以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
〔OFDM送信装置の構成〕
まず、本発明の実施形態によるOFDM送信装置について説明する。図1は、OFDM送信装置の構成を示すブロック図である。このOFDM送信装置10(以下、送信装置10という。)は、誤り訂正符号化回路11、マッピング回路12、時空間符号化回路13、フレーム構成回路14、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)回路15、GI付加回路16、周波数変換回路17及び送信アンテナ18を備えている。フレーム構成回路14、IFFT回路15、GI付加回路16、周波数変換回路17及び送信アンテナ18は、送信系統Tx1,Tx2に対応して2系統分備えている。
誤り訂正符号化回路11は、送信装置10により送信されるデータ(例えば、MPEG2のTS(Transport Stream:トランスポートストリーム))を入力し、エネルギー拡散、誤り訂正符号の付加及びインターリーブ等の符号化処理を行い、誤り訂正符号化したデータをマッピング回路12に出力する。例えば、符号化処理として、RS符号、畳み込み符号、ターボ符号、LDPC符号等のFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)による処理が行われる。
マッピング回路12は、誤り訂正符号化回路11から誤り訂正符号化されたデータを入力し、所定の変調方式によりマッピングしてデータキャリア化し、マッピングしたデータキャリアを時空間符号化回路13に出力する。例えば、変調方式として、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等が用いられる。
時空間符号化回路13は、マッピング回路12からマッピングされたデータキャリアを入力し、時空間符号化処理を行い、時空間符号化したデータを2系統に分け、それぞれの送信系統Tx1,Tx2のフレーム構成回路14に出力する。例えば、時空間符号化処理として、STBC(Space−Time Block Coding)、STTC(Space−Time Trellis Coding)等による処理が行われる。
フレーム構成回路14は、時空間符号化回路13から時空間符号化されたデータキャリアを入力し、入力したデータキャリア及び所定のパイロットキャリアを伝送フレームの所定位置に配置し、OFDMの伝送フレームを構成してIFFT回路15に出力する。ここで、フレーム構成回路14は、送信系統Tx1,Tx2毎に備えられている。フレーム構成回路14の詳細については後述する。
送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、パイロットキャリアのうち伝搬路を推定するためのSP信号等をOFDMの伝送フレームに配置する際に、伝送フレームの信号帯域幅内に、図22(1)に示した送信系統Tx1の配置のとおり、SP信号及びヌルパイロット信号のパイロットキャリアを所定位置に配置すると共に、伝送フレームの信号帯域幅外に、SP信号等を配置する。同様に、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、伝送フレームの信号帯域幅内に、図22(1)に示した送信系統Tx2の配置のとおり、SP信号及びヌルパイロット信号のパイロットキャリアを所定位置に配置すると共に、伝送フレームの信号帯域幅外に、SP信号等を配置する。フレーム構成回路14により構成されるOFDMの伝送フレームの詳細については後述する。
ここで、伝送フレームの信号帯域幅内とは、伝送フレームとして送信する帯域のうち、データキャリア及び図22(1)に示したSP信号等のパイロットキャリア(従来のパイロットキャリア)が配置された領域をいい、後述するIFFT回路15により逆高速フーリエ変換処理の対象となる信号のうち、OFDM信号として送信する本来の(従来の)伝送フレームの信号におけるキャリア番号の領域をいう。これに対し、伝送フレームの信号帯域幅外とは、伝送フレームとして送信する帯域のうち、前記信号帯域幅内以外の領域をいい、逆高速フーリエ変換処理の対象となる信号のうち、本来の伝送フレームの信号を除いた領域をいう。ここで、逆高速フーリエ変換処理の対象となる信号は、伝送フレームの信号帯域幅内の信号及び信号帯域幅外の信号である。
また、伝送フレームの信号帯域幅外に配置されるパイロットキャリアは、後述する実施例1ではSP信号であり、実施例2ではSP信号及び送信系統識別信号であり、実施例3ではSP信号及びパイロットパターン検出信号である。送信系統識別信号は、伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたSP信号がどの送信系統から送信されたかを識別するための信号であり、パイロットパターン検出信号は、パイロットキャリアの配置パターンを検出するための信号である。図22(1)に示すように、パイロットキャリアの配置パターンは8つ存在し、後述する受信装置は、復調対象のシンボルにおいて、パイロットキャリアがその8つのパターンのうちのどのパターンで配置されているかを検出する。伝送フレームの信号帯域幅外に配置されるパイロットキャリアの詳細については後述する。
尚、以下に説明するIFFT回路15、GI付加回路16、周波数変換回路17及び送信アンテナ18は、フレーム構成回路14と同様に、送信系統Tx1,Tx2毎に備えられている。
IFFT回路15は、フレーム構成回路14から伝送フレームのOFDM信号を入力し、周波数領域のOFDM信号を逆高速フーリエ変換し、時間領域のOFDM信号をGI付加回路16に出力する。一般に、逆高速フーリエ変換処理は、2のべき乗のサンプル数のキャリアを入力して行われるため、伝送フレームの信号帯域幅内の信号に加えて他の信号に対しても行うことができる。例えば、伝送フレームの信号帯域幅内の信号数が5617サンプルの場合、逆高速フーリエ変換は213=8192のサンプル数の信号に対して行われるため、残りの2575(8192−5617)サンプルを他の信号に割り当てることができる。本実施形態では、この点に着目し、伝送フレームの信号帯域幅外にパイロットキャリアを配置し、後述する受信装置において、伝搬路を精度高く推定するようにした。
GI付加回路16は、IFFT回路15から時間領域のOFDM信号を入力し、GIを付加し、周波数変換回路17に出力する。周波数変換回路17は、GI付加回路16からGIが付加されたOFDM信号を入力し、等価低域系(ベースバンド)の周波数を所定周波数帯のRF(Radio Frequency:無線周波数)に変換する。周波数変換回路17により周波数変換されたOFDM信号は、送信系統Tx1,Tx2毎に送信アンテナ18を介してOFDM信号の放送波として送信される。
〔OFDM受信装置の構成〕
次に、本発明の実施形態によるOFDM受信装置について説明する。図2は、OFDM受信装置の構成を示すブロック図である。このOFDM受信装置20(以下、受信装置20という。)は、MISO−OFDM通信システムに適用する装置であり、1つの受信系統を備えている。受信装置20は、受信アンテナ21、周波数変換回路22、GI除去回路23、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)回路24、パイロット抽出回路25、パイロット伝送路応答算出回路(パイロット伝搬路推定回路)26、伝送路応答算出回路27、遅延回路28、時空間復号回路29、デマッピング回路30及び誤り訂正復号回路31を備えている。
受信装置20の受信アンテナ21が、図1に示した送信装置10からOFDM信号の放送波を受信すると、周波数変換回路22は、受信アンテナ21を介してOFDM信号を入力し、所定周波数帯のRFを等価低域系(ベースバンド)の周波数に変換し、GI除去回路23に出力する。
GI除去回路23は、周波数変換回路22から周波数変換されたOFDM信号を入力し、OFDM信号内のGIを除去し、FFT回路24に出力する。FFT回路24は、GI除去回路23からGIが除去されたOFDM信号を入力し、時間領域のOFDM信号を高速フーリエ変換し、周波数領域のOFDM信号を遅延回路28及びパイロット抽出回路25に出力する。
遅延回路28は、FFT回路24から周波数領域のOFDM信号を入力し、バッファに一時的に格納する。そして、遅延回路28は、パイロット抽出回路25、パイロット伝送路応答算出回路26及び伝送路応答算出回路27における複数シンボルに跨る伝搬路推定の遅延を補正するために、その遅延時間経過後バッファからOFDM信号を読み出し、時空間復号回路29に出力する。
パイロット抽出回路25は、FFT回路24から周波数領域のOFDM信号を入力し、伝送フレームの信号帯域幅内に配置されたパイロットキャリアに加え、伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたパイロットキャリアも抽出し、抽出した全てのパイロットキャリアを受信パイロットキャリアとしてパイロット伝送路応答算出回路26に出力する。
パイロット伝送路応答算出回路26は、パイロット抽出回路25から受信パイロットキャリアを入力し、受信パイロットキャリアのうち伝搬路を推定するためのSP信号等(伝送フレームの信号帯域幅内に配置されたSP信号、及び伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたSP信号等)を抽出し、抽出したSP信号等に基づいて、所定位置の伝搬路を推定し、パイロット位置伝送路応答として伝送路応答算出回路27に出力する。パイロット位置伝送路応答は、後述する実施例1では、伝送フレームの信号帯域幅内に配置されたSP信号、及び伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたSP信号に基づいて算出され、実施例2では、伝送フレームの信号帯域幅内に配置されたSP信号、並びに伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたSP信号及び送信系統識別信号に基づいて算出され、実施例3では、伝送フレームの信号帯域幅内に配置されたSP信号、並びに伝送フレームの信号帯域幅外に配置されたSP信号及びパイロットパターン検出信号に基づいて算出される。パイロット伝送路応答算出回路26の詳細については後述する。
伝送路応答算出回路27は、パイロット伝送路応答算出回路26からパイロット位置伝送路応答を入力し、時間軸方向については線形処理を行い、周波数軸方向についてはローパスフィルタを用いる等して、補間フィルタの処理により、パイロット位置以外の全ての位置における伝送路応答を算出し、全てのキャリアの伝送路応答を時空間復号回路29に出力する。
時空間復号回路29は、遅延回路28からOFDM信号を入力すると共に、伝送路応答算出回路27から全てのキャリアの伝送路応答を入力し、OFDM信号のデータキャリア及び伝送路応答を用いて時空間復号処理を行い、時空間復号したデータキャリアをデマッピング回路30に出力する。時空間復号処理として、STBC、STTC等に対応した復号処理が行われる。
デマッピング回路30は、時空間復号回路29から時空間復号されたデータキャリアを入力し、所定の変調方式によりデマッピングし、誤り訂正復号回路31に出力する。例えば、変調方式として、BPSK,QPSK、16QAM、64QAM等が用いられる。
誤り訂正復号回路31は、デマッピング回路30からデマッピングされたデータを入力し、デインターリーブ、誤り訂正符号の除去、エネルギー逆拡散等の復号処理を行い、復号処理した元のデータ(例えば、MPEG2のTS)を出力する。
〔実施例1〕
次に、実施例1について説明する。実施例1は、送信装置10が、OFDMの伝送フレームにおける信号帯域幅内の所定位置にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置にもSP信号を配置して送信し、受信装置20が、SP信号に基づいて伝搬路を推定する際に、信号帯域幅内の端領域におけるSP補間位置について、信号帯域幅外に配置されたSP信号を用いて伝搬路を推定する。
(送信装置/実施例1)
まず、実施例1の送信装置10に備えたフレーム構成回路14の処理について詳細に説明する。前述のとおり、送信系統Tx1,Tx2毎に備えたフレーム構成回路14は、データキャリア及びパイロットキャリア(SP信号等)を所定位置に配置し、OFDMの伝送フレームを構成する。
図3は、実施例1における送信装置10のフレーム構成回路14による処理を示すフローチャートであり、図4は、実施例1における送信パイロットキャリア配置を示す図である。フレーム構成回路14は、時空間符号化回路13からデータキャリアを入力し(ステップS301)、信号帯域幅内の所定位置に、データキャリア及びSP信号等のパイロットキャリアを配置する(ステップS302)。そして、フレーム構成回路14は、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号を配置し(ステップS303)、図4に示すOFDMの伝送フレームを構成し、IFFT回路15に出力する(ステップS304)。
図4において、信号帯域幅内の信号はキャリア番号0〜12の信号であり、信号帯域幅外の信号はキャリア番号−3〜−1の信号である。例えば、地上デジタルテレビ放送方式のモード3の場合、信号帯域幅内の全キャリアのサンプル数は5617であり、逆高速フーリエ変換処理の対象となる信号のサンプル数は8192(=213)であるから、信号帯域幅外の全キャリアのサンプル数は8192−5617=2575である。
図4において、横軸はキャリア番号を、縦軸はシンボル番号を示し、説明の都合上、シンボル番号15及びキャリア番号12まで示してある。信号帯域幅内のパイロットキャリアの配置は、図22(1)に示した配置と同じである。図4では、キャリア番号の小さい帯域を示しているが、キャリア番号の大きい帯域についても同様に、信号帯域幅外のキャリアが存在する。
送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、図4に示したように、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置する。また、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置する。
これにより、受信装置20は、信号帯域幅外のキャリア番号−3に配置されたSP信号を用いて、送信系統Tx1,Tx2について周波数軸の端の箇所の伝搬路を推定することができる。例えば、受信装置20は、シンボル番号3における信号帯域幅外のキャリア番号−3に配置されたSP信号、及び、シンボル番号5における信号帯域幅内のキャリア番号3に配置されたSP信号に基づいて、斜め方向の内挿処理を行い、シンボル番号4における信号帯域幅内のキャリア番号0の伝搬路(送信系統Tx1との間の伝搬路)を推定することができる。また、受信装置20は、シンボル番号7における信号帯域幅外のキャリア番号−3に配置されたSP信号、及び、シンボル番号9における信号帯域幅内のキャリア番号3に配置されたSP信号に基づいて、斜め方向の内挿処理を行い、シンボル番号8における信号帯域幅内のキャリア番号0の伝搬路(送信系統Tx2との間の伝搬路)を推定することができる。
以上のように、実施例1による送信装置10によれば、フレーム構成回路14が、信号帯域幅外の所定位置にSP信号を配置するようにした。これにより、受信装置20が、信号帯域幅外に配置されたSP信号を用いて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について伝搬路を推定することで、図24に示した、周波数軸の端の多くのキャリア(αの領域)位置について伝搬路が推定されないという問題を解決することができる。したがって、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。
(受信装置/実施例1)
次に、実施例1の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26の処理について詳細に説明する。前述のとおり、パイロット伝送路応答算出回路26は、受信パイロットキャリアのうち伝搬路を推定するためのSP信号を抽出し、抽出したSP信号に基づいて、所定位置の伝搬路をパイロット位置伝送路応答として算出する。
図5は、実施例1における受信装置20のパイロット伝送路応答算出回路26による処理を示すフローチャートであり、図6は、実施例1における受信パイロットキャリア配置を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、パイロット抽出回路25から受信パイロットキャリアを入力し(ステップS501)、受信パイロットキャリアからSP信号を抽出する(ステップS502)。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、図24に示したように、信号帯域幅内のSP配置位置について、そのSP信号に基づいて伝送路応答を算出すると共に(ステップS503)、信号帯域幅内の端領域以外におけるSP補間位置について、1シンボル前のSP信号及び1シンボル後のSP信号に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って伝送路応答を算出する(ステップS504)。
パイロット伝送路応答算出回路26は、信号帯域幅内の端領域におけるSP補間位置について、1シンボル前の信号帯域幅外のSP信号及び1シンボル後のSP信号(信号帯域幅内のSP信号)に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って伝送路応答を算出する(ステップS505)。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、算出した伝送路応答をパイロット位置伝送路応答として伝送路応答算出回路27に出力する(ステップS506)。
図6において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、図5のステップS504において、シンボル番号0におけるキャリア番号0の送信系統Tx1との間の伝送路応答を、送信系統Tx1から送信された当該キャリア番号0のSP信号1に基づいて算出する。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5のステップS505において、シンボル番号0におけるキャリア番号0の送信系統Tx2との間の伝送路応答を、シンボル番号−1におけるキャリア番号−3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>と、シンボル番号1におけるキャリア番号3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出する。
尚、信号帯域幅内外の所定位置に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2は、例えばフレーム同期が確立することにより識別することができる。したがって、フレーム同期が確立した後に、図5のステップS503〜ステップS505にて伝送路応答が算出される。
以上のように、実施例1による受信装置20によれば、パイロット伝送路応答算出回路26が、信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号と、信号帯域幅内の所定位置に配置されたSP信号とに基づいて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について、伝送路応答を算出するようにした。これにより、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。
尚、実施例1では、受信装置20において、斜め方向の内挿処理にてキャリア番号0のSP補間位置の伝搬路を推定するために、送信装置10が、信号帯域幅外のSP信号を、当該SP補間位置よりも1シンボル前のキャリア番号−3に配置するようにした。これに対し、送信装置10は、信号帯域幅外のSP信号を、当該SP補間位置と同じシンボルであって、その隣のキャリア番号−1の位置に配置するようにしてもよい。この場合、受信装置20は、斜め方向の内挿処理を行うことなく、キャリア番号−1のSP信号に基づいて、その隣のSP補間位置について伝搬路を推定する。後述する実施例2、変形例2−1,2−2、変形例3−2,3−3についても同様である。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例2は、送信装置10が、OFDMの伝送フレームにおける信号帯域幅内の所定位置にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置にSP信号及び送信系統識別信号を配置して送信し、受信装置20が、SP信号に基づいて伝搬路を推定する際に、送信系統識別信号を用いて、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、信号帯域幅内の端領域のSP補間位置について、信号帯域幅外に配置されたSP信号を用いて伝搬路を推定する。実施例1では、フレーム同期が確立する前は、シンボル番号を認識することができず、SP信号が送信された送信系統Tx1,Tx2も識別することができないため、伝搬路を推定することができない。そこで、実施例2では、フレーム同期が確立する前であっても、最大4シンボルの時間分待つことで、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、伝搬路を推定する。
(送信装置/実施例2)
まず、実施例2の送信装置10に備えたフレーム構成回路14の処理について詳細に説明する。図7は、実施例2における送信パイロットキャリア配置を示す図である。フレーム構成回路14は、図3に示したステップS301〜ステップS304の処理を行う際に、ステップS303において、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号及び送信系統識別信号を配置する。
図7において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、SP信号よりも1シンボル前のシンボル番号2,10等について信号帯域幅外のキャリア番号−3に送信系統識別信号を配置する。また、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、SP信号よりも1シンボル前のシンボル番号−2,6等について信号帯域幅外のキャリア番号−3に送信系統識別信号を配置する。送信系統Tx1の送信系統識別信号及び送信系統Tx2の送信系統識別信号は、それぞれ「−1」「1」であり、異なるデータが配置される。
以上のように、実施例2による送信装置10によれば、フレーム構成回路14が、信号帯域幅外の所定位置にSP信号及び送信系統識別信号を配置するようにした。これにより、受信装置20が、信号帯域幅外に配置された送信系統識別信号を用いて、当該SP信号が送信された送信系統Tx1,Tx2を識別し、当該SP信号を用いて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について伝搬路を推定することで、実施例1と同様に、周波数軸の端の多くのキャリア位置について伝搬路が推定されないという問題を解決することができる。したがって、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。
(受信装置/実施例2)
次に、実施例2の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26について詳細に説明する。図8は、実施例2における信号帯域幅外のSP信号に対する送信系統Tx1,Tx2識別処理を示すフローチャートであり、図9は、実施例2における受信パイロットキャリアの配置及び加算結果等を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS501〜ステップS506の処理を行う際に、ステップS502において、受信パイロットキャリアからSP信号及び送信系統識別信号を抽出し、ステップS503〜ステップS505において、図8の処理により、信号帯域幅外のSP信号に対して送信系統Tx1,Tx2を識別する。
図8を参照して、パイロット伝送路応答算出回路26は、復調対象のシンボル(当該シンボル:n番目のシンボル)及び当該シンボルよりも1シンボル前(n−1番目のシンボル)における信号帯域幅外の所定位置について、SP信号及び送信系統識別信号を含む信号を抽出する(ステップS801)。本例では、連続する2シンボルにおいて、キャリア番号−3の信号を抽出する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、抽出した信号から加算結果及び差分結果を求める(ステップS802)。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、n番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n)、n−1番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n-1)とすると、加算結果として|Rx(n)+Rx(n-1)|を求め、差分結果として|Rx(n)−Rx(n-1)|を求める。
パイロット伝送路応答算出回路26は、加算結果から差分結果を減算し(ステップS803)、減算結果に応じて(ステップS804)、当該シンボルの抽出信号がSP信号であるか否か、及びSP信号の場合に送信系統Tx1,Tx2を識別する。
パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS804において、減算結果が「−2」の場合(ステップS804:=−2)、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し(ステップS805)、このSP信号は送信系統Tx1から送信された信号であると識別する(ステップS806)。一方、パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS804において、減算結果が「2」の場合(ステップS804:=2)、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し(ステップS807)、このSP信号は送信系統Tx2から送信された信号であると識別する(ステップS808)。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS804において、減算結果が「0」の場合(ステップS804:=0)、当該シンボルの抽出信号はSP信号でないと判定する(ステップS809)。減算結果=−2,2,0の詳細については後述する。
尚、パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS805またはステップS807にてSP信号であると判定した場合、当該シンボルのパイロットパターンを検出することができ(ステップS810)、その後のシンボルのパイロットパターンも検出することができる。パイロットパターンの詳細については後述する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS503〜ステップS505において、SP信号に基づいて、信号帯域幅内のSP配置位置及びSP補間位置について、送信系統Tx1,Tx2との間の伝搬路を推定することができる。
図9において、横軸の−3〜12はキャリア番号を示し、縦軸の−2〜15はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号−1を当該シンボルとした場合、ステップS802及びステップS803にて、加算結果「2」、差分結果「0」及び減算結果「2」を求める。そして、減算結果が「2」であるから、ステップS807及びステップS808にて、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx2から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5のステップS505において、シンボル番号0におけるキャリア番号0の送信系統Tx2との間の伝送路を、シンボル番号−1におけるキャリア番号−3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>と、シンボル番号1におけるキャリア番号3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号0を当該シンボルとした場合、ステップS802及びステップS803にて、加算結果「1」、差分結果「1」及び減算結果「0」を求める。そして、減算結果が「0」であるから、ステップS809にて、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号でないことを判定する。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号3を当該シンボルとした場合、ステップS802及びステップS803にて、加算結果「0」、差分結果「2」及び減算結果「−2」を求める。そして、減算結果が「−2」であるから、ステップS805及びステップS806にて、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx1から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5のステップS505において、シンボル番号4におけるキャリア番号0の送信系統Tx1との間の伝送路を、シンボル番号3におけるキャリア番号−3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1と、シンボル番号5におけるキャリア番号3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
尚、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボルの抽出信号がSP信号であって、送信系統Tx2から送信された信号であることを識別した場合、当該シンボルのパイロットパターンがパターン番号7であると検出することができ、それ以降のシンボル毎に、パターン番号0〜6のパイロットパターンを検出することができる。また、当該シンボルの抽出信号がSP信号であって、送信系統Tx1から送信された信号であることを識別した場合、当該シンボルのパイロットパターンがパターン番号3であると検出することができ、それ以降のシンボル毎に、パターン番号4〜7,0〜2のパイロットパターンを検出することができる。
以上のように、実施例2による受信装置20によれば、パイロット伝送路応答算出回路26が、信号帯域幅外の所定位置に配置された送信系統識別信号を用いて、信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号が送信された送信系統Tx1,Tx2を識別し、当該SP信号と、信号帯域幅内の所定位置に配置されたSP信号とに基づいて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について伝送路応答を算出するようにした。これにより、実施例1と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、最大4シンボル待つことにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、減算結果「−2」または「2」を求めることができ、それぞれ送信系統Tx1,Tx2を識別する。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、最大4シンボルの時間分待つことで、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、伝搬路を推定することができる。
〔実施例2の第1の変形例2−1〕
次に、実施例2の第1の変形例2−1について説明する。実施例2では、受信装置20において、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別する際に、信号帯域幅外に配置された所定位置の信号を抽出し、この抽出信号を用いて加算結果及び差分結果を求め、加算結果から差分結果を減算し、減算結果に応じて識別するようにした。これに対し、変形例2−1では、信号帯域幅外に配置された所定位置の信号を抽出し、この抽出信号を複素乗算し、複素乗算結果に応じて識別する。これにより、変形例2−1は、実施例2よりも簡易な処理にて、送信系統Tx1,Tx2を識別することができる。
変形例2−1の送信装置10に備えたフレーム構成回路14の処理は実施例2と同様であるから、ここでは説明を省略する。
変形例2−1の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26について、信号帯域幅外のSP信号に対して送信系統Tx1,Tx2を識別する処理を詳細に説明する。図10は、変形例2−1における受信パイロットキャリアの配置及び複素乗算結果を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、図8に示した処理において、復調対象のシンボル(当該シンボル:n番目のシンボル)及び当該シンボルよりも1シンボル前(n−1番目のシンボル)の信号帯域幅外の所定位置について信号を抽出する。本例では、連続する2シンボルにおいて、キャリア番号−3の信号を抽出する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、抽出した信号から複素乗算結果を求める。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、n番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号と、n−1番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号とを複素乗算する。
パイロット伝送路応答算出回路26は、複素乗算結果に応じて、当該シンボルの抽出信号がSP信号であるか否か、及びSP信号の場合に送信系統Tx1,Tx2を識別する。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、複素乗算結果が「−1」の場合、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し、このSP信号は送信系統Tx1から送信された信号であると識別する。一方、パイロット伝送路応答算出回路26は、複素乗算結果が「1」の場合、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し、このSP信号は送信系統Tx2から送信された信号であると識別する。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、複素乗算結果が「0」の場合、当該シンボルの抽出信号はSP信号でないと判定する。
尚、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボルの抽出信号がSP信号であると判定した場合、当該シンボル及びその後のシンボルについて、パイロットパターンを検出することができる。
図10において、横軸の−3〜12はキャリア番号を示し、縦軸の−2〜15はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号−1を当該シンボルとした場合、当該シンボルのキャリア番号−3の信号<1>と、当該シンボルよりも1シンボル前のキャリア番号−3の信号<1>とを複素乗算し、複素乗算結果「1」を求める。そして、複素乗算結果が「1」であるから、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx2から送信された信号であることを識別する。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号0を当該シンボルとした場合、当該シンボルのキャリア番号−3の信号0と、当該シンボルよりも1シンボル前のキャリア番号−3の信号<1>とを複素乗算し、複素乗算結果「0」を求める。そして、複素乗算結果が「0」であるから、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号でないことを識別する。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号3を当該シンボルとした場合、当該シンボルのキャリア番号−3の信号1と、当該シンボルよりも1シンボル前のキャリア番号−3の信号−1とを複素乗算し、複素乗算結果「−1」を求める。そして、複素乗算結果が「−1」であるから、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx1から送信された信号であることを識別する。
尚、連続するシンボルの同一キャリアを複素乗算した結果は、伝送路にてSP信号の位相が回転する場合であっても、同一の値となる。尚、連続するシンボルの同一キャリアにおいて、位相回転量は同じであるものとする。図21は、複素乗算を説明する図である。n−1番目のシンボルの所定キャリアにおける送信点の信号(送信信号)をTx(n-1)、この送信信号に対する受信点の信号(受信信号)をRx(n-1)、n番目のシンボルの同じキャリアにおける送信信号をTx(n)、この送信信号に対する受信信号をRx(n)とする。受信信号Rx(n-1), Rx(n)は、送信信号Tx(n-1),Tx(n)が伝送路にて位相回転した信号である。図21を参照して、受信信号をそれぞれRx(n-1)=a+bj,Rx(n)=c+djとすると、複素乗算結果は、Rx(n-1)×Rx(n)=(a+bj)(c+dj)となる。
まず、連続するシンボルの同一キャリアの信号が異符号の場合、例えば、Tx(n-1)=1,Tx(n)=−1の場合、a=−c,b=−dであるから、複素乗算結果は、(−c−dj)(c+dj)=−(c+dj)2=−1となり、符号が負となる。但し、|c+dj|≒1とする。一方、連続するシンボルの同一キャリアの信号が同符号の場合、例えば、Tx(n-1)=1,Tx(n)=1の場合、a=c,b=dであるから、複素乗算結果は、(c+dj)(c+dj)=(c+dj)2=1となり、符号が正となる。
このように、連続するシンボルの同一キャリアを複素乗算した結果は、伝送路にてSP信号の位相が回転する場合であっても同一の値となり、連続するシンボルの同一キャリアの信号が異符号の場合、複素乗算結果は−1となり、同符号の場合、複素乗算結果は1となる。
以上のように、変形例2−1による送信装置10及び受信装置20によれば、実施例2と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、実施例2と同様に、最大4シンボルの時間分待つことで、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、伝搬路を推定することができる。この場合、送信系統Tx1,Tx2を識別するために、複素乗算結果を求めるだけで済むから、加算結果及び差分結果等を求める実施例2に比べ、簡易な処理にて実現できる。
〔実施例2の第2の変形例2−2〕
次に、実施例2の第2の変形例2−2について説明する。実施例2では、送信装置10において、信号帯域幅外の所定位置にSP信号及び送信系統識別信号を配置する際に、送信系統Tx1にてSP信号よりも1シンボル前に「−1」の送信系統識別信号を配置し、送信系統Tx2にてSP信号よりも1シンボル前に「1」の送信系統識別信号を配置するようにした。これに対し、変形例2−2では、送信系統Tx1,Tx2にて実施例2とは異なる逆の符号の送信系統識別信号を配置、すなわち、送信系統Tx1にて「1」の送信系統識別信号を配置し、送信系統Tx2にて「−1」の送信系統識別信号を配置する。これにより、変形例2−2は、実施例2または変形例2−1の受信装置20と同様の処理にて、伝搬路を推定することができる。
変形例2−2の送信装置10に備えたフレーム構成回路14について、信号帯域幅外の所定位置に送信系統識別信号を配置する処理を詳細に説明する。図11は、変形例2−2における送信パイロットキャリアの配置を示す図である。図11において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、実施例2と同様に、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、SP信号よりも1シンボル前のシンボル番号2,10等について信号帯域幅外のキャリア番号−3に送信系統識別信号を配置する。この場合の送信系統識別信号は「1」である。また、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、SP信号よりも1シンボル前のシンボル番号−2,6等について信号帯域幅外のキャリア番号−3に送信系統識別信号を配置する。この場合の送信系統識別信号は「−1」である。このように、送信系統Tx1の送信系統識別信号及び送信系統Tx2の送信系統識別信号は、それぞれ「1」「−1」であり、異なるデータが配置される。
変形例2−2の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26の処理は実施例2または変形例2−1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
以上のように、変形例2−2による送信装置10及び受信装置20によれば、実施例2及び変形例2−1と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、実施例2と同様に、最大4シンボルの時間分待つことで、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、伝搬路を推定することができる。この場合、変形例2−2は、加算結果等を求めて送信系統Tx1,Tx2を識別する実施例1の受信装置20を適用することができると共に、複素乗算結果のみを求めて送信系統Tx1,Tx2を識別する変形例2−1の受信装置20にも適用することができる。
尚、実施例2、変形例2−1,2−2では、送信系統識別信号を、信号帯域幅外のSP信号が配置されたシンボルよりも1シンボル前に配置するようにしたが、必ずしも1シンボル前でなくてもよく、1シンボル後、2シンボル前等に配置するようにしてもよい。また、送信系統識別信号を、SP信号と同様にキャリア番号−3に配置するようにしたが、キャリア番号−2等のSP信号とは異なるキャリア番号に配置するようにしてもよい。また、実施例2、変形例2−1,2−2では、信号帯域幅外のSP信号の位置を基準位置とした場合、送信系統Tx1,Tx2共に送信系統識別信号を、基準位置から1シンボル手前の同じ位置にそれぞれ異なるデータの信号として配置するようにした。これに対し、送信系統Tx1の送信系統識別信号と、送信系統Tx2の送信系統識別信号とを基準位置から異なる位置に配置するようにしてもよく、この場合には、同じデータの信号を配置してもよい。本発明は、送信系統識別信号の配置位置を限定するものではなく、送信系統識別信号は、受信装置20の演算処理により送信系統Tx1,Tx2が識別できるように、信号帯域幅外の所定位置に所定のデータが配置されていればよい。
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。実施例3は、送信装置10が、OFDMの伝送フレームにおける信号帯域幅内の所定位置にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外にSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置して送信し、受信装置20が、SP信号に基づいて伝搬路を推定する際に、信号帯域幅外に配置されたパイロットパターン検出信号を用いてパイロットパターンを検出し、信号帯域幅内の端領域のSP補間位置について、信号帯域幅外に配置されたSP信号を用いて伝搬路を推定する。実施例1では、フレーム同期が確立する前はシンボル番号を認識することができず、SP信号が送信された送信系統Tx1,Tx2も識別することができないため、伝搬路を推定することができない。また、実施例2では、最大4シンボル待つことで、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別し、伝搬路を推定する。実施例3では、当該シンボルの処理においてパイロットパターンを検出し、伝搬路を推定する。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、即座に伝搬路を推定することができる。
まず、パイロットパターンについて説明する。図12は、パイロットパターンを示す図である。図22(1)に示したとおり、送信装置10の送信系統Tx1,Tx2において、パイロットキャリアであるSP信号の配置パターンは8パターン存在する。一方、受信装置20は、送信系統Tx1からのSP信号と送信系統Tx2からのSP信号との合成信号を受信するため、パイロットパターンは、図12に示すSP信号が配置されたパターンとなる。つまり、受信装置20の受信系統Rxにおいて、SP信号の配置パターンは4パターンとなる。シンボル番号0のパイロットパターンの番号をパターン番号0とし、シンボル番号1〜7のパイロットパターンの番号をそれぞれパターン番号1〜7とすると、受信装置20は、パターン番号0〜7のパイロットパターンの順番で、そのパイロットパターンで配置されたSP信号を周期的に受信する。しかし、受信装置20は、SP信号の配置との相関によってパイロットパターンを検出することから、パイロット番号0とパイロット番号4のパイロットパターンを区別することが困難となり、同様に、パイロット番号1〜3とパイロット番号5〜7のパイロットパターンを区別することも困難となる。これらのパイロットパターンでは、SP信号の配置が同じだからである。
この場合、受信装置20は、フレーム同期の確立後にパイロットパターンを検出することは可能である。フレームの先頭がパターン番号0のパイロットパターンとなるからである。しかし、フレーム同期の確立はTMCC信号に基づいて実現されるため、フレーム同期を確立するまでに時間がかかってしまう。そこで、実施例3では、フレーム同期が確立する前であっても、複数のシンボルの時間分待つことなく当該シンボルの処理のみで、当該シンボルのパイロットパターンを検出する。これにより、受信装置20は、当該シンボルに配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別することができ、伝搬路を推定することができる。
(送信装置/実施例3)
次に、実施例3の送信装置10に備えたフレーム構成回路14について詳細に説明する。図13は、実施例3における送信パイロットキャリアの配置を示す図である。フレーム構成回路14は、図3に示したステップS301〜ステップS304の処理を行う際に、ステップS303において、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置する。
図13において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、所定位置に「−1」及び「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3に「−1」及びキャリア番号−2に「1」を、SP信号よりも2シンボル前のキャリア番号−2に「−1」及びキャリア番号−1に「1」を、SP信号よりも3シンボル前のキャリア番号−1に「−1」を配置する。また、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、所定位置に「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号と同じシンボルのキャリア番号−1に「1」を、SP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3,−2に「1」を、SP信号よりも2シンボル前のキャリア番号−2,−1に「1」を配置する。
以上のように、実施例3による送信装置10によれば、フレーム構成回路14が、信号帯域幅外の所定位置にSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置するようにした。これにより、受信装置20が、信号帯域幅外に配置されたパイロットパターン検出信号を用いてパイロットパターンを検出し、信号帯域幅外に配置されたSP信号を用いて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について伝搬路を推定することで、実施例1,2と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができる。したがって、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。
(受信装置/実施例3)
次に、実施例3の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26について詳細に説明する。図14は、実施例3におけるパイロットパターン検出処理を示すフローチャートであり、図15は、実施例3における受信パイロットキャリアの配置及び振幅結果等を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS501〜ステップS506の処理を行う際に、ステップS502において、受信パイロットキャリアからSP信号及びパイロットパターン検出信号を抽出し、ステップS503〜ステップS505において、図14の処理により、パイロットパターンを検出する。
図14を参照して、パイロット伝送路応答算出回路26は、復調対象のシンボル(当該シンボル:n番目のシンボル)における信号帯域幅外の所定位置について、SP信号及びパイロットパターン検出信号を含む信号を抽出する(ステップS1401)。本例では、当該シンボルにおいて、キャリア番号−3,−2,−1の信号を抽出する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、抽出した信号の振幅を振幅結果として求めると共に、加算結果1,2を求める(ステップS1402)。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボル(n番目のシンボル)におけるキャリア番号−3,−2,−1の信号をRx(n,-3),Rx(n,-2),Rx(n,-1)とすると、振幅結果として|Rx(n,-3)|を、第1の加算結果1として|Rx(n,-3)+Rx(n,-2)|を、第2の加算結果2として|Rx(n,-2)+Rx(n,-1)|をそれぞれ求める。
パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、振幅結果及び加算結果1,2に応じた、当該シンボルのパイロットパターン(パターン番号0〜7)を検出する(ステップS1403)。パイロットパターン対応テーブルは、振幅結果及び加算結果1,2の組合せとパイロットパターンのパターン番号とを対応付けたデータからなる。振幅結果及び加算結果1,2の組合せは、パターン番号毎に異なるものとなる。パイロットパターン対応テーブルの詳細については後述する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS503〜ステップS505において、SP信号に基づいて、信号帯域幅内のSP配置位置及びSP補間位置について、送信系統Tx1,Tx2との間の伝搬路を推定することができる。
尚、パイロット伝送路応答算出回路26は、検出したパターン番号が「3」の場合(ステップS1404:=3)、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し(ステップS1405)、このSP信号は送信系統Tx1から送信された信号であると識別する(ステップS1406)。一方、パイロット伝送路応答算出回路26は、検出したパターン番号が「7」の場合(ステップS1404:=7)、当該シンボルの抽出信号はSP信号であると判定し(ステップS1407)、このSP信号は送信系統Tx2から送信された信号であると識別する(ステップS1408)。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、検出したパターン番号「0〜2,4〜6」の場合(ステップS1404:=0〜2,4〜6)、当該シンボルの抽出信号はSP信号でないと判定する(ステップS1409)。
図15において、横軸の−3〜12はキャリア番号を示し、縦軸の−2〜8はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号−1を当該シンボルとした場合、ステップS1402及びステップS1403にて、振幅結果「1」、加算結果1「1」及び加算結果2「1」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2)=(1,1,1)に対応するパターン番号7を特定する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS1407及びステップS1408にて、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx2から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5のステップS505において、シンボル番号0におけるキャリア番号0の送信系統Tx2との間の伝送路を、シンボル番号−1におけるキャリア番号−3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>と、シンボル番号1におけるキャリア番号3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号0を当該シンボルとした場合、ステップS1402及びステップS1403にて、振幅結果「0」、加算結果1「0」及び加算結果2「1」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2)=(0,0,1)に対応するパターン番号0を特定し、ステップS1409にて、キャリア番号−3の信号がSP信号でないことを識別する。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号3を当該シンボルとした場合、ステップS1402及びステップS1403にて、振幅結果「1」、加算結果1「1」及び加算結果2「0」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2)=(1,1,0)に対応するパターン番号3を特定する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、ステップS1405及びステップS1406にて、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx1から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、図5のステップS505において、シンボル番号4におけるキャリア番号0の送信系統Tx1との間の伝送路を、シンボル番号3におけるキャリア番号−3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1と、シンボル番号5におけるキャリア番号3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
ここで、パイロットパターン対応テーブルは、前述のとおり、振幅結果及び加算結果1,2とパターン番号とを対応付けたデータからなり、図15を参照して、(振幅結果,加算結果1,加算結果2)=(0,0,1)の場合はパターン番号0、(0,1,0)の場合はパターン番号1、(1,0,1)の場合はパターン番号2、・・・、(1,1,1)の場合はパターン番号7が定義されている。
以上のように、実施例3による受信装置20によれば、パイロット伝送路応答算出回路26が、信号帯域幅外の所定位置に配置されたパイロットパターン検出信号に基づいて、当該シンボルのパイロットパターンを検出し、信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号と、信号帯域幅内の所定位置に配置されたSP信号とに基づいて、信号帯域幅内の端領域のキャリア位置について伝送路応答を算出するようにした。これにより、実施例1,2と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボルの信号のみを用いて、当該シンボルのパイロットパターンを検出することができる。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、実施例2とは異なり最大4シンボルの時間分待つ必要がなく、当該シンボルの処理内で即座に、パイロットパターンを検出し、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別でき、伝搬路を推定することができる。
〔実施例3の第1の変形例3−1〕
次に、実施例3の第1の変形例3−1について説明する。実施例3では、信号帯域幅外に配置されたパイロットパターン検出信号等であって、1シンボルの信号のみを用いて、パイロットパターンを検出するようにした。これに対し、変形例3−1では、信号帯域幅外に配置されたパイロットパターン検出信号等であって、当該シンボルの信号及び当該シンボルよりも1シンボル前の信号を用いて、パイロットパターンを検出する。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、1シンボル待つことで伝搬路を推定することができる。
(送信装置/変形例3−1)
まず、変形例3−1の送信装置10に備えたフレーム構成回路14について、信号帯域幅外の所定位置にパイロットパターン検出信号を配置する処理を詳細に説明する。図16は、変形例3−1における送信パイロットキャリアの配置を示す図である。図16において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。フレーム構成回路14は、図3に示したステップS301〜ステップS304の処理を行う際に、ステップS303において、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置する。
送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置に「−1」及び「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号と同じシンボルのキャリア番号−2に「−1」を、SP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3に「−1」及びキャリア番号−4に「1」を、SP信号よりも2シンボル前のキャリア番号−4に「−1」をそれぞれ配置する。また、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号よりも1シンボル後のキャリア番号−2に「1」及びキャリア番号−1に「−1」を、SP信号よりも2シンボル後のキャリア番号−1に「1」をそれぞれ配置する。
一方、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置に「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号と同じシンボルのキャリア番号−2に「1」を、SP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3,−4に「1」を、SP信号よりも2シンボル前のキャリア番号−4に「1」をそれぞれ配置する。また、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号よりも1シンボル後のキャリア番号−2,−1に「1」を、SP信号よりも2シンボル後のキャリア番号−1に「1」をそれぞれ配置する。
このように、送信装置10により信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号及びパイロットパターン検出信号は、受信装置20へ送信される。そして、受信装置20は、信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号及びパイロットパターン検出信号を用いて、パイロットパターンを検出し、伝搬路を推定する。
(受信装置/変形例3−1)
次に、変形例3−1の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26について、パイロットパターンを検出する処理を詳細に説明する。図17は、変形例3−1における受信パイロットキャリアの配置及び複素乗算結果を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS501〜ステップS506の処理を行う際に、ステップS502において、受信パイロットキャリアからSP信号及びパイロットパターン検出信号を抽出し、ステップS503〜ステップS505において、図14を基本にした新たな処理により、パイロットパターンを検出する。
具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1401において、復調対象のシンボル(当該シンボル:n番目のシンボル)及び当該シンボルよりも1シンボル前の信号帯域幅外の所定位置について、SP信号及びパイロットパターン検出信号を含む信号を抽出する。本例では、連続する2シンボルにおいて、キャリア番号−4,−3,−2,−1の信号を抽出する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1402において、抽出した信号を用いて、キャリア番号−1,−2,−3,−4毎に複素乗算結果を求める。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、n−1,n番目のシンボルにおいて、キャリア番号−1の信号をRx(n-1,-1),Rx(n,-1)、キャリア番号−2の信号をRx(n-1,-2),Rx(n,-2)、キャリア番号−3の信号をRx(n-1,-3),Rx(n,-3)、キャリア番号−4の信号をRx(n-1,-4),Rx(n,-4)、とすると、第1の複素乗算結果としてRx(n-1,-1)×Rx(n,-1)を、第2の複素乗算結果としてRx(n-1,-2)×Rx(n,-2)を、第3の複素乗算結果としてRx(n-1,-3)×Rx(n,-3)を、第4の複素乗算結果としてRx(n-1,-4)×Rx(n,-4)をそれぞれ求める。
パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1403において、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、4つの複素乗算結果に応じた、当該シンボルのパイロットパターン(パターン番号0〜7)を検出する。パイロットパターン対応テーブルは、4つの複素乗算結果の組合せとパイロットパターンのパターン番号とを対応付けたデータからなる。4つの複素乗算結果の組合せは、パターン番号毎に異なるものとなる。パイロットパターン対応テーブルの詳細については後述する。
パターン番号に応じた処理については図14のステップS1404〜ステップS1409と同様であるから、ここでは省略する。
図17において、横軸の−4〜12はキャリア番号を示し、縦軸の−2〜8はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号−1を当該シンボルとした場合、キャリア番号−1の複素乗算結果1「0」、キャリア番号−2の複素乗算結果2「0」、キャリア番号−3の複素乗算結果3「1」及びキャリア番号−4の複素乗算結果4「0」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(複素乗算結果1,複素乗算結果2,複素乗算結果3,複素乗算結果4)=(0,0,1,0)に対応するパターン番号7を特定する。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号0を当該シンボルとした場合、キャリア番号−1の複素乗算結果1「0」、キャリア番号−2の複素乗算結果2「1」、キャリア番号−3の複素乗算結果3「0」及びキャリア番号−4の複素乗算結果4「0」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(複素乗算結果1,複素乗算結果2,複素乗算結果3,複素乗算結果4)=(0,1,0,0)に対応するパターン番号0を特定する。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号3を当該シンボルとした場合、キャリア番号−1の複素乗算結果1「0」、キャリア番号−2の複素乗算結果2「0」、キャリア番号−3の複素乗算結果3「−1」及びキャリア番号−4の複素乗算結果4「0」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(複素乗算結果1,複素乗算結果2,複素乗算結果3,複素乗算結果4)=(0,0,−1,0)に対応するパターン番号3を特定する。
ここで、パイロットパターン対応テーブルは、前述のとおり、複素乗算結果1〜4とパターン番号とを対応付けたデータからなり、図17を参照して、(複素乗算結果1,複素乗算結果2,複素乗算結果3,複素乗算結果4)=(0,1,0,0)の場合はパターン番号0、(1,0,0,0)の場合はパターン番号1、(0,0,0,−1)の場合はパターン番号2、・・・、(0,0,1,0)の場合はパターン番号7が定義されている。
以上のように、変形例3−1による送信装置10及び受信装置20によれば、実施例3と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボル及び当該シンボルよりも1シンボル前の信号を用いて、当該シンボルのパイロットパターンを検出することができる。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、実施例2とは異なり最大4シンボルの時間分待つ必要がなく、次のシンボルの処理において、パイロットパターンを検出し、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別でき、伝搬路を推定することができる。
〔実施例3の第2の変形例3−2〕
次に、実施例3の第2の変形例3−2について説明する。パイロットパターンを検出するために、実施例3では、1シンボルのみの信号帯域幅外に配置された信号を用いて処理し、変形例3−1では、2シンボルの信号を用いて処理するようにした。これに対し、変形例3−2では、4シンボルの信号帯域幅外に配置された信号を用いて、パイロットパターンを検出する。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、3シンボル待つことで伝搬路を推定することができる。
(送信装置/変形例3−2)
まず、変形例3−2の送信装置10に備えたフレーム構成回路14について、信号帯域幅外の所定位置にパイロットパターン検出信号を配置する処理を詳細に説明する。図18は、変形例3−2における送信パイロットキャリアの配置を示す図である。図18において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。フレーム構成回路14は、図3に示したステップS301〜ステップS304の処理を行う際に、ステップS303において、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置する。
送信系統Tx1のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号3,11等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置に「−1」及び「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3に「−1」を、SP信号よりも1シンボル後のキャリア番号−3に「1」をそれぞれ配置する。
一方、送信系統Tx2のフレーム構成回路14は、図3のステップS303において、シンボル番号−1,7等について信号帯域幅外のキャリア番号−3にSP信号を配置すると共に、信号帯域幅外の所定位置に「1」のパイロットパターン検出信号を配置する。具体的には、パイロットパターン検出信号として、そのSP信号よりも1シンボル前のキャリア番号−3に「1」を、SP信号よりも1シンボル後のキャリア番号−3に「1」をそれぞれ配置する。
このように、送信装置10により信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号及びパイロットパターン検出信号は、受信装置20へ送信される。そして、受信装置20は、信号帯域幅外の所定位置に配置されたSP信号及びパイロットパターン検出信号を用いて、パイロットパターンを検出し、伝搬路を推定する。
(受信装置/変形例3−2)
次に、変形例3−2の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26について、パイロットパターンを検出する処理を詳細に説明する。図19は、変形例3−2における受信パイロットキャリアの配置及び振幅結果等を示す図である。パイロット伝送路応答算出回路26は、図5に示したステップS501〜ステップS506の処理を行う際に、ステップS502において、受信パイロットキャリアからSP信号及びパイロットパターン検出信号を抽出し、ステップS503〜ステップS505において、図14を基本にした新たな処理により、パイロットパターンを検出する。
具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1401において、復調対象のシンボル(当該シンボル:n番目のシンボル)、当該シンボルよりも1シンボル前及び2シンボル前の信号帯域幅外の所定位置について、SP信号及びパイロットパターン検出信号を含む信号を抽出する。本例では、連続する3シンボルにおいて、キャリア番号−3の信号を抽出する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1402において、抽出した信号を用いて、振幅結果、加算結果1,2及び複素乗算結果を求める。具体的には、パイロット伝送路応答算出回路26は、n番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n)、n−1番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n-1)、n−2番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n-2)、n−3番目のシンボルにおけるキャリア番号−3の信号をRx(n-3)とすると、振幅結果として|Rx(n)|を、第1の加算結果1として|Rx(n)+Rx(n-1)|を、第2の加算結果2として|Rx(n)+Rx(n-1)+Rx(n-2)|を、複素乗算結果としてRx(n-1)×Rx(n-3)をそれぞれ求める。
パイロット伝送路応答算出回路26は、図14のステップS1403において、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、振幅結果、加算結果1,2及び複素乗算結果に応じた、当該シンボルのパイロットパターン(パターン番号0〜7)を検出する。パイロットパターン対応テーブルは、振幅結果、加算結果1,2及び複素乗算結果の組合せとパイロットパターンのパターン番号とを対応付けたデータからなる。振幅結果、加算結果1,2及び複素乗算結果の組合せは、パターン番号毎に異なるものとなる。パイロットパターン対応テーブルの詳細については後述する。
パターン番号に応じた処理については図14のステップS1404〜ステップS1409と同様であるから、ここでは省略する。
図19において、横軸の−3〜12はキャリア番号を示し、縦軸の−2〜8はシンボル番号を示す。パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号−1を当該シンボルとした場合、振幅結果「1」、加算結果1「2」、加算結果2「2」及び複素乗算結果「1」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2,複素乗算結果)=(1,2,2,1)に対応するパターン番号7を特定する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx2から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、2シンボル後の処理(シンボル番号1の処理)において、シンボル番号0におけるキャリア番号0の送信系統Tx2との間の伝送路を、シンボル番号−1におけるキャリア番号−3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>と、シンボル番号1におけるキャリア番号3の送信系統Tx2から送信されたSP信号<1>に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号1を当該シンボルとした場合、振幅結果「0」、加算結果1「1」、加算結果2「2」及び複素乗算結果「1」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2,複素乗算結果)=(0,1,2,1)に対応するパターン番号1を特定し、キャリア番号−3の信号がSP信号でないことを識別する。
また、パイロット伝送路応答算出回路26は、例えば、シンボル番号3を当該シンボルとした場合、振幅結果「1」、加算結果1「0」、加算結果2「0」及び複素乗算結果「−1」を求める。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、予め設定されたパイロットパターン対応テーブルに基づいて、(振幅結果,加算結果1,加算結果2,複素乗算結果)=(1,0,0,−1)に対応するパターン番号3を特定する。そして、パイロット伝送路応答算出回路26は、当該シンボルの抽出信号(キャリア番号−3の信号)がSP信号であり、このSP信号が送信系統Tx1から送信された信号であることを識別する。これにより、パイロット伝送路応答算出回路26は、2シンボル後の処理(シンボル番号5の処理)において、シンボル番号4におけるキャリア番号0の送信系統Tx1との間の伝送路を、シンボル番号3におけるキャリア番号−3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1と、シンボル番号5におけるキャリア番号3の送信系統Tx1から送信されたSP信号1に基づいて、斜め方向の内挿処理を行って算出することができる。
ここで、パイロットパターン対応テーブルは、前述のとおり、振幅結果、加算結果1,2及び複素乗算結果とパターン番号とを対応付けたデータからなり、図19を参照して、(振幅結果、加算結果1,加算結果2,複素乗算結果)=(1,2,3,0)の場合はパターン番号0、(0,1,2,1)の場合はパターン番号1、(1,1,0,0)の場合はパターン番号2、・・・、(1,2,2,1)の場合はパターン番号7が定義されている。
以上のように、変形例3−2による送信装置10及び受信装置20によれば、実施例3と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、4シンボルの信号を用いてパイロットパターンを検出することができる。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、当該シンボルを含めて4シンボル後に、パイロットパターンを検出し、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別でき、伝搬路を推定することができる。
〔実施例3の第3の変形例3−3〕
次に、実施例3の第3の変形例3−3について説明する。パイロットパターンを検出するために、変形例3−2では、送信装置10において、信号帯域幅外の所定位置にSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置する際に、パイロットパターン検出信号として、送信系統Tx1にてSP信号よりも1シンボル前に「−1」を、1シンボル後に「1」を配置し、送信系統Tx2にてSP信号よりも1シンボル前に「1」を、1シンボル後に「1」を配置するようにした。これに対し、変形例3−3では、パイロットパターン検出信号として、送信系統Tx1にてSP信号よりも1シンボル後に「−1」を配置し、送信系統Tx2にてSP信号よりも1シンボル後に「−1」を配置し、SP信号よりも1シンボル前には変形例3−2と同様の信号を配置する。これにより、変形例3−2と同様に、フレーム同期が確立する前であっても、3シンボル待つことで伝搬路を推定することができる。
変形例3−3の送信装置10に備えたフレーム構成回路14について、信号帯域幅外の所定位置にパイロットパターン検出信号を配置する処理を詳細に説明する。図20は、変形例3−3における送信パイロットキャリアの配置を示す図である。図20において、横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示す。フレーム構成回路14は、図3に示したステップS301〜ステップS304の処理を行う際に、ステップS303において、信号帯域幅外の所定位置に、パイロットキャリアとしてSP信号及びパイロットパターン検出信号を配置する。
送信系統Tx1,Tx2のフレーム構成回路14による信号帯域幅外のSP信号の配置、及びそのSP信号よりも1シンボル前にパイロットパターン検出信号を配置する処理は、変形例3−2と同様である。送信系統Tx1,Tx2のフレーム構成回路14は、それぞれのSP信号よりも1シンボル後のキャリア番号−3に「−1」を配置する。
変形例3−3の受信装置20に備えたパイロット伝送路応答算出回路26の処理は変形例3−2と同様であるから、ここでは説明を省略する。
以上のように、変形例3−3による送信装置10及び受信装置20によれば、変形例3−2と同様に、周波数軸の端の多くのキャリアについて伝搬路が推定されないという問題を解決することができ、移動受信環境において、信号品質の劣化を防止することができる。また、パイロット伝送路応答算出回路26は、4シンボルの信号を用いてパイロットパターンを検出することができる。これにより、フレーム同期が確立する前であっても、当該シンボルを含めて4シンボル後に、パイロットパターンを検出し、信号帯域幅外に配置されたSP信号の送信系統Tx1,Tx2を識別でき、伝搬路を推定することができる。
尚、実施例3、変形例3−1〜3−3では、図13、図16、図18、図20に示したように、送信系統Tx1,Tx2における信号帯域幅外の所定位置にパイロットパターン検出信号をそれぞれ配置するようにしたが、送信系統Tx1と送信系統Tx2との配置が逆になるように、パイロットパターン検出信号を配置するようにしてもよい。
また、実施例3、変形例3−1〜3−3では、パイロットパターン検出信号を信号帯域幅外の所定位置に配置するようにしたが、これらは例示であり、本発明はこれらの配置に限定されるものではない。パイロットパターン検出信号は、受信装置20の演算処理によりパイロットパターンが検出できるように、信号帯域幅外の所定位置に配置されていればよい。
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、図2に示した受信装置20は、1つの受信系統を備えた例であり、MISO−OFDM通信システムに適用する装置である。これに対し、MIMO−OFDM通信システムに適用するために、受信装置20は複数の受信系統を備えるようにしてもよい。この場合、受信装置20は、受信アンテナ21、周波数変換回路22、GI除去回路23、FFT回路24、パイロット抽出回路25、パイロット伝送路応答算出回路26、伝送路応答算出回路27及び遅延回路28を受信系統分備えており、時空間復号回路29が、各受信系統のデータキャリア及び伝送路応答を入力し、復号処理を行う。
また、図1に示した送信装置10では、2つの送信系統Tx1,Tx2により2本の送信アンテナ18を介してOFDM信号の放送波を送信する例を示したが、3つ以上の送信系統によりそれと同じ本数の送信アンテナ18を介してOFDM信号の放送波を送信するようにしてもよい。