JP5873770B2 - 酸素吸収性樹脂組成物およびそれを用いた包装材 - Google Patents

酸素吸収性樹脂組成物およびそれを用いた包装材 Download PDF

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Description

本発明は、酸素吸収性樹脂組成物およびそれを用いた包装材に関する。
ガスバリア性樹脂、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記する場合がある)は、酸素ガスバリア性および炭酸ガスバリア性に優れた材料である。このような樹脂は溶融成形が可能であるので、耐湿性や機械的特性などに優れた熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、ポリエステル等)の層と積層でき、それによって得られる多層プラスチックは包装材として好適に用いられている。しかしながら、これらのガスバリア性樹脂の気体透過性はゼロではなく、無視し得ない量の気体を透過させる。このような気体の透過、とりわけ、内容物の品質に大きな影響を及ぼす酸素ガスの透過を低減するために、また、内容物の包装時点ですでに包装体内部に存在する酸素ガスを取り除くために、酸素吸収剤を使用することが知られている。
例えば、酸素吸収剤として、遷移金属触媒とエチレン性不飽和化合物(被酸化性樹脂)とを含有する組成物が提案されている(特開平5−115776号公報参照)。また、EVOHと酸素吸収剤とを含む樹脂組成物が提案されている(特開2001−106866号公報、特開2001−106920号公報、および特開2002−146217号公報参照)。EVOHを含む樹脂組成物は、EVOHと同様に溶融成形が可能であるので、各種包装材料に好適に用いることが可能である。
しかしながら、上記のような酸素吸収剤または酸素吸収性組成物を包装材として使用すると、酸素吸収が進むにつれて酸素吸収剤が分解し、不快な臭気が発生することがある。そのため、香りを重視する用途においてはさらなる改良が望まれていた。そのような課題を解決するために、主鎖のみに二重結合を有する樹脂を用いた樹脂組成物が開示されている(国際公開WO2007−126157号参照)。
しかし、WO2007−126157号に記載の樹脂組成物は、酸素吸収によって、臭気成分である、炭素数が1〜7の脂肪酸が依然として発生するという問題があった。炭素数が1〜7の脂肪酸を除去する方法としては、脱臭剤層との多層化が提案されている(特開2011−152788号公報)。
特開平5−115776号公報 特開2001−106866号公報 特開2001−106920号公報 特開2002−146217号公報 国際公開WO2007−126157号 特開2011−152788号公報
しかしながら、特開2011−152788号公報に記載の方法には、包装体が不透明化したり、酸素吸収性が低下したりするといった課題があった。食品包装材料においては、従来品よりもさらに優れた低臭気性、安全性、透明性が求められており、特に近年においてはレトルト包装材料への要請が高くなっている。レトルト処理のような厳しい条件で処理しても、不快な臭気を発生せず、包装材内の残存酸素を速やかに除去することが可能な酸素吸収性の組成物が求められている。
このような状況において、本発明の目的の1つは、優れた酸素吸収性を有し、酸素吸収による臭気の発生が少ない樹脂組成物を提供することである。
これまで、被酸化性樹脂における二重結合の間隔と酸素吸収後の分解物との関係について詳細に検討されたことはなかった。上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明者等は、隣接する炭素−炭素二重結合の間隔を拡げることによって、酸素吸収の際に発生する脂肪酸が高分子量化することを発見した。そして、高分子量化によって脂肪酸の揮発性が低下し、酸素吸収後の臭気が低下することを見出した。また、発生する脂肪酸が疎水化することによって水への脂肪酸の溶出が抑えられ、レトルトなどの用途においても優位性があることを見出した。本発明は、これらの新たな知見に基づく発明である。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と遷移金属塩とを含む酸素吸収性の樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂が、複数の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和炭素鎖を主鎖として含み、前記熱可塑性樹脂において、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素原子の数の平均が7〜13の範囲にある。
本発明の包装材は、本発明の樹脂組成物からなる層を含む。
本発明によれば、優れた酸素吸収性を有し、酸素吸収による臭気の発生が少ない樹脂組成物が得られる。さらに、本発明によれば、熱水存在下での処理(レトルト処理など)を行ったときでも不快な臭気の発生が少ない樹脂組成物を得ることが可能である。本発明の樹脂組成物を用いることによって、優れた特性を有する包装材が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、特定の材料や特定の数値範囲を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、本発明はそれらの例示に限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(以下では「熱可塑性樹脂(A)」という場合がある)と遷移金属塩(以下では「遷移金属塩(B)」という場合がある)とを含む酸素吸収性の樹脂組成物である。
(1.1)熱可塑性樹脂(A)の構造および性質
熱可塑性樹脂(A)は、複数の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和炭素鎖を主鎖として含む。以下では、当該不飽和炭素鎖を「不飽和炭素鎖(U)」という場合がある。熱可塑性樹脂(A)において、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素原子の数の平均は、7〜13の範囲にある。以下では、隣接する炭素−炭素二重結合を結ぶ炭素鎖を「炭素鎖(C)」という場合がある。また、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素原子の数(すなわち、炭素鎖(C)を構成する炭素原子の数)を「炭素数n」という場合がある。なお、炭素鎖(C)に結合した官能基や炭素鎖(C)に結合した側鎖に含有される炭素原子の数は、炭素数nには含まれない。熱可塑性樹脂(A)において、隣接する炭素−炭素二重結合は、炭素数nの炭素鎖(C)によって隔てられている。また、熱可塑性樹脂(A)は、主鎖が高分子量の環を構成する大環状重合体であってもよい。
熱可塑性樹脂(A)には、直鎖状の不飽和炭素鎖(U)に側鎖や官能基が結合した樹脂も含まれる。また、不飽和炭素鎖(U)の両端の構造に特に限定はなく、不飽和炭素鎖(U)の両端には、炭素原子以外の原子が結合していてもよい。ただし、不飽和炭素鎖(U)に結合する側鎖、官能基、および末端基には、問題となる量の不快な臭気を発生させないものを選択する必要がある。たとえば、炭素−炭素二重結合を含有する側鎖が不飽和炭素鎖(U)に結合している場合、不飽和炭素鎖(U)および側鎖を含む全体において、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素数nの平均が7〜13の範囲にある。
炭素数nの平均は、8〜13の範囲(たとえば8〜10の範囲)にあってもよい。また、すべての炭素鎖(C)の炭素数nが7〜13の範囲(たとえば8〜13や8〜10の範囲)にあってもよい。炭素数nは、例えば、オゾン分解GPC法などで測定することができる。
熱可塑性樹脂(A)は、その分子内に炭素−炭素二重結合を有するため、酸素と効率よく反応することが可能であり、その結果、酸素掃去機能(酸素吸収機能)が得られる。なお、この明細書において、「炭素−炭素二重結合」には、芳香環に含まれる二重結合は包含されない。また、この明細書中において「二重結合」という場合は、特に記載のない限り「炭素−炭素二重結合」を意味する。
熱可塑性樹脂(A)として、二重結合の各々が2〜5個の炭素によって隔てられている樹脂を用いる場合よりも、二重結合の各々が7個以上の炭素によって隔てられている樹脂を用いる場合には、酸素吸収後に発生する分解物が高分子量化することを本発明者等は見出した。二重結合の間隔を拡げることによって分解物が高分子量化して分解物の揮発性が下がるため、酸素吸収後においても臭気が発生することを抑制できる。一方、隣接する炭素−炭素二重結合が、13個より多い炭素で隔てられていると、樹脂組成物の単位重量当たりの酸素吸収量が減少するため、酸素吸収性の観点から好ましくない。
熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合の量は、好適には0.004mol/g〜0.0085mol/g、より好適には0.005mol/g〜0.0075mol/g、さらに好適には0.006mol/g〜0.007mol/gである。炭素−炭素二重結合の含有量が0.004mol/g未満である場合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能が不充分となるおそれがある。また、当該含有量が0.0085mol/g以上である場合、酸素吸収後に樹脂組成物が発する不快な臭気が増加する傾向がある。
典型的な熱可塑性樹脂(A)では、熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合が、実質的に、主鎖である不飽和炭素鎖(U)のみに存在する。ここで、「炭素−炭素二重結合が実質的に不飽和炭素鎖(U)のみに存在する」とは、熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合の90モル%以上が不飽和炭素鎖(U)中に存在することを意味する。この場合、酸素との反応によって二重結合やそのアリル位が部分酸化されたり切断されたりしても、側鎖中の二重結合が切断された場合のような低分子量の断片が生じにくい。従って、低分子量の分解物の発生が極めて少ない。低分子量の分解物の一部は不快な臭気物質であり、そのような分解物を生じないため不快臭を発生することがない。一例では、熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合が不飽和炭素鎖(U)のみに存在する。
熱可塑性樹脂(A)の一例では、熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合が、実質的に(たとえば完全に)、主鎖である不飽和炭素鎖(U)のみに存在し、不飽和炭素鎖(U)において、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素鎖(C)の炭素数nが上記範囲にある。
炭素鎖(C)は、典型的には飽和炭素鎖(単結合によって結合された複数の炭素原子からなる鎖)である。一例では、不飽和炭素鎖(U)において、隣接する炭素−炭素二重結合が、炭素数が7〜13の範囲にあるポリメチレン基で結ばれている。ここで、ポリメチレン基は、−(CH2n−の式で表される。
熱可塑性樹脂(A)では、すべての炭素鎖(C)の炭素数nが7以上であることが特に好ましい。飽和炭素鎖(U)の好ましい一例は、以下の式(1)で表される。
Figure 0005873770
式(1)において、隣接する炭素−炭素二重結合を結ぶ炭素鎖(C)の炭素数nは、7〜13の範囲(たとえば8〜13の範囲や8〜10の範囲)にある。mは自然数(重合度)を表す。式(1)の構造では、すべての炭素鎖(C)の炭素数nが等しい。熱可塑性樹脂(A)は、9員環以上15員環以下の環状オレフィンの開環メタセシス重合体であってもよい。そのような重合体は、nが7〜13の範囲にある式(1)の構造を有する。たとえば、環状オレフィンがシクロドデセンである場合には、式(1)の炭素数nが10である重合体が得られる。
熱可塑性樹脂(A)の分子量に特に限定はない。たとえば、熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜500,000の範囲にあることが好ましく、6,000〜200,000の範囲にあることがより好ましい。重量平均分子量が1,000未満である場合、得られる熱可塑性樹脂(A)の低分子量成分がレトルト時に溶出するおそれがある。また、重量平均分子量が500,000より大きい場合は成形加工性、ハンドリング性が低下するおそれがある。
(1.2)熱可塑性樹脂(A)の製造方法
熱可塑性樹脂(A)の製造方法は特に限定されない。熱可塑性樹脂(A)は、鎖状のジエン化合物の非環状ジエンメタセシス重合によって形成してもよいし、環状オレフィンの開環メタセシス重合によって形成してもよい。なお、炭素−炭素二重結合を結ぶ炭素鎖の炭素数nの平均が7に満たない重合体を部分的に水素添加(以下、水添と称する)することによって、炭素数nの平均を7〜13の範囲としてもよい。
熱可塑性樹脂(A)は、両末端に炭素−炭素二重結合を有する炭素数が11〜17の鎖状のジエン化合物を非環状ジエンメタセシス重合することによって形成してもよいし、9員環以上15員環以下の環状オレフィンを開環メタセシス重合することによって形成してもよい。これらの方法のうち、環状オレフィンの開環メタセシス重合による方法が、エチレンの副生がなく製造工程が複雑とならないため、特に有効である。通常、開環メタセシス重合では、不活性溶媒中において、必要に応じて重合触媒や連鎖移動剤等の存在下で、環状オレフィンを重合させる。以下に、開環メタセシス重合法による熱可塑性樹脂(A)の調製について説明する。
(1.2.1)環状オレフィン
熱可塑性樹脂(A)の原料となる炭素数9以上の環状オレフィンとしては、特に限定されないが、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン等のシクロモノエン類を用いることができる。これらは、アルコキシ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。入手性、経済性、酸素吸収剤としての使用を考慮すると、シクロドデセンが特に好ましい。
(1.2.2)重合触媒および連鎖移動剤
開環メタセシス重合の触媒としては、例えば、遷移金属ハロゲン化物を主成分とする触媒や、遷移金属カルベン錯体触媒等が挙げられる。遷移金属ハロゲン化物を主成分とする触媒は、周期表第4〜8族遷移金属の遷移金属ハロゲン化物を主成分とし、助触媒として遷移金属以外の有機金属化合物を含む触媒である。
また、遷移金属カルベン錯体触媒は、周期表第4〜8族遷移金属のカルベン錯体化合物であり、その例としては、タングステンカルベン錯体触媒、モリブデンカルベン錯体触媒、レニウムカルベン錯体触媒、ルテニウムカルベン錯体触媒等が挙げられる。
これらの開環メタセシス重合触媒は単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらの中でも、助触媒を必要とせず、しかも高活性であることから、遷移金属カルベン錯体触媒を使用するのが好ましい。さらに、重合体中への触媒残分の観点から、ルテニウムカルベン錯体触媒の使用が特に好ましい。
メタセシス反応の触媒の使用量に関して、触媒と、重合反応に供せられる環状オレフィン単量体とのモル比は、触媒:環状オレフィン単量体=1:100〜1:2,000,000の範囲にあってもよく、好適には1:500〜1:1,000,000の範囲、より好適には1:1,000〜1:700,000の範囲にある。触媒量が多すぎると反応後の触媒除去が困難となり、少なすぎると充分な重合活性が得られない場合がある。
上記連鎖移動剤は特に限定されないが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンや2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン等の内部オレフィンを使用することができる。これらは、水酸基、アルコキシ基、アシル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。これらは、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
連鎖移動剤の使用量は、重合反応において充分な分子量のポリマーが生成可能な量であればよく、特に制限されない。例えば、環状オレフィンと連鎖移動剤とのモル比は、環状オレフィン:連鎖移動剤=1,000:1〜20:1の範囲にあってもよく、好適には800:1〜50:1の範囲にある。
熱可塑性樹脂(A)は、炭素−炭素二重結合を結ぶ炭素鎖の炭素数nが7以下である重合体を部分的に水添することによって製造してもよい。そのような重合体は、両末端に炭素−炭素二重結合を有する炭素数11未満の鎖状のジエン化合物の非環状ジエンメタセシス重合によって形成してもよいし、炭素数9未満の環状オレフィンの開環メタセシス重合によって形成してもよい。水添反応は公知の方法により行うことができ、例えば、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、珪藻土等に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等との組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下、反応および水素添加触媒に対して不活性な溶媒に重合体を溶解させ、水素と反応させることにより行うことができる。
(2)遷移金属塩(B)
遷移金属塩(B)は、熱可塑性樹脂(A)の酸化反応を促進することによって、樹脂組成物の酸素掃去機能を向上させる効果を有する。遷移金属塩(B)を用いることによって、本発明の樹脂組成物を用いた包装材の酸素掃去機能が向上する。たとえば、遷移金属塩(B)を用いることによって、本発明の樹脂組成物を用いた包装材の内部に存在する酸素ガスおよび包装材を透過しようとする酸素ガスと熱可塑性樹脂(A)との反応が促進される。
遷移金属塩(B)に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好適であり、マンガンおよびコバルトがより好適であり、コバルトがさらに好適である。
遷移金属塩(B)に含まれる金属の対イオンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフテン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な塩としては、2−エチルヘキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトおよびステアリン酸コバルトが挙げられる。また、金属塩は、重合体性対イオンを有する、いわゆるアイオノマーであってもよい。
遷移金属塩(B)は、好適には、熱可塑性樹脂(A)の質量を基準として金属元素換算で1〜50,000ppmの割合で組成物中に含有される。遷移金属塩(B)は、より好適には5〜10,000ppmの範囲、さらに好適には10〜5,000ppmの範囲で含有される。本発明の樹脂組成物が、後述のように、熱可塑性樹脂(A)に加えてマトリックス樹脂(M)を含有する場合には、遷移金属塩(B)は、好適には、熱可塑性樹脂(A)およびマトリックス樹脂(M)の合計質量を基準として金属元素換算で1〜50,000ppmの割合で含有される。遷移金属塩(B)の含有量が1ppmに満たない場合は、樹脂組成物の酸素吸収効果が不充分となる場合がある。一方、遷移金属塩(B)の含有量が50,000ppmを超えると、樹脂組成物の熱安定性が低下し、分解ガスの発生やゲルやブツの発生が増える場合がある。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(B)のみからなるものであってもよいし、それらに加えて他の物質を含んでもよい。他の物質の例には、熱可塑性樹脂(A)以外の樹脂(後述するマトリックス樹脂(M)など)や酸化防止剤、脱臭剤が含まれる。ただし、他の物質として、不快な臭気を多量に発生させる原因となるような物質を用いることは好ましくない。
(3)マトリックス樹脂(M)
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてマトリックス樹脂(この明細書において「マトリックス(C)」という場合がある)を含んでもよい。マトリックス樹脂(M)は、熱可塑性樹脂(A)を希釈、あるいは分散させるための支持体としての機能を有する。また、マトリックス樹脂(M)は、マトリックス樹脂(M)が有する特性を樹脂組成物に付与する働きを有する。マトリックス樹脂(M)は、組成物の使用の目的に応じて適宜選択される。例えば、本発明の組成物にガスバリア性を付与したい場合には、マトリックス樹脂(M)としてガスバリア性樹脂が用いられる。ガスバリア性樹脂を含む組成物を用いて所定の成形体(容器等の)を形成した場合、該ガスバリア性樹脂は、成形体の外部にある酸素ガスが該成形体を透過することを抑制する。
マトリックス樹脂(M)となるガスバリア性樹脂としては、20℃で65%RHにおける酸素透過速度が500ml・20μm/(m2・day・atm)以下である樹脂が好適に用いられる。この酸素透過速度は、20℃、相対湿度65%の環境下で測定したときに、1気圧の酸素の差圧がある状態で、面積1m2、20μm厚のフィルムを1日に透過する酸素の体積が、500ml以下であることを意味する。酸素透過速度が500ml・20μm/(m2・day・atm)を超える樹脂を使用すると、ガスバリア性の効果が不充分となるおそれがある。ガスバリア性樹脂の酸素透過速度は、より好適には100ml・20μm/(m2・day・atm)以下であり、さらに好適には20ml・20μm/(m2・day・atm)以下であり、最も好適には5ml・20μm/(m2・day・atm)以下である。ガスバリア性樹脂と熱可塑性樹脂(A)の両方を用いることによって、ガスバリア効果に加えて酸素捕捉効果が発揮され、結果として極めて高度なガスバリア性を有する樹脂組成物を得ることができる。
ガスバリア性樹脂の代表的な例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等が挙げられるが、ガスバリア性樹脂はこれらの樹脂に限定されない。なお、不快な臭気を発生させる原因となる樹脂をガスバリア性樹脂として多量に用いることは好ましくない。たとえば、炭素数nが6以下の炭素鎖によって結合された複数の炭素−炭素二重結合を含有する樹脂をガスバリア性樹脂として多量に用いることは好ましくない。そのため、本発明の樹脂組成物は、そのような樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
(樹脂組成物の利用)
本発明の樹脂組成物を用いて成形体(たとえば包装材)を形成することによって、酸素吸収性が高い種々の成形体が得られる。そのような成形体の例には、当該樹脂組成物からなる層を含む、多層フィルム、多層容器、キャップ等が含まれる。本発明の樹脂組成物は、酸素による劣化を受けやすく、かつ香りが重視される物品(たとえば食品化粧品)を保存するための容器に特に好適に用いられる。また、本発明の樹脂組成物は、レトルト処理を必要とする食品などの包装材料としても好適に用いられる。さらに、本発明の樹脂組成物は、高い酸素掃去機能を有するため、取り扱いの容易な酸素吸収剤としても有用である。
本発明の包装材は、本発明の樹脂組成物からなる層を含む。以下では、本発明の樹脂組成物からなる層を「層(Y)」という場合がある。本発明の包装材の典型的な一例は、層(Y)と他の層(フィルム)との積層膜である。そのような積層膜は、たとえば、層(Y)と他の層とをラミネート又は共押出成形することによって形成できる。ラミネートの方法に限定はなく、公知の方法を用いてもよい。たとえば、接着剤を用いる方法や、溶融した樹脂を用いる方法を採用できる。
本発明の包装材は、成形された包装材であってもよく、たとえば、所定の形状に成形された、容器や袋や蓋であってもよい。本発明の包装材の例には、レトルトパウチなどのレトルト用包装材が含まれる。
本発明の包装材が積層膜である場合、各層の厚さ、および、層(Y)と積層される他の層の種類は、積層膜に求められる特性に応じて選択すればよい。積層される他の層の例には、ポリオレフィン層、ポリアミド層、ポリエステル層などが含まれる。また、成形時に発生するトリムなどのスクラップからなる回収樹脂を用いた層を設けてもよい。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
(1)熱可塑性樹脂(A)の分子構造および水添率
熱可塑性樹脂(A)の分子構造および水添率(合成例4のみ)は、1H−NMR(核磁気共鳴)測定によって得られたスペクトルから決定した。
<測定条件>
装置:日本電子社製 JNM−GX−500型
観測周波数:500MHz
溶媒:重水素化オルトジクロロベンゼン
温度:100℃
<解析方法>
化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準とした。5.65ppmの二重結合由来のプロトンのピークの積分値A、1.55ppmのメチレン(アリル水素を除く)のプロトンのピークの積分値B、2.25ppmのメチレン(アリル水素)のプロトンのピークの積分値Cから、熱可塑性樹脂の二重結合量を算出した。
また、水添率は上記積分値A、B及びCを用いて、以下の式から計算した。
水添率(%)=((B+C)/A−6)/((B+C)/A+2)×100
(2)熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定を行ない、ポリスチレン換算値として表記した。
<測定条件>
装置:Waters製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)V2000
カラム:HT−806M(×2)(商品名:Shodex)(カラム温度:90℃)
移動相:オルトジクロロベンゼン(o-DCB)(流速:1.0ml/分)
検出器:RI
標品:ポリスチレン
(合成例1)ポリシクロドデセンの合成
攪拌機および温度計を装着した容量5リットルのガラス製3つ口フラスコを乾燥した窒素ガスで置換した後、これに、シクロドデセン166g(1.0mol)、4−ビニル−1−シクロヘキセン183mg(1.7mmol)を入れ、ヘプタン624gに溶解させた。
次いで、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド8.48mg(10μmol)を、トルエン1gに溶解させた触媒液を調製した。この触媒液を上記のヘプタン溶液にすばやく加え、70℃で開環メタセシス重合を行った。重合開始から5分後に、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)によって分析したところ、4−ビニル−1−シクロヘキセンは消失していた。このようにして、シクロドデセンの開環メタセシス重合を行った。
得られた反応液にメタノール600gを添加し、40℃で30分間攪拌し、さらに40℃で1時間静置することによって分液した後、下層(メタノールの層)を除去した。残った上層(ヘプタン層)に、再びメタノール600gを添加し、40℃で30分間攪拌し、さらに40℃で1時間静置することによって分液した後、下層(メタノールの層)を除去した。残った上層(ヘプタン層)からヘプタンを減圧によって留去した。得られた反応生成物を、次に、真空乾燥機によって、50Pa、40℃で24時間乾燥した。このようにして、重量平均分子量が100,500の重合体132.8g(収率80%)を得た。
(合成例2)ポリシクロデセンの合成
モノマーをシクロデセン138g(1.0mol)としたこと以外は合成例1と同様に操作を行い、重量平均分子量が107,400の重合体114.5g(収率83%)を得た。
(合成例3)ポリシクロオクテンの合成
モノマーをシクロオクテン110g(1.0mol)としたこと以外は合成例1と同様に操作を行い、重量平均分子量が189,900、の重合体96.8g(収率88%)を得た。
合成例1〜3で合成されたポリシクロドデセン、ポリシクロデセン、およびポリシクロオクテンは、出発材料、合成方法および分析結果から、式(1)の構造を有すると考えられる。具体的には、ポリシクロドデセン、ポリシクロデセン、およびポリシクロオクテンは、それぞれ、式(1)のnが10、8、および6である構造を有すると考えられる。
(合成例4)水添ポリシクロオクテンの合成
1.3Lのオートクレーブに、合成例3で得られたポリシクロオクテン40gを入れ、シクロヘキサン(687g)に溶解させた。次に、容器内を窒素置換し、得られた溶液に、オクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムの反応生成物を水添触媒として添加し、水素ガスをオートクレーブ内に導入することによって水添反応を行った。この操作を繰り返して、目的の水添率を達成した後、クエン酸水溶液およびH22を用いて反応を停止した。得られた反応生成物をメタノールで再沈した後、40℃の条件で減圧乾燥を一晩行った。このようにして、水添ポリシクロオクテン36g(収率90%)を得た。得られた水添ポリシクロオクテンの分子構造を上記の方法で測定したところ、水添率が36%であり、隣接する二重結合が平均10個の炭素によって隔てられた構造を有していた。
(実施例1)
合成例1で得られたポリシクロドデセン100質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.42質量部(コバルト原子として400ppm)をドライブレンドし、ローラミキサ(株式会社東洋精機製のLABO PLASTOMIL MODEL R100)を用いて5分間溶融混練することによって、塊状の混合物を得た。溶融混練は、190℃、スクリュー回転数60rpm、全樹脂量70.59gの条件で、チャンバ内を窒素パージしながら行った。得られた塊状物をペレット状にカットして、ポリシクロドデセンおよびステアリン酸コバルトからなる樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、超遠心粉砕機(Retsch製のZM100)を用いて粉砕した。次に、粉砕物を篩にかけて100μm以下の粉体を回収した。得られた粉体の20mgを、23℃で50%RHの空気を満たしておいた内部容量20mlのバイアル瓶に入れ、60℃の恒温器中に3日間放置した。そして、3日間放置後の試料のヘッドスペースのガス成分を、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって定量した。GC−MSの測定条件は以下のとおりである。
熱脱離装置:ヘッドスペースサンプラー JHS−100A(日本分析工業株式会社製)
再脱離温度:320℃、25秒
MS装置:JMS SX102A質量分析計(日本電子株式会社製)
データ処理:MS−MP7000データ処理システム(日本電子株式会社製)
GC装置:HP5890(ヒューレットパッカード製)
キャリアーガス:ヘリウム 20ml/分
カラム:Pora PROT Q 25m×0.32mmID
カラム温度:80℃〜250℃(昇温速度 8℃/分)
注入口温度:270℃
セパレータ温度:270℃
検量線は、ヘキサン中に、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸を所定量溶かし、60℃で保管し、発生したガスを採集することによって作成した。測定サンプルの単位質量あたりに発生するガス量は、次式によって算出した。
発生ガス量(ppm=μg/g)=発生ガス量(μg)/仕込みサンプル量(g)
(実施例2)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例2で得られたポリシクロデセンを使用したこと以外は実施例1と同様にして粉体を作製し、その粉体を用いて実施例1と同様の方法で発生ガスを分析した。
(実施例3)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例4で得られた水添ポリシクロオクテンを使用したこと以外は実施例1と同様にして粉体を作製し、その粉体を用いて実施例1と同様の方法で発生ガスを分析した。
(比較例1)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例3で得られたポリシクロオクテンを使用したこと以外は実施例1と同様にして粉体を作製し、その粉体を用いて実施例1と同様の方法で発生ガスを分析した。
(臭気評価)
実施例1〜3および比較例1で得られた粉体0.02gを、23℃で50%RHの空気を満たしておいた内部容量85mlの瓶に入れ、3日間保管した。その後、パネリスト5人が試料のヘッドスペースガスを以下の基準に従って評価し、その平均を求めた。評価点の小さい方が、臭いがより少ない。
臭いが全く感じられない・・・・・評価点 0
臭いが僅かに感じられる・・・・・評価点 1
酸臭が少し感じられる・・・・・・評価点 2
酸臭が強い・・・・・・・・・・・評価点 3
(酸素吸収性評価)
実施例1〜3、比較例1で得られた紛体0.02gを、23℃で50%RHの空気をみたしておいた内部容量85mlの瓶に入れて密封した。その後、一定期間ごとに瓶の中の酸素濃度を測定し、吸収された酸素の量を算出した。
実施例1〜3および比較例1について、用いた熱可塑性樹脂(A)および測定結果を表1に示す。
Figure 0005873770
表1に示すように、実施例1〜3の樹脂組成物では、吉草酸やヘキサン酸などの低分子量の臭気物質の発生量が少なかった。実施例1〜3の樹脂組成物は、比較例1の樹脂組成物よりも臭気が低かった。実施例1〜3の中でも、ポリシクロドデセンを用いた実施例1の樹脂組成物は特に臭気が低かった。また、実施例1〜3の樹脂組成物は、酸素吸収剤としての酸素吸収能を十分に有していた。
(実施例4)
合成例1で得られたポリシクロドデセン8質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.42質量部(コバルト原子として400ppm)、EVOH92質量部をドライブレンドし、ローラミキサ(株式会社東洋精機製のLABO PLASTOMIL MODEL R100)を用いて5分間溶融混練することによって、塊状の混合物を得た。溶融混練は、190℃、スクリュー回転数60rpm、全樹脂量70.59gの条件で、チャンバ内を窒素パージしながら行った。得られた塊状物をペレット状にカットして、ポリシクロドデセン、ステアリン酸コバルト、およびEVOHからなる樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物を200℃に加熱してプレスし、約200μmの厚さのフィルムを得た。
そのフィルムの両面に、厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製OP−#20 U−1)を、接着剤を用いて積層した。接着剤には、ウレタン系接着剤(東洋モートン製、商品名:AD335A)と硬化剤(東洋モートン製、商品名:Cat−10)とを、トルエン/メチルエチルケトン混合溶液(重量比1:1)との混合物を用いた。このようにして、延伸ポリプロピレンフィルム層/ウレタン系接着剤層/上記樹脂組成物層(酸素吸収性フィルム層)/ウレタン系接着剤層/延伸ポリプロピレンフィルム層という層構成の積層シートを作製した。
次に、得られた積層シート2枚を重ね合わせてヒートシールし、30cm×30cmのパウチを作製した。パウチ内部には水を入れた。このパウチを、60日間、30℃で80%RHの雰囲気下で保管した。そして、保管後のパウチ内部の水を、パネリスト5人が以下の基準に従って味見評価し、その平均を求めた。評価点の小さい方が、不快な味がより少ない。
不快な味が全くしない・・・・・・評価点 0
不快な味が僅かにする・・・・・・評価点 1
不快な味が少しする・・・・・・・評価点 2
不快な味が強い・・・・・・・・・評価点 3
(実施例5)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例2で得られたポリシクロデセンを使用したこと以外は実施例4と同様にして、パウチの作製および評価を行った。
(実施例6)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例4で得られた水添ポリシクロオクテンを使用したこと以外は実施例4と同様にして、パウチの作製および評価を行った。
(比較例2)
ポリシクロドデセンに代えて、合成例3で得られたポリシクロオクテンを使用したこと以外は実施例4と同様にして、パウチの作製および評価を行った。
実施例4〜6および比較例2について、用いた熱可塑性樹脂(A)および評価結果を示す。
Figure 0005873770
表2に示すように、実施例4〜6の包装材は、比較例2の包装材に比べて評価が高かった。実施例4〜6の中でも、ポリシクロドデセンを用いた包装材は、特に評価が高かった。
以上のように、本発明によれば、優れた酸素吸収性を有し、酸素吸収による不快な臭気の発生が少ない樹脂組成物が得られる。さらに、本発明によれば、上記性能に加えて、レトルト処理等の熱水による処理を行っても不快な臭気の発生が少ない酸素吸収性の樹脂組成物を得ることができる。
本発明は、樹脂組成物およびそれを用いた様々な物品(成形体、包装材、酸素吸収剤など)に利用できる。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂と遷移金属塩とを含む酸素吸収性の樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂が、複数の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和炭素鎖を主鎖として含み、
    前記熱可塑性樹脂において、隣接する炭素−炭素二重結合の間に存在する炭素原子の数の平均が7〜13の範囲にある、樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂に含まれる炭素−炭素二重結合が、前記不飽和炭素鎖のみに存在する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記不飽和炭素鎖において、隣接する炭素−炭素二重結合が、炭素数が7〜13の範囲にあるポリメチレン基で結ばれている、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、9員環以上15員環以下の環状オレフィンの開環メタセシス重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記環状オレフィンがシクロドデセンである請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. マトリックス樹脂をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記マトリックス樹脂が、20℃で65%RHにおける酸素透過速度が500ml・20μm/(m2・day・atm)以下の樹脂である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層を含む包装材。
  9. レトルト用包装材である、請求項8に記載の包装材。
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