JP5878812B2 - リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5878812B2
JP5878812B2 JP2012092649A JP2012092649A JP5878812B2 JP 5878812 B2 JP5878812 B2 JP 5878812B2 JP 2012092649 A JP2012092649 A JP 2012092649A JP 2012092649 A JP2012092649 A JP 2012092649A JP 5878812 B2 JP5878812 B2 JP 5878812B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
secondary battery
ion secondary
lithium ion
electrode active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012092649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013222567A (ja
Inventor
尚貴 木村
尚貴 木村
栄二 關
栄二 關
心 高橋
高橋  心
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2012092649A priority Critical patent/JP5878812B2/ja
Publication of JP2013222567A publication Critical patent/JP2013222567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5878812B2 publication Critical patent/JP5878812B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
近年、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が着目され、その研究開発及び商品化が急速に進められた結果、現在では、携帯電話やノートパソコン向けに小型民生用リチウムイオン二次電池が幅広く普及している。さらに、地球温暖化や燃料枯渇の問題から、電気自動車(EV)や駆動力の一部を電気モーターで補助するハイブリッド電気自動車(HEV)が各自動車メーカーで開発され、その電源として高容量で高出力のリチウムイオン二次電池が求められている。リチウムイオン二次電池が市場で普及するためには、高い安全性が必要不可欠である。
電池の安全性は、JIS(日本工業規格)、SAE(米国自動車技術者協会)、EUCAR(欧州)規格など、各国それぞれの規格により判定されている。基本的に、各規格の安全性試験は、速度や時間などの条件が異なるものの、釘刺し試験、針刺し試験、圧壊(縦・横方向)試験、外部短絡試験、加熱試験、過放電試験、過充電試験から成り、発火破裂の有無などにより安全性を判定している。
これらの試験の中で最も難易度が高いのは、過充電試験と考えられている。過充電の挙動は、電圧の影響で電解液の分解が始まり、徐々に温度が上昇し、約70℃程度でSEI(Solid Electrolyte Interphase)と呼ばれる電極表面を覆う膜の溶解再生成反応が始まり、さらに温度が上昇するというものである。そして、電圧と温度の2つの影響で、正極の熱分解が生じる。一般に、層状構造の正極は、電圧と温度の影響により、まずスピネル構造へ変化し、その後、岩塩構造へと変化すると考えられている(非特許文献1、2)。この正極の熱分解は、発熱量が大きいため、過充電によって発火を引き起こすものと考えられている。
この過充電への対策として、従来のリチウムイオン二次電池では、過充電特性を向上させるための技術的改良が行われている。例えば、特許文献1には、比較的熱安定性の高いオリビン構造を有する正極活物質(たとえば、LiFePOなど)を用いるリチウムイオン二次電池が開示されている。また、特許文献2には、層状構造を有する正極活物質に、AlやMgを金属サイトに置換させて混合し、正極の酸素脱離開始温度(正極の熱分解が始まる温度)を高くする方法が開示されている。
特開2010−231958号公報 特許4271448号公報
M.Guilmard, L.Croguennec, D.Denux, C.Delmas, Chemistry of Materials., 15, 4476(2003). K. K. Lee, W. S. Yoon, K. B. Kim, K. Y. Lee, S. T. Hong, Journal of Power Sources, 97-98 321 (2001).
上述のように、過充電特性の向上のために種々の技術的改良が行われている。しかし、特許文献1や特許文献2に開示された正極活物質では、Niが含まれていないため、またはNi含有量が少ないため、高容量の電池を期待できない。また、特許文献2に開示された正極活物質は、過充電時における正極の酸素脱離開始温度を高くして発熱が生じるのを遅らせているが、やがて酸素脱離開始温度に達して発熱することが予想される。このように、従来の技術では、正極活物質にNiを含む高容量のリチウムイオン二次電池に対して、過充電特性を向上させ、過充電を抑止することが課題であった。
本発明は、正極活物質にNiを含む高容量のリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法を提供することを目的とする。
本発明によるリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法は、一般式LiNi(1−a−b)(式中、0.7≦a<1、0≦b<0.3、Xは少なくとも1種類の任意の遷移金属、YはMo及びWのうち少なくとも1種類)で表される正極活物質を有しリチウムイオンを吸蔵放出できる正極と、リチウムイオンを吸蔵放出できる負極と、熱収縮してリチウムイオンの移動を遮断できるセパレータとを備えるリチウムイオン二次電池の過充電の初期に、前記正極活物質が酸素脱離を起こし、前記正極活物質の酸素脱離による発熱で前記セパレータが熱収縮して充電電流を遮断することを特徴とする。
本発明によると、正極活物質にNiを含む高容量のリチウムイオン二次電池において、容易に過充電を抑止することができる。
ラミネートセルが備える積層型の電極群の分解図。 実施例で用いた正極活物質と比較例で用いた正極活物質を示す表。 ラミネートセルの分解斜視図。 ラミネートセルA(セルの内部温度は25℃で一定)の過充電結果を示す表。 ラミネートセルAの正極(実施例1、2と比較例1〜4)の酸素脱離挙動を示す表。 ラミネートセルAの正極(実施例3、4と比較例5)の酸素脱離挙動を示す表。 ラミネートセルB(実施例1、2と比較例1〜4)の過充電結果を示す表。 ラミネートセルB(実施例3、4と比較例5)の過充電結果を示す表。
本発明によるリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法では、リチウムイオン二次電池は、正極活物質として、高容量が期待できるNiを含み、結晶構造が層状構造(層状型)であり、Ni系層状構造に特異的な挙動を示す異種元素であるMo及びWのうち少なくとも1種類で金属サイトを置換したものを用いる。このような正極活物質を用いることにより、正極の酸素脱離量や酸素脱離速度を低減し、かつ正極の酸素脱離開始温度(正極の熱分解が始まる温度)を低くする。正極は過充電初期の低温状態で熱分解を起こすが、この低温状態での熱分解の熱量でセパレータを熱収縮させ、リチウムイオンの移動を遮断し、電流を遮断させて過充電を抑止する。
以下、本発明によるリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法の実施例を説明する。本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例では、リチウムイオン二次電池として、電極群が積層型でラミネートフィルムに封入されたラミネート型の電池(ラミネートセル)を例に挙げて説明している。ただし、リチウムイオン二次電池の構造は、これに限定されるものではない。例えば、電極群が捲回型であってもよく、電極群が金属缶に封入された電池でもよい。
なお、本明細書では、ラミネートセルを4.2V〜2.5Vで充電したときの容量を、SOC(State of charge、電気容量に対する充電量)が100%であると定義する。ラミネートセルの充電状態は、SOCで表すことができる。
(ラミネートセルの作製)
初めに、作製したラミネートセルについて説明する。
図1は、ラミネートセルが備える積層型の電極群の分解図である。積層型の電極群は、板状の正極5と、板状の負極6とが、セパレータ7に挟まれて積層されている。正極5と負極6は、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる。セパレータ7は、正極5と負極6を隔離するとともに、リチウムイオンを透過させる。セパレータ7は、後述するように、熱収縮するとリチウムイオンの移動を遮断する。
正極5は、正極集電箔としてアルミニウム箔を有する。アルミニウム箔の両面には、正極活物質合剤が塗工される。正極活物質としては、一般式LiNi(1−a−b)(式中、0.7≦a<1、0≦b<0.3、Xは少なくとも1種類の任意の遷移金属、YはMo及びWのうち少なくとも1種類)で表されるものを用いる。MoやWは、価数が高いため、酸素との結合が強くなり、正極の酸素脱離量及び酸素脱離速度を低減できる効果があり、さらに正極の酸素脱離開始温度を低くする効果がある。これは、MoやWの全てが酸素と結合できるわけではなく、一部は酸素と強く結合し、一部は酸素と弱く結合するために、上記のような効果を奏すると考えられる。また、この効果は、エネルギーの高いNiの含有量が多い場合にのみ(上記の一般式において、aが0.7以上の場合にのみ)得られる。
図2は、実施例で用いた正極活物質と比較例で用いた正極活物質を示す表である。後述するように、図2に示した正極活物質を用いて、実施例と比較例に示すラミネートセルを作製した。これらの正極活物質の結晶構造は、ラミネートセルを充電する前では層状型である。
実施例1、2の正極活物質は、Niの含有量が上記の一般式でa=0.7であり、遷移金属としてCoとMnを含む(上記の一般式で、XがCoとMnであり、b=0.26)。さらに、実施例1の正極活物質はMoを含み(上記の一般式で、YがMo)、実施例2の正極活物質はWを含む(上記の一般式で、YがW)。実施例3、4の正極活物質は、Niの含有量が上記の一般式でa=0.96であり、遷移金属Xを含まない(上記の一般式でb=0)。さらに、実施例3の正極活物質はMoを含み、実施例4の正極活物質はWを含む。実施例3、4の正極活物質は、Niの含有量が100%(上記の一般式でa=1、b=0)の正極活物質において、Niの一部をMoまたはWで置換したものである。
比較例1〜3の正極活物質は、Niの含有量が上記の一般式でa=0.6であり、遷移金属としてCoとMnを含む(上記の一般式で、XがCoとMnであり、比較例1はb=0.4、比較例2、3はb=0.36)。さらに、比較例2の正極活物質はMoを含み(上記の一般式で、YがMo)、比較例3の正極活物質はWを含む(上記の一般式で、YがW)。比較例4の正極活物質は、Niの含有量が上記の一般式でa=0.7であり、遷移金属としてCoとMnを含み(上記の一般式で、XがCoとMnであり、b=0.3)、MoとWを含まない。比較例5の正極活物質は、Niの含有量が上記の一般式でa=1であり、遷移金属Xを含まず(上記の一般式でb=0)、MoとWも含まない。すなわち、比較例5の正極活物質は、Niの含有量が100%の正極活物質である。
実施例1、2の正極活物質と比較例1〜4の正極活物質とを比較することによって、Niの含有量が多い場合の効果と、MoまたはWを含有させた効果とを調べることができる(後述する図5Aと図6Aを参照)。また、実施例3、4の正極活物質と比較例5の正極活物質とを比較することによって、Niの一部をMoまたはWで置換した効果を調べることができる(後述する図5Bと図6Bを参照)。
上記の実施例では、一般式LiNi(1−a−b)において、遷移金属XがCoとMnの両方から成る場合について検討した。ただし、XがCoのみから成る場合や、XがMnのみから成る場合も、XがCoとMnの両方から成る場合と同様の効果を得ることができる。さらに、遷移金属Xは、Co及びMnのうち少なくとも1種類に限られない。遷移金属Xとしては、任意の遷移金属のうち少なくとも1種類を用いることができる。例えば、Co、Mn、Ti、Al、Mg、V、Fe、Cu、Sn、Zn、及びBのうち、少なくとも1種類を遷移金属Xとして用いることができる。
また、上記の実施例では、YがMoのみから成る場合と、YがWのみから成る場合について検討した。ただし、YがMoとWの両方から成る場合も、YがMoのみから成る場合やYがWのみから成る場合と同様の効果を得ることができる。
正極活物質合剤には、図2に示した正極活物質、炭素材料の導電材、及びポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略記する。)のバインダ(結着材)を用いた。正極活物質と導電材とバインダの重量比率は、順に90:5:5である。正極活物質合剤のアルミニウム箔への塗工量は、120g/mである。正極活物質合剤の塗工時には、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」と略記する。)等の分散溶媒で、正極活物質合剤の粘度を調整する。また、アルミニウム箔の一部には正極活物質合剤を塗工せず、正極未塗工部3を形成する(図1を参照)。すなわち、正極未塗工部3では、アルミニウム箔が露出している。
アルミニウム箔は、塗工した正極活物質合剤の乾燥後にロールプレスされる。これにより、正極5が作製される。正極5の密度は、ロールプレスにより調整でき、2.8g/cmとした。
負極6は、負極集電箔として銅箔を有する。銅箔の両面には、負極活物質合剤が塗工される。負極活物質には、人造黒鉛を用いた。負極活物質としては、人造黒鉛以外にも、リチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な材料を用いることができ、例えば、天然黒鉛や非晶質炭素などの炭素材料、酸化物、または合金などを用いることができる。
負極活物質合剤には、負極活物質、アセチレンブラックの導電材、及びPVDFのバインダを用いた。負極活物質と導電材とバインダの重量比率は、順に90:5:5である。負極活物質合剤の銅箔への塗工量は、70g/mである。負極活物質合剤の塗工時には、NMP等の分散溶媒で、負極活物質合剤の粘度を調整する。また、銅箔の一部には負極活物質合剤を塗工せず、負極未塗工部4を形成する(図1を参照)。すなわち、負極未塗工部4では、銅箔が露出している。
銅箔は、塗工した負極活物質合剤の乾燥後にロールプレスされる。これにより、負極6が作製される。負極6の密度は、ロールプレスにより調整でき、1.5g/cmとした。
セパレータ7には、熱収縮するとリチウムイオンが通り抜けなくなる材料を用いる。熱収縮する前はリチウムイオンを通し、かつ熱収縮によりリチウムイオンの移動を遮断するものであれば、セパレータ7に任意の材料を用いることができる。
セパレータ7の材料として、例えば、ポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンは、主にポリエチレンやポリプロピレンなどのポリマーを少なくとも1種類含むことを特徴とするが、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、またはポリアクリロニトリルなどの耐熱性樹脂を含んでもよい。また、セパレータ7の片面または両面に、無機フィラー層を塗ってもよい。無機フィラー層は、SiO、Al、モンモリロナイト、雲母、ZnO、TiO、BaTiO、及びZrOのうち、少なくとも1種類を含むことを特徴とする。コストや性能の観点からは、SiOまたはAlを含む無機フィラー層が最も好ましい。
図3は、ラミネートセルの分解斜視図である。
複数の正極5とセパレータ7と負極6とを積層して、電極群9を形成する。複数の正極5の正極未塗工部3を束ねて、これに正極端子1を超音波溶接する。また、複数の負極6の負極未塗工部4を束ねて、これに負極端子2を超音波溶接する。正極端子1と負極端子2は、電池内外を電気的に接続する端子である。端子の溶接方法は、抵抗溶接など、超音波溶接以外の溶接手法であってもよい。なお、電池内外をより緻密に封止するために、正極端子1と負極端子2の封止箇所に、熱溶着樹脂を予め塗ったり取り付けたりしておいてもよい。
正極端子1と負極端子2を接続した電極群9をラミネートフィルム8、10で挟み、ラミネートフィルム8、10の縁を175℃で10秒間熱溶着封止する。正極端子1と負極端子2は、互いに電気的に絶縁した状態でラミネートフィルム8、10を貫通させて、ラミネートセルから突出させる。
ラミネートフィルム8、10を封止する際には、電解液の注液口を設けるために、ラミネートフィルム8、10の一辺以外をはじめに熱溶着する。その後、熱溶着していない残りの一辺から電解液を注液する。電解液を注液した後に、残りの一辺を真空加圧しながら、熱溶着封止する。この残りの一辺は、他の辺に比べて熱溶着強度が弱く、ガス排出弁の効果を有する。ラミネートフィルム8、10の他の箇所に薄肉部などの封止強度が弱い箇所を設け、この箇所をガス排出機構としてもよい。
電解液には、1MのLiPFの電解質を、EC(エチレンカーボネート )とEMC(エチルメチルカーボネート)の比が体積パーセント濃度(vol%)で1:3である溶媒に溶かした有機電解液を用いた。電解液に用いる溶媒には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、及び4−メチル−1,3−ジオキソラン等のうち、少なくとも1種類以上の非水溶媒を用いることもできる。電解液に用いる電解質には、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、及びLiN(CSO等のうち、少なくとも1種類以上のリチウム塩を用いることもできる。リチウムイオンの伝導性を有する固体電解質や、ゲル状電解質や溶融塩などの電池で使用される既知の電解質を用いてもよい。
ラミネートセルは、図2に示した正極活物質を用いた正極を使用して作製した。なお、温度とガスの影響を除外して過充電特性を評価するために、ラミネートセルの内部の全てに電解液を注入して放熱性に優れさせ、かつラミネートセルの一辺の一部分を熱溶着せずにガス流路を確保した。また、この熱溶着しない部分からセルの内部に熱電対を通して、セルの内部温度を測定した。ラミネートセルは、セルの内部温度が25℃で一定となるように専用の冷却ファンを取り付けたラミネートセルAと、冷却ファンを取り付けていないラミネートセルBという2種類を、それぞれの正極活物質を用いて作製した。
(正極の酸素脱離挙動)
ラミネートセルAを、電流値1CAで2時間定電流充電した。つまり、ラミネートセルAを、SOCが200%まで充電した。この際のセルの内部温度は、25℃で一定である。
図4は、ラミネートセルA(セルの内部温度は25℃で一定)の過充電結果を示す表である。図4に示すように、図2に示した正極活物質を用いて、ラミネートセルA−1〜A−9を作製した。ラミネートセルA−1〜A−4は、図2に示した実施例1〜4の正極活物質をそれぞれ用いて作製したセルであり、ラミネートセルA−5〜A−9は、図2に示した比較例1〜5の正極活物質をそれぞれ用いて作製したセルである。
ラミネートセルA−1〜A−9は、いずれも充電時に発火が起きなかった。過充電状態のラミネートセルA−1〜A−9を解体して正極を取り出し、正極をX線回折(XRD)で測定して、正極活物質の結晶構造を調べた。結晶構造は、ラミネートセルA−1〜A−9のいずれも層状型であり、充電前後で構造変化は見られなかった。従って、セルの内部温度が25℃で一定の場合には、正極で酸素脱離が起きていないことがわかった。この結果から、過充電時の酸素脱離は、電圧の効果だけではなく、温度の効果との複合により生じることがわかった。
そこで、次に、この過充電状態の正極を昇温させた際の酸素脱離挙動を、TDS−MS(昇温脱離ガス分析装置、質量分析計)を用いて調べた。具体的には、正極を昇温させていき、酸素脱離を開始したときの温度、酸素脱離強度(脱離速度に相当)、及び酸素脱離量を測定した。
図5Aと図5Bは、ラミネートセルAに用いた正極の酸素脱離挙動を示す表である。図5Aには、実施例1、2と比較例1〜4の正極活物質を用いて作製した正極について示しており、図5Bには、実施例3、4と比較例5の正極活物質を用いて作製した正極について示している。なお、図5Aと図5Bにおいて、酸素脱離強度と酸素脱離量は、比較例1(正極活物質はLiNi0.6Co0.2Mn0.2)の値を1.0として表している。
図5Aからわかるように、実施例1、2の正極活物質では、比較例1〜4の正極活物質よりも、酸素脱離開始温度と酸素脱離強度(脱離速度)が低くなった。酸素脱離量は、実施例1、2と比較例1〜4の正極活物質では、同程度であった。また、図5Bからわかるように、実施例3、4の正極活物質では、比較例5の正極活物質よりも、酸素脱離開始温度と酸素脱離強度(脱離速度)が低くなり、酸素脱離量が小さくなった。実施例1〜4の正極活物質の酸素脱離開始温度は、80℃〜130℃であった。
以上の結果より、酸素脱離開始温度、酸素脱離強度(脱離速度)、及び酸素脱離量という3つの条件を考慮すると、実施例1〜4の正極活物質は、過充電初期の低温状態で熱分解を起こし、この低温状態での熱分解の熱量でセパレータを熱収縮させることが可能であることがわかった。正極活物質の酸素脱離開始温度が80℃〜130℃と低いので、低温で熱分解を起こし、酸素脱離速度と酸素脱離量が小さいので、低温状態での熱分解がゆっくりと進行してセパレータを溶かさずに熱収縮させることが可能であると推定できる。
(ラミネートセルの過充電試験)
次に、ラミネートセルBを用いて、過充電試験を実施した。ラミネートセルBは、ラミネートセルAと異なり、冷却ファンが取り付けられていないので、セルの温度は一定ではない。過充電試験では、ラミネートセルBを、電流値1CAで2時間定電流充電し、SOCが200%まで充電した。充電時には、セル電圧と、充電電流と、セルの表面温度を測定した。
図6Aと図6Bは、ラミネートセルBの過充電結果を示す表である。図6Aと図6Bに示すように、図2に示した正極活物質を用いて、ラミネートセルB−1〜B−9を作製した。ラミネートセルB−1〜B−4は、図2に示した実施例1〜4の正極活物質をそれぞれ用いて作製したセルであり、ラミネートセルB−5〜B−9は、図2に示した比較例1〜5の正極活物質をそれぞれ用いて作製したセルである。図6Aには、ラミネートセルB−1〜B−2、及びB−5〜B−8について示しており、図6Bには、ラミネートセルB−3〜B−4、及びB−9について示している。
図6Aと図6Bからわかるように、ラミネートセルB−1〜B−2、及びB−3〜B−4(実施例1、2と実施例3、4)では、SOCが120%〜150%で充電電流が流れなくなり、SOCが大きくなる前に(すなわち、過充電の初期の段階で)電流が遮断されることがわかった。電流が遮断されたときのセルの表面温度は、90℃〜150℃である。一方、ラミネートセルB−5〜B−8、及びB−9(比較例1〜4と比較例5)では、SOCが180%〜200%と大きくなってから電流が遮断され、電流の遮断と同時にセルが発火した。
また、過充電試験後のラミネートセルBを解体して正極を取り出し、正極をX線回折(XRD)で測定して、正極活物質の結晶構造を調べた。比較例1〜4と比較例5の結晶構造は、スピネル型(スピネル構造)と岩塩型(岩塩構造)が混在しており、一部は岩塩型まで変化したことがわかった。一方、実施例1、2と実施例3、4の結晶構造は、層状型とスピネル型が混在しており、一部はスピネル型まで変化したが、岩塩型まで変化したものはなかった。
以上の結果から、実施例1〜4の正極活物質を用いたラミネートセルB−1〜B−4では、過充電の初期、具体的にはSOCが120%以上150%以下という小さい状態において、正極活物質の酸素脱離反応(熱分解反応)の発熱により、セパレータが熱収縮して電流を遮断していると推定できる。すなわち、正極活物質の酸素脱離開始温度が低いので、低温で熱分解を起こし、酸素脱離速度と酸素脱離量が小さいので、低温状態での熱分解がゆっくりと進行してセパレータを溶かさずに熱収縮させていると推定できる。このセパレータの熱収縮により、電流が遮断されて過充電が抑止されるので、セルは発熱が抑制されて発火には至らない。また、温度が低くSOCが小さい状態で電流が遮断されて過充電が抑止されるので、正極活物質の構造は、岩塩構造まで変化しない。
また、図6A、6Bの電流遮断時のセルの表面温度は、図5A、5Bの正極の酸素脱離開始温度に近い。図6A、6Bに示した温度がセルの表面の温度であることを考慮すると、図5A、5Bに示した正極の酸素脱離開始温度は、セルの正極で酸素の脱離が開始する温度とほぼ一致すると考えられる。このことから、正極で過充電による酸素の脱離が起こり、これによって、セルではセパレータの熱収縮による電流の遮断が起きていると推定できる。
一方、比較例1〜5の正極活物質では、酸素脱離開始温度が高く、酸素脱離速度が速い(すなわち、熱分解の反応速度が速い)ために酸素脱離に伴う発熱も大きい。すなわち、急激に温度が上昇するので、セパレータが収縮する前にセパレータの熱収縮する温度(例えば、200℃以下)を超えてしまう。この結果、ラミネートセルB−5〜B−9は、電流を遮断することができず、セパレータが溶けて正極と負極が短絡し、発火したと推定できる。
以上説明したように、一般式LiNi(1−a−b)(式中、0.7≦a<1、0≦b<0.3、Xは少なくとも1種類の任意の遷移金属、YはMo及びWのうち少なくとも1種類)で表される正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、過充電初期(SOCが120%〜150%)に正極活物質の酸素脱離(すなわち、正極の熱分解)を起こさせて、正極活物質の発熱でセパレータを熱収縮させて電流を遮断し、過充電を抑止することができる。
1…正極端子、2…負極端子、3…正極未塗工部、4…負極未塗工部、5…正極、6…負極、7…セパレータ、8…ラミネートフィルム、9…電極群、10…ラミネートフィルム。

Claims (8)

  1. 一般式LiNi(1−a−b)(式中、0.7≦a<1、0≦b<0.3、a+b<1、Xは少なくとも1種類の任意の遷移金属、YはMo及びWのうち少なくとも1種類)で表される正極活物質を有しリチウムイオンを吸蔵放出できる正極と、リチウムイオンを吸蔵放出できる負極と、熱収縮してリチウムイオンの移動を遮断できるセパレータとを備えるリチウムイオン二次電池の過充電の初期に、前記正極活物質が酸素脱離を起こし、
    前記正極活物質の酸素脱離による発熱で前記セパレータが熱収縮して充電電流を遮断する、
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法。
  2. 請求項1記載のリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法において、
    前記リチウムイオン二次電池の表面の温度が90℃以上150℃以下で、前記セパレータが熱収縮して前記充電電流を遮断するリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法。
  3. 請求項1記載のリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法において、
    前記正極の表面の温度が80℃以上130℃以下で、前記正極活物質の酸素脱離が開始するリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法。
  4. 請求項1記載のリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法において、
    前記過充電の初期では、前記リチウムイオン二次電池の充電状態が120%以上150%以下であるリチウムイオン二次電池の過充電抑止方法。
  5. 一般式LiNi(1−a−b)(式中、0.7≦a<1、0≦b<0.3、a+b<1、Xは少なくとも1種類の任意の遷移金属、YはMo及びWのうち少なくとも1種類)で表される正極活物質を有し、リチウムイオンを吸蔵放出できる正極と、
    リチウムイオンを吸蔵放出できる負極と、
    熱収縮してリチウムイオンの移動を遮断できるセパレータとを備え、
    過充電の初期に前記正極活物質の酸素脱離による発熱で前記セパレータが熱収縮することで、充電電流を遮断することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項5記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記セパレータは、前記リチウムイオン二次電池の表面の温度が90℃以上150℃以下で熱収縮するリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項5記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記正極活物質は、前記正極の表面の温度が80℃以上130℃以下で、酸素脱離を開始し、前記セパレータを熱収縮させるリチウムイオン二次電池。
  8. 請求項5記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記セパレータは、前記リチウムイオン二次電池の充電状態が120%以上150%以下で熱収縮するリチウムイオン二次電池。
JP2012092649A 2012-04-16 2012-04-16 リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池 Expired - Fee Related JP5878812B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012092649A JP5878812B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012092649A JP5878812B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013222567A JP2013222567A (ja) 2013-10-28
JP5878812B2 true JP5878812B2 (ja) 2016-03-08

Family

ID=49593412

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012092649A Expired - Fee Related JP5878812B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5878812B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200063780A (ko) * 2018-11-28 2020-06-05 현대자동차주식회사 리튬 이차전지 및 리튬 이차전지의 제조방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181195A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Hitachi Maxell Energy Ltd リチウムイオン二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013222567A (ja) 2013-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6439838B2 (ja) 非水電解質二次電池
WO2014128903A1 (ja) リチウムイオン二次電池
US10741896B2 (en) Battery system
US9614221B2 (en) Lithium-ion secondary battery
EP3142173B1 (en) Positive electrode for nonaqueous electrolyte secondary batteries, and nonaqueous electrolyte secondary battery
KR20110105352A (ko) 비수 전해액 이차 전지
JP6208239B2 (ja) 非水電解質二次電池
KR102143975B1 (ko) 비수전해질 이차전지
JP6466161B2 (ja) リチウムイオン電池用負極材料
JP2016119154A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2014035926A (ja) 非水電解質二次電池
JP5232751B2 (ja) リチウムイオン二次電池
KR20120075399A (ko) 리튬 이온 이차 전지
JP2013054909A (ja) リチウムイオン二次電池
JP6870676B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2013152880A (ja) ラミネートセルと、それを用いたモジュール
US9960459B2 (en) Method of manufacturing nonaqueous electrolyte secondary battery
JP5878812B2 (ja) リチウムイオン二次電池の過充電抑止方法、及びリチウムイオン二次電池
JP2013069490A (ja) 密閉型リチウム二次電池の製造方法
JP2013201094A (ja) 非水電解液二次電池
JP2014112478A (ja) 非水電解質二次電池パック
JP7067128B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP7430665B2 (ja) 二次電池の集電体およびその製造方法、ならびに二次電池
JP4186430B2 (ja) 円筒型リチウム二次電池
JP2023034053A (ja) パウチ型非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151028

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5878812

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees