JP5876028B2 - 搬送チェーン用の摺動部材 - Google Patents
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Description
この構成によれば、アラミドレジンの含有率は1質量%以上かつ5質量%未満の範囲内にあり、PTFE樹脂の含有率は1質量%以上かつ5質量%以下の範囲内にあり、かつ両者の含有率の差が2質量%以内にあるので、高い耐摩耗性および低摩擦性を有する搬送チェーン用の摺動部材が得られる。PTFE樹脂の含有率が高くなり過ぎると、摩擦抵抗が高くなり易くなって摩擦熱に起因する耐摩耗性の低下を招き易くなるが、両添加物の差が2質量%以内なので、PTFE樹脂の過多による耐摩耗性の低下を抑制しつつ適度な含有率のアラミドレジンにより耐摩耗性の向上を実現し易くなる。よって、耐摩耗性と低摩擦性との両方の効果の高い搬送チェーン用の摺動部材を取得できる。
図1〜図3に示すように、搬送チェーン11は、一例としてトップチェーンにより構成される。搬送チェーン11は、複数のチェーンリンク15と、複数のチェーンリンク15を隣合うもの同士が互いに回動可能な状態に連結する複数のピン16とを備えている。本実施形態のチェーンリンク15およびピン16は、共に摺動する部分を有する合成樹脂からなり、摺動部材の一例をそれぞれ構成する。
樹脂組成物は、高粘度のポリアセタール(POM)樹脂(アセタールホモポリマー)と、中粘度のポリアセタール樹脂(アセタールホモポリマー)とを混合し、高中粘度としたポリアセタール樹脂からなるベース樹脂と、このベース樹脂中に添加された耐摩耗剤と固体潤滑剤とを含有する。耐摩耗剤としては、アラミドレジン、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維およびウィスカーからなる群から選択された少なくとも一種を用いることができる。ここで、アラミド繊維とは、2mm以上の長さを有する繊維状のものを指し、アラミドレジンとはアラミド繊維には属さず、その長手方向の長さが2mm未満のものを指す。また、固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、「PTFE樹脂」ともいう。)、二硫化モリブデンおよび黒鉛からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。本実施形態では、耐摩耗剤の一例としてアラミドレジン、固体潤滑剤の一例としてPTFE樹脂(フッ素樹脂)をそれぞれ使用する。PTFE樹脂は、一例として、サイズがμmオーダーの微粉末であるPTFE樹脂マイクロパウダーを使用している。もちろん、樹脂組成物に必要な特性が得られる範囲でさらに他の添加剤を加えてもよい。
ベース樹脂のポリアセタール樹脂を、高粘度のポリアセタール樹脂と中粘度のポリアセタール樹脂とを所定の割合で配合したものとし、ベース樹脂に、耐摩耗剤の一例としてアラミドレジン、固体潤滑剤の一例としてPTFE樹脂をそれぞれ含有する原料を用いて、射出成形により摺動部材の試験片を製造した。そして、製造された試験片について、強度、耐摩耗性および低摩擦性を評価する試験を行った。
原料およびそれらの配合割合を表1に示す。3種類のペレット原料を所定の質量割合で配合して射出成形用の原料を調製した。3種類のペレット原料は次のとおりである。原料Aは、1.5質量%フッ素樹脂(PTFE)微粉末(マイクロパウダー)充填の中粘度のポリアセタール(POM)樹脂であり、原料Bは、5質量%アラミドレジン充填の高粘度のポリアセタール(POM)樹脂であり、原料Cは、20質量%フッ素樹脂微粉末充填の中粘度のポリアセタール(POM)樹脂である。
各試料1〜4について表1に示された所定の配合割合で各原料ペレットを計量し、均一に混合した後、射出成形機のホッパーに投入し、図1〜図3に示されたチェーンリンク15を射出成形により製造し、これを試験片とした。射出成形機は型締能力50〜350tのものを用いた。成形条件は、シリンダ温度170〜230℃、金型温度(固定/可動)30〜100℃、射出速度5〜50mm/sec.、射出圧力40〜150MPa、射出時間2〜4秒の範囲とした。この成形条件の範囲内における同一条件で射出成形を行い、各試料1〜4の試験片を得た。これらの試験片を用いて試料1〜4について、引張強度試験、レール材に対する摩擦摩耗試験、搬送物(容器)に対する摩擦試験を行った。
図1〜図3に示すチェーンリンク15の形状を有する試験片を合成樹脂製のピン16で4つ連結したものを試験体とした。精密万能試験機オートグラフAG-IS 100kN(島津製作所製)を用い、試料1〜4について試験体の長手方向(連結方向X)両端を試験機に把持させ、速度10mm/min.で破壊されるまで試験体を引張り、そのときの伸び(ストローク)と引張り力(試験力)とを測定した。試料1〜4の各試験体の破壊時の引張り荷重(kN)と伸び(mm)を表3に示す。各試料1〜4とも破断箇所は同じで、破壊断面積がほぼ一定をみなせたので、表3に示す引張り荷重は、各試料1〜4の引張強度の相対値を示すものとなる。
試料1〜4の各試験片とレールとの摩擦摩耗試験を行った。試料片は、図1に示すチェーンリンクの荷載置板部20のうちリブ25と重ならない平板状の部分を切断し、およそ縦3cm×横3cm×厚さ4mmの四角板状のチェーンリンク用試験片を作製した。また、レール32には樹脂レールと金属レールとの2種類があるため、2種類のレール材料からなる円筒状(リング状)のレール用試験片を作製した。本実施例では、樹脂レールは超高分子量ポリエチレンからなり、金属レールはSUS(例えばSUS304)からなる。よって、超高分子量ポリエチレン製の円筒状のレール用試験片と、SUS製の円筒状のレール用試験片とを作製した。そして、摩擦摩耗試験開始前に予め試料1〜4のチェーンリンク試験片の質量とレール用試験片の質量とをそれぞれ測定した。
試料1〜4の樹脂組成物からなるチェーンリンク15の試験片を連結して製造した図1〜図4に示す搬送チェーン11を用いて、搬送チェーン11の搬送物に対する動摩擦係数を測定した。搬送物は材質の異なる容器とし、材質の異なる容器ごとに搬送チェーン11の動摩擦係数を測定した。搬送物を構成する容器は、アルミ缶、スチール缶、ペットボトル、ビン、紙容器とした。
表3に示した樹脂組成物のメルトマスフローレイト(g/10min.)は、市販品の原料のメルトマスフローレイト値を基に、樹脂組成物の原料配合割合から換算した値である。メルトマスフローレイトは、熱可塑性樹脂の溶融時の流動性を表す数値であり、次の条件で測定される。シリンダ内で溶融した樹脂を、一定の温度と荷重条件の下、シリンダ底部に設置された規定口径のダイスから10分間当たりに押し出される樹脂量(g)を測定する。温度は190℃、荷重2.16kgの下で、ISO1133に従った試験法で測定されたものである。メルトマスフローレイトは、射出成形時の溶融樹脂の流動性の指標となる。つまり、メルトフローレイトは、射出成形時に金型に注入された溶融樹脂のキャビティ内への充填のし易さを表す。
(1)樹脂組成物のベース樹脂として高強度耐摩耗性を有する熱可塑性樹脂を使用し、この熱可塑性樹脂からなるベース樹脂中に耐摩耗剤と固体潤滑剤とが含有された樹脂組成物からなる摺動部材を製造した。よって、高強度であり耐摩耗性および低摩擦性に優れた搬送チェーン用の摺動部材(チェーンリンク15やピン16)を提供することができる。
・搬送チェーン用の摺動部材は、トップチェーンやモジュラーチェーン等の搬送チェーンを構成する合成樹脂製の構成部材であればよく、ブシュ等でもよい。また、搬送チェーン用の摺動部材は、モジュラーチェーン等においてチェーンリンク(モジュラー部品)の荷載置面側に回転可能に装着されるローラ又はボールであってもよい。
Claims (2)
- 搬送される物品が載置される荷載置面を有する搬送チェーンを構成する搬送チェーン用の摺動部材であって、
前記搬送チェーン用の摺動部材は樹脂組成物により形成され、
前記樹脂組成物は、
ベース樹脂として用いられる熱可塑性樹脂と、
前記ベース樹脂に添加された耐摩耗剤と、
前記ベース樹脂に添加された固体潤滑剤と、を含み、
前記熱可塑性樹脂はポリアセタール樹脂であり、
前記ポリアセタール樹脂は、中粘度のポリアセタール樹脂と高粘度のポリアセタール樹脂とを混合した高中粘度のものであり、
前記耐摩耗剤はアラミドレジンを含み、
前記固体潤滑剤はポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を含み、
前記樹脂組成物は、中粘度のポリアセタール樹脂を50〜70質量%の範囲内で、高粘度のポリアセタール樹脂を30〜50質量%の範囲内で、前記耐摩耗剤を2質量%以上かつ4質量%以下の範囲内で、前記固体潤滑剤を1質量%以上かつ3質量%以下の範囲内で、さらに、前記アラミドレジンの含有率と前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の含有率の差は2質量%以内であり、前記ポリアセタール樹脂と前記耐摩耗剤と前記固体潤滑剤との各質量%の和が100質量%になる組み合わせであることを特徴とする搬送チェーン用の摺動部材。 - 前記樹脂組成物の温度190℃、荷重2.16kgの下でのISO1133に従って測定されたメルトマスフローレイトは、5以上かつ15g/10min.以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の搬送チェーン用の摺動部材。
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