JP5876263B2 - 筒状構造物の施工方法 - Google Patents
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Description
一方、このような過酷な放射線状況下で作業員が作業可能な時間は限られており、また目的地点(例えばメルトダウンした原子炉など)への往復移動の時間等も考慮すると、安全性を確保しつつ、作業時間を十分に確保することは難しい。
しかしながら、放射線状況下で筒状構造物を延設していく設置時においては、その構成部材の運搬や組立(連結)の際、該筒状構造物の通路内部が外部に開放されることから、該通路内部に放射性物質が入り込むおそれがあり、形成される通路の安全性が十分に確保できるとは言えない。
すなわち、本発明は、外部に放射線が放出されている原子力施設において、内部が通路とされた筒状をなし、通路の延在方向に複数の筒状体が連結されてなる筒状構造物の施工方法であって、前記筒状体のうち、少なくとも一の筒状体における前記延在方向の両端部を、取り外し可能な防護壁で閉塞するように覆い、前記一の筒状体の前記延在方向の端部を、他の筒状体の前記延在方向の端部に接近配置した状態で、前記防護壁を取り外し、これら筒状体の通路同士を連通させ、前記延在方向に隣り合う前記筒状体同士を、前記通路の内部から連結することを特徴とする。
このような周壁を用いることによって、該周壁を通して外部から通路内部に到達する放射線を防止することができるが、その一方で、複数の筒状体同士を連結して筒状構造物を延設していく設置時においては、従来では、その運搬や組立の際に筒状体の内部に放射性物質が入り込むおそれがあり、安全性を確保することが難しかった。
尚、本明細書で言う防止とは、抑制を含む概念であり、以下同様である。
このように、筒状構造物の設置時における通路内部の安全性が確保されるから、形成された通路内部を通行し作業を行う作業員の安全性を確保でき、これにより復旧作業を効率よく行うことができるのである。
前記延在方向に隣り合う前記筒状体同士を連結するに際し、前記筒状体は外層と内層を備えていると共に前記外層と内層における延在方向の両端部を予め封止しておき、
前記外層内に内層を挿入して、前記外層に形成されたフランジ部同士と前記内層に形成されたフランジ部同士をそれぞれ連結することで前記筒状体を増設するようにしたことを特徴とする。
これにより、前述した効果を、建屋外部のみならず、より過酷な放射線状況下にある建屋内部においても得ることができ、復旧作業の作業性及び安全性をより高めることができる。
通路ユニットとは、内部の通路を作業員や車両が通行する目的で用いられるものである。
また、作業ユニットとは、クレーン等の揚重機、マジックハンド、上下するショベル、削岩ドリル等の各種作業機械が設けられたり、作業員が放射能汚染物質(汚染水など)を排除する作業や、溶接作業、散水作業、がれき処理作業等を行う目的で用いられるものである。尚、作業ユニットは、作業員が通路内部で作業を行う作業場や、通路外部に出て作業を行う場合の退避所としても用いられる。
また、操作ユニットとは、各種作業機械を用いて作業する場合に、その操作を作業員が通路内部から行う目的で用いられるものである。尚、この場合、各種作業機械は、前記作業ユニット内のみならず、筒状構造物の外部に設置されていても構わない。
また、放射線量モニタリングユニットとは、筒状構造物の外部及び内部の少なくともいずれかで検出された各種放射線の線量を監視する目的で用いられるものである。
また、ポンプユニットとは、筒状構造物の周壁に水を含む層が設けられる場合に、この層に給水、排水を行ったり、復旧作業に液体を使用する場合に該液体を供給する目的で用いられるものであり、ポンプ等の液体送出手段を備えている。
また、給電ユニットとは、筒状構造物の内部や外部における照明、作業に必要な機械及び装置等に電力を供給する目的で用いられるものである。
また、搬入ユニットとは、筒状構造物の内部に、該筒状構造物を延設するための小型の筒状体を搬入したり、資材を搬入する目的で用いられるものである。
また、出入口ユニットとは、筒状構造物に作業員が出入りしたり、資材を出し入れする目的で用いられるものである。
尚、1つの筒状体に対して、上記した各ユニットの機能が複数備えられていても構わない。
図1に示されるように、本実施形態の筒状構造物1は、大規模な地震や津波などの自然災害やテロ攻撃によって多大な損傷を受けたことにより、外部に放射線を放出する事故が起きた原子力発電所等の原子力施設Nに設置されて、復旧作業に使用されるものである。
尚、本明細書で言う復旧作業とは、事故発生直後の緊急措置的な作業のみならず、例えば、廃炉のための恒久的な作業をも含んでいる。また、メルトダウンした核燃料を取り出すのに用いられるクレーンユニット等の大型機械を、原子炉近傍に設置するための作業等も含まれる。
尚、ここで言う放射線とは、アルファ線、ベータ線、中性子線などの粒子線や、ガンマ線、X線などの電磁波を含む各種放射線を指しており、放射線遮蔽性を有するとは、これら放射線のうち少なくとも1つ以上の放射線を遮蔽する性質を有していることを指す。
また、筒状構造物1は、通路の延在方向に複数の筒状体が連結された構成とされている。
尚、筒状体10の周壁11として、鋼の層の代わりに、アルミニウム層や鉛の層などの金属層、コンクリート層、プラスチックや合成樹脂からなる高分子材料層を用いても構わない。この場合、上記した各材料に対応する大口径の管材を用いることができる。
また、筒状体10の外周面には、該筒状体10をクレーン等で吊り上げるためのアイプレート等の吊り上げ手段(不図示)が設けられている。
尚、脚部12、移動手段13及び吊り上げ手段は、筒状体10に配設されていなくても構わない。
このような角筒状の筒状体10として、周壁に所望の放射線遮蔽性を備えたコンクリート製のボックスカルバートや、鋼鉄製の船舶用コンテナ等を用いることができ、この場合、製造費用を削減できることから、好ましい。
図4に示されるように、筒状構造物1において、通路の延在方向に隣り合う筒状体10同士は、通路の内部及び外部のいずれかから連結されている。図示の例では、隣接する筒状体10同士が、通路の内部から連結されている。
また、それ以外の連結構造として、例えば、隣り合う筒状体10の端部同士が通路の延在方向に嵌合される構造(スリーブ継手構造、差し込み継手構造)を用いてもよい。
防護壁26は、例えばアクリル板、ビニル板、鉄板等からなり、筒状体10の周壁11の断面形状に対応する形状に形成されている。図示の例では、筒状体10の周壁11が断面四角形状に形成されており、これに対応して、防護壁26は四角形板状に形成されている。
このように、本実施形態においては、筒状体10の前記延在方向の両端部は、一対の防護壁26により閉塞されている。尚、防護壁26は、筒状体10の両端部を閉塞するように覆っていればよく、例えば、該防護壁26に逆止弁構造が設けられるとともに、筒状体10内の圧力が高まった際に、該逆止弁構造を通して通路内の空気を外部に逃がすことができるように形成されていても構わない。
尚、筒状体10同士を接近又は当接配置させる手段については、前述した吊り上げ手段及びクレーン等の揚重機を用いたり、移動手段13やジャッキを用いることができる。
本実施形態では、前述の構成により、筒状体10の内部へ放射性物質が入り込むことを防止できるが、さらに、後述するように筒状体10として空気調整ユニットを備えているので、筒状体10同士の連結作業において、仮に通路内に少量の放射性物質が入り込み放射能汚染されるようなことがあっても、汚染除去及びリーク試験を行って安全性を確保できるようになっている。
第1内層34aは、鉛の層(金属層)で形成されており、第2内層34bは、鉄(鋼)の層(金属層)で形成されている。尚、第1内層34aとして、鉛の層の代わりに、黒鉛層を用いてもよい。このような第1内層34aとして、鉛、黒鉛等からなるブロック材や板材を用いることができる。
そして、水を含む層33は、この隙間に配設されたスポンジ、ウレタン等の水を浸み込みやすい性質を有する多孔性部材に、水(ここで言う水とは、例えば、真水(軽水)、重水及びホウ素水等の放射線(特に中性子線)を遮蔽する性質を有するものを指しており、後述する筒状体40の水も同様である)を含ませたものを、ビニル材で覆って構成されている。尚、水を含む層33のうち、外層32のコンクリート層と当接する領域については、ビニル材を配設しなくても構わない。また、水を含む層33として、水を含ませた多孔性部材を用いる代わりに、水を含むゲル部材等を用いてもよい。
また、外層32は、内層34と同様に、厚さ方向に複数の層が積層された構成であってもよい。また、筒状体30は、円筒状に形成されていてもよい。
また、通路の延在方向に隣り合う筒状体30同士の連結構造については、前述した筒状体10と同様の連結構造を用いることができる。
そして、外層42と内層44との間に形成された隙間に、前記水が液密に充填されることによって、水を含む層43が形成されている。
筒状体40の周壁41の厚さ、及び、該周壁41を構成する外層42、水を含む層43及び内層44の各層の厚さは、外部の放射線量に応じて設定される。
また、符号47で示されるものは、水を含む層43の水を通路の内部に取り出し処理した後、再び水を含む層43に戻すための循環管である。すなわち、この筒状構造物1は、水を含む層43の水を循環させる循環構造を備えている。
尚、各筒状体40において、外層42と内層44との隙間における前記延在方向の両端部を予め封止し、該隙間を液密に構成するとともに、前述した筒状体10と同様の連結構造を用いても構わない。この場合、水封入口46、流出管48及び流入管49は、各筒状体40にそれぞれ設けられることが好ましい。
また、筒状体40において、水を含む層43の代わりに、外層42と内層44との隙間に、溶融した鉛等の金属を注入するとともに該金属を固化させて、固体中間層を形成してもよい。この場合も、循環管47、流出管48及び流入管49は不要である。
また、作業ユニットとは、クレーン等の揚重機、マジックハンド、上下するショベル、削岩ドリル等の各種作業機械が設けられたり、作業員Pが放射能汚染物質(汚染水など)を排除する作業や、溶接作業、散水作業、がれき処理作業等を行う目的で用いられるものである。尚、作業ユニットは、作業員Pが通路内部で作業を行う作業場や、通路外部に出て作業を行う場合の退避所としても用いられる。
また、操作ユニットとは、各種作業機械を用いて作業する場合に、その操作を作業員Pが通路内部から行う目的で用いられるものである。尚、この場合、各種作業機械は、前記作業ユニット内のみならず、筒状構造物1の外部に設置されていても構わない。
また、放射線量モニタリングユニットとは、筒状構造物1の外部及び内部の少なくともいずれかで検出された各種放射線の線量を監視する目的で用いられるものである。
また、ポンプユニットとは、筒状構造物1の周壁に水を含む層が設けられる場合に、この層に給水、排水を行ったり、復旧作業に液体を使用する場合に該液体を供給する目的で用いられるものである。
また、給電ユニットとは、筒状構造物1の内部や外部における照明、作業に必要な機械及び装置等に電力を供給する目的で用いられるものである。
また、搬入ユニットとは、筒状構造物1の内部に、該筒状構造物1を延設するための小型の筒状体を搬入したり、資材を搬入する目的で用いられるものである。
また、出入口ユニットとは、筒状構造物1に作業員Pが出入りしたり、資材を出し入れする目的で用いられるものである。
尚、1つの筒状体に対して、上記した各ユニットの機能が複数備えられていても構わない。
以下の説明では、筒状構造物1の通路の延在方向のうち、目的地点側を先端側と言い、目的地点とは反対側を基端側と言うことがある。
また、搬入ユニット71において、筒状体の周壁における天壁部には、該筒状体内に収容可能な大きさとされた小型の筒状体72を搬入可能な搬入口73が形成されている。小型の筒状体72は、例えばその周壁がアルミニウム層からなり、クレーンユニット70のクレーンに吊り上げられて、搬入口73から筒状構造物1の通路内に搬入される。尚、搬入口73は、筒状体72の搬入作業時以外は、カバー部材等により開閉可能に閉塞されていることが好ましい。
また、連結・繰り出しユニット75と、搬入ユニット71との間には、互いの通路同士を連通可能に遮蔽するシート材74が設けられている。
尚、図11において説明した各ユニットは、前述した機能を有するのみならず、各ユニット内を作業員Pや車両等が通行可能であるから、通路ユニットとしての機能をも兼ね備えている。これについては、後述する筒状構造物1の他の例についても同様である。
尚、符号103で示されるものは、筒状構造物1の各ユニットの車輪又はコロ13を上面に載置して移動させるレール又は鋼板である。
尚、給気側フィルタユニット190、排気側フィルタユニット200、換気機械室ユニット210の連結されたユニットは、原子炉建屋RB、タービン建屋TB、その他に換気(清浄な空気)を供給したり、これらRB、TB等の建屋内の空気を循環・浄化する設備として使用することができる。
また、搬入・出入口ユニット180は、周壁の天壁部に開口する搬入口73と、周壁の側壁部に開口する出入口(不図示)とを備えている。
排気側フィルタユニット200は、エア排気ダクト143に連結されるチャコールフィルタやHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ等の高性能フィルタ・チャンバー201を備えている。
換気機械室ユニット210は、メークアップエア取入口211と、換気用ブロア装置212とを備えている。
液体バルブステーションユニット220は、液体バルブステーション221を備えている。
尚、給気側フィルタユニット190、排気側フィルタユニット200、換気機械室ユニット210及び液体バルブステーションユニット220の各周壁における天壁部には、ユニット内に機器を搬入するための搬入口が設けられており、ユニット内の密閉が必要な場合には、該搬入口にはハッチが取り付けられる。
ユーティリティユニット240において、符号241はケーブルジャンクションボックス、符号242は取り外し可能な出入ハッチを示している。
図示の例では、建屋内に散乱するがれき等の障害物280を、筒状構造物1の先端側の端部に配置されたトロリークレーンユニット(作業ユニット)290及びマジックハンドユニット(作業ユニット)300により取り除きつつ、筒状構造物1を延設するようにしている。
尚、マジックハンド301の代わりに、障害物280をかきわけることが可能な剛性のある鉄製等の長い棒状部材を用いてもよい。また、マジックハンド駆動操作装置302の代わりに、鉛含有素材からなる手袋を用いてもよい。
筒状構造物1を延設して行われる作業の中には、この溶接作業のように、ユニットの一部を外部に開口せざるを得ない作業が考えられる。
溶接ユニット310は、その基端側(図16における左側)に離間して配置される他のユニットと、筒状体の周壁の構造を備えたパイプ320を介して連結されている。
シャワーユニット330において、符号331は通路の延在方向に伸縮可能なシャワー管、符号332は分配管、符号333はシャワー口、符号334はキャスターを示している。
このような周壁を用いることによって、該周壁を通して外部から通路内部に到達する放射線を防止することができるが、その一方で、複数の筒状体同士を連結して筒状構造物1を延設していく設置時においては、従来では、その運搬や組立の際に筒状体の内部に放射性物質が入り込むおそれがあり、安全性を確保することが難しかった。
尚、前述したように、他の筒状体の端部にも防護壁26を設けた場合には、該他の筒状体と一の筒状体との連結作業時における通路内部への放射性物質の進入をより確実に防止でき、好ましい。
すなわち、この筒状構造物1が設置される箇所のうち、例えば、過酷な放射線状況下にある目的地点付近においては、筒状構造物1の周壁として、放射線のうちアルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線及び中性子線などのほぼすべてを遮蔽可能なコンクリート層や水を含む層(好ましくは、例えば軽水、重水又はホウ素水を含む層)を設けることによって、通路内の作業員Pの被爆を防止でき、安全性を確保できる。
すなわち、例えば、筒状体を設置する箇所における外部の放射線量が高い場合や、作業員Pの安全性をより確保したい場合には、筒状体同士の連結を通路の内部から行うことで、この連結作業を行う作業員Pの被爆を防止できる。また、筒状体を設置する箇所における外部の放射線量が低い場合などには、筒状体同士の連結を通路の外部から行うことで、連結作業をより迅速に行うことができる。
すなわち、周壁31、41が、水を含む層(好ましくは、例えば軽水、重水又はホウ素水を含む層)33、43を備えているので、放射線のうちアルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線及び中性子線などのほぼすべてを遮蔽することができる。さらに、この周壁31、41には、水を含む層33、43を厚さ方向から挟む一対の防護層(外層32、42及び内層34、44)が形成されているので、前述のように放射線遮蔽性が高く確保された水を含む層33、43を、これら防護層32、34、42、44が安定して形状維持しつつ、当該防護層自体も放射線遮蔽性を有しているから、周壁全体としての放射線遮蔽性が十分に高められている。よって、通路内の作業員Pの被爆を防止でき、安全性を確保できる。
また、図9を用いて説明した周壁41の構造によれば、例えば再臨界状態の核燃料から大量に放射される中性子線を、水を含む層43が確実に防護しつつ、該水を含む層43と、鋼の層からなる防護層42、44とがガンマ線を確実に防護して、通路内の作業員Pの被爆を防止できる。
すなわち、例えば、筒状構造物1が設置される箇所が過酷な放射線状況下にある場合に、周壁41において厚さ方向の外側に配置される防護層42を通して水を含む層43に達した放射線により、水が放射化されて、放射線遮蔽性能が低下する可能性がある。本実施形態によれば、このような水を循環させて適宜処理(交換又は清浄化)することができ、これにより、水を含む層43ひいては周壁41全体の放射線遮蔽性能を安定して確保することができる。
すなわち、この場合、筒状構造物1を延設する際、大型の筒状体75の通路内部を通して、該大型の筒状体75の通路の延在方向の端部から、小型の筒状体72を送り出すことができるので、放射線量の高い通路の外部に作業員Pが出るようなことなく、筒状体を延設することができる。また、この構成によれば、例えば、クレーン等の揚重機を設けることのできない建屋内部などにおいても、安全性を確保しつつ、筒状体を目的地点に向けて延設できる。
すなわち、筒状体として、設置する箇所や用途に応じた機能を有するユニットを適宜用いることによって、復旧作業をより効率よく安全に行うことができる。
例えば、前述の実施形態では、筒状構造物1が地上に設置されることとしたが、これに限定されるものではなく、筒状構造物1は、地中に設置されていてもよい。この場合、下記の作用効果が得られる。
尚、開削トンネル工法を用いる場合は、図6における右側が筒状構造物1の延設方向の先端側となるとともに、防護壁26を装着した状態の新たな前記一の筒状体10が、筒状構造物1の先端側の端部に連設される。また、推進・牽引工法を用いる場合は、図6における左側がシールド掘削機の前進方向となるとともに、防護壁26を装着した状態の新たな前記一の筒状体10が、発進立坑内から筒状構造物1の基端側(図6における右側)の端部に連設される。
また、原子力施設Nの地下水の放射能汚染を防止する目的で、この筒状構造物1の通路内に地下水の流路を形成することとしてもよい。
具体的に、前記水分保持手段として、例えば通路の内部から周壁の外部へ向けて液体を放出する液体放出管を用いることができる。液体放出管は、周壁を厚さ方向に貫通して設けられ、内部に液体窒素や水ガラス(ケイ酸アルカリガラスの水溶液)等の液体が流通されるとともに、該液体を周壁周囲の地中に放出可能とされる。そして、この液体放出管により、周壁の外部へ向けて、例えば液体窒素を放出して地中の水分を凍結させたり、水ガラスを放出して地中に水分を保持させることにより、該周壁まわりの地中における放射線遮蔽性を高めることができる。これにより、筒状構造物1の周壁の放射線遮蔽性のみならず、該周壁の外部の地中における放射線遮蔽性をも安定して確保でき、通路内の安全性がより向上する。
尚、液体窒素を用いる場合には、筒状構造物1の周壁周囲のみならず、その延設方向の先端側の地中にも液体窒素を放出することにより、土壌や岩盤が凍結して、掘削をより効率よく安全に行うことができる。
また、水分保持手段として、前記液体放出管を用いる代わりに、例えば周壁の壁内に流路を形成するとともに、その一部を周壁外部に向けて開口したり、周壁の外面に管材を沿わせるように設けるとともに、通路の延在方向に間隔をあけて複数開口したりしてもよい。
10、30、40 筒状体
26 防護壁
70 クレーンユニット(作業ユニット)
71 搬入ユニット
75 連結・繰り出しユニット(作業ユニット)
90 デリッククレーンユニット(作業ユニット)
110 隔離ユニット
120 クレーン操作ユニット(操作ユニット、放射線量モニタリングユニット)
140 出入口ユニット
150 除染ユニット
160 通路ユニット
180 搬入・出入口ユニット(搬入ユニット、出入口ユニット)
190 給気側フィルタユニット(空気調整ユニット)
200 排気側フィルタユニット(空気調整ユニット)
210 換気機械室ユニット(空気調整ユニット)
230 電気室ユニット(給電ユニット)
260 大型建設用クレーンユニット(作業ユニット)
290 トロリークレーンユニット(作業ユニット)
300 マジックハンドユニット(作業ユニット)
310 溶接ユニット(作業ユニット)
330 シャワーユニット(作業ユニット)
O 開口部
RB 原子炉建屋(建屋)
TB タービン建屋(建屋)
Claims (4)
- 外部に放射線が放出されている原子力施設において、内部が通路とされた筒状をなし、通路の延在方向に複数の筒状体が連結されてなる筒状構造物の施工方法であって、
前記筒状体のうち、少なくとも一の筒状体における前記延在方向の両端部を、取り外し可能な防護壁で閉塞するように覆い、
前記一の筒状体の前記延在方向の端部を、他の筒状体の前記延在方向の端部に接近配置した状態で、前記防護壁を取り外し、これら筒状体の通路同士を連通させ、
前記延在方向に隣り合う前記筒状体同士を、前記通路の内部から連結することを特徴とする筒状構造物の施工方法。 - 外部に放射線が放出されている原子力施設において、内部が通路とされた筒状をなし、通路の延在方向に複数の筒状体が連結されてなる筒状構造物の施工方法であって、
前記延在方向に隣り合う前記筒状体同士を連結するに際し、前記筒状体は外層と内層を備えていると共に前記外層と内層における延在方向の両端部を予め封止しておき、
前記外層内に内層を挿入して、前記外層に形成されたフランジ部同士と前記内層に形成されたフランジ部同士をそれぞれ連結することで前記筒状体を増設するようにしたことを特徴とする筒状構造物の施工方法。 - 請求項1又は2に記載の筒状構造物の施工方法であって、
前記筒状体同士を、建屋の壁部を貫通する開口部を通して、該建屋の外部と内部とで連結することを特徴とする筒状構造物の施工方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の筒状構造物の施工方法であって、
前記筒状体として、通路ユニット、作業ユニット、操作ユニット、隔離ユニット、放射線量モニタリングユニット、空気調整ユニット、ポンプユニット、給電ユニット、除染ユニット、搬入ユニット及び出入口ユニットのうち少なくとも1つ以上のユニットを設けることを特徴とする筒状構造物の施工方法。
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