JP5872931B2 - ターボ冷凍機 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心圧縮機を用いたターボ冷凍機に関するものである。
冷凍機には、遠心圧縮機を用いたターボ冷凍機が知られている。このターボ冷凍機は、ビルの大型空調や、化学プラントにおける冷却設備等、多岐にわたって使用されている。そして、近年、環境問題への意識の高まりから、このターボ冷凍機においても冷凍能力の向上による高性能化が求められている。
また、高性能化が求められている一方で、コストダウンの観点からは、圧縮機の段数を低減することが必要とされている。従って、コストダウンのために圧縮機段数を低減したとしても冷凍能力は維持しなければならず、即ち、冷凍能力のさらなる向上の必要性が増している。
ここで、特許文献1に開示されている、直列に接続した二つの減圧装置(膨張弁とキャピラリチューブ)の間に、気液分離器を配置し、一つ目の減圧装置を通過した冷媒から気相と液相とを分離した後に液相のみを二つ目の減圧装置へ導入して減圧を行なっている。このようにすることで、蒸発器前後の冷媒のエンタルピー差である冷凍能力Rの向上を図っている。
特開2006−292229号公報
しかしながら、特許文献1に開示された構造は、スクリュー圧縮機に限定されたものであり、インペラを備えた遠心圧縮機に適用した例は示されていない。
ここで、これまで、複数のインペラを有する多段遠心圧縮機を圧縮機に適用したターボ冷凍機においては、圧縮機の段間であるインペラ同士の間に配された流路に、気液分離器で分離された冷媒の気相を吹き込むことで、気液分離器によって冷凍能力の向上を図っていた。このため、気液分離器の設置数量は、圧縮機の段数よりも一つ少ない数量となってしまい、気液分離器を用いた冷凍能力の向上については、これ以上は望めなかった。
さらに、上述のように、気液分離器からの冷媒の気相をインペラ同士の間の流路に吹き込んでいるため、例えば一つのインペラによって圧縮を行なう単段遠心圧縮機を圧縮機に採用する場合には、気液分離器で分離された冷媒の気相を吹き込むことができない。従って、単段遠心圧縮機に対して気液分離器を適用することが困難であった。このため、単段遠心圧縮機を用いた冷凍機においては、気液分離器を用いて冷凍能力の向上を図ることは難しかった。
このように、気液分離器を用いる際には、その設置数量が圧縮機の段数に制限されてしまい、圧縮機の段数を低減しながらの冷凍能力向上は困難であった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、コストを抑制しながら冷凍能力を向上して、性能向上を図ったターボ冷凍機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係るターボ冷凍機は、複数のブレードを有するインペラの回転により、冷媒を圧縮する遠心圧縮機と、圧縮された前記冷媒を冷却する凝縮器と、前記凝縮器からの前記冷媒を減圧して気液二相とするとともに、前記遠心圧縮機の段数よりも多い数量が直列接続された複数の減圧器と、これら複数の減圧器を通過した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、これら減圧器同士の間に一つずつ配置され、前記冷媒を気液二相に分離する複数の気液分離器と、前記複数の気液分離器において前記冷媒から分離されたそれぞれの気相を、隣接する前記ブレード間の前縁と後縁との間に、前記前縁と前記後縁との間に離間して流入させる複数の流入路とを備えることを特徴とする。
このようなターボ冷凍機によると、気液分離器において、冷媒から分離された気相が、流入路からブレードの前縁と後縁との間に吹き込まれる。このため、必ずしも遠心圧縮機の段間となるインペラ同士の間に、気液分離器で冷媒から分離された気相を吹き込む必要が無く、遠心圧縮機の段数が単段であったとしても、また、多段であったとしても、遠心圧縮機の段数に左右されることなく、確実に気液分離器を設置できる。
そして気液分離器によっては、冷媒を液相のみの状態とすることができるため、再度、減圧器で減圧を行なうことが可能となる。即ち、例えば冷凍サイクルが単段圧縮単段膨張サイクルであったものを、単段圧縮二段膨張サイクルとすることができる。従って、気液分離器によって冷媒から気相を分離しない場合と比較して、蒸発器通過前後の冷媒のエンタルピー差を大きくすることができ、冷凍能力の向上が可能となる。さらに、気液分離器によって冷媒から分離された気相を遠心圧縮機内に吹き込むことで、圧縮機内の冷媒の温度を低減でき、圧縮効率の向上も可能となる。
また、前記流入路は、前記ブレードの前縁と後縁との中間部よりも前縁側に前記気相を流入させてもよい。
流入路が、このように気相を流入させることによって、特に、インペラのブレード周りの前縁側で発生する失速領域を増速でき、サージの抑制効果の向上によって、遠心圧縮機の作動範囲の拡大につながる。従って、さらなる性能向上が可能となる。
さらに、前記流入路は、前記インペラの子午面における前記冷媒の流通方向に前記気相を流入させてもよい。
流入路が、このように気相を流入させることで、インペラ内を流通する冷媒の主流に気相が混合される際に主流の流れの円滑性を妨げることがなく、混合ロスを低減して、インペラのさらなる性能向上が可能となる。
また、前記流入路は、該流入路の内周面に、前記ブレードに平行に設けられたガイドベーンを有していてもよい。
このようなガイドベーンによって、気液分離器からの気相が流入路を通じて吹き込まれ、インペラ内の冷媒の主流に混合する際に、主流の流れの方向に沿って、周方向に同一方向に流入することとなる。従って、主流の流れの円滑性を妨げることがなく、混合ロスを低減してインペラの性能向上が可能となる。
さらに、前記流入路は、前記ブレード側の端部が、下流側に向かって拡径していてもよい。
このように、流入路がブレード側で拡径していることで、気相の流速を減少させた状態で、気相をインペラ内へ吹き込むことができる。従って、インペラ内の主流に気相が混合される際に、主流の流れの円滑性を妨げることがなく、混合ロスを低減してインペラの性能低下を防止することができる。
本発明のターボ冷凍機によると、隣接するブレード間の前縁と後縁との間に流入路を設けることで、遠心圧縮機の段数によって設置数量が制限されることなく、気液分離器の設置が可能となる。従って、遠心圧縮機の段数を低減してコストを抑制しながら冷凍能力を向上でき、性能向上が可能となる。
本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機を示す全体系統図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、インペラ周辺を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、インペラの全体斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機に関し、冷凍サイクルを簡略化して示す図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、インペラ周辺を示す断面図であって、インペラがクローズド型である場合を示すものである。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機の第一変形例を示す全体系統図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機の第二変形例を示す全体系統図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機の第三変形例を示す全体系統図である。 本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機の第三変形例のおける遠心圧縮機に関し、インペラ周辺を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、インペラ周辺を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、流入路を径方向外側から見た図であって、図10のA−A断面を示すものである。 本発明の第三実施形態に係るターボ冷凍機における遠心圧縮機に関し、インペラ周辺を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係るターボ冷凍機の第一変形例を示す全体系統図である。 本発明の第三実施形態に係るターボ冷凍機の第二変形例を示す全体系統図である。
以下、本発明の第一実施形態に係るターボ冷凍機1Aについて説明する。
ターボ冷凍機1Aは、遠心圧縮機等のターボ式の圧縮機を用いた冷却装置であり、オフィスビル等の大規模設備における空調装置に用いられるものである。
そして、図1に示すように、このターボ冷凍機1Aは、冷媒Wを圧縮する遠心圧縮機10と、圧縮された冷媒Wを冷却する凝縮器11と、凝縮器11からの冷媒Wを減圧する第一膨張弁(減圧器)12と、第一膨張弁12からの冷媒Wを気液二相に分離するエコノマイザ(気液分離器)14とを備えている。
さらに、エコノマイザ14からの気相W1を、遠心圧縮機10内へ流入可能とする流入路16と、エコノマイザ14からの液相を再度減圧する第二膨張弁(減圧器)13と、第二膨張弁13からの冷媒Wを蒸発させる蒸発器15とを備えている。
ここで、上記冷媒Wは、例えば、代替フロンのR134a(ハイドロフルオロカーボン)等が用いられる。
図2に示すように、遠心圧縮機10は、軸線P回りに回転可能とされた回転軸5に取り付けられ、回転軸5とともに軸線P回りに回転可能とされたインペラ18と、インペラ18を軸線Pの径方向外側から覆うケーシング17とを備えている。
回転軸5は、図示しない電動機等に軸結合され、軸線P回りに回転可能とされている。
図3に示すように、インペラ18は、軸線P方向の一方側(図3における上側)となる冷媒Wの流入する上流側の面が、上流側から下流側に向かうに従って、軸線Pの径方向内側から外側に漸次拡径する曲面とされたディスク20と、この曲面から立ち上がるように設けられた複数(本実施形態では17枚)の羽根状をなすブレード21とを有している。
また、本実施形態では、インペラ18はシュラウドの無いオープン型となっている。
そして、隣接するブレード21同士の間は、冷媒Wが上流側から下流側へ流通可能な主流路FCとされている。
ケーシング17は、インペラ18との間に間隙をあけた状態でインペラ18を径方向外側から覆う部材である。
ここで、本実施形態では、遠心圧縮機10は一つのインペラ18によって冷媒Wの断熱圧縮を行なう単段圧縮機となっている。
凝縮器11は、遠心圧縮機10で圧縮された冷媒Wを冷却水等によって熱交換させることで冷却し、液体の状態とするものである。
第一膨張弁12は、凝縮器11からの液体の冷媒Wを断熱膨張して減圧し、液体の一部を蒸発させることによって、冷媒Wを気液二相の状態とするものである。
エコノマイザ14は、第一膨張弁12において気液二相の状態とされた冷媒Wを気相W1と液相とに分離するものである。
流入路16は、エコノマイザ14によって気液二相の冷媒Wから分離された気相W1を、遠心圧縮機10のインペラ18における主流路FCに流入可能とするものである。具体的には、ブレード21の上流側の端部となる前縁21aと、下流側の端部となる後縁21bとの間において、遠心圧縮機10のケーシング17に設けられて、インペラ18側を向く面に開口した流入口22と、流入口22とエコノマイザ14とを接続する流入管23とを有している。
流入口22は、ケーシング17の内外を貫通するように形成され、さらに、その開口位置は、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの中間部よりも前縁21a側に形成されていることがより好ましい。
第二膨張弁13は、第一膨張弁12と同様に、エコノマイザ14で気相W1が分離されて、液相のみとなった冷媒Wを断熱膨張して減圧するものである。
蒸発器15は、第二膨張弁13からの冷媒Wを水等との間で熱交換して蒸発させ、飽和蒸気の状態とするものである。
このようなターボ冷凍機1Aにおいては、図4に示すp−h線図によると、実線で示したように、まず点Aから遠心圧縮機10によって気体の冷媒Wが断熱圧縮されて等エントロピーの状態で点Bに至る。その後、凝縮器11によって気体の冷媒Wが冷却されて飽和液の状態となり、飽和曲線上の点Cに至り、さらに、第一膨張弁12によって液体の冷媒Wが断熱膨張され、気液二相の状態となって点Dに至る。
ここで、第一膨張弁12を通過した冷媒Wは、エコノマイザ14によって気相W1が分離され、この気相W1が、流入路16の流入口22から遠心圧縮機10におけるインペラ18の主流路FCへ吹き込まれる。従って、冷媒Wの液相のみが残されることで、冷媒Wが飽和液の状態となった状態で第二膨張弁13へ導入されることとなり、即ち、図4の点Dからは飽和曲線上の点Eに至ることとなる。
点Eからは、第二膨張弁13によって、液相のみとなった冷媒W、即ち液体の冷媒Wが再度断熱膨張され、点Fに至る。そして、点Fからは、蒸発器15によって液体の冷媒Wが蒸発させられて飽和蒸気の状態となり、飽和曲線上の点Aに至る。
このように、流入路16における流入管23を通じて、遠心圧縮機10のケーシング17に形成された流入口22からインペラ18の主流路FCに、冷媒Wの気相W1を導入可能としているため、単段遠心圧縮機を用いた場合であっても、エコノマイザ14設置することが可能となる。即ち、図4における点Dから点Eにおける等圧変化分を冷凍サイクルに追加できることとなる。
ここで、図4の破線で示したように、仮にエコノマイザ14を設置しない場合には、図4における点Dから点Eの線分が存在せず、即ち、点Fが、点F1に位置することとなる。従って、点Fよりも高エンタルピーの側に点F1が位置しており、点Aと点F1との距離R1よりも、点Aと点Fとの距離Rの方が大きくなっていることが確認できる。
これは、図4において、破線で示した冷凍サイクルは単段圧縮単段膨張サイクルである一方で、実線で示したものは単段圧縮二段膨張サイクルとなっていることを示している。
このように、冷媒Wから気相W1を分離しない単段圧縮単段膨張サイクルを、エコノマイザ14を設置して単段圧縮二段膨張サイクルとすることができ、蒸発器15通過前後の冷媒Wのエンタルピー差を大きくすることができる。即ち、R>R1となり、冷凍能力の向上が可能となる。
さらに、エコノマイザ14によって、冷媒Wから分離された気相W1を遠心圧縮機10内に吹き込むことで、遠心圧縮機10内の冷媒Wの温度を低減することが可能となるため、圧縮効率を向上できる。
また、流入口22の開口位置は、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの間に、好ましくはブレード21の前縁21aと後縁21bとの中間部よりも前縁21a側に形成されているため、ブレード21周りの前縁21a側で発生する失速領域を増速できる。従って、サージの抑制効果を向上して、遠心圧縮機10の作動範囲の拡大につながる。
本実施形態のターボ冷凍機1Aによると、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの間に、好ましくは前縁21a側に流入路16の流入口22を設け、主流路FCへエコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1を流入可能としたことで、単段遠心圧縮機にもエコノマイザ14の設置が可能となる。従って、遠心圧縮機10を単段とし、即ち、段数を低減することでコストを抑制しながら冷凍能力を向上でき、さらに、圧縮効率の向上も可能となるため、性能向上を図ることができる。
なお、第一膨張弁12、第二膨張弁13は、例えば金属製の毛細管よりなるキャピラリチューブ等であってもよい。
また、本実施形態では、インペラ18がオープン型である場合について説明を行なったが、例えばシュラウド29を有するクローズド型のインペラ18Aであってもよく、この場合、エコノマイザ14からの流入路16の流入口22は、図5に示すように、シュラウド29の外側のダイヤフラム28に形成されていることとなる。
そしてこの場合、気相W1は、シュラウド29とダイヤフラム28の隙間に吹き込まれ、シール24を通ってインペラ18Aの主流路FCへ上流側から吸込まれる。
ここで、例えば、図6に示すように、遠心圧縮機10に二段遠心圧縮機を適用した場合にも、本実施形態で説明したエコノマイザ14を設置して、遠心圧縮機10のケーシング17にエコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1をインペラ18の主流路FCへ導入することが可能である。
具体的には、三つの膨張弁25、26、27を直列に接続して、各々の間に二つのエコノマイザ14を設置する。そして、一方のエコノマイザ14からの流入管23は、一方のインペラ18の流入口22に接続され、他方のエコノマイザ14からの流入管23は、他方のインペラ18の流入口22に接続されている。
このように、必ずしもインペラ18同士の間である段間に、エコノマイザ14からの流入管23を接続する必要がなくなるため、遠心圧縮機10が二段遠心圧縮機である場合にも、エコノマイザ14を二つ設けることが可能となる。即ち、段数に左右されることなくエコノマイザ14の設置が可能となり、コストを抑制しながら、冷凍能力を向上でき、性能向上を図ることができる。
さらに、図7に示すように、遠心圧縮機10を二段遠心圧縮機とした場合においては、一方のエコノマイザ14からの流入管23は、一方のインペラ18流入口22に接続され、他方のエコノマイザ14からの流入管23は、インペラ18同士の間の段間に接続されてもよい。
そして、図8に示すように、遠心圧縮機10を単段遠心圧縮機とした場合には、本実施形態で説明したように、一つのエコノマイザ14及び二つの膨張弁に限定されず、例えば、二つのエコノマイザ14及び三つの膨張弁25、26、27を設けて、二つのエコノマイザ14からの流入管23を、一つのインペラ18の流入口22に接続して、主流路FCにエコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1を導入するようにしてもよい。
さらに、二つのエコノマイザ14を設けた場合には、図9に示すように、流入口22を一つのインペラ18に対して、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの間に離間して二つ以上形成して、一方の流入口22を一方のエコノマイザ14と接続して、他方の流入口22を他方のエコノマイザ14と接続してもよい。
また、一つのインペラ18に対してエコノマイザ14を三つ以上、及び、膨張弁を四つ以上設置することも可能であり、即ち、エコノマイザ14の数量よりも膨張弁の数量が一つ多く設定されていれば、エコノマイザ14の設置数量が、遠心圧縮機10の段数に左右されることはない。従って、遠心圧縮機10の段数に制限されることなく、エコノマイザ14の設置数量を選択でき、エコノマイザ14によるさらなる冷凍能力向上で、性能をより向上することができる。そして、このような構成を、二段遠心圧縮機、多段遠心圧縮機にも適用することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係るターボ冷凍機1Bについて説明する。
なお、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、遠心圧縮機30において、エコノマイザ14からインペラ18への流入路36が第一実施形態のものと異なっている。
図10に示すように、流入路36は、遠心圧縮機30のケーシング17に形成された流入口42と、流入口42とエコノマイザ14とを接続する流入管43とから構成され、流入口42の形成位置は、第一実施形態と同様に、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの間、好ましくは、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの中間部よりも前縁21a側となっている。
さらに、図11に示すように、各流入路36は、流入口42における開口の手前で、その内周面42aに、流入口42の高さ全体に亘って延びるガイドベーン44を有しており、このガイドベーン44は、ブレード21の延在方向に平行に設けられている。
また、流入口42は、主流路FCにおいて、インペラ18の子午面における冷媒Wの流通方向を向いて開口している。具体的には、図10に示すように、冷媒Wの流通方向に沿って気相W1を流入させるために、流入口42の開口部が冷媒Wの流通方向に沿うように形成されている。この場合、流入口42を開口部の手前で滑らかに転向(図10参照)させてもよいし、流入管43の途中で転向させておいてもよい。
このようなターボ冷凍機1Bにおいては、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が、流入路36を通じてインペラ18内の主流路FCに吹き込まれ、主流路FCを流通する冷媒Wに、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が混合される。この際、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が、インペラ18の子午面における主流路FC内の冷媒Wの流通方向に沿って流入することとなる。さらにガイドベーン44によって、周方向にも主流路FC内の冷媒Wの流通方向に沿って流入することとなる。従って、主流路FC内の冷媒Wの流れの円滑性を妨げることがなく、主流路FC内の冷媒Wへの混合ロスを低減することができる。
本実施形態のターボ冷凍機1Bによると、第一実施形態と同様に、遠心圧縮機30の段数を低減することでコストを抑制しながら、性能向上を図ることができる。
これに加え、流入路36の流入口42の形成方向と、ガイドベーン44とによって、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が、主流路FC内へ流入する際の混合ロスを低減できるため、さらなるインペラ18の性能向上が可能となる。
なお、流入口42の形成方向が冷媒Wの流通方向に向いていればガイドベーン44を設けなくてもよいし、ガイドベーン44を設けていれば流入口42の形成方向が冷媒Wの流通方向を向いていなくてもよい。
次に、本発明の第三実施形態に係るターボ冷凍機1Cについて説明する。
なお、第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、遠心圧縮機50において、エコノマイザ14からインペラ18への流入路56が第一実施形態及び第二実施形態のものと異なっている。
図12に示すように、流入路56は、遠心圧縮機50のケーシング17に形成された流入口62と、流入口62とエコノマイザ14とを接続する流入管63とから構成され、流入口62の形成位置は、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの間、好ましくは、ブレード21の前縁21aと後縁21bとの中間部よりも前縁21a側に形成されている。
さらに、流入路56は、流入口62のブレード21側の端部となる開口側が拡径している。即ち、流入路56は、開口からケーシング17の内部に向かって流入口の中途位置まで、周方向視で、流入口62のよりも大きい寸法で凹状に窪む拡径部64を有している。
このようなターボ冷凍機1Cにおいては、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が流入路56を通じてインペラ18内の主流路FCに吹き込まれ、主流路FCを流通する冷媒Wにエコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が混合される。この際、流入路56が拡径部64を有していることによって、流入口62の断面積が開口側で増大し、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が、流速を減少させた状態で流入することとなる。従って、主流路FC内の冷媒Wの流れの円滑性を妨げることがなく、主流路FC内の冷媒Wへの混合ロスを低減することができる。
本実施形態のターボ冷凍機1Cによると、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、遠心圧縮機50の段数を低減することでコストを抑制しながら、性能向上を図ることができる。
これに加え、流入路56の拡径部64によって、エコノマイザ14からの冷媒Wの気相W1が、主流路FC内へ流入する際の混合ロスを低減できるため、さらなるインペラ18の性能向上が可能となる。
ここで、図13に示すように、拡径部64は凹状ではなく、流入口62の内周面62aが開口に向かって漸次拡径する曲面によって形成されていてもよい。この場合、流入口62の断面積が急激に増大することなく、滑らかに内周面62aが拡径しているため、流入口62から吹き出す冷媒Wの気相W1が剥離等してしまうことを抑制しながら、より円滑に流速を減少させた状態で、主流路FCへ流入させることができる。
また、図14に示すように、拡径部64は凹状ではなく、内周面62aがインペラ18の後縁側のみで流入口22に向かって漸次拡径する曲面によって形成されていてもよい。この場合、円滑に流速を減少させた状態で、流入口62から吹き出す冷媒Wの気相W1を主流路FCへ流入させることができるとともに、主流路FCを流通する冷媒Wの流通方向に沿って、流入口62から吹き出すことができる。
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、多少の設計変更も可能である。
例えば、第二実施形態におけるガイドベーン44を、第一実施形態及び第三実施形態の流入路16、56に適用してもよい。
1A…ターボ冷凍機、5…回転軸、10…遠心圧縮機、11…凝縮器、12…第一膨張弁(減圧器)、13…第二膨張弁(減圧器)、14…エコノマイザ(気液分離器)、15…蒸発器、16…流入路、17…ケーシング、18…インペラ、18A…インペラ、20…ディスク、21…ブレード、21a…前縁、21b…後縁、22…流入口、23…流入管、24…シール、25、26、27…膨張弁、28…ダイヤフラム、29…シュラウド、W…冷媒、W1…気相、P…軸線、FC…主流路、1B…ターボ冷凍機、30…遠心圧縮機、36…流入路、42…流入口、42a…内周面、43…流入管、44…ガイドベーン、1C…ターボ冷凍機、50…遠心圧縮機、56…流入路、62…流入口、62a…内周面、63…流入管、64…拡径部

Claims (5)

  1. 複数のブレードを有するインペラの回転により、冷媒を圧縮する遠心圧縮機と、
    圧縮された前記冷媒を冷却する凝縮器と、
    前記凝縮器からの前記冷媒を減圧して気液二相とするとともに、前記遠心圧縮機の段数よりも多い数量が直列接続された複数の減圧器と、
    これら複数の減圧器を通過した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    これら減圧器同士の間に一つずつ配置され、前記冷媒を気液二相に分離する複数の気液分離器と、
    前記複数の気液分離器において前記冷媒から分離されたそれぞれの気相を、隣接する前記ブレード間の前縁と後縁との間に、前記前縁と前記後縁との間に離間して流入させる複数の流入路とを備えることを特徴とするターボ冷凍機。
  2. 前記流入路は、前記ブレードの前縁と後縁との中間部よりも前縁側に前記気相を流入させることを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機。
  3. 前記流入路は、前記インペラの子午面における前記冷媒の流通方向に前記気相を流入させることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ冷凍機。
  4. 前記流入路は、該流入路の内周面に、前記ブレードに平行に設けられたガイドベーンを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
  5. 前記流入路は、前記ブレード側の端部が、下流側に向かって拡径していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
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