しかし、上述した従来における流水使用状態の監視機能を有する流量制御装置は、次のような問題点があった。
第一に、流水の使用量を正確に測定することは勿論重要な課題となるが、加えて正確な使用回数を検出することも重要な課題となる。従来の装置は、この点について何ら考慮しておらず、装置としての完成度は不十分である。即ち、使用者が流水のためにフラッシュバルブの操作ハンドルを操作した後、汚れの残り具合によっては、流水が完全に終了する前に操作ハンドルを再操作し、追加的に流水を行う場合も少なくない。この場合、流量の計測は途切れることなく継続するため、二回の流水を行ったにも拘わらず、一回の流水と誤検出する虞れがある。もし、流水回数が十回であるにも拘わらず、一回でも誤検出が発生した場合、一回の使用量に1割程度の誤差を含むことになり、使用量の正確な測定は意味をなさなくなる。このように、使用回数の正確な検出は重要課題の一つとなるが、従来の装置はこの点についての考慮が不十分である。
第二に、流量の測定機能を含む専用装置として構成するため、既存の水洗トイレ設備に設置する場合、容易に設置できないとともに、装置のサイズが既存設備のサイズよりも大きくなる可能性がある。したがって、設置性、更には汎用性に難があるとともに、装置に係わるコストアップや設置に係わるコストアップが大きくなる。加えて、装置全体の構造が複雑化するため、耐久性やメンテナンス性の観点からも不利になる。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した水洗トイレの流水監視装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、水道水Wを供給する給水管Psの中途に設けた開閉弁2vを開閉することにより便器に対する流水又は流水解除を行う流水機構2を備える水洗トイレにおける流水の使用状態を監視する水洗トイレの流水監視装置1を構成するに際して、給水管Psの中途に接続して当該給水管Psを流れる水道水Wの流量Qを定量的に検出可能な流量検出手段3と、流量Qの増減変化に対応して流水回数Nを検出する流水回数検出手段4と、少なくとも流量Qと流水回数Nに係わる検出データDdを外部機器100に転送可能なデータ通信手段5とを具備してなることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、流量検出手段3には、流水に対応して回転する水車部11と、この水車部11の回転を検出する回転検出部12と、当該回転検出部12から得られる検出信号Sdに基づいて、流水の流量Qを演算処理により求める検出処理部13とを設けることができる。この際、回転検出部12は、水車部11に取付けることにより当該水車部11と一体に回転する少なくとも一つ以上のマグネット14a,14bと、水車部11の近傍に配し、マグネット14a,14bが近接したことによりONするリードスイッチ15とを備えて構成できる。一方、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニットVbと交換可能なハウジング部16を有し、このハウジング部16に水車部11を配設することができる。この際、水車部11はバキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に兼用させることができるとともに、ハウジング部16の内部に当該弁体17が当接可能な弁座部18を設けることができる。また、ハウジング部16に対して、着脱部19により着脱可能な回路ボックス20を備えることができるとともに、この着脱部19には、ハウジング部16に設けた装着孔部16hと、回路ボックス20に設け、当該装着孔部16に挿入する挿入部21とを設けることができる。さらに、この挿入部21の内部には中空部を設け、この中空部にリードスイッチ15を配設することができる。他方、ハウジング部16には、便器の使用者を直接検知する人感センサ22を配設することができる。
このような構成を有する本発明に係る水洗トイレの流水監視装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 少なくとも、給水管Psの中途に接続して当該給水管Psを流れる水道水Wの流量Qを定量的に検出可能な流量検出手段3と、流量Qの増減変化に対応して流水回数Nを検出する流水回数検出手段4とを備えるため、水道水Wの流量Qを定量的に検出できると同時に使用回数Nを正確に検出できる。これにより、一回の使用時における水道水Wの使用量を正確かつ確実に把握することができ、信頼性の高い流水監視装置1を提供することができる。
(2) 擬音を発生させる他の流水制御システム等と連携することにより当該流水制御システム等による節水効果を検証できるなど、他のシステムと連携する支援装置としての利用も可能であり、多様性(多機能性)及び発展性に優れた装置として提供できる。
(3) 好適な態様により、流量検出手段3に、流水に対応して回転する水車部11と、この水車部11の回転を検出する回転検出部12と、当該回転検出部12から得られる検出信号Sdに基づいて、流水の流量Qを演算処理により求める検出処理部13とを設ければ、比較的簡易な構造による流量検出手段3を構成できるため、実施の容易化及び低コスト化に寄与できる。
(4) 好適な態様により、回転検出部12を、水車部11に取付けることにより当該水車部11と一体に回転する少なくとも一つ以上のマグネット14a,14bと、水車部11の近傍に配し、マグネット14a,14bが近接したことによりONするリードスイッチ15とを備えて構成すれば、水車部11の回転を検出するに際し、少ない部品点数による非接触検出方式により検出できるため、容易かつ確実に実施できるとともに、低コストに実施できる。
(5) 好適な態様により、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニットVbと交換可能なハウジング部16を設け、このハウジング部16に水車部11を配設するようにすれば、既設の水洗トイレに対しても、特に追加的な変更や加工を施すことなく装置の取付け及び取外しを容易に行うことができ、しかも全体のサイズも既存の状態をそのまま維持できるため、設置性(設置の確実性),メンテナンス性及び汎用性に優れるとともに、追加的コストも最小限に抑えることができる。加えて、旧状態への復帰も容易に行うことができる。
(6) 好適な態様により、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に兼用させるとともに、ハウジング部16の内部に当該弁体17が当接可能な弁座部18を設ければ、本来のバキュームブレーカ機能を確保しつつ、流量検出機能を容易に付加することができる。
(7) 好適な態様により、ハウジング部16に対して、着脱部19により着脱可能な回路ボックス20を設ければ、必要によりハウジング部16に対して回路ボックス20を着脱できるため、設置時,故障時及びメンテナンス時における対応を容易に行うことができる。しかも、他の機能が付加された回路ボックス20に容易に交換できるなど、発展性及び多機能性に優れる。
(8) 好適な態様により、着脱部19を、ハウジング部16に設けた装着孔部16hと、回路ボックス20に設け、当該装着孔部16に挿入する挿入部21とにより構成すれば、回路ボックス20をハウジング部16に装着するに際し、取付ねじ或いは取付バンド等の他の取付部材を用いることなく容易かつ確実に装着することができる。
(9) 好適な態様により、挿入部21の内部に中空部を設け、この中空部にリードスイッチ15を配設すれば、リードスイッチ15の非接触性及び装着性の双方を容易かつ確実に確保できる。
(10) 好適な態様により、ハウジング部16に、便器の使用者を直接検知する人感センサ22を配設すれば、人感センサ22は使用者の直前(手前)に配されるため、より確実に人検知を行うことができる。したがって、擬音を発生させる他の流水制御システム等の機能性を高めることができる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、第一実施形態に係る流水監視装置1の構成について、図1〜図6を参照して説明する。
図中、1は、水洗トイレの流水機構2に設置した流水監視装置を示す。なお、水洗トイレには、和式の便器(大便器)が設置されている場合を想定する。この場合、流水機構2は、水道水Wを供給する給水管Psの中途に設けたフラッシュバルブ(開閉弁)2vを開閉することにより便器に対する流水又は流水解除を行う機能を有し、フラッシュバルブ2vは操作ハンドル51をマニュアル操作すれば、開位置に変位させることができるとともに、マニュアル操作を解除すれば内蔵するスプリングにより閉位置に復帰させることができる公知の流水機構を構成する。また、図5に示すように、フラッシュバルブ2vの側面に設けた流水入口は、水道管Psi及び不図示の止水栓を介して上流側の水道管に接続するとともに、フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2veは、本実施形態に係る流水監視装置1を介して便器に至る水道管Pseに接続する。したがって、水道管PsiとPseは、水道水Wを供給する給水管Psを構成する。
流水監視装置1は、図2に示すように、基本構成として、装置本体Umと回路ボックス20を備え、回路ボックス20は装置本体Umに対して着脱させることができる。装置本体Umは筒状をなすハウジング部16を備え、このハウジング部16は、特に、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニット(逆止弁)とそのまま交換接続可能に形成する。即ち、一般に、フラッシュバルブ2vの流水出口2veは、図2に示すバキュームブレーカユニットVbを介して水道管Pseに接続している。したがって、ハウジング部16をバキュームブレーカユニットVbとそのまま交換可能な形態に形成すれば、流水監視装置1を設置する際に、既設のバキュームブレーカユニットVbを給水管Psから取外し、その代わりに装置本体Umをそのまま取付可能になる。なお、バキュームブレーカユニットの接続義務がある場合には、既設のバキュームブレーカユニットVbに直列接続すればよい。
例示のハウジング部16は、図1に示すように、下部(外部)を構成するハウジング下部16dと上部(内部)を構成するハウジング上部16uの組合わせにより構成する。ハウジング上部16uとハウジング下部16dは、いずれも全体を筒状に形成し、ハウジング下部16dの内周面にハウジング上部16uの外周面を螺着できるように形成する。なお、52は、ハウジング上部16uとハウジング下部16d間に介在させたOリングを示す。そして、ハウジング上部16uの上端には、フラッシュバルブ2vの流水出口2veに接続する上流側の接続口16uiを設けるとともに、ハウジング下部16dの下端には、水道管Pseに接続する下流側の接続口16deを設ける。また、図2中、53は、流水出口2veとバキュームブレーカユニットVbの上端口間に介在したシーリング用のゴムパッキンであり、流水出口2veとハウジング部16の接続口16ui間に介在させるゴムパッキンとしてそのまま流用できるとともに、54は、バキュームブレーカユニットVbの下端口と水道管Pse間に介在したシーリング用のゴムパッキンであり、ハウジング部16の接続口16deと水道管Pse間に介在させるゴムパッキンとしてそのまま流用できる。
一方、ハウジング部16の内部には、図3に示す水車部11を回動自在に配設する。この場合、ハウジング下部16dの内部下側であって径方向にはフレーム状部31を架設形成する。フレーム状部31はパイプ状に形成し、内部を装着孔部16hとして形成するとともに、一端側はハウジング下部16dの外周面に開口させる。これにより、開口から装着孔部16hに対して、後述する回路ボックス20に設けた挿入部21を挿入して装着し又は引抜いて離脱することができ、この挿入部21と装着孔部16hは、ハウジング部16に対して回路ボックス20が着脱する着脱部19を構成する。また、フレーム状部31の中央位置の上端には下軸受部32を一体形成する。さらに、ハウジング上部16uには、多数の通水孔を有する支持プレート33を一体形成するとともに、この支持プレート33の中央に上軸受部34を一体形成する。そして、下軸受部32と上軸受部34間に、水車部11の中心に設けたシャフト35を回動自在に装填する。例示の水車部11は、プロペラ状に形成し、図3に示すように、周方向へ等間隔に配した四枚の羽根部11a,11b,11c,11dを有する。
このように、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニットVbと交換可能なハウジング部16を設け、このハウジング部16に水車部11を配設するようにすれば、既設の水洗トイレに対しても、特に追加的な変更や加工を施すことなく装置の取付け及び取外しを容易に行うことができ、しかも全体のサイズも既存の状態をそのまま維持できるため、設置性(設置の確実性),メンテナンス性及び汎用性に優れるとともに、追加的コストも最小限に抑えることができる利点がある。加えて、旧状態への復帰も容易に行うことができる。
また、水車部11における四枚の羽根部11a,11b…における180〔゜〕の位置関係にある一対の羽根部11aと11cにはそれぞれマグネット14aと14bをそれぞれ取付ける。この場合、各マグネット14aと14bの磁極は反対となるように配する。即ち、下方に向いた一方のマグネット14aの下端磁極はN極に、他方のマグネット14bの下端磁極はS極になるようにする。この水車部11は、流量Qの大きさに対応して回転するため、流量Qが小さいときはゆっくりと回転し、流量Qが大きいときは速く回転する。
他方、回路ボックス20は、図2及び図4に示すように、ボックス本体41と、このボックス本体41の側面から水平方向に突出した挿入部21を一体に備える。なお、回路ボックス20の底面には、図4に示すように、赤外線通信用の通信窓41wを設ける。また、挿入部21の内部には回路ボックス20の内部に連通する中空部を形成する。そして、図1に示すように、挿入部21の内部(中空部)に、リードスイッチ15を挿入して収容するとともに、ボックス本体41の内部に、電気回路基板43c(図6)及び電池(電源)等の必要な電気部品類43を収容し、リードスイッチ15のリード端子を電気回路基板43cに接続する。
このように、ハウジング部16に対して、着脱部19により着脱可能な回路ボックス20を設ければ、必要によりハウジング部16に対して回路ボックス20を着脱できるため、設置時,故障時及びメンテナンス時における対応を容易に行うことができる。しかも、他の機能が付加された回路ボックス20に容易に交換できるなど、発展性及び多機能性に優れる。この際、着脱部19を、ハウジング部16に設けた装着孔部16hと、回路ボックス20に設け、当該装着孔部16に挿入する挿入部21とにより構成すれば、回路ボックス20をハウジング部16に装着するに際し、取付ねじ或いは取付バンド等の他の取付部材を用いることなく容易かつ確実に装着できる利点がある。加えて、挿入部21の内部に中空部を設け、この中空部にリードスイッチ15を配設すれば、リードスイッチ15の非接触性及び装着性の双方を容易かつ確実に確保できる利点がある。
この場合、リードスイッチ15を水車部11の真下に配するため、水車部11が回転してマグネット14a,14bがリードスイッチ15の近接位置を通過する毎にリードスイッチ15がONする。したがって、リードスイッチ15とマグネット14a,14bは回転検出部12を構成する。このように、回転検出部12を、水車部11に取付けることにより当該水車部11と一体に回転するマグネット14a,14bと、水車部11の近傍に配し、マグネット14a,14bが近接したことによりONするリードスイッチ15とを備えて構成すれば、水車部11の回転を検出するに際し、少ない部品点数による非接触検出方式により検出可能となり、容易かつ確実に実施できるとともに、低コストに実施できる利点がある。
さらに、ボックス本体41の内部に備える電気回路基板43cには、少なくとも、図6に示す、検出処理部13及び通信部45を備える。特に、検出処理部13は、マイクロコンピュータや制御プログラムを格納したメモリ等のコンピューティング部品により構成し、基本的には、各種制御処理及び演算処理等のコンピュータ処理を実行することができる。したがって、前述したリードスイッチ15から得られる検出信号Sdは検出処理部13に付与されるため、この検出処理部13では検出信号Sdに基づいて流量Qを演算処理により求めることができる。以上の構成により、給水管Psの中途に接続して当該給水管Psを流れる水道水Wの流量Qを定量的に検出可能な流量検出手段3を構成する。このように、流量検出手段3に、流水に対応して回転する水車部11と、この水車部11の回転を検出する回転検出部12と、当該回転検出部12から得られる検出信号Sdに基づいて流量Qを演算処理により求める検出処理部13とを設ければ、比較的簡易な構造による流量検出手段3を構成できるため、実施の容易化及び低コスト化に寄与できる利点がある。また、検出処理部13は、流量Qの増減変化に対応して流水回数Nを検出する流水回数検出手段4を構成する。さらに、通信部45は、少なくとも流量Qと流水回数Nに係わる検出データDdを外部機器100に転送可能なデータ通信手段5を構成する。
なお、実施形態の流水監視装置1は、図5及び図6に示すように、ハウジング部16に、便器の使用者を直接検知する人感センサ22を配設する。このため、図6に示すように、電気回路基板43cには、人感センサ22からの検出信号を取り込み、人を検知したことを判定する人検知部46を設ける。そして、この人検知部46の判定結果は、通信部45に付与される。このように、ハウジング部16に、便器の使用者を直接検知する人感センサ22を配設すれば、人感センサ22は使用者の直前(手前)に配されるため、より確実に人検知を行うことができる。したがって、擬音を発生させる他の流水制御システム等の機能性を高めることができる利点がある。
次に、このような構成を有する第一実施形態に係る流水監視装置1の設置方法及び動作について、図1〜図8を参照して説明する。
最初に、流水監視装置1の設置方法について説明する。流水監視装置1を設置するに際しては、まず、既設の水洗トイレにおけるフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に接続された図2に示すバキュームブレーカユニットVb及びゴムパッキン53,54を取り外す。そして、バキュームブレーカユニットVbの代わりに、流水監視装置1の装置本体Umをフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に取り付ける。この際、取り外したゴムパッキン53,54はそのまま再利用して取付けることができる。
また、装置本体Umの取付けが終了したなら、回路ボックス20の挿入部21を装着孔部16hに挿入して装着する。これにより、流水監視装置1の設置は完了する。このように、本実施形態に係る流水監視装置1の設置は、既存設備の変更や加工等を施すことなく極めて容易に設置することができる。
次に、使用時の動作について説明する。今、使用者が水洗トイレを使用した後、流水を行う場合を想定する。この場合、使用者は操作ハンドル51を手で引く等の流水操作を行う。これにより、フラッシュバルブ2vは開側に切換えられ、水道管Psiの水道水Wは、フラッシュバルブ2vを通して装置本体Um内を流れ、水道管Pseを介して便器に供給される。この際、水道水Wが装置本体Um内を流れれば、水車部11が回転し、この時の回転速度は水道水Wの流量Qにほぼ比例する。そして、水車部11の回転により一体に有するマグネット14a,14bもシャフト35を中心に旋回するため、これにより、マグネット14a,14bが近接する際にリードスイッチ15がONし、この結果、検出処理部13においては、図7(a),(b)に示す検出信号Sdが得られる。なお、図7(a)は流量Qが大きいときの検出信号Sdであり、検出信号Sdの周波数f〔Hz〕は高くなるとともに、図7(b)は流量Qが小さいときの検出信号Sdであり、検出信号Sdの周波数f〔Hz〕は低くなる。
また、検出処理部13では、検出信号Sdに基づいて流水の流量Qを演算処理により求める。具体的には、水車部11の一回転当たりの水量をv〔リットル〕とした場合、流量Q〔リットル/s〕は、Q=f×vの演算式を用いて演算処理することができる。図8(a)は、このようにして得られた時間に対する流量Qの変化特性を示している。図8(a)において、Qsは操作ハンドル51を一回操作したときの変化特性を示している。したがって、この変化特性Qsを積分することにより、一回の操作で使用された水道水Wの総量を求めることができる。
さらに、検出処理部13は、流量Qの増減変化に対応して流水回数Nを検出する流水回数検出手段4を構成する。図8(b)におけるDsは、変化特性Qsを時間により微分した微分特性を示している。この場合、変化特性Qsのピーク値付近では微分特性Dsが0ラインと交差するため、この交差する点を検出することにより流水回数Nを検出することができる。図8(b)中、Ns点が交差する点となるため、一回の流水があったことを検出することができる。
ところで、従来の検出方法では、流水があったか否かにより検出していたため、誤検出を生じる虞れがあった。即ち、従来は、図8(a)に示すように、予め、流量Qの有無を検出可能な閾値Qxを設定し、流水が行われた後、流量Qが低下するとともに、閾値Qxを下回った時点で一回の流水があったことを検出していた。しかし、このような従来の検出方法では、使用状況によっては誤検出を生じやすい。具体的には、図8(a)に示す変化特性Qwのように、使用者が流水のためにフラッシュバルブVbの操作ハンドル51を操作した後、汚れの残り具合を確認し、流水が完全に終了する前に、再度、操作ハンドル51を操作することも少なくない。この場合、変化特性Qwで示すように、流量Qが閾値Qxを下回らない場合も発生し、二回の操作があったにも拘わらず一回とカウントしてしまう。
これ対して、本実施形態に係る流水監視装置1によれば、図8(b)に示す微分特性Dwのように、流量Qのピーク値の発生を検出するため、図8(a)に示すような二回の操作に基づく変化特性Qwが生じた場合であっても、二回の流水が生じたことを確実に検出することができる。
このように、第一実施形態に係る流水監視装置1によれば、給水管Psの中途に接続して当該給水管Psを流れる水道水Wの流量Qを定量的に検出可能な流量検出手段3と、流量Qの増減変化に対応して流水回数Nを検出する流水回数検出手段4とを備えるため、水道水Wの流量Qを定量的に検出できると同時に使用回数Nを正確に検出できる。これにより、一回の使用時における水道水Wの使用量を正確かつ確実に把握することができ、信頼性の高い流水監視装置1を提供することができる。特に、擬音を発生させる他の流水制御システム(特開2007−92348号公報等参照)等と連携することにより当該流水制御システム等による節水効果を検証できるなど、他のシステムと連携する支援装置としての利用も可能であり、多様性(多機能性)及び発展性に優れた装置として提供できる。
他方、検出処理部13により得られた流量Qと流水回数Nに係わる検出データDdは通信部45に付与され、一旦登録される。これにより、オペレータが図1及び図6に示すように、リモコンユニット100rを通信部45に近付け、必要なデータ読取り操作を行えば、検出データDdはリモコンユニット100r側のメモリに転送される。また、前述したように、ハウジング部16に人感センサ22を配設した場合には、人感センサ22及び人検知部46により使用者の存在が確実に検知される。そして、検知結果は、通信部45を介して、擬音を発生させる他の流水制御システム等に転送(送信)され、他の流水制御システムを確実に作動させることができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る流水監視装置1について、図9及び図10を参照して説明する。
図1〜図8に示した第一実施形態に係る流水監視装置1は、既設のバキュームブレーカユニットVbの代わりに設置した場合を説明した。この種のバキュームブレーカユニットVbは、逆流防止機能を有するが、必ずしも絶対に必要な部品ではなく、第一実施形態に係る流水監視装置1であっても実用上は問題なく使用することができる。これに対して、図9及び図10に示す第二実施形態に係る流水監視装置1は、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に対して兼用させたものである。したがって、ハウジング部16の内部には当該弁体17が当接可能な弁座部18を設けた。これにより、水車部11はシャフト35に対して軸方向へ変位自在に装填するとともに、水車部11の上端面には所定の厚さを有するゴムシートを貼付して弁体17を構成し、さらに、この弁体17が対向する支持プレート33を弁座部18として形成した。
このような第二実施形態に係る流水監視装置1によれば、図9に示すように、水道水Wの逆流が生じた場合、水車部11に逆流方向の水圧が付加されるため、水車部11は上方位置となる閉塞位置Xcに変位し、弁体17が弁座部18に当接する。これにより、支持プレート33に設けた通水孔は弁体17により閉塞されて止水状態となる。即ち、バキュームブレーカユニットとして機能する。これに対して、図10に示すように、水道水Wが正常に流れる場合、水車部11は水圧と自重により下方位置となる開放位置Xoに変位し、弁体17は弁座部18から離間する。これにより、支持プレート33に設けた通水孔は開放され給水可能状態となる。
よって、このような第二実施形態に係る流水監視装置1によれば、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に兼用させるとともに、ハウジング部16の内部に当該弁体17が当接可能な弁座部18を設けたため、前述した第一実施形態に係る流水監視装置1により得られる作用効果に加えて、本来のバキュームブレーカ機能を確保しつつ、流量検出機能を容易に付加することができる。なお、図9及び図10において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、詳細な説明は省略する。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、データ通信手段5として無線手段を例示したが有線手段を排除するものではない。また、外部機器100として、リモコンユニット100rを例示したが、ノートパソコンや携帯電話をはじめリーダ装置等のデータ通信(特に、データ受信)可能な各種外部機器100を適用できる。なお、リーダ装置は、専用装置であるか汎用装置であるかを問わない。さらに、水車部11はプロペラ状に構成したタイプを例示したが、水道水の流通により回転する各種形態の水車部11を利用できる。一方、回転検出部12として、水車部11に取付けることにより当該水車部11と一体に回転する一対のマグネット14a,14b(一般的には、少なくとも一つ以上)と、水車部11の近傍に配し、マグネット14a,14bが近接したことによりONするリードスイッチ15により構成した場合を示したが、同様の機能を有する他の構成を用いた回転検出部12を排除するものではない。さらに、バキュームブレーカユニットVbの代わりに設置可能な形態を例示したが、他の機能部品の代わりとなる構成や他の機能部品の内部に組込む構成等を排除するものではない。したがって、流水監視装置1の設置位置は、フラッシュバルブ2vの下流側位置のみならず上流側位置に設置する場合を排除するものではない。他方、装置本体Umと回路ボックス20は、必ずしも着脱部19を用いて着脱させることを要せず、両者を一体的に構成してもよい。