以下、本発明の実施の形態を図1ないし図16に基づいて説明する。
図1に全体を符号1で示す印刷機は、積載された紙2を一枚ずつ給紙する給紙装置3と、この給紙装置3から給紙された紙2を搬送する3倍胴の圧胴4と、この圧胴4と対接する3倍胴の第1の胴としての版胴5と、この版胴5に対接する4倍胴の第2の胴としてのコレクト胴(インキ集合胴)6と、このコレクト胴6の周囲に配置された五個のインキ転写胴であって第3の胴としての第1ないし第5シャブロン胴71ないし75と、圧胴4と版胴5との間で印刷された紙2を排紙する排紙装置8とによって概ね構成されている。
紙2が積載された給紙装置3には、当該給紙装置3のサッカ装置(図示せず)によって上層から一枚ずつ送り出された紙2を受けて印刷見当を合わせる差板11が連絡されている。差板11には、印刷見当を合わせられた紙2をくわえて揺動するスイング装置12が配設されている。圧胴4はフレーム13に支持されており、スイング装置12によってくわえられた紙2を渡し胴14を介してくわえ替えるくわえ爪を支持する三本の爪竿(いずれも図示せず)が周方向に沿って等間隔をおいて設けられている。この圧胴4の周面には、周方向に沿って三枚のゴム製のブランケットが装着されている。
凹版胴5はフレーム13に支持されており、周面には周方向に沿って三枚の凹版が装着されている。この凹版胴5の回転方向におけるコレクト胴6の下流側には、凹版の表面に付着した余分なインキを除去するワイピングローラ17が対接しており、このワイピングローラ17はワイピングタンク18内に貯留された洗浄液に浸漬されている。
コレクト胴6は原動側フレーム20Aおよび操作側フレーム20Bに支持されており、周面には周方向に沿って四枚のゴム製のブランケット19(図4参照)が装着されている。第1ないし第5シャブロン胴71ないし75はフレーム20に支持されており、圧胴4のブランケットや版胴5の凹版の長さに対応した周面長をなす、いわゆる単胴を形成している。各シャブロン胴71ないし75には、図3に示すように、インキ壺21、壷ローラ22、着ローラ23、振りローラ24とからなるインキ装置25が設けられており、これらインキ装置25のインキ壺21内には、互いに異なる色のインキが各々充填されている。
排紙装置8には、圧胴4に対接する排紙胴26が備えられており、この排紙胴26と同軸上に設けられたスプロケット(図示せず)と排紙装置8の前端部に設けられたスプロケット27との間には、左右一対の排紙チェーン28が張架されている。これら左右一対の排紙チェーン28間に一定間隔をおいて支架された各爪竿には爪と爪台とからなる複数組のくわえ爪装置(いずれも図示せず)が並設されており、排紙チェーン28の下流側には、複数の排紙パイル29が備えられている。
このように構成された印刷機1において、給紙装置3から差板11上へ一枚ずつ送り出された紙2がスイング装置12から渡し胴14を介して圧胴4のくわえ爪にくわえ替えられて搬送される一方、各インキ装置25のインキがシャブロン胴71〜75を介してコレクト胴6に転写されて凹版胴5の凹版上に供給され、当該インキの余剰分がワイピングローラ17によって取り除かれ、紙2が圧胴4と版胴5との間を通過することにより、紙2にインキが転写され印刷され、紙2が排紙胴26を介して排紙装置8の排紙チェーン28で搬送されて排紙パイル29に排紙される。
次に、図2および図4ないし図6を用いて、コレクト胴6の凹版胴5に対するコレクト胴用胴着脱装置およびコレクト胴用印圧調整装置ならびにコレクト胴用通水構造について説明する。先ず、図2、図4、図5を用いてコレクト胴用胴着脱装置について説明する。このコレクト胴用胴着脱装置は、原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとに設けられているが、共に同じ構造を有しているので、ここでは原動側フレーム20Aに設けられた原動側コレクト胴用胴着脱装置35Aについてのみ説明し、必要に応じて操作側コレクト胴用胴着脱装置35Bについても説明する。
原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとのそれぞれには、図4に示すように、コレクト軸30の回転中心に対して偏心した偏心メタル32A,32Bが回転自在に嵌合され、これら偏心メタル32A,32Bには、軸受31A,31Bを介してコレクト胴6のコレクト軸30が回転自在に支持されている。30aはコレクト軸30の原動側の端軸に軸着された平歯車としてのコレクトギアであって、印刷機1の原動機の駆動が伝達される。
図5において、36Aはシリンダエンドがピン37を介して原動側フレーム20Aに枢支されたコレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダであって、コレクト胴着脱用原動側電磁弁34A(図16参照)の駆動によりロッド38Aが進退する。原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとのそれぞれには、回動軸40の回転中心に対して偏心した偏心メタル42A,42Bが回転自在に嵌合され、これら偏心メタル42A,42Bには、軸受41A,41Bを介して回動軸40が回転自在に支持されている。
この回動軸40の原動側フレーム20Aの内側に位置する部位には、スリーブ43Aが軸着されており、このスリーブ43Aには、ピン45Aおよび連結子44Aを介して、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36Aのロッド38Aが枢着されている。回動軸40の原動側フレーム20Aの外側に突出した突出端部には、スリーブ46Aが軸着されており、このレバー46Aには連結杆47Aの一端部が枢着されている。
連結杆47Aの他端部は、図2に示すように偏心メタル32Aに固定され、当該偏心メタル32Aと一体的に回動するスリーブ48Aの突出端部にピン49Aを介して枢着されている。
このように構成されていることにより、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36Aのロッド38Aが前進することにより、スリーブ43Aを介して、回動軸40が図2において反時計方向に回動する。この回動軸40の反時計方向への回動によって、スリーブ46Aが一体的に反時計方向に回動することにより、連結杆47Aを介してレバー48Aが反時計方向に回動するので、偏心メタル32Aも一体的に反時計方向に回動する。したがって、偏心メタル32Aの偏心作用によって、コレクト胴6が凹版胴5から離間する方向に移動し凹版胴5から脱する。
一方、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36Aのロッド38Aが後退することにより、スリーブ43Aを介して、回動軸40が図2において時計方向に回動する。この回動軸40の時計方向への回動によって、スリーブ46Aが一体的に時計方向に回動することにより、連結杆47Aを介してレバー48Aが時計方向に回動するので、偏心メタル32Aも一体的に時計方向に回動する。したがって、偏心メタル32Aの偏心作用によって、コレクト胴6が凹版胴5に近接する方向に移動し凹版胴5に着する。
したがって、これらコレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36A、スリーブ43A、回動軸40、スリーブ46A、連結杆47A、レバー48A、偏心メタル32Aが、凹版胴に対するコレクト胴6の着脱を行う原動側フレーム20Aに設けられた原動側コレクト胴用胴着脱装置35Aを構成している。同様に、操作側フレーム20Bには、図4および図5に示すように、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36B、スリーブ43B、回動軸40、スリーブ46B、連結杆47B、レバー48B、偏心メタル32Bからなる操作側コレクト胴用胴着脱装置35Bが備えられている。
次に、図2、図5、図6を用いて、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する第2の胴用印圧調整装置としてのコレクト胴用印圧調整装置について説明する。このコレクト胴用印圧調整装置は、原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとに設けられているが、共に同じ構造を有しているので、ここでは原動側フレーム20Aに設けられたコレクト胴用原動側印圧調整装置55Aについてのみ説明し、必要に応じてコレクト胴用操作側印圧調整装置55Bについても説明する。
コレクト胴用原動側印圧調整装置(第2の胴用印圧調整装置)55Aは、図6に示すように、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aと、このコレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aの駆動によって回転するウォーム57Aと、ウォーム57Aに噛合するセグメントウォームホィール59Aと、このセグメントウォームホィール59Aと一体的に回動する偏心メタル42Aと、上述した連結杆47Aおよびレバー48Aならびに偏心メタル32Aと、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aの駆動量を検出するコレクト胴用原動側ポテンショメータ58Aとによって概ね構成されている。
コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aは、図6に示すように、ブラケット61Aを介して原動側フレーム20Aに固定されており、出力軸にはモータギア62Aが軸着されている。63Aはブラケット61Aおよび固定板64Aを介して原動側フレーム20Aに固定された支持板65Aに回転自在に支持された軸部材であって、一端側にモータギア62Aと噛合するギア66Aが軸着され、他端側に上記したウォーム57Aが軸着されている。
また、この軸部材63Aの一端部にはギア67Aが軸着されており、このギア67Aは、上記したコレクト胴用原動側ポテンショメータ58Aの被駆動軸に軸着されたギア68Aと噛合している。セグメントウォームホィール59Aは、偏心メタル42Aと一体的に回動するようにボルト69Aによって固定されている。
このように構成されていることにより、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aを一方向に駆動することにより、モータギア62A、ギア66A、軸部材63A、ウォーム57A、セグメントウォームホィール59Aを介して、偏心メタル42Aが図2において反時計方向に回動する。
したがって、偏心メタル42Aの偏心作用によって、回動軸40が図中左斜め下方に移動し、スリーブ46Aも一体的に左斜め下方に移動するため、連結杆47Aを介してレバー48Aが反時計方向に回動するので、偏心メタル32Aも一体的に反時計方向に回動する。したがって、偏心メタル32Aの偏心作用によって、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧が低くなる。
一方、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aを前記一方向と反対方向の他方向に駆動することにより、モータギア62A、ギア66A、軸部材63A、ウォーム57A、セグメントウォームホィール59Aを介して、偏心メタル42Aが図2において時計方向に回動する。
したがって、偏心メタル42Aの偏心作用によって、回動軸40が図中右斜め上方に移動し、スリーブ46Aも一体的に右斜め上方に移動するため、連結杆47Aを介してレバー48Aが時計方向に回動するので、偏心メタル32Aも一体的に時計方向に回動する。したがって、偏心メタル32Aの偏心作用によって、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧が高くなる。
操作側コレクト胴用印圧調整装置(第2の胴用印圧調整装置)55Bは、図5に示すように、コレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bと、このコレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bの駆動によって回転するウォーム57Bと、ウォーム57Bに噛合するセグメントウォームホィール59Bと、このセグメントウォームホィール59Bと一体的に回動する偏心メタル42Bと、上述した連結杆47Bおよびレバー48Bならびに偏心メタル32Bと、コレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bの駆動量を検出するコレクト胴用操作側ポテンショメータ58Bとによって概ね構成されている。
次に、図4を用いて、コレクト胴6の内部に通水する第2の胴用通水装置について説明する。コレクト胴6のコレクト軸30の軸線方向両端部の中心部には、同心円上に配置された中心水路81aおよび外周水路81bからなる配管81と、同心円上に配置された中心水路83aおよび外周水路83bからなる配管83とが配管され、軸線方向中央部には、これら両配管81,83を連通する配管82が配置されている。
配管81の外周水路81bの配管82側の端部は栓87によって塞がれ、中心水路81aが配管82に連通されている。配管83の外周水路83bの配管82側の端部は栓88によって塞がれ、中心水路83aが配管82に連通されており、中心水路83aと外周水路83bとは、原動側フレーム20A側の端部において連通孔83cを介して連通されている。
コレクト胴6の周部には、円周方向に等角度おいて複数本の配管84が配置されており、この配管84の一端は、コレクト胴6の一方の端部において半径方向に延在する配管85を介して配管83の外周水路83bと連通されている。また配管84の他端は、コレクト胴6の他方の端部において半径方向に延在する配管86を介して配管81の外周水路81bと連通されている。
276はコレクト軸30の操作側フレーム20Bの端軸に設けられたロータリージョイントであって、配管81の中心水路83aに給水する給水部276aと配管81の外周水路81bから排水される排水部276bとを備えている。排水部276bから排水された水は温度センサ277によって温度が検出され、熱交換器278に送水され、熱交換器278により冷却される。冷却された水はヒータ279を介して、ロータリジョイント276の給水部276aに送水され、配管270の中心水路270aに給水される。
制御装置350は、熱交換器278によって冷却された水を加温する必要があると判断したときにヒータ279をONとする制御を行い、加温する必要がないと判断したときには熱交換器278で冷却された水がそのままの温度でヒータ279内を通過して給水部276aに送水される。したがって、ロータリージョイント276、温度センサ277、熱交換器278、ヒータ279、制御装置350が、コレクト胴6の内部に通水する第2の胴用通水装置90を構成している。
次に、図13を用いて凹版胴5の通水装置について説明する。凹版胴5の周部には、図13に示すように、のこぎり歯状の配管400が配置されており、この配管400の一端は、凹版胴5の操作側フレーム20B側の端部において半径方向に延在する配管401を介して配管402と連通されている。また配管400の他端は、コレクト胴6の原動側フレーム20A側の端部において半径方向に延在する配管403を介して配管404と連通されている。
276は凹版胴5の操作側フレーム20Bの端軸に設けられたロータリージョイントであって、配管404に給水する給水部276aと配管402から排水される排水部276bとを備えている。排水部276bから排水された水は温度センサ277によって温度が検出され、熱交換器278に送水され、熱交換器278により冷却される。冷却された水はヒータ279を介して、ロータリジョイント276の給水部276aに送水され、配管270の中心水路270aに給水される。
制御装置350は、熱交換器278によって冷却された水を加温する必要があると判断したときにヒータ279をONとする制御を行い、加温する必要がないと判断したときには熱交換器278で冷却された水がそのままの温度でヒータ279内を通過して給水部276aに送水される。したがって、ロータリージョイント276、温度センサ277、熱交換器278、ヒータ279、制御装置350が、コレクト胴6の内部に通水する第1の胴用通水装置410を構成している。
次に、図3および図8、図9を用いて、シャブロン胴のコレクト胴に対するシャブロン胴用胴着脱装置およびシャブロン胴用印圧調整装置について説明する。これらシャブロン胴用胴着脱装置およびシャブロン胴用印圧調整装置は、各シャブロン胴71ないし75に備えられているが、いずれも同じ構造を有しているので、ここではシャブロン胴71に備えられたシャブロン胴用胴着脱装置およびシャブロン胴用印圧調整装置についてのみ説明し、必要に応じて、他のシャブロン胴72ないし75に備えられたシャブロン胴用胴着脱装置およびシャブロン胴用印圧調整装置についても説明する。
先ず、第1シャブロン胴71に備えられた第1のシャブロン胴用胴着脱装置について説明する。シャブロン胴71には、図8および図9に示すように、原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとのそれぞれにシャブロン胴用着脱装置が備えられており、いずれも同じ構造を有しているので、ここでは第1のシャブロン胴用原動側着脱装置101Aについてのみ説明し、第1のシャブロン胴用操作側着脱装置101Bについては必要に応じて説明する。
シャブロン胴71は、図8および図9に示すように、左右の端軸111A,111Bが原動側フレーム20Aおよび操作側フレーム20Bのそれぞれに固定された軸受ハウジング112A,112Bに嵌合され、これら軸受ハウジング112A,112Bに回転自在に支持された偏心軸受113A,113Bを介して、原動側フレーム20Aおよび操作側フレーム20B間に回転自在に支持されている。
図8において、91Aはシリンダエンドがピン116Aを介して原動側フレーム20Aに枢支された第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダであって、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131A(図16参照)を駆動することにより、進退するロッド117Aを備えている。
118Aはシール部材119Aを介してボルト120によって偏心軸受113Aに固定されたレバーであって、偏心軸受113と一体的に回動する。このレバー118Aの周縁の一部には鍔121Aが設けられ、図3に示すように、この鍔121Aと円周方向における反対側の部位に、ピン122Aを介して第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91Aのロッド117Aの先端部が枢着されている。
このように構成されていることにより、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Aが駆動され、第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91Aのロッド117Aが前進すると、図3において、レバー118Aが反時計方向に回動する。この回動によって、偏心軸受113Aも反時計方向に回動し、偏心軸受113Aの偏心作用によって、第1シャブロン胴71がコレクト胴6から脱する。
一方、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Aが駆動され、第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91Aのロッド117Aが後退すると、図3において、レバー118Aが時計方向に回動する。この回動によって、偏心軸受113Aも時計方向に回動し、偏心軸受113Aの偏心作用によって、第1シャブロン胴71がコレクト胴6に着する。
したがって、これら第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91A、レバー118A、偏心軸受113A、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Aが、コレクト胴6に対して第1シャブロン胴71を着脱させる第1のシャブロン胴用原動側着脱装置101Aを構成している。
同様に、操作側フレーム20Bには、第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ91B、レバー118B、偏心軸受113、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Bが、コレクト胴6に対して第1シャブロン胴71を着脱させる第1のシャブロン胴用操作側着脱装置101Bが備えられている。
また、第2ないし第5シャブロン胴72ないし75の原動側フレーム20Aには、第2ないし第5のシャブロン胴用原動側着脱装置102Aないし105Aが備えられており、これら第2ないし第5のシャブロン胴用原動側着脱装置102Aないし105Aには、第2シャブロン胴着脱用原動側電磁弁132Aないし135Aの駆動により動作する第2のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ92Aないし95Aが設けられている。
また、第2ないし第5シャブロン胴72ないし75の操作側フレーム20Bには、第2ないし第5のシャブロン胴用操作側着脱装置102Bないし105B(いずれも図示せず)が備えられており、これら第2ないし第5のシャブロン胴用操作側着脱装置102Bないし105Bには、第2シャブロン胴着脱用操作側電磁弁132Bないし135Bの駆動により動作する第2のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ92Bないし95Bが設けられている。
次に、第1シャブロン胴71に備えられた第3の胴用印圧調整装置としてのシャブロン胴用印圧調整装置について説明する。シャブロン胴71には、図8および図9に示すように、原動側フレーム20Aと操作側フレーム20Bとのそれぞれにシャブロン胴用印圧調整装置が備えられているが、いずれも同じ構造を有しているので、ここではシャブロン胴用原動側印圧調整装置141Aについてのみ説明し、シャブロン胴用操作側印圧調整装置141Bについては必要に応じて説明する。
シャブロン胴用原動側印圧調整装置(第3の胴用印圧調整装置)141Aは、図8に示すように、第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aと、この第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aの駆動により回動するエキセンピン143Aと、第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aの駆動量を検出する第1シャブロン胴用原動側ポテンショメータ171Aとによって概ね構成されている。
このシャブロン胴用原動側印圧調整装置141Aは、各第2ないし第5シャブロン胴72ないし75の原動側フレーム20A側に備えられており、これら各第2ないし第5シャブロン胴72ないし75には、第2ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ162Aないし165A(図16参照)が設けられている。
エキセンピン143Aは、図8に示すように、原動側フレーム20Aとこの原動側フレーム20Aの外側において当該原動側フレーム20Aにスタッド(図示せず)を介して固定されたサブフレーム145Aとの間に軸線方向の移動を規制された状態で回転自在に支持されている。このエキセンピン143Aの一端部には偏心カム部144Aが設けられており、この偏心カム部144Aは、原動側フレーム20Aの貫通孔20aを貫通して原動側フレーム20Aの内側に臨んでいる。
この偏心カム部144Aには、シャブロン胴用原動側流体圧シリンダ115Aのロッド117Aが前進することにより、上記したレバー118Aの鍔121Aが当接し、図3に示すように反時計方向に回動するレバー118Aの回動を規制するストッパとして機能する。そして、後述するようにエキセンピン143Aを回動させると、鍔121Aに対する偏心カム部144Aの外周面の位置が変化することにより、レバー118Aの回動量が調整され、その結果、シャブロン胴71のコレクト胴6に対する印圧が調整されるように構成されている。
第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aはサブフレーム145Aに取り付けられており、出力軸に軸着されたモータギア146Aがエキセンピン143Aに軸着されたギア147Aに噛合している。モータギア146Aの回転は、ギア148A、軸149A、ギア150A、ギア151A、軸152A、ギア15Aを経て、サブフレーム145Aに固定された第1シャブロン胴用原動側ポテンショメータ171Aの被駆動軸に軸着されたギア154Aに伝達される。
このように構成されていることにより、第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bを一方向に駆動すると、エキセンピン143Aの係合部144Aは、図3中反時計方向に回動する。この回動によって、係合部144Aが係合している被係合突起121Aを介してレバー118Aが図中時計方向に回動するため、偏心軸受113Aも一体的に時計方向に回動することにより、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する印圧が高くなる調整が行われる。
一方、第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bを前記一方向と反対方向の他方向に駆動すると、エキセンピン143Aの係合部144Aは、図3中時計方向に回動する。この回動によって、係合部144Aが係合している被係合突起121Aを介してレバー118Aが図中反時計方向に回動するため、偏心軸受113Aも一体的に反時計方向に回動することにより、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する印圧が低くなる調整が行われる。
シャブロン胴用操作側印圧調整装置(第3の胴用印圧調整装置)141Bは、図9に示すように、第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bと、この第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bの駆動により回動するエキセンピン143Bと、第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bの駆動量を検出する第1シャブロン胴用操作側ポテンショメータ171Bとによって概ね構成されている。
このシャブロン胴用操作側印圧調整装置141Bは、各第2ないし第5シャブロン胴72ないし75の操作側フレーム20B側に備えられており、各第2ないし第5シャブロン胴72ないし75には、第2ないし第5シャブロン胴用操作側印圧調整モータ162Bないし165B(図16参照)が設けられている。このように、シャブロン胴用原動側印圧調整装置141Aおよびシャブロン胴用操作側印圧調整装置141Bを備えていることにより、シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する印圧調整を左右個別に行うことができるため、より一層高品質な印刷を行うための調整ができる。
次に、図2、図7、図10、図16を用いて、シャブロン胴の左右方向見当調整装置および天地方向見当調整装置について説明する。図7において、200はサブフレーム145Aに固定され、シャブロン胴71の軸線方向(矢印X−Y方向)の移動および軸線周りの回転が共に規制された固定スリーブであって、略円筒状に形成され、内周部と外周部とにねじ部200a,200bが形成されている。
201は円筒状に形成された第1の移動筒体であって、外周部に形成されたねじ部が固定スリーブ200のねじ部200aに螺合され、矢印X方向の端部に断面が多角形の嵌合凸部201aが設けられている。202は第1の移動筒体201の中空部に挿通された軸部材であって、中央部に鍔202aが設けられており、この鍔202aの矢印Y方向側には大径部202bが一体に形成されている。
203は左右方向見当用ギアであって、矢印B方向の端部には、第1の移動筒体201の嵌合凸部201aが嵌合する嵌合凹部203aが設けられている。このような構成において、ギア203の嵌合凹部203aと第1の移動筒体201の嵌合突部201aとを嵌合させた状態で、ナット204を軸部材202の矢印X方向の端部に螺合させ、左右方向見当用ギア203を介して第1の移動筒体201を軸部材202の鍔202aに押し付けることにより、ギア203および第1の移動筒体201は軸部材202に回転自在に支持され、かつ軸部材202は左右方向見当用ギア203および第1の移動筒体201を介して固定スリーブ200に矢印X−Y方向に移動自在に支持される。
205は略円筒状に形成された第2の移動筒体であって、内周部に形成されたねじ部が固定スリーブ200のねじ部200bに螺合され、外周部の一部にギア部205aが形成されているとともに段部205bが形成されている。この第2の移動筒体205は、後述する天地方向調整用モータの駆動により、固定スリーブ200のねじ部200bとのねじ作用によって、矢印X−Y方向に移動する。
206は略円筒状に形成された歯車保持体であって、リング部材210を介して、第2の移動筒体205の段部205bと第2の移動筒体205の矢印Y方向の端部に螺合させたナット部材207との間に、一対のスラストベアリング208,208によって、シャブロン胴71の端軸71aの軸線周りに回転自在かつ半径方向に移動自在に支持されている。
リング部材210の内周面と第2の移動筒体205の外周面との間には、上述した印圧調整等によって移動するシャブロン胴71の移動可能な隙間δ1が設けられている。また、スラストベアリング208を構成する一対の軌道板208a,208bのうち、リング部材210に固定された軌道板208aに転動体208cが固定されている。
こうすることにより、シャブロン胴71が印圧調整等により移動した場合にも、後述するようにシャブロン胴71と一体に回転するリング部材210の回転中心と転動体208cの回転中心がずれるようなことがなく一致した状態が保たれる。このため、転動体208cを構成している多数のコロ間において摩耗が偏ることなく均一に摩耗するようになり、この結果、スラストベアリング208の耐久性が向上する。
211はシャブロン胴71が対接するコレクト胴6のコレクトギア30aが噛合する、はすばギアであるシャブロンギアであって、歯車保持体206に固定されている。212はシャブロン胴71の端軸71aが固定された端軸保持体であって、歯車保持体206とスプライン213を介して連結されており、歯車保持体206と矢印X−Y方向の移動が許容され、かつ歯車保持体206と一体的に回転する。
この端軸保持体212は、リング部材214を介して、上記した軸部材202の鍔202aと大径部202bに螺合したナット部材215との間に、一対のスラストベアリング216,216によって、シャブロン胴71の端軸71aの軸線周りに回転自在かつ半径方向に移動自在に支持されている。リング部材214の内周面と大径部202bの外周面との間には、上述した印圧調整等によって移動するシャブロン胴71の移動可能な隙間δ1が設けられている。
また、スラストベアリング216を構成する一対の軌道板216a,216bのうち、リング部材214に固定された軌道板216aに転動体216cが固定されている。こうすることにより、シャブロン胴71が印圧調整等により移動した場合にも、後述するようにシャブロン胴71と一体に回転するリング部材214の回転中心と転動体216cの回転中心がずれるようなことがなく一致した状態が保たれる。このため、転動体216cを構成している多数のコロ間において摩耗が偏ることなく均一に摩耗するようになり、この結果、スラストベアリング216の耐久性が向上する。
図2において、220はサブフレーム145Aに固定されたシャブロン胴用左右方向見当調整用モータであって、出力軸にウォーム221が軸着されている。このウォーム221と噛合するウォームホィール222はサブフレーム145Aに回転自在に支持された軸223に軸着されており、この軸223には、上述した左右方向見当用ギア203に噛合するギア224が軸着されている。
このような構成において、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220を一方向に駆動すると、ウォーム221、ウォームホィール222、軸223、ギア224、左右方向見当用ギア203を介して、移動筒体201が回転する。したがって、固定スリーブ200のねじ部200aのねじ作用により、移動筒体201は矢印Y方向に移動し、軸部材202の鍔202a、スラストベアリング216、リング部材214、端軸保持体212を介して端軸71a(シャブロン胴71)が矢印Y方向に移動する。
一方、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220を前記一方向と反対方向の他方向に駆動すると、ウォーム221、ウォームホィール223、軸223、ギア224、左右方向見当用ギア203を介して、移動筒体201が回転する。したがって、固定スリーブ200のねじ部200aのねじ作用により、移動筒体201は矢印X方向に移動し、軸部材202の鍔202a、スラストベアリング216、リング部材214、端軸保持体212を介して端軸71a(シャブロン胴71)が矢印X方向に移動する。
図10において、226はシャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220の駆動量を検出するためにサブフレーム145Aに固定されたシャブロン胴用左右方向見当調整用ポテンショメータであって、被駆動軸に軸着されたギア227はギア203と噛合している。
このように、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220、ウォーム221、ウォームホィール223、左右方向見当用ギア203、第1の移動筒体201、固定スリーブ200、軸部材202、シャブロン胴用左右方向見当調整用ポテンショメータ226が、シャブロン胴71を軸線方向の左右に移動させるシャブロン胴左右方向見当調整装置230を構成している。
図2において、240はサブフレーム145Aに固定されたシャブロン胴用天地方向見当調整用モータであって、出力軸にウォーム241が軸着されている。このウォーム241と噛合するウォームホィール242はサブフレーム145Aに回転自在に支持された軸243に軸着されており、この軸243には、上述した第2の移動筒体205のギア205aに噛合するギア244が軸着されている。
このようの構成において、シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240を一方向に駆動すると、ウォーム241、ウォームホィール242、軸243、ギア244を介して、第2の移動筒体205が回転する。したがって、固定スリーブ200のねじ部202bのねじ作用により、第2の移動筒体205が矢印Y方向に移動し、一体的にシャブロンギア211も矢印Y方向に移動する。
シャブロンギア211と噛合しているコレクトギア30は回転が規制されているため、シャブロンギア211のはすば作用により、シャブロンギア211がわずかに一方向に回転する。このシャブロンギア211が回転することにより、スプライン213によって連結されている軸端保持体212を介して、端軸71aも回転するので、シャブロン胴71が一方向に回転し、シャブロン胴71の回転軸方向位置を調整することができる。
一方、シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240を一方向と反対方向の他方向に駆動すると、ウォーム241、ウォームホィール242、軸243、ギア244を介して、第2の移動筒体205が回転する。したがって、固定スリーブ200のねじ部202bのねじ作用により、第2の移動筒体205が矢印X方向に移動し、一体的にシャブロンギア211も矢印X方向に移動する。
シャブロンギア211と噛合しているコレクトギア30は回転が規制されているため、シャブロンギア211のはすば作用により、シャブロンギア211がわずかに一方向と反対方向の他方向に回転する。このシャブロンギア211が回転することにより、スプライン213によって連結されている軸端保持体212を介して、端軸71aも回転するので、シャブロン胴71が一方向と反対方向の他方向に回転し、シャブロン胴71の回転軸方向位置を調整することができる。
図10において、246はシャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240の駆動量を検出するためにサブフレーム145Aに固定されたシャブロン胴用天地方向見当調整用ポテンショメータであって、被駆動軸に軸着されたギア247は軸243に軸着されたギア248と噛合している。
したがって、シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240、ウォーム241、ウォームホィール242、第2の移動筒体205、固定スリーブ200、シャブロンギア211、シャブロン胴用天地方向見当調整用ポテンショメータ246が、シャブロン胴71の天地方向を調整するシャブロン胴用天地方向見当調整装置250を構成している。
このように、シャブロン胴用左右方向見当調整装置230およびシャブロン胴用天地方向見当調整装置250を、共にシャブロン胴71の原動側フレーム20A側に配置したことにより、操作側フレーム20B側に第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の内部に通水する後述する通水装置280を配置することが可能になる。このように、シャブロン胴71に通水装置280と天地方向見当装置250および左右方向見当装置230とを同時に備えているため、温度によって特性が大きく変わるインキでも安定した特性が得られるとともに、見当合わせができるため高品質な印刷を行うことができる。
以下、図11および図12を用いて、シャブロン胴用通水装置について説明する。図12に示すように、シャブロン胴71の操作側フレーム20B側の端軸71aには、同心円上に配置された中心水路270aおよび外周水路270bからなる配管270が配置されている。シャブロン胴71の中心部には、図11に示すように、配管270の中心水路270aに連通された一本の配管271が原動側フレーム20A側の端軸71aまで延設されている。
シャブロン胴71の周部には、軸線方向に沿って複数本の配管272が配置され、この配管272と配管271とは原動側フレーム20A側において、シャブロン胴7の中心から放射状に延びる配管273を介して連通されている。配管272と配管270の外周水路270bとは操作側フレーム20B側において、シャブロン胴7の中心から放射状に延びる配管274を介して連通されている。
図12において、276は操作側フレーム20Bの端軸71aに設けられたロータリージョイントであって、配管270の中心水路270aに給水する給水部276aと外周水路270bから排水される排水部276bとを備えている。排水部276bから排水された水は温度センサ277によって温度が検出され、熱交換器278に送水され、熱交換器278により冷却される。冷却された水はヒータ279を介して、ロータリジョイント276の給水部276aに送水され、配管270の中心水路270aに給水される。
制御装置350は、熱交換器278によって冷却された水を加温する必要があると判断したときにヒータ279をONとする制御を行い、加温する必要がないと判断したときには熱交換器278で冷却された水がそのままの温度でヒータ279内を通過して給水部276aに送水される。したがって、ロータリージョイント276、温度センサ277、熱交換器278、ヒータ279、制御装置350が、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の内部に通水する通水装置280を構成している。
次に、図14を用いて、シャブロン胴71に設けられた版万力装置について説明する。シャブロン胴71の外周部には、同図に示すように、胴軸方向に延在する切欠き290が設けられており、この切欠き290には、くわえ側版万力装置291および尻側版万力装置292が備えられている。くわえ側版万力装置291は、切欠き290の底部に固定されシャブロン胴72の軸線方向に延在する万力台294と、この万力台294のくわえ面294aに対接するくわえ面295aが形成され支持ピン296によって万力台294に揺動自在に支持された複数個のくわえ板295とによって構成されている。
くわえ板295は図示を省略した付勢手段によって常時くわえ面295aがくわえ面294aから離間する方向に付勢されており、くわえ板295と万力台294との間に設けられた版くわえカム軸297を回動操作することにより、くわえ面295aがくわえ面294aに圧接されるように構成されている。
尻側版万力装置292は、切欠き290の底部に図中左右方向に移動自在に支持されシャブロン胴72の軸線方向に延在する万力台301と、この万力台301のくわえ面301aに対接するくわえ面302aが形成され支持ピン303によって万力台301に揺動自在に支持された複数個のくわえ板302とによって構成されている。
くわえ板302は図示を省略した付勢手段によって常時くわえ面302aがくわえ面301aから離間する方向に付勢されており、くわえ板302と万力台301との間に設けられた版くわえカム軸304を回動操作することにより、くわえ面302aがくわえ面301aに圧接されるように構成されている。万力台301は図示を省略した付勢手段によって図中右方に付勢されており、万力台301と切欠き290の側壁との間に介装された版張りカム軸305を回動操作することにより左方に移動する。
版308はPS版に樹脂309が貼り付けられており、くわえ側端部308aがくわえ側版万力装置291の万力台294のくわえ面294aとくわえ板295のくわえ面295aとの間にくわえ、シャブロン胴71を略一回転させる。この状態で、尻側端部308bを、尻側版万力装置292の万力台301のくわえ面301aとくわえ板302のくわえ面302aとの間にくわえ、版張りカム軸305を回動操作し、万力台301を左方に移動させることにより版308をシャブロン胴71の外周面に密着させる。
なお、このシャブロン胴71に設けられた版万力装置は、図示を省略しているが、コレクト胴6および凹版胴5にも備えられており、コレクト胴6には、くわえ側版万力装置291および尻側版万力装置292が四対設けられ、凹版胴5には、くわえ側版万力装置291および尻側版万力装置292が三対設けられている。
次に、図15を用いて、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整を行った後に、各シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する印圧調整の方法について説明する。同図(A)は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整、すなわち、コレクト胴6と凹版胴5との互いの芯間調整量に対応した各シャブロン胴71ないし75の移動量を示したテーブルである。
ここに示されたテーブルは、コレクト胴と凹版胴との間の芯間調整量に対する各シャブロン胴の移動量が、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整後におけるシャブロン胴のコレクト胴に対する印圧と、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整前におけるシャブロン胴のコレクト胴に対する印圧とが同じとなるように、設定されている。
このように、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整の前と後とでシャブロン胴71ないし75の胴のコレクト胴6に対する印圧を変えずに、シャブロン胴71ないし75の胴のコレクト胴6に対する印圧調整を自動的に行えるため、面倒な調整作業が不要になるとともに、正確な調整を短時間で行うことができる。
同図(A)において、横軸の「0」は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整を行っていない状態のコレクト胴と凹版胴との間の芯間調整量を便宜上「0」で表記しており、コレクト胴と凹版胴との間の芯間調整を行ったとき、芯間調整量が多い場合は、この「0」を基準として(+)側で表し、コレクト胴と凹版胴との間の芯間調整量が少ない場合は、この「0」を基準として(−)側で表している。
縦軸の「0」は、横軸の「0」に対応したシャブロン胴の移動量を、便宜上「0」と表記し、この移動量「0」に対するシャブロン胴のコレクタ胴に対する印圧を、以下便宜上、基準印圧という。シャブロン胴の移動量を多くする場合は、この「0」を基準として(+)側で表し、シャブロン胴の移動量を小さくする場合は「0」を基準として(−)側で表している。
コレクト胴の凹版胴に対する印圧を低くする場合は、コレクト胴と凹版胴との間の芯間を大きくする調整を行う。この場合、シャブロン胴の移動量を基準印圧に対して大きくする調整を行う。これに対し、コレクト胴の凹版胴に対する印圧を高くする場合は、コレクト胴と凹版胴との間の芯間を小さくする調整をする。この場合、シャブロン胴の移動量を基準印圧に対して小さくする調整を行う。
このテーブルは、上述したように、コレクト胴の凹版胴に対する印圧調整を行う前におけるシャブロン胴のコレクト胴に対する印圧と、コレクト胴の凹版胴に対する印圧調整を行った後におけるシャブロン胴のコレクト胴に対する印圧とが同じになるように、または同じに保たれるように、あるいは反映されるようになっている。
例えば、コレクト胴と凹版胴との芯間調整値を「G」とした場合、各シャブロン胴71ないし75の移動量は「AないしE」となる調整が行われる。この「AないしE」の移動調整が行われた各第1ないし第5シャブロン胴のコレクタ胴に対する印圧は、コレクト胴と凹版胴との芯間を調整する前の値「0」に対応した各シャブロン胴71ないし75のコレクタ胴に対する印圧と同じになる。
同図(B)は、予め、シャブロン胴の移動量「0」におけるシャブロン胴のコレクト胴に対する基準印圧に±ΔIなる許容範囲を設けた場合である。この場合は、コレクト胴の凹版胴に対する印圧調整後に対応して、調整されたシャブロン胴のコレクト胴に対する印圧に、この許容範囲と同じΔIを加算および減算する補正を行う。例えば、コレクト胴と凹版胴との芯間調整値を「G」とした場合、この「G」に対応した第2シャブロン胴のコレクタ胴に対する印圧「B」に、±ΔIの補正値が加味される。
すなわち、シャブロン胴のコレクタ胴に対する調整印圧「B」よりも低くする場合、シャブロン胴の移動量を加算する補正を行い、調整印圧「B」よりも「ΔI」だけ低い印圧とする。一方、シャブロン胴のコレクタ胴に対する調整印圧「B」よりも高くする場合、シャブロン胴の移動量を減算する補正を行い、調整印圧「B」よりも「ΔI」だけ高い印圧とする。
次に、図16を用いて、本発明に係る印刷機の制御方法について説明する。同図において、321Aはコレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aを駆動するためのコレクト胴用原動側印圧調整ボタンである。321Bはコレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bを駆動するためのコレクト胴用操作側印圧調整ボタンである。
331Aないし335Aは第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aないし165Aのそれぞれを駆動する第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタンである。341は本機の位相を検出するロータリーエンコーダである。
符号350で示す制御装置は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、コレクト胴着脱用原動側電磁弁34Aおよびコレクト胴着脱用操作側電磁弁34Bを同時に駆動させ、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36Aおよびコレクト胴着脱用操作側流体圧シリンダ36Bの各ロッド38A,38Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、コレクト胴6が凹版胴5に着または脱する。
また、制御装置350は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、第1シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Aおよび第1シャブロン胴着脱用操作側電磁弁131Bを同時に駆動させ、第1のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91Aおよび第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ91Bの各ロッド117A,117Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、第1シャブロン胴71がコレクト胴6に対して着または脱する。
また、制御装置350は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、第2シャブロン胴着脱用原動側電磁弁132Aおよび第2シャブロン胴着脱用操作側電磁弁132Bを同時に駆動させ、第2のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ92Aおよび第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ92Bの各ロッド117A,117Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、第2シャブロン胴72がコレクト胴6に対して着または脱する。
また、制御装置350は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、第3シャブロン胴着脱用原動側電磁弁133Aおよび第2シャブロン胴着脱用操作側電磁弁133Bを同時に駆動させ、第3のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ93Aおよび第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ93Bの各ロッド117A,117Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、第3シャブロン胴73がコレクト胴6に対して着または脱する。
また、制御装置350は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、第4シャブロン胴着脱用原動側電磁弁134Aおよび第2シャブロン胴着脱用操作側電磁弁134Bを同時に駆動させ、第4のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ94Aおよび第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ94Bの各ロッド117A,117Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、第4シャブロン胴74がコレクト胴6に対して着または脱する。
また、制御装置350は、ロータリーエンコーダ341によって検出した所定のタイミングで、第5シャブロン胴着脱用原動側電磁弁135Aおよび第2シャブロン胴着脱用操作側電磁弁135Bを同時に駆動させ、第5のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ95Aおよび第1のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ95Bの各ロッド117A,117Bを前進または後退させる制御を行う。この制御によって、第5シャブロン胴75がコレクト胴6に対して着または脱する。
また、制御装置350は、コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321AがONされると、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aを駆動させ、コレクト胴6の凹版胴5に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、コレクト胴用操作側印圧調整ボタン321BがONされると、コレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bを駆動させ、コレクト胴6の凹版胴5に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第1シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331AがONされると、第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aを駆動させ、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第1シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン331BがONされると、第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bを駆動させ、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第2シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン332AがONされると、第2シャブロン胴用原動側印圧調整モータ162Aを駆動させ、第2シャブロン胴72のコレクト胴6に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第2シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン332BがONされると、第2シャブロン胴用操作側印圧調整モータ162Bを駆動させ、第2シャブロン胴72のコレクト胴6に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第3シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン333AがONされると、第3シャブロン胴用原動側印圧調整モータ163Aを駆動させ、第3シャブロン胴73のコレクト胴6に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第3シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン333BがONされると、第3シャブロン胴用操作側印圧調整モータ163Bを駆動させ、第3シャブロン胴73のコレクト胴6に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第4シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン334AがONされると、第4シャブロン胴用原動側印圧調整モータ164Aを駆動させ、第4シャブロン胴74のコレクト胴6に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第4シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン334BがONされると、第4シャブロン胴用操作側印圧調整モータ164Bを駆動させ、第4シャブロン胴74のコレクト胴6に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン335AがONされると、第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ165Aを駆動させ、第5シャブロン胴75のコレクト胴6に対する原動側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、第5シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン335BがONされると、第5シャブロン胴用操作側印圧調整モータ165Bを駆動させ、第5シャブロン胴75のコレクト胴6に対する操作側の印圧を調整する制御を行う。
また、制御装置350は、コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321AがONされるとともに、第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331Aないし335Aのうちの少なくともいずれか一つがONされると、コレクト胴用原動側ポテンショメータ58Aによって検出されたコレクト胴用原動側印圧調整用モータ56Aの駆動量に基づき、コレクト胴6と凹版胴5との間の芯間調整量を算出し、図15(A)のテーブルに基づき、上記した第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331Aないし335Aのうちの少なくともいずれか一つに対応した第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aないし165Aの駆動量を制御する。
すなわち、第1シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331AのみがONされた場合は、算出されたコレクト胴6と凹版胴5との間の芯間調整量が、同図に示すように「G」である場合は、第1シャブロン胴71の移動量が「A」となるように、第1シャブロン胴用原動側ポテンショメータ171Aの検出による第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aの駆動量に基づき、当該第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aの駆動を制御する。
したがって、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第1シャブロン胴71の移動量)が制御される。
また、制御装置350は、上記のように、コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321AがONされるとともに、第1シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331AがONされ、かつ第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する印圧に補正を加える必要がある場合は、第1シャブロン胴71の調整された移動量に補正値を加算または減算する制御を行う。
例えば、第2シャブロン胴72のコレクト胴に対する基準印圧に、同図(B)に示すように、±ΔIなる許容範囲を設ける場合は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整後に対応して、調整された第2シャブロン胴72のコレクト胴6に対する印圧に、この許容範囲と同じΔIを加算および減算する補正を行う制御を行う。
すなわち、コレクト胴6と凹版胴5との芯間調整値を「G」とした場合、この「G」に対応した第2シャブロン胴72のコレクタ胴6に対する印圧「B」に、±ΔIの補正値を加味する制御を行う。この制御は、第2シャブロン胴72のコレクタ胴6に対する調整印圧「B」よりも低くする場合、第2シャブロン胴72の移動量を加算する補正を行い、調整印圧「B」よりも「ΔI」だけ低い印圧とする。一方、第2シャブロン胴72のコレクタ胴6に対する調整印圧「B」よりも高くする場合、第2シャブロン胴72の移動量を減算する補正を行い、調整印圧「B」よりも「ΔI」だけ高い印圧とする。
次に、このように構成された印刷機における印刷動作について説明する。予め、給紙装置3には試刷り用の紙2が積載されている。この状態で、印刷動作を開始すると、ロータリーエンコーダ341によって検出された所定のタイミングで、コレクト胴着脱用原動側電磁弁34Aおよびコレクト胴着脱用操作側電磁弁34Bが同時に駆動され、コレクト胴着脱用原動側流体圧シリンダ36Aおよびコレクト胴着脱用操作側流体圧シリンダ36Bの各ロッド38A,38Bが前進し、コレクト胴6が凹版胴5に着する。
また、ロータリーエンコーダ341によって検出された所定のタイミングで、第1ないし第5シャブロン胴着脱用原動側電磁弁131Aないし135Aおよび第1ないし第5シャブロン胴着脱用操作側電磁弁131Bないし135Bが同時に駆動され、第1ないし第5のシャブロン胴用原動側流体圧シリンダ91Aないし95Aおよび第1ないし第5のシャブロン胴用操作側流体圧シリンダ91Bないし95Bの各ロッド117A,117Bが前進し、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75がコレクト胴6に対して着する。
ここで、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧および第1ないし第5シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する印圧を調整する場合は、コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321A、コレクト胴用操作側印圧調整ボタン321Bおよび第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331Aないし335A、第1ないし第5シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン331Bないし335BをONする。
コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321AがONされると、コレクト胴用原動側印圧調整モータ56Aが駆動され、コレクト胴6の凹版胴5に対する原動側の印圧が調整される。コレクト胴用操作側印圧調整ボタン321BがONされると、コレクト胴用操作側印圧調整モータ56Bが駆動され、コレクト胴6の凹版胴5に対する操作側の印圧が調整される。
また、第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331Aないし335AがONされると、第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aないし165Aが駆動され、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する原動側の印圧が調整される。
同時に、第1ないし第5シャブロン胴用操作側印圧調整ボタン331Bないし335BがONされると、第1ないし第5シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bないし165Bが駆動され、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する操作側の印圧が調整される。
ここで、コレクト胴用原動側印圧調整ボタン321AがONされるとともに、第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整ボタン331Aないし335AがONされると、コレクト胴用原動側ポテンショメータ58Aによって検出されたコレクト胴用原動側印圧調整用モータ56Aの駆動量に基づき、コレクト胴6と凹版胴5との間の芯間調整量を算出し、図15(A)のテーブルに基づき、第1ないし第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aないし165Aの駆動量を制御する。
すなわち、算出されたコレクト胴6と凹版胴5との間の芯間調整量が、同図に示すように「G」である場合は、第1シャブロン胴71の移動量が「A」となるように、第1シャブロン胴用原動側ポテンショメータ171Aおよび第1シャブロン胴用操作側ポテンショメータ171Bの検出による第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aおよび第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bの駆動量に基づき、当該第1シャブロン胴用原動側印圧調整モータ161Aおよび第1シャブロン胴用操作側印圧調整モータ161Bの駆動が制御される。
したがって、第1シャブロン胴71のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第1シャブロン胴71の移動量)が制御される。
同時に、第2シャブロン胴72の移動量が「B」となるように、第2シャブロン胴用原動側ポテンショメータ172Aおよび第2シャブロン胴用操作側ポテンショメータ172Bの検出による第2シャブロン胴用原動側印圧調整モータ162Aおよび第2シャブロン胴用操作側印圧調整モータ162Bの駆動量に基づき、当該第2シャブロン胴用原動側印圧調整モータ162Aおよび第2シャブロン胴用操作側印圧調整モータ162Bの駆動が制御される。
したがって、第2シャブロン胴72のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第2シャブロン胴72の移動量)が制御される。
同時に、第3シャブロン胴73の移動量が「C」となるように、第3シャブロン胴用原動側ポテンショメータ173Aおよび第3シャブロン胴用操作側ポテンショメータ173Bの検出による第3シャブロン胴用原動側印圧調整モータ163Aおよび第3シャブロン胴用操作側印圧調整モータ163Bの駆動量に基づき、当該第3シャブロン胴用原動側印圧調整モータ163Aおよび第3シャブロン胴用操作側印圧調整モータ163Bの駆動が制御される。
したがって、第3シャブロン胴73のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第3シャブロン胴73の移動量)が制御される。
同時に、第4シャブロン胴74の移動量が「D」となるように、第4シャブロン胴用原動側ポテンショメータ174Aおよび第4シャブロン胴用操作側ポテンショメータ174Bの検出による第4シャブロン胴用原動側印圧調整モータ164Aおよび第4シャブロン胴用操作側印圧調整モータ164Bの駆動量に基づき、当該第4シャブロン胴用原動側印圧調整モータ164Aおよび第4シャブロン胴用操作側印圧調整モータ164Bの駆動が制御される。
したがって、第4シャブロン胴74のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第4シャブロン胴74の移動量)が制御される。
同時に、第5シャブロン胴75の移動量が「E」となるように、第5シャブロン胴用原動側ポテンショメータ175Aおよび第5シャブロン胴用操作側ポテンショメータ175Bの検出による第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ165Aおよび第5シャブロン胴用操作側印圧調整モータ165Bの駆動量に基づき、当該第5シャブロン胴用原動側印圧調整モータ165Aおよび第5シャブロン胴用操作側印圧調整モータ165Bの駆動が制御される。
したがって、第5シャブロン胴75のコレクト胴6に対する原動側の印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるように調整量(第5シャブロン胴75の移動量)が制御される。
このように、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整が行われると、自動的にシャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する印圧が調整されるとともに、シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する調整された印圧は、コレクト胴6の凹版胴5に対する印圧を調整する前と後とで同じとなるため、面倒な印圧調整が不要になるからオペレータの負担が軽減される。
ここで、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の左右方向の見当調整および天地方向の見当調整が必要な場合は、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220およびシャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240を駆動させる。すなわち、予め、制御装置350にシャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220の駆動量を設定しておき、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220を駆動する。
このシャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220が一方向に駆動されると、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75が矢印Y方向に移動し、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220が前記一方向と反対方向の他方向に駆動されると、第1ないし第5シャブロン胴71が矢印X方向に移動する。
シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220の駆動量がシャブロン胴用左右方向見当調整用ポテンショメータ226によって検出され、検出量と制御装置350に設定された設定値とが一致すると、シャブロン胴用左右方向見当調整用モータ220の駆動が停止し、第1ないし第5シャブロン胴71の左右方向の見当調整が終了する。
また、予め、制御装置350にシャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240の駆動量を設定しておき、シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240を駆動する。シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240が一方向に駆動されると、第1ないし第5シャブロン胴71が一方向に回転する。シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240が前記一方向と反対方向の他方向に駆動されると、第1ないし第5シャブロン胴71が前記一方向と反対方向の他方向に回転する。
シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240の駆動量がシャブロン胴用天地方向見当調整用ポテンショメータ246によって検出され、検出量と制御装置350に設定された設定値とが一致すると、シャブロン胴用天地方向見当調整用モータ240の駆動が停止し、第1ないし第5シャブロン胴71の天地方向の見当調整が終了する。
このようなコレクト胴6の凹版胴5に対する印圧調整および第1ないし第5シャブロン胴71ないし75のコレクト胴6に対する印圧調整ならびに第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の左右方向見当調整、天地方向見当調整が終了したら、給紙装置3に試刷り用の紙2に替えて本刷りの紙2を積載し、本刷りを開始する。
試刷り用の紙2によって印刷動作を開始すると同時に、凹版胴5、コレクト胴6、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の内部への通水を開始する。すなわち、図13において、ロータリージョイント276の給水部276aから配管404に給水する。給水された水が配管400,403を通ることにより、凹版胴5の内部への通水が行われ、配管402を介して排水部276bから排水される。
同時に、コレクタ胴6の内部への通水を開始する。すなわち、図4において、ロータリージョイント88の給水部88aから配管81の中心水路81aに給水する。給水された水は、配管82,83,85,84,86を通ることにより、コレクタ胴6および凹版胴5(凹版胴5は図示を省略)の内部への通水が行われ、配管81の外周水路81bを介してロータリージョイント88の排水部88bから排水される。
同時に、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の内部への通水を開始する。すなわち、図12において、ロータリージョイント276の給水部276aから配管270の中心水路270aに給水する。給水された水は、配管271,273,272,274を通ることにより、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75の内部への通水が行われ、配管270の外周水路270bを介してロータリージョイント276の排水部276bから排水される。
この通水によって、インキ装置25から第1ないし第5シャブロン胴71ないし75に供給されるインキが、コレクタ胴6を経て、凹版胴5と圧胴4との間を通過する紙2に転写されるときに最適な状態となるように、制御装置350では、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75、コレクタ胴6、凹版胴5の表面の温度を制御する。
すなわち、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75、コレクタ胴6、凹版胴5から排出された水の温度を温度センサ277によって検出し、この検出された温度に基づき、制御装置350は、ヒータ279をONさせ、ロータリージョイント276の給水部276aに送る水を所定の温度に加温するように制御する。ここで、第1ないし第5シャブロン胴71ないし75、コレクタ胴6、凹版胴5の各胴の表面の温度を、それぞれT1,T2,T3とすると、制御装置350では、T1<T2<T3となるように制御している。