JP5362238B2 - 酸素吸収性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
で示されるアリルエーテル構造単位(以下、単に構造単位(I)と称する)からなる熱可塑性樹脂(A)(以下、熱可塑性樹脂(A)と称する)を含有する酸素吸収性樹脂組成物を提供することにより達成される。好適な実施態様では、上記可塑性樹脂(A)がポリ[オキシ(ブタ−2−エン−1,4−ジイル)]である。
(1)熱可塑性樹脂(A)
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、構造単位(I)からなる熱可塑性樹脂(A)を含有する。式中、R1およびR2がそれぞれ表すアルキル基の炭素原子数は好ましくは1〜5であり、アリール基の炭素原子数は好ましくは6〜10であり、アルキルアリール基の炭素原子数は好ましくは7〜11である。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が、アリール基の例としてはフェニル基が、アルキルアリール基の例としてはベンジル基がそれぞれ挙げられる。また、R1とR2が一緒になって表すアルキレン基、オキシアルキレン基の炭素原子数は好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜5である。これらのアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルキレン基は、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基などの置換基を有していてもよい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じて遷移金属塩(B)を含有する。遷移金属塩(B)に含まれる遷移金属としては、例えば鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウムなどが挙げられる。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好ましく、マンガンまたはコバルトがより好ましく、コバルトがさらに好ましい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じてマトリックス樹脂(C)を含有する。このマトリックス樹脂(C)は、熱可塑性樹脂(A)を希釈しあるいは分散させるための支持体として機能し、かつマトリックス樹脂(C)が有する特性を本発明の酸素吸収性樹脂組成物に付与する。含有させるマトリックス樹脂(C)は、本発明の酸素吸収性樹脂組成物の使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、本発明の酸素吸収性樹脂組成物にガスバリア性を付与したい場合には、マトリックス樹脂(C)としてガスバリア性樹脂を用いる。その他の機能を付与したい場合には、目的に応じて樹脂を選択する。例えば、ガスバリア性樹脂を含む本発明の酸素吸収性樹脂組成物を容器などの成形体とすると、該ガスバリア性樹脂は、外部からの酸素が該成形体を通して移動するのを制御する働きを有する。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、上述のように、熱可塑性樹脂(A)を含有し、さらに必要に応じて、遷移金属塩(B)、マトリックス樹脂(C)、各種添加剤などを含有する。
CDCl3を溶媒とし、1H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)により決定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行ない、ポリスチレン換算値として表記した。測定の詳細条件は以下のとおりである。
<分析条件>
装置 :Shodex製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)SYSTEM−11
カラム:KF−806L(Shodex) カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン 流速:1.0mL/分
検出器:RI 濾過:0.45μmフィルター 濃度:0.1%
DMSO−d6を溶媒とし、1H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)により算出した。
後述の各実施例および参考例で得られた酸素吸収性樹脂組成物のペレットを、常法に従い、ミクロトームで切断し、断面に減圧下で白金を蒸着した。白金が蒸着された断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて切断面に対して垂直方向から10,000倍に拡大して写真撮影し、写真中の熱可塑性樹脂(A)からなる粒子20個程度を含む領域を選択して、該領域中に存在する各々の粒子像の粒径を測定し、その平均値を算出して、これを分散粒子径とした。なお、各々の粒子の粒径については、写真中に観察される粒子の長径(最も長い部分)を測定し、これを粒径とした。
攪拌機および温度計を備えた容量3000mLの3つ口フラスコ内を乾燥窒素で置換した後、2,5−ジヒドロフラン700g(1mol)を仕込んだ。次いでMo(N−2,6−Pri 2C6H3)(CHBut)[OCMe(CF3)2]17.4g(0.03mol)を上記溶液に加えて、27℃で開環メタセシス重合を行った。24時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析した。その後、エチルビニルエーテル11g(150mmol)を添加し、反応を停止した。
得られた反応液にトルエン1000gを添加し、30℃で30分間攪拌した後、水300gを添加した。下層を除去し、この操作を3回繰り返した。有機相を減圧下で濃縮し、次いで真空乾燥機を用いて1Pa、60℃で24時間乾燥することで、重量平均分子量(Mw)20,000、数平均分子量(Mn)18,000のポリ[オキシ(ブタ−2−エン−1,4−ジイル)](以下、(A−1)と称する)206g(2,5−ジヒドロフラン基準の収率:30%)を得た。
エチレン含有量:32モル%、ケン化度:99.6%のEVOH90g、(A−1)10gおよびステアリン酸コバルト(II)0.08484g(コバルトとして800ppm;対(A−1))をドライブレンドし、ローラミキサ((株)東洋精機製LABO PLASTOMIL MODEL R100)を用い、チャンバ内を窒素パージしながら溶融混練し、5分後に塊状で取出した。得られた塊状物をペレット状にカットして、EVOH、(A−1)およびステアリン酸コバルトからなる酸素吸収性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットの切断面をSEMで観察したところ、粒子径1μm以下の(A−1)がEVOHからなるマトリックス中に分散していた。
実施例1において、ステアリン酸コバルトを添加しなかった以外は、実施例1と同様に酸素吸収性樹脂組成物を作成した。このペレットの切断面をSEMで観察したところ、粒子径1μm以下の(A−1)がEVOHからなるマトリックス中に分散していた。得られたペレットを破砕し、実施例1と同様にしてその酸素吸収量評価を行なった。結果を表1および図1に示す。また、16日経過後の規格瓶中の臭気を実施例1と同様にして評価したところ、ほとんど臭気がないことが確認された。
実施例1において、(A−1)10gの代わりに数平均分子量60,000のポリオクテニレン(デグッサ社製)10gを用いた以外は、実施例1と同様に酸素吸収性樹脂組成物を作成した。このペレットの切断面をSEMで観察したところ、粒子径1μm以下のポリオクテニレンがEVOHからなるマトリックス中に分散していた。得られたペレットを破砕し、実施例1と同様にしてその酸素吸収量評価を行なった。結果を表1および図1に示す。また、16日経過後の規格瓶中の臭気を実施例1と同様にして評価したところ、ほとんど臭気がないことが確認された。
Claims (7)
- 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリ[オキシ(ブタ−2−エン−1,4−ジイル)]である請求項1に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(B)よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- 前記遷移金属塩(B)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩およびコバルト塩からなる群から選択される少なくとも1種の金属塩である、請求項3に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- さらにマトリックス樹脂(C)を含有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- 前記マトリックス樹脂(C)が、エチレン含有量5〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項5に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(A)からなる粒子が前記マトリックス樹脂(C)のマトリックス中に分散されている、請求項5または6に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
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