以下本発明の実施形態について説明する。脱着可能な肩ベルト構造を部品に分けて図1に示す。ケース3に吊カン5、ばね6をばね固定ボス35とばね固定壁34にセットし、カバー4をかぶせてケース3の裏面よりネジ7にてばね固定ボス35の穴を通りカバー4のネジ固定ボス42に取りつければ肩ベルト取り付け具1が完成し、ケース3とカバー4によってハウジングが形成される。ケース3には組み立て完了後に肩ベルト係合部2を肩ベルト取り付け具1に挿入する際に左右や裏表を間違って挿入しないように誤挿入防止リブ40が設けてあり、それに対する溝(図示せず)が肩ベルト係合部2に設けてある。ケース3に設けてあるカシメ用穴36とカバー4に設けてあるカシメ用穴43は肩ベルト取り付け具1を図13に示す、ランドセル本体50にカシメなどで取り付けるための穴である。また33a回動規制壁、回動壁33bは肩ベルト係合部2の回動範囲を規制するために設けてある。
前記肩ベルト取り付け具1においては近年ランドセルを机の横などに吊り下げることがなくなりロッカーへの収納に変わってきたために吊カン5は必要が無くなっており、吊カン5を省いた1例を図15に示す。ケース60の裏面よりネジ7にて穴68を通りカバー70のネジ固定用ボス72に取り付けるとハウジングが設けられ肩ベルト取り付け具1aが完成する。前記完成状態に肩ベルト取り付け具1aに設けられた係合穴71に、あらかじめ肩ベルト係合部2eの係合凸部81に取り付けておいても良い。ケース60には組み立て完了後に肩ベルト係合部2eを肩ベルト取り付け具1aに挿入する際に左右や裏表を間違って挿入しないように誤挿入防止リブ67が設けてあり、それに対する溝(図示せず)が肩ベルト係合部2eに設けてある。また、肩ベルト取り付け具1aに肩ベルト係合部2eを挿入した際に適正位置で固定されるようにストッパー62を設けてある。ケース60に設けてあるカシメ用穴66とカバー70に設けてあるカシメ用穴73は肩ベルト取り付け具1aを図13に示す、ランドセル本体50にカシメなどで取り付けるための穴である。またケース60のガイド65はカバー70のネジ固定用ボス72をケース60に取り付けるためのガイドであり、無くてもよい。また63a回動規制壁、回動壁63bは肩ベルト係合部2eの回動範囲を規制するために設けてある。
次に肩ベルト取り付け具1をランドセル本体50に取り付けた状態を図2に示している。左側の肩ベルト取り付け具1と肩ベルト係合部2とは係合状態を示してあり右側の肩ベルト係合部2と肩ベルト取り付け具1とは未係合状態を示してある。肩ベルト係合部2は図1に示すDカン23に肩ベルトの端部を巻き込んで縫製やカシメにて取り付けられている。肩ベルト取り付け具1の上方側面には肩ベルト係合部2を挿入する開口部9が形成されており、そこに肩ベルト係合部2の係合凸部21を手前に向けた状態で開口部9に肩ベルト係合部2の先端部を挿入し、係合凸部21が係合穴41に係合するまで挿入すれば取り付け完了となる。係合穴41は貫通穴でなくても係合可能形状例えば裏面に係合可能な凹部などが有ればよいが、外部からの操作で簡単に取り外す場合は穴が好ましく大きな貫通穴であると指などで操作可能であり、穴を目立たなくさせる場合は小さな穴とし針金のような細い棒で押し込み係合を解除しても良い。また、埃などの侵入を防ぎたい場合はケース4の外側に軟質材、例えばラバー製のカバーなどで覆っても良い。
このように肩ベルト係合部2はハウジングに挿入された状態で係合状態となるため、外観の見栄えは良くなると共に突出部がハウジングのみとなるため、表面が滑らかで背負い心地の良いランドセルとなる。
前記肩ベルト係合部2の肩ベルト取り付け具1への係合方法について断面図を用いて図3に示す。開口部9に肩ベルト係合部2の係合凸部21がカバー4の係合穴41に向いた状態で挿入する。係合凸部21は図1に示すスリット22により肩ベルト係合部2に対し弾性を有してたわむことができるようになっているため、開口部9に挿入されると係合凸部21はカバー4の面取り部44により内側にたわませた状態で挿入する。さらに挿入し操作用穴41に到達すると変形していた係合凸部21は係合穴41にて復元し図4に示す状態で係合される。また肩ベルト係合部2を取り外す場合には係合凸部21を係合穴41から指などで押しこみ開口部9の隙間に収まるよう係合凸部21をたわませながら肩ベルト係合部2を上方に引き上げると取り外し完了となる。
肩ベルト取り付け具1に肩ベルト係合部2をセットした状態を図5に示した。肩ベルト係合部2は係合穴41を軸に、上部が外側に開くように回動し一点鎖線で示す位置まで回動するが、普段はばね6によってそれぞれの成す角度が狭い位置になるよう押さえられている。また肩ベルト係合部2に外側方向に前記の押さえ力より強い外力が加わった場合は、外側に開く。その開く回動角度は回動規制壁33aによって設定した角度で規制されている。
また肩ベルト取り付け具1に肩ベルト係合部2を係合させ肩ベルト係合部2の開き角度が内側に一番閉じた状態では肩ベルト係合部2は肩ベルト10の引き抜きに対して係合凸部21だけで保持しているが、前記肩ベルト係合部2がすこしでも外側に開いた場合は、肩ベルト10の引き抜きに対して肩ベルト係合部2がケース3の回動規制壁33aと回動壁33bに挟まれて外れない構造となっており、通常使用者がランドセル50を背負っている時や肩ベルト10を持っている時など肩ベルト係合部2は開いた状態にあり、この場合ランドセルの荷重はカバー4の係合穴41だけでなくケース3の回動規制壁33aと回動壁33bにも分散されるため、例えば肩ベルト10を児童が左右で引っ張るようなことをした場合でもその応力が一箇所に集中することがなく破壊に至るリスクも低減される。
また肩ベルト係合部2は通常ばね6によって外部からの力が加わらない場合には肩ベルト係合部2は図5のように閉じるように力が加わっており、使用者の体格や背負い方により適宜ばね6の力に逆らって外側広がる。また吊カン5は抜け止め31とストッパー32によって外れることなく伸縮可能な構造になっている。近年はランドセルを机の横に吊り下げる用途がなくなったことから吊カン5は無くてもよい。
前記に示した肩ベルト係合部2と係合凸部21は一体成型されておりスリット22の効力により、係合凸部21は弾性変形可能となっているが、図6に示すように肩ベルト係合凸部2aに係合凸部21aを取り付け、ばね24aをセットし蓋23aをすれば上記肩ベルト係合凸部2と同様の機能を果たすことも可能である。
その他肩ベルト取り付け具1と肩ベルト係合部2とを簡単に脱着させる構造について別例を示したのが図7から図12である。図7では肩ベルト係合部2bの係合凸部21bは係合板24bに固定されており、支え板25bと二股につながって構成されている。開口部9に挿入する際は図8に示すように係合板24bと支え板25bが双方内側に押し曲げられながら係合凸部21bが挿入されて係合凸部21bが係合穴41に到達すると係合板24bと支え板25bによって形成されているばねの復元によって係合凸部21bは係合穴41と係合する。
また図9は係合凸部37cをケース3cに設けた構造を示しており、係合凸部37cはケース3cの底面から薄肉の樹脂製の板ばね38cで少し盛り上がるように設けられておりスリット39cにより係合凸部37cは弾性変形可能になっている。肩ベルト係合部2cには係合穴21cがあり、開口部9に対して肩ベルト係合部2cを挿入すると板ばね38cが外側に押し曲げられながら挿入されて行き、係合穴21cに係合凸部37cが到達すると板ばね38cが変形から解放され復元し板ばね38cにより係合凸部37cは係合穴21cと図10に示すように係合する。取り外す場合は操作用穴41aから指等で係合部37cをたわませながら肩ベルト係合部2を上方に引き上げると取り外し完了となる。
肩ベルト係合部2のその他の例として図11には肩ベルト係合部2dの係合凸部21dは係合板25dに固定されており、支持板24dと先端部で連接されている。開口部9に挿入される場合は前記同様係合板25dが図12に示すように内側に押し曲げながら挿入されて行き、係合穴41に到達すると板ばね25dは変形から解放され、復元した係合凸部21dは係合穴41と係合する。
本発明を実施した場合のランドセルの形態の1例をあげる。一般的にはランドセルには肩ベルトが取り付けられて販売されているが、本発明の脱着機構を肩ベルトの上下両端の肩ベルト取り付け部に使用すれば図13に示すように肩ベルト係合部とランドセルの肩ベルト取り付け具が簡単に付け替えられるようになり、それによってランドセル本体50だけ(肩ベルトなし)の購入も可能であり、また肩ベルトだけの購入も可能となる。したがって使用者はランドセルの収納部分の性能・機能やデザインと肩ベルトの性能・機能やデザインとをそれぞれ好みで、吟味したものを組み合わせてランドセルを完成することができ、従来品より本人にフィットした背負い心地のよいランドセルを使用することができる。なお、本発明の脱着機構は肩ベルトの上下取り付け部のどちらか一方に使用し、他方は別の方法でもよい。
さらに図14では図13とは別の例を示した。図13では従来型の肩ベル10を使用していたが、より長距離の背負っての移動を要する使用者や肩への負担を低減させたい使用者には、登山などに使用するザックに使われているような肩ベルト11をランドセル本体50と組み合わせて取り付けることができる。
前記は肩ベルト取り付け具1に肩ベルト係合部2を簡単に脱着させる例として、樹脂の弾性を使った構造を基本に説明したが同じ部分に金属の板材や巻線を使った係合手段を使っても良い
図1ではカバー4がそのまま外観面となっているが意匠性を考えて別部材例えばランドセル表皮と同材質の物等で覆っても良い。
また、肩ベルトの使用に際してカバー4の強度向上のために、3か所のカシメ鋲8でランドセルに固定する際に金属などの補強プレートを同時に取り付けても良い。
また前記図1の肩ベルト係合部2のDカン23は円柱形状であるために取り付けた肩ベルト10は回動自由であるが、図16に示す肩ベルト係合部2fのDカン93には取り付け板94が設けられているため、肩ベルト10を取り付けた場合、肩ベルト係合部2fに対して回動させずに設定した角度で固定可能である。また取りつけ板94以外に肩ベルト10を同様に回動させないためにDカン93を異形状にしてもよい。
また肩ベルトを取り付ける際に従来使用されている金属の三角形の環状体のDカン(図示せず)を肩ベルト係合部2gの貫通穴に取り付け前記環状体のDカンに肩ベルト10を取り付けても良い。
これまでは図1に示すように肩ベルト係合部2を肩ベルト取り付け具1のカバー4に係合させており、係合穴41の穴は同時に取り外し用にも使われていた。構造はシンプルであるが、肩ベルト取り付け具1の前面に穴が開いている。見栄えを良くするためには係合穴41を極力小さくし、細い棒状のもので係合凸部21を操作しても良いし、肩ベルト取り付け具1の外側に軟質のラバーをかぶせるなどしても良いが、さらに体裁良くするために係合穴41をなくした例を図18に示す。カバー100は図15に示すようにカバー70から係合穴71を無くした代わりに、解除レバー110を取り付ける構造を設置したものである。図19に示すように、カバー100の内部面には図1の肩ベルト係合部2の係合凸部21が係合する係合凹部101が設けられている。またカバー100には外側に解除レバー110が挿入されるための穴103が設けておりそのまま係合凹部101へと溝102でつながっている。解除レバー110には先端がテーパーになっている解除面111が設けてありその両側には溝102とスライドするリブ112がある。取り付け後、解除レバー110が外れないように爪113を設けてある。操作部114は係合凸部21をリリースするために解除レバー110を押し込んだ際に係合凸部21がリリース箇所に到達しそれ以上押し込まれないように、カバー100の側面に当たるように設定されている。
肩ベルト取り付け具1から肩ベルト係合部2の取り外し方法について図20,21を用いて説明する。図20は肩ベルト取り付け具1と肩ベルト係合部2が係合状態であり係合凸部21は係合凹部101の側面に係合している。次に図21は操作部114をカバー100内に押し込んだ状態であり解除面111のテーパー部が係合凹部101に侵入し、係合凸部21を内側にたわませ係合凹部101との係合を解除させている。この状態で肩ベルト係合部2を肩ベルト取り付け具1から引き抜けば、肩ベルトが取り外せる。図18では解除レバー110はカバー100の下方面からの操作であったが両横側面からの操作でも良く、解除レバー110が係合凸部21を内側にたわませ係合凹部101との係合を解除させる構造であればどのような方向から、どんな形状でも良い。