第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機に流れる交流電流の状態を検出する電流状態検出手段と、前記電流状態検出手段の出力値に応じて前記電動送風機の通電量を制御する制御手段と、を備え、前記電流状態検出手段は、前記電動送風機に流れる交流電流波形を全波整流した信号波形を前記制御手段及び後述するピークホールド回路に出力する電流検出手段と、前記電流検出手段に接続され、前記電流検出手段から出力された信号波形のピーク値を平滑した信号波形を前記制御手段に出力するピークホールド回路とから構成されており、前記制御手段は、前記電流検出手段の出力値が予め定められた第1の基準値未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合
、前記電動送風機への通電量を所定の通電量まで低下させ、その後、前記電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満なった直前の前記ピークホールド回路の出力値に応じて前記電動送風機への通電量を制御する電気掃除機としたものである。
これにより、制御手段は、電流検出手段の出力値が予め定められた第1の基準値未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合、電動送風機への通電量を低下させるため、電流検出手段の出力値と第1の基準値との関係によって、電動送風機に流れる交流電流の波形のうち、少なくともその半波間が非通電状態となっている周期(以下、「半波抜け周期」という。)を精度よく検出することができるとともに、半波抜け周期の発生状況によって、モータスパークを精度よく判断することができ、電動送風機への通電量を安全な通電量まで低下させることができる。また、制御手段は、電動送風機への通電量を安全な通電量まで低下させたあと、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値に応じて電動送風機への通電量を制御しているため、電動送風機自体の異常によって発生したモータスパークと、電動送風機の吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークとを精度よく区別して検出することができ、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値に応じて電動送風機への通電量を最適に制御することができる。したがって、信頼性の高い電気掃除機を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、制御手段は、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値が予め定められた第2の基準値未満であり、かつ、前記電動送風機への通電量を低下させた後のピークホールド回路の出力値が予め定められた第3の基準値以上である場合には、前記電動送風機への通電量を増加させるものである。
これにより、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値と第2の基準値との関係により、電動送風機の吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークを精度よく検知することができるとともに、電動送風機の吸引風の風量の増加に応じて自動的に電動送風機への通電量を増加させることができるため、電気掃除機の信頼性を向上させることができるとともに電気掃除機の使い勝手を向上させることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、電動送風機の状態を使用者に報知する報知手段を備え、制御手段は、電流検出手段の出力値が第1の基準値未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合、電動送風機への通電量を低下させ、その後、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値に応じて報知手段を制御するものである。
これにより、電流検出手段の出力値と第1の基準値との関係によって、半波抜け周期を精度よく検出することができるとともに、半波抜け周期の発生状況によって、モータスパークを精度よく検出することができ、電動送風機への通電量を安全な通電量まで低下させることができる。また、電動送風機自体の異常によって発生したモータスパークと、電動送風機の吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークとを精度よく区別して検出することができ、電流検出手段の出力値が前記所定時間内において最初に第1の基準値未満となった直前のピークホールド回路の出力値に応じて報知手段を最適に制御することができるため、使用者に適切な処置を促すことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の電気掃除機の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の電気掃除機の実施の形態1について、図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体斜視図である。また、図2は
、本発明の電気掃除機の実施の形態1における操作部を示す詳細図である。さらに、図3は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における回路ブロック図である。
図1に示すように、電気掃除機100は、吸引風を発生させる電動送風機1aを内蔵する掃除機本体1と、被清掃面の塵埃を吸引する吸込具2と、一端が吸込具2に着脱自在に接続される伸縮自在或いは継ぎ自在の延長管3と、一端が延長管3の他端に着脱自在に接続され、他端が掃除機本体1の前部に設けられた吸入口1bに着脱自在に接続されるホース4と、から構成されている。
掃除機本体1の後部には、整流子モータ(図示せず)を有し、吸引風を発生させる電動送風機1aを内蔵する電動送風機室5が設けられている。また、電動送風機室5の上流側、すなわち、掃除機本体1の前部には、電動送風機1aで発生された吸引風によって吸引された塵埃を捕集する集塵部6が設けられている。また、掃除機本体1の後方の両側には、走行用の車輪7が回転自在に取り付けられている。さらに、掃除機本体1の下面の前方には、走行用のキャスター(図示せず)が回転自在に取り付けられている。また、掃除機本体1の後部には、商用電源15(図3参照)に接続され、後述する掃除機本体1内に配置された制御回路16(図3参照)に電源を供給するための電源コード17(図3参照)が配置されている。
吸込具2には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシ8と、この回転ブラシ8を回転駆動する駆動モータ9とが内蔵されている。
ホース4の延長管3側の端部には、使用者が掃除の際に保持する把手部10を有する先端パイプ11が設けられている。また、ホース4の掃除機本体1側の端部には、掃除機本体1の吸入口1bに着脱自在に接続される接続パイプ12が設けられている。
図1及び図2に示すように、把手部10には、使用者が電動送風機1aを動作させる運転モード(例えば強・中・弱・切等の吸込み力)を選択する操作部13が設けられている。操作部13は、強スイッチ13aと、中スイッチ13bと、弱スイッチ13cと、切スイッチ13dとから構成されている。また、操作部13には、電動送風機1aの状態を使用者に報知する報知手段14が配置されている。
図3に示すように、商用電源15には、電動送風機1aと、駆動モータ9と、商用電源15の電源波形のゼロクロスを検出し、後述する制御手段23に出力するゼロクロス検出回路18と、後述する制御手段23に電源を供給する電源回路19と、電動送風機1aに流れる交流電流の状態を検出する電流状態検出手段20とが接続されている。
電動送風機1aは、双方向性サイリスタA21及び駆動回路A22を介して制御手段23に接続されている。また、駆動モータ9は、双方向性サイリスタB24及び駆動回路B25を介して制御手段23に接続されている。制御手段23は、双方向性サイリスタA21及び双方向性サイリスタB24のトリガ位相角を制御することで電動送風機1a及び駆動モータ9への通電量を制御しており、双方向性サイリスタA21及び双方向性サイリスタB24は、それぞれ駆動回路A22及び駆動回路B25を介して制御手段23によって位相制御されるように構成されている。ここで、制御手段23が双方向性サイリスタA21及び双方向性サイリスタB24を位相制御する位相角は、制御手段23に接続された操作部13の各スイッチ(強スイッチ13a、中スイッチ13b、弱スイッチ13c、及び切スイッチ13d)からの入力信号に応じて決定されている。また、操作部13に配置された報知手段14は、各スイッチと同様に制御手段23に接続されており、制御手段23からの信号に基づいて、電動送風機1a状態を使用者に報知するように構成されている。
電流状態検出手段20は、電動送風機1aに流れる交流電流波形を全波整流した信号波形を制御手段23及び後述するピークホールド回路27に出力する電流検出手段26と、電流検出手段26に接続され、電流検出手段26から出力された信号波形のピーク値を平滑した信号波形を制御手段23に出力するピークホールド回路27とから構成されている。電流検出手段26は、商用電源15から電動送風機1aに交流電源が供給される電源供給ライン上に配置されており、双方向性サイリスタA21を介して電動送風機1aに接続されている。
以上のように構成された電気掃除機について、以下、図4及び図5を加えて、その動作及び作用を説明する。
図4(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における商用電源の電源波形図、図4(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるセロクロス検出回路の出力波形、図4(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における双方向性サイリスタに入力されるトリガパルスの波形図、図4(d)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における正常時に電動送風機に入力される交流電流の波形図、図4(e)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における正常時に電流状態検出手段から出力される出力波形図、図4(f)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機自体の異常によるによりモータスパークが発生した時の電動送風機に入力される交流電流の波形図、図4(g)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機自体の異常によるモータスパークが発生した時に電流状態検出手段から出力される出力波形図、図4(h)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における一過性のモータスパークが発生した時に電動送風機に入力される交流電流の波形図、図4(i)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における一過性のモータスパークが発生した時に電流状態検出手段から出力される出力波形図である。また、図5(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における商用電源の電源波形を示す詳細波形図、図5(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるセロクロス検出回路の出力波形を示す詳細波形図、図5(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における双方向性サイリスタに入力されるトリガパルスの詳細波形図、図5(d)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における正常時の電流状態検出手段の出力波形を示す詳細波形図、図5(e)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機自体の異常によるによりモータスパークが発生した時の電流状態検出手段の出力波形を示す詳細波形図、図5(f)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における一過性のモータスパークが発生した時の電流状態検出手段の出力波形を示す詳細波形図である。
ここで、図4(e)、図4(g)、図4(i)、及び図5(d)〜(f)に示す波形は、電流状態検出手段20から出力される出力波形であり、図4(e)、図4(g)、図4(i)、及び図5(d)〜(f)中の実線で示す波形が電流検出手段26から出力される出力波形であり、図4(e)、図4(g)、図4(i)、及び図5(d)〜(f)中の一点鎖線で示す波形がピークホールド回路27から出力される出力波形である。
使用者が電源コード17を商用電源15に接続し、電気掃除機100の運転を開始すると、電動送風機1aで吸引風が発生され、吸込具2の下面に形成された吸引口(図示せず)から被清掃面の塵埃が吸引される。吸込具2によって吸引された塵埃は、延長管3及びホース4を介して掃除機本体1内へと流入し、集塵部6で捕集される。
図4及び図5に示すように、電源コード17が商用電源15に接続されたとき、トリガパルスは常時オフ状態であり、電動送風機1aは停止状態であるため、電動送風機1aに流れる交流電流の電流波形は0Vとなる。
電源コード17が商用電源15に接続された状態で使用者によって操作部13の各スイ
ッチ(強スイッチ13a、中スイッチ13b、弱スイッチ13c、及び切スイッチ13d)が押されると、制御手段23は、各スイッチに対応したトリガパルスを、駆動手段A22を介して双方向性サイリスタA21に入力し、電動送風機1aの入力が各スイッチに対応した入力となるように電動送風機1aへの通電量を制御している。
すなわち、電源コード17が商用電源15に接続された状態で使用者によって操作部13の各スイッチが押されると、制御手段23は、使用者が強スイッチ13a、中スイッチ13b、弱スイッチ13c、及び切スイッチ13dのうちのどのスイッチを選択したかを判断し、使用者が選択した各スイッチに対応したトリガパルスを、駆動回路A22を介して双方向性サイリスタA21に入力する。双方向性サイリスタA21にトリガパルスが入力されると、双方向性サイリスタA21が導通し、電動送風機1aに交流電流が流れ、次のゼロクロスで交流電流が遮断される。このとき、図5に示すように、制御手段23は、駆動回路A22を介して双方向性サイリスタA21に入力するトリガパルスの位相角t1を制御することで、使用者が選択した各スイッチに対応した入力で電動送風機1aが動作するように制御している。ここで、トリガパルスの位相角t1は、ゼロクロス検出回路18が商用電源15の電源波形のゼロクロスを検出してからトリガパルスをオフするまでの時間である。
本実施の形態においては、制御手段23は、使用者によって操作部13のどのスイッチが選択されたかを判断し、使用者によって選択された各スイッチに対応した入力で電動送風機1aが動作するように、トリガパルスの位相角を決定し、駆動手段A22に信号を出力しており、各運転スイッチ(強スイッチ13a、中スイッチ13b、及び弱スイッチ13c)とトリガパルスの位相角t1及び電動送風機1aの入力との関係を表1に示す。なお、制御手段23は、電動送風機1aが駆動している際に、使用者により切スイッチ13dが選択された場合には、駆動手段A22を介して双方向性サイリスタA21に入力するトリガパルスの出力を常時オフ状態にすることで、電動送風機1aを停止させている。
図5に示すように、制御手段23は、電動送風機1aが駆動している間は、常に、トリガパルスがオンしてから所定時間t3後の電流検出手段26及びピークホールド回路27の出力波形をモニターしている。制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paが予め定められた第1の基準値T1未満であった場合は、電動送風機1aに流れる交流電流の波形のうち、少なくともその半波間が非通電状態となっている周期(以下、「半波抜け周期」という。)が存在すると判断するとともに、半波抜け周期が存在すると判断した回数を所定時間積算する。そして、制御手段23は、この積算値を用いてモータスパークの発生の有無を判断しており、半波抜け周期が存在すると判断した回数を積算した積算値が予め定められた所定時間内に第1の基準回数以上する場合には、モータスパークが存在すると判断し、電動送風機1aへの通電量を低下させるように制御している。
ここで、本実施の形態においては、所定時間t3を1ms、第1の基準値T1を0.1Vに設定しており、制御手段23は、トリガパルスがオンしてから1ms後の電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満である場合には、半波抜け周期が存在すると判断している。また、本実施の形態においては、制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満となった回数、すなわち、半波抜け周期が存在すると判断した回数を積算しており、この積算値を用いてモータスパークの発生の有無を判断している。具体的には
、制御手段23は、半波抜け周期が存在すると判断した回数を積算するとともに、1秒毎にこの積算値を用いてモータスパークの発生の有無を判断しており、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が3回未満であれば、モータスパークではないと判断し、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が3回以上であれば、モータスパークであると判断するとともに電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させるように制御している。
そして、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させた後、トリガパルスがオンしてから所定時間t3後のピークホールド回路27の出力値Pbに応じて電動送風機1aへの通電量を制御している。すなわち、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが予め定められた第2の基準値T2未満である場合には、電動送風機1aで発生された吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークであると判断し、報知手段14を点滅させ使用者に報知するとともに、使用者によって電動送風機1aで発生された吸引風の風量低下の原因が取り除かれ、ピークホールド回路27の出力値Pbが予め定められた第3の基準値以上となった場合、すなわち、電動送風機1aで発生された吸引風の風量が増加した場合には、電動送風機1aへの通電量を、電動送風機1aの通電量を200Wに低下させる前の通電量へと増加させるように制御している。また、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが第2の基準値T2以上である場合には、電動送風機1a自体の異常によって発生したモータスパーク(以下、異常スパークという。)であると判断し、報知手段14を点灯させるとともに、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが第2の基準値T2以上となった回数を積算するとともに、この積算値が予め定められた第2の基準回数以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を200W未満に低下、または、電動送風機1aへの通電量を停止させるように制御する。
ここで、本実施の形態においては、第2の基準値を1.5V、第3の基準値を1.0Vに設定しており、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V未満である場合には、一過性のモータスパークであると判断し、報知手段14を点滅させ使用者に報知するとともに、使用者によって電動送風機1aで発生された吸引風の風量低下の原因が取り除かれ、ピークホールド回路27の出力値Pbが1.0V以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を、電動送風機1aの通電量を200Wに低下させる前の通電量へと増加させるように制御している。また、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V以上である場合には、異常スパークであると判断し、報知手段14を点灯させるとともに、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが、1.5V以上となった回数を積算するとともに、この積算値が3回以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を停止させ、以降は電気掃除機100を運転できないように制御している。
以下、本実施の形態における制御手段23の制御フローについて、図6を用いて具体的に説明する。
図6は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電気掃除機の制御フローチャートである。
制御手段23は、使用者により電源コード17が商用電源15に接続されると、制御手段23内の全カウンタをリセットする(ステップ0)。ここで、全カウンタとは、電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満となった回数を積算するカウンタA及び電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが、1.5V以上となった回数を積算するカウンタBである。
制御手段23は、全カウンタをリセットした後、使用者が操作部13の各スイッチ(強スイッチ13a、中スイッチ13b、弱スイッチ13c、及び切スイッチ13d)が選択されたかどうかを判断し、各スイッチに応じた制御を行う(ステップ2)。
すなわち、制御手段23は、使用者により、強スイッチ13a、中スイッチ13b、及び、弱スイッチ13c(以下、運転スイッチという。)が選択されていることを検知した場合には、カウンタBの積算値が3回以上であるかどうかを判断する。そして、カウンタBの積算値が3回未満である場合には、電動送風機1aの入力が各運転スイッチに対応した入力となるように、上述の表1に示すテーブルに基づいて、トリガパルスの位相角t1を設定し、駆動手段A22を介して双方向性サイリスタA21を制御するとともに、報知手段14の消灯及び異常スパークフラグのクリアを行い、ステップ3へと進む。また、使用者により、運転スイッチが選択されておらず、切スイッチ13dが選択されている場合には、電動送風機1aの運転を停止させるように、駆動手段A22を介して双方向性サイリスタA21に入力するトリガパルスの出力を常時オフ状態にし、ステップ3へと進む。さらに、使用者により、運転スイッチ及び切スイッチ13dともに選択されていない場合には、ステップ3へと進む。ここで、異常スパークフラグとは、後述するステップ10でセットされるフラグであり、一過性ではない異常スパークが発生していることを示すフラグである。
ステップ3において、制御手段23は、電動送風機1aが駆動しているかどうかの判断を行い、電動送風機1aが駆動していない場合には、カウンタA及び秒タイマをリセットし、ステップ2へと進む。また、電動送風機1aが駆動している場合にはステップ4へと進む。ここで、秒タイマとは、電動送風機1aの運転中に動作するタイマであり、後述するステップ7以降で行う異常スパークの判定周期(1秒)を計測するものである。
本実施の形態においては、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが、1.5V以上となった回数の積算値が3回以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を停止させ、以降は電気掃除機100を運転できないように制御しているため、ステップ2において、使用者により運転スイッチが選択された場合で、かつ、カウンタBの積算値が3回以上である場合には、ステップ1へと進むように構成されている。
ステップ4において、制御手段23は、トリガパルスがオンしてから1ms後の電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満であるかどうかの判断を行っており、半波抜け周期が存在する場合、すなわち、トリガパルスがオンしてから1ms後の電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満である場合には、半波抜けフラグをセットするとともに、カウンタAによって積算を開始する。また、制御手段23は、トリガパルスがオンしてから1ms後の電流検出手段26の出力値Paが0.1V以上である場合には、ステップ5へと進み、電動送風機1aが200Wで駆動されているかどうかを判断する。ここで、半波抜けフラグとは、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満となった直前のピークホールド回路27の出力値Pbを記憶するためにステップ6で使用されるものである。
ステップ5において、電動送風機1aが200Wで運転されている場合、制御手段23
は、異常スパークフラグの有無を検出する。そして、異常スパークフラグが存在する場合には、ステップ7へと進む。また、異常スパークフラグが存在しない場合には、ピークホールド回路27の出力値Pbが1.0V以上であるかどうかを判断する。ピークホールド回路27の出力値Pbが1.0V未満である場合には、ステップ7に進む。また、ピークホールド回路27の出力値Pbが1.0V以上である場合には、電動送風機1aへの通電量を200W以下に低下させる前の通電量となるように、上述の表1に示すテーブルに基づいて、トリガパルスの位相角t1を設定し、駆動手段A22を介して双方向性サイリスタA21を制御するとともに、報知手段14を消灯し、ステップ7に進む。
ステップ5において、電動送風機1aが200Wで運転されていない場合、制御手段23は、半波抜けフラグの有無を検出し、半波抜けフラグがある場合にはステップ7に進むとともに、半波抜けフラグがない場合には、ピークホールド回路27の出力値Pbを記憶し、ステップ7に進む。なお、ここで記憶したピークホールド回路27の出力値Pbは、後述するステップ10において、一過性のモータスパークであるかどうかの判定に使用する。
ステップ7において、制御手段23は、秒タイマが1秒かどうか、すなわち、カウンタAによる積算を開始してから1秒経過したかどうかを判断し、1秒経過していれば、秒タイマをリセットするとともに、ステップ8へと進み、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値に基づいて、モータスパークの発生の有無を判断する。また、秒タイマが1秒で経過していない場合には、ステップ1へと進む。
ステップ8において、制御手段23は、カウンタAのカウント値、すなわち、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が1秒間に3回以上であれば、モータスパークであると判断するとともに電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させるように制御し、ステップ10へと進む。また、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が1秒間に3回未満であれば、モータスパークではないと判断し、ステップ9へと進む。
ステップ9において、制御手段23は、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が0回であるかどうかを判断しており、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が0回である場合には、半波抜けフラグをクリアするとともに、カウンタAをリセットし、ステップ1へと進む。また、半波抜け周期が存在すると判断した回数の積算値が0回でない場合には、カウンタAをリセットし、ステップ1へと進む。
ステップ10において、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbに応じた処理を行う。すなわち、制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V以上である場合、すなわち、電動送風機1aで発生された吸引風の風量が通常範囲であった場合、異常スパークであると判断し、報知手段14を点灯させ、異常スパークフラグをセットするとともに、カウンタBにより、異常スパークの発生回数、すなわち、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V以上になった回数をカウントし、ステップ11に進む。また、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V未満である場合には、一過性のモータスパークであると判断し、報知手段14を点滅させ使用者に報知するとともに、カウンタAをリセットし、ステップ1へと進む。
ステップ11において、制御手段23は、カウンタBでカウントしている異常スパークの発生回数が3回以上であるかどうかを判断し、異常スパークの発生回数が3回以上であ
る場合には、電動送風機1aへの通電量を停止させるとともに、カウンタAをリセットし、以降、電気掃除機100を運転できないように制御したあと、ステップ1へと進む。また、カウンタBでカウントしている異常スパークの発生回数が3回未満である場合には、カウンタAをリセットし、ステップ1へと進む。ここで、本実施の形態においては、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが1.5V以上となった回数の積算値が3回以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を停止させ、以降は電気掃除機100を運転できないように制御しているため、カウンタBのカウント値が3回以上である場合、ステップ1及びステップ2において、使用者が運転スイッチを操作しても電動送風機1aは動作しないように構成している。
なお、本実施の形態においては、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満となった直前のピークホールド回路27の出力値Pbをステップ6で記憶しており、記憶した出力値Pbは、電流検出手段26の出力値Paが最初に0.1V未満となってから1秒の間、電流検出手段26の出力値Paが0.1V未満とならない状態が継続するまで固定される。
以上のように、本実施の形態においては、制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paが第1の基準値T1未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合、電動送風機1aへの通電量を低下させるため、電流検出手段26の出力値Paと第1の基準値との関係によって、半波抜け周期を精度よく検出することができるとともに、半波抜け周期の発生状況によって、モータスパークを精度よく検出することができ、電動送風機1aへの通電量を安全な通電量まで低下させることができる。また、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を安全な通電量まで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満となった直前のピークホールド回路27の出力値Pbに応じて電動送風機1aへの通電量を制御しているため、電動送風機1a自体の異常によって発生したモータスパークと、電動送風機1aの吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークとを精度よく区別して検出することができ、電流検出手段26の出力値Pbが最初に第1の基準値T1未満となった直前のピークホールド回路27の出力値Pbに応じて電動送風機1aへの通電量を最適に制御することができる。したがって、信頼性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、本実施の形態においては、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが第2の基準値T2以上である場合には、異常スパークであると判断し、報知手段14を点灯させるとともに、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが第2の基準値T2以上となった回数を積算するとともに、この積算値が第2の基準値回数以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を低下または停止させているため、電気掃除機の安全性を向上させることができるとともに電気掃除機の信頼性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態においては、制御手段23は、電動送風機1aへの通電量を200Wまで低下させたあと、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満なった直前のピークホールド回路27の出力値Pbが第2の基準値T2未満である場合には、一過性のモータスパークであると判断し、報知手段14を点滅させ使用者に報知するとともに、使用者によって電動送風機1aで発生された吸引風の風量低下の原因が取り除かれ、ピークホールド回路27の出力値Pbが第3の基準値以上となった場合には、電動送風機1aへの通電量を、電動送風機1aの通電量を200Wに低下させる前の通電量へと増加させるように制御しているため、使用者によって電動送風機1aで発生された吸引
風の風量低下の原因が取り除かれた場合には、自動的に電動送風機1aの通電量を増加させることができ、電気掃除機の使い勝手を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、電流検出手段26の出力値Paが第1の基準値T1未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合、電動送風機1aへの通電量を低下させ、その後、電流検出手段26の出力値Paが最初に第1の基準値T1未満となった直前のピークホールド回路27の出力値Pbに応じて報知手段14による報知をおこなっているため、使用者に適切な処置を促すことができる。
なお、本実施の形態においては、第1の基準値を0.1V、第2の基準値を1.5V、第3の基準値を1.0Vに設定した構成について説明したが、第1の基準値、第2の基準値、及び、第3の基準値は、それぞれ、電流検出手段26の出力値Paに基づいて半波抜け周期を検出できる値、ピークホールド回路27の出力値Pbに基づいて異常スパークを検出できる値、電動送風機1aで発生された吸引風の風量が増加したことが検出できる値に設定されていればよく、電気掃除機の使用環境、電動送風機への通電量、整流子モータの整流子とブラシとの接触面積等を考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定していればよい。
また、本実施の形態においては、制御手段23がモータスパークの有無を判断する回数である第1の基準回数、及び、制御手段23が電動送風機への通電量を低下または停止させる回数である第2の基準回数ともに3回で設定したが、第1の基準回数及び第2の基準回数は、電動送風機の安全性を確保できる回数に設定されていればよく、電気掃除機の使用環境、電動送風機への通電量、整流子モータの整流子とブラシとの接触面積等を考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定していればよい。
さらに、本実施の形態においては、制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paが第1の基準値T1未満となる回数が所定時間内に第1の基準回数以上存在している場合、電動送風機1aへの通電量を200Wに低下させる構成について説明したが、電動送風機1aへの通電量は電動送風機1aの安全性を確保できる通電量であればよく、電気掃除機の使用環境、整流子モータの整流子とブラシとの接触面積等を考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定していればよい。
以上、本発明の実施の形態1の電気掃除機について説明したが、本発明の電気掃除機は上述した実施の形態1の電気掃除機に限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態1においては、電流検出手段26とピークホールド回路27とで電流状態検出手段20を構成し、制御手段23が、電流検出手段26の出力値Paと第1の基準値T1との関係に基づいて、半波抜け周期の有無及びモータスパークの発生の有無を判断するとともに、ピークホールド回路27の出力値Pbと第2の基準値T2とに基づいて、モータスパークの種類(電動送風機1a自体の異常によって発生したモータスパークか、電動送風機1aの吸引風の風量低下によって発生した一過性のモータスパークか)を判断する構成について説明したが、制御手段23は、ピークホールド回路27の出力値Pbと第1の基準値T1及び第2の基準値と関係に基づいて、半波抜け周期の有無、モータスパークの発生の有無、及び、モータスパークの種類を判断してもよい。この場合、第1の基準値T1は、ピークホールド回路27の出力値Pbに基づいて、半波抜け周期の有無が検出できる値に設定されていればよく、電動送風機への通電量、整流子モータの整流子とブラシとの接触面積、異常スパーク及び一過性のモータスパークの発生時におけるピークホールド回路27の出力波形等を考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定していればよい。
また、制御手段23は、電流検出手段26の出力値Paと第1の基準値T1及び第2の基準値と関係に基づいて、半波抜け周期の有無、モータスパークの発生の有無、及び、モータスパークの種類を判断してもよい。この場合、第2の基準値T2は、電流検出手段26の出力値Paに基づいて、モータスパークの種類が判別できる値に設定されていればよく、電動送風機への通電量、整流子モータの整流子とブラシとの接触面積、異常スパーク及び一過性のモータスパークの発生時における電流検出手段26の出力波形等を考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定していればよい。これにより、制御回路16の部品点数を削減することができるとともに、簡単な構成で精度よく半波抜け周期の有無、モータスパークの発生の有無、及び、モータスパークの種類を判断することができ、信頼性の高い電気掃除機を提供することができる。
さらに、本実施の形態においては、制御手段23が、電流検出手段26の出力値Paと第1の基準値T1との関係に基づいて、半波抜け周期の有無及びモータスパークの発生の有無を判断するとともに、ピークホールド回路27の出力値Pbと第2の基準値T2とに基づいて、モータスパークの種類を判断する構成について説明したが、制御手段23は、ピークホールド回路27の出力波形の傾き、すなわち、ピークホールド回路27の出力波形における出力値の低下速度に基づいてモータスパークの種類を判断してもよく、この場合においても、上述した実施の形態1と同様の制御を行うことができ、半波抜け周期の有無、モータスパークの発生の有無、及び、モータスパークの種類を精度よく判断することができるため、信頼性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、本実施の形態においては、モータスパークが電動送風機1aの吸引風の風量低下によって発生した一過性のものであるかどうかの判断を、ピークホールド回路27の出力値Pbを用いて行っているが、電動送風機1aの回転数を検出する回転数検知手段や、集塵部6の真空度または圧力を検出する集塵部検知手段や、電動送風機1aの風量を検出する風量検知手段を設け、それらを用いて判断してもよい。この構成においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができ、信頼性の高い電気掃除機を提供することができる。