図1(a)には、本発明に係る加圧容器の第1実施例の構成が、模式的な縦断面図により示されている。同図に示すように、第1実施例の加圧容器30は、略円筒形状で、かつ、加圧容器30にかけられる高い圧力に耐えられるように断面形状が略楕円形であって、材質はポリカーボネートを用いた繭型形状と成しており、加圧容器30内部は、流れる水との抵抗を少なくするように鏡面仕上げされている。また、加圧容器30には、空気を含む水が加圧導入されるタンク31の上端中央部に、当該空気を含む水を前記タンク31内に吐出する注入口32が下向きに向けて形成されている。なお、水の加圧容器30への加圧導入タイミングは後述するが、その加圧導入される水は、空気を含む水の場合と水のみの場合の2通りが存在する。タンク31の下端部側には、水の導出口33と、長期未使用時にタンク内の水を抜く水の排出口37とが形成されており、排出口37は通常は閉状態と成している。
また、図1(a)、(b)に示すように、加圧容器30の注入口32の下側に間隔を介し、タンク31内を上下に仕切る金属製の仕切り板(ターゲット板)34が設けられている。図1(c)に示すように、仕切り板34の外周端には、該仕切り板34の上から下に水が通過して流下する水通過部としての複数の切り欠きKが、仕切り板34の外周方向に互いに間隔を介して形成されており、図1(e)に示すように、各切り欠きKとタンク31の内壁面との隙間Sが形成されている。各切り欠きKは略三角形状を呈して、仕切り板34の周方向の径が該仕切り板34の中心に向かうにつれて縮径する形状と成しており、切り欠きKの開口部がタンク31の内周壁に近接している。なお、図1(d)には、図1(c)の破線枠B内の拡大図を示し、図1(e)には、仕切り板34をタンク31内に配置した加圧容器30の断面図を示す。
また、加圧容器30には、仕切り板34よりも下部側の水の水位を検出するための水位検出手段として、電極35,36と、図1には図示されていないグラウンド電極とが設けられている。図13には、電極を3本設けた場合の加圧容器30の外観斜視図が示されており、同図における符号137がグランド電極である。電極35は低水位電極であり、電極36は高水位電極であり、グランド電極137を含め、いずれもカーボン電極により形成されている。なお、前記仕切り板34には、前記各電極35,36およびグランド電極137を通過する通過部の穴が形成されているが、図1(c)、(e)においては、これらの穴の図示は省略されている。また、電極35,36,137が検出する水位は水面の場合もあるが、多くの場合、水面上に広がる気泡上端が電極35,36,137により水位として検出される。
第1実施例の加圧容器30は、例えば図6に示すようなシステム構成を備えた風呂装置に適用されるものであり、この風呂装置は、加圧容器30への空気溶存装置として機能し、その空気が溶存された水を用いて微細気泡発生する機能も有している(微細気泡発生機能付き装置としても機能する)。この風呂装置の構成の詳細は後述するが、浴槽26に接続されている追い焚き循環通路25に、浴槽湯水を循環させるポンプである循環ポンプ21が設けられている。この風呂装置は、この循環ポンプ21の駆動によって循環させる浴槽湯水に、空気導入弁38を介して外部から導入される空気を加圧溶存させて吐出し、加圧容器30に加圧導入する。つまり、空気を含む水が循環ポンプ21内で撹拌されて加圧容器30に加圧導入されるが、溶解(溶存)しきれない空気は、一部そのまま(気液2相混相流のまま)加圧容器30のタンク注入口32に至る。
なお、気液2相混相流において、液体(実施例では水)に対する空気の混入量(混入比率)は、空気の見かけの流速(WGO)(以下の記載においてWGOは空気の見かけの流速をいみする)と液体の見かけの流速(WLO)(以下の記載においてWLOは液体の見かけの流速を意味する)の比である気体体積流量比を用いて表すことができる。第1実施例および後述する第2〜第4実施例において、加圧容器30に導入される水の流量は5〜7リットル/分であるので、WLOは5〜7リットル/分となる。一方、WGOは、1気圧時の量で約400〜700cc/分であるので、加圧されない状態だとしても、グリフィス−ウォーリス(Griffith−Wallis)流動様式線図(以下の記載においてGriffith−Wallisはグリフィス−ウォーリスを意味する)の縦軸で示されるβ(WGO/(WGO+WLO))は0.2より小さい値であることから(つまり、1気圧ですでにβ<0.2であることから)、圧縮されて圧力が1気圧よりも高められれば、βが必ず0.2より小さい値となる。そのため、各実施例において、加圧容器30に導入される気液2相混相流は全て、Bubble Flowと考えられる。つまり、実施例の加圧容器30を適用する図6の風呂装置において、空気導入弁38およびその開閉制御手段(図7の空気導入弁開閉制御手段42、参照)と、循環ポンプ21およびその駆動制御手段(図7のポンプ駆動制御手段41、参照)とが、タンク内に導入する水をBubble Flow様式で導入する水導入手段として機能する。
また、第1実施例の加圧容器30においては、前記の如く、電極35,36,137により加圧容器30内の仕切り板34よりも下側に貯留される水の水位が検出されるが、加圧容器30を適用して浴槽水内に微細気泡(白濁式)を発生させる微細気泡発生機能を設ける装置において、電極35,36,137の検出水位に基づいて、空気導入弁38の開閉制御が行われる。つまり、この微細気泡発生機能付き装置は、電極35により水位が検出されなくなると前記空気導入弁38を閉とし、電極36により水位が検出されると空気導入弁38を開として、図1(b)の模式的な動作図に示すような、タンク31内の水の上に形成される空気層(未溶存空気層)A(斜線部分)の容積が調整される方式を基本とする。また、電極35,36,137は、上記のように、空気層Aの容積の大小を判断するために設けられ、この判断に基づき、空気層Aの容積が調整されるものである。
なお、第1実施例を始めとした各実施例の加圧容器30が適用される風呂装置等の微細気泡発生機能付き装置は、その制御を行う制御装置内に、未溶存空気層Aを形成する未溶存空気層形成モードと未溶存空気層Aを形成しない空気層非形成モードとを切り替え制御する構成を設けている。つまり、微細気泡発生機能付き装置は、未溶存空気層形成モードによる未溶存空気層の形成の動作を基本としつつ、加圧容器30内に未溶存空気層が形成されないほど強く攪拌する空気層非形成モードの動作を織り交ぜ、空気層非形成モードと未溶存空気層形成モードとを適宜切り替えて制御することにより、加圧容器30内の水流に形成する跳水現象分類を可変することを特色の一つとしている。
なお、この点については、後述により詳述するが、前記微細気泡発生機能付き装置は、例えば加圧容器30内に導入される水の流量が大きすぎて、空気層非形成モードとなり、未溶存空気層Aが形成されなくなった時には、前記未溶存空気層形成モードとなるように流量制御を行う等して、未溶存空気層Aの形成を行い、タンク31内に形成される未溶存空気の空気層Aの容積を適切に、管理、制御できるようにする。また、空気層非形成モード時には、循環ポンプ21の回転数を制御して加圧容器30に導入される水の流量を制御し、加圧容器30内に形成される、図3に示すような泡層(泡層については、後述する)の長さを加圧容器30の水の導出口33に至らないようにし、追い焚き交換器15側に導出する水に気泡が混入することを防止する。
ところで、第1実施例の加圧容器30において、注入口32から注ぎ込まれる空気を含む水は、図1(b)の矢印に示すように、仕切り板34の中央部上に落下して該仕切り板34上を通った後に、切り欠きKを通り(切り欠きKにより形成される仕切り板34とタンク31の内壁との隙間を通り)、その後、(ベルヌーイの定理と水の粘性による水流曲げ力の反力による吸い寄せ効果による吸着現象によって)タンク内周壁の被添面(タンク側周壁の内壁面)に付着しながら、空気層A中も水滴が四散しないで流下するように、前記切り欠きKを通った水をタンク31の内周壁の被添面に添わせて、水の流れをまとめて流下させている。
注入口32から注ぎ込まれた空気を含む水は、仕切り板34で仕切られた上部空間100内で拡大し、切り欠きKで縮小されて、空気層A中に放出される。この拡縮により、水と一緒に注ぎ込まれた気体の溶解が促進されるとともに、前記上部空間100は切り欠きKから放出される空気を含む水(又は水)の均圧室の役割を担っている。言い換えれば、上部空間100は減圧空間と成している。
また、詳しくは後述するが、第1実施例において、切り欠きKを通り、タンク31の内壁面の被添面に添わせて流下する水流は、射流(射流水)であり、この射流がタンク31の下部に貯留される水面に至って水に衝突し、速度が落ちることにより常流になるとともに、この射流から常流への不連続変化時に発生する跳水現象により、タンク31の下部(仕切り板34よりも下側)に貯留されている水中に渦運動が発生すると考えられる。この射流から常流への不連続変化で放出される運動エネルギでできる渦運動の渦で、空気を効率的に溶存させようと思うと、この渦に投入する気泡はできるだけ小気泡であることが好ましいと考えられる。
前記の如く、各実施例の加圧容器30において、タンク31の注入口32から注入される気液2相混相流は、全てβ<0.2であり、Bubble Flowと考えられ、Bubble Flowは、連続した液相中に小気泡が分散した流れであるために、気体が液体と接触する面積が大きく、前記渦に投入した場合に、気体溶解に適した流動様式と考えられるが、第1実施例と同様のタンク31を有する構成の加圧容器30においての検討の初期段階において、注入口32から出てくる気液2相混層流中にSlug Flow中で見られるような気体Slug(注入口32の径とほぼ同じΦ8mmと考えられる気体Slug)が見受けられる場合があった。なお、Slug Flowとは、気体Slugと液体Slugの混合体で、気体Slugとは流路断面を満たすような大きい気泡であり、また、液体Slugとは、小気泡を含む液体部分を示す。
つまり、本願発明者は、本願発明のための検討の初期段階において、第1実施例の加圧容器30と同様のタンク31を有する構成の加圧容器30において、加圧容器30に導入される水の流量を5〜7リットル/分とすることによって、β<0.2とし、液体Slugが100%のBubble Flowを作ったつもりが、予想に反し、加圧容器30に導入される気液2相混相流のBubble Flow中に大気泡の気体Slugが見受けられる場合があった。
そこで、この気体Slugを注入口32の径より拡大された上部空間100内に一度放出し(気泡の回りを水で取り囲む状態にしてから)、金属製仕切り板34に当てることで破砕して微細化した。そして、射流状態の水流中の気泡が、なるべく小気泡である形として空気層A中を流下させ、貯留する水の水面下に押し込み、跳水現象を誘発させて、跳水現象で発生する渦運動の渦で前記仕切り板34で破砕済みの小気泡化した空気を渦に巻き込んで溶存させ、効率的に溶解できるようにした。
しかも、前記気体Slugは、減圧により急成長することが判明したため、本願発明者は、上部空間100の入口である注入口32の断面積よりも出口である切り欠きKの総断面積を大きくして、加圧容器30内の上部空間100(仕切り板34で区切られた上側の上部空間内)を減圧室とし、この減圧により成長した気体Slugを仕切り板34に当てるようにして微細化を確実にした(気体Slugを液体Slugに遷移させるようにした;気体Slugの液体Slug遷移化の確実化)。つまり、前記上部空間100は、減圧気泡破砕室ともなっており、それにより、気体Slugの細分化を確実にしている。そして、このように、気体Slugを液体Slugに遷移させてから切り欠きKを通してBubble Flow流動様式の射流状態の水流とする。
なお、注入口32から導入した水を金属製仕切り板34に直接的に当てて微細化する代わりに、後述により詳述する第3実施例(図26、参照)や図43に示すような態様によっても、水の微細化を行うことはできるが、これらの例に比べて、第1実施例は、注入口32から導入した水を金属製仕切り板34に直接的に当てることによって気体Slugの微細化をより効率的に行うことができるものである。
ここで、図26に示す第3実施例の態様について簡単に述べると、この例は、仕切り板34の中央部に貫通孔29が形成され、該貫通孔29の上部側を覆うテーブル板部28が仕切り板34の板面と上下方向に隙間tを介して設けられており、注入口32から注ぎ込まれる水がテーブル板部34の上に落下した後、隙間tを通り、テーブル板部28の下の被添面(図26(e)のB、参照)に添って通った後、貫通孔29を通ってタンク31の下部側に落下する構成と成している。
また、図43に示す例は、第3実施例と同様に、仕切り板34に貫通孔29を形成しているが、貫通孔29の上部側に、水の注入口32から注ぎ込まれる水を衝突させるターゲット部材67が仕切り板34の板面と上下方向に隙間tを介して設けられ、水の注入口32から注ぎ込まれる水がターゲット部材67の上に落下して衝突した後、隙間tを通り、ターゲット部材67の下面の被添面に添って通った後、貫通孔29を水流が接触することなく(貫通孔29を囲む仕切り板34の内壁に接触することなく)通って、タンク31の下部側に落下する構成と成している。つまり、この構成では、上部空間100で減圧により成長した気体Slugをターゲット部材67に当てて気体Slugの微細化を行い、気体Slugを液体Slugに遷移させる。
さて、第1実施例の加圧容器30において、水の注ぎ込み開始からすぐに、仕切り板34で仕切られた上部空間100は空気を含む水で満たされる。すなわち、注入口32を出た気泡はその大小に関わらず、出た瞬間に周囲を水で囲まれる(前記の如く、B<0.2なので、周囲はほぼ水である)。そして、その水は流下中に周りの空気層A中の空気を取り込みながらタンク31の下部側に落下する(なお、流下中に空気を取り込む以外にも、流下した流れが貯留する水面を巻き込む時にも空気層A中の空気を引きずり込むような形で取り込むと考えられる)。
本願発明者は、タンク31の下部に貯留する水面下で、前記の如く、跳水現象と見られる渦運動と気泡発生を確認していることからも、また、タンク内周壁の被添面(内側面)に添わせた流れによって、被添面に柱状突起を設けた場合にできたマッハコーンの角度(マッハ角)が90度以下の鋭角であることからも、タンク内周壁の被添面に添わせた流れは射流(乱流)であると考えている。そして、射流のままタンク下部に貯留する水面に至った空気を含む水が、貯留水との衝突により速度が落ちて常流となるとともに、射流から常流への不連続変化時に発生する跳水現象で激しい渦運動が発生する。
この渦運動をタンク下部に貯留する水中で発生させるために、第1実施例では、加圧容器30の切り欠きKで作られる水流の向きを下向きに形成し、それにより、気液2相混相流を、設定角度以上(例えば50度以上。第1実施例では垂直である90度)で、あたかもタンク下部に貯留する水中に押し込んで、跳水現象を水面で水封するようにしながら(跳水現象が空気層A中で発生しないようにしながら渦運動を水中で)発生させ、前記渦運動で気液が攪拌されながら貯留されることによって、水に、水と共に送られる小気泡や、タンク31内の未溶存空気が溶存されると共に、水中から未溶解の気泡が浮上してくるようにして、仕切り板34の下側に貯留される水の水面と仕切り板34の下面との間には、タンク31内の未溶存空気の空気層Aが形成される構成と成している。
つまり、第1実施例の加圧容器30において、前記気液2相混相流を90度の角度で導入するように、切り欠きKで作られる水流の向きを下向きにする構成(仕切り板34の配設および仕切り板34への切り欠きKの形成構成)が、水または空気を含む水を射流状態の水流としてタンク31内に貯留する水の水面に落とし込んで水面下に押し込む射流水流流下手段を形成している。そして、この射流水流流下手段によって押し込まれた水流が水中で流速を落として攪拌されながら加圧状態で貯留されるようにして、貯留する水にタンク31内の未溶存の空気または該タンク31内に水と共に導入される空気を溶存する構成と成している。
また、切り欠きK(切り欠きKとタンク内壁との隙間S)を通る流速と限界流速とに起因するフルード数が1.7以上(例えば3.6以上)となるように、タンク31内に導入される水の流量に対応させて、後述により詳述する切り欠きKの高さ(図1(d)のh、参照)および切り欠きKの総面積(水が通過する水通過部の総面積)が形成されており、このような切り欠きKの形成形態(配設数、寸法、形状等)が、水流が水中で流速を落として攪拌されるときに、射流から常流への不連続変化による跳水現象を発生させる跳水現象発生手段として機能する。なお、フルード数が1.7よりも小さい場合は、前記渦運動が有効に形成されない波状跳水となるので、渦を有効に発生させるためには、フルード数が1.7以上となるような切り欠きKの構成が必要である。
また、詳しくは後述するが、追い焚き循環路25の配管距離の問題があるので、第1実施例の場合には、注入口32から空気を含む水を注ぎ込む場合には、しだいに空気層Aが増加する(水位が下がる)ようにしている。一方、注入口32から注ぎ込まれるものが水のみの場合は、しだいに空気層Aは減少していく(水位が上がる)。その理由は、注入口32から注ぎ込まれるものが水のみの場合であっても、切り欠きKを通った水は、タンク31の内周壁の被添面に添って周りの空気層(未溶存空気層)A中の空気を巻き込みながらタンクの下部側に落下するためであり、よって、注入口32から注ぎ込まれるものが水のみの場合には、タンク31内の空気が溶存され、しだいに空気層Aは減少していくものである。
また、気液2相混相流を、50度より小さい(浅い)角度で切り欠きKから注ぎ込むと、水切りや反跳水(rebound phenomenon)と同じような現象が発生し、水面上で跳水現象が発生し、発生した気泡が水面上を移動した後で水面下に沈み、その後、勢いを失って水面に上昇する。この時、水面を水が叩く音や水面上で発生する跳水現象に伴って音が発生する。
なお、前記水切りや反跳水と同じような現象が発生するか否かの境界の角度(反発の臨界角)は、衝突される水と衝突する水流との密度により決まると考えられ、この角度が前記のように約50度となるのは、気液2相混相流が連続注入される安定時の値である。気液2相混相流の連続注入時には、前記水と前記水流の密度はほぼ同じ値か、若干だが、水>水流となると考えられる。空気導入弁38の閉時には、一時的に前記水と前記水流の密度が、水<水流となり、反発の臨界角は50度より小さくなる。また、加圧容器30のタンク31が、後述のドラム缶のように大きい場合には、空気導入弁38の開動作開始時には、一時的に、前記水と前記水流との密度の関係が、水>水流となり、反発の臨界角は55度を超える場合がある。
また、被添面を沿わせないで注ぎ込むと、ベルヌーイの定理と水の粘性によって生じる水流曲げ力の反発による吸い寄せ効果による吸着現象がないので、空気導入弁38が閉の時の一時的な状態であっても、50度より小さい(浅い)角度で上記現象(反跳現象)が発生し、気液2相混相流を切り欠きKから注ぎ込む角度を、50度よりも大きい、例えば垂直の角度としても、気液2相混相流を、被添面を添わせないで注ぎ込むと、同じく水面を叩く音等が発生する。
また、流速が速い場合には、例えば水面に対して水を注入する角度が50度であっても跳水現象を水封できるが、タンクの幅寸法が大きくなり、小型化には向かない。それに対し、前記水の注入角度が垂直である90度に近くなるにしたがい、流速が遅くなっても跳水現象を水封できる。なお、流速が速い場合に垂直である90度で水を注入しても跳水現象を水封できるが、水中奥深くで前記渦運動が発生するため(後述の、泡層長さ−エア層長さが大きくなるため)、タンク31の縦寸法が大きくなり、小型化には向かない。また、フルード数については後述するが、フルード数が一定値を超える(同一条件で流速のみ速くして、流速が所定値を超える)と、タンク31内のエア層(空気層)Aが「ゼロ」となり、空気層が全く形成されないので未溶存空気量を計測できないという事態に至る。
以上のように、第1実施例の加圧容器30においては、加圧容器30の切り欠きKで作られる水流の向きを下向きに形成して、気液2相混相流を垂直に落とし込み、かつ、水の流速を適切な値とすることにより、気液2相混相流をあたかもタンク下部に貯留する水中に押し込んで、跳水現象を水面で水封するようにしながら(跳水現象が空気層A中で発生しないようにしながら渦運動を水中で)発生させ、高圧下で、気体と液体を射流から常流への不連続変化で放出される運動エネルギでできる前記渦運動の渦に巻き込んで気体を溶解させることで、効率良く空気を溶存でき、かつ、空気を水中で巻き込んで溶解させることで、未溶存空気層形成モード時に、水しぶきが飛び交わない綺麗な空気層Aができる。この結果、第1実施例では、前記電極は水しぶきを浴びることなく、未溶存の空気量を誤検出なしに適切に検出することができる。さらに、第1実施例では、気泡が渦運動の渦に巻き込まれて破砕する時に発生する音も水封し、あたかも水で遮音するような形となるので、静かな溶解を可能とすることができる。
なお、第1実施例では、三角形状の1つの切り欠きKは、底辺(仕切り板34の周方向の長さ、図1(d)のW、参照)が3.5mm、高さ(仕切り板34の径方向の長さ、図1(d)のh、参照)が2mmであるから、その面積が3.5mm2(底辺3.5mm×高さ2mm/2=3.5mm2)であり、この切り欠きKを複数設けている。具体的には、切り欠きKの総面積は、63mm2(=3.5mm2×18個)、84mm2(=3.5mm2×24個)、105mm2(=3.5mm2×30個)、126mm2(=3.5mm2×36個)のいずれかとしており、切り欠きの総面積はいずれも、直径φ8の注入口32の断面積50mm2より大きく形成されており、それにより、上部空間100が、前記の如く減圧空間と成している。以下に、これら各具体例についての詳細な記述を含めて説明する。
前記渦運動の水中発生位置を最短にする(小さくする)ための水の水面衝突流速は、水の流量と前記切り欠きKの大きさ(切り欠きKとタンク31の内周壁との隙間の大きさ)によって決まるものである。前記渦運動の水中発生位置が水の水面到達以降すぐであれば、前記渦運動で溶解しきれなかった気泡が貯留する水中を移動した下端も(水量が同じならば)最短となる(以下、気泡が貯留する水中を移動した下端までの長さを泡層長さという)。水流の流れは流速が速いと乱流(射流)となり、流速が遅くなるといきなり層流(常流)へと不連続変化するが、この変化する境の流れを限界流といい、その流速を限界流速という。また、境の上流である流速を限界流速で除した値を上流側フルード数と言い、一般にフルード数をいう場合は、上流側フルード数を指す。
泡層長さを最短にする水面衝突流速は、切り欠きKを通る射流(射流水)のフルード数である上流側フルード数が1に近い1より大きい値(渦を有効に形成するためには、フルード数が1.7以上で)であって、例えば空気混入時の上流側フルード数が1より大きく約32以下(Griffith−Wallis流動様式線図の横軸フルード数の2乗((WGO+WLO)2/gh)が1000以下)となる速度としている。
なお、上流側フルード数とは、河川等で突然の水位上昇を伴う濁流(跳水現象)が観察される地点の上流側地点で、例えば河川を流れる浮遊物等の移動速度を元に算出されるものであるがゆえに、跳水現象が観察される地点より数m〜数十m手前のフルード数を指すことが多い。ただし、第1実施例の場合には、水流の基点である切り欠きKから、許される貯留水下端までの距離が例えば15cmと極めて近距離であるがゆえに、水流の基点である切り欠きKを通過する流量、水流の厚み(水深)等を用いて上流側フルード数として求めている。
また、切り欠きKを通過するのは、高圧下で、かつ、気液2相混相流であり、気液2相流流れ加速現象が発生するため、切り欠きKでの通過流速を正確には計算できないが、以下のように考察できる。
まず、本願発明者は、空気を除いた水のみが、その切り欠きKにより形成される隙間を通過する(空気導入弁38の電磁弁65が閉時の)流速としては、(WLOが)約727mm/秒(秒)以上の流速となるような切り欠きKを形成することが好ましいことを実験で確認しており、そのためには、切り欠きKの個数が36個で、総面積が126mm2の場合には、流量約5.5リットル/分以上とすることが好ましいことが分かった。5.5リットル/分(=5500000 mm3/分)の水量で、隙間面積126mm2時に、空気を除いた水のみが、その切り欠きKにより形成される隙間を通過する流速(WLO)の値は、728mm/秒(5500000÷126÷60=728mm/秒)となる。
また、空気混入時(空気導入弁38の電磁弁65が開時)には、前記空気を除いた水のみが、その切り欠きKにより形成される隙間を通過する流速より大きくなる(例えば3.5%増になる)ものと推定される。なお、本来ならば、空気導入弁38から加圧容器30の切り欠きKに至る間に、空気と水とが循環ポンプ21により撹拌溶解され、さらに、加圧容器30の上部空間100内(減圧気泡破砕室)でも撹拌溶解されるので、切り欠きKに至る未溶存空気量は700cc/分より減少していると考えられ、このように未溶存空気量が減少している場合には、切り欠きKにより形成される隙間を通過する空気の見かけの流速(WGO)は未溶存空気量が減少していない場合に比べて小さくなるが、前記空気の減少量がどの程度であるかを正確に計測することはできない。
そこで、便宜上、未溶存空気が全く減少しないものとして計算を行うことにするが、この計算は、これ以上あり得ない最大値を用いて計算を行うので、実際には、切り欠きKにより形成される隙間を通過する空気の見かけの流速(WGO)による増分は、必ず、下記の計算結果の数値以下になる。
第1実施例においては、20℃、1気圧(=101.3 kPa)の時、空気導入弁38から700cc/分(700000 mm3/分)の空気が導入される場合に、その空気の見かけの流速であるWGOが最大となる。また、5.5〜7リットル/分の流量が流れる時の圧力は、約3〜5kg重/cm2であり、ボイル・シャルルの法則より、この中でWGOが最大となる圧力は3kg重/cm2(294.21 kPa)時なので、この数値を使用し、切り欠きKにより形成される隙間を通過する空気の見かけの流速であるWGOを求めると、次式(1)から、WGOは約0.2リットル/分(=192740 mm3/分)となる。なお、ここでは、空気が循環水に導入された時点で、空気の温度が、例えば42℃の循環水と同一温度に加温されると考える。
WGO=700000×((101.3+0)×(273.2+42))/((101.3+294.21)×(273.2+20))=192740・・・(1)
したがって、切り欠きKにより形成される隙間を通過する空気の1mm2当たりの見かけの流速は、隙間面積126mm2時において、25mm/秒以下になる(192740÷126÷60=25mm/秒)と考えられる。このことから、空気混入時には、空気を除いた水のみが、その切り欠きKにより形成される隙間を通過する流速(WLO=728mm/秒)より流速が大きくなるものの、(WLO+WGO)/WLO=(728+25)/728≒1.035となることから、その流速が増加する(大きくなる)割合は、隙間面積126mm2時において、加圧容器30に導入される水の流量を5.5〜7リットル/分とした場合は、どんなに大きくても3.5%位であると推定している。
つまり、白濁用空気の空気混入時と空気非混入時の上流側フルード数は、互いにほぼ同じ値であると考えられる(空気混入時の値は空気非混入時の値よりも多少大きいものの大差はないと考えられる)。なお、他の具体例や他の水の流量(例えば5リットル/分、13.2リットル/分)についても同様のことが言え、以下の説明において、特に断らない限り、上流側フルード数(単にフルード数とも称する)は、空気を除いた水のみにおける値を計算により求めた値として考察する。
第1実施例の具体例において、表1に示されるように、切り欠きKの断面積(63、84、105、126(mm2)のいずれか)と加圧容器30に導入される水の流量(5、5.5、6、6.5、7(リットル/分)のいずれか)とによって、○で示すように未溶存空気の空気層Aが形成されたり、×で示すように空気層Aが形成されなかったりすることが分かった。なお、表1において、○は未溶存空気層Aが形成される態様(未溶存空気量計測可)であることを示し、×は空気層非形成態様(未溶存空気量計測不可)であることを示す。
この表1から明らかなように、切り欠きKの総面積が63mm2時、84mm2時、105mm2時において、加圧容器に導入される水の流量5.5〜7リットル/分の条件および、切り欠きKの総面積が126mm2時の流量7リットル/分の条件においては、未溶存空気層が形成されていない。一方、第1実施例において、切り欠きKの総面積が126mm2時の流量5〜6.5リットル/分での条件および、切り欠きKの総面積が、105mm2、84mm2、63mm2における流量5リットル/分での条件においては、未溶存空気層Aが形成されている。なお、本願発明者は、空気を除いた水のみが、その切り欠きKにより形成される隙間を通過する流速として、この×の部分の流速がより好ましいことも確認した。
つまり、加圧容器30の仕切り板34に形成されている切り欠きKの総面積と加圧容器30内に導入される水の流量との条件に応じて、未溶存空気層Aが形成されるか否かが分かれることが分かる。また、前記切り欠きKの総面積と前記水の流量との条件に応じて、切り欠きKを通る射流(射流水)のフルード数(上流側フルード数)は変化するものであり、よって、本発明者は、そのフルード数の値によって、未溶存空気層Aが形成されるか否かが分かれ、それにより、未溶存空気量を計測できるかどうかが分かれると考え、未溶存空気層Aの形成の有無とフルード数との関係について検討した。
表2に、第1実施例の各具体例におけるフルード数が示されている。なお、表1を参照すると分かるように、表2において、太線の左側は未溶存空気層Aが形成される例となり、太線の右側は空気層非形成の例となる。
ここで、切り欠きKの総面積が、105mm2、126mm2の具体例について着目すると、切り欠きKの総面積が異なるにもかかわらず、未溶存空気層Aの形成の有無の境界となる境界フルード数がいずれも6.2近傍(6.14〜6.24の間)であることが分かる。つまり、これら切り欠きKの総面積が105mm2、126mm2の具体例において、フルード数が約6.2の境界フルード数以上となるのは未溶存空気層を作らない条件となり、溶存空気量を計測できない条件となり、フルード数が約6.2の境界フルード数より小さい値となるのは未溶存空気層Aが形成されて未溶存空気量を計測できる条件となる(フルード数6.2相当以上の条件と6.2相当未満の条件とで空気層を作らない、すなわち溶存空気量を計測できない条件と、未溶存空気量を計測できる条件とに分かれる)と推測される。
なお、切り欠きKの総面積が、63mm2、84mm2の具体例については、前記境界フルード数が6.2より大きい(切り欠きKの総面積が63mm2においては、フルード数9.45から10.39の間、切り欠きKの総面積が84mm2においては、フルード数7.09から7.79の間である)が、このように、第1実施例において、境界フルード数が具体例の切り欠きKの総面積によって異なる値となる理由について、本願発明者は以下のように推測している。
つまり、切り欠きKの総面積が63mm2、84mm2の具体例においては、切り欠きKの総面積が105mm2、126mm2の具体例に比べて切り欠きK同士の間隔が大きいことに起因して、切り欠きKを通った水流が水崩れする割合が大きい(水崩れ余地により境界フルード数が移動する)ためであり、切り欠きKの総面積を63mm2、84mm2としても、切り欠きKの総面積が105mm2、126mm2の具体例のように切り欠きK同士の間隔を狭くして(そのためには、タンク31の内径を小さくすることになるが)、水崩れ余地による境界フルード数の移動を補正すると、前記境界のフルード数は約6.2になることを確認している。なお、この水崩れ余地による境界フルード数の移動についての詳細説明は後述する。
また、表1に示した結果は、第1実施例の加圧容器30においての結果であるから、加圧容器30内が適切に鏡面仕上げされている場合の数値であり、例えば加圧容器30内を鏡面仕上げしようとしても、その仕上げが粗かったり、加圧容器30の材質がポリカーボネートでない場合であったり、加圧容器30に導入される水に入浴剤が入っていたりすると異なるものであり、また、加圧容器30に導入される水の温度等によっても異なると推定される。これらの条件(加圧容器30の材質や水の質、温度などの条件)が異なると、未溶存空気層Aを作る条件と作らない条件とに分かれる境界のフルード数の値は、約6.2(6.2相当)という値からずれていくものと推定される。
また、同一フルード数で運転しているにもかかわらず、図26に示した第3実施例において、水の流量を7リットル/分とした場合においては、運転開始1〜3分までは空気層非形成(エア層の長さ0cm)であったのに対し、運転開始4分後に空気層形成に変わった(エア層の長さ3cm)。この理由については後述するが、溶解度の違いが関係していると考えられ、したがって、境界のフルード数は水の温度や入浴剤の有無等によっても変わると考えられる。しかしながら、様々なケースについて詳細に言及して説明すると説明がわかりにくくなるため、第1実施例の説明において、特に断らない限り、境界のフルード数を6.2として説明していく。
また、第1実施例の加圧容器30を適用する風呂装置等においては、前記の如く、加圧容器30内の未溶存空量を計測することと、加圧容器30において空気を水に溶存させることとを織り交ぜて行えるように、未溶存空気層形成モードと空気層非形成モード(未溶存空気層Aを「ゼロ」とする運転モード)との切り替え制御をするが、この制御プログラムをフルード数によって変えるようにしている。なお、この制御についての詳細は後述する。
ところで、第1実施例の加圧容器30において、各切り欠きKの高さ(h)は2mmで、切り欠きKを通る水流の厚みh(水面下の水流の厚みであり、水深に相当する)が0.002mであるため、この水流の厚みhを通過する限界水流の流速(限界流速)は、g(重力加速度:9.8m/秒2)を用いて、限界流速c=√(gh)=√(9.8×0.002)=0.141421m/秒(約140mm/秒)として表すことができる。
また、第1実施例において、切り欠きKの総面積が126mm2の具体例において、最も流速の遅い条件である、加圧容器30に導入する水の流量5リットル/分の時の流速は661mm/秒位であり、この条件で切り欠きKを通る水流の限界流速は約140mm/秒である。切り欠きKの総面積が小さくなると水の流速が速くなるが限界流速は水流の厚みhでその速さが決まるので、切り欠きKの総面積が126mm2よりも小さい具体例においては、加圧容器30に導入する水の流量5リットル/分であっても流速が661mm/秒以上で速く、限界流速は約140mm/秒である。したがって、第1実施例の具体例においては、切り欠きKの総面積がいずれの条件であっても、切り欠きKを通る水流の限界流速は約140mm/秒である。
なお、このように、切り欠きKを通る水流の限界流速は約140mm/秒であり、かつ、タンク31の内周壁流下中に跳水現象特有の水流の膨らみ(射流から常流変化時にできる前記渦運動でできる膨らみ)を見ることができないことからも、空気導入弁38の電磁弁65の開閉に関わらず、タンク31の内周壁の被添面に添って流下する水流は常流ではなく(流速が661mm/秒であって限界流速140mm/秒より小さくなく)、前記の如く、射流(乱流)(流速は661mm/秒であって、限界流速140mm/秒以上となり、射流である)と考えられる。
また、流速661mm/秒、限界流速140mm/秒の場合、切り欠きK通過時または、通過直後のフルード数は、4.72(流速661mm/秒÷限界流速140mm/秒)以上となり、空気を除かない場合(空気混入時)のフルード数は、この値よりもやや大きくなると推定される。
また、切り欠きKを通って落下した水が仕切り板34の下に貯留されている水中に落下する際、その貯留水中においては、水流の流れに乗って、水面上部にはタンク略中央部分より気泡が上昇し、時間と共に水面上を覆ってくる。このとき、タンク略中央部分の気泡は下から上に上昇してきている最中なので、上方への運動エネルギを所有しているが、水面上に広がった、すなわちタンク側壁がわでタンク周囲部(タンク31の内周壁近傍)にある気泡は上方への運動エネルギを所有していない。射流のままタンク下部に貯留する水面に至った空気を含む水は、タンク側壁がわにある気泡を巻き込むことがあるが、気泡が上方への運動エネルギを所有していないので(気泡の移動方向と射流の方向が対向していないので)、気泡を容易に水面下に押し込むことができる。
すなわち、第1実施例では、タンク31の内周壁の被添面に添って流下する水流によって生じてタンク側壁がわにある(下側に移動する)気泡と、タンクの下部から水面側に上昇していく気泡とが衝突することによって前記水流の速度が落ちて常流となり、気泡上で跳水現象が発生して、空気層A中を水しぶきが飛び交うといった事態が生じることを防止している。この結果、第1実施例では、フルード数を気泡押し込み必要相当分、増やさなくてもよいような構造となっている。また、水中を上昇してくる気泡を空気層Aまで上昇しきる前に再度水流で押し込むことがないので、空気層Aが気泡で満たされてしまうこと(貯留水に入った気泡が空気層A中に出ることができずに再循環を繰り返し、気泡量が増え続けること)も防止できる構造となっている。
さらに、第1実施例の加圧容器30は、タンク31内に固定された仕切り板34上に水が落ちて当たる構成であり、水を当てる部材をタンク31内の水の上に浮かせているような構成がないため、そのような部材が水の流れに沿って移動するといったことはない。したがって、したがって、電極35,36やグランド電極137が衝撃に弱いカーボン電極により形成されていても、これらの電極35,36,137に前記部材が当たって電極35,36,137が破損するといったことを防ぐことができる。
さらに、第1実施例の加圧容器30は、水の流れが図1(b)に示すように流れてタンク31内で攪拌されるので、タンク31の下部側から上部側に流れてきた水が電極35,36,137に当たらないようにすることができる。そのため、水流による電極35,36,137の破損を防止し、水位を誤検出するといったことも防ぐことができる。さらに、貯留水中に(加圧容器30の貯留水が溜まる部分に)流れを妨げる突起物が無いので、前記突起物が跳水現象で振動(加圧容器30が振動)することもなく、また、前記突起物が圧力腐食割れを起こして水中に落下し、その落下した突起物が電極35,36,137に当たってこれらの電極35,36,137を破壊するといったことも防ぐことができる。
次に、第1実施例において、前記のように、切り欠きKの総面積を変えた具体例についての検討結果について、図2、図4、図5に示す実験結果を参照しながら述べる。本願発明者は、まず、第1実施例の加圧容器30について、加圧容器30に導入する水の流量を6リットル/分とし、切り欠きKの総面積を、63mm2、84mm2、105mm2のいずれかとし、それぞれの場合についての濁度の変化について検討した。なお、濁度とは、空気の溶解(溶存)濃度である。この検討は、いずれも、表1に示したように、加圧容器30内に空気層を全く形成しない状態、すなわち未溶存空気量を計測できないという状態(微細気泡発生機能付き装置による空気層Aを「ゼロ」とするモード(空気層非形成モード)時に関するもの)であり、この空気層非形成モードにおける空気層「ゼロ」用の空気導入弁制御を組み合わせて行ったものである。
図2(a)に、その検討結果が示されている。図2(a)において、特性線aは、切り欠きKの総面積を63mm2としたときの濁度を示し、特性線bは、切り欠きKの総面積を84mm2としたときの濁度を示し、特性線cは、切り欠きKの総面積を105mm2としたときの濁度を示す。なお、図2等に示す濁度(白濁度)の測定結果は、OPTEX社製の濁度チェッカーSC−T3を用いて白濁度計測をした結果である。白濁度合い(濁度)は、180リットルの浴槽中央部水面下5cmにおける計測器の数値をそのまま示しており、数値が大きいほど白濁していることを示す。
また、図2(b)には、水の流量を6リットル/分とした場合において、切り欠きKの総面積(隙間面積)に対する平均濁度を求めた結果が示されている。ここで、平均濁度とは、運転開始から1分後、2分後、3分後、4分後の濁度を平均して求めた。これらの検討結果から、切り欠きKの総面積を63mm2とすることにより、良好な濁度が得られることが分かった。
つまり、切り欠きKの総面積を、105mm2→84mm2→63mm2と小さくしていくと、切り欠きKを通って落下する流速が速くなる(流速952mm/秒→流速1190mm/秒→流速1587mm/秒)と考えられるが、切り欠きKの総面積を105mm2→84mm2(流速比1.25倍)としたときの、切り欠きKを通って落ちる水の落下流速の変化に対する濁度の変化量(上昇量)に対して、切り欠きKの総面積を、84mm2→63mm2(流速比1.33倍)としたときの、切り欠きKを通って落ちる水の落下流速の変化に対する濁度の変化量(上昇量)は著しく大きくなっている。つまり、このときの落下流速の変化(1.06倍=1.33/1.25)に対して著しく濁度が上昇している(落下流速が1.06倍程度変化しているのに対し、平均濁度は約2.7倍に上昇している)。
この理由は、以下のように考えられる。つまり、切り欠きKを通って落下(流下)する水の落下流速によって上流側フルード数が変化し、その上流側フルード数によって、例えば図20に示すように、水中下の跳水現象(跳水形状分類)に差異が生じ、フルード数に応じて跳水形状分類が段階的に変化するものであると考えられるが、切り欠きKの総面積を84mm2→63mm2とすることにより、その水中下の跳水現象が、定常跳水から強流跳水に変化したためであると考えられる。
具体的には、切り欠きKの総面積を、105mm2→84mm2→63mm2と小さくしていくことにより、落下流速が952mm/秒→1190mm/秒→1587mm/秒と変化し、この落下流速の変化に応じて、上流側フルード数が6.8→8.5→11.3と変化するが、切り欠きKの総面積の84mm2→63mm2への変化によって上流側フルード数が8.5から11.3に変化することにより、水中下の跳水現象が定常跳水から強流跳水に変化したために(定常跳水と強流跳水との境界gを跨ぐことになったため)、濁度が著しく上昇したものと考えられる。そして、この跳水現象の変化によって、切り欠きKの面積を63mm2としたときには、落下する水にタンク31内の未溶存の空気が溶存しやすくなり、濁度を高めることができると考えられる。なお、濁度が高く、浴槽の水の白さが増したほうが、入浴感が向上してよい。
第1実施例において、このように、上流側フルード数が8.5から11.3に変化したときに、水中下の跳水現象が定常跳水から強流跳水に変化した理由についての本発明者の考察について、図20、図21等を参照しながら以下に簡単に述べる(詳細については後述する)。
まず、図20、図21について、簡単に説明すると、跳水現象は、そのレベルに応じて、レベルが小さい方から順に、波状跳水、弱流跳水、振動跳水、定常跳水、強流跳水に分類でき、図20、図21においては、波状跳水と弱流跳水との境界をd、弱流跳水と振動跳水との境界をe、振動跳水と定常跳水との境界をf、定常跳水と強流跳水との境界をgとして示している。これらの境界d〜gはフルード数に対応するものであり、フルード数に応じて跳水現象が段階的に変化するものであるが、同じフルード数であっても、その水が通るときに受ける粘性によって、フルード数に応じた跳水現象に差異が生じるものと考えられる。
図20において、矢印Z方向に向かうほど、水の粘性が増大する方向を示しており、この粘性と跳水現象分類との関係についての詳細は後述するが、本願発明者は、後述のレイノルズ数に対応する値(この値は粘性の増加に応じて小さく変化する)が跳水現象分類に関与しているものと考えている。また、図22には、この粘性とフルード数との関係が特性線により示されており、同図における各特性線d〜gは、図20における境界d〜gに対応する(図20の平面図における境界d〜gの線と図22の特性線d〜gとは一致する)。
なお、図20、図21に示されている第1実施例および第3実施例、第4実施例の結果は、加圧容器30の材質をポリカーボネートとし、内面を鏡面仕上げ(例えば透明な材質を使用した場合に磨りガラスではなく透明なガラスで作って、あたかも内部が透けて見えるような状態)として実験を行った結果である。また、図21(a)は、図20におけるNの範囲内(第3実施例を含む範囲内であり、河川等の一般的な跳水分類)を抜粋して示したものであり、図21(b)は、図20におけるMの範囲内のみを抜粋して示したものである。なお、図22においてもNの範囲が河川等の一般的な跳水の分類に対応している。
図21(a)に示すように、河川の流れの跳水分類(粘性の影響を殆ど受けない領域の跳水分類)は、段階的に変化し、X軸、Y軸共に同一スケールとすれば、その跳水分類の境界のフルード数を結ぶ特性線hは、フルード数が1の点を通る角度45度の直線となる。
また、第1実施例における跳水分類も、図21(b)の破線に示すように段階的に変化すると考えられる。つまり、その跳水分類は、図21(a)に示した河川の流れの跳水分類とは異なるものの、跳水分類の境界のフルード数を結ぶ特性線iは、フルード数が1の点を通る所定角度の直線になるものと推定される。そして、第1実施例の加圧容器30を用いた場合には、前記の如く、未溶存空気層Aを作る条件と作らない条件とに分かれる境界のフルード数の値が約6.2であることから、振動跳水と定常跳水との境界はフルード数6.2相当と考えられるため、第1実施例の上流側フルード数による跳水現象分類は、図21(b)の破線に示すようになり、跳水分類の境界を結ぶ特性線iが、フルード数が1の点と6.2の点とを通る直線になるような跳水現象分類になると推定される。なお、後述する第4実施例では跳水分類の境界を結ぶ線は、図20の特性線jのようになると考えられる。
ここで、図21(b)の破線に示される跳水現象分類によると、定常跳水と強流跳水との境界はフルード数12.4と考えられ、切り欠きKの総面積を、105mm2→84mm2→63mm2と小さくし、フルード数が6.8→8.5→11.3となっても、いずれも跳水現象分類はフルード数6.5〜12.4の範囲内である定常跳水である。このように、同じ跳水現象分類ならば、図2(b)に示した、隙間面積(切り欠きKの総面積)と平均濁度との関係は略直線になると考えられるにもかかわらず、実際には、切り欠きKの総面積が63mm2の場合のみ急激な濁度上昇が見られた。
つまり、図21(b)の破線に示す跳水分類からの推定によると、フルード数12.4以上でなければ強流跳水が発生しないと考えられるにもかかわらず、図2(b)に示した実験結果から、第1実施例の加圧容器を用いた場合の実際の定常跳水と強流跳水との境界はフルード数12.4ではなく、フルード数が8.5〜11.3の間の値となるので、フルード数11.3となるような、切り欠きKの総面積が63mm2で流量6リットル/分で、強流跳水が発生しているものと考えられる。
この原因は、水流が切り欠きKを通って被添面(第1実施例においては、タンク31の内壁)を通って流れる際に、水流が受ける粘性の影響の大きさの違いによると考えられる。つまり、図19(a)、(b)には、切り欠きKを通りタンク内周壁の被添面に沿って流れる水流の型崩れの様子が模式的に示されており、これらの図に示されるように、水流は、切り欠きKを通った後に、三角形状の底辺の部分をタンク内壁面に接触させながら流下していく間に、その形が崩れて底辺(接触面)が広がっていくが、この水流の被添面との接触面は、図19(a)に示す水流が遅い場合と、図19(b)に示す水流が早い場合とを比較すると分かるように、水流が速い場合(つまり、第1実施例において切り欠きKの総面積が63mm2の具体例の場合)には、水流が切り欠きKから水面へ流れ下っている間に(接触面が)崩れていく割合が小さい。
このように、水流が速い場合には、水流が遅い場合に比して粘性の影響を受けにくくなるために、図21(b)の破線からは、フルード数12.4以上でなければ強流跳水にならないと思われることに反して、実際には、フルード数11.3で定常跳水と強流跳水との境界を越えているものと考えられる。ちなみに、切り欠きKの総面積126mm2でフルード数12.4を越える流量は、例えば13.2リットル/分以上である。
なお、射流(乱流)は跳水現象でフルード数1以下の層流になるためのエネルギを放出し、このとき、跳水の上流側である射流(乱流)のフルード数が大きいほど跳水での放出エネルギ量は大きくなる。したがって、上流側フルード数による跳水現象の分類は、射流(乱流)が層流になるための放出エネルギ量による跳水現象の分類として表すこともできる(放出エネルギによる跳水現象も不連続変化で発生するため、射流のフルード数別の跳水現象分類が成されている)。
図42(a)に示すように、河川は上側が開口となっており、河川の水の流れは、河川の底面と側面に触れながら、図の矢印のように流れる。そして、跳水現象が発生すると、図42(b)のHJに示すように、開口側に三角波形跳水と呼ばれる盛り上が生じる(水位が上昇する)。このような河川の流れにおいて、水の流れが河川の底面や側面に触れている領域割合は小さい(底面や側面に触れて流れる部分、すなわち粘性の影響を受ける部分は、それ以外の流れの部分に比べて非常に小さい)。なお、流れが受ける粘性はレイノルズ数により表すことができる。
なお、レイノルズ数が数万から十数万以上の大きな値の場合は、図20、図21(a)、図22の各図におけるNに示す範囲内に示されるように、粘性の影響を無視できる範囲となり、跳水現象が変化するフルード数は一定の値となると考えられる。すなわち、河川ではレイノルズ数を無視できるので、フルード数とレイノルズ数との関係については研究されてこなかった。
そして、この場合(レイノルズ数を無視してフルード数を求めた場合)、図21(a)の特性線hは、前記の如く、フルード数が1の点を通る角度45度の直線であり、従って、特性線hのY方向の値とX方向の値から1を引いた値とは等しく、跳水が層流になるときに放出するエネルギ(フルード数に対応する値)は、弱流跳水の場合は0.7(1.7−1.0=0.7)、振動跳水の場合は1.5(2.5−1.0=1.5)、定常跳水の場合は3.5(4.5−1.0=3.5)、強流跳水の場合は8.0(9.0−1.0=8.0)となる。
なお、図21(a)の下向きの矢印N2は、上流側フルード数7の射流が常流になる時に定常跳水を生じ、フルード数3.5相当のエネルギを放出することを表わし、また、下向きの矢印N1は、上流側フルード数21の射流が常流になる時に強流跳水を生じ、フルード数8相当のエネルギを放出することを表わす。
一方、第1実施例を始めとする各実施例(第2実施例以下については後述する)のように、切り欠きKを通して水が流れ出た場合、図42(c)に示すように、開口部のない管路内を水が通るような状態から、水の流れが切り欠きの内壁に触れる領域が図42(a)に示したような河川の流れ等と同じような状態となり、その後、図19(a)、(b)に示したように、流れる水の形が時々刻々と変化して形が崩れることで、水の流れが受ける粘性の値が大きくなる。つまり、切り欠きKを通して水が流れ出た場合には、その水の流れが受ける粘性にレイノルズ数そのものを当てはめることはできないが(つまり、レイノルズ数を求める計算式をそのまま当てはめて粘性を計算することはできないが)、粘性をレイノルズ数に対応する値としてとらえることができ、このレイノルズ数に対応する値は、水の流れが受ける粘性が大きくなるにつれて小さくなる。例えば、本願の実施例や第4実施例では、このレイノルズ数に対応する値は、例えば700〜3000程度となり、前記河川の流れのレイノルズ数(数万から十数万以上)に比べて遙かに小さくなる。
そして、水の粘性の増加に対応して跳水分類が切り替わるためのフルード数が変化し、粘性が増加するにつれて跳水分類が切り替わるためのフルード数が大きくなる傾向にあると考えられる。つまり、切り欠きKを通して流れる水は、河川を流れる川の流れよりも水が受ける粘性が大きい分だけ(粘性が増加した分)、粘性の影響により失われるエネルギが大きくなり、跳水分類が変化するフルード数の値が大きくなり、跳水で射流が常流になる場合に放出するエネルギに比してその射流を作るエネルギ量が大きくなる。
例えば、第1実施例では、図20において、Cの矢印により示される位置におけるエネルギ放出量とフルード数との関係が当てはまると考えられるが、この場合、一般的な河川における定常跳水で層流になるときのエネルギ放出量が3.5(4.5−1.0=1.5)であるのに対し、第1実施例では、粘性が河川の流れに比べて大きい分だけ(例えば1.5〜2程度)エネルギーロスが大きく、フルード数6.2を越えるまで流速を上げないと(水流にエネルギを与えないと)エネルギ放出量が3.5とならず、1.7(6.2−3.5−1)が粘性で失われるエネルギーロスとなる。
なお、切り欠きKの形状が矩形状の第4実施例は、切り欠きKの形状が略三角形状の第1実施例よりも水崩れが大きいために、このエネルギーロスも大きく、図20の点B1に示すように、切り欠きKの総面積が90mm2、加圧容器30に導入される水の流量が7リットル/分であって、フルード数が10.69でも、振動跳水となっていることから、エネルギーロスは6.19以上(10.69−3.5−1)である。このように、第1実施例と第4実施例とを比較すると、略三角形状の切り欠きKを形成する構成に比して、矩形状の切り欠きを形成する構成は、エネルギーロスが3.6倍以上あり、水崩れしにくい第1実施例の切り欠き形状とすれば、エネルギーロスが大幅に押さえられることが分かる。
なお、図20を見ると、第1実施例よりも第3実施例の方がエネルギーロスが小さい(ほぼゼロである)ことが分かるが、第3実施例は、そもそも流速自体を上げることが難しいため、濁度を上げることが困難であり、第1実施例の方が浴槽26に微細気泡を発生させるための加圧容器30として優れている。なお、このことについては、後述する。
以上のように、第1実施例においては、跳水分類がフルード数、水の粘性に関係するレイノルズ数により特有の分類となり、その分類における振動跳水と定常跳水との境界fを利用して、第1実施例の加圧容器30を適用する空気溶存装置は、仕切り板34の下側に空気層Aを形成する態様と空気層非形成の態様とを分けている。つまり、前記モード切り替え制御手段(図7、参照)が、切り欠きKを通る射流水のフルード数である上流側フルード数の値を、跳水現象分類の境界となる境界フルード数(定常跳水と振動跳水との境界であり、値は約6.2)より小さい値とすることにより未溶存空気層形成モードとし、上流側フルード数を境界フルード数以上の値とすることにより空気層非形成モードとするようにしている。
なお、図4には、第1実施例において、切り欠きKの総面積が126mm2での具体例について、濁度と、図3に示すエア層の長さ(エア長)と泡層の長さ(泡長)とについて、加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した結果が示されている。図4において、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。また、図5(a)には、図4から特性線d、e、fを抜き出して示すことにより、第1実施例において、切り欠きKの総面積が126mm2の加圧容器30に導入される水の流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さが示されている。
これらの特性線から分かる空気層Aの形成の有無は、表1に示した通りであり、切り欠きKの総面積が126mm2の加圧容器30においては、特性線d、eにそれぞれ示されるように、加圧容器30に導入される水の流量を6リットル/分、6.5リットル/分としたときには、エア層が形成され、特性線fに示されるように、切り欠きKの総面積が126mm2の加圧容器30に導入される水の流量を7リットル/分とした場合は、エア層がゼロとなり、空気層が形成されないので未溶存空気量を計測できない。また、切り欠きKの総面積が、105mm2、84mm2、63mm2の各具体例においては、加圧容器30に導入される水の流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのいずれの流量においても、図5(a)の特性線fと同様に、エア層(空気層A)が形成されない。
つまり、第1実施例の具体例において、加圧容器30に導入される水の流量を変えたときの、運転開始から4分後のエア層の長さ(エア長)は、図5(b)の特性線aに示すように、切り欠きKの総面積が126mm2の加圧容器は、加圧容器30に導入される水の流量によってエア層の長さが異なるのに対し、切り欠きKの総面積が105mm2、84mm2、63mm2の各具体例においては、特性線bに示すように、いずれの流量においてもエア層がゼロである。なお、このように、エア層が形成されない状態は、図44(b)に示したように、泡の上から炭酸水を注ぐような状況となっている状態である。
ここで、本願発明者の検討により明らかになった、加圧容器に必要な要件をまとめると、以下の(A)〜(D)に示すようになる。また、加圧容器を適用する風呂装置等の空気溶存装置においては、(F)に示すような制御が必要になる。
(A)タンク31の縦寸法を小さくして小型化するためには、渦運動の水中発生位置を水面通過直後としたい。すなわち、射流のままタンク下部に貯留する水面に至った空気を含む水が、貯留水との衝突により速度が落ちてすぐに常流となるように、射流のフルード数(上流側フルード数)を1より大きい約32以下の値としたい。また、渦を有効に作るには前記フルード数は1.7より大きいことが望ましい。
(B)濁度を高めるためには、前記のように、仕切り板34の上側から下側に流下する水の流速が速いほうが好ましい。この要件を満たすためには、仕切り板34の上側から下側に水を流下させるために、切り欠きK等により形成する水通過部(隙間)の総面積を小さくできる手法が望まれる。
(C)前記隙間(第1実施例では、切り欠きKとタンク31の内周壁との隙間であり、例えば図1(d)に示されている高さh)が狭いと、浴槽26に微細気泡を発生するための微細気泡噴出装置(図9、参照)において、浴槽湯水等を吸い込む吸入部に設けられたフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミ、髪の毛等が隙間で目詰まりする可能性があるため、水流を添わせる面を底辺とした底辺からの垂直方向の距離(水流の厚み)(ここではh)は、できれば1.5mm以上が好ましい。
(D)未溶存空気の空気層Aをつくるために、隙間を通った水を添わせる部分(被添面)が必要である。
(F)仕切り板34の上側から下側に流下する水の落下流速(又はフルード数)によって水中下の跳水現象に差異があるものと考えられ、空気層Aを作る流量域(又はフルード数域)と空気層Aを作らない流量域(又はフルード数域)との切り替え制御を行うこと、つまり、未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの切り替え制御を行うことが必要である。また、各モードにおいて、加圧容器30に導入する空気の量を調整することが重要であり、そのためには、加圧容器30を適用して微細気泡を発生させるために、空気溶存装置においては専用の空気導入弁38の制御が必要である。例えば、通常は空気層Aを作らない流量域で運転するものでも、フィルタ54の目詰まり時には、加圧容器30に注入される水の流量が小さくなって空気層Aを作るので、空気導入弁制御方法を切り変える必要がある。
なお、前記(A)に述べたように、上流側フルード数が約32以下、フルード数の2乗が1000以下となるようにするとした根拠は、上記(C)より導かれている。すなわち、フルード数は、切り欠きKを流れる流速÷切り欠きKでの限界流速で表されるが、上記(C)より高さhは1.5[mm]以上が好ましく、1.3[mm]以下とすることはないと考えられる(限界流速上限は、√(9.8[m/s2]×0.0013[m])。一方、切り欠きKを流れる流速は、エロージョン・コロージョンを考えると、3.5[m/s]〜3.6[m/s](3.5[m/s]:ステンレス、3.6[m/s]:30%キュプロニッケル)あたりが限界と考えられる。従って、フルード数の2乗は、(3.6[m/s])2÷((9.8[m/s2])×(0.0013[m]))で表される1017よりは小さいと考えられ、およそ1000以下という値が導かれる。
また、浴槽26等の水槽内に噴出する微細気泡による水の濁度を高める手法としては、加圧容器30を用いて、高い濁度を示すような空気を多量に溶解した水を作ることが求められるが、あまり高い濁度を示さない水(空気の溶解量は、高い濁度を示すほどは多くない水)であっても多量に作って浴槽内に供給すれば(水の供給に伴い、空気を溶解した水を減圧して微細気泡を発生させれば)、浴槽26内の水の濁度を高めることができる(高い濁度を示すような空気を多量に溶解した水を作る場合と同等の濁度にできる)。ところが、浴槽26内に多量に水を供給するということは、ポンプ21を大きくするか、ポンプ21の回転数を高くするかが必要となり、ポンプ21を大きくすると装置が大型化し、ポンプ21の回転数を高くすると騒音が大きくなる。さらに、浴槽26内に多量に水を供給すると、猛烈な水流が入浴者に向けて流れることを意味するため、好ましくない。
したがって、微細気泡発生機能付き装置を例えば風呂装置とする場合には、多量の水を浴槽26等に供給するのではなく、加圧容器30を用いて高い濁度を示すような空気を多量に溶解した水を作ることが求められるものであり、前記(B)に述べた「濁度を高めるためには」というのは、「高い濁度を示すような空気を多量に溶解した水を作るためには」の意味であり、「仕切り板34の上側から下側に流下する水の流速が速いほうが好ましい」とは、「例えば同じ流量の場合に、仕切り板34の上側から下側に流下する水の流速が速いほうが好ましい」の意味である。なお、後述のように、浴槽ではなくプールに微細気泡を噴出する構成においては、「高い濁度を示すような空気を多量に溶解した水を、多量に作る」例を述べている。
ところで、本願発明者は、加圧容器を適用する空気溶存装置において前記(F)の要件を満たすことを考慮した上で、前記(A)〜(D)の要件を満たす加圧容器を提案するに当たり、第1実施例の加圧容器30を形成する前に、図24、図26の各図に示す加圧容器30(第2実施例、第3実施例)および、図28に示す仕切り板34を有する加圧容器30(第4実施例)について検討した。なお、以下に第2〜第4実施例について詳述するが、その説明において、第1実施例と同一名称部分には同一符号を付してあり、その重複説明は省略又は簡略化する。
第1〜第4実施例についての検討結果の一覧を表3に示す。なお、本願発明の加圧容器としては、第1〜第4実施例を始めとして後述するような様々な加圧容器が適用されるものであるが、第1〜第4実施例についての今回の検討においては第1実施例の加圧容器が最も優れた特性を示した。
図24には、第2実施例の加圧容器30の構成が示されており、図24(a)、(c)に示すように、第2実施例の加圧容器30は第1実施例とタンク31等の構成がほぼ同様に形成されているが、図24(b)の横断面図に示すように、仕切り板34には切り欠きを形成せずに、仕切り板34の外周縁と前記タンク31の内周壁との間に、予め定められた設定間隔の隙間Sを形成している。すなわち、仕切り板34とタンク内壁の径の差を利用した隙間ノズルとなっている。なお、仕切り板34には、前記各電極35,36およびグランド電極137を通過する通過部の穴が形成されているが、図24(b)においては、これらの穴の図示は省略されている。
また、第2実施例の加圧容器30においては、前記気液2相混相流を90度の角度で導入するように、仕切り板34の外周縁とタンク31の内周壁との間の隙間Sで作られる水流の向きを下向きにする構成(仕切り板34の配設および隙間Sの形成構成)によって前記射流水流流下手段が形成され、隙間Sを通る流速と限界流速とに起因するフルード数が1.7以上(例えば3.6以上)となるように、タンク31内に導入される水の流量に対応させて形成される隙間Sの大きさと総面積とが形成されている形態が前記跳水現象発生手段として機能する。
第2実施例の一具体例として、タンク31の内壁の径が第1実施例と同じ45mmであるのに対し、仕切り板34の直径を42mmに形成し、隙間S(タンク内壁と仕切り板34の外周と間の隙間)の径を1.5mm、隙間の面積を204.885mm2としている。このように、隙間の面積が、直径8mmの注入口32の断面積50mm2よりも大きく形成されるように、隙間Sの大きさが決定されている。水流の厚み0.0015m、流量約6リットル/分で、流速488mm/秒、限界流速121mm/秒、フルード数は4(流速488mm/秒÷限界流速121mm/秒)であり、フルード数/流速の値=4/488=約0.0082、限界流速/隙間Sの総面積=121/204.885=約0.6となる。
図25には、この第2実施例の加圧容器30について、図3に示すエア層の長さ(エア長)と泡層の長さ(泡長)と濁度を、加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した結果が示されている。ここで、濁度とは、空気の溶解(溶存)濃度である。本検討では、フルード数3.6以上である4〜4.7に相当する流量6リットル/分〜7リットル/分の試験データが示されている。
図25おいて、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。また、3分後と4分後について、流量(リットル/分)と、エア長(cm)、泡長(cm)、エア長/泡長、泡長−エア長(cm)、濁度、フルード数、流速(mm/秒)の関係を表4に示す。
この第2実施例において、濁度を上げるために、隙間Sを通る水の流速を上げるためには、水流の厚みを1.5mmより薄くしなければならず、つまり、隙間Sを1.5mmよりも狭く形成しなければならないため、前記(C)の要件を満たさなくなってしまうので、これ以上の性能の向上は望めないことが分かった。
次に、第3実施例について説明する。第3実施例の加圧容器30は、図26(a)、(d)に示すように、仕切り板34の上から下へ水を流下させるための隙間を、仕切り板34の中央部に形成している。つまり、第3実施例では、仕切り板34の中央部に貫通孔29が形成され、該貫通孔29の上部側を覆うテーブル板部28が仕切り板34の板面と上下方向に隙間tを介して設けられており、注入口32から注ぎ込まれる水がテーブル板部34の上に落下した後、隙間tを通り、テーブル板部28の下の被添面(図26(e)のB、参照)に添って通った後、貫通孔29を通ってタンク31の下部側に落下する構成と成している。この時の落下流はまるで4本の縄をちょうどしめ縄のようによった状態で1本の水流となって落下していっている。4本の水流がに互いに他の水流を吸い寄せ、吸着しながら1本の水流となっているようである。なお、水(空気を含む水と含まない水それぞれ)が貫通孔29を通る際、この貫通孔29の周りの仕切り板34の壁(仕切り板34の内壁)には非接触で通り、仕切り板34の下側に落下する。
また、図26(b)には、仕切り板24とテーブル板部28の結合構成が側面図により示されており、図26(c)には、その平面構成が示されている(電極通過部の穴は表示省略)。これらの図に示すように、テーブル板部28は、脚部65を介して仕切り板34に連結されており、この脚部65の幅W(図26(c)、参照)は3mmに形成されている。また、仕切り板34とテーブル板部28との隙間tは、例えば3mmに形成され(水流の厚み0.003m)、テーブル板部28と貫通孔29の直径は共に20mmに形成されている。したがって、隙間tの総面積(テーブル板部28の外周に沿った領域の隙間面積から脚部65の形成領域を除く領域の面積)は、20×π×3−3×3×4=152.4mm2となり、注入口32の断面積50mm2よりも大きく形成されている。
第3実施例では、水流の厚み0.003m、流量約6リットル/分で、流速650mm/秒、限界流速171mm/秒、フルード数は3.8(流速650mm/秒÷限界流速171mm/秒)であり、フルード数/流速=3.8/650=約0.0058、限界流速/隙間tの総面積=171/152.4=約1.1となる。
第3実施例の加圧容器30においては、前記気液2相混相流を90度の角度で導入するように形成され、かつ、タンク31内に導入される水の流量に対応させてその幅を設定して形成されている隙間tの形成形態(仕切り板34とテーブル板部28との配設位置構成)が、前記射流水流流下手段を形成している。また、隙間tを通る流速と限界流速とに起因するフルード数が1.7以上(例えば3.8以上)となるように、タンク31内に導入される水の流量に対応させて形成される隙間tの大きさと総面積とが形成されている形態が前記跳水現象発生手段として機能する
第3実施例について、第2実施例と同様に、図3に示すエア層の長さ(エア長)と泡層の長さ(泡長)と濁度を、加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した結果が、図27に示されている。本検討ではフルード数3.8〜4.5に相当する流量6リットル/分〜7リットル/分の試験データが示されている。なお、図27において、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。
また、3分後と4分後について、流量(リットル/分)と、エア長(cm)、泡長(cm)、エア長/泡長、泡長−エア長(cm)、濁度、フルード数、流速(mm/秒)の関係を表5に示す。
この第3実施例においては、水の流れは、テーブル板部28の中央を突破し、他の例とは異なり、水流を被添面に長距離添わせて落下させていない。このことにより、第3実施例では、跳水発生の高フルード数化を防ぐことができるので、ポンプの回転数(水圧、流速)を上げることなく水面下での跳水現象の誘発が出来る点では優れている。しかも、気液2相混相流を、被添面を全く添わせないで注ぎ込むと、水面を叩く音等が発生するものの、第3実施例においては、水面を叩く音等が発生を防止するのに十分な被添面(図26(e)の被添面Bや、図43に示すターゲット部材67の底面の被添面)があるために、水面を叩く音等の発生は防止できる。しかし、水流が一点に集中して落下し、水面下に深く潜り込む結果、図3に示す泡層−エア層、すなわち水面下に潜り込む気泡の長さが長くなり、結果、加圧容器30の高さを大きくしなければならなくなり、小型化に不向きである。
また、濁度を上げるために、隙間tを通る水の流速を上げるためには、水流の厚みを3mmとしたまま、テーブル板部28の直径を小さくすることにより、隙間tの総面積を小さくして、隙間tを通る水の流速を上げることができる。ただし、テーブル板部28の直径を小さくしていくと、空気層Aを形成するために水の流れを添わせる部分が無くなってくるという問題が生じ、前記(D)の要件を満たさなくなる。さらに直径を大きくして脚部65を太くすると、加圧容器に必要な要件の一つである前記(D)の条件をクリアできるかもしれないが、前記したように、しめ縄のように各水流が合わさって1本の水流で落下させるのが困難だと思われる。
次に、第4実施例について説明する。第4実施例の加圧容器30は、第1実施例とほぼ同様に形成されており、第1実施例において仕切り板34の外周端部に略三角形状の切り欠きKを形成したのに対し、第4実施例では、図28(a)に示すように、矩形状の切り欠きKを形成した仕切り板34を適用している。なお、図28においても、電極通過部の穴は表示省略している。また、この例において、切り欠きKは矩形状に形成されて互いに等間隔で配置され、仕切り板34は歯車形状と成しており、仕切り板34をタンク31内に配置した加圧容器の断面図が、図28(b)に示すようになる。
1つの切り欠きKの幅(タンク31の周方向の長さ)(図28(a)、参照)を2mmとし、奥行き(タンク31の直径方向の長さ)(図28(a)、参照)を1.5mmとして、この切り欠きKを30個設けることにより、切り欠きKの総面積(切り欠きKとタンク31の内周壁との隙間の総面積)を90mm2とすることができる。同様に、切り欠きKの奥行きのみを2mm、3mmとすることにより、切り欠きKの総面積(切り欠きKとタンク31の内周壁との隙間の総面積)を120mm2、180mm2とすることができる。
第4実施例の加圧容器30においては、第1実施例と同様に、前記気液2相混相流を90度の角度で導入するように、切り欠きKで作られる水流の向きを下向きにする構成(仕切り板34の配設および仕切り板34への切り欠きKの形成構成)が、前記射流水流流下手段を形成し、切り欠きK(切り欠きKとタンク内壁との隙間)を通る流速と限界流速とに起因するフルード数が1.7以上(例えば3.6以上)となるように、タンク31内に導入される水の流量に対応させて切り欠きKの高さおよび総面積を形成する切り欠きKの形成形態が、前記跳水現象を発生させる跳水現象発生手段として機能する。
図29には、第4実施例において、切り欠きKの総面積を90mm2とした場合の、前記エア層の長さ(エア長)と泡層の長さ(泡長)とについて、加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した結果が示されている。なお、図29において、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。
なお、図29に示す特性線(第4実施例において、切り欠きKの総面積を90mm2とした例における結果)と、図4に示した第1実施例における切り欠きKの総面積が126mm2の具体例についての特性線とを比較すると分かるように、仕切り板34に形成する切り欠きKの総面積が126mm2の第1実施例と切り欠きKの総面積が90mm2の第4実施例とは似た挙動を示しており、同じ水の流量でも、切り欠きKの形状を第1実施例のような略三角形状とすることにより、水の攪拌効果の向上が期待できることが分かった。
また、第4実施例において、切り欠きKの面積(仕切り板34の板面方向の面積)を様々に変えて、前記エア層の長さと泡層の長さと濁度について検討した。本検討では、フルード数3.2〜10.7に相当する、流量6リットル/分〜7リットル/分の試験を行った。なお、フルード数が3.2となるのは、隙間の総面積180mm2、流量6リットル/分のときであり、(流速550mm/秒÷限界流171mm/秒=3.2)、フルード数が10.7となるのは、隙間の総面積90mm2、7リットル/分のときである(流速1296.3mm/秒÷限界流121mm/秒=10.7)。第2実施例〜第4実施例の中で、フルード数の最大値は10.7であり、空気を除かない場合(空気混合時の場合)のフルード数は、この値より大きくなると推定されるが、空気混合時でも、フルード数の2乗は1000(フルード数約32)を超えないものと考えられる。
この検討において、タンク31内に注入する水の流量を6.5リットル/分としたときについての結果を、図30〜図32に示す。図30は、複数の切り欠きKの総面積を90mm2(幅2mm×奥行き1.5mmの切り欠きKを30個配設)とし、図31は、複数の切り欠きKの総面積を120mm2(幅2mm×奥行き2mmの切り欠きKを30個配設)とし、図32は、複数の切り欠きKの総面積を180mm2(幅2mm×奥行き3mmの切り欠きKを30個配設)として検討したものであり、いずれも切り欠きKの総面積が注入口32の断面積50mm2よりも大きい。それぞれの図において、特性線aは泡層の長さ、特性線bはエア層の長さ、特性線cは濁度を示している。
また、図30、図31、図32において、3分後の値と4分後の値をそれぞれ表6〜表8に示す。
また、図33には、第4実施例において、タンク31内に注入する水の流量を6リットル/分とし、複数の切り欠きKの総面積(すなわち、仕切り板34とタンク31の内周壁との隙間の総面積)を変えたときの、泡層の長さに対するエア層の長さの割合(エア長/泡長)が特性線aに、濁度平均値が特性線bにそれぞれ示されている。特性線aに示すエア長/泡長の割合は、複数の切り欠きKの総面積が大きくなるにつれて大きくなる傾向を示しており、特性線bに示す濁度平均値は、複数の切り欠きKの総面積が大きくなるにつれて小さくなる傾向を示している。
なお、この検討では、総面積120mm2における検討結果が、エア長/泡長の割合および濁度の両方において、総面積90mm2における値に比べてかなり小さくなっているが、実際には、エア長/泡長の割合は特性線a’に示すように比例的に大きくなり、濁度平均値は、特性線b’に示すように、比例的に小さくなるものと考えられる。これら特性線a’と特性線b’の交点における隙間面積になるように、複数の切り欠きKの総面積を形成することにより、エア長/泡長の割合と濁度とのバランスに優れた加圧容器30が形成されると考えられる。
また、図34には、第4実施例において、複数の切り欠きKの総面積を90mm2、120mm2、180mm2としたときの、タンク31内に注入される水の流量と流速との関係を検討した結果が示されている。特性線aは切り欠きKの総面積を90mm2としたときの検討結果、特性線bは切り欠きKの総面積を120mm2としたときの検討結果、特性線cは切り欠きKの総面積を180mm2としたときの検討結果である。これらの特性線に示されるように、切り欠きKの総面積により、タンク31内に注入される水の流量に対する流速が変化するため、この流速が、エア長/泡長の割合と濁度の値に関係していると考えられる。
第4実施例では、切り欠きKとタンク31の内周壁との隙間の総面積が90mm2の場合の流速が最も速く、この条件において、水流の厚み0.0015m、流量約6リットル/分で、流速1100mm/秒、限界流速121mm/秒、フルード数は9.1(流速1100mm/秒÷限界流速121mm/秒)であり、フルード数/流速=9.1/1100=約0.0082、限界流速/隙間Sの総面積=121/90=約1.3となる。
また、第4実施例において、さらに濁度を上げるために、前記隙間(切り欠きK)を通る水の流速を上げるためには、水流の厚みを1.5mmより薄くしなければならない。しかしながら、切り欠きKの奥行きを1.5mmよりも狭く形成すると、前記(C)の要件を満たさなくなってしまうことが分かった。
以上のような第2実施例〜第4実施例について、加圧容器30内に導入される水の流量と空気層形成または空気層非形成の態様についてまとめると、以下の(表9)に示すようになる。
なお、表9において、○は空気層が形成される態様であることを示し、×は空気層非形成態様であることを示し、△は、水の導入時間に応じて、空気層非形成から空気層形成に移行する態様であることを示す。
ところで、第1実施例と第4実施例のように、複数の切り欠きKが互いに間隔を介して配設されている態様においては、切り欠きKを通った水が、その切り欠きKの底辺(タンク周方向の長さであり、第1実施例については、図1(d)のW参照)の幅と同じ幅でもって流下すれば、タンク31の内周壁には、仕切り板34の切り欠きK同士の間隔に対応する位置に、水の流れのない部分が存在することになる。しかしながら、水は、タンク31の内周壁の被添面を添っての流下中に、例えば第1実施例においては、図19(a)、(b)に示したように、形が崩れて広がり、前記流れのない部分(つまり、本来なら流れが形成されないはずの部分)にも広がる。このことから、第2実施例〜第4実施例を比較した場合、第4実施例は、水の流下中に、その水の速度が落ちる割合が大きい(第3実施例の速度低下割合<第2実施例の速度低下割合<第4実施例の速度低下割合)と考えられる。
そこで、本願発明者は、水の流下中の抵抗や、速度の落ちる割合を少なくすれば、水流の厚みを薄くしなくても、濁度を上げることができるのではないかと考えた。つまり、この考察を基に、本願発明者は、最も好ましい第1実施例として、切り欠きKを通って仕切り板34の下側に落下する水の、本来なら流れが形成されないはずの部分への水崩れを少なくするためにも、切り欠き形状を三角形状とした。
すなわち、加圧容器30に必要な要件をまとめた前記(B)の要件は、以下に述べる(B’)の要件としてもよい。(B’)濁度を高めるためには、仕切り板34の上側から下側に流下する水の速度の落ちる割合が少ないほうが好ましいため、切り欠きK等により形成される水通過部の形状等に応じて形成される、流れのある部分から本来なら流れが形成されないはずの部分への水崩れの少ない形状が望まれる。例えば、複数の切り欠きKを互いに間隔を介して配設する態様においては、切り欠きK同士の間隔への水崩れの少ない形状が望まれる。
つまり、切り欠きKを通って(切り欠きKとタンク31の内壁との隙間を通って)、仕切り板34の上側から下側に流下する水が、本来なら流れが形成されないはずの部分にも広がるのを防ぐような切り欠き形状を考えないと性能の向上が望めない(第4実施例のような矩形状では性能の向上は望めない)ことが分かったので、切り欠きKの形状を三角形状にすることに至ったのである。
つまり、第1実施例では、切り欠きKの形状を略三角形状とすることにより、水流の厚みを2mm(0.002m)より小さくすることなく(加圧容器に必要な要件の一つである前記(C)の要件を満たしつつ)、切り欠きにより形成される流れのある部分から流れの形成されないはずの部分への水崩れを少なくすることができる(加圧容器に必要な要件の一つである前記(B’)の要件を満たすことができる)。また、限界流速も140mm/秒として、この値を変えることなく前記隙間の総面積を変えることができる。
また、第1実施例の具体例において、水の流量は、5〜7リットル/分としているが、その真ん中の流量である流量約6リットル/分とした場合に、隙間の総面積を63mm2とした場合のフルード数は11.3(流速1587mm/秒÷限界流速140mm/秒)、隙間の総面積を126mm2とした場合のフルード数は5.7(流速793mm/秒÷限界流速140mm/秒)であり、これらの場合、フルード数が5.7〜11.3となり、加圧容器に必要な要件の一つである前記(A)の要件を満たす。また、切り欠きKを通った水は、タンク内壁面の被添面に添って流下し、加圧容器に必要な要件の一つである前記(D)の要件を満たすことができる。
また、第1実施例の具体例において、切り欠きKにより形成される隙間の総面積が63mm2の場合で、流量が7リットル/分のときは、フルード数は13.1となり、このときのフルード数が、実施例の前記各具体例において最大となるが、空気を除かない場合(空気混合時の場合)は、この値よりも大きくなると推定される。しかし、フルード数の2乗は1000(フルード数約32)を越えないものと考えられるので、前記(A)の条件を満たす。なお、流量は、例えば6.5リットル/分±0.5リットル/分のように、例えば配管距離等により変化するが、例えば前記隙間の総面積が78mm2以下の場合には、流量が6〜7リットル/分のいずれの条件でもフルード数は9以上(空気を除いた状態)となる。以上のように、第1実施例は、加圧容器に求められる前記(A)〜(D)の要件を全て満たすことができる。
なお、前記水崩れは流速が速いほうがおきにくいので、水崩れが大きくならない所定以上の流速(または流量)での水の流下が必要であり、換言すれば、空気層Aを作る水崩れが大きい流量域(又はフルード数域)と空気層Aを作らない水崩れが小さい流量域(又はフルード数域)とを認識し、各流領域での制御、すなわち、前記空気溶存装置において、未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの切り替え制御をすることが望まれる。
さらに、本願発明者は、レイノルズ数と、気液2相混層流特有の液層への気体溶存量とについても着目した。すなわち、前記フルード数は、流速を乱流と層流の限界(流速を限界流又は限界流速)で除したものであるので、レイノルズ数を乱流と層流の限界(限界レイノルズ数)で除せば、同じような限界(層流と乱流の境界)に対する値(割合または倍率)を得ることができるはずではあるが、この値が、第1実施例と第2〜第4実施例との間には差異があるものと考えられる。
この点を詳述すると、前記限界レイノルズ数は、流況が異なれば変わることが既に知られているので、前記差異の原因は流況区分が異なるのが一因と考えられる。すなわち、例えば、第4実施例の切り欠きKの総面積を90mm2と、第1実施例の切り欠きKの総面積が126mm2とを比較すると、同じような挙動を示すのにも関わらず、全くフルード数が異なる。そこで、この条件でのレイノルズ数関与があるものと考えられる。つまり、フルード数が同一であってもレイノルズ数によって跳水形状分類が変わる関与、または、フルード数が異なってもレイノルズ数によって跳水形状分類が同じとなる関与があると考えられる。
すなわち、図23(a)に示すような、一般的な跳水形状分類(文献、Bradley, J.N. and Peterka,
A.J., The hydraulic design of stilling basins: hydraulic jumps on a horizontal
apron (Basin I),paper1401, Journal of the Hydraulics Division, ASCE,
Vol.83,No.HY5,1957, pp.1-24、参照)は、例えば荒れ狂う河川の濁流に関する跳水形状分類であり、非加圧で、上方大気開放で、かつ、液相一層のときの、フルード数と該フルード数による跳水の分類との関係を示すものであり、この跳水形状分類は、レイノルズ数が例えば数万と高い値での跳水形状分類であるために、前記の如く、レイノルズ数についての関与はないとされているが、それに対し、第1実施例のような、レイノルズ数が例えば数千と低い、水深数ミリのような小川以下の跳水形状分類では、レイノルズ数についての関与検討が必要と考えられる。
つまり、川の流れのような場合、図42(a)に示したように、川底や護岸壁などの壁面の影響を受ける水は少量である(粘性の影響を強く受けて流れる水は壁面に添って流れる水に限られて少量である)のに対し、第1実施例のように、切り欠きKを通るときには、図42(c)に示したように、管路を流れる水のような態様になり、その後、三角形状の底辺がタンク内周壁に添って流れていき、また、タンク内周壁の被添面に添う水流の厚みが例えば0.002mの如く薄く、壁面の影響(粘性の影響)を強く受けるような場合には、特有の跳水現象分類が存在すると考えられる。
つまり、レイノルズ数は、流れの慣性力である「4×(流積×平均流速)/潤辺」を、流れの粘性力である「動粘性係数」で除した値により求められる(レイノルズ数=(平均流速[m/s]×流れ場の代表長さ[m] )÷動粘性係数[m2 /s] である。ただし、開水路の場合には、レイノルズ数=4×(流積[m2 ] ÷潤辺[m] ×平均流速[m/s])÷動粘性係数[m2 /s] であり、流積は流水断面積や河積とも呼ばれ、単に断面積と言われる場合もある)ものであるから、水の流れが粘性の影響を大きく受ける(大きな粘性を受ける)場合には、レイノルズ数も変化すると考えられるのである。なお、第1実施例において、潤辺は、水流が切り欠きKを通って落下(流下)する時にタンク内周壁の被添面に触れる面の辺であり、断面積は、略三角形状の切り欠きKの面積(底辺×高さ/2)である。
このレイノルズ数を求める式中の分子である、流れの慣性力の度合いを示す「4×(流積×平均流速)/潤辺」の潤辺が相対的に小さい場合(すなわちレイノルズ数が大きい場合)には、液層1層での跳水形状分類(波状跳水、弱流跳水、振動跳水、定常跳水、強流跳水)が当てはまるのに対し(図20、図22(a)、参照)、粘性の影響が大きくなると、各跳水発生に必要なエネルギ量がより必要になる(より大きいフルード数が必要になる)と考えられる。
例えば、定常跳水は、一般的(河川での跳水形状分類でレイノルズ数が例えば数万以上と高い場合 出展:日本流体力学会 学会誌「ながれ」第29巻
(2010)167頁 日本の河川では,レイノルズ数は10の4乗 から10の8
乗程度)には、上流側フルード数(流入フルード数とも言う)4.5〜9の乱流が層流に変化する時に発生すると言われている。それに対し、粘性の影響(粘性)が大きいと思われる第1実施例を含めた本願発明のような場合(レイノルズ数が例えば数千と低い場合)には、例えば図23(b)に示されるように、定常跳水となる最低のフルード数(一般的には4.5と言われる値)が、例えば6.5のように、6.2以上になると考えられ、定常跳水発生に必要な一般的な最低エネルギ量4.5よりも大きい6.2というフルード数が必要になると考えられる(図23(a)、(b)のレベル4、参照)。
同様に、振動跳水(動揺跳水と訳される場合もある)は、前記のような一般的な場合には上流側フルード数が2.5以上で発生するのに対し、粘性の影響が大きいと思われる第1実施例のような場合には、上流側フルード数が約3.4以上になると発生すると考えられる。さらに、同様に、弱流跳水(弱跳水と訳される場合もある)は、前記のような一般的な場合には上流側フルード数が1.7以上で発生するのに対し、粘性の影響が大きいと思われる本願発明の実施例のような場合には、例えば約2.3以上になると考えられる。同様に、強流跳水は、前記のような一般的な場合には上流側フルード数が9以上で発生するのに対し、粘性の影響が大きいと思われる前記実施例のような場合には、前記水崩れによる影響を考えない場合には、例えば約12.4以上で発生すると考えられる。
すなわち、例えば跳水現象を発生させるための上流側フルード数(射流のフルード数)2.7の乱流(射流)が層流に変化する時に跳水が発生するが、その発生する跳水分類は水の粘性による影響に左右され、一般的な河川のような場合においては振動跳水であるが、第1実施例においては、振動跳水に至るにはエネルギが足りずに弱流跳水となると考えられる。
次に、気液2相混層流特有の液層への気体溶存量関与について詳述する。第3実施例における流量7リットル/分の場合(図27、特性線f、参照)には、運転開始1〜3分までは空気層非形成(エア層の長さ0cm)であり、運転開始4分後に空気層形成に変わる(エア層の長さ3cm)。この状態を考察した結果、考察当初は、運転開始から3分間の運転により、浴槽水にはすでに空気が溶存されている状態であり、運転開始4分後にはすでに空気が溶存された浴槽水を吸い込んできて、さらにその湯水に空気を溶存させようとしている状況から、ある所定時間後に吸い込む湯水にある一定量の空気を既に含んでいる場合には、いくら溶け込ませようとしても溶け込ますことができずに空気層ができ始めるものと考えられた(溶解度の問題)。
しかし、溶解度の問題であれば、第3実施例に限らず、他の各実施例についても同様の状況(運転開始から、ある時間までは空気層非形成で、その時間以降には空気層が形成される状況)が見られるはずであるにもかかわらず、他の各実施例については同様の状況が見られない。つまり、第3実施例以外についての結果は、運転開始からの時間によらず、運転開始直後から空気層が形成されてそのまま空気層が形成された状態が継続するか、運転開始直後から空気層非形成で、その状態が継続するかのいずれかである。また、水に溶解された空気は、浴槽水に放出された時点で白濁(泡)として放出されるため、前記運転開始4分後に空気層形成に変わる状況は、前記溶解度の問題でないと考えられるようになった。
そこで、第3実施例における前記状況(運転開始以降、途中までは空気層が形成されず、途中から未溶存空気層が形成された状況)は、運転中に跳水形状分類の境界を跨いだため、状況が変わった可能性があると本願発明者は考えている。詳述すると、第3実施例では、テーブル板部28の下面が水が通る際の被添面であり、重力の影響とベルヌーイの定理(正確にはコアンダ効果:(境界層内で粘性により減速を伴う))の方向が相反するために、壁面(被添面)の影響と考えられる粘性の影響がキャンセルされ、河川の流れと同じフルード数で境界が生じると考えられる(図20の点B2、参照)。
つまり、第3実施例においては、テーブル板部28の下の被添面(図26(e)のB、参照)に添って通った後、貫通孔29を通り、タンク31の中央部を何にも添わずに落下して(添面B部分の距離が短かく、添面の影響(粘性の影響)をほぼ受けずに、タンクの中央部を通って落下して)タンク31の下部側の湯水の水面に至る構成と成しているため、第3実施例において生じる前記状況(運転開始1〜3分までは空気層非形成であり、運転開始4分後に空気層形成に変わる状況)の考察においては、図23(a)に示す跳水形状分類を適用するのがよいと考えられる。一方、第1実施例、第2実施例、第4実施例のように、例えば略垂直壁面を流れ下る場合には、重力による軽減作用がないために、河川の流れとは異なるフルード数で境界が生じる(粘性の影響でフルード数の値上昇が生じる)と考えられる。
第3実施例において、流量7(リットル/分)、隙間(断面積)152.4(mm2)、流速765.5(mm/秒)、隙間高さ3(mm)としたとき、フルード数は4.5と考えられる。このフルード数4.5の値は、図23(a)に示した跳水形状分類において、定常跳水と振動跳水とが切り替わる値(境界値)であり(つまり、定常跳水と振動跳水のいずれの状態にも成り得る値であり)、運転開始1〜3分まではフルード数4.5〜9の範囲内の際に生じる定常跳水の分類であったために、空気層非形成になったと推定される。それに対し、運転開始4分後には、液層(ここでは水)への気体(ここでは空気)溶存量が増えることによって、例えば以下の理由によって、フルード数2.5〜4.5の範囲の際に生じる振動跳水になったがために、空気層が形成され始めたと考えられる。
つまり、空気は水よりも粘りがあるため、動粘性係数(粘性係数/密度)が大きく、気液2相混層流の液体側に空気が溶け込むに従い、動粘性係数が大きくなると考えられ、粘性の影響が大きくなり、各跳水発生に必要なエネルギ量がより必要な側に動いた結果、フルード数4.5で定常跳水が起きていたものが時間の経過(気体溶存量増)により、フルード数4.5で振動跳水になったと考えられる。
なお、空気層形成状態で濁度が一番高いのは、空気層非形成となる寸前の流量(フルード数が、実施例のタンク31の寸法と形状を有する場合には、振動跳水から定常跳水となる境界であるフルード数となる寸前の流量)であるが、液層への気体溶存量が多くなると、水の粘性の影響が大きくなって、跳水現象が変化するために必要な流量(境界フルード数)が大きくなる。このことから、運転時間等のファクターを用いて液層への気体溶存量を予想し、この空気溶存量の予想値によって変化する境界フルード数を推定し、運転時間経過によって空気溶存量が増えて境界フルード数が大きくなる場合には、その境界フルード数に対応させて加圧容器30に導入される水の流量を増やし、空気層形成状態を維持しつつ、該空気層形成状態の中でも濁度が高い状態にする(前記境界フルード数に対応する流量に近い流量とすることにより濁度が一番高い状態に近づける)制御を行うことも考えられる。
ここで、加圧容器30の仕切り板34に形成する切り欠きKの形状が略三角形状の第1実施例の構成において、フルード数による跳水形状分類について要約すると、以下の(a)〜(c)のことが考えられる。
(a):液層(ここでは水)への気体(ここでは空気)溶存量の如何にかかわらず、切り欠きKの総面積126mm2、105mm2の各具体例においては、フルード数6.24以上で空気層Aを形成しない位の跳水現象が発生する。この現象はフルード数6.14以下では発生しないことから、フルード数6.14〜6.24の間(約6.2)に何らかの境界があると考えられ、フルード数4.5にあると一般的に言われている振動跳水と定常跳水との境界が、第1実施例の場合には、フルード数6.14〜6.24辺り(約6.2)に形成されるものと考えられる。なお、前記の如く、切り欠きKの総面積が63mm2、84mm2の具体例においては、切り欠きKの総面積が105mm2、126mm2の具体例に比べて切り欠きK同士の間隔が大きいことに起因して、境界のフルード数が大きくなっているが、切り欠きKの総面積を63mm2、84mm2においても切り欠きKの総面積が105mm2、126mm2の具体例と同様に切り欠きK同士の間隔を小さく形成すれば、境界のフルード数は約6.2となる。
これに対し、第4実施例の矩形状の切り欠きKの総面積90mm2、流量7リットル/分(フルード数10.69)では、第1実施例において、切り欠きKの総面積126mm2の具体例と同じ距離、被添面を伝わって流下するので、粘性の影響は同じであるはずなのに(振動跳水と定常跳水との境界がフルード数6.14〜6.24当たりに形成されるものと考えられるのに)、フルード数10.69でも空気層Aを形成(振動跳水)したままである。
このことから、第1実施例は、切り欠き形状を略三角形状とすることで、切り欠き形状を矩形状とした第4実施例に比べるとより低い流量、低いフルード数、能力の低いポンプであっても、高い濁度を期待できることが分かる。つまり、第1実施例は、加圧容器の仕切り板に形成する切り欠きを略三角形状として、傾斜を持たせた切り欠きとすることにより(後述する構成要件(E)を有するゆえに)、より低い流量、低いフルード数、能力の低いポンプであっても、高い濁度を期待できると考えられる。なお、このことについての詳細は、後述する。
(b):第1実施例において、切り欠きKの総面積63mm2、84mm2、105mm2の場合(つまり、第1実施例の具体例において欠きKの総面積105mm2以下の場合)、加圧容器30に導入する水の流量が5リットル/分では空気層Aを形成し、5.5リットル/分では空気層Aを形成しないことから、三角形状の切り欠きKの底辺が3.5mm、高さが2mm、面積が3.5mm2である切り欠きの場合には、流量が5.5リットル/分から5リットル/分に小さくなる間で、空気層Aを作る水崩れが発生すると考えられる(「さらなる粘性の影響」があると考えられる)。すなわち、加圧容器30に導入される水の流量が5リットル/分と5.5リットル/分との間に、跳水現象分類の「何らかの境界」があると考えられる。
前記「何らかの境界」での「さらなる粘性の影響」について、本願発明者は、水流が遅い場合には、水流は切り欠きから水面へ流れ下っている間に水崩れして被添面との接触面が増えるが、接触面が増えると隣の切り欠きの水流と接触してしまうがために、接触面の増大に限界があるためと分析している。すなわち、切り欠きKの総面積63mm2→84mm2→105mm2→126mm2となるに従い、切り欠き間距離(切り欠きKとその隣の切り欠きKとの距離)は、4.35mm→2.39mm→1.21mm→0.43mmと少なくなり、切り欠きKの総面積63mm2の方が水崩れ余地が多くあるので、接触面の増大が可能であり、切り欠き間距離が短いものに比してさらに粘性の影響を受けやすいと考えられる。
(c):例えば実施例に示したような加圧容器のタンク形状では、加圧容器30に導入される水の流量を5リットル/分より大きい流量とし、かつ、フルード数を6.14より大きくして空気層Aを無くすことができ、一方、前記流量を5.5リットル/分より小さい流量としたり、フルード数を6.24より小さくしたりすれば、空気層Aを作ることができる。すなわち、加圧容器30に導入される水の流量の値において、空気層Aを形成する流量であり、前記水崩れが発生する流量の最大値は、タンク形状で決まるものであるが、この最大値より大きい流量で、かつ、空気層Aを作らない跳水形状分類に相当するフルード数よりフルード数を大きくすれば、加圧容器30内に未溶存空気の空気層Aが無くなる。一方、空気層Aを作らない、水崩れが発生しない最低流量より小さい流量とするか、空気層Aを作る跳水形状分類に相当するフルード数よりフルード数を小さくしするかして空気層Aを作るかのいずれかを選択的に制御することができる。つまり、前記流量(又は流量とフルード数)をコントロールすることで空気層Aを作ったり無くしたりすることができる。
水の落下流速(又はフルード数)によって水中下の跳水現象に差異があるものと考えられ、第1実施例の加圧容器30を適用する空気溶存装置においては、その装置に必要な要件である前記(F)に述べたように、空気層Aを作る流量域(又はフルード数域)と空気層Aを作らない流量域(又はフルード数域)とで、専用の空気導入弁38の制御が必要である。なお、通常は空気層Aを作らない流量域で運転するものでも、フィルタ54の目詰まり時には空気層Aを作るので、循環ポンプ21の消費電力と回転数との関係(フィルター目詰まり時には回転数が上がっても消費電力はそれほど上がらないという関係)からフィルタ54の目詰まりを予想して空気導入弁制御方法を切り変える必要がある。
また、一般的な跳水現象分類によると、例えば空気を除かない状態でも、フルード数が9以上の射流が常流になると、図23(a)に示すように、渦が最も強力な強流跳水(又は強跳水)と言われる現象が発生するものと考えられるが、実施例のタンク31の形状および寸法(水を射流としてタンク31内に流下させる部分(例えば仕切り板34)からタンク31の下端(例えば導出口33)までが15cm、タンク直径(内径Φ4.5cm))では、振動跳水から定常跳水に至った段階で空気層Aを作らなくなることから、定常跳水が空気層Aを作らない強力な跳水であると考えられる。また、第1実施例は、第3実施例のように、水が落下するときに、前記のような粘性の影響をほぼ受けずにタンク31内の湯水の水面に至る態様と異なり、水がタンク31の内壁に添って落下する際に、粘性の影響を多く受けることから、図23(b)に示す跳水形状分類を適用して、実施例において生じる跳水形状についての考察をするのがよいと考えられる。
なお、第1実施例において、切り欠きKの総面積が63mm2、84mm2、105mm2の具体例では、空気層Aを作らない時の制御流量を5.5リッター/分以上とすることにより、前記水崩れが原因と考えられる「さらなる粘性の影響」を受けるものほどではないものの、タンク壁面の影響が原因と考えられる粘性の影響を受けた、図23(b)に示したような跳水形状分類が適用されると考えられる。なお、詳細は後述するが、第1実施例の切り欠きKの総面積が126mm2の具体例において、水の流量を6.5リッター/分とした場合もさらなる粘性の影響を受けてはいるが、この具体例においては、複数の切り欠きKがあまり間隔を介して形成されていないがために、水崩れが制限されて、水崩れが原因と考えられる「さらなる粘性の影響」を、それほど多くは受けていないと考えられる。
また、図2(b)にて、隙間の総面積(切り欠きKの総面積)が63mm2のときが最も平均濁度が高いのは、(隙間の総面積が78mm2よりも小さいので)定常跳水以上の強流跳水が発生するためであると考えられる。すなわち、流速が上がると、図19(b)に示したように、タンク内壁との接地長さが短いまま貯留水の水面に至るので、定常跳水と強流跳水の境界が下がり、水の流量6リットル/分でも強流跳水が発生する帯域に至っているものと考えられる。
なお、このように、第1実施例において、切り欠きK(切り欠きKとタンク31の内壁との隙間)の総面積が63mm2の場合には、定常跳水以上の跳水(強流跳水)が発生していると考えられるが、実際には、空気の見かけの流速(WGO)分、流速が速くなるので、第1実施例の加圧容器30と同様の大きさの加圧容器において、隙間の総面積が63mm2よりも多少大きくても(WGO分、流速が速くなることによって粘性の影響を受けにくくなる分、隙間の総面積が大きくても)、定常跳水以上の跳水(強流跳水)が発生するものと考えられる。
また、加圧容器に必要な要件の一つである前記(B)の条件によって、つまり、濁度を高めるためには、仕切り板34の上から下に流下する水の速度を速めることが好ましいため、第1実施例では、空気を除かない状態で、フルード数が6.2相当(例えば6.14)より大きい値となるように、流速を速くすると、特に有効と考えられる。(定常跳水又は強流跳水が発生するので有効と考えられる。)なお、空気を除かない状態におけるフルード数を、第3実施例の場合は4.5以上、第4実施例の場合には10.69より大きい値とすると特に有効であると考えられ、また、加圧容器の寸法を、プール用のように、大きめのドラム缶サイズのような寸法にする場合には、加圧容器30の高さ方向の制約(面下に潜り込む気泡の長さを考慮する必要性)を強く受けないので上流側フルード数を大きくして強流跳水が発生する領域とすると、特に有効と考えられる。
なお、フルード数は、水流を添わせる面を底辺とした底辺からの垂直方向の距離(水流の厚み)によってきまり、微細気泡噴出装置39のフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミ、髪の毛等の目詰まり防止についても、底辺からの垂直方向の距離によってきまり、この値が例えば1.5mm以上あれば目詰まりを防止できるので、加圧容器に必要な要件である前記(B)、(C)の条件を満たすためには、前記垂直方向の距離(水流の厚み)について着目すればよいことになる。また、一方、濁度については、流量が同じならば、隙間の総面積が小さいほど流速が速いのであるから、隙間の総面積に着目すればよいことになる。
例えば第4実施例では、隙間の形状は略方形となっているがために、前記垂直方向の距離(水流の厚み)を例えば2mmの固定値とすれば、隙間の総面積は添わせる面の底辺長さに比例する。なお、第2実施例では、タンク内周径が45mm、仕切り板34の外周径が42mmであり、隙間の総面積は、((Φ45/2)×(Φ45/2)×3.14)−((Φ42/2)×(Φ42/2)×3.14)=204.885=0.97×(Φ45×3.14×1.5)となり、つまり、隙間の総面積=(0.97)×(底辺)×(高さ)となることから、略方形とみなすことができる。第3実施例では、テーブル板部28の外周(脚部65の形成部を除く)を底辺とし、隙間tを高さとした略方形とみなすことができる。
それに対し、第1実施例の場合には、仕切り板34に形成する切り欠きKを略三角形状とすることにより、隙間の総面積は切り欠きKの底辺の1/2に比例する(三角形面積=(1/2)×(底辺)×(高さ)より)。すなわち、前記垂直方向の距離(水流の厚み)と、添わせる面の底辺長さを固定した場合には、第2実施例〜第4実施例ではそれぞれ、隙間の総面積は略方形の底辺と高さに相当し、第1実施例の場合には、隙間の総面積は、三角形の底辺と高さ×1/2の倍数(三角形の個数倍)となるがゆえに、前記垂直方向の距離(水流の厚み)を大きくとったまま総面積を小さくでき(換言すれば、第1実施例においては、(a)の三角形の切り欠いた部分(切り欠きK)以外の部分Uを水の流路外として削ることができると言え)、流速を速くできるので濁度を上げることができる。
また、第1実施例では、隙間の総面積(総切り欠き面積)を小さくするのに、上記のように略三角形状の数を変えることで、総面積を102mm2→84mm2→63mm2としたが、これは、例えば図37(a)と図37(i)との比較のように、1つの切り欠きKの三角形状の底辺長さを変えたことと略同じである。
なお、本願の明細書において、切り欠きや貫通孔により形成される水通過部や、水通過部を通った水流の形状が略三角形状を呈するという意味は、図37(a)のような形状のみならず、図37(b)〜(q)の各図の斜線部分に示すように、高さ=前記垂直方向の距離(水流の厚み)を大きくとったまま総面積を小さくできるような形状を含むものであり、少なくとも一辺(緩やかな曲線状の辺を含む)が被添面である底辺部位(同図のB)に対して90度以下の台形状のものも含む。また、本願の明細書において、略三角形状の底辺部位とは、底辺が直線であるとは限らず、外側に突き出す曲線状の辺または屈折された辺も含む広義の意味で用いており(例えば図37(n)〜(q)のB、参照)、略三角形状は、その底辺部位に対して高さ方向の先端側に向かうにつれて縮径する(先細りする)形状をいう。
なお、図37(j)は、上側円弧の横幅が、図37(f)よりも広がり、かつ、上下方向にも円弧を拡大したもの(図37(b)の台形形状の上底を広げ、かつ上側1/3を円弧にしたもの)であり、図37(k)は、図37(j)の下側2/3を、直線からゆるやかな円弧にしたもの、図37(l)は、図37(k)の上側1/3を尖らせたもの、図37(m)は5角形を2等分したものをそれぞれ示している。そして、これらを始めとし、図36、図38を参照しながら後述する様々な切り欠きや貫通孔等の形成態様および、それらの切り欠きや貫通孔を形成する仕切り板の配設態様が、各実施例において、前記射流水流流下手段や跳水現象発生手段を形成する。
第1実施例では、切り欠きKの形状を略三角形状とすることにより、切り欠きKと隣り合う切り欠きKとの間隔に接する部分、すなわち隣り合う水流の流れに接する部分に、水が流れる割合を、矩形状の切り欠きの場合よりも少なくできる構造(傾斜状の隙間構造)をもつことで、間隔をより有効なものとすることができると考えられる。以下に、その理由について説明する。
前記の如く、第1実施例や第2、第4実施例のように、水がタンク31の内壁面に添って落下する構成においては、前記の如く、内壁面から水に与えられる影響が原因と考えられる粘性の影響によって、フルード数と跳水形状分類との関係が、粘性の影響を受けない図23(a)の関係から粘性の影響を受けた図23(b)のように変わると考えられる。
また、空気層Aの形成を左右するのは、落下する水の状態が振動跳水か定常跳水かによると考えられるため、切り欠きKの形状を略三角形状とした第1実施例では、フルード数が6.14〜6.24の間(約6.2)に前記空気層Aを形成を左右する境界があると考えられるのに対し、第4実施例の矩形状の切り欠きKの場合には、フルード数10.69に至ってもこの境界が現れない。この原因として、本願発明においては、仕切り板に形成する切り欠き形状が略三角形状であり、矩形状の切り欠きに比して、切り欠きKの厚み方向の傾斜がポイントではないかと考えられる。つまり、略三角形状の切り欠きKは、切り欠きKの底辺に対し、残りの二辺は斜辺であるものが多く、また、底辺と他の一辺との成す角度が直角の直角三角形においても残りの一辺は斜辺となるために、略三角形状の切り欠きKは、矩形状の切り欠きと異なり、切り欠きKの底辺に対して傾いた形状となる。
すなわち、あたかも略垂直面を持つ砂山を作って手をどけた場合には前記垂直面は崩れやすいのに対し、傾斜を持たせた砂山は崩れにくく、くずれたとしても程度が軽いがごとく、前記切り欠き形状を略三角形状とすることにより、切り欠きKと隣り合う切り欠きKとの間隔に接する部分、すなわち隣り合う水流の流れに接する部分の水流が少ないまま(隣り合う水流の流れに接する部分を増やさないまま)、または隣り合う水流の流れの間に水がこないようにして、空間として維持したままにすることで、水流本体の流れが水崩れにより粘性の影響をさらに受けにくいようにすることができると考えられる。言い換えれば、第1実施例では、前記のような、水流本体の流れが水崩れにより粘性の影響をさらに受けにくいような傾斜状の隙間構造をもつことで、間隔をより有効なものとすることができると考えられる(加圧容器に必要な構成要件(E))。
なお、切り欠きKを通った水流が次第に形が崩れていくという上記の概念は、図19(a)、(b)に示した模式図を参照すると分かりやすい。つまり、仕切り板34に形成された切り欠きKから出る水流のフルード数(特に断りのない本願明細書記載中のフルード数又は上流側フルード数)は、図19(a)、(b)のC地点における値であるが、実際には水崩れにより、水が仕切り板34の下側に貯留される水の水面に至るまでの時間(例えばエア長4cm、流速800mm/s時には0.05秒)の間に、水流の高さh(例えば2mm)が、図19(a)に示すように、h0→hA1→hA2→hA3・・のように崩れていったり、図19(b)に示すように、h0→hB1→hB2→hA3・・のように崩れていったりするのと考えられる。このために、水とタンク31の内壁面との接地長さが長くなり、粘性の影響が大きくなるために、跳水形状分類のランクが下がる方向(常流になった時に放出するエネルギーが小さくなる方向で白濁しにくい方向)に変わる。
つまり、図21(b)の破線に示したように、第1実施例では、図19に示すような水流の形崩れに伴う粘性の影響を受けないとすると、振動跳水と定常跳水との境界fをフルード数約6.2で通過する直線iが各跳水分類の境界値を結ぶ線であると考えられ、この直線は、定常跳水と強流跳水との境界gをフルード数約12.4で通過するはずである。このフルード数は切り欠きKから出る水流のフルード数を基準(上流側フルード数)としているので、水流の高さhはフルード数約6.2とフルード数12.4では同じ(限界流速は同じ)であり、フルード数の差はそのまま流速の差となるため、フルード数6.2では、切り欠きKから出る水流の流速は868mm/s(6.2×1000×√(9.8×h÷1000))で水が仕切り板34の下側に貯留される水に向かい、フルード数12.4の場合には倍の流速となる。
そのため、フルード数6.2の場合に、例えば図19(a)に示すように、水流の高さh(例えば2mm)がh0→hA1→hA2・・・のように崩れていくものとすると、フルード数12.4の場合には流速が速いために、水流の高さhは、図19(b)に示すように、h0→hB1→hB2・・・のように崩れていき、hB3>hA3となり、流速が遅い場合に比べて、例えば3分の1程度の少しの崩れで水面に至ると考えられる。
そして、このように、水崩れが小さいと、タンク被添面と水流との接触面の増える割合が、図19(b)に示す状態は図19(a)に示す状態に比べて小さい(あまり増えない)ので、「フルード数6.2の場合に水面に至る時の潤辺長さ」>「フルード数12.4の場合に水面に至る時の潤辺長さ」となる。レイノルズ数は、前記の如く、流れの慣性力である「4×(流積×平均流速/潤辺)」を、流れの粘性力である「動粘性係数」で除した値により求められる(レイノルズ数=4×(流積×平均流速/潤辺)/動粘性係数)ものなので、レイノルズ数は「フルード数6.2の場合のレイノルズ数」<「フルード数12.4の場合のレイノルズ数」となる。
図22の粘性を表す軸はレイノルズ数に対応する値(レイノルズ数の値は粘性の増加に応じて小さく変化する)なので、第1実施例において、振動跳水と定常跳水との境界fを通過する粘性と、定常跳水と強流跳水との境界gを通過する粘性では、境界gを通過する粘性のほうが小さい。
したがって、第1実施例において、定常跳水と強流跳水との境界gはフルード数約12.4で通過するのではなく、粘性が境界fより小さい場合に対応する値、例えばフルード数11のように、フルード数11.3以下で通過すると考えられる。そして、このことは、前記の如く、図2(a)において、特性線aが、切り欠きKの総面積を63mm2としたときの濁度が強流跳水の現象を示しているとした実験結果と一致する。
同様に、弱流跳水と振動跳水との境界eを通過する粘性は、振動跳水と定常跳水との境界fを通過する粘性よりも大きい。したがって、弱流跳水と振動跳水との境界eは3.4で通過するのではなく、粘性が境界fより大きい場合に対応する値で通過してフルード数3.4より大きくなり、波状跳水と弱流跳水との境界dは2.3で通過するのではなく、粘性が境界eより大きい場合に対応する値で通過してフルード数2.3より大きくなるものと考えられる(水崩れによる境界移動)。つまり、図22において、第1実施例の加圧容器30における跳水分類の境界を結ぶ線は、直線iではなく、曲線i’となる。
上記をまとめると、第1実施例における跳水分類の境界については、
(1):振動跳水と定常跳水との境界fをフルード数約6.2で通過する。
(2):定常跳水と強流跳水との境界gはフルード数約12.4で通過しない。なぜならば、境界fとフルード数6.2との交点の流速は例えば868mm/sなのに対し、境界gでの第1実施例の位置では例えば倍のごとくかなり速い流速となるからである。つまり、第1実施例における定常跳水と強流跳水との境界gは、振動跳水と定常跳水との境界fと比して、その水の流速が速いことにより、水流の高さhの崩れかたが少ない形で水面に至るため、第1実施例における境界gはフルード数約12.4よりも小さいフルード数で通過する。
(3):レイノルズ数は、流れの慣性力である「4×(流積×平均流速/潤辺)」を、流れの粘性力である「動粘性係数」で除した値により求められる。
(4):水流の高さhの崩れかたが少ない形で水面に至るとは、水流の被添面(第1実施例においてはタンク内壁)と水流との接触面があまり増えないで水面に至ると同じ意味である。
(5):接触面とは潤辺なので、第1実施例において、定常跳水と強流跳水との境界gは、振動跳水と定常跳水との境界fと比して流れの慣性力が大きい。
(6)慣性力「大」とレイノルズ数「大」とは同じ意味であり、粘性「小」とは同じ意味合いである。
以上のことから、図21(b)に示される第1実施例の跳水分類は、定常跳水と強流跳水との境界gが例えばフルード数11.3以下で通過し、振動跳水と定常跳水との境界fがフルード数6.2で通過し、波状跳水と振動跳水との境界eがフルード数3.4より大きい値で通過するがごとく、跳水分類の境界を結ぶ線が斜めの曲線i’で示されるようになると考えられる。
そして、図21(b)の下向きの矢印M1は、切り欠きKの総面積が63mm2、加圧容器30に導入される水の流量が6リットル/分の例においては、上流側フルード数11.3の射流が常流になる時に、境界g” の右側にあるので強流跳水を生じ、フルード数8相当のエネルギを放出することを表わす。
ところで、追い焚きをして水温が上昇すると、例えば動粘性係数は0.000001004[20℃動粘性係数(ν:m2/s)]から0.000000658[40℃動粘性係数(ν:m2/s)]のごとく変化する。したがって、図21(b)に示される特性線i’は、温度が上がると、粘性「小」の方になり、したがって、振動跳水と定常跳水との境界fを、例えば水温が20℃のときにフルード数約6.2で通過していた場合には、温度が20℃より上がるとフルード数約6.2より小さい数値で通過するようになり、温度が下がると粘性「大」の方となり、振動跳水と定常跳水との境界fはフルード数約6.2より大きな値に移動する(水温による境界移動)。
つまり、前記接触面の変化は、第1実施例における切り欠きKの大きさ、タンク31の材質等によって決まる装置固有の特徴(流れの慣性力の変化)であり、跳水分類の境界を結ぶ線は曲線の斜線i’として現れ、水温・入浴剤等の変化は使用条件の特徴(流れの粘性力の変化)として移動が発生する。従って、図20に示したような立体的な図に基づいて、第1実施例をその適切な跳水分類を断面で示そうとすると、各跳水分類の境界を結ぶ線が図21(b)の曲線i’となる。なお、流れの粘性力の変化は図20の立体の断面をどの位置でとらえるか、すなわち、z軸の変化としてとらえることが相応しい。
なぜならば、河川の場合、段階的に変化する跳水分類の境界のフルード数を接続すると直線hで示され、河川と同じように跳水分類が変化するならば、跳水分類の境界のフルード数を接続した場合には、直線になるはずだが、前記接触面の変化が生じる第1〜第4実施例(接触面の変化がほとんど生じない第3実施例を含めて)では、前記直線は、流れの慣性力の変化や粘性の変化に応じてずれるために、そのずれに対応するように、それぞれ曲線となる。つまり、第1実施例における跳水分類の境界を接続する線は、直線iではなくて曲線i’となり、この直線の曲線化こそが流速による水崩れを示すものであるからである。
ところで、速い流速の場合に、水流の高さhの崩れかたが少ない形で水面に至ることが流速の速い定常跳水と強流跳水との境界gに影響を及ぼすことはとは先に述べたが、このことは逆に、遅い流速の場合には水流の高さhの崩れかたが大きい形で水面に至る。前記の影響は、振動跳水と定常跳水との境界fを基準としているために境界gに影響がでているので、基準である境界fについては水流の高さhの崩れかたで影響はないはずである。ところが、表1を参照すると、切り欠きKの総面積63mm2、84mm2、105mm2、すなわち105mm2以下では、加圧容器30に導入する水の流量5リットル/分で空気層Aを形成し、流量5.5リットル/分で空気層Aを形成しない。すなわち、振動跳水と定常跳水との境界fが流量5リットル/分と流量5.5リットル/分の間に存在する。
ところが、切り欠きKの総面積126mm2の場合だけ振動跳水と定常跳水との境界fが流量6.5リットル/分と流量7リットル/分の間に存在し、105mm2以下とは異なる部分に境界流量が移動する。そこで、表1に基づいて、切り欠きKの総面積に対してフルード数を図示すると図18の特性線aに示すようになり、振動跳水と定常跳水との境界がなだらかな曲線を描くことが分かった。
この原因は、図19(a)、(b)に示したタンク被添面と水流との接触面が、水流が遅い場合には、水流が切り欠きから水面へ流れ下っている間に、タンク内壁の被添面との接触面が増えるが、切り欠きKの総面積63mm2の場合には切り欠きと切り欠きとの間に距離があるのに対し、切り欠きKの総面積126mm2の場合には切り欠きと切り欠きとの間が狭いために、切り欠き同士の隙間に水流が広がることによる水崩れが制限されることによると考えられる。
すなわち、切り欠きKの総面積63mm2→84mm2→105mm2→126mm2となるにしたがい、切り欠き間距離は、4.35mm→2.39mm→1.21mm→0.43mmとなり、接触面が上記値を超えて増えることができないので、これが曲線境界となって現れているものと本願発明者は推察している。すなわち、先に述べた、さらなる粘性の影響とは、水崩れする制限が少ない(例えば切り欠き間距離が0.43mmに比して4.35mmと広いので制限が少ない)場合には、接触面が増える余地が大きいので、水流が遅い場合には粘性の影響をさらに受けやすくなるものと考えられる(水崩れ余地による境界移動)。
また、略三角形状であっても、速い流速の場合水崩れしにくく(水崩れによる境界移動)、逆に遅い流速の場合で、例えば流量5リッター/分以下とすると、略三角形状間に距離があり水崩れ余地がある場合には急速に水崩れが大きくなり、これがさらなる粘性の影響となって現れると考えられる(水崩れ余地による境界移動)。
すなわち、さらなる粘性の影響とは、換言すれば、前記水崩れ余地がある場合において、仕切り板を出た水流が仕切り板下側に貯留される水の水面に至るまでの時間がかかるのが原因の水崩れの影響と考えられる。これが、各実施例の加圧容器30における跳水現象と一般的な跳水の分類との決定的な差異となっている。すなわち、河川等の跳水分類研究では、河川両岸の堤防は可変式ではないので、川の断面積(水路幅)を固定しているが、本願発明の各実施例では、水崩れにより水路幅が大きくなり、その結果粘性の影響が現れ、もって跳水発生のフルード数が大きい値が必要となると考えられる。
つまり、図20に示したように、跳水現象分類の境界となるフルード数は粘性の影響(粘性)を大きく受ける場合は、粘性の影響を受けない場合に比べて大きくなるので、第1実施例の具体例のうち、切り欠きKの総面積が63mm2、加圧容器30に導入される水の流量が5リットル/分の例においては(流量が小さく、かつ、切り欠き間の距離が大きくて水崩れ余地があることによりさらなる粘性の影響を受けるので)、フルード数が9.45でも、図20に示すように振動跳水となる。
すなわち、水崩れによる境界移動を補正すると、図21(b)の曲線iはi’となり、さらなる粘性の影響も補正すると(矢印Msに示すような水崩れ余地による境界移動を考慮すると)曲線i”となる。この曲線i”と跳水での放出エネルギ量3.5(Y軸)との交点が、前記移動・影響を受けた振動跳水と定常跳水との境界f”と交わり、この交点において、フルード数は約9.9を示す。そのため、図21(b)の下向きの矢印M2に示す位置は、フルード数9.45で、振動跳水と定常跳水との境界f”の左側となるので振動跳水を生じ、この上流側フルード数9.45の射流が常流になる時には、フルード数1.5相当のエネルギを放出する。
なお、前記切り欠きKの総面積63mm2、の場合の切り欠き間距離の計算は下記による。つまり、内径Φ45mmなので、内周141.3mm(45mm×π)。切り欠きKの総面積63mm2の時の総底辺長さは63mm(底辺3.5mm×18個)であり、したがって、切り欠きと切り欠きとの間は4.35mm((141.3mm−63mm)/18個)となる。また、切り欠きKの総面積84mm2、105mm2、126mm2、の場合についても同様にして求められる。
ところで、切り欠きK同士の間隔による水崩れ余地による境界移動を利用して、例えば第1実施例において、切り欠きKの総面積を63mm2とした具体例のような構成にすることによって、以下に述べるように、空気非形成モードによる白濁度向上効率を上げることができる。
つまり、通常、未溶存空気層形成モード運転時には循環ポンプ21の回転数を低くして流量を減らし(回転数低)、空気層非形成モード運転に切り換える際に循環ポンプ21の回転数を上げて流量を増やす(回転数中)が、より濁度を上げるためには、循環ポンプ21の回転数をさらに上げることが好ましく(回転数高)、空気層非形成モード時に循環ポンプ21の回転数を高くすれば、微細気泡発生時の白濁度を向上させることができる。
そこで、循環ポンプ21の回転数を、回転数低→回転数中→回転数低→・・・のように制御するのではなく、回転数低→回転数高→ポンプ回転数低→回転数高・・・のように、回転数低と回転数高との間を往復させれば、微細気泡発生時の白濁度を向上させることができるが、このような制御を行うと、通常は、その分だけポンプ回転数切り替えの時間が長くなり、かつ、循環ポンプ21の音(音質)が回転数低と回転数高とで変わるために利用者が不快に思う場合がある。
それに対し、切り欠きKが底辺3.5mm×高さ2mmの三角形の場合、切り欠きKの総面積を63mm2とした具体例のように、切り欠き間距離を4.35mmとすると、振動跳水と強流跳水間の移動をわずか1リットルの差で往復させることができる(例えば5リットル/分で未溶存空気層形成モード運転ができる振動跳水、例えば6リットル/分で空気層非形成モード運転ができ、かつ、強白濁可能な強流跳水を発生できる)。
つまり、第1実施例においては、図21(b)において、曲線i’と境界g”との交点から垂線R1を垂らし、曲線i”と境界f”との交点からも垂線R2を垂らした場合の前記2本の垂線間が定常跳水を生じる上流側フルード数を示すことになり、この垂線間距離が小さい(水崩れ余地による境界移動により垂線間距離が縮まる)。そのため、前記循環ポンプ21の回転数低に対応する水の流量と回転数高に対応する水の流量との差が僅か1リットル/分となり、循環ポンプ21の回転数低と回転数高との差が小さいために、切り替え時間も短くてすみ、循環ポンプ21の回転数の切り替えに伴う音質変化も無い(または小さい)ため、利用者の使い勝手を良好にすることができる。
つまり、上記水崩れ余地による境界移動は、特にモード切り替え制御手段によって、未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転を、スムーズ、かつ、高速に切り替えることを可能とし、かつ、利用者に不快感を与えないような効果を与えることができる。
なお、この水崩れ余地による境界移動は、第1実施例の具体例において、切り欠きKの総面積126mm2の場合ではほぼなく、切り欠きKの総面積105mm2の場合あたりから移動が始まり、切り欠きKの総面積63mm2の場合には、前記の如く、より大きくなって、空気層非形成モードにおける攪拌効率を向上させ、濁度向上効果を発揮している。
また、図18の特性線bに示すように、切り欠きKの総面積126mm2の場合は、切り欠き間距離0.43mmで底辺に対して12%(0.43mm÷3.5mm)潤辺は112%(1.12倍)まで拡大可能)ではほぼなく、切り欠きKの総面積105mm2の場合は、切り欠き間距離1.21mmで底辺に対して35%、潤辺は135%(1.35倍)まで拡大可能であり、切り欠きKの総面積63mm2の場合には、切り欠き間距離が底辺に対して124%(潤辺は224%(2.24倍)まで拡大可能)となっており、それにより、強流跳水領域における空気層非形成モード運転と、振動跳水領域における未溶存空気層形成モード運転とを、高速、かつ、スムーズに切り替えできる。
したがって、切り欠きKの間の距離が底辺に対して例えば35%(0.35倍)〜400%(4倍)(潤辺が135%〜500%まで拡大可能)となるようにすると、「水崩れ余地による境界移動」をモード切り替えに利用できることが分かった。なお、図18の特性線a、bに示すように、振動跳水と定常跳水との境界のなだらかな曲線(特性線a)と上記潤辺拡大可能率を示す線(特性線b)とを比較してみると、潤辺拡大効率が135%以下では、境界曲線(特性線a)と潤辺拡大可能率線(特性線b)とが一致せず、潤辺拡大効率が135%以上では、境界曲線(特性線a)と潤辺拡大可能率線(特性線b)とが略一致することが判る。なお、底辺に対する切り欠き間距離は、図37(i)に示すように、切り欠きKの開口(底辺)を短くして設けてもよい。
また、上記のさらなる粘性の影響より、例えば切り欠きKの総面積63mm2で加圧容器30の内径Φ22.5mmとした場合には、内周70.7mm(22.5mm×π)。切り欠きKの総面積63mm2の時の総底辺長さは63mm(底辺3.5mm×18個)となり、切り欠きと切り欠きとの間は、0.43mm((70.7mm−63mm)/18個)となることから、内径Φ45mmでの振動跳水と定常跳水との境界fは、フルード数が例えば9.9(9.45〜10.39間)にあるのに対し、内径Φ22.5mmとすると、境界fは内径Φ45mm切り欠きKの総面積126mm2の場合と同じ(切り欠きと切り欠きとの間が0.43mmと同じ条件でのフルード数と同じ)、フルード数が例えば6.2になると考えられる。
つまり、切り欠きKの総面積を63mm2として加圧容器30の内径を例えばΦ27mm〜Φ20mmとした場合には、切り欠きと切り欠きとの間は1.21mm((27mm×π−63mm)/18個)〜0mmとなり、この場合は、溶存空気量を計測できない条件と、未溶存空気量を計測できる条件とに分かれるフルード数が例えば6.2になると考えられる。
同様に、切り欠きKの総面積を84mm2として加圧容器30の内径を例えばΦ36mm〜Φ27mmとした場合や、切り欠きKの総面積を105mm2として加圧容器30の内径を例えばΦ45mm〜Φ33.5mmとした場合、切り欠きKの総面積126mm2として加圧容器30の内径を例えばΦ54mm〜Φ40mmとした場合も同様に、溶存空気量を計測できない条件と、未溶存空気量を計測できる条件とに分かれるフルード数が例えば6.2になると考えられ、第1実施例のように切り欠きKの形状を形成する場合、切り欠きと切り欠きとの間が1.21mmを越えなければ、図18の破線の特性線cに示すように、溶存空気量を計測できない条件と、未溶存空気量を計測できる条件とに分かれるフルード数が例えば6.2になると考えられる。
なお、切り欠きKの総面積126mm2として加圧容器30の内径をΦ90mmとした場合には、内周282.6mm(90mm×π)、切り欠きKの総面積126mm2の時の総底辺長さは、126mm(底辺3.5mm×36個)となり、切り欠きと切り欠きとの間は4.35mm((282.6mm−126mm)/36個)なので、切り欠きと切り欠きとの間が4.35mmとなる。この場合、切り欠きKの総面積が63mm2として加圧容器30の内径をΦ45mmとした第1実施例の一具体例と切り欠きK同士の間隔が同等の値となるので同じ水崩れする制限になると考えられることから、この例においては、振動跳水と定常跳水との境界fは、フルード数が例えば9.9(9.45〜10.39間)になるものと考えられる。
すなわち、切り欠きKが底辺3.5mm×高さ2mmの三角形を用いた場合、容器30の内径Φ45mmに切り欠き18ヶ設けて総面積63mm2とした場合と、容器30の内径Φ90mmに切り欠き36ヶ設けて総面積126mm2とした場合とでは、切り欠きとの間距離が4.35mmと同一(水崩れ余地による境界移動は同一)なので、高速、かつ、スムーズに、未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転を切り替えできるとともに、容器30の内径Φ90mmに切り欠き36ヶ設けて総面積126mm2とし、水の流量を倍とした場合には例えば大型の浴槽でも高速に白濁湯を作ることができる。
さらに、加圧容器30を大型化する場合には、例えば、図36に示すように、ドラムカンのような容器(タンク)31の内部に、複数の直線状の立設方向に配した(上下方向に伸設した)被添面形成板134を設けて、この被添面形成板134を被添面とする(前記実施例におけるタンク内壁の被添面の代わりとする)ことで効率的に大型化できる。この場合、仕切り板34には、図36(a)に示すように、仕切り板34の上から下に水が流下する水通過部として、略四角形状(例えば菱形形状)の貫通孔140を互いに間隔を介して複数形成し、略四角形状の貫通孔140の形成領域に配設される被添面形成板134は、その上端部を四角形状の貫通孔140の対角線に位置合わせする。
そして、加圧容器30のタンク31の注入口32から注ぎ込まれる水が貫通孔140を通った後に被添面形成板134の被添面に添ってタンク31の下部側に落下して攪拌されながら貯留されることによって、前記水に前記タンク31内の未溶存の空気が溶存されると共に、仕切り板34の下側に貯留される水の水面と仕切り板34の下面との間にはタンク31内の未溶存空気の空気層が形成される構成とする。
このようにすることによって、第1実施例において仕切り板34に三角形状の切り欠きKを形成し、切り欠きKを通った水流が三角形状の底辺をタンク内壁面に添わせて流下するようにしたように、図36(a)において、略四角形状の貫通孔140を通った水流が、その対角線によって分かれて、それぞれ三角形状となり、一方の三角形状の水流は、その底辺を被添面形成板134の片面に添わせて流下し、他方の三角形状の水流は、その底辺を仕切り板134のもう一方の面(一方の三角形状の水流が添う面の反対側の面)に添わせて流下するようになる。
なお、仕切り板34をタンク31に固定するのではなく、被添面形成板134に仕切り板34を、図36(d)に示すように、ピン141等で固定すると、仕切り板34と被添面形成板134との相対位置を安定的に保持でき、仕切り板34に形成した菱形の貫通孔140と被添面形成板134がずれないようにできる。
また、仕切り板34よりも下部側の水の水位を検出して前記空気層の容積の大小を判断するための水位検出手段としては、この例においても例えば電極35,36が設けられるが、その場合、電極35,36は、同図に示されるように、サイド方向から取り付けることが好ましい。
さらに、仕切り板34に略三角形状の貫通孔140を形成し、貫通孔140の形成領域の下部側のタンク31内に、タンク31の上下方向に伸設された被添面形成板134を配設し、その被添面形成板134は、その上端部が前記略三角形状の貫通孔の一辺に位置合わせされた状態としてもよい。この場合、1枚の大きな仕切り板34に三角形状の貫通孔状の貫通孔140を複数形成して、例えば、その貫通孔140の形成領域下部側に複数の被添面形成板134を固定することになるが、仕切り板34に設けた三角孔の辺に添わせて被添面形成板134を固定することは難しく、貫通孔140の辺と被添面形成板134を近接させることしかできない可能性がある。しかし、その場合でも、貫通孔140を出た水流は、貫通孔140の一辺に近接している被添面形成板134に吸い寄せられることになり、ほぼ同様の効果を奏することができる。
さらに、同図のように、複数の被添面形成板134をそれぞれ上下方向に伸設して互いに間隔を介して配設して複数の被添面形成板134によって区分けされる区分け領域毎に、図36(b)に示すように、仕切り板34を設けてもよい。この場合、図36の(c)に示すように、水通過部は仕切り板34の外縁端に互いに間隔を介して形成された複数の略三角形状の切り欠きKとし、各切り欠きKは仕切り板34の縁伸長方向の径が該仕切り板34の中心に向かうにつれて縮径する態様で設ける。また、切り欠きKの開口部が被添面形成板134に近接し、切り欠きKを通った水が被添面形成板134の被添面に添ってタンク31の下部側に落下して攪拌されながら貯留される構成と成すようにする。
なお、図36に示す構成を始めとした被添面形成板134を設ける構成においては、被添面形成板134は、タンク31の上方まで仕切らないようにして(仕切り板34の下部側に配置されるようにして)、注入口32から注ぎ込まれた空気を含む水が被添面形成板134の各部に均等に行きわたるようにすることが好ましい。このようにすれば、注入口32を複数の仕切り板34と同じだけ設ける必要性がなくなる。また、被添面形成板134は、タンク31の下端まで仕切らないように形成するか、図36に示すように、被添面形成板134に孔135を設けるようにすることで、各被添面形成板134間の内圧を均等とすることができるので、加圧容器30内の貯留水の水位を検出するために、水位検出手段を複数設ける必要性がなくなる。なお、このような大型のものは、例えばプール等に用いる。
逆に、加圧容器30を、人が入浴する浴槽26の代わりに、小型犬用の入浴槽(シャンプーなしに犬の汚れ、臭いを取るドッグバス)や魚用の水槽(例えば20〜30リットル位)に微細気泡を発生させるために適用することもできる。その場合には、例えば、加圧容器30のタンク内径をΦ22.5mmとして、切り欠きKを4ヶ設けて総面積14mm2とすることが考えられるが、この場合、切り欠き間距離が底辺に対して405%(4.05倍)となり、モード切り替えのポンプ制御(フィルタ目詰まりで流量が設定値に対して例えば0.2リットル/分少なくなることで、勝手にモードが切り替わる等をリカバリーするポンプ制御)が難しくなることから、切り欠き間距離が底辺に対して400%(4倍)あたりとなるように、加圧容器30のサイズ等を形成することが好ましいと考えられる。
次に、第1実施例の加圧容器30が適用される風呂装置のシステム構成例について図6に示されるシステム構成図に基づいて説明する。この風呂装置は、給湯動作機能と、浴槽26への湯張りを含む自動運転の動作機能と、浴槽湯水の追い焚き動作機能と、浴槽26内の湯水に微細気泡を発生させる機能とを備えており、屋外に配置されている。
この風呂装置は、器具ケース27内に、追い焚きバーナ16と、3つの燃焼面を持つ給湯バーナ10とを設けた風呂給湯装置であり、給湯バーナ10の上側には給湯熱交換器7(7a,7b)が、追い焚きバーナ16の上側には、浴槽湯水の追い焚き用の追い焚き熱交換器15(15a,15b)が、それぞれ設けられている。バーナ10,16の燃料としてはこの風呂装置ではガスが用いられており、ファン76で燃焼用の空気をバーナ10,16に送っている。給湯熱交換器7aと追い焚き熱交換器15aは一次熱交換器であり、給湯熱交換器7bと追い焚き熱交換器15bは二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)である。給湯熱交換器7の入側には給水通路5が設けられ、該給水通路5には、入水温度センサ6と流量センサ4とが介設されている。給湯熱交換器7の出側には給湯通路11が接続されており、給湯通路11には給湯温度センサ8が設けられている。
前記追い焚き熱交換器15の入側には、管路19と、浴槽湯水を循環させるポンプである追い焚き循環ポンプ21と、戻り管23とが接続され、追い焚き熱交換器15の出側には往管24が接続されている。往管24と戻り管23とは浴槽26に接続されており、戻り管23によって、加圧容器30に水を導入する入側管路が形成され、管路19と追い焚き交換器15の管路と往管24とを有して、加圧容器30から水を導出する出側管路が形成されている。浴槽26は水槽かつ給水部として機能し、循環ポンプ21の駆動によって、浴槽水を往管24、戻り管23、追い焚き熱交換器15、管路19に順に通すことによって、浴槽湯水を入側管路と加圧容器30と出側管路とに順に通して循環させる追い焚き循環通路25が形成されている。
追い焚き循環路25には、循環ポンプ21の吸い込み側(つまり、戻り管23)に、流水スイッチ22と、水位センサ20と、追い焚き循環路25に空気を導入する空気導入弁38とが設けられており、循環ポンプ21は、該循環ポンプ21の駆動によって循環させる浴槽湯水に空気導入弁38を介して外部から導入される空気を加圧溶存させて吐出する。
循環ポンプ21は、カスケードポンプにより形成されており、空気を吸い込んでも駆動できる構成と成している。したがって、空気溶存と湯水循環との両方を1台の循環ポンプ21によって行えるので、湯水循環用のポンプと空気溶存用のポンプとの2つのポンプを設ける構成に比べ、装置構成を簡略化でき、風呂装置の小型化、低価格化を実現できる。
また、追い焚き循環路25には、循環ポンプ21の吐出側の管路19に、第1実施例の加圧容器30が設けられ、該加圧容器30の下流側に、前記追い焚き熱交換器15が設けられており、追い焚き交換器15は、加圧容器30から導出された水を加温する加温手段としても機能する。加圧容器30は、循環ポンプ21によって加圧された浴槽湯水をタンク31内に吐出導入し、前記の如く攪拌しながら貯留することによって、タンク31内の未溶存空気を前記浴槽湯水に追加溶存させる。この未溶存空気が追加溶存された水が追い焚き交換器15によって加温される。追い焚き循環路25の浴槽26と接続部には、前記空気が溶存された浴槽湯水を浴槽26内に噴出させることにより、浴槽26内の湯水に微細気泡を噴出させる微細気泡噴出装置39が設けられている。
このように、浴槽26内の湯水に微細気泡を発生させるシステム構成において、カスケードポンプにより形成された循環ポンプ21の下流側に第1実施例の加圧容器30を設け、さらにその下流側に追い焚き熱交換器15を設けることにより、以下の効果を奏することができる。
つまり、循環ポンプ21により吸い込まれた湯水内には、循環ポンプ21の駆動によって空気の溶存が行われるが、十分ではなく、未溶存の空気が湯水内に泡の形で含まれた状態であり、その状態の湯水が銅製の追い焚き熱交換器15内に導入されると、追い焚き熱交換器15内でさび(気液2相流流れ加速腐食)や割れ(気液2相流による流力弾性振動応力腐食割れ)が生じる虞がある。それに対し、循環ポンプ21の下流側に第1実施例の加圧容器30を設けることにより、湯水内に空気を追加溶存させて空気を湯水内に十分にとけ込ませた状態(未溶存空気の気泡を含まない状態)で、この湯水を追い焚き熱交換器15内に導入すれば、追い焚き熱交換器15内にさびが生じるといった問題を防ぐことができる。
なお、戻り管23の空気導入弁38が設けられている位置から加圧容器30のタンク31に至る部品の配管は、タンク31も含めて、配管、循環ポンプ21、循環ポンプ21のエンペラーに至るまで、前記のような、気液2相流によるさびや割れを防止するため軟質架橋ポリエチレン管やPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等樹脂配管、樹脂部材を用いる構成と成している。
また、図6に示す構成の風呂装置において、追い焚き循環通路25は、注湯通路14を介して前記給湯通路11に接続されており、注湯通路14には、注湯電磁弁13が介設されている。なお、図6において、符号9は給湯バーナ10へのガス通路、符号51,52はガス電磁弁、符号17は追い焚きバーナ16へのガス通路、符号98はドレン管、符号97はドレンの中和器を、それぞれ示している。
次に、この風呂装置の動作について簡単に説明する。風呂装置には制御装置3が設けられ、図6には図示されていないが、制御装置3には風呂リモコン装置と台所リモコン装置が信号接続されている。この風呂装置において、風呂リモコン装置または台所リモコン装置の運転スイッチをオンした状態で給湯管路11から給湯先に設けられている給湯栓(図示せず)を開くことにより、給湯機能の動作が開始される。この動作は、制御装置3内の燃焼制御部(図示せず)の制御によって、入水温度センサ6による入水温と、流量センサ4による給湯量に基づき、給湯温度センサ8により検出される給湯温(出湯温)が給湯設定温度となるように、給湯バーナ10を燃焼して行われる。
また、風呂装置における自動運転の機能は、風呂と台所のリモコン装置の少なくとも一方に設けられている自動スイッチをオンすることにより開始するものであり、注湯電磁弁13が開かれ、給湯機能の動作と同様に給湯熱交換器7を通って加熱された湯が、給湯管路11から注湯路14に入り、戻り管23と往管24を有して構成される追い焚き循環路25を通して浴槽26へ落とし込まれる。
湯張りが完了したときに注湯電磁弁13が閉じられ、風呂温度センサ18によって検出される検出温度が湯張り設定温度(風呂設定温度)よりも低いときには追い焚き機能の動作が行われる。この追い焚き機能の動作は、循環ポンプ21が駆動されて浴槽26の湯水が追い焚き循環路25を通して循環されて行われるものであり、風呂温度センサ18により検出される検出温度が風呂設定温度になるように追い焚きバーナ16を燃焼させ、追い焚き熱交換器15を加熱して行われる。自動運転の動作においては、引き続き、予め設定された設定時間だけ、浴槽湯水の温度が風呂の設定温度よりも許容範囲を越えて低くならないように、保温機能の動作が行なわれる。追い焚き単独運転の機能は、通常、風呂リモコン装置に設けられている追い焚きスイッチが押されたときに、前記追い焚き機能の動作を行うものである。
また、制御装置3は、図7に示す微細気泡発生制御構成を有しており、該微細気泡発生制御構成は、モード切り替え制御手段40と、ポンプ駆動制御手段41と、空気導入弁開閉制御手段42と、燃焼制御手段77を有している。これらの制御手段40,41,42,77は、風呂リモコン装置1に設けられた微細気泡発生操作部43に信号接続され、微細気泡発生操作部43を介して追い焚き動作指令操作部44に信号接続されている。
微細気泡発生操作部43は、風呂装置の微細気泡噴出動作をオンオフする操作部である。微細気泡発生操作部43は、例えば風呂リモコン装置1に、泡発生スイッチとして設けられ、このスイッチのオンオフに応じて微細気泡吐出動作のオンオフ操作が行えるようになっている。また、スイッチがオンされてから予め定められた設定時間が経過したときには自動的にスイッチがオフされるようになっている。スイッチのオンオフ信号は、モード切り替え制御手段40とポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42とに加えられる。このように、風呂リモコン装置1に微細気泡発生操作部43を設けることにより、この微細気泡発生操作部43の操作によって、容易に、微細気泡噴出動作のオンオフを操作でき、簡単な操作で快適な入浴タイムを実現できる。
追い焚き動作指令操作部44は、風呂装置の追い焚き動作をオンする操作部である。追い焚き動作指令操作部44は、風呂リモコン装置1に、前記追い焚きスイッチとして設けられ、このスイッチがオンされると、追い焚き指令が微細気泡発生操作部43に伝わり、微細気泡発生操作部43から追い焚き指令に応じた動作指令をポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42に加える。追い焚き機能の動作中に微細気泡発生操作部43から微細気泡噴出動作のオン操作が加えられると(または微細気泡噴出動作中に例えば保温機能からの追い焚き機能動作のオン操作が行われると)、(空気導入弁開閉制御、ポンプ駆動制御等の)微細気泡噴出動作を優先させながら、燃焼制御手段77が、風呂温度センサ18により検出される検出温度が風呂設定温度になるまで追い焚きバーナ16を燃焼させ、追い焚き熱交換器15を加熱する。
前記追い焚き機能の動作と微細気泡噴出動作を同時に行っている最中に微細気泡噴出動作のオフ操作が行われると、一度、追い焚きバーナ16の燃焼を停止させ、循環ポンプ21を一度オフするか、流量をゼロに近いくらい少なくなるような回転数にまで低下させ、後述の流量対応開閉弁48が(切替圧力以下となって)開いたのち、前記追い焚き機能の動作を再開する。前記追い焚き動作と微細気泡噴出動作を同時に行っている最中に追い焚き機能の動作オフ操作が行われると、追い焚きバーナ16の燃焼を停止させる。
このように、追い焚き動作と微細気泡噴出動作を同時に行った場合には、湯水を追い焚き熱交換器15内で加温することになるが、空気を多量に溶解させた液体を加温すると溶解度が下がるため、特に溶け込ませた空気の中の窒素が追い焚き熱交換器15内以降の配管内で気泡を再形成し、これがさび(気液2相流流れ加速腐食)や割れ(気液2相流による流力弾性振動応力腐食割れ)の原因となる場合がある。この風呂装置において、微細気泡噴出装置39から浴槽26内に噴出する際に減圧して浴槽26内に微細気泡を発生させるようにし、すなわち、循環ポンプ21から細気泡噴出装置39間の圧力が高くなる部分に銅製の追い焚き熱交換器15を設け、かつ、追い焚き熱交換器15内にさび(気液2相流流れ加速腐食)の原因となる空気を多量に溶解させた液体を加温する場合は、流量対応開閉弁48を閉じるように、後述のようなポンプ駆動制御手段41による制御を行うことで、気泡の再形成を防止している。したがって、空気を多量に溶解させていない液体を加温する場合(通常の追い焚き)は、流量対応開閉弁48を開くように、後述のようなポンプ駆動制御手段41による制御を行って、効率的な追い焚きの高速化を図っている。
モード切り替え制御手段40は、循環ポンプ21を予め定めた設定回転数以上の回転数で駆動させて、第1実施例の加圧容器30のタンク31内に空気層が形成されない程、タンク31内の湯水を激しく攪拌させる空気層非形成モードの機能と、循環ポンプ21を前記設定回転数よりも小さい回転数で駆動させて加圧容器30のタンク31内に未溶存空気層を形成する未溶存空気層形成モードの機能とを、循環ポンプ21の回転数を制御することにより切り替え制御する。つまり、モード切り替え制御手段40は、ポンプ駆動制御手段41に、循環ポンプ21の駆動の回転数を前記設定回転数以上の回転数である空気層非形成モード用設定回転数と、その空気層非形成モード用設定回転数より小さい未溶存空気層形成用設定回転数とに交互に切り替えるように指令を加え、ポンプ駆動制御手段41により循環ポンプ21の回転数切り替え制御を行い、前記モードの切り替えを行う。
第1実施例の加圧容器30および第2実施例、第4実施例の加圧容器30において、フルード数が6.2相当の境界フルード数以下(通常ならば第3実施例で示すようなフルード数4.5近辺)の場合にのみ発生する空気層Aの形成動作については、未溶存空気層形成モードの機能の動作時における動作である。それに対し、フルード数が6.2相当の境界フルード数より大きい(切り欠きKの総面積63mm2、84mm2の場合にはさらなる粘性の影響で境界のフルード数が約6.2より大きくなるが、この影響を補正した時の値がフルード数6.2相当より大きい)加圧容器30において、空気層非形成モードの機能の動作時には、空気層Aが形成されずに、未溶存空気層形成モードの機能の動作時に空気層Aを形成していた空気は攪拌の勢いで(勢いよく高圧力で導入される浴槽湯水によって)細かく破砕され、タンク31内の浴槽湯水に溶存されていく。
なお、通常ならば、フルード数4.5近辺で起きる振動跳水から定常跳水への移行が、前記の如く、レイノルズ数が低い第1実施例のような場合には、慣性力を阻止しようとする粘性の影響(粘性)が大きくなり、定常跳水が発生するフルード数が上昇し、例えばフルード数6.2相当より大きい領域で定常跳水がおきるようになると考えられるために、前記のように、フルード数が6.2相当より大きい加圧容器30において、空気層非形成モードの機能の動作時に、空気層Aが形成されずに空気が攪拌の勢いで細かく破砕されてタンク31内の浴槽湯水に溶存されていく。
また、このとき、循環ポンプ21から浴槽湯水と共に空気が送られてきた場合には、その空気もタンク21内の浴槽湯水に溶存されていく。ただし、このように、空気層非形成モードの機能の動作時に空気の溶存が促進されても、空気が完全には溶存されないため(未溶存空気層形成モードの機能の動作時に空気層Aが形成されるように、循環ポンプ21から加圧容器30に送られる空気の量等が調整されるため)、未溶存の空気は、前記の如く、未溶存空気層形成モードの機能の動作時に空気層Aを形成する。
次に、未溶存空気量計測可と不可となる境界(第1実施例の加圧容器30の場合には振動跳水と定常跳水の境界)流量を元に未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転を行なう例について述べる。第1実施例を適用する風呂装置は、未溶存空気層形成モードで空気溶存(振動跳水による空気溶存)を行いつつ、空気量測定を行い、空気層非形成モードを織り交ぜて、空気層非形成モードにおいては、未溶存空気層形成モード時の空気溶存に比して格段に高い空気溶存を行う。つまり、未溶存空気層形成モードにおいては、振動跳水による空気溶存等、加圧容器30に対応した空気層非形成と空気層形成の境界に相当する跳水の分類の、空気層形成側の跳水(境界のフルード数よりもフルード数が低い側の跳水)による空気溶存を行い、空気層非形成モードにおいては、定常跳水による空気溶存等、加圧容器30に対応した空気層非形成と空気層形成の境界に相当する跳水の分類の、空気層非形成側の跳水(境界のフルード数よりもフルード数が高い側の跳水)による空気溶存を行うことにより、未溶存空気層形成モード時の空気溶存に比して格段に高い空気溶存を行う。
なお、施工工事で太い配管を用い、かつ、距離が短い等、想定外に多い流量となってしまった場合や、直前までがフィルタ54にごみが詰まっていていたのに、フィルタ54が掃除されて、急に配管抵抗が小さくなり想定外に多い流量となってしまった場合など、未溶存空気層形成モードとして運転を行ったにもかかわらず空気層非形成モードとなった時には、さらに循環ポンプ21の回転数を落とす等の制御を行って、未溶存空気層形成モードを作ることで空気量測定を行うようにしてもよい。
図8には、前記モード切り替えに伴う循環ポンプ21の回転数制御の一例が示されており、空気層非形成モードの機能の動作時における循環ポンプ21の回転数はHi、未溶存空気層形成モードの機能の動作時における循環ポンプ21の回転数はLoで示している。この例では、ポンプ駆動制御手段41は、未溶存空気層形成モードの機能の動作を6秒行った後、空気層非形成モードの機能の動作を30秒行い、この切り替え動作を繰り返し行うようにしている。そして、未溶存空気層形成モードの機能の動作時には、電極35,36による加圧容器30内の水位検出動作を行うようにしている。
ポンプ駆動制御手段41は、微細気泡噴出動作時には、前記の如く、モード切り替え制御手段40からの指令に伴う循環ポンプ21の回転数切替制御を行う。一度、微細気泡噴出装置39が微細気泡を噴出した場合、図9に示されている微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48が閉弁し続ける(図10(b)、参照。)。この流量対応開閉弁48の詳細については後述するが、流量対応開閉弁48が閉弁状態のときに微細気泡噴出装置39から微細気泡が噴出するものであり、従って、流量対応開閉弁48が閉弁し続けると、流量が、一度、ゼロ近くにならない限り微細気泡噴出状態のままになる(循環ポンプ21の圧力が高いままとなる)。
なお、前記空気層形成用設定回転数(ポンプ回転数 Lo(2000rpm))は、前記空気層非形成モード用設定回転数(ポンプ回転数 Hi(3500rpm))よりも小さいもので、追い焚き動作時流量以下であっても問題無い。つまり、ポンプ駆動制御手段41は、微細気泡噴出動作時には、一度、空気層非形成モード用設定回転数(3500rpm)とした後は、循環ポンプ21の回転数を前記空気層形成用設定回転数(2000rpm)としてもよいし、前記空気層非形成モード用設定回転数(3500rpm)として循環ポンプ21の圧力を高くしてもよく、そのいずれであっても、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を予め定められる設定流量以上にすることによって、微細気泡噴出装置39から微細気泡を噴出させるようにする。
一方、微細気泡噴出非動作時、すなわち流量対応開閉弁48が開弁状態での追い焚き動作時には、循環ポンプ21の回転数を、流量対応開閉弁48が閉弁しない回転数(第1実施例では前記空気層形成用設定回転数(2000rpm)とほぼ同じポンプ回転数Lo(1700rpm))として循環ポンプ21の圧力を低くし、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を前記設定流量未満にすることにより、微細気泡噴出装置39からの微細気泡噴出を行わないようにする。
なお、微細気泡噴出動作時、すなわち流量対応開閉弁48が閉弁状態での追い焚き動作時には、前記空気層非形成モード用設定回転数時(3500rpm)のみ追い焚きバーナ16を燃焼させ、湯水の流量を予め定められる設定流量以上として微細気泡噴出装置39から微細気泡を噴出させながら追い焚きを行ない、前記空気層形成用設定回転数時(2000rpm)には追い焚きバーナ16の燃焼を停止させることが好ましい。なぜならば、第1実施例では、空気層形成用設定回転数を2000rpmとし、流量対応開閉弁48が開弁状態での追い焚き動作時には、循環ポンプ21の回転数を1700rpmとしており、両者の回転数がほぼ同じであり(正確には、空気層形成用設定回転数の方が300rpmほど高い)、かつ、流量対応開閉弁48が閉弁状態のため、追い焚き循環路25を循環する流量が少なくなるためである。
また、このとき、あたかも追い焚きバーナ16の燃焼が停止していないかのように、リモコン装置の追い焚きに対応する燃焼ランプは点灯状態を維持し、利用者に吹き消え、故障等による意図しない燃焼停止を想像させないようにしている。そして、再度、空気層非形成モード用設定回転数(3500rpm)となると追い焚きバーナ16の燃焼を再開させ、湯水の圧力を予め定められる設定圧力以上として微細気泡噴出装置39から微細気泡を噴出させながら追い焚きを行なう。
なお、前記風呂装置において、流量対応開閉弁48が閉弁状態(微細気泡噴出動作時)の空気層形成用設定回転数時(2000rpm)には追い焚きバーナ16の燃焼を停止させるようにしたが、未溶存空気層形成モード時に、流量対応開閉弁48が開弁時(微細気泡非噴出動作時)の追い焚き動作における循環ポンプ21の回転数1700rpmよりも循環ポンプ21の回転数を300rpm増やすと圧力が増す。そのため、循環ポンプ21の回転数を2000rpmにすると、循環ポンプ21の回転数を1700rpmとするときに比べ、空気を多量に溶解させた液体を加温する場合に、空気(特に窒素)の溶解度が下がって発生しやすい気泡再形成を防止できることを本願発明者は確認しており、また、回転数を300rpm増やすと、流量も増え、浴槽吐出温度上昇量も、入浴者がいても火傷等問題ない範囲に入ることも確認している。
したがって、流量対応開閉弁48が閉弁状態(微細気泡噴出動作時)の未溶存空気層形成モード時(空気層形成用設定回転数(2000rpm)での運転時)にも追い焚きバーナ16の燃焼を停止させることなく、追い焚きバーナ16の燃焼を継続するようにしてもよい。なお、未溶存空気層形成モード時にも追い焚きバーナの燃焼を継続させるときには、流量対応開閉弁48が閉弁状態のために循環する流量が少なくなることを少しでも補うために、流量対応開閉弁48が開弁状態での追い焚き動作時に比べて回転数を増やすことが好ましい(例えば前記のように空気層形成用設定回転数を、流量対応開閉弁48が開弁状態での追い焚き動作時よりも300rpm高くしてもよいが、それ以上高くすることが好ましい)。
なお、風呂装置と浴槽26との間は、往管24、戻り管23で接続するが、風呂装置と浴槽26の間の距離は取付現場毎に異なる。例えば表10の配管距離最短、通常、最長とで示されるように、通常の配管距離は例えば10m程度であるが、浴槽26のすぐ近傍に風呂装置がある場合もあるし(配管距離最短2m程度)、浴槽26から20mといった離れた場所に風呂装置が設置される場合もある(配管距離最長)。
そして、この配管距離の違いによって、循環ポンプ21のモーター負荷変動が生じると、循環ポンプ21の回転数が変動しなくても、加圧容器30へ送る浴槽湯水の流量が異なるものとなる。そうすると、この流量の違いによってフルード数が異なるようになるので、加圧容器30を適用している風呂装置において、循環ポンプ21は、モーターの能力が少し高いものを用い、しかも、回転数制御を行わないようにして、配管距離の違いによるモーター負荷変動を利用し、例えば流量が落ちて負荷が軽くなると回転数が上がるように(流量が増えるように)したり、回転数を所定の回転数で循環ポンプ21を動かしても希望するフルード数の範囲に入ることが確認できたならば、前記所定回転数で制御するようにしたりしてもよい。第1実施例の場合、前記確認の上で回転数制御を行っている。その結果、配管距離(流量抵抗)の如何に関わらず、加圧容器30への流量が6.5リットル±0.5リットルとなるように維持することで、前記フルード数が大きく変わらないようにしている。
なお、配管距離によって循環流量に影響がでるが、影響はそれのみではなく、循環ポンプ21で作られる負圧によって吸引される空気量にまで及ぶ。吸引される空気量は、例えば2階に浴槽があり、空気導入弁38に対し、浴槽水の水圧(プラス圧)がかかる場合は、循環ポンプ21で作られる負圧が少なくなる場合があり、本願発明の実施例においては、このような負圧になりにくい設置条件下でも、空気導入弁38の電磁弁65オン時には、加圧容器30内の空気層が増えるようにしている。そのうえで、電極35,36を用いて加圧容器30内の水面の位置を監視し、電磁弁65をON−OFFさせて、常に最適な空気量の空気層Aを加圧容器30内にできるようにしている。
しかし、例えば、浴槽隣接設置型の風呂装置の場合や、24時間風呂のように、風呂追い焚きを電熱線等で行なうようにして装置を小型化した空気溶存装置を、浴槽のエプロン上に設置する場合など、配管距離や浴槽26との高低差が特定される場合には、加圧容器30内の空気層の容積の大小を判断するための水位検出手段をはぶいてもよい。また、配管距離や浴槽との高低差をディップスイッチ等で制御設定できるようにして、加圧容器30において、水位検出手段を省略してもよい。
また、前記風呂装置においては、加圧容器30への空気の導入は、循環ポンプ21が負圧になることを用いて行ったが、この循環ポンプ21の負圧を用いずに、例えば図39に示すようなシステム構成を形成し、空気導入弁38にエアーポンプ121を組み合わせて、循環ポンプ21の吐出側から空気を送り込み、循環ポンプ21の駆動による水流で、前記空気を加圧容器30に送る構成としてもよい。なお、このような構成において、送り込む空気量をコントロールできる場合も、水位検出手段を省略してもよい。
また、微細気泡噴出装置39の構成は特に限定されるものではないが、例えば図9(a)および図9(b)に示す構成とすることができる。この例では、微細気泡噴出装置39は、本体部49とカバー部材50とを有し、カバー部材50には直径0.8mmの多数の円形小径貫通穴が設けられたフィルタ54が設けられている。また、本体部49には、追い焚き循環路25の往管24と戻り管23とに接続される管路接続口55と、浴槽26側への吐出口56が設けられており、これらの間に微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47が設けられている。また、微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47の間に、前記流量対応開閉弁48が設けられている。この流量対応開閉弁48は、バネで弁体を可動可能にし、弁体に当たる流量に応じて所定の圧力を弁の上流に生じ、設定流量以上で弁体が弁座にたどり着くと流れを閉止して弁上流圧力が急上昇し、この圧力急上昇でより閉止を確実にする。
循環ポンプ21を駆動させると、フィルタ54を通して微細気泡噴出装置39の本体部49内に浴槽湯水が吸い込まれ、追い焚き循環路25の戻り管23に導かれる。一方、往管24側から本体部49に導入される湯水は、微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47の少なくとも一方を通り、吐出口56から吐出する。なお、微細気泡発生用流路46は、追い焚き循環路25を通って循環した浴槽湯水を、図9(b)の矢印に示すように、ノズル45を通して浴槽26内に噴出させることにより浴槽26内に微細気泡を発生させる。追い焚き用流路47は、前記浴槽湯水を、図9(a)の矢印に示すように、ノズル45を通さずに浴槽26内に導出する。
流量対応開閉弁48は、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量に応じて開閉弁48の上流側に水圧上昇が生じる構造の弁なので、該水圧が前記設定流量時に生じる閉弁設定圧力以上の時に閉じる弁であり、一度弁が閉じると流路が狭い微細気泡発生用流路46のみ湯水が導出されるので、圧力が急上昇する。そして、流量を少なくすることで開弁設定圧力以下にすると開く弁であり、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の回転数(圧力)制御によって、以下のように動作し、この流量対応開閉弁48の動作に応じて、湯水が、前記の如く、微細気泡発生用流路46、追い焚き用流路47の少なくとも一方を通って浴槽26内に導出される。
つまり、追い焚き動作時には、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の制御(回転数や印加電圧制御)によって、一時的にほぼ停止位にとなるくらい循環ポンプ21の循環水量を少なくするか停止するかし、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量によって生じる圧力が開弁設定圧力以下となると、図9(a)および図10(a)に示すように、流量対応開閉弁48がスプリング53に付勢されて開いた状態となる。開弁後、循環ポンプ21の回転数を上げ(又は通電を再開し)、追い焚き回転数(又は電圧)とすることにより、前記湯水は、実線矢印に示すように、追い焚き用流路47を通して浴槽26内に導出され、通常の浴槽湯水の追い焚き動作が行われる。なお、この追い焚き動作時には、湯水は、追い焚き用流路47を通ることに加え、微細気泡発生用流路46は追い焚き用流路47と比べ非常に狭いため、流量対応開閉弁48が閉じていない場合、追い焚き用流路47を優先的に通る(微細気泡発生用流路46を通る湯水の流量が小さい)。したがって、追い焚き動作時に微細気泡は発生しない。
一方、微細気泡噴出動作時には、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の制御(回転数や印加電圧制御)によって、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を閉弁圧力以上となる設定流量以上にすることにより、図9(b)および図10(b)に示すように、流量対応開閉弁48が水圧によってスプリング53の付勢力に抗して押されて閉じられる。そして、このことにより、前記湯水が、破線矢印に示すように、微細気泡発生用流路46を通して浴槽26内に噴出されることによって、微細気泡が浴槽26内に噴出されて白濁化が行われる。
このように、流量対応開閉弁48を適用して微細気泡噴出装置39を形成することにより、循環ポンプ21の回転数制御等を行うだけで、微細気泡噴出装置39内に電気配線等の構成を設けることなく、追い焚き動作時と微細気泡発生動作時との微細気泡噴出装置39内の流路を切り替えることができ、装置構成および制御構成を簡単にできる。
また、流量対応開閉弁48は、図11に示す切り替え特性を有しており、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が小さいときには、管路接続口55から導入される湯水が追い焚き用流路47を通って浴槽26内に導出され、その流量圧力特性は、図11の特性線aに示すように、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が多くなるにつれて大きくなる。なお、図11の横軸に示される圧力は、流量対応開閉弁48にかかる圧力であるので、例えば同じ流量における、ポンプ吐出部や切り欠きK部にかかる圧力はやや大きい値となる。
そして、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が設定流量(ここでは約6リットル/分)以上となると、流量対応開閉弁48は、図10(b)に示したように、スプリング53の付勢力に抗して閉じられるので、前記湯水は、追い焚き用流路47を通れなくなり、微細気泡発生用流路46を通して浴槽26内に噴出される。なお、微細気泡発生用流路46を通じて浴湯水が循環する場合、その流量と、微細気泡発生用流路46に加わる圧力の関係は特性線bのようになる。微細気泡発生用流路46は非常に微小なため、わずかな流量であっても大きな圧力を生じる為、流量対応開閉弁48が開くには流量をゼロに近いくらい少なくしなければならない(切替圧力以下になるような流量がそれくらい少ない)。
なお、空気導入弁開閉制御手段42は、微細気泡発生動作開始時には、循環ポンプ21の回転数に連動させて、例えば2階に浴槽がある場合等を予め想定し、負圧になりにくい設置条件下でも追い焚き循環路25内が負圧になるようなポンプ回転数を空気層非形成モード用設定回転数として定め、例えば図8の空気導入弁のオンタイミングに示すように、循環ポンプ21の回転数がその空気層非形成モード用設定回転数に高くされて追い焚き循環路25内が負圧になったとき(ここでは、循環ポンプ21の回転数切り替えから例えば3秒の遅延時間経過後)に、空気導入弁38を開く。また、微細気泡発生動作時には、図8に示すように、空気層非形成モードから未溶存空気層形成モードへのモード切り替えタイミングに対応させて、未溶存空気層形成モード時(循環ポンプ21の回転数が空気層形成用設定回転数になったとき)に、空気導入弁38を閉じる。
そして、未溶存空気層形成モード時に、以下のようにして、空気層Aの容積が調整される。つまり、電極35,36と、グラウンド電極137(図13、参照)により未溶存空気量の測定を行い、タンク内未溶存空気量がある設定量以上になった場合(電極35,36の両方とも水位未検出でオフの時、または、電極35水位未検出でオフの時であり、タンク31内の貯留水の水位が例えば設定低基準水位より低くなったとき)には、空気層非形成モードで空気導入弁38を閉じ、タンク内未溶存空気量がある設定量以下になった場合(電極35,36の両方とも水位検出でオンの時、または、電極36水位検出でオンの時であり、タンク31内の貯留水の水位が例えば設定高基準水位を越えたとき)には、空気層非形成モードで空気導入弁38を開き、水位が電極35と電極36の中間にある場合(電極35が水位検出でオン、電極36が水位未検出でオフ時)には、前回の空気層非形成モードでの空気導入弁38(電磁弁65)の開閉状態と同じ状態とする開閉(オンオフ)制御を行う。なお、初回の水位検出では前回の空気導入弁38のオンタイミングにおける電磁弁65の開閉状態が存在しないので、この場合は、空気導入弁38のオンタイミングで開としている。
電極35,36を同じ長さの電極として電極36をグラウンド電極とする場合には、タンク内未溶存空気量検出がある設定量以上になった場合(電極35が水位未検出でオフの時であり、タンク31内の貯留水の水位が例えば設定低基準水位より低くなったとき)には、空気層非形成モード時に空気導入弁38を閉じ、タンク内未溶存空気量がある設定量以下になった場合(電極35が水位検出でオンの時であり、タンク31内の貯留水の水位が例えば設定高基準水位を越えたとき)には、空気層非形成モード時に空気導入弁38を開き、未溶存空気層形成モード時での水位が、電極が水に浸る長さにしたり浸らない長さにしたりして調整する(未溶存空気層形成モード時に空気導入弁38が閉じられていると、最初はタンク内未溶存空気量がある設定量以上あっても、例えば振動跳水現象によりしだいにタンク内未溶存空気量が減り、ある設定量以下となる)。このことによって、電極35とグラウンド電極の二電極が非導通になることでタンク内未溶存空気が設定量以上であることを検出するようにし、測定の結果、未溶存空気量が設定より少ない場合は、空気導入弁38を開にし、未溶存空気量が設定より多い場合は、空気導入弁38を閉となるように開閉制御を行なってもよい。
なお、電極を3本でなく、2本で構成した場合には、空気導入弁開閉制御手段42は、微細気泡発生動作時に、予め定めた設定間隔毎に、空気導入弁38の開閉動作を行い、その際、加圧容器30の電極35,36の検出結果に基づいて、タンク31内の湯水の水位が設定水位を超えたときには空気導入弁38を開く時間を長くし、タンク31内の湯水の水面と容器上端部との間の空気層の容積を大きくして、前記湯水の水位を設定水位以下にするように前記空気導入弁38の開閉制御を行ってもよい。
つまり、空気層の容積が小さくなったら、空気導入弁38を長く開いた状態で(開弁時間30秒を例えば40秒に長くすることで)、循環ポンプ21を駆動して空気を取り込み、空気層の容積が大きくなりすぎたら空気導入弁38を閉じる時間を長くして(開弁時間30秒を例えば20秒に短くすることで)循環ポンプ21を駆動することが行われる。
なお、空気導入弁38の構成は特に限定されるものではないが、例えば、図12に示すような構成とすることができる。この空気導入弁38は、本体部57とカバー部材58とを有し、本体部57は、循環路接続部62を介して追い焚き循環路25に接続され、注湯路接続部63を介して前記注湯路14(図6、参照)に接続されている。また、本体部57には電磁弁65と逆止弁61が設けられ、カバー部材58には、空気導入口60とフィルタ59が設けられている。
電磁弁65を予め定められたタイミングで開にすることにより、空気導入弁38内に空気が取り入れられる。つまり、例えば循環ポンプ21の回転数に対応して制御を行うものにおいては、回転数が規定値に達すると電磁弁65を開にし、循環ポンプ21の回転数に対応する制御を行わないものにおいては、循環ポンプ21の起動後、所定時間後に電磁弁65を開くことにより、循環ポンプ21で作り出される負圧により空気が取り入れられる。そうすると、逆止弁61は吸入される空気の力で図の右側に移動し、フィルタ59を介して空気導入口60から導入される空気が、図の矢印Cに示すようにして通路64内に導入される。この通路64は、追い焚き循環路25に接続されており、追い焚き循環路25内を通る湯水が図の矢印Aに示すように流れるため、この湯水に前記空気が溶存される。
第1実施例を始めとする各実施例の加圧容器30を適用する風呂装置において、追い焚き循環路25を5.5〜7リットル/分の湯水循環時に導入される空気量は、約400cc/分〜700cc/分(1気圧換算時)となっている。なお、配管距離等の変動の余裕をみて、6〜7リットル/分での制御を考えているが、上記5.5リットル/分は微細気泡噴出装置39の吸引側に付けられるフィルタ54の目詰まりに対する余裕である。図12において、図の矢印Bに示すように、注湯路14から湯水が導入された場合は、この湯水が通路64内に導入されて追い焚き循環路25を通して浴槽26に落とし込まれる。
図14〜図17には、前記風呂装置の微細気泡発生および追い焚きの動作例がフローチャートにより示されており、以下、このフローチャートに基づき、第1実施例の加圧容器30が適用されている風呂装置の動作について説明する(なお、この動作は、第2〜第4実施例にも適用できる)。ステップ1Aで、微細気泡発生スイッチ(泡発生スイッチ)がオンされる(微細気泡発生操作部43の操作が行われる)と、ステップ2Aで、微細気泡噴出タイマーがスタートする。次に、ステップ3Aで、追い焚きスイッチがオンか否かが判断され、オンのときには、ステップ3Bに進み、追い焚きスイッチがオフのときには、ステップ4Aで、循環ポンプ21が、その回転数を空気層形成用設定回転数Lo(2000rpm)として運転される。このとき、微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48の上流にかかる圧力は低く、流量対応開閉弁48は開いている。
次に、ステップ5Aで、ステップ1Aでの微細気泡発生スイッチのオンから3秒経過したか否かが判断され、3秒経過したら、ステップ6Aで、浴槽26の水位確認が例えば3秒間行われ、ステップ7Aで、循環ポンプ21の回転数を空気層非形成モード用設定回転数Hi(3500rpm)とする。そうすると、流量対応開閉弁48の上流にかかる圧力は高くなり、流量対応開閉弁48が閉じる。また、ポンプ回転数Hiタイマーをスタートさせ、図16のステップS1aまたは図17のステップS1bに進む。なお、加圧容器の水位検出用として、3本の電極35,36,137を有する場合は、図16のステップS1aに進み、2本の電極を有する場合は、図17のステップS1bに進む。
図16のステップS1aに進んだときには、水位確認が初回か否かが判断され、初回のときにはステップS5aに進み、ステップS5aで、3秒タイマーがスターとされる。なお、図8に示したように、電極35,36,137によるタンク31内貯留水の水位検出後には、空気導入弁38をすぐに開かずに、空気導入弁38を開くまでに予め定めた遅延時間経過を設けている(水位検出後、遅延時間が経過した後に空気導入弁38を開くようにしている)。この遅延時間を、第1実施例では、例えば3秒としており、その遅延時間を計るために、図16のステップS5aでタイマーをオンとする。
また、ステップS1aで、前記水位確認が初回でないと判断されたときには、ステップS2aに進み、水位確認時、低水位電極がオンか否かが判断され、オフのときには図14のステップ8Aに進み、オンのときにはステップS3aに進む。ステップS3aでは、水位確認時、高水位電極がオンか否かが判断され、オンのときにはステップS5aに進み、オフのときにはステップS4aに進む。ステップS4aでは、前回の循環ポンプ21の回転数Hiでの運転時に、空気導入弁38をオフしたか否かが判断され、オフしたときには、ステップS5aに進み、オフしなかったときには、図14のステップ8Aに進む。また、ステップS5aに進んだときには、ステップS6aで、タイマーが3秒経過したら、ステップS7aで、空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)し、図14のステップ8Aに進む。
一方、図17のステップS1bに進んだときには、水位確認時、加圧容器30内に空気層が無いか否かが判断され、空気層が無いと判断されたときには、ステップS2bで、空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)するタイミングの遅延時間(例えば3秒)から予め定められている設定減算時間だけ減算し、ステップS4bに進む。また、空気層があると判断されたときには、ステップS3bで、空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)するタイミングの遅延時間(例えば3秒)に予め定められている設定加算時間だけ加算し、ステップS4bに進む。そして、ステップS4bで、空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)するタイミングの遅延時間が経過したら、空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)し、図14のステップ8Aに進む。
なお、前記の如く、図8に示したように、電極35,36等によるタンク31内貯留水の水位確認後に、ポンプ回転数を空気層形成用設定回転数時(2000rpm)から空気層非形成モード用設定回転数時(3500rpm)に変更後、通常は、この後、さらに予め定めた遅延時間(例えば3秒)後に空気導入弁38の開閉(オンオフ)制御が行われるが、図17のフローチャート(電極を水位電極35とグラウンド電極の2本の電極で構成した場合のフローチャート)の動作図のように、前記遅延時間を長くしたり(加算したり)、短くしたり(減算したり)するようにしてもよい。すなわち、空気導入弁38を開くタイミングの遅延量を制御するような開閉制御を行なってもよい。
図14のステップ8Aでは、追い焚きスイッチがオンか否かが判断され、オフのときにはステップ12Aに進み、オンのときには、ステップ9Aで、追い焚きバーナ16への点火が行われ、ステップ10Aで、風呂温度センサ18の検出温度が風呂設定温度より高いかどうかが判断される。風呂温度センサ18の検出温度が風呂設定温度以下のときには、ステップ12Aに進み、風呂温度センサ18の検出温度が風呂設定温度より高いときには、ステップ11Aで、追い焚きスイッチがオフされ、追い焚きバーナ16も消火されてから、ステップ12Aに進む。ステップ12Aでは、ポンプ回転数Hiタイマーがオンされてから30秒経過したかどうかが判断され、経過したら、図15のステップ13Aに進んで、空気導入弁38をオフ(電磁弁65をオフ)する。
次に、図15のステップ14Aで、追い焚きスイッチがオンか否かが判断され、オンのときには、ステップ15Aで、リモコン装置の燃焼ランプ(燃焼中であることを示すランプ)をオンしたまま、追い焚きバーナ16をオフする。また、ステップ14Aで、追い焚きスイッチがオフと判断されたときには、ステップ16Aで、循環ポンプ21の回転数をLo(2000rpm)とする。ここで、微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48は閉じたままであるので、流量対応開閉弁48の上流にかかる圧力は高い。その後、図14のステップ17Aに進み、循環ポンプ21の回転数Lo(2000rpm)としてから3秒経過したと判断されたら、ステップ6Aに戻る。
なお、図14のステップ12Aで、ポンプ回転数Hiタイマーがオンされてから30秒経過していないと判断されたときには、ステップ18Aに進み、微細気泡噴出タイマーが予め定められた設定時間経過したか、または、微細気泡発生スイッチがオフされたかが判断され、少なくとも一方が行われたときには、ステップ19Aに進み、行われなかったときには、ステップ8Aに戻る。ステップ19Aでは、空気導入弁38がオフ(電磁弁65がオフ)され、ステップ20Aで、追い焚きスイッチがオンか否かが判断され、追い焚きスイッチがオフのときには、ステップ23で循環ポンプ21がオフされ、オンのときには、ステップ21Aに進む。
ステップ21Aでは、追い焚きバーナ19がオフされ、循環ポンプ21がオフされる。この循環ポンプ21のオフにより、微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48が開くことになる。流量対応開閉弁38が開いたら、ステップ22Aに進み、循環ポンプ21を流量対応開閉弁48が開弁時(微細気泡非噴出動作時)の追い焚き動作における回転数Lo(1700rpm)として運転する。なお、この回転数Lo(1700rpm)での循環ポンプ21の運転時に流量対応開閉弁38に加わる圧力は低いので、流量対応開閉弁38は開いたままとなる。
また、図14のステップ1Bで、追い焚きスイッチがオンされる(追い焚き動作指令操作部44の操作が行われる)と、ステップ2Bで、循環ポンプ21が、その回転数を、流量対応開閉弁48が開弁時の追い焚き動作における回転数Lo(1700rpm)として運転される。このとき、微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48の上流にかかる圧力は低く、流量対応開閉弁48は開いている。この循環ポンプ21の運転開始後、ステップ3Bに進む。なお、前記ステップ22Aの動作後も、ステップ3Bに進む。
ステップ3Bでは、風呂の流水スイッチ22がオンか否かが判断され、流水スイッチ22がオフのときには、ステップ8Bで追い焚きバーナ16がオフされて、ステップ3Bに戻り、流水スイッチ22がオンのときには、ステップ4Bで、追い焚きバーナ16への点火が行われ、ステップ5Bに進む。ステップ5Bでは、風呂温度センサ18の検出温度が風呂設定温度より高いか否かが判断され、高いときには、ステップ6Bで、循環ポンプ21がオフされて、追い焚きスイッチがオフされ、追い焚きバーナ16もオフされる。また、風呂温度センサ18の検出温度が風呂設定温度以下のときには、ステップ7Bで、微細気泡発生スイッチがオンか否かが判断され、オンのときには、前記ステップ4Aに進み、オフのときには、ステップ3Bに戻る。
なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記各実施例では、水の注入口32は下向きに形成したが、例えば図35に示すように、上向きに形成してもよく、水の注入口32の角度は適宜設定されるものである。
また、加圧容器30の材質は水の抵抗が少ないものが好ましいが、ポリカーボネート以外にPPS(ポリフェニレンサルファイド)等であってもかまわず、また、内部は鏡面仕上げする必要性はなく、ポンプ能力に見合った仕上げとすればよい。逆に言えば、内面にフッ素コートや疎水性セラミックコート等をしてポンプ能力を下げてもよい。
そして、前記の如く、河川のような一般的な跳水現象分類においては波状跳水と弱流跳水の境界のフルード数がフルード数1.7になるのに対して、前記第1実施例の加圧容器30のような形状の場合は、波状跳水と弱流跳水の境界のフルード数がフルード数2.3となるのが基本であるが、その値は、加圧タンク形状、材質、内面処理、加圧容器30の周囲温度、水温、入浴剤の有無、気圧等で前記値が変わるので、モード切り替え制御手段40によって未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードの切替を行う際には、その変わった値に追随して使用環境に応じた値でモード切り替えを行うように制御することが好ましい。
さらに、図45(a)に示すように、前記第3実施例の加圧容器30において、仕切り板34に形成した貫通孔29の下端からタンク31の下部に貯留する水面に至る間に棒状の流下添わせ棒66を設け、水をこの流下添わせ棒66に添わせて流下させるようにしてもよい。また、図45(b)に示すように、テーブル板部28を仕切り板34の中央ではなく、中央からずれた位置に形成してもよく、さらには、図45(b)に示すように流下添わせ棒66を設けてもよいが、流下添わせ棒66は省略してもよい。
さらに、加圧容器30は、図46(a)、(b)に示すように、仕切り板34の上から下へ水を流下させるための隙間を、仕切り板34の外周近傍領域に設けた貫通孔29により形成し、図46(a)に示すように、貫通孔29を通った水が空気層Aを通った後に、タンク内周壁の被添面に添って流下するように構成してもよいし、図46(b)に示すように、貫通孔29を通った水が空気層Aを通り、板部73に添って通った後に、タンク内周壁の被添面に添って流下するように構成してもよい。
さらに、前記各実施例の加圧容器30は、タンク形状を略球形状(楕円球形状)としてタンク内部からタンク壁部に加えられる圧力に有利な形状とし、そのタンク31内に仕切り板34を設け、仕切り板34の上側(水の上部空間)で水流を拡大し、隙間で水流を縮小する拡縮空間とし、空気層Aや貯留水のある空間を一体とすることにより加圧容器30を小型化しているが、例えば図47(a)に示すような断面構成を有していてもよい。
同図に示す構成は、タンク31に水を注入する注入管78を設けて形成され、この注入管78の上流側に管路の拡径部79を形成して、この拡径部79内にターゲット部材67を設けている。また、注入管78において、タンク31に挿入されている領域は、図47(b)の斜視図および、図47(d)の平面図に示すように、先端側に向かうにつれて水平方向の幅が広く形成されると共に、上下方向の間隔は狭く形成されて、管路を上下に押しつぶしたような形状と成している。注入管78の先端は、図47(c)に示すように、逆樋形状と成し、均一間隔の隙間Sが形成されている。この例は、水流を拡大する領域(拡径部79)および、水流を縮小する隙間形成領域(同図の注入管78の先端側)と、水の貯留領域(タンク31)とを別体として形成して形成した例であり、このような例においても、隙間Sの総面積を注入口32の面積(例えば50mm2)より大きく形成する。
さらに、動粘性係数は、0.000001004[20℃動粘性係数(ν:m2/s)]から0.000000658[40℃動粘性係数(ν:m2/s)]のごとく、温度が高くなるにつれて小さく変化するので、風呂装置等の微細気泡発生機能付き装置において、モード切り替え制御手段40は、追い焚きしながらの空気層非形成モード時には、追い焚きなし時の空気層非形成モード時に比して未溶存空気層形成モードを入れるタイミングを多くしてもよい。
さらに、前記風呂装置において、空気導入弁開閉制御手段42は、図8に示すような、空気導入弁38の制御を行うようにしたが、初回(白濁運転開始時)には、ポンプ回転をHiにしてから前記遅延時間が過ぎても、さらに、予め設定される遅延延長時間が経過するまでは空気導入弁38を閉じ続けるようにしてもよい。このように遅延時間を延長すると(例えば3秒→5秒への延長を行うと)、空気導入弁38を締切運転することで、ノズル45にかかる圧力が、微細気泡が十分発生する圧力にまで短時間で上昇し、微細気泡が速やかに発生するために、微細気泡が発生している時間が長くなるため、結果として平均白濁度が向上するためである。
なお、本発明者は、例えば、第1実施例の加圧容器30を適用した前記風呂装置において、空気導入弁38を開くまでの時間を遅延しない場合、つまり、空気導入弁38の締切運転しない場合において、微細気泡が十分発生する圧力まで上昇する時間が15秒かかるのに対して、前記のように、遅延時間を2秒延長して空気導入弁38の締切運転を行うことによって、前記上昇時間が10秒速くなることを確認している。
また、前記第1実施例の加圧容器30のように、空気層Aの形成の有無を、電極35,36,137により検出するようする(つまり、水または水面上に広がる気泡上端が電極35,36,137に触れているか触れていないかにより判断する)と、水がタンク内に8分目まであるのか6分目まであるのかといった詳細な情報は得ることができない。例えば、空気層Aがあると判断されたとき(つまり、流量が小さいとき)でも、空気層A中の未溶存空気が水に溶け込んでいって空気層Aの容積が減少し、先程まで電極35,36,137に触れていたのに、それから少し時間がたっただけでも空気層Aがないと判断されることもある。そこで、風呂装置において、空気導入弁38のオンオフのタイミング、空気導入弁38の開時間、開度などを少し変えて、水または水面上に広がる気泡上端が、電極35,36,137に触れる程度なのかずっと下なのかをみてコントロールするとよい。
さらに、例えば、図41に示されるように、空気の溶解度は水温が高くなると低く(解けにくく)なるので、前回の白濁運転(微細気泡発生運転)時と同じ水温の条件における空気導入弁38の開閉制御条件を参照し、このときの空気導入弁38の制御条件が、3回ONで1回OFFの場合には、空気層Aを作る流量域に変える(未溶存空気層形成モードに変える)タイミングであっても、空気層Aを作らない流量域(空気層非形成モード)のまま、連続運転する(例えば空気導入弁が3回ONで1回OFFを間に入れた5回分の連続運転を行う)ようにして、空気の水への溶存量を増やすようにしてもよい。
また、加圧容器30内に形成される空気層Aの量と空気層Aを作る流量域(未溶存空気層形成モード時に)おける空気導入弁38の制御との兼ね合いによって、例えば空気導入弁38を3秒ONで1秒OFFとした時は空気層があり、例えば空気導入弁38を2秒ONで1秒OFFとした時には空気層Aが無くなるというような場合もある。そこで、空気導入弁38の開閉制御に応じて、空気層Aがどの程度の量かを把握するようにし、この把握量に基づき空気層Aを作らない流量域で連続運転しつつ、空気導入弁38の開閉制御やリニアな空気流量制御を行うようにしてもよい。
そして、前回の白濁運転時と同じ水温の条件(空気導入弁が3回ONで1回OFF)で運転して、空気層Aを作る流量域で(未溶存空気層形成モード時に)推定空気層の量を把握し、その推定空気層把握量が前回の値と異なる場合には、次のように判断する。つまり、推定空気層把握量が前回の値より多くなる場合は、前回と比してフィルタ54の目詰まりがより多くなっていると判断したり、推定空気層把握量が前回の値より少なくなる場合は、フィルタ54が掃除されたと判断したりするようにする。
そして、このように、フィルタ54での抵抗変化によって、ポンプ回転数が同じであっても流量が異なると判断し、例えばフィルタ54の目詰まりがより多くなっていると判断した場合には、空気層Aを作らない流量域で(空気層非形成モード時)のポンプ回転数を上昇させたり、空気導入弁制御方法を切り変えたりする(例えば空気導入弁38を3回ONで1回OFFとしていた制御方法に変えて、空気導入弁38を2回ONで2回OFFの制御方法とする)ようにしてもよい。また、これらの制御を共に行い、水量と空気量の両方を変えるようにすれば、より未溶存空気層形成モードでの運転を減らすことができ、それにより、より濁度を高めることができる。
なお、図41に示したような、水温に応じた空気の溶解度のデータを予め与えておき、前回の白濁運転(微細気泡発生運転)と今回の白濁運転とで浴槽湯水(浴槽水)の温度が異なる場合には、その浴槽水の温度に応じて空気導入弁38の開閉制御を可変するようにし、それにより、空気層を作る流量域(未溶存空気層形成モード)での運転を減らすようにしてもよい。例えば、前回の白濁運転時に水温20℃の条件で、空気導入弁38を3回ONで1回OFF(0.75回のON)とした場合に、ちょうどよい条件であったとする。そして、今回の白濁運転時に、水温が40℃だとすると、空気の水に対する溶解度は、図41から、水温40℃では水温20℃の気体溶解度の約75%なので、0.75回×0.75%=約0.56回のONに近い制御なるように、空気導入弁38を2回ONで2回OFF(0.5回のON)に変更するとよい。また、ONの時間をOFFに比してわずかに多くするように可変して、0.56回に近づけるようにしてもよい。
さらに、特に冬場においては、空気導入弁38から導入する空気温度が低く(例えば0℃)、空気温度と浴槽水温度(例えば40℃)との温度差が大きい場合には、白濁運転(気泡発生)を続けると浴槽水の温度が下がり、また、追い焚きしつつ気泡発生を続けると浴槽水の温度が上がるので、この温度変化を風呂温度センサ18で実測しながら、図41の水温に対する空気溶解度に基づいて浴槽水の温度に対応する空気溶解度を推測し、この推測値に基づいて、空気導入弁38のON−OFF回数比やON時間を可変して未溶存空気層形成モードでの運転を減らすようにしてもよい。なお、風呂温度センサ18の位置は図6の2つの熱交の間であってもよいが、空気導入弁38から吸引される空気温度に影響されない、空気導入弁38よりも(熱交側と反対側である)浴槽側の位置であってもよい。
以上のように、水温と気体溶解度との関係データを予め与えておき、また、気体溶解度に応じた空気導入弁38のオンオフ制御の最適データを与えておくことにより、水温に応じて推測される(水温と気体溶解度との関係データにより求められる)空気の溶解度に応じ、空気導入弁38のオンオフ制御をその最適データに基づいて行うようにすれば、空気層Aの容積に応じた空気導入弁38のオンオフ制御を行うことができるので、その分だけ未溶存空気層形成モードによる運転時間を少なくし、空気層非形成モードでの運転時間を増やして浴槽湯水の白濁度をより一層高めることもできる。
さらに、前記空気層形成用設定回転数Loや空気層非形成モード用設定回転数Hiは下記のように決めてもよい。すなわち、施工工事が終了してからでないと配管距離が(配管抵抗が)確定されず、また、使用を重ねるに従いフィルタ54の目詰まりが進んだり(配管抵抗が大きくなったり)、フィルタ54を掃除すると急に配管抵抗が小さくなったりするので、施工工事終了後の使用開始時や毎回の使用開始時に空気導入弁38をオン(電磁弁65をオン)して循環ポンプ21の回転数を微細気泡噴出装置39の流量対応開閉弁48が閉となる回転数まで上昇させた後、流量対応開閉弁48を閉のままで維持できる回転数まで一度下げて、その後、循環ポンプ21の回転数を上げつつ、各電極がオンか否かを判断して、空気層形成状態で無くなるポイントを確定するようにしてもよい。このように、空気層形成用設定回転数Loと空気層非形成モード用設定回転数Hiを決める境界の回転数を前記施工状態や使用状態に基づいて決めると、正確な回転数設定が可能である。
また、本発明の加圧容器が適用される空気溶存装置を風呂装置とする場合に、そのシステム構成は図6に示した構成とするとは限らず、適宜設定されるものである。つまり、例えば、前記実施例を適用して形成した風呂装置では、空気の導入は循環ポンプ21の負圧を用いて行うようにした(循環ポンプ21の吸い込み側が負圧になると、空気が導入されるようにした)が、前記の如く、例えば図39に示すようなシステム構成を形成し、空気導入弁38にエアーポンプ121を組み合わせて、循環ポンプ21の吐出側から空気を送り込み、循環ポンプ21の駆動による水流で、前記空気を加圧容器30に送る構成としてもよい。また、加圧容器30に直接、空気導入手段を設けて加圧容器30内に空気を導入するようにしてもよい。
さらに、図6に示した風呂装置においては、浴槽26と追い焚き循環路25との接続部に微細気泡噴出装置を設けたが、微細気泡噴出装置は、例えば往管24に設ける等、加圧容器30の出側に接続される出側管路内に微細気泡噴出装置を設けてもよい。
さらに、モード切り替え制御手段40を用いた時に加圧容器30内の水流に形成する跳水現象分類を可変するのではなく、もっぱら空気層非形成モード時に射流を用いて空気を溶存させ、未溶存空気層形成モード時には空気を溶存を主とせずにエア層の量の計測を主眼とする場合には、未溶存空気層形成モード時水流は常流としてもかまわない。また、この時の、空気層非形成モード時の射流はフルード数1以上とすればよいが、波状跳水と弱流跳水の境界であるフルード数1.7以上のほうが好ましいのは言うまでもない。
さらに、加圧容器30は、加圧容器30に水を導入する装置において、モード切り替え制御手段を用いずに、基本である未溶存空気層形成モードのみで空気を溶存させるようにしてもよい。なお、この場合には、未溶存空気層形成モード時に射流を用いて空気を溶存させなければならないのは言うまでもない。
さらに、加圧容器30の周囲温度、水温、入浴剤の有無、気圧、加圧容器30の内壁の状態等により、モード切り替え制御手段40で切り替えを行う際に、その目安となるフルード数が変わるので、微細気泡発生運転時に、その運転時の条件で、目安となる境界のフルード数がどこに移動しているかを検出し、その検出結果に基づいて目標フルード数を検出する学習モード制御手段をモード切り替え制御手段40に設け、モード切り替え制御手段40が、学習モード制御手段による検出結果に基づいて未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの切り替え制御を行うようにしてもよい。
以下、この目標フルード数の検出モードと、その検出モードに基づく制御方法の例について述べる。まず、前記各実施例の場合、図23(b)の跳水分類を基本とするので、この跳水分類に基づき、振動跳水と定常跳水との境界のフルード数を6.2とし、6.2を振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値として、モード切り替え制御手段40の学習モード制御手段に予め与えておく。また、同様に、定常跳水と強流跳水との境界のフルード数を12.3とし、12.3を定常跳水と強流跳水との境界フルード数のイニシャル値として学習モード制御手段に予め与えておく。
次に、加圧容器30に導入される水の流量とポンプ回転数との関係を以下のようにして求める。例えば、第1実施例の加圧容器30において、切り欠きKの総面積が126mm2、105mm2の具体例の場合、循環ポンプ21を駆動させて加圧容器30に導入する水の流量を以下の(ア)〜(ウ)の3つの各流量とし、その際、各流量とするための循環ポンプ21の回転数(ポンプ回転数)を記憶することにより、加圧容器30に導入する水の流量とポンプの回転数との関係を求め、その関係を記憶する。
(ア):振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値(6.2)よりもフルード数が小さくなる流量であって、振動跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測可能=エア層あり時)と、その時のポンプ回転数
(イ):振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値(6.2)以上であり該イニシャル値近傍の値のフルード数に対応する流量あって、定常跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測不可能=エア層なし時)と、その時のポンプ回転数
(ウ):振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値(6.2)よりもフルード数が大きくなる流量あって、定常跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測不可能=エア層なし時)と、その時のポンプ回転数
切り欠きKの総面積が126mm2の具体例の場合は、前記(ア)のフルード数がイニシャル値6.2より小さくなる水の流量は、例えば6.5リットル/分となり、前記(イ)のフルード数がイニシャル値6.2近傍(ただし6.2以上)となる水の流量は、例えば流量7リットル/分となり、前記(ウ)のフルード数がイニシャル値6.2より大きくなる水の流量は、例えば7.25リットル/分となる。
次に、空気溶存装置の実際の動作時における未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの境界の流量および境界のフルード数を、以下のようにして求める。
例えば利用者によってリモコンの白濁スイッチが押されると、風呂装置は、まず、水の流量が、前記(ア)の流量よりも小さい流量5リットル/分となるように循環ポンプ21を駆動させて(空気層Aを作る水崩れが発生する流量で)各部(配管内)を水で満たす。その後、循環ポンプ21の回転数を徐々に上げ、電極35,36,137による加圧容器30内水位検出動作を行い、エア層なしとなった時の水の流量とポンプ回転数とをそれぞれ測定して記憶する(流量Qa、回転数Raとする)。
その後、逆にポンプの回転を徐々に下げ、電極35,36,137による加圧容器30内の水位検出動作を行い、エア層(空気層)ありとなった時の水の流量とポンプ回転数とをそれぞれ測定し(流量Qb、回転数Rbとし)、そのポンプ回転数(Rb)と水の流量(Qb)と、前回(ポンプの回転を徐々に上げてエア層なしとなっとき)のポンプ回転数(Ra)と水の流量(Qa)との平均値をそれぞれ求める(流量の平均値は(Qa+Qb)/2、回転数の平均値は(Rb+Rb)/2)。そして、この求めた値を、振動跳水と定常跳水との境界における水の流量の暫定値および、その水の流量に対応するポンプ回転数の暫定値とする。
なお、このように、平均値を求める理由は、ポンプ回転数の変化に対して、ワンテンポ遅れて、エア層あり・なしが判断されるため、その遅れの影響分を補正して正確な境界流量を求められるようにするためである。なお、計測遅れが無視できるほどポンプ回転数の変化が緩やかな場合には、前記2回の測定のうち、どちらか1回の測定のみを行い、その測定により得られた水の流量およびポンプ回転数の値を、振動跳水と定常跳水との境界流量および、その流量に対応するポンプ回転数の暫定値としてもかまわない。
そして、例えば、前記境界における水の流量の暫定値から境界のフルード数の暫定値(暫定フルード数)を求め、この暫定フルード数が境界のフルード数のイニシャル値からどれだけ移動しているかの移動割合を求める。例えば、この暫定フルード数の値が6.6であった場合、振動跳水と定常跳水との境界となるフルード数が移動している割合をXとすると、X=フルード数の暫定値/フルード数のイニシャル値=6.6/6.2=1.065 となり、境界となるフルード数が1.065倍移動していることが分かる。
このように、フルード数がイニシャル値の6.2から6.6に移動している場合には(境界の流量が実際に変わっている場合と、フィルタ目詰まりにより回転数のみが上がって回転数から予想される流量に比して実際の流量は少なく、境界の流量が実際には変わっていない場合等があるがいずれの場合であっても)、空気層非形成モードでの運転跳水分類(定常跳水のフルード数イニシャル値6.2)に相当する流量(回転数)を移動させなければならない。
つまり、振動跳水と定常跳水との境界がどの程度移動、または、どの程度フィルタ目詰まりがあり、それらをキャンセルするために、前記定常跳水のイニシャル値6.2に上記移動倍率を掛け合わせて目標フルード数を求める。なお、この例では、6.2×1.065=6.6となる。そして、この目標フルード数(ここでは6.6)から目標フルード数に対応する水の流量を逆算する。
例えば、切り欠きKの高さ(h)が2mmの場合、限界流c=√(gh)=√(9.8×0.002)=0.141421m/秒(ただし重力加速度:9.8m/秒2)となることから、切り欠きKを通る水流の限界流速は約140mm/秒(141.421mm/秒)である。したがって、目標フルード数であるフルード数6.6で切り欠きKを通る流速(WLO)の値は、141.421×6.6=933.3786となることから、約933mm/秒となり、このときのポンプが送り出す流量は、933.3786×126×60=7056342mL/分となる。つまり、目標フルード数に対応する水の流量は約7リットル/分となり、加圧容器30内に未溶存の空気層Aが形成される場合と空気層Aが形成されない場合との境界の流量は、約7L/分(約7リットル/分)となる。
そこで、この境界の流量7L/分を基準として未溶存空気層形成モード運転時と空気層非形成モード運転時の水の流量をそれぞれ決定する。つまり、振動跳水と定常跳水の境界流量(約7L/分)を基に、未溶存空気層形成モード運転においては、例えば7−0.25L/分相当の回転数でポンプの回転駆動を行い、空気層非形成モード運転においては、例えば7+0.25L/分相当の回転数でポンプの回転駆動を行う。なお、各水の流量に相当するポンプ回転数は、前記(ア)〜(ウ)の水の流量とポンプ回転数とに基づいて記憶した水の流量とポンプ回転数との関係データに基づいて求め、また、水の体積は水温によって変わるので、好ましくは水温補正を入れて、それぞれのポンプ回転数を確定する。
なお、前記実施例の場合、図23(b)の跳水分類を基本とするが、切り欠きKの総面積が84mm2の具体例と切り欠きKの総面積が63mm2の具体例においては、水崩れ余地による境界移動によって、振動跳水と定常跳水との境界のフルード数が6.2より大きくなっている。そこで、表1に示した関係から、切り欠きKの総面積が84mm2の具体例における振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値は7.4として、前記学習モード制御手段に与えておく。そして、切り欠きKの総面積が84mm2の具体例にいては、切り欠きKの総面積が126mm2時の具体例において、水の流量や暫定フルード数や目標フルード数を求める際に、フルード数のイニシャル値として6.2を用いた代わりに、7.4をフルード数のイニシャル値として水の流量や暫定フルード数や目標フルード数を求める。
また、切り欠きKの総面積が63mm2の具体例においては、表1に示した関係から、振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値は9.9として学習モード制御手段に与えておく。
また、切り欠きKの総面積が63mm2との具体例においては、前記の如く、水の流量を6リットル/分以上とすると強流跳水が発生することが確認されおり、フルード数11.3で強流跳水が発生している(流速が速く、水崩れが少ないためにタンク被添面との接触面積増加が想定より少ないのが原因と考えられる境界移動が発生しており、フルード数が、図23(b)に示されている12.4より小さい11.3で強流跳水が発生している)ことを確認しているので、定常跳水と強流跳水との境界フルード数のイニシャル値は11.3として学習モード制御手段に与えておく(なお、強流跳水が発生する境界フルード数の値は11.3より小さい可能性があるが、どの程度、境界移動が行われるのかまでは確認していない)。
そして、循環ポンプ21を駆動させて、加圧容器30に導入する水の流量を以下の(ア)〜(ウ)の3つの各流量とし、その際、各流量とするための循環ポンプ21の回転数(ポンプ回転数)を記憶することにより、加圧容器30に導入する水の流量とポンプの回転数との関係を求め、その関係を記憶する。
(ア):振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値(9.9)よりもフルード数が小さくなる流量であって、振動跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測可能=エア層あり時)と、その時のポンプ回転数
(イ):振動跳水と定常跳水との境界フルード数のイニシャル値(9.9)以上であり該イニシャル値近傍の値のフルード数に対応する流量あって、定常跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測不可能=エア層なし時)と、その時のポンプ回転数
(ウ):定常跳水と強流跳水との境界フルード数のイニシャル値(11より大きい値である11.3)以上のフルード数になる流量あって、強流跳水を起こす水の流量(未溶存空気量計測不可能=エア層なし時)と、その時のポンプ回転数
前記(ア)のフルード数がイニシャル値9.9より小さくなる水の流量は、例えば5リットル/分となり、前記(イ)のフルード数がイニシャル値9.9近傍の9.9以上の値となる水の流量は、例えば流量5.5リットル/分となり、前記(ウ)のフルード数がイニシャル値11.3以上になる水の流量は、例えば6リットル/分となる。
次に、第1実施例の加圧容器30における切り欠きKの総面積が63mm2の具体例においても、空気溶存装置の実際の動作時における未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの境界(空気層Aが形成される領域と形成されない領域との境界)の流量および境界のフルード数を、切り欠きKの総面積が126mm2の具体例と同様にして求め、この求めた値を、振動跳水と定常跳水との境界における水の流量の暫定値および、その水の流量に対応するポンプ回転数の暫定値とする。
そして、例えば、前記境界における水の流量の暫定値から境界のフルード数の暫定値(暫定フルード数)を求め、この暫定フルード数が境界のフルード数のイニシャル値からどれだけ移動しているかの移動割合を求める。例えば、この暫定フルード数の値が10.54であった場合、振動跳水と定常跳水との境界となるフルード数が移動している割合をXとすると、X=フルード数の暫定値/フルード数のイニシャル値=10.54/9.9=1.065 となり、境界となるフルード数が1.065倍移動していることが分かる。
このように、フルード数がイニシャル値の9.9から10.54に移動している場合には(境界の流量が実際に変わっている場合と、フィルタ目詰まりにより回転数のみが上がって回転数から予想される流量に比して実際の流量は少なく、境界の流量が実際には変わっていない場合等があるがいずれの場合であっても)、空気層非形成モードでの運転跳水分類(定常跳水のフルード数イニシャル値9.9)に相当する流量(回転数)を移動させなければならない。
つまり、振動跳水と定常跳水との境界がどの程度移動、または、どの程度フィルタ目詰まりがあり、それらをキャンセルするために、前記定常跳水のイニシャル値9.9に上記移動倍率を掛け合わせて目標フルード数を求める。なお、この例では、9.9×1.065=10.54となる。そして、この目標フルード数(ここでは10.54)から目標フルード数に対応する水の流量を逆算する。
例えば、切り欠きKの高さ(h)が2mmの場合、限界流c=√(gh)=√(9.8×0.002)=0.141421m/秒(ただし重力加速度:9.8m/秒2)となることから、切り欠きKを通る水流の限界流速は約140mm/秒(141.421mm/秒)である。したがって、目標フルード数であるフルード数10.54で切り欠きKを通る流速(WLO)の値は、141.421×10.54=1491となることから、約1491mm/秒となり、このときのポンプが送り出す流量は、1490.5773×63×60=5634382mL/分となる。つまり、目標フルード数に対応する水の流量は約5.6リットル/分となり、加圧容器30内に未溶存の空気層Aが形成される場合と空気層Aが形成されない場合との境界の流量は、約5.6L/分(約5.6リットル/分)となる。
そこで、この境界の流量5.6L/分を基準として未溶存空気層形成モード運転時と空気層非形成モード運転時の水の流量をそれぞれ決定する。つまり、振動跳水と定常跳水の境界流量(約5.6L/分)を基に、未溶存空気層形成モード運転においては、例えば5.6−0.25L/分相当(5.35L/分相当)の回転数でポンプの回転駆動を行い、空気層非形成モード運転においては、例えば5.6+0.25L/分相当(5.85L/分相当)の回転数でポンプの回転駆動を行う。なお、各水の流量に相当するポンプ回転数は、前記(ア)〜(ウ)の水の流量とポンプ回転数とに基づいて記憶した水の流量とポンプ回転数との関係データに基づいて求め、また、水の体積は水温によって変わるので、好ましくは水温補正を入れて、それぞれのポンプ回転数を確定する。
ところで、前記第1実施例における切り欠きKの総面積が63mm2の具体例においては、フルード数11.3で強流跳水が発生しており(定常跳水と強流跳水との境界フルード数のイニシャル値が11.3であり)、このときの水の流量は6リットル/分であることから、振動跳水と定常跳水の境界流量(約5.6L/分)と定常跳水と強流跳水との境界流量との差が小さい。したがって、空気非形成モードにおける水の流量を、振動跳水と定常跳水との境界流量よりも少しだけ大きくすれば、その水の流量を定常跳水と強流跳水との境界流量以上にすることができる。そして、水の流量を定常跳水と強流跳水との境界流量以上にして強流跳水を発生させれば、濁度向上を図ることができるために望ましい。
そこで、定常跳水と強流跳水との境界の目標フルード数を以下のようにして求めて、空気層非形成モード時には、その目標フルード数よりも大きい流量とすれば、強流跳水を発生させることが可能となるために好ましい。ここで、定常跳水と強流跳水との境界となるフルード数が移動している割合Xkは、前記振動跳水と定常跳水との境界となるフルード数が移動している割合Xと同様の値となると考えられることから、Xk=X=10.54/9.9=1.065となると考えられ、この値に、定常跳水と強流跳水との境界となるフルード数のイニシャル値11.3を掛けると、目標フルード数は12になる。
フルード数12の時の切り欠きKを通る流速(WLO)の値は、141.421×12=1697.052となるから、約1697mm/秒となり、この時のポンプが送り出す流量は、1697.052×63×60=6414856.56mL/分(約6.4L/分)となる。そこで、空気層非形成モードでの水の流量を、6.4リットル/分(強流跳水を起こすフルード数)に基づいて6.65リットル/分(6.4+0.25リットル/分)に設定すれば、空気層非形成モード時に強流跳水を発生させることができる。
したがって、モード切り替え制御手段40は、前記のように、未溶存空気層形成モードの運転においては5.35L/分相当の回転数でポンプの回転駆動を行い、空気層非形成モードの運転においては5.85L/分相当の回転数でポンプの回転駆動を行うのではなく、例えば6.65L/分相当の回転数でポンプの回転駆動を行うことが好ましい。
つまり、未溶存空気量計測可と不可となる境界での流量・ポンプ回転数(前記5.6L/分相当の流量・ポンプ回転数)に基づいて、未溶存空気層形成モード運転の流量・ポンプ回転数を決め(例えば5.35L/分相当の流量・回転数とし)、また、空気層非形成モードでの運転においては、定常跳水と強流跳水との境界のフルード数イニシャル値より逆算した流量・ポンプ回転数(例えば約6.4L/分相当の流量・ポンプ回転数)に基づいて空気層非形成モード運転(例えば6.65L/分相当の流量・回転数での運転)を行うとよい。
つまり、前記第1実施例における切り欠きKの総面積が126mm2の具体例のように、加圧容器30内に未溶存空気層が形成されなくなる水の流量(振動跳水と定常跳水との境界の水の流量)よりも、水の流量を予め定められる許容範囲内で多くしても、次の跳水分類の境界(定常跳水と強流跳水との境界)を超えない場合には、未溶存空気量計測可と不可となる境界での流量・ポンプ回転数のみで空気層非形成モード流量・ポンプ回転数を決めてもよいが、前記第1実施例における切り欠きKの総面積が63mm2の具体例のように、水の流量を許容範囲内で多くした場合に、次の跳水分類の境界を超えることができる場合は、空気層非形成モードでの運転時の水の流量を、次の(一段上の)跳水分類の境界フルード数のイニシャル値を用いて求めると、濁度向上を図ることができて好ましい。なお、前記許容範囲とは、加圧容器30が適用される空気溶存装置の仕様や、水の流量を変えたときに未溶存空気層形成モード時に加圧容器30内に形成される泡長などが適正となるように定められる範囲である。
ちなみに、前記第1実施例における切り欠きKの総面積が63mm2の具体例のように、前記水崩れによる境界移動が生じずに、定常跳水と強流強水との境界フルード数のイニシャル値が11.3ではなく12.4の場合には、仮に、前記と同様の割合で定常跳水と強流跳水との境界となるフルード数が移動しているとすると、空気層非形成モードでの運転時に強流跳水が発生するようにするためには、目標フルード数は、12.4×10.54/9.9=13.2となる。
さらに、上記の例は、前記第1実施例の加圧容器30のタンク形状にて、振動跳水と定常跳水の境界を使用して未溶存空気層形成モードと空気層非形成モードとの境界の水の流量を求める場合の計算例だが、跳水の境界は前記以外にも波状跳水と弱流跳水の境界、弱流跳水と振動跳水の境界、定常跳水と強流跳水の境界があるので、加圧容器30のタンク形状、材質、内面処理等に応じて適宜の境界流量を求め、その境界流量に基づき、未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転におけるポンプ回転数を決定して各モード運転を行なってもよい。さらには、弱流跳水も弱流跳水と砕波弱流跳水に分けられる場合があるので、弱流跳水と砕波弱流跳水の境界(河川の場合にはフルード数2.1位で、前記第1実施例の形状の場合、フルード数2.5位)を用いて上記計算を行うようにしてもよい。
さらに、例えば波状跳水と弱流跳水の起きる境界流量に基づいて、未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転を行なえる場合に、弱流跳水が起きる流域ではなく、振動跳水、定常跳水、強流跳水が発生するそれぞれの境界流域(境界よりもフルード数がやや大きい領域)で、空気層非形成モード運転を行うことが考えられる。つまり、未溶存空気層形成モード運転と空気層非形成モード運転を行なえる境界流量に基づいて空気層非形成モード運転を行なうのではなく、その境界よりも上の跳水分類の境界を利用して空気層非形成モード運転を行なうことが考えられる。
例えば未溶存空気層形成モード運転を層流で行い、層流−波状跳水の境界と波状跳水−弱流跳水の境界の2つの境界を挟んで、跳水分類が弱流跳水となる領域で空気層非形成モードでの運転を行う場合や、前記第1実施例のように、未溶存空気層形成モード運転を振動跳水で行い、振動跳水−定常跳水の境界と定常跳水−強流跳水の境界の2つの境界を挟んで、跳水分類が強流跳水となる領域で空気層非形成モードでの運転を行う場合である。その場合には、弱流跳水と振動跳水の境界、振動跳水と定常跳水の境界、定常跳水と強流跳水の境界で、それぞれ境界移動が発生しているので、その境界移動を加味して境界となる目標フルード数を学習モード制御手段により求め、その目標フルード数に基づいて水の流量やポンプ回転数を決定して、モード切り替え制御手段40によるモード切り替え動作を行うようにしてもよい。
さらに、前記各実施例では、加圧容器30のタンク31の直径を、内径Φ4.5cmとしてタンク31の内壁の被添面は緩やかな円弧を描く曲面とし、また、図36に示した構成においては、被添面形成板134をタンク31の上方まで仕切らないように設けて被添面を平面としたが、被添面を形成する場合、被添面は、これらのように、緩やかな円弧状の曲面や平面とするとは限らず、適宜設定されるものである。つまり、被添面は、円弧状の曲面の曲率半径が小さい(より曲がりの大きい)曲面としてもよいし、図37(l)、(m)、(n)の底辺部位Bのような形状の、外側に凸となる屈曲部を有する屈曲面としてもよく、例えば図37に示したような様々な略三角形状の水流が被添面に添って流下するように形成されると好ましい。
例えば図36(a)に示したようなドラムカンのような容器(タンク)31の中に、塩化ビニール製等の円筒形状のパイプを並べて、例えば図38(a)に示すように、パイプ136の内壁面を被添面とし(パイプ136の筒壁を曲面状の被添面形成板とし)、同図のドットで示すように、パイプ136間の隙間にはシリコンシーラント等の充填式接着剤を設けて隙間を埋めてパイプ136同士を固定し、パイプ136の上には、六角形状の貫通孔140の水通過部を複数形成した仕切り板34を載せ、六角形状の貫通孔140を出た水流が断面略三角形状と成して被添面を流下するようにしてもよい。なお、図38(a)〜(c)においては、仕切り板34を透かして(透明の仕切り板34を設けた状態で)示している。
また、水通過部の貫通孔や切り欠きが同じ形や大きさである必要はなく、例えば図38(b)に示すように、大小2種類の貫通孔140(140a,140b)を形成し、断面略三角形状の水流を大小2種類形成することもできる。このようにすると、水流が貯留水の水面に至る流速は、水流の断面積が大きい方が速いため、以下のような制御を行うことができる。
例えば、まず、ポンプ21の回転数を落として(小さくして)未溶存空気層Aが形成される態様(未溶存空気量計測可で例えば振動跳水を起こす帯域)とし、その状態から徐々にポンプ21の回転数を上げていき、空気層非形成態様(未溶存空気量計測不可)として、断面略三角形状水流が大きい方の水流が定常跳水を起こす帯域に入るようにして(小さい方の断面略三角形状水流は振動跳水の帯域で)軽い濁度を発生させる。ここで、さらにポンプ21の回転数を上げると、断面略三角形状の水流は、大小共に定常跳水となり、さらにポンプ21の回転数を上げると、大きい方の断面略三角形状水流は強流跳水定だが小さい方の断面略三角形状水流は定常跳水となる。そして、さらにポンプ21の回転数を上げると、断面略三角形状の水流は、大小共に強流跳水となるといったように、ごくわずかのポンプ回転数の可変によって濁度を多数段階コントロールすることができる。
さらに、例えば図38(c)に示すように、水通過部の貫通孔140の大きさや形状が同じ形であっても、被添面の配置態様(ここでは、被添面形成板134の配置態様)の違いによって2種類の異なる水流を形成することもできる。なお、この例では、六角形形状の貫通孔140を出た水流を2つに分けて断面積が大きい水流を形成し、3つに分けて断面積が小さい水流を形成しているが、2種類の異なる水流を形成する態様は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、貫通孔140の代わりに切り欠きを用いてもよく、また、被添面を形成する部材も適宜設定されるものである。
さらに、図38(d)、(e)に示すように、貫通孔140が略三角形状の場合でも、被添面形成板134の配設態様によっては、1つの貫通孔140を通過する水流が、断面略三角形状の複数の水流となって貫通孔140を出るようにできる。図38(d)は、水流が、同じ形状で同じ大きさの水流と成して出る態様例を示し、図38(e)は、水流が、互いに異なる形状で異なる大きさの水流と成して出る態様例を示している。なお、各実施例の加圧容器において、仕切り板に形成される水通過部の総面積は、仕切り板に形成する切り欠きや貫通孔の総面積に対応するものであり、被添面の配設態様によっては、第1実施例や図36の例のように切り欠きKや貫通孔140の総面積とほぼ同じになるし、図38(a)、(b)に示す例のように、切り欠きや貫通孔の一部は水が通過しないようにすれば、その通過しない分だけ切り欠きや貫通孔の総面積より小さくなる。
さらに、加圧容器30内水位検出は電極35,36,137に変えて、光電式、フロート式等であってもかまわない。
さらに、水の流量5リットル/分となる回転数でポンプを動かしたのち、ポンプの回転を徐々に上げ、電極35,36,137による加圧容器30内水位検出動作を行い、エア層なしとなった時の回転数を測定する際、かなり高めの回転数となる場合がある。すなわちフィルターが目詰まりした時には、回転数が上がっても流量が流れないために振動跳水と定常跳水の境界に達する流量とならない場合である。すなわち、消費電力でフィルタ54の目詰まりを予想して空気導入弁制御方法を切り変えることに変えて、電極35,36,137による加圧容器30内水位検出動作で空気導入弁制御方法を切り変えてもよい。
さらに、前記第1実施例の加圧容器30では、振動跳水と定常跳水の間にエア層(未溶存空気層A)ありなしの境界があったが、容器を小さくすれば破砕弱跳水と振動跳水の間にエア層ありなしの境界が移り、容器を大きくすれば定常跳水と強流跳水間にエア層ありなしの境界が移るものと考えられる。したがって、加圧容器30の大きさ等に応じて、弱流跳水と振動跳水、振動跳水と定常跳水、定常跳水と強流跳水のいずれかの境界を用いて、エア層ありなしの境界として制御してかまわない。
さらに、前記実施例を適用した風呂装置では、ポンプ21の上流にポンプ21の負圧を用いて溶存用空気を導入する空気導入弁38を用いたが、加圧容器30の上流(ポンプ21の前後を問わない)、または加圧容器30に直接、例えばポンプ21の吐出圧(正圧)を上回る空気圧を作ることのできる空気ポンプを用いて溶存用空気を導入してもよい。
さらに、本発明の加圧容器は、例えば前記のような微細気泡を発生する構成を有する風呂装置等の様々な空気溶存装置に適宜適用されるものであり、その空気溶存装置を風呂装置とする場合に、その風呂装置は、浴槽に給水された水を追い焚きするタイプの追い焚き機能のみの風呂装置としてもよいし、暖房機能や太陽熱利用集熱機能などの他の機能を有していてもよい。また、風呂装置は、ガス以外の燃料を燃焼させて水を加熱して湯とする装置としてもよいし、電気によって水を加熱して湯とする装置としてもよく、その詳細は適宜設定されるものである。
さらに、本発明の加圧容器は、風呂装置に適用するとは限らず、例えば図40に示すように、加圧容器30に水を導入する入側管路111を給水源110に接続し、加圧容器30から水を導出する出側通路112を水槽113に接続し、入側管路111に空気導入弁38とポンプ114とを介設したシステム構成の装置としてもよい。
この場合も、ポンプ114は空気導入弁38の閉状態では水を加圧容器30側に送り、空気導入弁38の開状態では水と該空気導入弁38を通して外部から入側管路111に導入される空気とを加圧容器30側に送る構成とする。微細気泡は、藍藻類や赤潮(プランクトン)等に付着すると、浮力を与える性質があるために、同図に示すように、水槽113として城の堀内や神社の池等を適用することにより、前記浮力により藍藻類や赤潮を水面に分離でき、用意に回収でき、水槽113内の藍藻類(例えばアオコ)除去や、海上の赤潮等の除去を良好に行うことができ、このように、微細気泡を発生させる場所は、海や池などの場合も含む。
さらに、前記各実施例では、上部空間100の減圧気泡破砕室を用いて該加圧容器のタンク内に導入する水をバブルフロー(BubbleFlow)様式で導入していたが、より能力の大きいポンプ114を用い、加圧容器30との間に流量対応開閉弁48と同等の(流量対応開閉弁48の入口面積に対して面積の小さいノズル45をもつ)加圧気泡破砕室を設けて、前記各実施例における減圧気泡破砕室に換えてもよい。