JP5872081B1 - 大空間用空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】空調空間内を恒温に維持すると共に空調空間内での作業環境を向上させる。【解決手段】本発明は、発熱体Mが設置される大空間Sを恒温に冷房するための大空間用空調システム10であって、発熱体Mの発熱箇所の直上を除く大空間Sの複数箇所において冷房用空気を強制的に下方に向けて直線的に吹き降ろして床面に到達させる一方、発熱体Mにより加熱された空気を前記吹き降ろされた冷房用空気と衝突させることなく上昇気流に乗せて直線的に自然上昇させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、発熱量の多い機器が設置される大空間を恒温に冷房するための大空間用空調システムに関する。
従来、工作機械が設置される金属加工工場や大型コンピュータが設置されるデータセンターのように発熱量の多い機器が設置される大空間を冷房するために各種機器やシステムが装備されている。
しかしながら、このような大空間では、機器の廃熱により加熱された空気を冷房用空気を吹くことにより、混合して熱負荷を取り切るのに時間が掛かり、長時間に亘って機器からの廃熱が空調空間を漂い、機器の性能に支障を及ぼす虞があるという問題がある。
また、発熱量の多い機器が設置されるエリアと該機器が設置されないエリアとの間での温度ムラや、発熱量の多い機器が稼働したり停止したりする動作を不規則に行うことによる温度ムラなどが生じ易い。さらに、前記機器からの廃熱が空調空間内を水平移動することで、吸込口に向かって川の流れのように高温域が形成され易い。したがって、これらの要因により、空調空間内を恒温に保持することが難しいという問題がある。
そこで、上記したような問題を解決するため、従来、例えば、壁面に設置した給気チャンバの給気口から空調空間内に向かって側方に吹き出される低温空気に旋回成分を与えることによって、低温空気に誘引される空気量を増加させ、空調空間の上下温度差を減少させるようにした置換換気システムが提案されている(例えば、特許文献1、2又は非特許文献1を参照)。
また、天井に設置した送風ユニットのノズルから高速で吹き出したジェットエアの運動量を利用して見かけ上の換気回数を増やすことによって、室内の恒温環境を形成するようにしたデリベント(登録商標)式の空調換気システムも提案されている(例えば、特許文献3又は非特許文献2を参照)。
特開2002−372268号公報(特許第4006196号) 特開2005−282892号公報(特許第4421347号) 特開平07−318124号公報(特許第3339527号)
高砂熱学工業株式会社の旋回流誘引型成層空調システムに関するウェブサイト(http://www.tte-net.co.jp/solution/systems/009.html) 日本フローダ株式会社の大空間特殊空調換気システムに関するウェブサイト(http://www.nipponfloda.co.jp/products/dv/dv.html)
しかしながら、上記した従来の置換換気システムでは、給気チャンバが壁面に設置されているため、空調空間内に設置された機器の配置によっては、給気チャンバの給気口から吹き出された低温空気が機器の周囲に十分に到達しない虞がある。そのため、空調空間内に温度差が生じてしまい、空調空間内を恒温に維持することが難しいという問題が生じている。
また、壁面に設置された給気チャンバの給気口の直近では冷房用空気の風速が速いため、空調空間内での作業に支障が生じるという問題がある。
さらに、壁面を給気チャンバの設置スペースとして利用しているため、壁際に備品等を置くことができなかったり、或いは、工場の場合には給気チャンバがフォークリフトの走行の邪魔になったりするといった問題も生じている。
さらにまた、例えば100m四方のスペースの工場では、両側の壁に設置された給気チャンバがそれぞれ長さ50mずつの温度環境を受け持たなければならないため、空調空間内の温度環境にムラが出易くなるというように、大空間になる程、繊細な温度制御を行うことができないといった問題もある。
一方、上記した従来のデリベント(登録商標)式の空調換気システムでは、送風ユニットのノズルの正面では気流速度が非常に速いため、空調空間内での作業に支障が生じるという問題がある。
また、空調空間内の機器からの発熱量が多い場合や空調空間内の天井高さが高い場合には、汎用品クラスの送風ユニットのノズルの誘引気流だけでは冷房用空気を十分に撹拌することができないため、空調空間内を所定温度に保持することが難しいといった問題もある。
本発明は、上記した各種課題を解決すべくなされたものであり、空調空間内を恒温に維持することができると共に空調空間内での作業に支障を及ぼすことのない大空間用空調システムを提供することを目的とする。
本発明は、発熱体が設置される大空間を恒温に冷房するための大空間用空調システムであって、前記発熱体の発熱箇所の直上を除く前記大空間の複数箇所において冷房用空気を強制的に下方に向けて直線的に吹き降ろして床面に到達させる一方、前記発熱体により加熱された空気を前記吹き降ろされた冷房用空気と衝突させることなく上昇気流に乗せて直線的に自然上昇させることを特徴とする。
この特徴によれば、空調空間内を恒温に維持することができると共に、空調空間内での作業環境を改善することができる。
本発明に係る大空間用空調システムにおいて、前記大空間は、所定温度に維持することの必要な空調空間と、該空調空間より上方に位置して前記所定温度に維持する必要のない空調管理外空間と、を有しているのが好ましい。
この特徴によれば、空調空間の容積を最小限に抑制することができるため、省エネルギー効果を高めることができる。
本発明に係る大空間用空調システムにおいて、前記空調管理外空間には、前記冷房用空気を強制的に送出する空調機と、該空調機から送出される冷房用空気を所定風量に調整する可変風量装置と、該可変風量装置により所定風量に調整された冷房用空気を前記空調空間に向かって吹き出す吹出口と、前記発熱体により加熱されて自然上昇した空気を吸い込む吸込口と、を備えているのが好ましい。
この特徴によれば、大空間内のスペースを有効に利用することができる。
本発明に係る大空間用空調システムにおいて、前記空調空間は所定面積毎に分割された複数のゾーンを有し、前記空調機は該ゾーン毎に設けられているのが好ましい。
この特徴によれば、空調空間内の環境を精度よく制御することができる。
本発明に係る大空間用空調システムにおいて、前記冷房用空気は、前記空調空間における気流速度が0.6m/s以下の低速となるように前記吹出口から吹き出されるのが好ましい。
この特徴によれば、空調空間内での作業環境を高め、作業効率の向上を図ることができる。
本発明に係る大空間用空調システムにおいて、前記発熱体は1箇所当たりの定格発熱量が5〜30kWで発熱量の変動する機械であるのが好ましい。
この特徴によれば、発熱体からの発熱量に変動に追随させて空調空間内を恒温に維持することができる。
本発明によれば、空調空間内を恒温に維持することができると共に、空調空間内での作業環境を改善することができる等、種々の効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムを示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムを示すダクト平面図(上部空間)である。 本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムにおいて使用する移動式温度センサを示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムにおいて使用するタブレットPCのモニターの画面を示す平面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムについて説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムを示す概念図、図2は本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムを示すダクト平面図(上部空間)、図3は本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムにおいて使用する移動式温度センサを示す斜視図、図4は本発明の実施の形態に係る大空間用空調システムにおいて使用するタブレットPCのモニターの画面を示す平面図である。
なお、以下の説明では、発熱体としての工作機械Mが複数台設置された金属加工工場の大空間Sに本発明に係る大空間用空調システムを使用した場合について例示して説明する。
図1に示されているように、この大空間Sは、所定温度に維持することの必要な空調空間Saと、空調空間Saより上方の天井レベルに位置して所定温度に維持する必要のない空調管理外空間Sbと、を備えている。空調空間Saは、平面的に分割された複数のゾーンZ1〜Znを有し、空調管理外空間Sbは空調空間Saの各ゾーンZ1〜Znに対応するように平面的に分割されている。
本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10は、空調機11と、可変風量装置(VAV)12と、吹出口13と、を備えており、空調機11、可変風量装置(VAV)12、及び吹出口13はそれぞれ空調管理外空間Sbに設置されている。
空調機11は、ケーシング内に配設される冷却コイル15及びファン16を有する本体部17と、本体部17の気流方向下流側に配設されるサプライチャンバー18と、本体部17の気流方向上流側に配設されるリターンチャンバー19と、を備えて構成されている。
サプライチャンバー18にはダンパー20を介してメインダクト21が接続されており、メインダクト21の気流方向下流側にはさらに複数本の分岐ダクト22がメインダクト21から分岐して接続されている。各分岐ダクト22の気流方向下流側末端には吹出口13がそれぞれ下向きで取り付けられており、各吹出口13の気流方向上流側に可変風量装置(VAV)12がそれぞれ取り付けられている。また、リターンチャンバー19には、吸込口(図示せず)が開口されており、これにより、空調管理外空間Sbは熱溜まり領域を形成し、この熱溜まりは空調機11へリターンされる。
また、本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10は、屋外又は大空間Sの外部の機械室に1台設置される外気処理用の空調機(以下「外調機24」と称す。)と、外調機24に給気ダクト25を介して接続される給気口26と、外調機24に排気ダクト27を介して接続される排気口28と、を備えている。給気口26及び排気口28は空調管理外空間Sb内に配設され、空調管理外空間Sbに開放されている。好ましくは、給気口26及び排気口28は、吹出口13より高い位置に配置され、給気口26は下方垂直方向に外気を吹き出し可能なように設けられ、排気口28は水平方向から空調管理外空間Sb内の空気を吸い込み可能なように設けられている。
図2は本発明の実施の形態に係る大空間空調システム10を、床面積が2000m(40m×50m四方)で天井高さ(直天)が13mの金属加工工場の大空間Sに設置する場合の平面図を示している。この大空間Sでは、床上4.5mまでの高さの空間が空調空間Saに設定されている。この空調空間Saは平面的に20区画のゾーンZ1〜Z20に分割され、各ゾーンZ1〜Z20はそれぞれ10m×10m四方の100mの床面積を有している。
空調空間Saには、1箇所当たりの定格発熱量が5〜30kWで発熱量の変動する工作機械M(図1参照)がマットスラブ(耐圧版又はベタ基礎)上に固定されており、これらの工作機械Mは空調空間Saの各ゾーンZ1〜Z20にそれぞれ0〜2台ずつ配置されている。なお、壁面近傍のエリアはコアンダ効果により温度管理がし難いため、工作機械Mを配置する際には、工作機械Mの発熱箇所がこの壁面近傍のエリアに位置しないように配慮するのが好ましい。また、この大空間Sの空調管理外空間Sbには対向する壁間に移動式クレーンC(図1参照)が直線的に移動可能なように取り付けられている。
図2に示す大空間Sの空調空間Saでは、年間を通じて、温度を23℃±1℃、湿度を50%以下、気流速度を0.6m/s以下の環境に維持することが要求される。この環境を実現するため、空調空間Saの各ゾーンZ1〜Z20に対応して平面的に分割される20区画の空調管理外空間Sbには、それぞれ1区画当たり、1台の空調機11、9台の可変風量装置(VAV)12、及び9個の吹出口13が配設されている。
各空調機11は、冷房能力が21kWの冷却コイル15と、送風量が18000CMHのファン16と、をそれぞれ備えており、後述する制御用センサ(図示せず)によって各空調機11からの給気温度が所定温度となるようカスケード制御される。この場合、各ゾーンZ1〜Z20の20台の空調機11からの冷房用空気の給気温度は、空調空間Sa内の要求温度である23℃に対して、18.5℃から24.5℃(送風運転)程度に納められており、工作機械Mからの熱負荷に追従させながらもなるべく要求温度の23℃に近い温度に制御されるのが好ましい。
各可変風量装置(VAV)12は、手動(又は自動制御)で0〜100%の間で開度調節可能、且つ、各吹出口13に対して最大2000CMHの風量を供給可能に設けられている。各吹出口13はノズルタイプのものであり、床上11mの高さから下方垂直方向に冷房用空気を直線的に吹き出し可能なように設けられている。また、外調機24は、168kWの冷房能力と144kWの暖房能力を有すると共に、9000CMHの送風能力を有している。なお、吹出口13は、ラインディフューザーや角型ディフューザ等、ノズル以外の他のタイプの吹出口であってもよい。
さらに、空調空間Saには、定点温度センサ(図示省略)と移動式温度センサ29が設置されている。前記定点温度センサは、空調機11を制御するための制御用センサと、空調空間Sa内の温度を測定するための計測用センサと、を備えており、それぞれ、空調空間Saの柱や壁の所定位置において、上下4箇所(下側から順に、床上300mm、1500mm、3000mm、4500mmの各高さ)に固定されている。
移動式温度センサ29は、図3に示されているように、車輪30を有する台車31と、台車31に垂直に立設されるポール32と、ポール32の上下4箇所(下側から順に、床上300mm、1500mm、3000mm、4500mmの各高さ)に固定される無線センサ33と、を備えている。各無線センサ33は、中央監視装置(図示省略)と通信可能に構成されており、これにより、空調空間Sa内の任意の場所の温度を後述するタブレットPC34及び前記中央監視装置のモニター(図示省略)で監視できるようになっている。
次に、上記した構成を備えた大空間用空調システム10の作用について説明する。
各ゾーンZ1〜Z20の空調機11において、冷却コイル15により所定温度に冷却されてファン16により送出された冷房用空気は、メインダクト21及び分岐ダクト22を通り、予め所定開度に調節された各可変風量装置(VAV)12によって所定風量に調整される。
この場合、各可変風量装置(VAV)12の開度は、空調空間Sa内の工作機械Mの配置に応じて予め調節され、工作機械Mの発熱箇所の直上に位置する吹出口13に対応する可変風量装置(VAV)12は全閉(開度0%)にされる。なお、各可変風量装置(VAV)の開度調節は、図4に示されているように、タブレットPC34を利用して手動で行われる。
このタブレットPC34は、インターネット経由で前記中央監視装置と通信可能に構成され、現場において温度監視や可変風量装置(VAV)12の開度変更(複数選択や一括変換可能)や室内温度の設定値の変更を行ったり、或いは、前記中央監視装置のサマリグラフを呼び出して空調機11の熱源(図示省略)や外調機24の状態を監視したり、或いは、前記定点温度センサと移動式温度センサ29の無線センサ33の温度を表示したり、或いは、可変風量装置(VAV)12の複数の開度パターンを登録したりする機能を有している。
このように各可変風量装置(VAV)12によって所定風量に調整された冷房用空気は、空調空間Saにおける気流速度が0.6m/s以下の低速になるように、各吹出口13から空調空間Saに向かって下方鉛直方向に直線的に吹き降ろされ、床面に到達する。この時、工作機械Mの発熱箇所の直上に位置する吹出口13からは冷房用空気が吹き降ろされないため、工作機械Mにより加熱された暖かい空気は前記吹き降ろされた冷房用空気と衝突することなく上昇気流に乗って直線的に自然上昇する。
その後、この自然上昇した暖かい空気の一部分は、排気口28に吸い込まれ、排気ダクト27を通って外部に排出される。一方、この排出された空気と同一風量の空気が外調機24によって外部から取り込まれ、給気ダクト25を通って給気口26から空調管理外空間Sb内に供給され、前記自然上昇した空気と混合される。そして、このように混合された空気は、リターンチャンバー19の吸込口を介して空調機11に戻り、冷却コイル15で冷却された後、ファン16によって空調空間Sa内に吹き出され、循環気流が形成される。
上記したように大空間用空調システム10が作用する金属加工工場の大空間Sにおいて、工作機械Mを無負荷及び有負荷(フル稼働)のそれぞれの状態で48時間監視し、前記定点温度センサ及び移動式温度センサ29を使用して空調空間Saの位置と高さの異なる200箇所以上のエリアにおいてランダムに環境測定を実施したところ、これらのすべてのエリアが23℃±1℃の温度範囲内に納まっていることを確認することができた。また、この時、空調空間Sa内の任意の10箇所において気流速度を測定したところ、最大で無負荷時において0.49m/s(有負荷時はそれ以下)という良好な結果を得ることができた。
これらの結果は、本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10が、直達気流又は誘引気流で室内をかき混ぜなくても、冷房用空気が移動することで空調空間Sa内の温度の均一化を可能にしていることを示す特徴的なものである。すなわち、空調空間Sa内の風量の多いエリアには機器(工作機械M)の発熱により加熱された空気の上昇気流以外、冷房用空気の立ち上りは発生し難いため、冷房用空気はその近傍の風量の少ないエリアに流入する。そのため、あるゾーンを受け持つ空調機11が例え送風運転であってもそのゾーンの近傍エリアからの空気の流入で温度がその送風温度より低い場合がある。また、機器の発熱により加熱された空気は短い時間で排気口28や空調機11のリターンチャンバー19の吸込口に達してしまうが、冷房用空気は上昇気流が持ち上げてくれない限り、天井面に配置されている排気口28や前記吸込口に到達することができない。さらに、機器が停止した場合には、上昇気流が停止し、発熱のないエリアと同様に空気が動かなくなるだけであり、空調空間Saの環境の変化は少ない。このように、熱交換や混合によって温度の上昇した冷房用空気だけが比重が軽くなって排気口28や前記吸込口に向かって上昇し、冷房用空気としての仕事をしていない温度の低いままの空気はいつまでも大空間Sの低層部分に滞留するため、本空調システム10は熱的に非常に効率の良いシステムである。
また、本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10は循環回数が極めて少ないことも特徴の一つである。従来の空調システムによって金属加工工場を設定温度±1℃に維持しようとする場合、冷房用空気を機器からの廃熱と熱交換や混合させるためには、通常、冷房用空気の1時間当たりの循環回数を60回から80回程度に計画する必要がある。しかし、この大空間用空調システム10では、そもそも熱交換や混合作用を必要としないため、冷房用空気の循環回数は9回程度に減少させることができる。さらに、冷房用空気は自然循環によって空調機11に戻ってくるため、空調機11のファン16の機外静圧はほとんど給気用のメインダクト21及び分岐ダクト22分だけでよく、省エネルギー性能を向上させることができる。
上記したように本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10によれば、工作機械Mにより加熱された空気(熱負荷)は上昇気流に乗って空調管理外空間Sbに自然上昇する一方、空調機11からの冷房用空気は、空調空間Saに向かって真下に低速で吹き出され、上昇する加熱された空気(熱負荷)と混合されることなく、床面に到達する。すなわち、本発明の実施の形態に係る大空間用空調システム10では、冷房用空気で熱負荷を取り除くという考え方をしていないため、工作機械Mからの廃熱は、空調機11に吸い込まれる空気の温度を上昇させるが、空調機11からの冷房用空気の温度をほとんど上昇させないため、冷房用空気の吹き出し風量を低減させることができる。
また、吹出口13から吹き降ろされた冷房用空気は床面に到達した後、床面に沿って水平に展開し、空調空間Sa内は全体的に層流に近い状態となるため、ファンで強制的に還気を行う必要がない。さらに、工作機械Mによって加熱された空気から自主的に上昇するため、従来の置換空調システムのように空気齢が均一とならず、また、大空間Sの天井高さが高くなってもファン16等の動力を大きくする必要がない。したがって、省エネルギー化を促進することができる。
さらに、工作機械Mの発熱量の多いエリア程、上昇気流が大きく発生し、その分気圧が低下してその周辺空気を多く吸い込むようになるため、自動的に空調空間Sa内の温度を平準化することができる。また、吹出口13から吹き降ろされる冷房用空気は上昇気流と衝突しないため、空調空間Sa内に川の流れの如く整理された気流を形成することができ、いわゆる乱流を発生させることがなく、熱負荷を拡散させることがない。
また、空調空間Saにおける気流速度が低速であるため、空調空間Sa内での作業に支障が生じる虞がなく、作業環境の改善を図ることができる。さらに、冷房用空気を吹き降ろしているため、工作機械Mの周囲に気流が十分に到達して気流の死角がなくなるため、工作機械Mの性能を高く維持することができる。
また、空調空間Saを所定環境に維持するためには、特に、工作機械Mの側方の狭いエリアの温度を定期的に計測して保守管理することが好ましいが、この時、移動式温度センサ29を使用してこのようなエリア内の任意の場所の温度をタブレットPC34や前記中央監視室のモニターで監視することができるため、保守管理作業を簡単且つ確実に行うことができるようになる。
また、工作機械Mの入れ替えや配置換えが頻繁に行われる金属加工工場等の大空間では、その度に廃熱の場所が変わるため、可変風量装置(VAV)12の開度を調節して吹出口13からの風量を調整する作業を行う必要があるが、この時にタブレットPC34を使用することにより、可変風量装置(VAV)12の開度調節作業の簡素化を図ることができる。さらにまた、可変風量装置(VAV)12や吹出口13を予め能力や数に余裕を持って設置することにより、機器の大規模な配置換えや増設に対しても、可変風量装置(VAV)12の開度を調節するだけで簡単に対応することができる。
なお、上記した本発明の実施の形態の説明では、移動式温度センサ29やタブレットPC34を使用して本システムを操作しているが、これらの機器を使用せずに、中央監視装置から直接、本システムを操作することができることは言う迄もない。
また、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る大空間用空調システムにおける好適な実施の形態を説明しているため、大空間のサイズや空調機器の能力等、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
本発明の技術は、上記した金属加工工場等の各種工場の他、単位面積当たりの冷熱量よりも機器からの発熱量の方が相当大きく、室内環境を所定範囲内に維持するために機器等の発熱体からの廃熱の除去が必要となる大空間を有するデータセンターなど、他の用途の建造物にも利用が見込まれるものである。
10 大空間用空調システム
11 空調機
12 可変風量装置
13 吹出口
M 工作機械(発熱体)
S 大空間
Sa 空調空間
Sb 空調管理外空間
Z1〜Zn ゾーン

Claims (5)

  1. 発熱体である機器の入れ替えや配置換えが頻繁に行われる工場の大空間を恒温に冷房するための大空間用空調システムであって、
    前記大空間は、所定温度に維持することの必要な空調空間と、該空調空間より上方に位置して前記所定温度に維持する必要のない空調管理外空間と、を有し、
    前記空調管理外空間には、冷房用空気を強制的に送出する空調機と、遠隔操作で開度調節することで前記空調機から送出される冷房用空気を所定風量に調整可能な可変風量装置と、該可変風量装置により所定風量に調整された冷房用空気を前記空調空間に向けて下方に直線的に吹き降ろす吹出口と、前記発熱体により加熱されて自然上昇した空気を吸い込む吸込口と、を備え、前記可変風量装置と前記吹出口は能力や数に余裕を持って配置されており、
    前記可変風量装置の開度を遠隔操作で調節することで前記発熱体の発熱箇所の直上に位置する吹出口に対応する該可変風量装置を全閉にし、該発熱箇所の直上を除く位置の前記吹出口から冷房用空気を下方に直線的に吹き降ろして床面に到達させる一方、前記発熱体により加熱された空気を前記吹出口から吹き降ろされた冷房用空気と衝突させることなく直線的に自然上昇させて前記空調管理外空間において前記吸込口により吸い込んで前記空調機に戻すことを特徴とする大空間用空調システム。
  2. 前記空調空間は所定面積毎に分割された複数のゾーンを有し、前記空調機は該ゾーン毎に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の大空間用空調システム。
  3. 前記冷房用空気は、前記空調空間における気流速度が0.6m/s以下の低速となるように前記吹出口から吹き出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の大空間用空調システム。
  4. 前記発熱体は1箇所当たりの定格発熱量が5〜30kWで発熱量の変動する機械であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の大空間用空調システム。
  5. 前記空調空間内を水平移動可能な移動式温度センサを備え、該移動式温度センサは、車輪を有する台車と、台車に立設されるポールと、ポールの上下複数箇所に固定される無線センサと、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の大空間用空調システム。
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