以下、本発明に係る内視鏡の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して説明する。
なお、説明に用いる方向については、原則として各図中の方向の記載に従うものとする。ただし、筒状、棒状に構成された部材については部材が延在する方向を、また回動する部材については回転軸の方向を「軸方向」と呼称することがある。また、軸を中心として内外に向かう方向を「径方向」、軸を中心として回動する方向を「周方向」と呼称することがある。また、軸方向に直交する断面が矩形形状である部材についても、便宜上「径方向」、「周方向」と呼称することがある。
図1は、本実施形態の内視鏡11の全体構成図である。図1に示す内視鏡11は、主に把持部13と、連結部15と、連結部15を介して把持部13と連結された直線パイプ状で湾曲不能な直線部17と、湾曲可能に構成された屈曲部19と、機能部材の一例としての撮像ユニット21が収納された硬性部23と、直線部17をその延在方向を軸として回動させる回転操作部25とを含む構成である。硬性部23は、内視鏡11の挿入方向の先端に設けられる。
ここで、硬性部23の先端から回転操作部25の後端までの長さL1は例えば約600mm、硬性部23の長さL2は例えば約15mm、屈曲部19の長さL3は例えば約60mm、直線部17の長さL4は例えば約450mm程度であり、また硬性部23、屈曲部19、直線部17の外径は最大部分で例えば約10mm程度とされている。手術の際には、このうち硬性部23と屈曲部19とがトロッカーやトロッカーチューブを介して患部まで案内されて体腔に挿入される。一方、直線部17の一部は体外に出た状態で術式が執り行われる。
把持部13には、屈曲部19を湾曲させるべく操作を行う第1操作部27と、硬性部23に搭載された撮像ユニット21による撮像方向を操作する第2操作部29とが設けられている。施術者等が第1操作部27を操作すると、屈曲部19はその操作量に応じて所定の方向(例えば下方)に向けて湾曲し、硬性部23に設けられた撮像ユニット21の撮像方向が変化、即ち視野が移動する。把持部13において、第1操作部27は第1軸31を中心として回転可能であり、操作性を考慮して、この回転方向と屈曲部19の湾曲方向とが一致するように設計されている。
なお、以降の説明において、第1操作部27の操作によって屈曲部19が湾曲し、これによって視野を移動させる動作を「湾曲動作」、湾曲によって硬性部23の先端が向く方向と直線部17の軸方向(第2軸33)とがなす角度を「湾曲角度」、前面視において湾曲によって硬性部23の先端が向く方向を「湾曲方向」のように呼称することがある。そして、例えば硬性部23の先端が下方(上方)に向くように屈曲部19が湾曲することを「下方(上方)に向けて湾曲する」のように表現することがある。
また、第2操作部29も第1軸31を中心として回動し、施術者等が第2操作部29を操作すると、硬性部23に枢支された撮像ユニット21の視野が、ここでは前方と下方との間を移動する。なお、以降の説明において、第2操作部29を操作することによって視野を移動させる動作を「チルト動作」、あるいは単に「チルト」と呼称する。なお、第1操作部27及び第2操作部29は、把持部13に設けられたストッパ(図示せず)によって操作範囲(第1軸31を軸とする回動範囲)が規制されている。なお、第1操作部27、第2操作部29は図示するようなレバー式の他、回転グリップ等を用いてもよい。さらに、チルト操作部は把持部13以外に設けられていても構わない。
図1は、内視鏡11の初期状態を示しており、このとき屈曲部19は直線状で、かつ硬性部23における撮像ユニット21の視野は前方を向いている。この状態から、第1操作部27を操作すると屈曲部19は下方に向けて湾曲し、第2操作部29を操作すると撮像ユニット21は下方に向けてチルト動作する。ここで、屈曲部19の湾曲角度を0°〜90°、撮像ユニット21のチルト角度を0°〜90゜とすれば、湾曲動作とチルト動作とを組み合わせることで、屈曲部19の湾曲角度を大きくせずとも(即ち、湾曲の際に大きな空間を占めることなく)視野の移動範囲を0°〜180゜まで拡大することが可能となる。即ち、内視鏡11は、初期状態として直線状であった屈曲部19が湾曲することで機能部材の先端が向く方向(撮像方向)と、枢支された機能部材が回動することで機能部材の先端が向く方向とが、略同一とされている。
把持部13の前方には連結部15が設けられている。連結部15は、把持部13に支持されるとともに、その前方において直線部17に接続されている。後述するように、第1操作部27の操作によって発生した力はリンク部材35によって連結部15に伝達され、連結部15ではこの力を牽引力として屈曲部19の遊端37まで伝達する。
直線部17は、屈曲部19の基端39の側に一端が取り付けられ、第2軸方向に延在する中空部41(図3等参照)を有する筒状かつ直線状の部材であり、ここではステンレス鋼で構成されている。直線部17は連結部15を介して把持部13に連結されて、把持部13から前方に向けて延伸されている。第2操作部29の操作によって発生した力は(以降、第2操作部29や第1操作部27等を操作することで発生した力を「操作力」と呼称する)、把持部13の内部に設けられたギア機構によって第2軸33を軸とする回転力に変換され、この回転力が硬性部23まで伝達される。なお、連結部15には第2軸方向に貫通する軸受開口部(図示略)が設けられており、回転力は連結部15を経由することなく直接的に硬性部23に向けて伝達される。
なお、把持部13は観察対象(例えば人体)の内部を撮影して得られた静止画及び動画に対して画像処理等を行うビデオプロセッサ43と接続されており、ビデオプロセッサ43で処理された画像はディスプレイ装置45に表示される。一方、内視鏡11はビデオプロセッサ43から電力や各種の制御信号を受け取り、制御信号に基づくタイミングで撮像ユニット21において撮像が行われる。
図2は、屈曲部19の構成を示す斜視図である。図示するように、屈曲部19は基端39から遊端37にかけて延在しており、基端39と遊端37との間において連結された複数の節輪47から構成される。以降の説明で、複数の節輪47の集合体が構成する軸を「屈曲部19の軸」、その方向を「屈曲部19の軸方向」のように呼称することがある。屈曲部19は湾曲可能であることから、「屈曲部19の軸方向」は湾曲方向及び湾曲角度に応じて変化する。
節輪47は、例えばステンレス鋼で構成され、屈曲部19の軸方向から見たときに略矩形状をなす部材であり、いずれも同一形状に設計されている。各節輪47は、前面視で左右(又は上下)対称の位置に係合部49を有し、節輪47は係合部49を回動中心として隣接する節輪47に対して所定角度だけ回動可能に構成されている。屈曲部19の軸方向から見たときに、係合部49を周方向に交互に90°ずつずらして複数の節輪47を連結することで、屈曲部19の遊端37は基端39に対して任意の方向に湾曲可能に構成されている。
また、矩形形状の節輪47のうち、係合部49が形成されていない辺には、屈曲部19の外縁から内径方向に屈曲するように形成されたワイヤ導通片51が設けられ、ワイヤ導通片51に形成された貫通孔に後述する制御ワイヤ53(図3等参照)が延設される。
また、周方向に係合部49とワイヤ導通片51(図5、6参照)との間、即ち、前面視で略矩形状の節輪47の角部分には、節輪47の外面から凹陥する第1溝部55が設けられている。屈曲部全体をみたとき、第1溝部55は屈曲部19の軸に沿って延設され、第1溝部55には撮像ユニット21から引き出されて画像データをビデオプロセッサ43に伝送する信号線、電源ライン等を束ねた伝送ケーブル57が収納されている。ただし、屈曲部19が湾曲すると屈曲部19の外面では軸方向の長さが変化することから、伝送ケーブル57は第1溝部55に対して相対的に変位可能(即ち、屈曲部19の軸に沿って摺動可能)に収納されている。なお、第1溝部55が形成されている節輪47の角部分とは異なる他の角部分には第2溝部59が延設されている。
第2溝部59には、例えば硬性部23の先端に向けて照明光を伝送する光ファイバ束や、洗浄液を供給する送水管(いずれも図示せず)が収納される。また、図2に現れない背面側に、他の溝部を別途付加してもよく、硬性部23に撮像ユニット以外の機能部材を搭載する場合に、その機能部材が機械的な駆動力を必要とする場合(例えば機能部材が鉗子や超音波メスであるような場合)は、他の溝部にパイプを延設し、このパイプ内に挿通されたワイヤ等を介して駆動力を伝達してもよい。なお、屈曲部19の外周を柔軟性の高い被覆材(図示せず)で覆うようにしてもよい。
図3は、連結部15の基本構成及び連結部15の状態と屈曲部19の湾曲状態との関連を示す説明図である。図4は、連結部15を構成する牽引部材61及びワイヤガイド63を前方からみた概略構成図である。図3は、屈曲部19が直線状となっている状態(初期状態)を示している。以下、図3及び図4を用いて、屈曲部19が一方向(ここでは上下方向)に湾曲可能にされた基本構成について説明する。
連結部15は、連結部筐体65と、連結部筐体内に設けられた牽引部材61及びワイヤガイド63とで構成されている。牽引部材61を挟んで直線部17と反対側には、球体軸受67が把持部13から前方に突出するように設けられ、連結部筐体65は、その後部において球体軸受67の軸部分に第2軸33を軸とする回動及び前後方向への移動を規制された状態で固定され、その前部において第2軸33を軸として直線部17を回動自在に支持している。連結部筐体65によって、直線部17の軸は球体軸受67の軸(第2軸33)と常に一致するよう、即ち同軸度を維持されて支持されている。
図4に示すように、牽引部材61は前面視で円形状をなす円盤状の部材であって、図3に示すように、後方に設けられた静止部69と前方に設けられた回動部71とで構成される。静止部69は後方から球体軸受67によって支持されている。球体軸受67は、牽引部材61の全体が前後方向に移動することを規制する一方で、直線部17の軸(第2軸33)と直交する面に対して、牽引部材61(静止部69)を任意方向に傾斜可能に支持している。一方、回動部71は静止部69に対して相対的に回動可能とされている。
ワイヤガイド63は、主に第1定滑車73と第2定滑車75とで構成される部材であり、基本構成では、2つのワイヤガイド63が直線部17の上下に固定されている。
図3に示すように、牽引部材61の回動部71には、第2軸33を挟んで上下2カ所にガイド軸77が設けられる。ガイド軸77は、円盤状の回動部71に穿設した軸収容穴(図示略)内に設けられる。一方、直線部17の後端からは、軸収容穴に挿入される突出片部(図示略)が突設される。この突出片部には、前後方向に長い長孔としてのガイド孔79が形成される。回動部71のガイド軸77は、直線部17の後端から突出した突出片部のガイド孔79に係合されている。ガイド軸77とガイド孔79とは係合機構を構成する。この係合機構によって牽引部材61は直線部17の後端の側においても支持され、直線部17(第2軸33)に対して相対的に変位(傾斜)可能とされている。即ち、回動部71は、直線部17の軸と直交する面に対して傾斜可能で、かつ傾斜した状態で直線部17とともに回動する。
上述したように、直線部17は連結部筐体65によって球体軸受67との同軸度を維持され、一方で牽引部材61は球体軸受67によって傾斜可能とされているため、本実施形態の内視鏡11の構成によれば、連結部15の前後で把持部13(球体軸受67)と直線部17との相対的な位置関係は不変のまま(即ち、両者の同軸度が維持されたまま)で、連結部内において牽引部材61の傾斜方向及び傾斜角度が変化する。ただし、ガイド軸77とガイド孔79による係合構造が設けられることで、牽引部材61が傾斜可能な方向は限定される。
図3に示すように、牽引部材61の上部は、連結部15の内部において、コイルバネ等の弾性体で構成された付勢部材81によって常時後方に向けて付勢されており、他方、牽引部材61の下部は上述したリンク部材35を介して第1操作部27によって後方に牽引されている。
また、牽引部材61の外周部において、上方には第1制御ワイヤ83が、下方には第2制御ワイヤ85の始端が固定されている(以降、これらをまとめて制御ワイヤ53と呼称することがある)。制御ワイヤ53としては、例えばステンレスワイヤの撚糸等を好適に用いることができる。制御ワイヤ53は第1動力伝達部材を構成し、制御ワイヤ53の始端側は牽引部材61によって後方に牽引される。基本構成では、制御ワイヤ53は牽引部材61の外周部において、第2軸33を挟んで周方向に180゜離間した部位(例えば、上下方向の外周部)に始端が固定されている。制御ワイヤ53の固定位置に対応して牽引部材61の前方にワイヤガイド63が設けられている。
ワイヤガイド63は、直線部17の外周に相対変位不能に固定され、外周側に設けられた第1定滑車73と内周側に設けられた第2定滑車75とで構成される。制御ワイヤ53は、まず第1定滑車73によって外周側から内周側へと延伸方向を変えられ、次に第2定滑車75によって後方から前方へと延伸方向を変えられる。第2定滑車75によって延伸方向を前方に変えられた制御ワイヤ53は筒状の直線部17の中空部内を屈曲部19の基端39まで導かれ、次いで屈曲部19の内側に向けて突出したワイヤ導通片51(図2参照)の導通孔を順次経由して屈曲部19の遊端側に導かれる。
そして、図3に示すように、第1制御ワイヤ83の終端は、屈曲部19の遊端側の内面において、屈曲部19の上方に設けられた第1固定点87に固定され、同様に第2制御ワイヤ85は、屈曲部19の下方に設けられた第2固定点89に固定される。
図5は、複数の節輪47が連結された節輪構造体の拡大斜視図である。図6は、図5に示した節輪構造体の縦断面図である。
本実施形態の内視鏡11の屈曲部19は、硬性部23に遊端37が接続され、基端39との間で複数の節輪47が係合により連結されることによって節輪構造体が構成されている。節輪構造体は、それぞれの節輪47が相互に変位(回転)することで湾曲自在となる。
節輪同士の係合部49は、隣接する一方の節輪47から軸線方向に突出する外側係合片91と、隣接する他方の節輪47から軸線方向に突出する内側係合片93と、を有する。外側係合片91と、内側係合片93とは、一つの節輪47に一対ずつ設けられている。一対の外側係合片91は、節輪47の軸線方向一端側において、直径方向の両端側に設けられる。
一方、一対の内側係合片93は、節輪47の軸線方向他端側において、上述した直径方向と直交する直径方向の両端側に設けられる。つまり、外側係合片91と内側係合片93は、一つの節輪47において、軸線方向の両側で、90°回転された位置で配置されている。これにより、屈曲部19は、上述したように、節輪47を周方向に交互に90゜ずつずらして複数を連結することで、遊端37が基端39に対して任意の方向に湾曲可能な構造となっている。
この外側係合片91と内側係合片93とは、相互に重ね合わされて、鋲状部材95によって連結される。鋲状部材95は、頭部97と、この頭部97より小径の軸部99を有する。外側係合片91には、外側貫通穴101が穿設される。内側係合片93には、内側貫通穴103が穿設される。鋲状部材95は、外側貫通穴101から軸部99が貫通して、内側係合片93の内側貫通穴103に挿入される。この鋲状部材95は、外側係合片91又は内側係合片93の一方に接合される。外側貫通穴101を貫通し、内側貫通穴103に挿通された軸部99は、軸先端面105が内側係合片93の貫通穴開口面107と略同一面に配置される。
鋲状部材95の軸先端面105が、貫通穴開口面107と同一平面で配置された内側係合片93は、節輪47が所定の剛性を有していることで、半径方向の内側には若干量(内側係合片93の板厚み以下)の変形しか生じない。このため、軸先端面105から内側係合片93の内側貫通穴103が離脱することはない。
このように、鋲状部材95は、軸先端面105が、内側係合片93の貫通穴開口面107と略同一面に配置される。ここで、略同一面の「略」とは、軸先端面105は基本的に内側係合片93の貫通穴開口面107と同一面であるが、製造公差や組付公差によって貫通穴開口面107から軸先端面105が若干突出する程度のものは、軸先端面105と貫通穴開口面107とが同一面であることを含むものとする。
内視鏡11は、頭部97が、外側係合片91に接着又は溶接によって接合される。接着は、例えば接着剤によって行うことができる。また、接合は、ロー付けを含む。鋲状部材95と節輪47がステンレス鋼である場合、ロー付けは、例えば銀ローを用いることによって可能となる。また、溶接は、例えば超音波接合、抵抗溶接、レーザー溶接、ガス溶接等によって行うことができる。鋲状部材95と節輪47がステンレス鋼である場合、溶接は、例えばアルゴン溶接によって行うことができる。
図7(A)及び(B)は、鋲状部材95と係合部49の分解斜視図である。図8は、図6の係合部49における要部拡大図である。図7(A)は鋲状部材95の分解斜視図であり、図7(B)は係合部49の分解斜視図である。
内視鏡11は、外側係合片91の外側貫通穴101に、軸部99が螺合することによって頭部97が外側係合片91に接合されてもよい。即ち、軸部99には外側係合片91の厚みt分(図8参照)の雄ネジ109が形成され、外側貫通穴101にはこの雄ネジ109に螺合する雌ネジ111が形成される。この螺合によって、鋲状部材95は、螺合部分と頭部97とで、外側係合片91に固定(頭部97が外側係合片91に接合)される。
次に、上述した構成を有する本実施形態の内視鏡11の作用を説明する。
図9は、連結部15の基本構成及び連結部15の状態と屈曲部19の湾曲状態との関連を示す説明図である。
図3に示す屈曲部19の初期状態において、第1操作部27を操作して、牽引部材61の下部に後方に向けて操作力を付与すると、図9に示すように、牽引部材61は第1操作部27の操作量に応じて、第2軸33に直交する面に対して第3軸113を軸として角度θだけ傾斜する。牽引部材61の傾斜に伴って第2制御ワイヤ85が後方に牽引され、屈曲部19の遊端37の側において第2固定点89が牽引されて、最終的に屈曲部19は下方に向けて湾曲する。このとき、屈曲部19の湾曲に伴って、第1固定点87に接続された第1制御ワイヤ83は前方に向けて繰り出されることになる。
なお、牽引部材61によって制御ワイヤ53が引き出される長さ(以降、「牽引量」と呼称する)は、第3軸113を軸とする牽引部材61の傾斜角度と、制御ワイヤ53の始端が牽引部材61に固定されている位置と第3軸113(正確には、制御ワイヤ53の始端が固定されている面と第2軸33との交点)までの距離との両方によって決定される。従って、牽引部材61の外径を大きくすることによって牽引量が増大され、これによって屈曲部19の湾曲角度を大きくすることができる。牽引部材61が収納される連結部筐体65は体外にあるため、外径のサイズについては特に制限を受けることはない。
また、ここでは図3に示すように屈曲部19が湾曲していない状態を初期状態としているが、付勢部材81の張力を調整して、屈曲部19が上方に向けて湾曲する状態を初期状態としてもよい。このようにすることで、第1操作部27の操作によって、屈曲部19は上方に向けて湾曲した状態から図3に示す直線状態となり、更に操作を加えることで、図4に示すように下方に向けて湾曲した状態まで変位させることが可能となる。
また、連結部15の基本構成では、連結部筐体65の内部において、牽引部材61の上部は付勢部材81によって後方に付勢されるとしているが、牽引部材61の上部もリンク部材35と結合して、上下でプッシュプル構成としてもよい。このようにすることで、第1操作部27の操作に基づいて第1制御ワイヤ83を牽引して、図3に示す屈曲部19の初期状態から、屈曲部19を上方に向けて湾曲させることが可能となる。
また、例えば隣接する節輪47の間をバネ等の弾性部材(図示せず)で連結して、屈曲部19が初期状態として自律的に直線状態(あるいは上述した、上方に向けて湾曲した状態)を維持するように構成してもよい。この場合、制御ワイヤ53を牽引しない場合、屈曲部19は自身が備える弾性によって初期状態に復帰するため、屈曲部19の湾曲方向は一方向に限定されるものの、制御ワイヤ53は最低限1本で足りる。
図10(A)は、図6の係合部49における要部拡大図である。図10(B)は、比較例に係る係合部115の要部拡大図である。図10(C)は、図10(A)の作用を説明する縦断面図である。図10(D)は、図10(B)の作用を説明する縦断面図である。
本実施形態の内視鏡11では、図10(A)に示すように、頭部97より首下の軸部99が、外側係合片91の外側貫通穴101から貫通される。外側貫通穴101を貫通した軸部99は、外側係合片91に重ねられている内側係合片93の内側貫通穴103に挿入される。鋲状部材95は、外側係合片91又は内側係合片93の何れか一方に接合によって固定される。
例えば、外側係合片91に固定された鋲状部材95は、軸部99が、内側係合片93の内側貫通穴103に遊びを有して挿入される。これにより、外側係合片91と内側係合片93とは、軸部99を中心に相対回転自在となる。屈曲部19は、節輪47を周方向に交互に90゜ずつずらして複数が連結される。そのため、屈曲部19は、遊端37が基端39に対して任意の方向に湾曲が可能な構造となる。
このようにして係合部49を連結した鋲状部材95は、軸先端面105と貫通穴開口面107とが同一面となる。換言すれば、鋲状部材95は、内側貫通穴内の軸部99が、内側係合片93の厚さと同等の有効長さを有する。屈曲部19の外径が先端の硬性部23の外径と略同一に形成される場合であっても、鋲状部材95は、軸先端面105が節輪構造体の内方へ突出しない。
これにより、図10(C)に示すように、軸先端面105は、屈曲部内通路117に挿通される各種部材(例えば制御ワイヤ53)と干渉しない。そのため、屈曲部内通路117に存在する各種部材の機能を阻害しない。より具体的には、内視鏡11は、湾曲動作時において、制御ワイヤ53に擦れが生じないことから、制御ワイヤ53の耐久性を高めることができる。
図10(B)に示すように、鋲状部材119を内側貫通穴103から挿入して、内側貫通穴103及び外側貫通穴101を貫通させ、軸先端を拡開加工する比較例では、頭部97が内側係合片93の貫通穴開口面107から頭部97の厚み分ほど突出する。この比較例では、この頭部97に、図10(B)、(D)に示すようにして、制御ワイヤ53が干渉してしまう。これに対し、図10(C)に示した鋲状部材95で係合部49を連結した内視鏡11によれば、このような鋲状部材95と制御ワイヤ53との干渉が回避される。
鋲状部材95は、例えば頭部97が外側係合片91に接合によって固定されるので、従来構造のように、バーリング加工で突出部を形成し、更に、成形した突出部を塑性変形させて(潰して)固定を行う必要がない。このため、内視鏡11は、煩雑な塑性加工や、専用の加工機、専用の治具等を使わずに、簡素な工程で組立が可能となる。
また、内視鏡11では、鋲状部材95の軸部99が、外側貫通穴101に螺合する。すなわち、軸部99には外側係合片91の厚み分の雄ネジ109が形成され、外側貫通穴101にはこの雄ネジ109に螺合する雌ネジ111が形成される。この螺合によって、鋲状部材95は、螺合部分と頭部97とで、外側係合片91に固定(頭部97が外側係合片91に接合)される。この螺合による接合では、更に簡単な組立を可能にできる。また、鋲状部材95を螺合解除することにより、屈曲部19の節輪47が分離可能となる。これにより、分解によるメンテナンスも実現可能となる。
なお、上述した本実施形態では、鋲状部材95が、外側係合片91又は内側係合片93の一方に接合される一例として、鋲状部材95が外側係合片91に接合される場合を例に説明した。本実施形態の内視鏡11は、この他、図示は省略するが、鋲状部材95が、内側係合片93の内側貫通穴103に固定される構造であってもよい。内側係合片93と軸部99との固定は、接着又はスポット溶接などによる接合、あるいは螺合により行うことができる。螺合による場合、上述した鋲状部材95のネジ部と非ネジ部の関係を逆にした鋲状部材が用いられる。この例において、軸部99及び頭部97は、外側係合片91に固定されない。従って、鋲状部材95は、内側係合片93に固定された軸部99によって、外側係合片91を回転自在に支持する。この例によれば、軸部99からの内側係合片93の離脱を確実に防止することができる。
従って、本実施形態の内視鏡11によれば、組立てに塑性加工を伴わず、専用の冶具も不要となって、少ない工数で安価に組立できる。
以上の記載からして、本発明に係る内視鏡は次の事項を含むものである。
本発明の一実施形態は、挿入方向の先端に設けられる硬性部23と、硬性部23に遊端37が接続され基端39との間で複数の節輪47が係合により連結されることによって湾曲自在となる屈曲部19と、節輪同士の係合部49を構成する外側係合片91と内側係合片93を重ね合わせ、頭部97と前記頭部97より小径の軸部99を有し、外側係合片91に穿設される外側貫通穴101から軸部99が貫通して内側係合片93の内側貫通穴103に挿入され、外側係合片91又は内側係合片93の一方に接合されるとともに、軸先端面105が内側係合片93の貫通穴開口面107と略同一面に配置される鋲状部材95と、を具備することを特徴とする内視鏡11である。
この内視鏡11によれば、頭部97より首下の軸部99が、外側係合片91の外側貫通穴101から貫通される。外側貫通穴101を貫通した軸部99は、外側係合片91に重ねられている内側係合片93の内側貫通穴103に挿入される。鋲状部材95は、外側係合片91又は内側係合片93の何れか一方に接合によって固定される。係合部49を連結した鋲状部材95は、軸先端面105と貫通穴開口面107とが同一面となる。これにより、軸先端面105は、屈曲部内通路117に挿通される各種部材(例えば制御ワイヤ53)と干渉しない。そして、鋲状部材95は、例えば頭部97が外側係合片91に接合によって固定されるので、バーリング加工で突出部を形成し、更に、成形した突出部を塑性変形させて(潰して)固定を行う必要がない。このため、内視鏡11は、煩雑な塑性加工や、専用の加工機、専用の治具等を使わずに、簡素な工程で組立が可能となる。
また、本発明の一実施形態は、頭部97が外側係合片91に接着又は溶接によって接合されることを特徴とする内視鏡11である。
この内視鏡11によれば、鋲状部材95の頭部97が、接着又は溶接によって外側係合片91に接合される。鋲状部材95は、接着等によって外側係合片91に接合されることで、より簡単な組立が可能となる。
また、本発明の一実施形態は、外側係合片91の外側貫通穴101に、軸部99が螺合することによって頭部97が外側係合片91に接合されることを特徴とする内視鏡11である。
この内視鏡11によれば、鋲状部材95の軸部99が、外側貫通穴101に螺合する。この螺合によって、鋲状部材95は、螺合部分と頭部97とで、外側係合片91に固定(頭部97が外側係合片91に接合)される。この螺合による接合によれば、更に簡単な組立を可能にできる。また、鋲状部材95を螺合解除することにより、屈曲部19の節輪47が分離可能となる。これにより、分解によるメンテナンスも実現可能となる。
以上、図面を参照して各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。