には、蓄熱ボードを2枚の対向する樹脂製板材の周縁同士を溶着する形態でブロー成形するとすれば、蓄熱ボードの嵩(厚み)は、それぞれの樹脂製板材の側周面の高さにより決定されるので、嵩が高いほど、ブロー比が高くなり、樹脂製板材の板厚が不均一になる等成形性に悪影響を与える。
それに対して、パラフィンの温度変動幅は、蓄熱ボードの構造健全性に対して影響を及ぼす。
より詳細には、パラフィンの高い体積変化率に起因して、蓄熱ボードの平面部には、繰り返し内圧変動負荷が加わり、時間経過とともにいわゆるストレスクラックによる割れが生じる可能性があり、特に結晶性樹脂に比べて、非晶性樹脂の場合には、このストレスクラックが生じる傾向が高い。この場合、蓄熱ボードの中空部に液体パラフィンを充填し、内部で固化してから中空部を密閉するのが通常であり、この意味において、中空部内の空気の内圧が蓄熱に伴う液体パラフィンの温度上昇とともに増大し、蓄熱ボードの平面部は、外方に膨らむ変形を受け、一方放熱に伴う液体パラフィンの温度低下、特に冬場の場合には、内部空気の温度低下も加わり、中空部内の空気の内圧が低下して、蓄熱ボードの平面部は、内方に収縮する変形を受け、このようなサイクルの繰り返しにより、蓄熱ボードの平面部にはストレスクラックによる割れが生じる可能性がある。
一方、このような内圧変動の繰り返しでなく、特に液体パラフィンの初期の熱膨張により非晶性樹脂固有の引張強度を超えることにより、蓄熱ボードに割れが生じる場合もある。このような割れも結晶性樹脂に比べて非晶性樹脂に生じやすい。
以上のように、蓄熱剤として蓄熱特性に優れるパラフィンを用い、パラフィンの高い浸透性に対処すべく蓄熱ボードの材料として非晶性樹脂を用いた場合には、成形性および構造健全性という特有の技術的課題が生じるところ、ブロー成形による一体成形の非晶性樹脂製蓄熱ボードにおいて、所望の蓄熱あるいは放熱特性を達成するに際し、ブロー成形による良好な成形性を確保しつつ、パラフィンの内圧変動に対する構造健全性を維持することが業界内で要望されている。
特許第4738512号 特開2010−89265 特許第4106032号 特開平05−1283
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、蓄熱剤としてパラフィンを利用する場合、所望の蓄熱特性を確保しつつ、蓄熱剤の熱膨張および/または熱収縮に伴う内圧変動に対して構造健全性を保持することが可能な一体ブロー成形品の蓄熱ボードを提供する。
上記課題を達成するために、本発明の蓄熱ボードは、
密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される一体ブロー成形品の蓄熱ボードであって、
いずれも、非晶性熱可塑性樹脂からなる第1板材および第2板材を有し、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面が形成されるとともに、内部に密閉中空部が構成され、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、内表面側で先細形態で突出するように複数の凹陥部を外表面に有し、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおける前記複数の凹陥部の各々は、先端に突き合わせ平面部を有し、前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの対応する凹陥部同士の突き合わせ平面部が突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成され、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおいて、前記板材の肉厚(t)、前記環状リブの高さ(H)、前記凹陥部の側周面の傾斜角度(α)、および前記突合せ平面部の最大幅(a)との関係において、前記凹陥部の深さ(y)/隣り合う前記凹陥部の前記突合せ平面部間の距離(x)を所定数値範囲内とする、構成としている。
本願発明者は、筒状あるいはシート状の溶融パリソンを用いて一体ブロー成形により、パラフィンを蓄熱剤とする蓄熱ボードを構成する場合、良好な成形性を確保しつつ、蓄熱ボードの使用時におけるパラフィンの固液相間の相変化に伴う内圧変動に起因する壁面の割れを防止するのに有効なパラメータ(凹陥部の深さ(y)/隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離(x))を見出し、本願発明は、それを利用して蓄熱ボードを構成することにより、所望の蓄熱特性を確保しつつ、蓄熱剤の熱膨張および/または熱収縮に伴う内圧変動に対して構造健全性を保持するものである。
より詳細には、非晶性熱可塑性樹脂製である第1板材および第2板材の2枚の板材により蓄熱ボードを構成し、両板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面を形成するとともに、内部に形成される密閉中空部内に流動性パラフィンを充填することにより、パラフィンの蓄熱ボードの厚み方向への浸透による漏れを防止することが可能である。
その際、各板材に対して、内表面側で所定の傾斜角度で先細形態で突出するように複数の凹陥部を外表面に設け、各板材の対応する凹陥部同士の突き合わせ平面部を突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブを形成し、それにより環状リブの突き合わせ平面部を通じて両板材間の溶着面積を増大するとともに、環状リブの側周面を通じてパラフィンの内圧を受ける蓄熱ボードの内表面積を増大することにより、たとえば、液体パラフィンの充填量を高充満率にて密閉中空部内いっぱいに充填しても、板材の肉厚を厚肉化せずに良好な熱伝達特性を維持することが可能である。
反面、非晶性樹脂は、結晶性樹脂に比べて樹脂の粘りが小さく、パラフィンの固液相間の相変化に伴う内圧変動に起因して、蓄熱ボードの構造健全性が損なわれる可能性が高い。
そこで、特に板材の肉厚、環状リブの高さ、凹陥部の側周面の傾斜角度、および突合せ平面部の最大幅との関係において、凹陥部の深さ(y)/隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離(x)(以下、凹陥部のパラメータ比と称する)に注目するものである。
密閉中空部内に充填するパラフィンの充填量が多いほど、密閉中空部内の内部圧力は増大するところ、所望の蓄熱量が得られるだけのパラフィンを充填するために、所定のパネルの厚さ(環状リブの高さ)が必要となることを前提に、その厚さのパネルに所定の充填量のパラフィンを入れた場合に、各厚みのパネルで発生する内圧の繰り返し変動に耐え得るか否かとともに、ブロー成形の際良好な成形性を確保可能か否かの指標として、凹陥部のパラメータ比を所定の数値範囲とするものである。
より具体的には、パラフィンの充填量が一定の場合、凹陥部のパラメータ比が小さ過ぎると、つまり隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離が大きくなると、熱可塑性樹脂製第1板材あるいは熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの外表面における凹陥部の密度が疎となり、外表面における平面部の割合が高くなることから、壁面を構成する熱可塑性樹脂製第1板材あるいは熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの外表面での割れが生じやすくなり、逆に凹陥部のパラメータ比が大き過ぎると、凹陥部の密度は密となるが、ブロー成形の際のブロー比が高くなり、成形不良、たとえば折れ肉の発生が起こってしまうことから、凹陥部のパラメータ比を所定の数値範囲内とすることにより、使用時における壁面の割れが生じない一体ブロー成形の蓄熱ボードを形成することが可能となる。
この場合、蓄熱ボード内部に充填されるパラフィンによる内部圧力は、蓄熱ボードの内表面全体に対して一様に負荷されることから、熱可塑性樹脂製第1板材あるいは熱可塑性樹脂製第2板材の壁面の面積に関わりなく、凹陥部のパラメータ比に注目しさえすれば、内圧の繰り返し変動に伴う壁面での割れを防止し、以て蓄熱ボードの構造健全性を確保することが可能である。
また、前記環状リブは、截頭円錐形状であり、前記側周面の前記突合せ平面部に対する傾斜角度は、5°ないし30°であるのが好ましい。
さらに、前記非晶性熱可塑性樹脂は、引張降伏点強度が30Mpaないし75Mpaであり、前記熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、肉厚が0.5ミリないし2ミリであり、
前記環状リブの高さは、8ミリないし30ミリ、前記凹陥部の深さ/板材の外表面において隣り合う前記凹陥部の前記突合せ平面部間の距離が、0.4ないし0.7、前記突合せ平面部の最大幅が、2ミリないし7ミリであるのがよい。
さらにまた、前記非晶性熱可塑性樹脂のMFR値(230℃、2.16kg)は、0.3ないし1.5g/minであるのがよい。
加えて、前記流動性パラフィンは、固化時に前記密閉中空部内の容積に対して80〜95%の充填率にて充填されるのがよい。
さらに、前記非晶性樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体であるのがよい。
さらにまた、前記複数の凹陥部はそれぞれ、所定の放熱性を確保するように所定面積を有する側周面と、所定の蓄熱量を確保するように所定内容積を有するのがよい。
上記課題を達成するために、本発明の暖房パネルは、
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太とを有する構成としている。
上記課題を達成するために、本発明の暖房パネルは、
放熱体を有する放熱パネルと、
該放熱パネルの厚み方向に重ね合わされた請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、
重ね合わされた該放熱パネルおよび該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太と、を有する構成としている。
上記課題を達成するために、本発明の蓄熱ボードは、
密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される一体ブロー成形品の蓄熱ボードであって、
いずれも、非晶性熱可塑性樹脂からなる第1板材および第2板材を有し、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面が形成されるとともに、内部に密閉中空部が構成され、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、内表面側で先細形態で突出するように複数の凹陥部を外表面に有し、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおける前記複数の凹陥部の各々は、先端に突き合わせ平面部を有し、前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの対応する凹陥部同士の突き合わせ平面部が突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成され、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおいて、前記突合せ平面部の最大幅を2ミリないし7ミリ、前記凹陥部の深さ/隣り合う前記凹陥部の前記突合せ平面部間の距離を0.4ないし0.7とする、構成としている。
本発明に係る蓄熱ボード10の実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
蓄熱ボード10は、図1及び図2に示すように、全体として矩形形状の薄板状であり、樹脂製第1板材102と、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104とを有し、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を溶着することにより、側周面106が形成されて、内部に中空部108が構成される。後に説明する蓄熱剤を中空部108内に充填するのに、側周面106に充填剤の注入口109が設けられる。
より詳細には、後に説明するように、蓄熱ボード10をブロー成形により成形する際、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を溶着して、側周面106を形成した後、側周面106に開口を設けて、中空部108内に蓄熱剤を充填後に、注入口109を溶着して封止するようにしている。
なお、注入口109を側周面106でなく、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104いずれかの表面に設けてもよく、充填する蓄熱剤の量、内部圧力に応じて、封止した注入口109からの蓄熱剤の漏れ出しの恐れがある場合には、キャップ式を採用すればよい。
蓄熱剤は、流動性パラフィンであるが、流動性パラフィンは、蓄熱性に優れる反面、浸透性が高く、温度による体積変化が大きく、このような特性に対処するために、以下のような樹脂材料を採用している。
樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104を構成する材料は、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリペルフロロアルコキシフッ化プラスチック、ポリクロロトリフルオロエチレン、フェノール樹脂等の合成樹脂、特にABSなどの非晶性樹脂が好適である。
板材の強度あるいは剛性を向上するために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を添加してもよく、熱線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤を添加してもよい。
また、後に説明する溶融状態の筒状パリソンを用いてブロー成形により成形する際、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が、0.3ないし1.5g/minのものがよい。
なお、後に詳細に説明するように、パラフィンの相変化に伴う内圧の繰り返し変動に起因して、蓄熱ボード10の壁面、すなわち樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104の外表面は繰り返し変形し、それによる経時劣化により壁面に割れ(ストレスクラック)が生じ得るが、これは非晶性樹脂に特有の技術的問題点である。このような壁面の割れを発生しにくくする観点から、パラフィンを密閉中空部内に充填する際、固化時に密閉中空部内の容積に対して80〜95%の充填率にて充填するのがよい。
より詳細には、蓄熱量が一定の場合、パラフィンの充填量が多いほど、パラフィンの温度変動幅を制限することが可能であるから、密閉中空部の容積が一定、つまり蓄熱ボードの嵩(厚み)が一定の条件下では、充填率が高いほど、温度変動幅を制限することが可能であり、それによりパラフィンの相変化に伴う熱膨張、熱収縮を抑制し、以て密閉中空部内の内圧変動幅を制限し、それに起因する壁面の割れを抑制することが可能である。
たとえば床下、壁あるいは天井等に蓄熱ボードを設置する場合には、薄板パネル状が要求され、ボードの嵩(厚み)には自ずと制限があることから、このような用途に用いる場合に特に有効である。
樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部110を外表面103に有する。凹陥部110は、有底であり、内表面側に向かって先細の截頭円錐形状で、開口は、円形である。これにより、蓄熱ボード10を後に説明する、溶融樹脂材料を用いてブロー成形により一体成形する場合、凹陥部110に対応する突起部を金型のキャビティに設ける場合、ブロー圧によりキャビティに対して押し付けられて賦形された溶融樹脂材料がキャビティから抜きやすいようにしている。この観点から、凹陥部110の側周面の突合せ平面部112に対する傾斜角度αは、5°ないし30°、特に約10°が好適である。傾斜角度αが5°未満である場合には賦形された溶融樹脂材料がキャビティから抜き難くなるだけでなく、ブロー成形時に溶融樹脂材料が引き伸ばされて薄肉となり破れなどの成形不良が生じることとなる。さらに、傾斜角度αが30°を超えると環状リブとしての剛性が低下するだけでなく、内圧上昇に伴う蓄熱ボード10の厚さ方向の変形量が大きくなり割れの発生を引き起こす原因となる。
図3に示すように、複数の凹陥部110それぞれは、最先細部に突き合わせ平面部112を有し、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの対応する凹陥部110同士の突き合わせ平面部112が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、両板材102、104を延びる環状リブ50を形成している。この環状リブ50により、実質的に蓄熱ボード10の厚みが構成され、蓄熱ボード10の厚み方向に荷重が負荷される場合に、圧縮強度を確保するようにしている。
図2に示すように、複数の凹陥部110はそれぞれ、樹脂製第1板材102の外表面103における開口が円形の円錐台であり、外表面上で開口がハニカム状に配置されている。これにより、外表面103に最も密に複数の凹陥部110を配置することが可能である。
このような構成の蓄熱ボード10によれば、非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材102および熱可塑性樹脂製第2板材104により形成された密閉中空部108内に蓄熱性の優れた流動性パラフィンを充填することにより、流動性パラフィンが板材の厚み方向に漏れ出すことなしに、所望の熱特性を奏するとともに、両板材102、104間を延びる環状リブ50を形成することにより、所望の強度特性、特に厚み方向の圧縮強度を確保すると同時に、流動性パラフィンの熱膨張収縮に伴う蓄熱ボード10の変形あるいは破損を有効に防止することが可能であり、さらに、熱可塑性樹脂製第1板材102および熱可塑性樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を接着することにより、流動性パラフィンを充填する密閉中空部108を具備する蓄熱ボード10を効率的に製造することが可能である。
本願発明者は、筒状あるいはシート状の溶融パリソンを用いて一体ブロー成形により、パラフィンを蓄熱剤とする蓄熱ボード10を構成する場合、良好な成形性を確保しつつ、蓄熱ボード10の使用時におけるパラフィンの固液相間の相変化に伴う内圧変動に起因する壁面の割れを防止するのに有効なパラメータ(凹陥部の深さ/隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離)を見出し、本願発明は、それを利用して蓄熱ボード10を構成することにより、所望の蓄熱特性を確保しつつ、蓄熱剤の熱膨張および/または熱収縮に伴う内圧変動に対して構造健全性を保持するものである。
より詳細には、蓄熱ボード10を熱可塑性樹脂製第1板材102および熱可塑性樹脂製第2板材104の2枚の板材により構成し、両板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面106を形成するとともに、内部に形成される密閉中空部108内に流動性パラフィンを充填し、その際、各板材に対して、内表面側で所定の傾斜角度αで先細形態で突出するように複数の凹陥部110を外表面に設け、各板材の対応する凹陥部110同士の突き合わせ平面部112を突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブ50を形成し、それにより環状リブ50の突き合わせ平面部112を通じて両板材間の溶着面積を増大するとともに、環状リブ50の側周面を通じてパラフィンの内圧を受ける蓄熱ボード10の内表面積を増大することにより、たとえば、液体パラフィンの充填量を高充満率にて密閉中空部内いっぱいに充填しても、板材の肉厚を厚肉化せずに良好な熱伝達特性を維持しつつ、高充満率に対して耐え得る蓄熱ボード10とすることが可能である。
それを前提に、特に板材の肉厚、環状リブ50の高さ、凹陥部110の側周面の傾斜角度α、および突合せ平面部112の最大幅との関係において、凹陥部110の深さ/隣り合う凹陥部110の突合せ平面部112間の距離(以下、凹陥部のパラメータ比と称する)に注目するものである。
密閉中空部内に充填するパラフィンの充填量が多いほど、密閉中空部内の内部圧力は増大するところ、所望の蓄熱量が得られるだけのパラフィンを充填するために、所定のパネルの厚さ(環状リブ50の高さ)が必要となることを前提に、その厚さのパネルに所定の充填量のパラフィンを入れた場合に、各厚みのパネルで発生する内圧の繰り返し変動に耐え得るか否かとともに、ブロー成形の際良好な成形性を確保可能か否かの指標として、凹陥部のパラメータ比を所定の数値範囲とするものである。
より具体的には、パラフィンの充填量が一定の場合、凹陥部110のパラメータ比が小さ過ぎると、つまり隣り合う凹陥部110の突合せ平面部112間の距離が大きくなると、熱可塑性樹脂製第1板材102あるいは熱可塑性樹脂製第2板材104それぞれの外表面における凹陥部110の密度が疎となり、外表面103における平面部の割合が高くなることから、壁面を構成する熱可塑性樹脂製第1板材102あるいは熱可塑性樹脂製第2板材104それぞれの外表面103での割れが生じやすくなり、逆に凹陥部110のパラメータ比が大き過ぎると、凹陥部110の密度は密となるが、ブロー成形の際のブロー比が高くなり、成形不良、たとえば折れ肉の発生が起こってしまうことから、凹陥部110のパラメータ比を所定の数値範囲内とすることにより、使用時における壁面の割れが生じない一体ブロー成形の蓄熱ボードを形成することが可能となる。
この場合、蓄熱ボード内部に充填されるパラフィンによる内部圧力は、蓄熱ボード10の内表面全体に対して一様に負荷されることから、熱可塑性樹脂製第1板材102あるいは熱可塑性樹脂製第2板材104の壁面の面積に関わりなく、凹陥部110のパラメータ比に注目しさえすれば、内圧の繰り返し変動に伴う壁面での割れを防止し、以て蓄熱ボード10の構造健全性を確保することが可能である。
本願発明者は、パラフィンを蓄熱剤とする一体ブロー成形による非晶性樹脂製蓄熱ボードにおいて、凹陥部のパラメータ比が、良好な成形性ととともにパラフィンの相変化に伴う内圧の繰り返し変動に起因する経時劣化による壁面の割れ防止の有効な指標となり得る点について、凹陥部に関し、その深さ(Y)、その突合せ平面部の径(a)および隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離(X)をパラメータとして、試験品をブロー成形により製造するとともに、壁面の経時変化を調べる確認試験を行った。
試験条件
(1) 蓄熱ボードの諸元
板材
材質:非晶性熱可塑性樹脂
大きさ:横 450ミリ X 縦 200ミリ X 高さ 20ミリ
板厚: 1.5ミリ
確認試験結果を図9に示す。
実施例1ないし実施例3が示すように、凹陥部のパラメータ比が、0.4ないし0.7であれば、(x)および(y)それぞれの値に係らず、蓄熱ボードの壁面の経時劣化による割れを防止可能であることが示されている。
比較例Aと実施例1とを比較すれば、凹陥部のパラメータ比が同じ値であっても、比較例Aのほうが突合せ平面部の広さが狭いことから、リブ溶着面の剥がれを発生した。 比較例Bと実施例1とを比較すれば、凹陥部のパラメータ比が同じ値であっても、比較例Bのほうが突合せ平面部の広さが広いことから、蓄熱ボードの壁面において、平面部の割合が高いことから、経時劣化による壁面の割れを生じた。
比較例Cないし比較例Fは、いずれも凹陥部のパラメータ比が、0.4ないし0.7の範囲外にある場合であり、比較例Cおよび比較例Eの場合には、凹陥部のパラメータ比が0.7より大きく、蓄熱ボードの壁面において、平面部の割合が低く、凹陥部同士が接近しすぎるため、ブロー成形の際、折れ肉が発生し、折れ肉部に内圧の繰り返し変動に伴い応力集中が生じ、割れを発生しており、それに対して、比較例Dおよび比較例Fの場合には、凹陥部のパラメータ比が0.4より小さく、蓄熱ボードの壁面において、平面部の割合が高いことから、経時劣化による壁面の割れを生じた。
以上から、凹陥部のパラメータ比が、ブロー成形の際の良好な成形性を確保しつつ、パラフィンの相変化に伴う内圧の繰り返し変動に起因する経時劣化による壁面の割れを防止する指標として有効であり、特に実用的な蓄熱ボードの場合、この凹陥部のパラメータ比を所定数値範囲内、特に0.4ないし0.7の範囲に設定するのが有効であることが判明した。
なお、凹陥部のパラメータ比が大きいほど、つまり凹陥部の蓄熱ボードの外表面における密度が高いほど、環状リブの形成に伴う側周面の表面積が追加されることから、パラフィンの加熱による熱膨張に起因して中空部内の内圧が上昇する際、このような初期の熱膨張に伴う外表面の割れの抑制に対しても有効であると考えられる。
以上の凹陥部のパラメータ比を用いた凹陥部の深さ(y)と隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離(x)との関係を図4に示す。
図4において、斜線領域が、良好な成形性ととともにパラフィンの相変化に伴う内圧の繰り返し変動に起因する経時劣化による壁面の割れ防止を確保する凹陥部の深さ(y)、および隣り合う凹陥部の突合せ平面部間の距離(x)となる。
次に、蓄熱ボード10の成形装置について、以下に説明する。
蓄熱ボード10の成形装置は、溶融樹脂の押出装置と、押出装置の下方に配置された、金型の型締装置とを有し、押出装置から押出された溶融状態の筒状パリソンを型締装置に送り、型締装置により溶融状態の筒状パリソンを成形するようにしている。
押出装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、押出スリットを通じて所定の長さの連続的な筒状パリソンが押し出され、型締装置の分割金型の間に垂下される。
押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された筒状パリソンは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリットは、その間隔を可変とすることにより、筒状パリソンの厚みを変更することが可能である。これにより、筒状パリソンが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型の間に配置される。
型締装置は、一対の分割形式の金型と、金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型は、キャビティを対向させた状態で配置され、それぞれキャビティが略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ表面には、溶融状態の筒状パリソンに基づいて成形されるべき成形品である蓄熱ボード10の外形、および表面形状に応じて凹凸が設けられる。より詳細には、金型のキャビティの所定位置に、他方の金型に向かって突出し、凹陥部の形状に合致する外形を備えた突起体が設けられる。
2つの分割形式の金型それぞれにおいて、キャビティのまわりには、ピンチオフ部が形成され、このピンチオフ部は、キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型を型締する際、それぞれのピンチオフ部の先端部が当接し、筒状パリソンは、その周縁にパーティングラインが形成されるように溶着され、中空部を閉塞する外周壁が形成される。
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型の間に、筒状パリソンが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型のピンチオフ部が当接し、環状のピンチオフ部が互いに当接することにより、2つの分割金型内に密閉空間が形成されるようにしている。
分割金型には、金型を型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。

以上の構成を有する蓄熱ボード10の成形装置を利用した蓄熱ボード10の製造方法について以下に説明する。

まず、押出スリットから、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態の筒状パリソンが下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
次いで、分割金型を型締して、金型内に密閉空間を形成する。
次いで、ブローピンを介して型締された金型内の密閉空間からブロー圧をかけることにより、筒状パリソンを対応する金型のキャビティに向かって押し付けることにより、筒状パリソンを賦形する。より詳細には、ピンチオフ部の内周面により周壁が賦形されるとともに、筒状パリソンのキャビティに対向する面には、キャビティの突起体の外形に応じた形状が賦形され、突き合わせ平面部が突き合わせ溶着されて、凹陥部、かくして環状リブが形成される。
次いで、一対の分割金型を型開きして、成形されたパレットを取り出し、ピンチオフ部の外側のバリ部分を切断し、以上で成形が完了する。
次いで、流動性パラフィンを加熱融解させて、注入口から密閉中空部内に流し込み、放冷して固化させた後、注入口を熱融着等により封止し、蓄熱ボードが完成する。
以上のように、溶融状態の筒状パリソンを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、蓄熱ボードを次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の筒状パリソンとして押し出し、押し出された筒状パリソンを金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
特に、従来のように、板材の端面処理が不要であり、効率的に成形可能である。
ブロー成形方法の変形例として、成形材料として、上述のように、押し出し装置から下方に押し出された溶融状態の筒状パリソンを直接成形せずに、分割金型の間に2条の熱可塑性樹脂製シートを配置して成形してもよい。この場合、2条の熱可塑性樹脂製シートはそれぞれ、たとえば、押し出し後成形前に、一対のローラー(図示せず)の間を通過させることにより、筒状パリソンを押しつぶしてシート状にしてもよい。
また、成形手順として、上述のように、分割金型を型締することにより、分割金型内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を成形するだけでなく、成形前にシート状樹脂とする場合には、分割金型を型締する前にキャビティと樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ側から樹脂材料を吸引することにより、樹脂材料を予備賦形し、さらに分割金型を型締後、同様に密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を本賦形するのでもよい。
この方法によれば、本賦形前に予備賦形することにより、複雑な形状の成形であっても良好な成形性を確保することができる。さらに、分割金型を型締する際、キャビティ側から樹脂材料を吸引しつつ密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を賦形するのでもよい。この方法によれば、吸引によりキャビティの凹部に溜まった空気を除去しつつブロー圧をかけることにより、同様に良好な成形性を確保することが可能である。
このような蓄熱ボード10を用いた暖房パネルとして、床暖房パネルの実施形態について、以下に説明する。
図5に示すように、床暖房パネル300は、蓄熱ボード10と、蓄熱ボード10の側辺に沿って配置された小根太302とを有し、小根太302は、たとえば合板からなり、蓄熱ボード10と同一の厚みを有し、同図に示すように、床暖房パネル300の表面は、面一とされている。
それに対して、図6に示すように、別の実施形態の床暖房パネル300は、放熱体を有する放熱パネル304と、放熱パネル304の厚み方向に重ね合わされた蓄熱ボード10と、重ね合わされた放熱パネル304および蓄熱ボード10の側辺に沿って配置された小根太302とを有する。放熱パネル304と蓄熱ボード10とは、同一の縦横寸法であり、小根太302の厚みは、重ね合わされた放熱パネル304および蓄熱ボード10の厚みに等しく、図5と同様に、床暖房パネル300の表面は、面一とされている。
放熱パネル304としては、方形板状の発泡合成樹脂材等よりなる複数枚の基体306と、基体306同士の間に配置された温水通水用放熱管308とを有した薄型床暖房パネルが好適である。なお、基体306の厚みが大きいときは、基体306の上面に溝を設け、この溝内に放熱管308を配置してもよい。図5及び図6のいずれの床暖房パネルにおいても、床暖房パネルの場合であれば、図面上左側の小根太302の左端から右側の小根太302の右端までの寸法が303mmであり、暖房パネルの厚みが12mmであることが好ましい。この場合、図6の暖房パネル300にあっては、蓄熱ボード10の厚みが6.5mmであり、放熱パネル12の厚みは5.5mmであることが好ましい。暖房パネルの小根太方向の長さは、303mmの倍数の長さで303mm以下、小根太302と垂直方向は303mmの倍数―45mmの長さであり、特に3288mmであることが好ましい。
図5及び図6のいずれの床暖房パネルにおいても、図の上面側にアルミ箔などよりなる均熱材を貼っておくのが好ましい。均熱材は、小根太302の上にまで貼っておくのが好ましい。この場合、床暖房パネルの施工の観点から、均熱材のうち小根太302の上面領域に、釘打ち可能であることを示す表示を設けておくのが好ましい。なお、蓄熱ボード10のうち小根太302に沿う縁部分にあっては、幅10mmほど、蓄熱剤が充填されていない部分を設け、釘が打ち抜かれても蓄熱剤に達しないようにするのが好ましい。
本発明者は、蓄熱ボードの片面リブタイプおよび両面リブタイプについて、肉厚をパラメータとして耐圧強度を比較するコンピュータシミレーション解析を行った。
以下に、解析条件を示す。
(1)解析手法
(i)解析:有限要素法による弾性静解析
(ii)解析コード:汎用コード Marc
(2)解析モデル
(i)解析モデル:第1板材と第2板材とからなる3次元モデル(図7参照)
ただし、両板材との間は、剛結合
(ii)寸法: 縦450ミリ X 横200ミリ X 高さ20ミリ
凹陥部の形状:円形開口の截頭円錐
片面リブタイプの場合、凹陥部は第1板材から先細
に延び、突合せ円形平面部が第2板材に剛結合し、
両面リブタイプの場合、第1板材、第2板材それぞ
れから先細に延びる凹陥部の突合せ円形平面部同
士を剛結合し、両タイプの凹陥部において、突合せ
円形平面部の大きさを共通とした。
(iii)物性値:板材の材質 UMG-ABS EX45G

ヤング率 2140MPa

降伏応力 45.6MPa
ポアソン比 0.35
密度:1.06g/cm3
(iv)荷重あるいは支持条件:片面リブタイプおよび両面リブタイプともに、口部と反対側の長辺を底面にした直立状態として、材料の降伏応力に達する内圧を計算
(3)解析パラメータ
(i)板材の肉厚:1.0ミリ、1.2ミリおよび1.4ミリ
(4)解析結果
(i)図8に示すように、耐圧強度は、板材の肉厚に対してほぼ比例関係を示しているが、片面リブタイプに比べて両面リブタイプのほうが、板材の肉厚の増大に伴う耐圧強度の増大割合は大きくなっている。
(ii)片面リブタイプに比べて両面リブタイプのほうが、約4ないし6倍耐圧強度が高い。
以上の結果より、片面リブタイプに比べて両面リブタイプのほうが、板材の外表面上の凹陥部の密度を高くすることができ、それにより、第1板材と第2板材との間の溶着面積をより確保可能であることから、耐圧強度上有利であることが判明した。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態においては、円錐台の複数の凹陥部110を板材の表面にハニカム状に配置する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば正六角形の角錐台状の複数の凹陥部110をハニカム状あるいは千鳥格子状に配置してもよい。
本発明の実施形態に係る蓄熱ボード10の平面図である。 図1のシェルの部分拡大図である。 図1の線C−Cに沿う部分断面図である。 隣り合う凹陥部の突合せ平面部同士の距離を横軸、凹陥部の深さを縦軸として、良好な成形性を確保しつつ、壁面の割れを防止可能な蓄熱ボード10の領域を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る蓄熱ボード10を備えた暖房パネルの断面図である。 本発明の実施形態に係る蓄熱ボード10を備えた他の形態の暖房パネルの断面図である。 蓄熱ボード10の3次元解析モデルを示し、図7(A)は片面リブモデル、図7(B)は、両面リブモデルである。 破壊圧力を縦軸、板材の肉厚を横軸として、図7のモデルを用いた解析結果を示すグラフである。 パラフィンを蓄熱剤とする一体ブロー成形による非晶性樹脂製蓄熱ボードにおいて、凹陥部のパラメータ比を変えた場合の試験結果を示す表である。
α 傾斜角度
X 隣り合う凹陥部の突合せ平面部同士の距離
Y 凹陥部の深さ
a 突合せ平面部の径
10 蓄熱ボード
102 樹脂製第1板材
103 外表面
104 樹脂製第2板材
106 周側面
107 外表面
108 密閉中空部
109 注入口
110 凹陥部
112 平面部
113 内周面
300 暖房パネル
302 小根太
304 放熱パネル
306 基体
308 放熱管

Claims (6)

  1. 密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される一体ブロー成形品の蓄熱ボードであって、
    いずれも、非晶性熱可塑性樹脂からなる第1板材および第2板材のみからなり、
    前記非晶性熱可塑性樹脂は、引張降伏点強度が30Mpaないし75Mpaであり、前記熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、肉厚が0.5ミリないし2ミリであり、
    該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面が形成されるとともに、内部に密閉中空部が構成され、
    前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、内表面側で先細形態で突出するように複数の凹陥部を外表面に有し、該外表面のうち該複数の凹陥部の開口部以外の部分が、外部への熱伝導面を構成し、
    前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおける前記複数の凹陥部の各々は、先端に突き合わせ平面部を有し、前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの対応する凹陥部同士の突き合わせ平面部が突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成され、
    前記環状リブは、截頭円錐形状であり、前記側周面の前記突合せ平面部に対する傾斜角度は、5°ないし30°であり、前記環状リブの高さは、8ミリないし30ミリ、前記突合せ平面部の最大幅が、2ミリないし7ミリであり、
    前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれにおいて、前記板材の肉厚(t)、前記環状リブの高さ(H)、前記凹陥部の側周面の傾斜角度(α)、および前記突合せ平面部の最大幅(a)との関係において、前記凹陥部の深さ(y)/隣り合う前記凹陥部の前記突合せ平面部間の距離(x)を、0.4ないし0.7とし、
    前記流動性パラフィンは、固化時に前記密閉中空部内の容積に対して80〜95%の充填率にて充填される、ことを特徴とする蓄熱ボード。
  2. 前記非晶性熱可塑性樹脂のMFR値(230℃、2.16kg)は、0.3ないし1.5g/minである、請求項1に記載の蓄熱ボード。
  3. 前記非晶性樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体である、請求項1に記載の蓄熱ボード。
  4. 前記複数の凹陥部はそれぞれ、所定の放熱性を確保するように所定面積を有する側周面と、所定の蓄熱量を確保するように所定内容積を有する、請求項1に記載の蓄熱ボード。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太とを有することを特徴とする暖房パネル。
  6. 放熱体を有する放熱パネルと、
    該放熱パネルの厚み方向に重ね合わされた請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、
    重ね合わされた該放熱パネルおよび該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太と、を有することを特徴とする暖房パネル。
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