JP5867862B2 - 電磁シールド性と導電性に優れた樹脂塗装金属板 - Google Patents
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Description
扁平状金属粉は、樹脂皮膜に含有させることにより、筐体内部で発生した電磁波が多重反射して、最終的に空気穴などから筐体外部に漏洩する電磁波を減衰させ、その結果、電磁波シールド性を向上させる効果を有する。
チタン系セラミックスは、軽接触圧下での樹脂皮膜厚み方向の導電性を向上させる効果を有する。このような効果は汎用のNiでは見られず、本発明者らによって見出されたものである。またチタン系セラミックスは、誘電性にも優れているため、電磁波シールド性を向上させる効果も有する。
本発明の金属板に形成される樹脂皮膜のTgは10℃以下、好ましくは5℃以下である。Tgが10℃以下と非常に低い樹脂皮膜の使用により、樹脂皮膜の変形能が一層向上し、接触圧力が低くても樹脂皮膜が変形し、樹脂皮膜中の上記扁平状金属粉やチタン系セラミックスの接触が促進されるため、導電性が一層向上する。Tgは低いほど導電性向上効果も高くなるが、Tgが低すぎると樹脂が軟らかすぎて耐疵付き性が低下するなど、樹脂皮膜に一般的に要求される特性に劣るため、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−10℃以上である。
本発明の樹脂塗装金属板に用いられる金属板(原板)は、特に限定されず、冷延鋼板、熱延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、亜鉛と鉄族元素(Fe,Co,Ni)との合金めっき鋼板[特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)]、5%Al−Znめっき鋼板、55%Al−Znめっき鋼板、Al等の各種めっき鋼板、ステンレス鋼板等の鋼板類や、公知の金属板等を全て適用することができる。なかでも、亜鉛と鉄族元素(Fe,Co,Ni)との合金めっき鋼板が好ましい。また、これらの合金めっき鋼板の中でも、亜鉛と鉄とを合金化しためっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)がさらに好適である。鉄は電磁波吸収性に優れ、めっき中の鉄が電磁波の吸収に寄与するため、GA鋼板を原板として用いることで、より高い電磁波シールド性を発揮することができる。
金属板として両面にめっきを施しためっき鋼板(板厚はすべて0.8mm)を用いた。各めっき鋼板には下地処理(ノンクロメート皮膜処理、日本パーカライジング社製「CTE−203」、付着量100mg/m2)を施してから、樹脂皮膜を形成した。
片面のめっき付着量:30g/m2
めっき中のFe量:10.3質量%
・EG(電気亜鉛めっき鋼板)
片面のめっき付着量:20g/m2
・ベース樹脂A:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)500」
Tg:4℃(カタログ値)
分子量(Mn):23×103
・ベース樹脂B:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK780」
Tg:36℃(カタログ値)
分子量(Mn):11×103
・ベース樹脂C:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)550」(Tg:−15℃)と「バイロン(登録商標)500」(Tg:4℃)を質量比2:8の割合で混合したもの
Tg:0℃
分子量(Mn):24×103
・ベース樹脂D:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)500」(Tg:4℃)と「バイロン(登録商標)GK130」(Tg:15℃)を質量比45:55の割合で混合したもの
Tg:10℃
分子量(Mn):14×103
・ベース樹脂E:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK130」
Tg:15℃(カタログ値)
分子量(Mn):7×103
・ベース樹脂F:有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂
東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK140」
Tg:20℃(カタログ値)
分子量(Mn):13×103
架橋剤:メラミン樹脂
長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司製「スミマールM−40ST」
固形分:80質量%
・扁平状金属粉A:三菱製鋼株式会社製パーマロイ(Ni:78%、平均粒径:7μm、平均アスペクト比:1.7)粒子をアトライター加工し、平均アスペクト比:3.8(長径の平均粒子長さ:9.6μm、厚さ:2.5μm)としたものを用いた。
・粒状金属粉:三菱製鋼株式会社製パーマロイ(Ni:78%、平均粒径:7μm、平均アスペクト比:1.7)
・チタン系セラミックスA:日本新金属社製チタンカーボナイトライド粉(TiC−TiN)
TiC:TiN比=1:1
平均粒径:1.3μm
・チタン系セラミックスB:日本新金属社製チタンカーバイド粉(TiC)
平均粒径:1.7μm
・チタン系セラミックスC:日本新金属社製チタンナイトライド粉(TiN)
平均粒径:1.4μm
・粒状金属粉:三菱製鋼株式会社製パーマロイ(球状)
Ni:78質量%
平均粒径:7μm
平均アスペクト比:1.7
・球状Ni:日本アトマイズ加工社製「SFR-Ni」(球状ニッケル粉)
平均粒径:5μm
・樹脂A:上記ベース樹脂Aと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
・樹脂B:上記ベース樹脂Bと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
・樹脂C:上記ベース樹脂Cと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
・樹脂D:上記ベース樹脂Dと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
・樹脂E:上記ベース樹脂Eと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
・樹脂F:上記ベース樹脂Fと上記架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合したもの
上記塗装樹脂に、上記添加物1(金属粉)と上記添加物2(チタン系セラミックスなど)を表に示す所定量を添加した。この添加物1と添加物2の合計固形分が50質量%となるように、キシレンとシクロヘキサノンとの混合溶剤(キシレン:シクロヘキサノン=1:1)で希釈した原料組成物を調製した。
ノンクロメート皮膜処理後の各めっき鋼板に、表に示した皮膜厚t(μm)となるように樹脂皮膜用原料組成物(上記塗料組成)を、バーコーターで塗工し、熱風乾燥炉内にて到達板温230℃で約60秒間焼き付けして、樹脂塗装金属板を作製した。皮膜厚は、皮膜の質量を測定し、比重換算で算出した。
テスター(カスタム社製アナログテスタCX−250)を用い、以下のようにして、樹脂塗装金属板の表面の電気抵抗を測定した。図1に示すように、2本の端子を樹脂皮膜との角度が45°になるように持ち、30mm/秒の平均速度で樹脂皮膜表面を軽くなぞる。測定長さは100mmとした。測定時の圧力は、端子の自重(7g)のみとなるように、軽接触圧下で行った。測定開始から1秒間以上経過して測定値(抵抗値)が安定したところで、抵抗値を読み取った。この操作を測定場所を変えて合計20回行い、その平均値を抵抗値とした。この抵抗値が200Ωを超えるもの(表中、200〜)は導電性に劣ると評価した。なお、表中、「100〜200」は「100超〜200以下」の意味であり、同様に「200〜300」は「200超〜300以下」、「300〜500」は「300超〜500以下」、「500〜1000」は「500超〜1000以下」、「1000〜2000」は「1000超〜2000以下」、「>2000」は「2000超」の意味である。
図2は、樹脂塗装金属板の電磁波吸収性を評価する方法を説明する図である。図2に示すように、直方体形状の筐体1内には、高周波ループアンテナ5が設置され、磁界結合されるように構成されている。高周波ループアンテナ5は、コネクタ(図示せず)を介して同軸ケーブル6の一端に接続され、同軸ケーブル6の他端はネットワークアナライザ7に接続されている。ネットワークアナライザ7では、周波数を掃引しながら電磁波を発生し、同軸ケーブル6、高周波ループアンテナ5を経由して筐体1内に入力(高周波入力波:矢印B)するようにされている。筐体1の共振周波数では、入力された電磁波が蓄積されるために、反射量が少なくなる特性が観察される(図3参照)。そして、矢印Cで表される高周波反射波は、観察値としてネットワークアナライザ7に入力(高周波反射波:矢印C)される。
Q値=fr/Δf‥‥(1)
上記(1)式から求められるQ値が小さくなるほど、筐体1内で蓄積されるエネルギーが減ることを意味する。従って、Q値が小さくなる程、筐体1から内部に反射される電磁界レベルも減ることになる。
Hz=H011・cos(ky・y)・sin(kz・z)
Hy=(−kz・ky/kc 2)・H011・sin(ky・y)・cos(kz・z)
Ex=(−jωμky/kc 2)・H011・sin(ky・y)・sin(kz・z)
ここで、ky=π/b、kz=π/c、kc=kyである。b、cは図4の直方体(筐体1)のy、z方向の長さ、jは虚数、ωは各周波数、μは空気の透磁率を夫々示す。
サンプル鋼板の電子波吸収性(dB)=10×log10([EG]/[A])
但し、[EG]:基板となる電気亜鉛めっき鋼板のQ値
[A] :サンプル鋼板のQ値
上記方法によって算出された値(dB)が高いほど電磁波吸収性に優れていると評価される。本実施例では、上記のようにして算出された値が、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)の場合では3.3dB以上のものを電磁波吸収性に優れる(合格)と評価し、電気亜鉛めっき鋼板(EG)の場合は0.3dB以上のものを電磁波吸収性に優れる(合格)と評価した。
5 高周波ループアンテナ
6 同軸ケーブル
7 ネットワークアナライザ
Claims (4)
- 電子機器の筺体の構成部材に用いられ、金属板の表面に樹脂皮膜が被覆された、電磁シールド性と導電性に優れた樹脂塗装金属板であって、
前記樹脂皮膜は、平均アスペクト比が3以上の扁平状の金属粉、およびチタン系セラミックスを含有していると共に、
前記樹脂皮膜のTgが10℃以下であり、
前記樹脂塗装金属板と前記筐体との接合部における接触圧力が5〜15g/mm 2 での導電性に優れることを特徴とする樹脂塗装金属板。 - 前記樹脂皮膜はNiを含有しないものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記扁平状の金属粉は、磁性金属粉である請求項1または2に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記チタン系セラミックスは、チタンカーバイド、チタンナイトライド、およびチタンカーボナイトライドよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
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