JP2022019884A - 樹脂組成物、および、これからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、良好な摺動性および高い耐摩耗性を損なうことなく、十分に高い機械強度を有する成形体を与える樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリアミド樹脂(A)と、変性超高分子量ポリエチレン(B)と、繊維状充填剤(C)とを含み、前記ポリアミド樹脂(A)を含む相と前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相とが海島構造を形成し、変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相の平均分散面積が、0.8μm2/個以上30μm2/個未満である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、および、これからなる成形体、より詳しくは、ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物、および、これからなる成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的特性、剛性、耐熱性、その他の物理的・化学的特性に優れ、かつ加工性が良好であるため、エンジニアリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品などの広範な用途に使用されている。
一方、エンジニアリングプラスチックの物性を向上させるために、変性ポリオレフィン組成物および繊維状充填剤を配合する試みがなされている。例えば、特許文献1には、機械強度と摺動性の向上を目的に、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に、PTFEやポリオレフィンを配合した樹脂組成物が報告されている。しかしながら、このような樹脂組成物では、引張強度、曲げ強度などの機械強度が十分に発揮されない問題がある。
特許第6827815号公報
ポリアミド樹脂は、摺動性、耐摩耗性などに優れることから、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂の形態で多用されている。一方、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂に変性超高分子量ポリエチレンを配合する場合、十分に高い機械強度が得られないことがある。
そこで、本発明は、良好な摺動性および高い耐摩耗性を損なうことなく、十分に高い機械強度を有する成形体を与える樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような状況において鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と、変性超高分子量ポリエチレンと、繊維状充填剤を含む樹脂組成物を用いることによって、良好な摺動性および高い耐摩耗性を損なうことなく、十分に高い機械強度を有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]に関する。
[1]
ポリアミド樹脂(A)と、
変性超高分子量ポリエチレン(B)と、
繊維状充填剤(C)と
を含み、
前記ポリアミド樹脂(A)を含む相と前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相とが海島構造を形成し、変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相の平均分散面積が、0.8μm2/個以上30μm2/個未満である、樹脂組成物。
[2]
前記海島構造の、海相が前記ポリアミド樹脂(A)を含む相であり、島相が前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記変性超高分子量ポリエチレン(B)が、酸変性超高分子量ポリエチレンである、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記繊維状充填剤(C)において、前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
[6]
被覆材または摺動材である[5]に記載の成形体。
本発明によれば、良好な摺動性および高い耐摩耗性を損なうことなく、十分に高い機械強度をも有する成形体を与える樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
ここで、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物は、
ポリアミド樹脂(A)と、
変性超高分子量ポリエチレン(B)と、
繊維状充填剤(C)と
を含み、
前記ポリアミド樹脂(A)を含む相と前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相とが海島構造を形成し、変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相の平均分散面積が、0.8μm2/個以上30μm2/個未満である、樹脂組成物である。
以下、本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
<樹脂組成物の構成成分>
ポリアミド樹脂(A)
本発明で用いられるポリアミド樹脂(A)は、ポリアミドである限り特に限定されず、市販品であっても良い。
ポリアミド樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂及び全芳香族ポリアミド樹脂が挙げられる。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6(PA6)、ナイロン11(PA11)、ナイロン12(PA12)、ナイロン46(PA46)、ナイロン66(PA66)、ナイロン92(PA92)、ナイロン99(PA99)、ナイロン610(PA610)、ナイロン612(PA612)、ナイロン912(PA912)、ナイロン1010(PA1010)、ナイロン1012(PA1012)、ナイロン6とナイロン12との共重合体(PA6/12)、ナイロン6とナイロン66との共重合体(PA6/66)等が挙げられる。
半芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン4T(PA4T)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロンMXD6(PAMXD6)、ナイロン9T(PA9T)、ナイロン10T(PA10T)、ナイロン11T(PA11T)、ナイロン12T(PA12T)、ナイロン13T(PA13T)等が挙げられる。
全芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタラミド(商品名ケブラー)等が挙げられる。
ポリアミド樹脂の市販品としては、例えば、東レ社製アミラン CM1007、CM3007、DuPont社製ザイテル 101L等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド樹脂(A)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)と、後述する変性超高分子量ポリエチレン(B)と、後述する繊維状充填剤(C)との合計100質量部に対して、通常52~88質量部、好ましくは55~82質量部である。
変性超高分子量ポリエチレン(B)
本発明で用いられる変性超高分子量ポリエチレン(B)は、超高分子量ポリエチレンを変性した重合体である。変性超高分子量ポリエチレン(B)は、好ましくは超高分子量ポリエチレンに官能基を導入したものである。官能基は極性基、非極性基のいずれでもよいが、極性基が好ましい。また、変性超高分子量ポリエチレン(B)は、超高分子量ポリエチレンが酸で変性された酸変性超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。
導入される官能基は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、シラノール基などが挙げられる。
酸で変性することで超高分子量ポリエチレンに極性基が導入される。
変性に用いる酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(商標)およびこれらの誘導体等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、このような変性超高分子量ポリエチレン(B)は、前記ポリアミド樹脂(A)中に分散する傾向にある。本発明の樹脂組成物は、このような変性超高分子量ポリエチレン(B)を含むことにより、成形体としたときの摺動性に優れる。
本発明の樹脂組成物における変性超高分子量ポリエチレン(B)の含有量は、この樹脂組成物から得られる成形体が充分な摺動性を確保できるよう、前記ポリアミド樹脂(A)と、変性超高分子量ポリエチレン(B)と、後述する繊維状充填剤(C)との合計100質量部に対して2質量部以上、好ましくは3質量部以上である。一方、十分に高い機械物性を維持する観点からは、本発明の樹脂組成物における前記ポリアミド樹脂(A)及び繊維状充填剤(C)の含有量を一定以上にすることが好ましい。したがって、本発明の樹脂組成物における変性超高分子量ポリエチレン(B)の含有量は、前記ポリアミド樹脂(A)と、変性超高分子量ポリエチレン(B)と、後述する繊維状充填剤(C)との合計100質量部に対して8質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
また、樹脂組成物の海島構造において、海相をポリアミド樹脂(A)とし、島相を変性超高分子量ポリエチレン(B)としやすくする観点からは、ポリアミド樹脂(A)に対する変性超高分子量ポリエチレン(B)の質量比(B)/(A)は、好ましくは、2/68~5/65である。
繊維状充填剤(C)
前記繊維状充填剤(C)を構成する繊維の例として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウィスカー、ポリエステル繊維、及び、ポリアミド繊維が挙げられる。ここで、金属繊維の例として、アルミニウム繊維及びステンレス鋼繊維などが挙げられる。本発明の好適な態様の1つにおいて、前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
これらの繊維は、その繊維径が1~30μm、好ましくは5~20μmであり、繊維長が1000~10000μm、好ましくは2000~6000μmであり、アスペクト比は33~10000、好ましくは150~1200であることが望ましい。
また、前記繊維状充填剤(C)は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂などにより被覆されていても良い。
本発明の樹脂組成物における繊維状充填剤(C)の含有量は、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、繊維状充填剤(C)との合計100質量部に対して、通常10~40質量部、好ましくは、15~40質量部である。
<樹脂組成物の構成>
本発明の樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、前記繊維状充填剤(C)とを含む。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、前記繊維状充填剤(C)とのみからなるものであっても良く、これらの成分に加えて、前記ポリアミド樹脂(A)にも、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)にも、前記繊維状充填剤(C)にも該当しないその他の成分(以下「その他の成分」)をさらに含んでいてもよい。
「その他の成分」の例として、活性炭、多孔率ケイ酸マグネシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、石英、白亜、及び雲母などの無機充填剤、並びに、フッ素樹脂粉末、グラファイト等の固体潤滑剤などが挙げられる。
また、滑剤、流れ助剤(flow auxiliaries)、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、無機顔料、有機染料のようなプラスチックに関して従来用いられている添加剤もまた、「その他の成分」となりうる。
このような添加剤の例として、脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸アミド(D)は、通常、炭素数12以上の脂肪酸アミドであり、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド及びベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド及びエライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド及びエチレンビスオレイン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;脂肪酸メチルアミド及び脂肪酸エチルアミド等の飽和または不飽和脂肪酸アルキルアミドなどが挙げられる。
これら脂肪酸アミドの中でも、エルカ酸アミドが摺動性の観点で特に好ましい。
このような「その他の成分」は、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物に含まれうる「その他の成分」の含有量は、本発明の樹脂組成物の全体に対して10質量%未満であることが好ましい。ここで、「その他の成分」が2種以上用いられる場合、「その他の成分」の合計の含有量が、本発明の樹脂組成物の全体に対して10質量%未満であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物が「その他の成分」を含む場合、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、前記繊維状充填剤(C)との合計量は、本発明の樹脂組成物の全体に対して90質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物では、前記ポリアミド樹脂(A)を含む相と前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相とが海島構造を形成し、変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相の平均分散面積が、0.8μm2/個以上30μm2/個未満であることに特徴がある。このような相構造を有する樹脂組成物とすることにより、良好な摺動性および高い耐摩耗性を損なうことなく、十分に高い機械強度(引張強度、曲げ強度)を有する成形体を与える樹脂組成物とすることができる。なお、本発明の樹脂組成物では、ポリアミド樹脂(A)を含む相、および変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相以外の相、例えば、繊維状充填剤(C)を含む相が、その樹脂組成物の相構造として形成されていてもよい。
本発明において、相(例えば島相)の平均分散面積とは、樹脂組成物をSEM写真で観察した際に、その画像中の相1個当たりの面積の平均値を意味し、具体的には下記実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の樹脂組成物において、相(例えば島相)の平均面積は好ましくは0.8μm2/個以上25μm2/個以下であり、より好ましくは0.8μm2/個以上15μm2/個以下である。変性超高分子量ポリエチレン(B)の相の平均面積が前記範囲にあることにより、本発明の樹脂組成物から、良好な摺動性、高い耐摩耗性を損なうことなく、より高い機械強度をも有する成形体を得ることができる傾向にある。
本発明の樹脂組成物において、変性超高分子量ポリエチレン(B)の相(例えば島相)の平均面積を所望の値とするためには、ポリアミド樹脂(A)に対する変性超高分子量ポリエチレン(B)の量比を適切な範囲となるようにしたり、例えば、本発明の樹脂組成物を溶融混練押出機により作製する場合には、その押出機の条件(例えば押出機中のスクリュー回転数、押出機の設定温度、押出速度)をこのような相構造になるように設定すればよい。
本発明の樹脂組成物で形成される海島構造では、その海相がポリアミド樹脂(A)を含む相であり、その島相が変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相であることが好ましい。本発明の樹脂組成物でこのような海島構造を有することにより、良好な摺動性、高い耐摩耗性を損なうことなく、より高い機械強度をも有する成形体を得ることができる傾向にある。
本発明の樹脂組成物において、海相、島相を特定の重合体で形成させるためには、例えば、ポリアミド樹脂(A)に対する変性超高分子量ポリエチレン(B)の量比を適切な範囲とするようにすればよい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、前記繊維状充填剤(C)と、必要に応じて、前記「その他の成分」とを混合することにより得られる。ここで、前記ポリアミド樹脂(A)は、前記繊維状充填剤(C)とは別々に配合されても良く、あるいは、予め前記繊維状充填剤(C)の添加がなされている複合体(すなわち、前記ポリアミド樹脂(A)と前記繊維状充填剤(C)とを含む複合体)の形で配合されても良い。
前記樹脂組成物の各成分の混合は、従来公知の方法により行うことができ、例えば、二軸スクリュー押出機により溶融混練することによって行うことができる。この混合を溶融混練によって行う場合、この溶融混練は、例えば、270℃~300℃の温度にて行うことができる。
[成形体]
本発明に係る成形体は、前述した本発明の樹脂組成物を含む。
このような本発明の成形体は、前述した本発明の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。前記成形は、本発明の属する分野において一般的に用いられる適当な成形方法により行うことができ、前記成形としては、例えば、射出成形が挙げられる。
本発明の成形体は、前記ポリアミド樹脂(A)と、前記変性超高分子量ポリエチレン(B)と、前記繊維状充填剤(C)と含むことにより、優れた機械強度を有し、良好な摺動性が損なわれていない。したがって、その用途として、被覆材および摺動材が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において各物性は以下のように測定した。
[成形体についての各種物性の測定方法]
下記実施例及び比較例のそれぞれにつき、得られた樹脂組成物を用いて、射出成形にて多目的試験片(JIS K7139で規定する、タイプA1のダンベル形引張試験片)、及び縦120mm×横130mm×厚さ3mmの平板試験片を作製し、次の物性評価を行った。
ここで、下記「曲げ強度」、下記「動摩擦係数」、および下記「比摩耗量」に記載の試験においては、平板試験片(樹脂部材)を試験片として使用した。それ以外の試験においては、多目的試験片を試験片として使用した。
<引張試験>
ISO-527-1,2に準拠して、引張速度を50mm/minとして引張試験を行い、試験片の引張破断強度、引張破断伸度を求めた。
<曲げ強度>
前記平板試験片につき、ISO-178に準拠して、曲げスパン48.0mm、試験速度5.0mm/minとし、曲げ強度を求めた。
<動摩擦係数>
前記平板試験片につき、JIS K7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠して、松原式摩擦摩耗試験機を使用して動摩擦係数を測定した。
試験条件は次の条件とした。
相手材:炭素鋼(S45C)、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:60kgf、測定環境温度:23℃。
<比摩耗量>
前記平板試験片につき、JIS K7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠して、松原式摩擦摩耗試験機を使用して比摩耗量を測定した。
試験条件は次の条件とした。
相手材:炭素鋼(S45C)、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:60kgf(動摩擦係数)、測定環境温度:23℃。
<島相の平均分散面積>
(前処理)
前記多目的試験片を用いて、MD方向に垂直にクライオウルトラミクロトームにて切削断面を作成した後、カーボン蒸着を施して観察検体とした。
(観察)
観察検体の端面(エンドビュー)の中央部分(コア層)を、電子顕微鏡(日本電子社製、JFM-7001F)を用いて、撮像倍率1000倍で、SEM観察し、そのSEM画像から下記の画像解析により、変性超高分子量ポリエチレン(B)の分散面積を求めた。
(画像解析)
自社開発したSEM画僧解析ソフトに画像を読み込み、Python画像解析ライブラリのOvenCV(Python用のcv2モジュール)を用いて、画像をバイラテラルフィルタによりフィルター処理し、さらにバイラテラルフィルタにより、画像を二値化した(白色部分が粒子状の島相)。
この二値化したSEM画像から、画像ソフトにより輪郭抽出を行い、粒子状の島相を検出する。
検出された粒子状の島相について、SEM画像中のスケールバーを参照して、ピクセルはμm換算して、画像の島相の直径を求め、この直径から島相面積を求めた。
SEM画像中の全ての粒子状の島相の面積を上記方法で算出し、島相の平均面積を求めた。
[原料]
実施例及び比較例において、組成物を構成する各成分は、以下のものを用いた。
<ポリアミド樹脂>
ポリアミド樹脂(A)(成分(A))として、下記に示す製品を使用した:
ポリアミド66(PA66):東レ社製アミラン CM3007
<変性超高分子量ポリエチレン>
変性超高分子量ポリエチレン(B)(成分(B))として、下記に示す製品を使用した:
三井化学株式会社製 変性超高分子量ポリエチレン リュブマー(登録商標)LY1040
<繊維状充填剤>
繊維状充填剤(C)(成分(C))として、下記に示すウレタン樹脂コーティングガラス繊維を使用した(なお、表1中の繊維状充填剤(C)は、ウレタン樹脂コーティングされたガラス繊維の質量部である。):
・ウレタン樹脂コーティングガラス繊維
日本電気硝子社製 T-249H(フィラメント径10μm、ストランド長3.0mm、LOI(強熱減量)0.6%のチョップトストランド)
[比較例1]
表1に示す配合量に従い、ポリアミド樹脂と変性超高分子量ポリエチレンと繊維状充填剤とを、二軸スクリュー押出機を用いて、設定温度270℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量12kg/hにて、溶融混錬押出を行い、樹脂組成物を得た。
[実施例1~3および比較例2~3]
表1に記載の島相平均分散面積となるように二軸スクリュー押出機の設定温度、スクリュー回転数、吐出量を設定し、比較例1と同様に溶融混錬押出を行い、樹脂組成物を得た。
Figure 2022019884000001

Claims (6)

  1. ポリアミド樹脂(A)と、
    変性超高分子量ポリエチレン(B)と、
    繊維状充填剤(C)と
    を含み、
    前記ポリアミド樹脂(A)を含む相と前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相とが海島構造を形成し、変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相の平均分散面積が、0.8μm2/個以上30μm2/個未満である、樹脂組成物。
  2. 前記海島構造の、海相が前記ポリアミド樹脂(A)を含む相であり、島相が前記変性超高分子量ポリエチレン(B)を含む相である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記変性超高分子量ポリエチレン(B)が、酸変性超高分子量ポリエチレンである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記繊維状充填剤(C)において、前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
  6. 被覆材または摺動材である請求項5に記載の成形体。
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