JP5867797B2 - ドーパミン産生神経の分化誘導用の細胞培養基材 - Google Patents

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Description

本発明は、ドーパミン産生神経の分化誘導用の細胞培養基材に関する。
従来から、ドーパミン産生神経への分化誘導について多くの研究がなされている。胎児由来神経幹細胞を始めとして、胚性幹細胞や人工多能性幹細胞などから、ドーパミン産生細胞への分化誘導法が多数報告されている(例えば、非特許文献1、2等)。それらに共通するのが、細胞培養皿に接着させた細胞に、液性因子として分化誘導因子を添加することによって分化誘導するという点である。しかしながら、いずれの培養方法においても、ドーパミン産生細胞への誘導効率が低いこと、ドーパミン産生細胞以外の分化細胞(主にグリア細胞)が混在することが問題として挙げられる。分化誘導効率の低さや他の分化細胞の混在によって、十分なドーパミン産生を得ることができず、また、その再現性も十分ではない。
また、近年の幹細胞生物学の目覚ましい発展により、細胞移植医療の実現が現実味を帯びてきている。中枢神経疾患の再生医療、とくにパーキンソン病治療においても例外ではなく、動物モデルでの細胞移植実験が盛んに行われている。移植の効果および細胞の品質管理の観点から、移植細胞は均質な細胞集団であることが望ましいが、現状の培養法では、それを満足することはできない。
こうした現状から、ドーパミン産生神経を効率よく分化誘導できる誘導効率の高い培養法、選択的分化誘導が可能な培養法が求められている。
Develop Brain Res 2002;136:27-34 Develop Brain Res 2004;153:39-51
従って、本発明の目的は、ドーパミン産生神経を効率よく分化誘導できる新規な手段を提供することにある。
本願発明者らは、過去に、基底膜の機能の一端を模倣した材料の構築を目指し、ラミニン由来のポリペプチドを利用したキメラタンパク質を構築した(Nakaji-Hirabayashi, T., et al. Polym. Prep. J. 58, 5094 (2009))。該キメラタンパク質は、ラミニンα1鎖のインテグリン結合ドメインとして知られる、グロビュラードメインの3番目[G3ドメイン(LG3)]と、γ1鎖C末端の9残基から成るペプチド(LγP)を主要構成要素として含んでいる。本願発明者らは、ドーパミン産生神経を効率よく分化誘導できる新規な手段を開発するために、鋭意努力して検討を重ねた結果、このラミニン由来キメラタンパク質と共に、ドーパミン産生神経細胞への分化誘導や保護を担う脳由来神経栄養因子(BDNF)およびグリア由来神経栄養因子(GDNF)を基材表面に固定化し、この基材上で神経幹細胞を培養することで、従来のような、神経栄養因子を液性因子として培養液中に添加する方法と比較して、ドーパミン産生神経への分化誘導が飛躍的に向上し、グリア系細胞の混在量を大幅に低減することができることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、神経幹細胞、神経幹細胞から神経細胞へ分化しつつある細胞(以下、「神経前駆細胞」という)及び神経細胞を接着する細胞接着性ポリペプチドと、分化誘導因子であるBDNF及びGDNFとが表面に固定化された支持体を含む、ドーパミン産生神経の分化誘導用の細胞培養基材であって、細胞接着性ポリペプチドは、第1のαへリックス領域を含む配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるLG3ポリペプチド鎖と、第2のαへリックス領域を含む配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるLγPポリペプチド鎖とが、αへリックス領域間の相互作用により結合した複合体の形態にあるポリペプチドである、細胞培養基材を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の細胞培養基材上で神経幹細胞を培養することを含む、ドーパミン産生神経の前駆細胞の製造方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の細胞培養基材上で神経幹細胞を培養することを含む、ドーパミン産生神経細胞の製造方法を提供する。
本発明により、ドーパミン産生神経を高い効率で分化誘導できる細胞培養基材が提供された。本発明の基材によれば、グリア系細胞の混在量が極めて少なく、ドーパミン産生神経細胞が従来法よりも高い割合で含まれる、高純度のドーパミン産生神経細胞集団を得ることができる。ドーパミン産生細胞を対象とする基礎研究において、選択的かつ高効率にドーパミン産生細胞を誘導できれば、ドーパミン産生細胞の機能をより正確に且つ詳細に分析できるようになるものと考えられる。また、従来は、他の分化細胞の存在下でドーパミン産生細胞の機能について調べられてきたが、ドーパミン産生細胞を豊富に含む細胞集団を用いて機能評価できれば、逆に、他の分化細胞の果たす役割についても新たな知見が得られる可能性がある。グリア細胞のような他の分化細胞は、ドーパミン産生の促進や抑制に関与していると考えられているが、その詳細は十分には明らかにされていない。そのような観点から、本発明は、神経科学および神経疾患の治療薬の開発などの産業分野にも大きく貢献できると考えられる。また、パーキンソン病の再生治療では、移植の効果及び細胞の品質管理の観点から、移植細胞は均質な細胞集団であることが望ましく、本発明の基材によれば移植細胞として非常に望ましい細胞集団を提供できる。特に、本発明の基材上で分化誘導されたドーパミン産生神経は、分化誘導因子を培養液中に液性因子として添加する従来法にて分化誘導されたドーパミン産生神経と比較して、ドーパミン産生量が非常に多いため、この点でも再生治療に用いる移植用細胞として非常に有望である。
神経栄養因子キメラタンパク質および細胞接着性キメラタンパク質を固定した分化誘導用培養基材の概略図である。金蒸着ガラス基板上にCOOH末端のアルカンチオールの自己組織化単分子膜を形成させ、Ni2+配位子を修飾した。その表面上にオリゴヒスチジンを末端に有するキメラタンパク質を曝露し、Ni2+とオリゴヒスチジン間のキレート形成反応を利用して固定した。 大腸菌発現系を利用して合成した、神経栄養因子キメラタンパク質および細胞接着性ポリペプチドのドメイン構造を示す。C末端にオリゴヒスチジンを融合したBDNF(BH)、およびC末端にオリゴヒスチジンを融合したGDNF(GH)がそれぞれ神経栄養因子キメラタンパク質である。そして、LG3・αヘリックスペプチド(E5)・オリゴヒスチジンを融合したポリペプチドがLG3ポリペプチド、およびLγP・αヘリックスペプチド(K5)・オリゴヒスチジンを融合したポリペプチドがLγPポリペプチドである。このLG3ポリペプチドとLγPポリペプチドは、E5とK5のコイルドコイル形成能を利用して複合体を形成して細胞接着性ポリペプチド(LG)となる。 GHとLGを共固定した基材上で7日間培養した細胞の接着数および神経細胞の割合を示すグラフである。種々の比率で固定したGH/LG共固定表面上の神経細胞の割合は、全細胞数に対するβIII-tubulin(神経マーカー)陽性細胞数から決定した。 BH/GH/LG共固定基材上、BH/LG共固定基材上、GH/LG共固定基材上、LG固定基材上でBDNFとGDNFを液性作用、またはラミニンコート基材上でBDNFとGDNFを液性作用、の各条件下で神経幹細胞を14日間培養した後に、細胞の各種分化マーカータンパク質陽性細胞率を示すグラフである。各種基材上で培養した細胞を免疫染色し、各種マーカータンパク質陽性細胞をカウントした。全細胞数に対するマーカータンパク質陽性細胞の割合を図に示す。 BH/GH/LG共固定基材上、またはラミニンコート基材上でBDNFとGDNFを液性作用、の各条件下で神経幹細胞を14日間培養した後の、細胞のドーパミン分泌量を示す。培養後の細胞に高濃度KClを作用させ、強制的にドーパミンを放出させた。放出ドーパミンは、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。 BH/GH/LG共固定基材上で神経幹細胞を14日間培養した後の細胞のRT-PCR法による各種遺伝子発現解析の結果を示す。ドーパミン産生細胞に特異的に発現するタンパク質のmRNAの発現を評価した。バンド発現が観察されるものは、mRNAが存在することを示す。チロシンヒドロキシラーゼ(TH)および芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)はドーパミンの合成に関与する酵素である。カテコールメチル化転換酵素(COMT)およびモノアミン酸化酵素(MAO)はドーパミンの代謝に関与する酵素である。ドーパミン輸送体(DAT)はドーパミンのリサイクリングに関わる膜タンパク質であり、ドーパミンレセプター(DRD)1〜5はドーパミンのシグナル伝達に関与する膜タンパク質である。 RT-PCR法による遺伝子発現解析の結果を示す。(A)無血清培地に懸濁した細胞、(B)CNTF(100 ng/mL)を添加した無血清培地に懸濁した細胞、(C)2%ウシ胎児血清含有培地に懸濁した細胞をそれぞれLG固定基材上に播種し、1週間培養した。BおよびCの試料は、1週間の培養でほぼすべてが剥離したので、浮遊細胞を回収して分析した。 受容体リン酸化に関するウエスタンブロッティング分析の結果を示す。培養期間:(A)7日間、(B)14日間。(a)BH/GH/LG共固定基材上で培養した細胞、(b)ラミニン上でBDNF(50 ng/mL)およびGDNF(10 ng/mL)を添加した培地を用いて7日あるいは14日間培養した後、BDNF(500 ng/mL)とGDNF(100 ng/mL)を添加した培地中で30分間培養した細胞、(c)ラミニン上でBDNF(50 ng/mL)およびGDNF(10 ng/mL)を添加した培地を用いて培養した細胞。 抗インテグリン抗体を用いたLG固定基材への神経幹細胞の接着阻害実験の結果を示すグラフである。LG、抗インテグリンβ1抗体(anti-β1)若しくは抗インテグリンα1抗体(anti-α6)で神経幹細胞を前処理した後又は前処理せずに、各基材上に播種して培養し、基材表面に接着した細胞数をカウントした。
本発明の細胞培養基材は、神経幹細胞、神経前駆細胞、及び神経細胞を接着する細胞接着性ポリペプチドと、ドーパミン産生神経への分化を誘導する分化誘導因子とが表面に固定化された支持体を含む。この基材上で神経幹細胞を培養すると、支持体上に接着保持された細胞に対し、分化誘導因子による分化誘導シグナルが効率よく継続的に与えられるため、ドーパミン産生神経への分化が促進される。
本発明で用いる細胞接着性ポリペプチドは、神経幹細胞、神経前駆細胞、及び神経細胞に分化した細胞は接着し、好ましくは、グリア系細胞は接着しない。グリア系細胞とは、神経幹細胞から分化した細胞であって、アストロサイト及びオリゴデンドロサイト並びにこれら細胞への分化途上にある前駆細胞をいい、具体例を挙げると、グリア前駆細胞、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトが包含される。このような接着性は、インテグリンを介して神経幹細胞と接着する性質により達成することができる。神経幹細胞、神経前駆細胞や分化した神経細胞は、細胞接着因子であるインテグリンを発現するが、神経幹細胞がグリア系細胞に分化するに伴い、インテグリンの発現パターンが変化する。従って、インテグリンを介して神経幹細胞と接着する性質を有する細胞接着性ポリペプチドを用いれば、グリア系細胞に分化した細胞が自然に脱落する培養基材を提供できる。これにより、グリア系細胞の混在量が少なく神経細胞の密度が高い細胞集団を得ることが可能になる。本発明の細胞培養基材においては、グリア系細胞の割合が極めて少ないドーパミン産生神経細胞集団を得ることができる。
そのような細胞接着性ポリペプチドの具体例として、ラミニン由来のポリペプチドを挙げることができる。ラミニンα1鎖のG3ドメイン(以下、このドメインを「LG3」という)はインテグリンを介した細胞接着に大きく関与しており、また、このLG3とインテグリンとの相互作用には、ラミニンγ1鎖のC末端に位置する9残基の領域FNTPSIEKP(以下、この9残基の領域を「LγP」という)が重要な役割を担っていることが知られている(Ido H. et al., J. Biol. Chem. 2007, 282, 11144-11154)。従って、本発明では、LG3及びLγPを構成要素として含むポリペプチドを、支持体に固定化する細胞接着性ポリペプチドとして採用する。実際に、LG3及びLγPを構成要素として含む細胞接着性ポリペプチドは、インテグリンを介して神経幹細胞と接着することが、抗インテグリン抗体を用いた阻害実験により確認されている(Nakaji-Hirabayashi, T., et al. Polym. Prep. J. 58, 5094 (2009)、及び図9)。
ラミニンα1鎖及びγ1鎖の配列は公知であり、GenBankにもそれぞれNM_005559及びNM_002293のAccession番号で登録されている。これら登録された配列を配列表の配列番号19〜22に示す。LG3は配列番号20のaa2482-2672の領域であり、LγPは配列番号22のaa1601-1609の領域である。
LG3とLγPは隣接して存在することにより、ラミニン様の機能を発揮することが知られている。そこで、LG3とLγPを2本のポリペプチド鎖のそれぞれに分散して含ませ、この2本のポリペプチドが複合体化してLG3とLγPとが隣接した構造の複合体となるように、何らかの相互作用により互いに結合する領域(本発明では該領域を「相互作用領域」という)をそれぞれのポリペプチド鎖に設ければよい。例えば、図2に示す具体例では、LG3ポリペプチド鎖及びLγPポリペプチド鎖において、LG3及びLγPの各N末端側に、αへリックス構造を形成する領域がスペーサーを介して連結されている。この場合、αへリックス領域間でコイルドコイル構造が形成され、それによりLG3ポリペプチド鎖及びLγPポリペプチド鎖の複合体化が達成される。例えば、遺伝子組換え宿主で発現され精製されたLG3ポリペプチド鎖を、下記実施例に記載される方法でリフォールディングさせることで、その立体構造の再生を行ない、次いで、LγPポリペプチド鎖とこの再生後のLG3ポリペプチド鎖とを等モル比で混合し、コイルドコイル構造の形成により複合体化させた後、支持体表面に固定化すればよい。LG3ポリペプチド鎖及びLγPポリペプチド鎖の複合体からなる細胞接着性ポリペプチド自体は、Nakaji-Hirabayashi, T., et al. Polym. Prep. J. 58, 5094 (2009)に記載され公知である
相互作用領域の一例であるαへリックス領域の具体例としては、例えば(KELASVE)(n=3〜10)及び(EKLASVK)(m=3〜10)を挙げることができる。これらの2種を2本のポリペプチド鎖に用いる場合、nとmは±1〜2程度の差異があってもよいが、通常は一致させることが望ましい。図2の具体例では、LG3鎖には(KELASVE)(図2のE5)が、LγP鎖には(EKLASVK)(図2のK5)が用いられている。
細胞接着性ポリペプチドは、さらに、支持体表面への固定化に使用される領域を有し得る。図2の具体例では、LG3ポリペプチド鎖及びLγPポリペプチド鎖それぞれのN末端に連結されたαへリックス領域のさらにN末端に、スペーサーを介してオリゴヒスチジンがそれぞれ連結されている。オリゴヒスチジンは、支持体表面に導入された2価の金属配位子との間でキレート形成反応を生じるので、2価の金属配位子を有する支持体表面とオリゴヒスチジンを有するポリペプチド分子とを接触させることで、ポリペプチド分子を支持体表面に安定に固定することができる(図1)。オリゴヒスチジンとキレート形成する2価の金属配位子としては、例えばニッケル配位子(Ni2+)、亜鉛配位子(Zn2+)、コバルト配位子(Co2+)等が挙げられる。
LG3ポリペプチド鎖及びLγPポリペプチド鎖では、細胞接着性を発揮する観点から、複合体形成のための相互作用領域(例えば、αへリックス領域など)や支持体への固定化のための領域(例えば、オリゴヒスチジン領域など)などの付加領域は、LG3及びLγPのN末端側に連結することが望ましい。
スペーサーは特に限定されず、適宜数個程度のアミノ酸残基からなる領域を用いればよい。通常、側鎖の少ないアミノ酸が好ましく用いられ、中でもグリシンのように側鎖のないアミノ酸を主成分としたスペーサーが好ましく用いられ得る。
配列番号5及び6に示す配列は、図2に示したLG3ポリペプチド鎖の塩基配列及びアミノ酸配列の一例である。6残基のオリゴヒスチジン(配列番号6のaa1-6)に、スペーサーを介してαへリックス領域(KELASVE)が連結し(aa11-45)、さらにスペーサーを介してLG3が連結(aa53-243)した構造である。
配列番号7及び8に示す配列は、図2に示したLγPポリペプチド鎖の塩基配列及びアミノ酸配列の一例である。6残基のオリゴヒスチジン(配列番号8のaa3-8)に、スペーサーを介してαへリックス領域(EKLASVK)が連結し(aa13-47)、さらにスペーサーを介してLγPが連結(aa52-60)した構造である。なお、aa1-2の2残基は制限酵素サイト(ggatcc,BamH I)に基づくアミノ酸である。
支持体にはさらに、神経幹細胞からドーパミン産生神経への分化を誘導する、少なくとも1種の分化誘導因子が固定化される。本発明において支持体に固定化される「分化誘導因子」とは、神経細胞の中でも特にドーパミン産生神経への分化を誘導するタンパク質(ポリペプチド分子)をいい、ドーパミン神経ではなく神経細胞一般への分化誘導の際に用いられるレチノイン酸や、ドーパミン産生神経の分化誘導の際に培地にしばしば添加されるがタンパク質ではないドーパミン等の物質は包含されない。ドーパミン産生神経への分化を誘導するタンパク質である因子としては、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、繊維芽細胞増殖因子-8(FGF8)、Sonic hedgehog(Shh)等が知られている。従来のドーパミン産生神経の誘導方法ではBDNF及びGDNFがしばしば用いられている。本発明では、ドーパミン産生神経を分化誘導する因子として、BDNF及びGDNFを用る。

BDNF及びGDNFの配列は公知であり、GenBankにもそれぞれNM_170735及びNM_000514のAccession番号で登録されている。これら登録された配列を配列表の配列番号23〜26に示す。いずれの神経栄養因子もシグナルペプチドを有するタンパク質であり、成熟タンパク質となる領域は、BDNFでは配列番号24のaa129-247、GDNFでは配列番号26のaa78-211である。支持体には、これら成熟タンパク質の全部の領域又は(当該分化誘導活性を有する)一部の領域のみを固定化すればよい。
分化誘導因子もまた、細胞接着性ポリペプチドと同様に、支持体表面への固定化に利用する領域を有し得る。図2に示す具体例では、BDNF及びGDNFのC末端側にスペーサーを介してオリゴヒスチジンが連結されている。配列番号1及び2に示す配列は、図2に示したBDNF−オリゴヒスチジン融合タンパク質の塩基配列及びアミノ酸配列の一例であり、配列番号2のaa1-119がBDNF成熟タンパク質領域である。配列番号3及び4に示す配列は、図2に示したGDNF−オリゴヒスチジン融合タンパク質の塩基配列及びアミノ酸配列の一例であり、配列番号4のaa1-134がGDNF成熟タンパク質領域である。
支持体に固定化する細胞接着性ポリペプチド及び分化誘導因子は、周知の遺伝子工学的手法により容易に作製することができる。ラミニンタンパク質の部分領域をコードするDNAや、ドーパミン産生神経への分化誘導因子は、市販のヒト脳由来cDNAライブラリーを鋳型としたPCRにより増幅して得ることができる。数十塩基程度の短いDNAであれば、化学合成により調製することも容易である。任意のDNA断片を連結する方法も各種のものが公知であり、順次ベクターにクローニングして連結する方法、オーバーラップ伸長PCR法により連結する方法等、いずれを用いてもよい。オーバーラップ伸長PCR法では、最初のPCR工程で、連結したいDNAの末端部分にハイブリダイズする配列を付加したプライマーを使用して増幅し、次いで、得られた増幅断片と連結したいDNAをオーバーラップ部分でハイブリダイズさせ、このオーバーラップ断片の最も上流と最も下流にそれぞれハイブリダイズするプライマーを用いてPCRを行なうことで、最終的に複数のDNA断片が連結した所望のDNAを得ることができる。得られたDNAを発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に導入して発現させ、宿主細胞から回収、精製することで、所望のポリペプチドを得ることができる。
支持体の材質は特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック及びシリコン等を挙げることができる。支持体の形状も特に限定されず、細胞培養基材の使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、単にドーパミン産生神経を調製するために用いる場合には、シャーレや培養プレート等の形状であってよいし、ドーパミン産生神経を豊富に含む細胞集団を用いてドーパミン産生神経の機能解析等を行なう場合には、バイオチップ基板のような形状であってもよい。また、平板状に限らず、例えばビーズ状の支持体であってもよい。必ずしも支持体の表面全体に細胞接着性ポリペプチド及び分化誘導因子を固定化する必要はなく、例えば、支持体が培養プレートの場合には、プレートのウェルの底面の全部又は一部のみに分化誘導因子を固定化してもよい。
任意のポリペプチドを支持体の表面に固定化する方法としては各種の方法が公知であり、本発明では公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば上述したように、支持体表面に2価の金属配位子を導入し、固定化したいポリペプチド分子には数残基程度のサイズのオリゴヒスチジンを連結し、両者を接触させることで、金属配位子とオリゴヒスチジンとの結合によって支持体表面に所望のポリペプチド分子を固定化することができる(Nakaji-Hirabayashi T, Kato K, Arima Y, Iwata H. Oriented immobilization of epidermal growth factor onto culture substrates for the selective expansion of neural stem cells. Biomaterials 2007:28;3517-29など参照)。例えば、この方法でガラス基板上にポリペプチドを固定化する場合、まず、ガラス基板上に金を蒸着することにより金薄膜ガラス基板を作製し、次にカルボキシル基末端を有するアルカンチオールのエタノール溶液中に金薄膜ガラス基板を浸漬し、自己組織化単分子膜を形成させる。次に、活性エステル化法によってN-(5-アミノ-1-カルボキシペンチル)イミノ二酢酸を表面に結合させる。さらにその表面をニッケルイオン水溶液に曝露することによって、ニッケル配位子を有する表面を得る。この表面上にオリゴヒスチジンを有するポリペプチド分子を曝露することで、タンパク質を安定に固定した培養基材が作製できる(図1)。ニッケル配位子以外に、亜鉛配位子やコバルト配位子など、他の2価の金属配位子を利用することもできる。
分化誘導因子及び細胞接着性ポリペプチドの支持体表面への固定化分子数の比率は適宜選択でき、特に限定されないが、通常0.5:1〜1.5:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1とすることで、神経細胞に分化する細胞の割合が良好となる。分化誘導因子を複数種類用いる場合、その合計と細胞接着性ポリペプチドとの比率が上記の範囲であればよく、この場合の分化誘導因子間の固定化比率も適宜選択できる。例えば、BDNF及びGDNFを用いる場合であれば、両者の比率を通常0.5:1〜1.5:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1とすることで、ドーパミン産生神経の分化誘導の効率が良好となる。
本発明の基材上で神経幹細胞を培養することで、ドーパミン産生神経を効率よく分化誘導することができる。「基材上で神経幹細胞を培養する」という語には、神経幹細胞の集団を直接本発明の基材表面に播種して培養を開始することのみならず、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞などの、神経幹細胞よりも多能性を有する幹細胞を本発明の基材上で培養し、神経幹細胞に分化させ、これら細胞の培養を続けることも包含する。本発明の基材の使用方法としては、最終的に得られる細胞集団におけるドーパミン産生神経の存在割合を高める観点からは、上記のうちの前者、すなわち神経幹細胞の集団を本発明の基材表面に播種して培養を開始することが望ましい。ドーパミン産生神経への分化の確認は、例えば、ドーパミン産生細胞のマーカータンパク質であるチロシンヒドロキシラーゼを発現する細胞を免疫染色等により調べることで確認できる。
各種の幹細胞が公知であり、その調製方法も公知である。また、各種動物の幹細胞株が樹立されている。当業者であれば適宜各種の幹細胞を入手可能である。例えば、脳、脊髄の組織に神経幹細胞が存在することが知られており、これらの組織から神経幹細胞を回収して得ることができる。また、胚性幹細胞、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞から次のようにして神経幹細胞を得ることができることも知られている。すなわち、それらの細胞をFGF8およびShhを含む無血清培地中にて培養する方法 (Mol Cell Neurosci. 2003 22 (4) 501-515)、あるいは、BMPシグナル阻害剤およびアクチビン/ノーダル阻害剤を添加した無血清培地中にて培養する方法である(Stem Cell Rev and Rep 2010 6 270-281)。また、近年では、人工多能性細胞を経ずに体細胞から必要な細胞を直接作るダイレクト・リプログラミング技術の開発が活発に行なわれており、マウス体細胞から直接神経幹細胞を作出した例も報告されている(PNAS 2011 108 (19) 7838-7843)。
得られた神経幹細胞は、適宜、公知の方法にて増幅して用いてもよい。例えば、Biomaterials 2007 28 3517-3529に記載される通り、2% B27、5μg/mL ヘパリン、3 mM Glutamax、100 unit/mL penicillin, 100 μg/mL streptomycinを含む無血清培地中で、上皮増殖因子(EGF)をガラス基板上にオリゴヒスチジンとNi2+イオンとのキレート形成反応を利用して固定化したEGF固定化基材上に神経幹細胞を播種して4〜5日間程度培養することで、神経幹細胞の含有率が非常に高い細胞集団を得ることができる。調製した神経幹細胞集団がどの程度の割合で神経幹細胞を含んでいるかは、神経幹細胞マーカーとして知られるネスチン、ムサシ-1等を発現する細胞を免疫染色等により調べることで確認することができる。
本発明の基材上でドーパミン産生神経を分化誘導する際に用いる培地は、支持体に固定化した分化誘導因子を含有しなくてよく、それ以外の点ではドーパミン産生神経の分化誘導に従来用いられる公知の培地と同様でよい。神経分化誘導培養のための培地は各種のものが公知であり、例えば「3μM Glutamax, 5μg/ml heparin及び100 unit/mL penicillin, 100 μg/mL streptomycin含有DMEM/F12(1:1),添加因子:2% B27, 1% N2」の組成が基本組成として広く用いられている。B27及びN2は神経細胞培養用の培地添加物であり、神経細胞の培養時に血清の代わりに使用される。これ以外の基本組成も各種知られている。そのような基本組成の培地に、ドーパミン産生神経の分化誘導に有用な物質(基材に固定化された分化誘導因子以外の物質)を適宜添加して用いればよい。例えば、神経細胞への分化誘導においてはレチノイン酸がしばしば用いられており、通常1μM程度の濃度で培地に添加して使用される。また、ドーパミン産生神経への分化誘導においては、培地にドーパミンを添加して培養するという手法もしばしば行なわれており、通常5〜10μM程度の濃度で培地に添加される。フォルスコリンを培地に添加すると細胞の増殖や代謝促進に効果があることが知られており、通常5〜10μM程度の濃度で培地に添加される。
本発明の基材上で分化誘導したドーパミン産生神経は、ピペッティング、セルスクレーパーによる物理的な剥離により、又は酵素処理(トリプシン、ディスパーゼ等)により回収して所望の用途に使用することができる。本発明の基材上で分化誘導されたドーパミン産生神経は、分化誘導因子を培養液中に液性因子として添加する従来法にて分化誘導されたドーパミン産生神経と比較して、ドーパミン産生量が非常に多く(図5)、パーキンソン病の治療のための移植細胞としても非常に有用である。あるいは、本発明の基材を用いて得られたドーパミン産生神経をドーパミン産生神経の機能解析等に使用する場合であれば、基板等の支持体に接着した状態でそのまま使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1.キメラタンパク質を固定する基板の調製
以下の実施例では、キメラタンパク質を固定した培養基材として、ガラス基板をベースとした材料を用いた(参考文献:Nakaji-Hirabayashi T, Kato K, Arima Y, Iwata H. Oriented immobilization of epidermal growth factor onto culture substrates for the selective expansion of neural stem cells. Biomaterials 2007:28;3517-29)。まず、22 mm × 26 mm × 0.5 mmのガラス基板上に金を蒸着(厚さ:19 nm)することにより金薄膜ガラス基板を作製した。次にこの金薄膜ガラス基板を、カルボキシル基末端を有するアルカンチオール(11-メルカプト-1-ウンデカン酸)の1 mM エタノール溶液中に室温下で浸漬し、表面に自己組織化単分子膜を形成させた。次に、この基板を50 mM 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩および50 mM N-ヒドロキシスクシンイミドを含む水溶液に室温下で30分間浸漬して、自己組織化単分子膜表面のカルボキシル基を活性エステルに変換した。次いで、その基板を10 mM N-(5-アミノ-1-カルボキシペンチル)イミノ二酢酸溶液に浸漬し、室温下で1時間反応させた。さらにその表面を40 mM 硫酸ニッケル水溶液に室温下で1時間曝露することによって、ニッケルイオンを有する表面を得た。この表面を下記で調製したオリゴヒスチジンを有するキメラタンパク質溶液に室温下で2時間曝露することで、タンパク質を安定に固定した培養基材を作製した(図1)。GH、BH、およびLGキメラタンパク質を共固定する場合は、それらを1:1:2のモル比で混合した(総タンパク濃度を3 μMとした)。
2.オリゴヒスチジン融合BDNF(BH)およびオリゴヒスチジン融合GDNF(GH)の合成
大腸菌発現系を利用して、BH(配列番号2)およびGH(配列番号4)を合成した(図2)。まず、BDNFおよびGDNFをコードするDNA配列をヒト脳由来cDNAライブラリーよりPCR法により増幅した。BDNF cDNAの増幅には配列番号9、10に示す塩基配列から成るプライマーを、GDNF cDNAの増幅には配列番号11、12に示す塩基配列から成るプライマーを用いた。得られた各DNA断片をタンパク質発現用のプラスミドベクターに導入した。Hisをコードする配列は、BDNFおよびGDNFのDNA配列の下流に配置し、それぞれ当該タンパク質のアミノ酸配列のC末端にオリゴヒスチジンが融合するように設計した。作製したプラスミドベクターは、大腸菌宿主に導入し、IPTG法により当該融合タンパク質を発現誘導させた。Novagen社のOvernight Autoinduction systemを用いても同様に発現させることが可能であった。
発現させたタンパク質はいずれも可溶性成分として得られる。まず、大腸菌をベンゾナーゼおよびリゾチームにより破砕し、発現タンパク質を抽出した。続いて、アフィニティーカラムクロマトグラフィーと分子量分画精製により目的タンパク質を単離した。得られたタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム−アクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)および非還元SDS-PAGE分析により分析した。その結果、目的とするキメラタンパク質が生成したことがわかった。
作製したBHおよびGHの生理活性については、市販のリコンビナントBDNFおよびGDNFを対照としたバイオアッセイにより評価した。ポリ−L−オルニチン/ラミニンをコートした培養皿に神経幹細胞を播種し、無血清培地中にBH、GH、市販BDNFたは市販GDNFを添加(BHおよび市販BDNFは50ng/mL、GHおよび市販GDNFは10ng/mL)して1週間培養後、βチューブリンに対する抗体を用いて免疫染色を行い、神経への分化誘導効率から、BHおよびGHの活性を判断した。その結果、合成したBHおよびGHは、市販のリコンビナントタンパク質と同様の活性を有していた。
3.細胞接着性キメラタンパク質LGの合成
大腸菌発現系を利用して、LGを合成した(図2)。このキメラタンパク質は、ラミニンα1鎖のインテグリン結合ドメインとして知られる、グロビュラードメインの3番目[G3ドメイン(LG3)]と、γ1鎖C末端のペプチド(LγP)を主要構成要素として含んでいる。LG3・αヘリックスペプチド・オリゴヒスチジンを融合したキメラタンパク質とLγP・αヘリックスペプチド・オリゴヒスチジンを融合したキメラタンパク質を別々に合成し、αヘリックスペプチドのコイルドコイル形成によるヘテロ二量化を利用して複合体としたものがLGである。
LG3をコードするcDNAは、ヒト脳由来cDNAライブラリーを鋳型として用いて、PCRによって増幅した。増幅には配列番号13、14に示す塩基配列から成るプライマーを用いた。LG3をコードするDNAの上流に、オーバーラップ伸長PCR法を用いて、オリゴHisおよびαヘリックスペプチド(KELASVE)5(E5)をコードするDNAを連結させ、配列番号5に示す塩基配列から成るキメラ遺伝子を得た。得られたキメラ遺伝子(配列番号5)をタンパク質発現用プラスミドベクターに挿入した。
一方、LγPは9アミノ酸残基(FNTPSIEKP、配列番号8のC末端)と短いため、コードするDNA配列(配列番号7中の154nt-180nt)は化学合成により得た。Hisおよびαヘリックスペプチド(EKLASVK)5(K5)をコードするDNA配列を、オーバーラップ伸長PCR法により連結した。連結したDNAを鋳型とし、配列番号17、18に示す塩基配列から成るプライマーを用いてPCRを行ない、発現ベクターに挿入するインサート断片を調製した。
LγPは比較的低分子であり、発現後分解されやすいため、トロンビン切断サイトを介して緑色蛍光タンパク質EGFPと融合させたキメラタンパク質の形態で発現させた。pEGFP-C1(クロンテック社製)を鋳型とし、配列番号15、16に示す塩基配列から成るプライマーを用いてPCRを行なうことで、EGFP−トロンビン切断サイトをコードするDNAを増幅した。このDNA断片と先に調製したインサート断片をタンパク質発現用プラスミドベクターに組み込み、EGFP−トロンビン切断サイト−LγP融合キメラタンパク質が連結した融合タンパク質を発現させた。
発現させた各キメラタンパク質は、大腸菌より抽出後、アフィニティーカラム精製を行った。EGFP−トロンビン切断サイト−LγP融合キメラタンパク質は、トロンビン処理してEGFPを切断し、LγPキメラタンパク質を得た。LG3キメラタンパク質は、ジチオトレイトールなどの還元剤を用いて完全に変性させた後、8 M尿素、3.75 mM還元型グルタチオン、0.375 mM 酸化型グルタチオンを含むTris緩衝液(pH 8.5)中で透析を行い、尿素濃度を段階的に低下させることによりリフォールディングさせ、立体構造の再生を行った。SDS-PAGE分析により、目的通りのタンパク質を得られたことがわかった。
また、複合体を形成させたLGの細胞接着活性を、以下の通り神経幹細胞接着試験により確認した。ニッケル配位子を導入した表面に上記で調製したLGを結合させたガラス基板上又は市販のラミニンコートガラス基板上に神経幹細胞を播種して、無血清培地中にて4日間培養した。神経幹細胞に対する標識抗体と反応させ、基板上に接着した細胞を計数し、ラミニン上に接着した細胞数と比較した。その結果、LGが細胞接着活性を有することが確認された。
4.キメラタンパク質の固定化比率の検討
ガラス基材へのタンパク質固定の最適条件を調査するために、様々な条件の下、GH、LGの基材表面への固定化を行った。各種の比率でそれらを固定した場合、GH:LG=5:5の場合に神経細胞の出現率がもっとも高く、細胞の接着も良好であった(図3)。これらの結果から、神経栄養因子キメラタンパク質(BH及びGH)と細胞接着性キメラタンパク質(LG)は、等モル量で固定するのが最適であることが明らかとなった。また、LGの比率を5に固定し、BHおよびGHの比率を1:4、2.5:2.5、4:1とした場合の神経分化の評価を行ったところ、2.5:2.5で最もよい結果が得られた。これらの結果を踏まえ、以下の実験では、BH:GH:LG=2.5:2.5:5の比率でガラス基材上に固定化させたBH/GH/LG共固定基材を用いることとした。
5.BH/GH/LG共固定基材上でのドーパミン産生神経の分化誘導
BH、GHおよびLGを共固定した基材上でのドーパミン産生神経への分化誘導を行った。対照実験として、従来から行われている方法、すなわち、ラミニン吸着基材上に細胞を播種し、液性因子としてリコンビナントBDNF(50 ng/mL)およびリコンビナントGDNF(10 ng/mL)を添加した培地中で分化誘導した。
ラット胎児脳より神経幹細胞を取得し、EGF固定基材(EGFをガラス基板上にキレート形成反応を利用して固定化したもの、Biomaterials 2007 28 3517-3529)上で培地(2% B27,3μM Glutamax, 5μg/ml heparin、100 unit/mL penicillin, 100 μg/mL streptomycinを含むDMEM/F12(1:1))中にて37℃、5日間培養し増幅した(神経幹細胞の割合95%以上)。この神経幹細胞を6.0×104細胞/cm2の密度で、BH/GH/LG共固定基材上に播種し37℃にて培養した。培地は3μM Glutamax, 5μg/ml heparin、100 unit/mL penicillin, 100 μg/mL streptomycinを含むDMEM/F12(1:1)(添加因子:2% B27, 1% N2, 1μM Retinoic acid, 10μM dopamine, 10μM Forskolin)を用いた。対照群では、従来法により、市販のラミニンコート基材上に神経幹細胞を6.0×104細胞/cm2の密度で播種し、培地に市販のリコンビナントBDNF(50 ng/mL)およびリコンビナントGDNF(10 ng/mL)を添加して培養した。
培養2週間後の時点で各種マーカータンパク質の発現を免疫染色により検出した。マーカーとして、nestin(神経幹細胞マーカー)、glial fibrillary acidic protein(GFAP;アストロサイトマーカー)、βIII-tubulin(神経マーカー)、MAP2(成熟神経マーカー)、Tyrosin hydroxyrase(TH;ドーパミン産生細胞マーカー)を検出した。各種マーカータンパク質の陽性細胞数をカウントし、全細胞数に対するマーカータンパク質の陽性細胞数の割合を算出した(図4)。
培養2週間後、BH/GH/LG共固定基材上では、対照群に比べ、成熟した神経細胞が多く、ドーパミン産生細胞のマーカータンパク質であるチロシンヒドロキシラーゼを発現する細胞の割合が、約5倍高かった(図4)。また、対照群(従来法)では、グリア細胞(アストロサイト)へ分化した細胞が約半数存在したのに対し、BH/GH/LG共固定基材上では、グリア細胞がほとんど認められず、神経幹細胞、神経前駆細胞および神経細胞のみからなることがわかった。この結果から、本培養基材上では、選択的かつ高効率にドーパミン産生細胞への分化誘導が可能であることが示された。
6.BHおよびGHの固定化がドーパミン産生神経分化誘導に及ぼす効果
BHおよびGHを固定する必要性について、また、BHとGHを共固定する必要性について調査するため、LG固定基材上でBDNFおよびGDNFを液性で添加する培養系、BH/LG共固定基材上での培養系(固定化比率はBH:LG=1:1)、およびGH/LG共固定基材上での培養系(固定化比率はGH:LG=1:1)について検討した。上記と同様にして神経幹細胞を各基材上に播種し培養した。
図4に示すように、LGを固定した基材上で培養した培養系すべてで、従来法と比較してGFAP陽性細胞の割合が極めて低く、アストロサイトの混在を防止できていることが分かった。BH/GH/LG共固定表面上で分化誘導を行った場合、BDNFおよびGDNFを液性で作用させた場合に比べ、ドーパミン産生細胞の出現率が約3倍高いことが分かった。また、BHまたはGHを単独で固定した場合に比べ、BHとGHを共固定した培養基材の方が、ドーパミン産生細胞の出現率が2〜4倍高かった。これらの結果から、BDNFおよびGDNFを固定して作用させること、また、BDNFおよびGDNFを両方同時に固定して作用させることにより、ドーパミン産生細胞を極めて高い効率で分化誘導できることがわかった。
7.BH/GH/LG共固定基材上で分化誘導した細胞のドーパミン産生量
BH、GHおよびLGを共固定した基材上で分化誘導した細胞のドーパミン産生量を定量し、従来の分化誘導法と比較した。2週間分化誘導を行った細胞をPBSにて洗浄した後、56 mM 塩化カリウム/HBSS溶液(カルシウムおよびマグネシウム含有)に15分間曝露した。上澄み液をシリンジフィルターで処理し、高速液体クロマトグラフィ−電気化学検出法(HPLC-ECD)により分泌ドーパミン量を定量した。その結果、BH/GH/LG共固定基材上で誘導した細胞では、106 細胞あたり23 pmolのドーパミンが検出された。従来法で分化誘導した細胞に比べ、ドーパミン産生量は約8倍高かった(図5)。
8.BH/GH/LG共固定基材上で分化誘導した細胞における遺伝子発現の解析
BH/GH/LG共固定基材上で分化誘導した細胞が、ドーパミン産生細胞の機能を有することを調査するために、ドーパミンの合成酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)および芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)、ドーパミンの代謝に関連する酵素であるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)およびモノアミン酸化酵素(MAOaおよびMAOb)、ドーパミンのリサイクリングに寄与するドーパミン輸送体(DAT)、ドーパミンのシグナル伝達を担うドーパミンレセプター1〜5(DRD1〜5)の遺伝子発現をRT-PCRにより調べた。培養した細胞を回収・溶解し、RNAを抽出した。そのRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを調製し、PCR法によって上記の各種タンパク質をコードするRNAの存在について調べた。その結果、いずれの場合にもmRNAの存在が認められた。つまり、本発明基材上で誘導した細胞は、ドーパミン産生細胞特有の遺伝子を発現していると考えられ、ドーパミン産生神経の機能を有しているものと推測された(図6)。
9.BH/GH/LG共固定基材上ではアストロサイトに分化した細胞が離脱する
上記の「5.BH/GH/LG共固定基材上でのドーパミン産生神経の分化誘導」にて示したように、BH/GH/LG共固定基材上で分化誘導を行うと、アストロサイトへの分化がほとんど見られなかった。この機序について詳細に調べるため、LG基材上に播種した神経幹細胞をアストロサイト分化条件下にて培養し、基材上の細胞の変化を調べた(図7)。神経幹細胞を無血清培地(A)、毛様体由来神経栄養因子(CNTF)を添加した無血清培地(B)、および、2%FBSを添加した培地(C)に懸濁し、LG基材上に播種した。培養初期には、いずれの培養系においても細胞の接着が認められたが、培養4日目ごろから、BおよびCの培養系において細胞の剥離が観察され、培養7日目にはほとんどの細胞が剥離した。ここで、Aの培養系では接着細胞を、BおよびC培養系では浮遊する細胞をそれぞれ回収し、逆転写酵素PCR法により、アストロサイトマーカーであるグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、細胞接着因子であるインテグリンα6(Itgα6)、および、インテグリンβ1(Itgβ1)のmRNAの発現を調べた。その結果、培養条件BおよびCで得られた細胞は、GFAPのmRNA量が高いのに対し、Itgα6のmRNA量が、培養条件Aの細胞に比べ、大きく減少することがわかった。GFAPのmRNA量の増加は、アストロサイトへの分化を意味する。すなわち、この結果は、アストロサイトへの分化に伴いItgα6の発現量が減少することによって、アストロサイトが基板から剥離することを示唆する。このことが、BH/GH/LG共固定基材上での培養によって、神経前駆細胞およびドーパミン神経が選択的に得られる一因であると考えられる。
10.BH/GH/LG共固定基材により継続的なBDNF・GDNFシグナル伝達が可能になる。
BH/GH/LG共固定基材上で分化誘導した細胞ではBDNFおよびGDNFのシグナル伝達が継続的に行われていることを調査するために、BDNFの受容体であるTrkB、および、GDNFのシグナル伝達を担うRet(Retは、GDNF−GFRα1複合体が形成された際、その複合体に結合する膜タンパク質であり、リン酸化されることでGDNFのシグナル伝達を行う)のリン酸化をウエスタンブロッティングにより調べた。BH/GH/LG共固定基材上で7日間または14日間培養した細胞からライセート(図8、サンプル(a))を調製し、SDS-PAGEを行った後、ニトロセルロース膜に転写した。次に、転写されたタンパク質を、抗リン酸化TrkB抗体、抗リン酸化Ret抗体、抗TrKB抗体、抗Ret抗体でそれぞれ染色し、ペルオキシダーゼ化学発光法によりバンドを検出した。対照群には、ラミニンコート基板を用いてBDNF(50 ng/mL)およびGDNF(10 ng/mL)を液性で作用させて、7日間および14日間分化誘導を行った細胞を用いた(図8、サンプル(b)および(c))。サンプル(b)は、その培養後、さらに、過剰量のBDNF(500 ng/mL)およびGDNF(100 ng/mL)を30分間作用させた後に回収した細胞のライセートであり、リン酸化検出のポジティブコントロールとした。一方、サンプル(c)は、所定期間の分化培養後、すぐにライセートにしたものである。これら3種類の試料のリン酸化状態を調べることにより、基材上で培養した細胞への継続的なシグナル伝達の有無に加え、液性でBDNFおよびGDNFを作用させた場合のシグナル伝達が一過性であるのか否かについて議論することが可能であると考えた。
図8に示すように、BH/GH/LG共固定基材上で培養した細胞(a)は、培養7日後(上段の(A))および14日後(下段の(B))ともに、TrkBとRetのリン酸化が認められ、継続的にシグナル伝達が行われていることが示唆された。一方、ライセート化する直前に過剰量のBDNFおよびGDNFを作用させた細胞(b)では、TrkBおよびRetのリン酸化が認められたのに対し、直前の過剰量の因子による刺激を行なわなかった細胞(c)では、リン酸化TrkB、リン酸化Retはともに認められなかった。これらの結果から、BH/GH/LG共固定基材は、神経幹細胞に継続的に分化誘導シグナルを与えていること、また、液性での作用では分化誘導シグナルが一過性であることが示唆される。BH/GH/LG共固定基材上では、継続的なシグナルの伝達が起こり、それによってドーパミン産生細胞への分化が効率よく進行したものと推測される。
11.LGへの細胞の接着はインテグリンを介して起こる
市販のラミニンコート基材、LGキメラタンパク質固定基材、LG3のみを固定化した基材、およびアルブミンを固定化した基材上で神経幹細胞を培養し、培養開始から1日後に各基材表面に接着した細胞数をカウントした。神経幹細胞は、LGキメラタンパク質、又はβ1インテグリン若しくはα6インテグリンに対する抗体を含有する培養液中に分散させて播種した。
各基材上に接着した細胞数を図9に示す。LGキメラタンパク質固定基材表面には、ラミニンコート基材表面と同様に神経幹細胞がよく接着した。これら基材表面への神経幹細胞の接着は、抗β1インテグリン抗体又は抗α6インテグリン抗体で神経幹細胞を前処理することで阻害された。このことは、ラミニンコート基材及びLG固定基材表面への神経幹細胞の接着がインテグリンを介して起こっていることを示している。

Claims (4)

  1. 神経幹細胞、神経前駆細胞及び神経細胞を接着する細胞接着性ポリペプチドと、分化誘導因子であるBDNF及びGDNFとが表面に固定化された支持体を含む、ドーパミン産生神経の分化誘導用の細胞培養基材であって、細胞接着性ポリペプチドは、第1のαへリックス領域を含む配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるLG3ポリペプチド鎖と、第2のαへリックス領域を含む配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるLγPポリペプチド鎖とが、αへリックス領域間の相互作用により結合した複合体の形態にあるポリペプチドである、細胞培養基材
  2. 分化誘導因子と細胞接着性ポリペプチドの固定化分子数の比率が0.5:1〜1.5:1である請求項記載の細胞培養基材。
  3. 請求項1又は2記載の細胞培養基材上で神経幹細胞を培養することを含む、ドーパミン産生神経の前駆細胞の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の細胞培養基材上で神経幹細胞を培養することを含む、ドーパミン産生神経細胞の製造方法。
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