JP5874174B2 - 光学素子及び光学素子の検証方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子及び光学素子の検証方法に関する。
キャッシュカード、クレジットカード及びパスポートなどの認証物品並びに商品券などの有価証券には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、従来から、そのような物品には、偽造・模造を抑止すべく、偽造又は模造が困難であると共に、偽造品や模造品との区別が容易なホログラムが貼り付けられている。
ホログラムは、優れた意匠性を持ち、カラー複写機においても複製できず、偽造・変造の困難性から数多く利用されてきた。
しかし、近年では、ホログラムにも巧妙な偽造品が出現し、一見すると真偽の判定が困難な事例も見られるようになってきた。
そこで、近年では、ごく簡易的な検証器を用いて、真偽判定を行なう光学素子が開発されている。特に、偏光を用いた光学素子は、検証器が偏光板のみでよいことから、簡易検証用途に用いられている。
特許文献1には、コレステリック液晶とホログラムを組み合わせた、真偽判定用媒体が記載されており、コレステリック液晶の配向方向により偏光方向を制御し、円偏光板をかざすことで真偽判定を可能としている。
特許文献2には、回折構造と透明な位相差フィルムを組み合わせた、真正性識別体が記載されている。この媒体も偏光板を重ねることで、潜像として存在している透明な位相差フィルムを、目視可能とすることで真偽判定を行なっている。
しかし、特許文献1の発明は、偏光状態を制御するために、コレステリック液晶に電圧を印加し、液晶分子の配向方向を制御しなければならず、さらに曲げや圧力などの影響で配向方向が乱れてしまうなどの問題点があった。また、液晶を用いることから作業コストが高くなるという課題が残されている。
また、特許文献2の発明では、透明な位相差フィルムを用いており、媒体を観察する角度によっては透明な位相差フィルムが目視できてしまい、真正性識別体としての効果、意匠性などの課題が残されている。
特開2010−79308号公報 特開2002−32023号公報
本発明は、上述の背景に基づきなされたものであり、その目的とするところは、容易な製造方法で作製でき、かつ簡易検証が可能な光学素子と、その光学素子の検証方法を提供することにある。
上記の問題を解決する手段として、の態様の発明は、可視光波長より細かい周期的な凹凸構造からなる構造性複屈折構造が形成されたレリーフ形成層と、前記レリーフ形成層の少なくとも一部に前記構造性複屈折構造を覆うように配された光反射層を有し、前記光反射層が厚みの異なる複数の領域から構成されていることを特徴とする光学素子である。
また、の態様の発明は、前記光反射層の厚みが同一の領域で文字や数字、記号、絵柄などの表示を表現していることを特徴とする、前記第の態様に記載の光学素子である。
また、の態様の発明は、前記光反射層の厚みが30nm以上100nm以下であることを特徴とする、前記第1〜2の態様の何れか1に記載の光学素子である。
また、の態様の発明は、前記光反射層の隣接する領域の厚みの差が10nm以上70nm以下であることを特徴とする、前記第1〜3の態様の何れか1に記載の光学素子である。
また、の態様の発明は、前記光反射層を有していない領域によって文字や数字、記号、絵柄などの表示を表現していることを特徴とする、前記第1〜4の態様の何れか1に記載の光学素子である。
また、の態様の発明は、前記凹凸構造は少なくとも方位角が異なる2種類以上の回折格子から構成されていることを特徴とする、前記第1〜5の態様の何れか1に記載の光学素子である。
また、の態様の発明は、前記光学素子の上に直線偏光板を重ね合わせた際、前記偏光板の透過軸と前記凹凸構造の方位角のなす角度により、前記文字や数字、記号、絵柄などの表示が潜像となって出現/または消失することで検証を行なうことを特徴とする、前記第1〜6の態様の何れか1に記載の光学素子の検証方法である。
本発明では、可視光波長より細かい凹凸構造からなる構造性複屈折構造と、前記構造性複屈折構造を覆うように配された光反射層が、厚みの異なる複数の領域を有している光学素子を提供している。前記光学素子に偏光板を重ね合わせた時にのみ、前記光反射層の厚みが同一の領域毎に見え方が変化する、真偽判定機能を持つ光学素子を実現した。
また、前記光反射層の厚みが同一の領域で、文字や数字、記号、絵柄などの表示を表現すると、偏光板を重ね合わせた時にのみ表現した任意パターンを観察することができ、真偽判定機能をより一層高めることが可能となる。つまり、前記光反射層の厚みを変えるだけで、通常の目視では観察できず、偏光板を重ね合わせた時にのみ目視可能となる像を表現することが可能となる。
さらに、前記光反射層を厚みが30nm以上100nm以下、且つ、隣接する領域同士の厚みの差が10nm以上70nm以下であれば、前記目視可能となる像のコントラストが十分に高い、視認性の良い潜像を表現することができる。
また、前記光反射層を有していない領域によって、文字や数字、記号、絵柄などの表示を表現することで、意匠性、セキュリティ性の向上を図ることも可能となる。
(a)(b)は本発明における光学素子の形態の一例を示した平面図。 図1の(a)(b)におけるX-X′断面の一例を示した図。 (a)(b)(c)は構造性複屈折構造に光源(無偏光)を入射した際の概念図。 (a)(b)(c)は本発明における光学素子の形態の一例を示した平面図。 図4の(a)におけるX-X′断面の一例を示した図。 光反射層の厚みによる反射率、透過率の変化を示した図。 (a)(b)(c)は構造性複屈折構造から反射する偏光が直線偏光板を透過できないときの概念図。 (a)(b)(c)は構造性複屈折構造から反射する偏光が直線偏光板を透過するときの概念図。 (a)(b)(c)は本発明における方位角を定義する例を示した図。
本発明の好適な実施形態を説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態のものに限られない。
図1は、本実施形態による光学素子(表示体)1の一例を示す図である。
また、図2は、図1に示す光学素子1のX-X′線での断面図の一例である。本例では、レリーフ形成層2の一方の面に構造性複屈折構造3が形成されており、この構造性複屈折構造3には光反射層4が配されている。また、図1において示す星型の部分は光反射層4を配さない領域5である。
光学素子1に偏光板を重ね合わせない場合の図1(a)に示した状態では、同図1(a)中に点線で示した文字『ABC』の形は観察することができず、光反射層4を配さない領域5で表現された星型が観察できるのみである。しかし、図1(b)に示したように、偏光板を重ね合わせた場合には、潜像となっていた文字『ABC』の形の表示を観察することができるようになる。この見え方についての詳細は後に記述する。
ここでは、各層について詳しく説明する。まず、レリーフ形成層2の材料としては、例えば、光透過性を有する樹脂を使用することができる。例えば、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの可視光透過性を有する樹脂を使用することができる。その中でも、例えば、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、構造性複屈折構造3が形成された原版を用いた転写方法により、一方の面上に構造性複屈折構造3を備えるレリーフ形成層2を容易に作製することができる。
また、レリーフ形成層2は、可視光の少なくとも一部の波長について十分な透過率を有していればよく、特定の波長帯域を吸収する色素などを添加してもよい。その場合、レリーフ形成層2を通して見える部分が着色して見えるようになる。
また、レリーフ形成層2は、何らかの基材の上に配されていてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)などの光透過性を有する樹脂からなるフィルム又はシートなどが好適である。基材の材料としては、ガラスなどの無機材料を使用してもよい。
さらに、基材は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。さらには、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理及び防汚処理などの処理を施してもよい。
次に、構造性複屈折構造3について説明する。複屈折とは、物質中を光が通過するとき,振動面の向きによってその進む速度が異なることを言う。一般に、光の進む速度が速い(位相が進む)方位を、その位相子の「進相軸」、反対に遅い(位相が遅れる)方位を「遅相軸」と呼ぶ。
また、構造性複屈折とは、サブ波長オーダーの回折格子などに起因して、複屈折が発現する現象であり、構造性複屈折構造とは、前記サブ波長オーダーの回折格子そのものを指す。本発明における、構造性複屈折構造3は、複屈折を発現させる構造として、サブ波長オーダーの回折格子を用いることができる。
本発明では、サブ波長オーダーの回折格子によって、位相差を持たせた光、つまり偏光を得ている。一般に、回折格子の格子溝に対して垂直に振動する方向をTE偏光(s偏光)と呼び、水平に振動する方向をTM偏光(p偏光)と呼ぶ。
そして、回折格子が波長λに対し、入射角度Θ、周期aを用いて以下に示す[式1]の条件が満たされたとき、その回折格子構造は、光にとって有効屈折率Neffで表される薄膜構造内を進行しているように認識される。このとき、有効屈折率Neffは、入射の偏光方向によって異なり、第一次近似では、TE偏光は、以下に示す[式2]、TM偏光は、以下に示す[式3]で書き表される。
Figure 0005874174
Figure 0005874174
Figure 0005874174
ここで、n、nはそれぞれ、空気層と、回折格子表面の屈折率を表し、fは周期aに対する回折格子の凸部分のデューティー比を示す。上記[式2]、[式3]から、fが0、1以外では各々の偏光に対する有効屈折率が異なっている。この条件下で、各々の偏光成分における有効屈折率Neffは、
eff=NTEまたは、Neff =NTMとなる。
ただし、NTE≠NTMのいずれかが、異なる媒質を進行する光の屈折の関係式(Shellの式)にて、以下に示す[式4]を満たすと、その偏光方向をもつ入射光は有効屈折率Neffのもつ薄膜層を通過出来なくなる。この状態は有効屈折率Neffのもつ薄膜層での屈折角度Θがほぼ90°に達しており、n側への層に光が移動出来ない状態に相当し、入射したエネルギーの発散先として反射光が生じる事となる。つまり、ある特定の振動方向を持つ偏光のみを反射することになり、サブ波長オーダーの回折格子によって、特定の偏光成分のみが反射光として得られることが知られている。
Figure 0005874174
〔参考文献〕岡田真 光学,35巻5号(2006)280-281
〔参考文献〕北川清一郎ほか O plus E ,26(2004) 1058-1063
〔参考文献〕岡田真 JETI 6月号臨時増刊号(2005)65−67
〔参考文献〕岡田真 光アライアンス、16(2005)No.10
図3に構造性複屈折構造3(ここではサブ波長オーダーの回折格子)に、無偏光の光源9からの光を入射させた時の概念図を示した。構造性複屈折構造に無偏光の光を入射させると、前述したようにサブ波長オーダーの回折格子のピッチPや深さH、回折格子表面の屈折率などにより、特定の振動方向を持つ偏光が反射する。よって、回折格子の方位角を変えると、反射される偏光の振動方向も自ずと変化していくことになる。本発明における方位角について図9を用いて説明する。
本発明における方位角とは、構造性複屈折構造3をなす、サブ波長オーダーの回折格子の格子溝の方向と、格子溝の方向に水平な方向若しくは垂直な方向どちらか一方の軸がなす角度とする。図9では、構造性複屈折構造3をなす回折格子の格子溝とY軸のなす角度で方位角を規定した場合を示している。
サブ波長オーダーの回折格子からなる構造性複屈折構造3は、特定の振動方向を持つ偏光した反射光が射出されるので、方位角が変化すると、それに応じて偏光の振動方向も変化する。
例えば、構造性複屈折構造3を方位角が90°異なる2種類の回折格子から構成することで、振動方向が互いに90°異なる偏光した反射光を得ることが可能となる。
本発明においては、構造性複屈折構造3を覆うように配された、光反射層4の厚みTが異なる複数の領域を構成し、さらに、厚みTが同一の領域で文字や数字、記号、絵柄などの表示を表現することで、偏光板を重ねた際、光反射層4の厚みTが同一な領域毎で、見え方が変化する効果を生んでいる。
上記効果に関してさらに詳しく説明する。光反射層4は、構造性複屈折構造3が設けられたレリーフ形成層2の界面の反射率を高める役割を果たす。光反射層4の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、及びそれらの合金など反射率の高い金属材料を使用することができる。本発明の光学素子1は光反射層4を構造性複屈折構造3の少なくとも一部を被覆するように設けているが、光反射層4に被覆されていない構造性複屈折構造3は、屈折率の近い樹脂などで被覆されてしまうことで、凹凸構造がないものとして、光学的な作用を及ぼさなくなる。
光学素子1が物品などに貼付されるものとして用いる場合、接着層などで構造性複屈折構造3は被覆される。従って、光反射層4によって被覆された部分のみが光学的な作用を及ぼし、光反射層4によって被覆されていない部分は、レリーフ形成層2の高い光透過性により透明な領域となるため、光反射層4の被覆領域の外形によって絵柄が表現でき、また光反射層4の被覆領域内にある凹凸構造領域や非凹凸構造領域の配置によって更に多彩な表示が可能となる。
金属材料を用いて光反射層4を作製する方法としては、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。レリーフ形成層2を部分的に被覆した光反射層4は、例えば、気相堆積法により薄膜を形成し、その一部を薬品などに溶解させること、又は、この薄膜とレリーフ形成層2との密着力よりも強い接着力を先の薄膜に対して示す接着材料によって、上記薄膜の一部を剥離することによって得られる。レリーフ形成層2の一方の主面を部分的に被覆した光反射層4は、マスクを用いた気相堆積法によって形成することも可能である。この気相堆積法を用いれば、本発明における厚みの制御や、光反射層4を配さない領域5の形成なども容易に行なうことができる。
本発明の光学素子1(表示体)では、光反射層4の厚さTを30nm以上100nm以下としている。光反射層4に金属層を用いた場合、一般的に反射率は膜厚に依存し、概ね100nm以上の厚みがあれば高い反射率で安定する。一方、概ね100nmより厚みが小さい場合、反射率の低下がはっきりと現れる。目視で認識できる程度に光反射層4としての効果を発揮するためには、30nm以上の厚みが必要である。
図6の実験結果に示すように、材料としてアルミニウムを用いた光反射層4の平滑面における反射率・透過率は、厚さTによって変化している。銀、金などの他の代表的な金属材料を用いた場合でも、同様の傾向が見られる。ここで、本発明における光反射層4の厚みTとは、平滑面を被覆した際の物理膜厚を示すものである。
ここで、光学素子1の見え方について説明する。図1(a)に示した、光学素子1に偏光板を重ね合わせない場合の図では、図中点線で示した文字『ABC』は観察することができず、未蒸着領域5で表現された星型が観察できるのみである。
次に、潜像となっていた文字『ABC』を観察することができる条件を述べる。前述したように、構造性複屈折構造3にサブ波長オーダーのピッチPや深さHを持つ回折格子を用いた場合、前記回折格子は白色光(無偏光)を入射すると、前記回折格子は特定の振動方向を持つ偏光した反射光を射出する(図3参照)。
本発明の光学素子1の潜像となっている文字『ABC』が観察できるのは、本発明の光学素子1から反射される偏光の振動方向と、重ね合わせた直線偏光板6の透過軸が一致した場合のみである。
図7に示したように、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向と直線偏光板6の透過軸が一致しない場合、観察者7は構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光を観察することはできない。
一方、図8に示したように、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向と直線偏光板6の透過軸が一致した場合にのみ、観察者7は構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光を観察することが可能となる。
さらに、前述したように、構造性複屈折構造3を覆うように配された、光反射層4の反射率は厚みTによって変化する。つまり、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向と直線偏光板6の透過軸が一致した場合に観察者7が観察することができる、偏光した反射光の強さ(明るさ)は光反射層4の厚みTによって変化する。
例えば、構造性複屈折構造3を覆うように配された、アルミニウムを材料として用いた光反射層4の厚みTが100nmの場合、図6の結果から90%程度の反射率を示していることが分かる。この時、観察者7は比較的明るい偏光した反射光を観察することができる。
同様に、前記光反射層4の厚みTが60nmの場合、70%程度の反射率を示していることが分かる。この時、観察者7は光反射層4の厚みTが100nmの領域よりも、暗い偏光した反射光を観察することができる。
図1に示した光学素子1において、光反射層4の厚みTが60nmの領域AL3で文字『A』、光反射層4の厚みTが100nmの領域AL1で文字『B』、光反射層4の厚みTが30nmの領域AL4で『C』を表現し、光反射層4の厚みTが50nmの領域AL2で文字『A』、『B』、『C』の外側の領域を構成すれば、光反射層4の厚みTが異なる各領域(AL1〜AL4)において、反射率を異ならしめることができる。
上記のように構成した光学素子1に、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向と直線偏光板6の透過軸が一致するように、直線偏光板6を重ねると、観察者7は光反射層4の厚みTが同一な領域(光反射層領域AL1〜AL4)毎に、偏光した反射光の強さが異なる領域として認識することができる。
つまり、図1の光学素子1においては、光反射層4の厚みTが100nmの領域AL1で表現した文字『B』が最も反射率が高く、明るい表示像として認識される。また、光反射層4の厚みTが30nmの領域AL4で表現した文字『C』が最も反射率が低いため、暗い像として観察者7は認識する。
以上のように、光反射層4の厚みTが異なる領域ごとに、厚みTの反射率に起因した強さの偏光した反射光が得られるので、観察者7はコントラストが異なる表示像を観察することが可能となる。
また、光反射層4の隣接し合う厚みTの異なる領域での、その厚みの差は10nm以上70nm以下であることが望ましい。
図6を見ると、厚みTが10nm増えると反射率は5%程度増加するが、光反射層4の隣接し合う厚みTの異なる領域(例えば光反射層領域AL1と光反射層領域AL2)での、厚みTの差が10nm以上未満では、反射率の差が5%以下となり、観察者7は偏光した反射光の明るさを識別するのが困難になる。そのため、隣接する領域の境界の判別が困難となり、直線偏光板6を重ねた際に観察される表示像を認識することが困難となる。
前述したように、光反射膜4の厚さTとしては30nm以上100nm以下であることが望ましいと述べたように、隣接し合う領域での最大の厚み差は70nmが好適となる。
光反射層4の隣接し合う厚みTの異なる領域(光反射層領域AL1〜AL4)での、厚みTの差が10nm以上70nm以下であれば、反射率の差を5%以上とすることができ、直線偏光板6を重ね合わせた際に光反射層4の厚みTが異なる領域同士の境界を明確にすることができる。そのため、表示像の視認性が向上し、光学素子1を真偽判定する際に間違いの少ない判定を行なうことが可能となる。
上記で述べたように構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光は、光反射層4の厚みTによって、その強さ(明るさ)が変化する。(図6にその結果を示している。)。
反射率、透過率の他に、光反射層4の厚みTの変動によって変化するパラメーターとして、吸収率や構造性複屈折構造3から反射される偏光の振動方向の変化などが考えられるが、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の90%以上は、反射率、透過率に起因した反射光成分、透過光成分から議論することができる。そのため、本発明では光反射層4の厚みTを変化させた際に、特に支配的である反射率の変動から、光反射層4の厚さTを変化させた際の効果を述べた。
また、本発明の光学素子1は、粘着層などを介して転写箔やステッカーなどの形態にして、貼り付け圧着させてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは、例示的なものであって、本発明をなんら限定するものではない。
図4は、本発明の第一の実施例を示す光学素子とその見え方を示した図であり、図5は、図4に示した光学素子のX−X′断面図である。図5において、基材8としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、レリーフ成形層2として紫外線硬化型樹脂、構造性複屈折構造3としては数100nmオーダーのピッチPと深さHを持つ回折格子を形成している。
構造性複屈折構造3は任意の形状をしていて良く、図4に示すようにハート型をした構成などにしても良い。回折格子の形成方法としては、レーザ露光干渉系を用いてもよいし、電子線描画などによって形成してもよい。
光反射層4としては、アルミ蒸着層を真空蒸着法により製膜した。光反射層4の厚みTが100nm程度の領域AL1で文字『B』、光反射層4の厚みTが30nmの領域AL4で『P』を表現し、光反射層4の厚みTが50nmの領域AL2で文字『BP』の外側の領域を構成した。
さらに、星型のマスクを用いることで、光反射層4を有していな領域5を形成した。
図4に実施例1の光学素子1を観察した際のイメージ図を示している。まず、偏光板を重ね合わせない場合(図4(a)参照)、観察者7は光学素子1のハート形状と、星型の光反射層4を配さない領域5のみを観察することができる。
次に、図4(b)に示したように直線偏光板6を重ねた場合、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向と直線偏光板6の透過軸の方向が揃っているため(図8に示したような配置関係)、観察者7は直線偏光板6が重なっている範囲のみ、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光を観察することが可能となる。
また、光反射層4の反射率を実際に測定した。その結果、文字『B』を表現した、光反射層4の厚みTが100nm程度の領域AL1の反射率は92%、同様に、文字『P』を表現した、光反射層4の厚みTが30nm程度の領域AL4の反射率は48%、文字『BP』の外側の領域を表現した、光反射層4の厚みTが50nm程度の領域AL4の反射率は63%となった。
それゆえ、観察者7は異なる強さで、偏光した反射光を観察するため、反射率が高い光反射層4の領域AL1で表現した文字『B』が明るい表示像として観察でき、反射率が低い光反射層4の領域AL4で表現した文字『P』は、文字『B』よりも暗い表示像として観察できる。さらに、文字『BP』の外側の領域を表現した、領域AL4は文字『B』と文字『P』の間の中間的な明るさの表示像を観察することができる。
次に、図4(c)に示したように光学素子1の向きは変化させず、直線偏光板6を重ねる角度を変化させた場合、直線偏光板6の透過軸の角度も変化するため、構造性複屈折構造3から射出された一方向に振動する偏光した反射光は直線偏光板6を透過することができない(図7に示したような位置関係)。そのため、観察者7は構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光を観察することができず、文字『BP』は光学素子1の潜像となる。
つまり、光学素子1の向きを固定し、直線偏光板6を回転させ透過軸方向を変化させることにより、直線偏光板6の透過軸と構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光の振動方向とが一致した場合のみ、構造性複屈折構造3から射出される偏光した反射光を観察でき、光学素子1を簡易的に検証することが可能となる。
本発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施の形態には、種々の段階での発明が含まれており、開示される事項の適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
1.光学素子
2.レリーフ形成層
3.構造性複屈折構造
4.光反射層
5.光反射層を配さない領域
6.直線偏光板
7.観察者
8.基材
9.光源(無偏光)
T.厚み
P.ピッチ
H.深さ
AL1.光反射層領域
AL2.光反射層領域
AL3.光反射層領域
AL4.光反射層領域

Claims (5)

  1. 可視光波長より細かい周期的な凹凸構造からなる構造性複屈折構造が形成されたレリーフ形成層と、前記レリーフ形成層の少なくとも一部に前記構造性複屈折構造を覆うように配された光反射層を有し、前記光反射層が厚みの異なる複数の領域から構成され、
    前記光反射層の厚みが同一の領域で文字や数字、記号、絵柄などの第一の表示を表現し、かつ
    前記光反射層の厚みが30nm以上100nm以下であり、
    前記第一の表示が、通常の目視では観察できないが、前記構造性複屈折構造から射出される偏光した反射光の振動方向と、直線偏光板の透過軸とが一致するように、前記偏光板を重ねた時にのみ目視可能となる潜像を表現している、
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記光反射層の隣接する領域の厚みの差が10nm以上70nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  3. さらに前記第一の表示に加えて、通常の目視では観察できない光反射層を有していない領域を有し、
    前記光反射層を有していない領域によって文字や数字、記号、絵柄などの第二の表示を表現し、
    前記第二の表が、通常の目視で観察できることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記凹凸構造は少なくとも方位角が異なる2種類以上の回折格子から構成されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一つの請求項に記載の光学素子。
  5. 前記光学素子の上に直線偏光板を重ね合わせた際、前記偏光板の透過軸と前記回折格子の方位角のなす角度により、前記文字や数字、記号、絵柄などの表示が潜像となって出現/または消失することで検証を行なうことを特徴とする、請求項4に記載の光学素子の検証方法。
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