JP5876305B2 - 溶接条件設定方法及び溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接条件設定方法及び溶接方法に関する。詳しくは、複数の被溶接板材を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、複数の被溶接板材を接合する際の溶接条件設定方法及び溶接方法に関する。
従来、複数の被溶接板材を重ね、一定の加圧力の下で溶接電流を流し、複数の被溶接板材を接合する抵抗溶接の溶接条件を設定する溶接条件設定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された装置では、所定の溶接強度以上での溶接時におけるスパッタの発生を防止する条件から定まる関係に従い、各被溶接板材の板厚と材質に基づいて、溶接電流、通電時間及び加圧力といった溶接条件を設定する。
詳しくは、この装置では、各被溶接板材の板厚に依存する板厚依存電流値及び各被溶接板材の材質に依存する材質依存電流値をそれぞれ算出し、算出された板厚依存電流値と材質依存電流値とに基づいて所定の溶接強度以上での溶接時におけるスパッタの発生防止の条件を具備する設定溶接電流を算出する。また同様に、板厚依存通電時間と材質依存通電時間とに基づいて設定通電時間を算出し、板厚依存加圧力と材質依存加圧力とに基づいて設定加圧力を算出する。
特開2003−145280号公報
ここで、特許文献1に開示された装置などのように溶接条件を設定する場合であって、特にスポット溶接において溶接を安定させるためには、通電時間及び電流値を適切に設定する必要がある。
スポット溶接では、様々な環境下での実施が想定されるため、被溶接板材の総板厚から導出された通電時間に基づき、規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接品質の保証が可能な、例えば1kA以上などの電流管理幅が確保できる範囲内における最大電流値を導出して溶接条件を満たす通電時間及び電流値を設定していた。
しかしながら、従来のスポット溶接の溶接条件として導出される通電時間及び電流値は、一定の導出方法により固定されていたため、より短い通電時間が導出できない問題や、加工作業が冗長となり、過剰設備投資、消費エネルギーロス及び量産加工条件との乖離などの問題が発生していた。
本発明は上記問題を解決するもので、その目的は、より適切な溶接条件を設定し、より短い通電時間で十分な接合強度を有する安定したスポット溶接を実現する溶接条件設定方法及び溶接方法を提供することにある。
(1)複数の被溶接板材(例えば、後述の被溶接板材W1,W2)を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、前記複数の被溶接板材を接合する際の溶接条件設定方法であって、所定の通電時間(例えば、後述の仮通電時間T1)において所定値以上のナゲット径及び所定値以上の接合強度を満たす溶接が可能であり且つスパッタ発生限界よりも低い第1の電流値(例えば、後述の第1電流値Ie1)を導出するステップ(例えば、後述のステップS2)と、前記所定の通電時間において所定値以上のナゲット径及び所定値以上の接合強度を満たす溶接が可能な、前記第1の電流値に対し第1の電流管理幅(例えば、後述の第1電流管理幅)の分だけ電流値を低下させた第2の電流値(例えば、後述の第2電流値Ie2)を導出するステップ(例えば、後述のステップS4)と、前記所定の通電時間及び前記第1の電流値に対応した、ナゲットの溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えスパッタを発生させない限界条件を示すコロナボンド限界曲線を設定するステップ(例えば、後述のステップS6)と、前記所定の通電時間及び前記第2の電流値に対応した、所定値以上のナゲット径となるナゲットを形成するための限界条件を示すナゲット形成限界曲線を設定するステップ(例えば、後述のステップS7)と、前記コロナボンド限界曲線を上限とし、前記ナゲット形成限界曲線を下限とし、それらの間で前記第1の電流管理幅以下の第2の電流管理幅(例えば、後述の第2電流管理幅)を確保する最小の通電時間(例えば、後述の通電時間TA)及びそのときの電流値(例えば、後述の電流値IeA1,IeA2)を溶接最適条件として設定するステップ(例えば、後述のステップS8)と、を含むことを特徴とする溶接条件設定方法。
(1)の発明によると、溶接品質を満足する領域内となるコロナボンド限界曲線の上限とナゲット形成限界曲線の下限との間で従来用いていた第1の電流管理幅以下の、第2の電流管理幅を確保する最小の通電時間及びそのときの電流値を溶接最適条件として設定できる。これによって、より適切な溶接条件として溶接品質を満足する最小の通電時間を設定でき、より短い通電時間で十分な接合強度を有する安定したスポット溶接を実現できる。このため、実施するスポット溶接で手短に加工作業を行え、過剰設備投資、消費エネルギーロス及び量産加工条件との乖離などの問題が抑制される。
ここで溶接最適条件の電流値は、コロナボンド限界曲線の上限以下であるので、その電流値を通電すると、ナゲットの溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えきれスパッタを発生させない。
また溶接最適条件の電流値は、ナゲット形成限界曲線の下限以上であるので、その電流値を通電すると、所定値以上のナゲット径となるナゲットの形成が確保できる。
(2)(1)に記載の溶接条件設定方法で前記溶接最適条件を設定するステップ(例えば、後述のステップS1〜S8)と、設定された前記溶接最適条件に基づき、複数の被溶接板材を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、前記複数の被溶接板材を接合するステップ(例えば、後述のステップS9)と、を含むことを特徴とする溶接方法。
(2)の発明によると、溶接品質を満足する領域内となるコロナボンド限界曲線の上限とナゲット形成限界曲線の下限との間で従来用いていた第1の電流管理幅以下の、第2の電流管理幅を確保する最小の通電時間及びそのときの電流値を設定した溶接最適条件に基づき溶接できるので、より適切な溶接条件が設定でき、通電時間が短くなって加工作業が手短に行え、スポット溶接が安定する。
本発明によれば、より適切な溶接条件を設定でき、より短い通電時間で十分な接合強度を有する安定したスポット溶接を実現できる。
本発明の一実施形態に係る溶接条件設定方法及び溶接方法を実行するための溶接システムの概略構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係るスポット溶接の実行状態を示す模式図である。 上記実施形態に係る所定の通電時間に対応する溶接電流と接合強度及びナゲット径との関係のマップを示す図である。 上記実施形態に係る通電時間と電流値との関係において溶接品質を満足する領域を示す図である。 上記実施形態に係るナゲット(コロナ)とコロナボンドを示す図である。 上記実施形態に係る溶接システムにおける溶接条件設定方法及び溶接方法を示すフローチャートである。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る溶接条件設定方法及び溶接方法を実行するための溶接システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示す溶接システム1は、溶接条件設定装置2と、スポット溶接装置3と、を備える。
溶接条件設定装置2は、複数の被溶接板材を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、複数の被溶接板材を接合する際の溶接条件設定方法により溶接最適条件を求める装置である。
図2は、本実施形態に係るスポット溶接の実行状態を示す模式図である。スポット溶接装置3は、溶接条件設定装置2により設定された溶接最適条件に基づき、図2に示すように、複数の被溶接板材W1,W2を重ね、重ねた複数の被溶接板材W1,W2を2つの電極31,32で挟み込み、電極31,32間に所定の加圧力をかけその下で電極31,32間に溶接電流を流し、複数の被溶接板材W1,W2を接合する抵抗溶接(スポット溶接)を行う装置である。ここで、本実施形態では複数の被溶接板材の数を2枚の被溶接板材W1,W2で例示するが、本発明としては複数の被溶接板材の数は3枚以上の被溶接板材からなるものであってもよい。
図1に示す溶接条件設定装置2は、コンピュータ及びその周辺装置によって実現される。溶接条件設定装置2における各機能は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びにハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
上記ハードウェアには、CPUなどにより構成される制御部の他、記憶部、通信部、表示部及び入力部が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリやハードディスクドライブなどが挙げられる。通信部としては、例えば、各種有線及び無線インターフェース装置が挙げられる。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの各種ディスプレイが挙げられる。入力部としては、例えば、キーボードやマウスなどが挙げられる。
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するプログラムやデータが含まれる。プログラムやデータは、記憶部により記憶され、制御部により適宜実行、参照される。また、プログラムやデータは、通信回線を介して配布したり、CD−ROMなどのコンピュータ可読媒体に記録して配布したりすることもできる。
図1に溶接条件設定装置2の機能構成を示す。すなわち、溶接条件設定装置2の制御部は、受付部21と、第1電流値導出部22と、熱量維持曲線設定部23と、第2電流値導出部24と、管理幅下限条件熱量維持曲線設定部25と、コロナボンド限界曲線設定部26と、ナゲット形成限界曲線設定部27と、溶接最適条件設定部28と、を備える。
溶接条件設定装置2とスポット溶接装置3は、通信回線4を介して双方向に通信可能に接続されている。
受付部21は、スポット溶接装置3によりスポット溶接を行う複数の被溶接板材W1,W2に関する、各被溶接板材W1,W2の板厚、各被溶接板材W1,W2の材質、複数の被溶接板材W1,W2の合わせ枚数などの情報の入力をオペレータから受け付ける。
第1電流値導出部22は、次に示すように導出される仮通電時間T1において規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接が可能であり且つスパッタ発生限界よりも低い第1電流値Ie1を導出する。
第1電流値導出部22は、まず、受付部21が受け付けた入力情報に基づく複数の被溶接板材W1,W2の総板厚TH(総板厚TH=被溶接板材W1の板厚TH1+被溶接板材W2の板厚TH2)から仮通電時間T1を、例えば、仮通電時間T1=第1所定値C1×総板厚TH+第2所定値C2のような一義的な相関をもつ式により導出する。
図3は、本実施形態に係る所定の通電時間に対応する溶接電流と接合強度及びナゲット径との関係のマップを示す図である。図3のマップは、横軸に溶接電流値を示し、縦軸左側にその電流値における接合強度を、縦軸右側にその電流値におけるナゲット径を、それぞれ示す。白丸点及び白抜きバツ点はナゲット径と電流値との関係を示すプロットであり、白丸点はスパッタの発生無しの場合であり、白抜きバツ点はスパッタ発生有りの場合である。また黒丸点及び黒抜きバツ点は接合強度と電流値との関係を示すプロットであり、黒丸点はスパッタの発生無しの場合であり、黒抜きバツ点はスパッタ発生有りの場合である。また、図3のマップには、ナゲット径の規定値及び接合強度の規定値がそれぞれ示されている。
なお、図3のマップは、想定される仮通電時間T1の値の範囲内の複数の値のそれぞれに対応して複数個だけ記憶部に記憶されている。これらの複数のマップは、想定される仮通電時間T1の値の範囲内の複数の値のそれぞれの通電時間に対して、その通電時間の間だけ通電させる電流値を低い側から高い側へ順に可変させて(又は電流値を高い側から低い側へ順に可変させて)、それぞれの電流値におけるナゲット径及び接合強度に関する実験結果をプロットしたものである。実験結果を示すプロットでは、スパッタ発生の有無を区別している。
第1電流値導出部22は、記憶されている複数のマップの中から導出された仮通電時間T1に対応するマップを取り出し、導出された仮通電時間T1の通電に対して規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接が可能であり且つスパッタ発生限界よりも低い最大の電流値として、仮通電時間T1に対する第1電流値Ie1を導出する。
すなわち、図3に示す通り、規定値以上のナゲット径(白丸点)及び規定値以上の接合強度(黒丸点)であり、スパッタ発生有り(白抜きバツ点及び黒抜きバツ点)に移行する直前の最大電流値を、仮通電時間T1に対する第1電流値Ie1とする。
図4は、本実施形態に係る通電時間と電流値との関係において溶接品質を満足する領域を示す図であり、横軸に通電時間を示し、縦軸に電流値を示す。
第1電流値導出部22は、溶接条件設定装置2の制御部によって仮想平面上に形成された図4の通電時間と電流値との関係図に、導出された仮通電時間T1及びその仮通電時間T1に対応するマップから求められた第1電流値Ie1を描写する。これにより、図4の通電時間と電流値との関係図に、まず第1導出条件点がプロットされる。
熱量維持曲線設定部23は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第1電流値Ie1(すなわち、第1導出条件点)において発生する熱量と同一の熱量を発生させる熱量維持曲線を設定する。
具体的には、まず熱量Q=電流値i×電流値i×抵抗値R×通電時間tのスポット溶接入力熱量式に基づき、√(熱量Q/抵抗値R)を一定値Xとおき、電流値i=X×(1/√(通電時間t))の式を導く。この電流値i=X×(1/√(通電時間t))の式による特性曲線が仮通電時間T1及び第1電流値Ie1の交点(すなわち、第1導出条件点)を通るようにして、熱量維持曲線を導出する。
熱量維持曲線設定部23は、図4の通電時間と電流値との関係図に、熱量維持曲線を描写する。
第2電流値導出部24は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1において規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接が可能な、第1電流値Ie1に対し第1電流管理幅分だけ電流値を低下させた第2電流値Ie2を求める。
ここで第1電流管理幅は、予め、図3のマップ(第1電流値導出部22で用いたものと同じマップ)を用いて、導出された仮通電時間T1の通電に対して規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度の両方の条件を満たす溶接が可能である最小の電流値を求め、第1電流値Ie1との差分から計算されている。ここで、第1電流管理幅は、1kAを超える値になるように設定されている。
すなわち、図3に示す通り、規定値以上のナゲット径(白丸点)及び規定値以上の接合強度(黒丸点)である最小電流値を、仮通電時間T1に対する第2電流値Ie2としている。
第2電流値導出部24は、図4の通電時間と電流値との関係図に、導出された仮通電時間T1に対応する第2電流値Ie2を描写する。これにより、図4の通電時間と電流値との関係図に、管理幅下限点がプロットされる。
管理幅下限条件熱量維持曲線設定部25は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第2電流値導出部24により導出された第2電流値Ie2(すなわち、管理幅下限点)において発生する熱量と同一の熱量を発生させる管理幅下限条件熱量維持曲線を設定する。
具体的には、まず熱量Q=電流値i×電流値i×抵抗値R×通電時間tのスポット溶接入力熱量式に基づき、√(熱量Q/抵抗値R)を一定値Xとおき、電流値i=X×(1/√(通電時間t))の式を導く。この電流値i=X×(1/√(通電時間t))の式による特性曲線が仮通電時間T1及び第2電流値Ie2の交点(すなわち、管理幅下限点)を通るようにして、管理幅下限条件熱量維持曲線を導出する。
管理幅下限条件熱量維持曲線設定部25は、図4の通電時間と電流値との関係図に、管理幅下限条件熱量維持曲線を描写する。
コロナボンド限界曲線設定部26は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第1電流値Ie1の交点(すなわち、第1導出条件点)を通り、ナゲット(コロナ)の溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えスパッタを発生させない限界条件を示すコロナボンド限界曲線を設定する。
図5は、本実施形態に係るナゲット(コロナ)とコロナボンドを示す図である。図5のように、ナゲット(コロナ)Nには、溶接電流によってナゲットNの溶融部が急激に成長すると外側を向く圧力Fがかかり、その圧力Fはナゲット(コロナ)Nの溶融部の周囲のコロナボンドBというシーリング部によって抑え込まれる。しかし熱量又は通電時間が更に増加しその圧力FがコロナボンドBで抑えきれなくなると、スパッタが発生する。スパッタが発生しないコロナボンドの限界を定めるコロナボンド限界曲線は、電流値及び通電時間を変化させた実験や検証などのデータに基づいて導出して設定されている。
このコロナボンド限界曲線は、スパッタが発生しない最大電流値である第1電流値Ie1及び仮通電時間T1の交点をプロットした第1導出条件点を通り、熱量維持曲線よりも通電時間による変動が緩やかである。このため、コロナボンド限界曲線は、図4の通電時間と電流値との関係図において、熱量維持曲線に対し、仮通電時間T1を境界に通電時間が仮通電時間T1より短い領域では下側に位置し、通電時間が仮通電時間T1より長い領域では上側に位置する。
コロナボンド限界曲線設定部26は、図4の通電時間と電流値との関係図に、コロナボンド限界曲線を描写する。
ナゲット形成限界曲線設定部27は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第2電流値導出部24により導出された第2電流値Ie2の交点(すなわち、管理幅下限点)を通り、規定値以上のナゲット径となるナゲットを形成するための限界条件を示すナゲット形成限界曲線を設定する。
ナゲット形成限界曲線は、コロナボンド限界曲線と同様に、電流値及び通電時間を変化させた実験や検証などのデータに基づいて導出されて設定される。このナゲット形成限界曲線は、規定値以上のナゲット径を満たす最小電流値である第2電流値Ie2及び仮通電時間T1をプロットした管理幅下限点を通り、管理幅下限条件熱量維持曲線よりも通電時間による変動が急である。このため、ナゲット形成限界曲線は、図4の通電時間と電流値との関係図において、管理幅下限条件熱量維持曲線に対し、仮通電時間T1を境界に通電時間が仮通電時間T1より短い領域では上側に位置し、通電時間が仮通電時間T1より長い領域では下側に位置する。
ナゲット形成限界曲線設定部27は、図4の通電時間と電流値との関係図に、ナゲット形成限界曲線を描写する。
これにより、図4の通電時間と電流値との関係図には、熱量維持曲線、管理幅下限条件熱量維持曲線、コロナボンド限界曲線及びナゲット形成限界曲線で囲まれた溶接品質満足領域が形成される。すなわち、溶接品質満足領域とは、その領域内の任意の通電時間及び電流値をスポット溶接装置3に設定すれば、スポット溶接の溶接品質を満足する領域である。
溶接最適条件設定部28は、仮通電時間T1より短い通電時間において溶接品質を満足する領域の境界となるコロナボンド限界曲線を上限とし、同じく境界となるナゲット形成限界曲線を下限とし、それらの間で第1電流管理幅以下の、第2電流管理幅を確保する最小の通電時間及びそのときの電流値を溶接最適条件として設定する。ここで、第2電流管理幅は、1kAの値に設定されている。
具体的には、図4の通電時間と電流値との関係図において、コロナボンド限界曲線の上限とナゲット形成限界曲線の下限との間の電流値の幅が、ちょうど1kAとなる通電時間と、そのときの最大及び最小の電流値とをそれぞれ求める。そして求められた通電時間及び電流値を、溶接最適条件の通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2とする。
溶接最適条件設定部28は、図4の通電時間と電流値との関係図に、溶接最適条件の通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2を描写する。
そして、溶接最適条件設定部28は、溶接最適条件設定部28によって導出された溶接最適条件の通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2をスポット溶接装置3に送信し、スポット溶接装置3に溶接最適条件の通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2が設定される。
スポット溶接装置3は、溶接条件設定装置2により設定された溶接最適条件である、通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2に基づき、スポット溶接を行う。すなわち、複数の被溶接板材W1,W2を重ね、重ねた複数の被溶接板材W1,W2を2つの電極31,32で挟み込み、電極31,32間に所定の加圧力をかけその下で電極31,32間に通電時間を通電時間TAとし、電流値を電流値IeA1〜IeA2の範囲からスポット溶接を行う環境条件に応じて適宜選択される電流値の溶接電流を流し、複数の被溶接板材W1,W2を接合する。
図6は、本実施形態に係る溶接システム1における溶接条件設定方法及び溶接方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、受付部21は、入力部を介してスポット溶接装置3によりスポット溶接を行う複数の被溶接板材W1,W2に関する、各被溶接板材W1,W2の板厚、各被溶接板材W1,W2の材質、複数の被溶接板材W1,W2の合わせ枚数などの情報の入力を受け付ける。
ステップS2において、第1電流値導出部22は、複数の被溶接板材W1,W2の総板厚THから導出される仮通電時間T1に対応する規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接が可能であり且つスパッタ発生限界よりも低い最大電流値である第1電流値Ie1を導出する。この際、複数の被溶接板材W1,W2の総板厚THから一義的な相関をもつ式により仮通電時間T1を導出する。
ステップS3において、熱量維持曲線設定部23は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第1電流値Ie1において発生する熱量と同一の熱量を発生させる熱量維持曲線を設定する。
ステップS4において、第2電流値導出部24は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1に対応する規定値以上のナゲット径及び規定値以上の接合強度を満たす溶接が可能な、第1電流値Ie1に対し第1電流管理幅(1kA超)分の電流値を低下させた第2電流値Ie2を導出する。
ステップS5において、管理幅下限条件熱量維持曲線設定部25は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第2電流値導出部24により導出された第2電流値Ie2において発生する熱量と同一の熱量を発生させる管理幅下限条件熱量維持曲線を設定する。
ステップS6において、コロナボンド限界曲線設定部26は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第1電流値Ie1の交点(すなわち、第1導出条件点)を通り、ナゲット(コロナ)の溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えスパッタを発生させない限界条件を示すコロナボンド限界曲線を設定する。
ステップS7において、ナゲット形成限界曲線設定部27は、第1電流値導出部22により導出された仮通電時間T1及び第2電流値導出部24により導出された第2電流値Ie2の交点(すなわち、管理幅下限点)を通り、規定値以上のナゲット径となるナゲットを形成するための限界条件を示すナゲット形成限界曲線を設定する。
ステップS8において、溶接最適条件設定部28は、コロナボンド限界曲線を上限とし、ナゲット形成限界曲線を下限とし、それらの間で第1電流管理幅以下の、第2電流管理幅(1kA)を確保する最小の通電時間TA及びそのときの電流値IeA1,IeA2を溶接最適条件として設定する。
ステップS9において、スポット溶接装置3は、溶接条件設定装置2により設定された溶接最適条件である、通電時間TA及び電流値IeA1,IeA2に基づき、図2に示すようにスポット溶接を行う。
以上の本実施形態に係る溶接システムによれば、以下の効果を奏する。
(1)溶接品質を満足する領域内となるコロナボンド限界曲線の上限とナゲット形成限界曲線の下限との間で従来用いていた第1電流管理幅(1kA超)以下の、第2電流管理幅(1kA)を取れる最小の通電時間TA及びそのときの電流値IeA1,IeA2を溶接最適条件として設定できる。これによって、より適切な溶接条件として溶接品質を満足する最小の通電時間を設定でき、より短い通電時間で十分な接合強度を有する安定したスポット溶接を実現できる。このため、実施するスポット溶接で手短に加工作業を行え、過剰設備投資、消費エネルギーロス及び量産加工条件との乖離などの問題が抑制される。
ここで溶接最適条件の電流値IeA1〜IeA2は、コロナボンド限界曲線の上限以下であるので、その電流値を通電すると、ナゲットの溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えきれスパッタを発生させない。
また溶接最適条件の電流値IeA1〜IeA2は、ナゲット形成限界曲線の下限以上であるので、その電流値を通電すると、所定値以上のナゲット径となるナゲットの形成が確保できる。
(2)溶接品質を満足する領域内となるコロナボンド限界曲線の上限とナゲット形成限界曲線の下限との間で従来用いていた第1電流管理幅(1kA超)以下の、第2電流管理幅(1kA)を確保する最小の通電時間TA及びそのときの電流値IeA1,IeA2を設定した溶接最適条件に基づき溶接できるので、より適切な溶接条件が設定でき、通電時間が短くなって加工作業が手短に行え、スポット溶接が安定する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に包含される。
上記実施形態では、溶接条件設定装置とスポット溶接装置が通信回線を介して接続されていた。しかしこれに限られない。溶接条件設定装置とスポット溶接装置が一体化したものであってもよい。また、溶接条件設定装置が複数のスポット溶接装置を管轄するものでもよい。
1…溶接システム
2…溶接条件設定装置
21…受付部
22…第1電流値導出部
23…熱量維持曲線設定部
24…第2電流値導出部
25…管理幅下限条件熱量維持曲線設定部
26…コロナボンド限界曲線設定部
27…ナゲット形成限界曲線設定部
28…溶接最適条件設定部
3…スポット溶接装置
31,32…電極
4…通信回線

Claims (2)

  1. 複数の被溶接板材を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、前記複数の被溶接板材を接合する際の溶接条件設定方法であって、
    所定の通電時間において所定値以上のナゲット径及び所定値以上の接合強度を満たす溶接が可能であり且つスパッタ発生限界よりも低い第1の電流値を導出するステップと、
    前記所定の通電時間において所定値以上のナゲット径及び所定値以上の接合強度を満たす溶接が可能な、前記第1の電流値に対し第1の電流管理幅の分だけ電流値を低下させた第2の電流値を導出するステップと、
    前記所定の通電時間及び前記第1の電流値に対応した、ナゲットの溶融部の急激な成長をその周囲のシーリング部によって抑えスパッタを発生させない限界条件を示すコロナボンド限界曲線を設定するステップと、
    前記所定の通電時間及び前記第2の電流値に対応した、所定値以上のナゲット径となるナゲットを形成するための限界条件を示すナゲット形成限界曲線を設定するステップと、
    前記コロナボンド限界曲線を上限とし、前記ナゲット形成限界曲線を下限とし、それらの間で前記第1の電流管理幅以下の第2の電流管理幅を取れる最小の通電時間及びそのときの電流値を溶接最適条件として設定するステップと、を含むことを特徴とする溶接条件設定方法。
  2. 請求項1に記載の溶接条件設定方法で前記溶接最適条件を設定するステップと、
    設定された前記溶接最適条件に基づき、複数の被溶接板材を重ね、所定の加圧力の下で溶接電流を流し、前記複数の被溶接板材を接合するステップと、を含むことを特徴とする溶接方法。
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