JP5866222B2 - 音と電気信号とを相互変換する装置、並びに該装置を含むスピーカー及びマイクロフォン - Google Patents
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Description
一方、音情報を提供するスピーカーについても、薄くて軽いものが望まれる。特許文献1には、フレキシブルなスピーカーが開示されている。これは不透明であり、フレキシブルディスプレイと組み合わせるには画面の裏側に取り付ける必要があるため、視聴者からは聞きとりにくくなる。透明なフレキシブルスピーカーはディスプレイの画面上に重ねることができるため聞き取りやすく、さらに画像と音の位置が同じになるため臨場感が増す。透明フレキシブルスピーカーは用途が他にもある。例えば、採光用の窓にも照明にも貼ることができるし、ポスターや車などにも意匠性を損なうことなく貼ることができる。
透明フレキシブルスピーカーについては非特許文献1および2に開示されているものが開発されている。これらは透明電極として黒色のポリエチレンジオキシチオフェン(以下、「PEDOT」ということがある。)を用いているため、透明性が低い。またPEDOTの導電性は不十分であり、スピーカーの周縁部からの入力がスピーカー中央部まで伝わりにくいため、人が聞き取れるほどに音を大きくすることは困難である。
更に、十分な感度を有する透明フレキシブルマイクロフォンは得られていない。
人が聞き取れる程度の大きさの音を出すことができる透明なフレキシブルスピーカーおよび人が明瞭に聞き取れる程度の感度で音を受信することができる透明なフレキシブルマイクロフォンとを与える前記装置、並びに該装置を含むスピーカー及びマイクロフォンを提供することである。
第1電極層、
第2電極層、及び
該第1電極層と該第2電極層との間に位置する振動層
を有し、
該第1電極層及び該第2電極層の少なくとも一方が、金属、金属化合物、又はこれらの組み合わせからなる導電材料を含み、
該導電材料の形状は、太さ(d)が1nm〜1μmで、長さ(l)と太さとの比(l/d)が1.5以上の柱状である、
音と電気信号とを相互変換する装置を提供する。
本発明は第三に、上記装置を含むマイクロフォンを提供する。
本発明は第四に、上記装置を有するディスプレイを提供する。
本発明は第五に、上記装置を有する太陽電池を提供する。
本発明は第六に、上記装置を有する窓を提供する。
更に、本発明の装置から得られるスピーカー及びマイクロフォンは、光の透過性を十分に維持したまま、ディスプレイ、太陽電池及び窓に貼り付けることができ、ディスプレイ、太陽電池又は窓がフレキシブルである場合には、これらとともにしなやかに屈曲させることができる。
<第1電極層及び第2電極層>
本発明で用いられる導電材料は金属、金属化合物、又はこれらの組み合わせからなる。該金属及び該金属化合物のおのおのは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。該金属としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、銅等が挙げられる。該金属化合物としては、例えば、金属酸化物が挙げられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化スズ、並びにこれらのいずれか1種を含む複合体、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、スズアンチモン酸化物、NESA等が挙げられる。導電性と安定性とコストの観点から金、白金、銀が好ましく、銀が最も好ましい。
「柱状」とは、顕微鏡により確認したときに、長軸と短軸とを有し、長軸方向の各点における短軸方向の寸法の最大値と最小値との比が1.0〜5.0、好ましくは1.0〜1.25である形状をいう。即ち、柱状の導電材料において、長軸方向の各点における短軸方向の寸法は長軸方向に沿って一定又はほぼ一定である。長軸方向の各点における短軸方向の寸法が最大値と最小値を有する場合、上記の太さ(d)は該最大値と該最小値との平均値と定義される。なお、該柱状の形状は屈曲していてもよい。
より具体的には、該導電材料は、金、白金、銀、銅、もしくはこれらの2種以上の組み合わせからなるナノワイヤー、金、白金、銀、銅、もしくはこれらの2種以上の組み合わせからなるナノロッド、又は該ナノワイヤーと該ナノロッドの組み合わせ(該ナノワイヤーおよび該ナノロッドは、それぞれ1種類であっても、2種類以上であってもよい。)であることが好ましい。なお、一般的に、l/dの値が小さいものをナノロッドと呼び、l/dの値が大きいものをナノワイヤーと呼ぶが、明確な境目はない。本明細書においては、l/dが20未満のものをナノロッド、l/dが20以上のものをナノワイヤーと定義する。
導電材料の表面に吸着している有機物は、溶媒と相互作用が大きい部位と、導電材料と相互作用が大きい部位を有することが好ましい。導電材料はその製造過程において、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールのような極性溶媒を用いることが好ましいため、導電材料の表面にある有機物は、これらの極性溶媒との相互作用が大きい基、例えば、ヒドロキシル基、式:−OCH2CH2−で表される2価の基、カルボキシル基又はカルボキシル基に含まれる水素原子がアルカリ金属原子で置き換えられた基を有することが好ましい。
導電材料の表面に吸着している有機物は、導電材料と相互作用が大きい置換基を有することが好ましい。そのような置換基としては、導電材料を構成する金属原子に配位結合又は共有結合しやすい置換基が挙げられ、具体的にはメルカプト基、式:−S−、−O−もしくは−OCH2CH2−で表される2価の基、カルボニル基、非置換もしくは置換のホスフィノ基、ピリジニル基、エテニレン基、又はカルボキシル基もしくはその水素原子がアルカリ金属原子で置き換えられた基が挙げられる。該有機物の1分子が有するこれらの置換基は、多い方が導電材料を構成する金属原子との相互作用が大きくなるので好ましい。置換基の数を増やすため、導電材料の表面に吸着している有機物は高分子化合物であることが好ましい。
ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、メルカプト基、メルカプトカルボニル基、メルカプトチオカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルアミノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルアミノ基、ホスフィノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルホスフィノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルホスフィノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、ホルミル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニルオキシ基、ニトロ基、式:−OP(=O)(OH)2で表される基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルバモイル基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルカルバモイル基、式:−C(=S)NR2で表される基、式:−B(OH)2で表される基、式:−BR2で表される基、ホウ酸エステル残基、式:−Si(OR)3で表される基、スルホ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホニル基、スルフィノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルフィノ基、式:−NRC(=O)ORで表される基、式:−NRC(=O)SRで表される基、式:−NRC(=S)ORで表される基、式:−NRC(=S)SRで表される基、式:−OC(=O)NR2で表される基、式:−SC(=O)NR2で表される基、式:−OC(=S)NR2で表される基、式:−SC(=S)NR2で表される基、式:−NRC(=O)NR2で表される基、式:−NRC(=S)NR2で表される基、2個以上のエーテル結合を有するヒドロカルビル基、2個以上のエステル結合を有するヒドロカルビル基、2個以上のアミド結合を有するヒドロカルビル基、式:−SMで表される基、式:−C(=O)SMで表される基、式:−CS2Mで表される基、式:−OMで表される基、式:−CO2Mで表される基、式:−NM2で表される基、式:−NHMで表される基、式:−NRMで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−OP(=O)(OM)2で表される基、式:−P(=O)(OM)2で表される基、式:−C(=O)NM2で表される基、式:−C(=O)NHMで表される基、式:−C(=O)NRMで表される基、式:−C(=S)NHMで表される基、式:−C(=S)NRMで表される基、式:−C(=S)NM2で表される基、式:−B(OM)2で表される基、式:−BR3Mで表される基、式:−B(OR)3Mで表される基、式:−SO3Mで表される基、式:−SO2Mで表される基、式:−NRC(=O)OMで表される基、式:−NRC(=O)SMで表される基、式:−NRC(=S)OMで表される基、式:−NRC(=S)SMで表される基、式:−OC(=O)NM2で表される基、式:−OC(=O)NRMで表される基、式:−OC(=S)NM2で表される基、式:−OC(=S)NRMで表される基、式:−SC(=O)NM2で表される基、式:−SC(=O)NRMで表される基、式:−SC(=S)NM2で表される基、式:−SC(=S)NRMで表される基、式:−NRC(=O)NM2で表される基、式:−NRC(=O)NRMで表される基、式:−NRC(=S)NM2で表される基、式:−NRC(=S)NRMで表される基、式:−NR3M’で表される基、式:−PR3M’で表される基、式:−OR2M’で表される基、式:−SR2M’で表される基、式:−IRM’で表される基、及びカチオン化された窒素原子を複素環内に有する複素環基が挙げられる。
なお、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)を表し、Mは、金属カチオン又は置換基を有していてもよいアンモニウムカチオンを表し、M’は、アニオンを表す。)また、これらの置換基同士は結合して環を形成してもよい。
置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホニル基とは、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基とスルホニル基との組み合わせからなる基をいう。
本発明において、振動層としては、アクリルエラストマー、シリコンエラストマー、ウレタンエラストマーなどのエラストマーを含む層を用いることもできるが、圧電性を有する層を用いることが好ましい。
圧電性を有する層としては、例えば、圧電性を有する高分子化合物を含む層が挙げられる。圧電性を有する高分子化合物を含む層において、該高分子化合物の含量は、好ましくは50重量%以上(例えば、50〜100重量%)、より好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90〜100重量%)である。
圧電性を有する高分子化合物としては、シアノビニリデンとビニルアセテートとの交互共重合体又はL型ポリ乳酸も選択できるが、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)(即ち、下記式(F−1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体)、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体(即ち、下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位とからなる共重合体。)、又はこれらの組み合わせ(即ち、ポリビニリデンフルオリドおよびビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体の組成物)であることが好ましく、PVDFであることがより好ましい。下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、下記式(F−2)、(F−3)、(F−4)、(F−11)、(F−12)、(F−21)、(F−22)、(F−31)又は(F−32)で表される繰り返し単位が好ましく、(F−2)、(F−3)、(F−11)、(F−21)又は(F−31)で表される繰り返し単位がより好ましく、(F−2)で表される繰り返し単位がさらに好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体において、下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対し80モル%以下(例えば、0モル%超80モル%以下)が好ましく、50モル%以下(例えば、0モル%超50モル%以下)がより好ましく、30モル%以下(例えば、0モル%超30モル%以下)がさらに好ましい。前記共重合体が下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−2)で表される繰り返し単位とからなる共重合体である場合、両繰り返し単位のモル比は、70:30〜90:10であることが好ましく、80:20であることがより好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体が下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−3)で表される繰り返し単位とからなる共重合体である場合、両繰り返し単位のモル比は、70:30〜90:10であることが好ましく、80:20であることがより好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体は、ビニリデンフルオリドとトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンなどとのラジカル重合で得られる。また、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体は、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから購入することもできる。
本発明の装置において、電極層(第一電極層及び第二電極層)は振動層と直接接していることが好ましいが、第1電極層と振動層との間に機能層があってもよいし、第2電極層と振動層との間に機能層があってもよい。該機能層としては、電極層と振動層とを接着する接着層、本発明の装置の機械的強度を高める支持層、電極を保護する保護層、音を大きくするための補助層などが挙げられる。ただし、これらの層の厚さは100μm以内が好ましく、30μm以内がより好ましく、10μm以内がさらに好ましい。
本発明の装置の作製方法の一例を記載する。振動層の一方の面に第1電極層を作製する。同様に振動層の他方の面に第2電極層を作製する。第1電極層及び第2電極層の少なくとも一方は、例えば、導電材料を含む液状混合物を振動層の表面に塗布することで作成することができる。必要に応じて、補助電極を作成し、導線と接続することで、本発明の装置が完成する。
これらの中でも、導電材料の分散安定性を向上させるためには、上記の多価アルコール及びその誘導体、アルコール溶媒又はフッ素化アルコールが好ましく、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールがより好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールがさらに好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールが特に好ましい。
上記液状混合物において溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよいが、一種単独で用いることが好ましい。液状混合物中における溶媒の割合は40重量%から99.99重量%が好ましく、70重量%から99.99重量%がより好ましく、90重量%から99.99重量%がさらに好ましく、95重量%から99.99重量%が特に好ましい。
本発明のスピーカーは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を含む。本発明のスピーカーでは、音と電気信号とを相互変換する前記の装置が該装置に加えられた電気信号を音に変換し、音が発生する。
本発明のマイクロフォンは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を含む。本発明のマイクロフォンでは、音と電気信号とを相互変換する前記の装置が該装置に加えられた音(振動)を電気信号に変換する。
本発明のディスプレイは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明のディスプレイは、例えば、上記の装置を、ディスプレイ(ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイなど)に貼り付けることで得ることができる。上記の装置は、単独のディスプレイに貼り付けても、テレビ中に組み込まれた状態のディスプレイに貼り付けてもよい。有機エレクトロルミネッセンスディスプレイがフレキシブルであっても、上記の装置を該ディスプレイに貼り付けることができる。有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを積層によって作製し、さらに、得られた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ上に本発明の装置を積層によって形成してもよい。この場合は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイと本発明の装置とにおいて電極を共有することもできる。本発明の装置は、持ち運びできるテレビ、持ち運びできるパソコン、ポータブルゲーム機、ポータブル情報端末機、携帯電話、携帯音楽再生機のディスプレイにも貼り付けることができる。また、本発明の装置は、自動車、電車、飛行機、船に搭載されたディスプレイ(操縦用、通信用又は娯楽用)にも貼り付けることができる。
本発明の太陽電池は、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明の太陽電池は、例えば、上記の装置を、太陽電池(シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池など)に貼り付けることで得ることができる。色素増感太陽電池又は有機薄膜太陽電池がフレキシブルであっても、上記の装置を該太陽電池に貼り付けることができる。これらの太陽電池を積層によって作製し、さらに、得られた太陽電池上に本発明の装置を積層によって形成してもよい。この場合は太陽電池と本発明の装置とにおいて電極を共有することもできる。
本発明の窓は、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明の窓は、例えば、上記の装置を、窓(ガラス製、アクリルなどの樹脂製)に貼り付けることで得ることができる。窓がフレキシブルであっても、上記の装置を該窓に貼り付けることができる。窓は、住宅やオフィスビルなどの窓に限らず、ショーウィンドウの透明板、博物館、動物園、水族館等の展示物と観覧者をしきる透明板、メガネ、お面、ゴーグルなどの透明又は半透明部分を含む。
エチレングリコール1Lをフラスコに入れ、乾燥させた空気をバブリングさせながら、150℃に加熱して、2時間攪拌した。空気のバブリングを止め、フラスコ内を窒素気流下にして、塩化銅(II)二水和物の1mMエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングしたもの)48mLを加え、15分間150℃で攪拌した。その後、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量55000、シグマアルドリッチジャパン(株)製)の16.7g/Lエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングしたもの)450mLを加えて混合し、反応液が150℃に戻るのを待ってから、硝酸銀の100mMエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングし、100℃に加熱したもの)450mLを滴下した。その後、150℃でさらに2時間攪拌した後、反応液を室温まで冷却した。該反応液の一部を取り出して、5〜10倍体積量のアセトンに滴下して沈殿を生成した。デカンテーションにより沈殿を取り出し、少量のメタノールに分散させて再度5〜10倍体積量のアセトンに滴下して沈殿を生成した。この操作(即ち、沈殿の取り出し、メタノール中での分散、及び沈殿の生成)を3回繰り返し、銀のナノワイヤーを得た。走査型電子顕微鏡により、このナノワイヤーは、太さ(d)が0.05〜0.15nmで、長さ(l)が数μm〜数10μmであることが確認された。各ナノワイヤーにおいて、長軸方向の各点における短軸方向の寸法の最大値と最小値との比は1.3以下であった。l/dには分布があった。
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン52.5g(0.16mol)、サリチル酸エチル154.8g(0.93mol)及びメルカプト酢酸1.4g(0.016mol)を容量3000mLのフラスコに入れ、窒素ガスで置換した。該フラスコに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、得られた混合物を75℃で終夜撹拌した。得られた混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄した固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させて、ろ別した。得られた固体(62.7g)、3,6,9−トリオキサデシルオキシ−p−トルエンスルホネート86.3g(0.27mmol)、炭酸カリウム62.6g(0.45mmol)及び1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(「18−クラウン−6」と呼ばれることもある。) 7.2g(0.027mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670mL)に溶解させ、得られた溶液をフラスコに移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、フラスコに氷水を加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、得られたクロロホルム溶液を濃縮することで、下記式で表される化合物B(51.2g)を得た。収率は31%であった。
合成例1で得られた高分子化合物P−3(200mg)を容量100mLのフラスコに入れ、窒素ガスで置換した。テトラヒドロフラン(20mL)及びエタノール(20mL)を添加し、それらの混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることにより、下記式:
で表される構造を有する高分子化合物(以下、「高分子化合物P−4」という)を150mg得た。1H−NMRスペクトルにより、高分子化合物P−3内に存在したエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。なお、上記式中、nは66である。
上記の銀のナノワイヤーのOFP分散液9.06gと、上記の高分子化合物P−4のOFP溶液1.05gを混合し、塗布溶液を作製した。このときの組成は、銀のナノワイヤーが1.7重量%で高分子化合物P−4が0.17重量%であった。
Claims (8)
- 第1電極層、
第2電極層、及び
該第1電極層と該第2電極層との間に位置する振動層
を有し、
該第1電極層及び該第2電極層の少なくとも一方が、銀、銀化合物、又はこれらの組み合わせからなる導電材料を含み、
該導電材料の形状は、太さ(d)が1nm〜1μmで、長さ(l)と太さとの比(l/d)が1.5以上の柱状である、
音と電気信号とを相互変換する装置。 - 前記第1電極層が前記導電材料を含む場合、該第1電極層において該導電材料の量が10重量%以上であり、
前記第2電極層が該導電材料を含む場合、該第2電極層において該導電材料の量が10重量%以上である、
請求項1に記載の装置。 - 前記導電材料が銀ナノワイヤー、銀ナノロッド、又は銀ナノワイヤーと銀ナノロッドとの組み合わせである、請求項1または2に記載の装置。
- 芳香環を主鎖に有する高分子化合物が、前記導電材料の表面に吸着している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
- 前記振動層が、圧電性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
- 前記振動層が、
ポリビニリデンフルオリド、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置を含むスピーカー。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置を含むマイクロフォン。
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