JP5866222B2 - 音と電気信号とを相互変換する装置、並びに該装置を含むスピーカー及びマイクロフォン - Google Patents

音と電気信号とを相互変換する装置、並びに該装置を含むスピーカー及びマイクロフォン Download PDF

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Description

本発明は、音と電気信号とを相互変換する装置、該装置を含むスピーカー及びマイクロフォン、並びに該装置を有するディスプレイ、太陽電池及び窓に関する。
近年の情報化社会の発達によって、いつでもどこでも情報を得ることが可能になってきた。情報を得るためには情報端末は不可欠である。持ち運びしやすい情報端末は小さすぎて得られる情報量が少ないため不便である。逆に、大きい情報端末は情報量が多いものの嵩張り重いため持ち運びが難しい。文字及び画像を表示するディスプレイに関しては薄くて軽いものが市販され始めており、軽くて嵩張らないフレキシブルなディスプレイの可能性も示されているため、視覚情報に関しては利便性が高まる可能性が高い。
一方、音情報を提供するスピーカーについても、薄くて軽いものが望まれる。特許文献1には、フレキシブルなスピーカーが開示されている。これは不透明であり、フレキシブルディスプレイと組み合わせるには画面の裏側に取り付ける必要があるため、視聴者からは聞きとりにくくなる。透明なフレキシブルスピーカーはディスプレイの画面上に重ねることができるため聞き取りやすく、さらに画像と音の位置が同じになるため臨場感が増す。透明フレキシブルスピーカーは用途が他にもある。例えば、採光用の窓にも照明にも貼ることができるし、ポスターや車などにも意匠性を損なうことなく貼ることができる。
透明フレキシブルスピーカーについては非特許文献1および2に開示されているものが開発されている。これらは透明電極として黒色のポリエチレンジオキシチオフェン(以下、「PEDOT」ということがある。)を用いているため、透明性が低い。またPEDOTの導電性は不十分であり、スピーカーの周縁部からの入力がスピーカー中央部まで伝わりにくいため、人が聞き取れるほどに音を大きくすることは困難である。
更に、十分な感度を有する透明フレキシブルマイクロフォンは得られていない。
特開2008-54154号公報
大阪と科学教育 23, 1, (2009) Applied Acoustics 70 (2009) 1021-1028
本発明の目的は、音と電気信号とを相互変換する装置であって、
人が聞き取れる程度の大きさの音を出すことができる透明なフレキシブルスピーカーおよび人が明瞭に聞き取れる程度の感度で音を受信することができる透明なフレキシブルマイクロフォンとを与える前記装置、並びに該装置を含むスピーカー及びマイクロフォンを提供することである。
本発明は、上記目的を達成するための手段として、第一に、
第1電極層、
第2電極層、及び
該第1電極層と該第2電極層との間に位置する振動層
を有し、
該第1電極層及び該第2電極層の少なくとも一方が、金属、金属化合物、又はこれらの組み合わせからなる導電材料を含み、
該導電材料の形状は、太さ(d)が1nm〜1μmで、長さ(l)と太さとの比(l/d)が1.5以上の柱状である、
音と電気信号とを相互変換する装置を提供する。
本発明は第二に、上記装置を含むスピーカーを提供する。
本発明は第三に、上記装置を含むマイクロフォンを提供する。
本発明は第四に、上記装置を有するディスプレイを提供する。
本発明は第五に、上記装置を有する太陽電池を提供する。
本発明は第六に、上記装置を有する窓を提供する。
本発明の装置から得られるスピーカーは、優れた屈曲性を有し、透明性が高く、人が聞き取れる程度の大きさの音を出すことができるため、透明フレキシブルスピーカーとして用いることができる。また、本発明の装置から得られるマイクロフォンは、優れた屈曲性を有し、透明性が高く、人が明瞭に聞き取れる程度の感度で音を受信することができるため、透明フレキシブルマイクロフォンとして用いることができる。よって、これらのスピーカー及びマイクロフォンは音声付き情報端末に有用である。
更に、本発明の装置から得られるスピーカー及びマイクロフォンは、光の透過性を十分に維持したまま、ディスプレイ、太陽電池及び窓に貼り付けることができ、ディスプレイ、太陽電池又は窓がフレキシブルである場合には、これらとともにしなやかに屈曲させることができる。
次に、本発明を詳細に説明する。
[音と電気信号とを相互変換する装置]
<第1電極層及び第2電極層>
本発明で用いられる導電材料は金属、金属化合物、又はこれらの組み合わせからなる。該金属及び該金属化合物のおのおのは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。該金属としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、銅等が挙げられる。該金属化合物としては、例えば、金属酸化物が挙げられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化スズ、並びにこれらのいずれか1種を含む複合体、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、スズアンチモン酸化物、NESA等が挙げられる。導電性と安定性とコストの観点から金、白金、銀が好ましく、銀が最も好ましい。
導電材料の形状は、太さ(d)が1nm〜1μmで、長さ(l)と太さとの比(l/d)が1.5以上の柱状である。なお、長さは、通常、1.5nm以上である。d及びlは、走査型電子顕微鏡に代表される電子顕微鏡による写真で測定することができるが、光学式の顕微鏡による観察でも測定することができる場合がある。
「柱状」とは、顕微鏡により確認したときに、長軸と短軸とを有し、長軸方向の各点における短軸方向の寸法の最大値と最小値との比が1.0〜5.0、好ましくは1.0〜1.25である形状をいう。即ち、柱状の導電材料において、長軸方向の各点における短軸方向の寸法は長軸方向に沿って一定又はほぼ一定である。長軸方向の各点における短軸方向の寸法が最大値と最小値を有する場合、上記の太さ(d)は該最大値と該最小値との平均値と定義される。なお、該柱状の形状は屈曲していてもよい。
l/dが大きくなると、導電材料が含まれる電極層(即ち、第1電極層及び第2電極層の少なくとも一方)において、一個の導電材料と接触する他の導電材料の数が多くなりやすく、導電材料の量を減らしても該電極層における導電性が容易に保たれ、結果として該電極層が有する隙間が増える傾向となり、該電極層の光透過性がより高くなるため好ましい。l/dは、上記観点から、好ましくは5以上であり、より好ましくは50以上であり、更に好ましくは100以上であり、特に好ましくは300以上である。l/dの上限は、特に限定されないが、実用的には107以下であり、より実用的には106以下であり、更に実用的には105以下であり、特に実用的には104以下であり、とりわけ実用的には103以下である。
dは、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、更に好ましくは300nm以下であり、特に好ましくは150nm以下であり、とりわけ好ましくは100nm以下である。下限は通常1nm以上であるが、導電性がより優れるので、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。
lは、好ましくは1300nm以上、より好ましくは1600nm以上、更に好ましくは2000nm以上であり、特に好ましくは2500nm以上であり、とりわけ好ましくは3000nm以上である。lは、実用的な観点から、好ましくは1cm以下であり、より好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.5mm以下、特に好ましくは0.3mm以下であり、とりわけ好ましくは0.1mm以下である。
l、d及びl/dに分布がある場合には、これらの平均値を採用する。本明細書において平均値とは、算術平均値である。
導電材料の太さ(d)方向の断面は円形、三角形、四角形、五角形、六角形又はそれよりも多くの辺を有する多角形の他、円形以外の曲線を含む形状でもよい。断面が多角形の場合、複数の辺の長さは互いに同一でも異なっていてもよいが、最長辺と最短辺の比が10以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。断面は、多角形である場合、正三角形、正四角形、正五角形、正六角形またはそれよりも多くの辺を有する正多角形であることがとりわけ好ましい。断面が円形以外の曲線を含む形状である場合、その断面上で重心を通る最も長い直線と最も短い直線の比が10以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。この断面は、一種類の導電材料からなる形状において、大きさと形が異なっていてもよいが、大きさのばらつきが少ない方が好ましく、大きさと形の双方のばらつきが少ない方がより好ましい。
導電材料の形態は、上記の理由により、ナノロッド、ナノチューブ又はナノワイヤーが好ましく、ナノワイヤーがより好ましい。
より具体的には、該導電材料は、金、白金、銀、銅、もしくはこれらの2種以上の組み合わせからなるナノワイヤー、金、白金、銀、銅、もしくはこれらの2種以上の組み合わせからなるナノロッド、又は該ナノワイヤーと該ナノロッドの組み合わせ(該ナノワイヤーおよび該ナノロッドは、それぞれ1種類であっても、2種類以上であってもよい。)であることが好ましい。なお、一般的に、l/dの値が小さいものをナノロッドと呼び、l/dの値が大きいものをナノワイヤーと呼ぶが、明確な境目はない。本明細書においては、l/dが20未満のものをナノロッド、l/dが20以上のものをナノワイヤーと定義する。
本発明で用いることのできる導電材料としては、例えば、市販品や導電材料の技術分野で公知の方法で製造した生産品を使用することができる。該方法としては、例えば、液相法や気相法等の製造法を用いることが出来るが、特に制限は無く、いかなる方法であってもよい。具体的には、特開2006−233252号公報;Xia,Y. et al., Chem. Mater.(2002)、14、4736−4745;Xia,Y. et al., Nano Letters(2003)3、955−960;Xia,Y. et al., J. Mater. Chem.,(2008)18、437−441;特開2002−266007号公報;及び特開2004−149871号公報等に記載の方法が挙げられる。
前記第1電極層が前記導電材料を含む場合、該第1電極層において該導電材料の量が10重量%以上(例えば、10〜100重量%)であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましい。前記第2電極層が該導電材料を含む場合、該第2電極層において該導電材料の量が10重量%以上(例えば、10〜100重量%)であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましい。前記導電材料の量が10重量%以上であると、導電材料どうしが十分に接触しやすくなるため、該電極層における導電性が高くなるためである。
導電材料の表面には、有機物が吸着していることが好ましい。これにより、効果的に導電材料を溶媒に分散させることができる。導電材料が溶媒中分散した状態が安定であると、前記第1電極及び第2電極層の少なくとも一方を形成する方法として、導電材料を溶媒に分散させた分散液を用いた塗布法を用いることができるので好ましい。導電材料を溶媒に入れ、攪拌又は振盪により分散をさせた後に静置すると導電材料の沈殿が始まる場合がある。この場合、導電材料の90重量%以上が沈殿してしまうまでの時間は1分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、8時間以上がさらに好ましい。
導電材料の表面に吸着している有機物は、溶媒と相互作用が大きい部位と、導電材料と相互作用が大きい部位を有することが好ましい。導電材料はその製造過程において、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールのような極性溶媒を用いることが好ましいため、導電材料の表面にある有機物は、これらの極性溶媒との相互作用が大きい基、例えば、ヒドロキシル基、式:−OCHCH−で表される2価の基、カルボキシル基又はカルボキシル基に含まれる水素原子がアルカリ金属原子で置き換えられた基を有することが好ましい。
導電材料の表面に吸着している有機物は、導電材料と相互作用が大きい置換基を有することが好ましい。そのような置換基としては、導電材料を構成する金属原子に配位結合又は共有結合しやすい置換基が挙げられ、具体的にはメルカプト基、式:−S−、−O−もしくは−OCHCH−で表される2価の基、カルボニル基、非置換もしくは置換のホスフィノ基、ピリジニル基、エテニレン基、又はカルボキシル基もしくはその水素原子がアルカリ金属原子で置き換えられた基が挙げられる。該有機物の1分子が有するこれらの置換基は、多い方が導電材料を構成する金属原子との相互作用が大きくなるので好ましい。置換基の数を増やすため、導電材料の表面に吸着している有機物は高分子化合物であることが好ましい。
ここで「吸着(adsorption)」とは、化学吸着でも物理吸着でもそれらが組み合わさった吸着でもよい。吸着の強さの観点からは、化学吸着が好ましい。化学吸着とは、吸着質と吸着媒の間で共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合、水素結合等の化学結合を伴って起こる吸着を意味する。物理吸着とは、ファンデルワールス力、静電引力、磁力等の相互作用により起こる吸着を意味する。本発明では、吸着質は有機物であり、吸着媒は導電材料である。
導電材料の表面に吸着している有機物は、導電性が高い方が、導電材料同士の接点での電気のやり取りにおける抵抗が小さくなる傾向にあるため、第1電極層及び該第2電極層の少なくとも一方における導電性が高くなりやすく、透明性を維持したまま導電性の高い電極層を得ることが容易であり、本発明のスピーカーにおいては出力する音を効果的に大きくすることができ、本発明のマイクロフォンにおいては感度を効果的に高くすることができるため好ましい。したがって、該有機物は芳香族化合物であることが好ましく、芳香環を有する高分子化合物であることがより好ましく、芳香環を主鎖に有する高分子化合物であることがさらに好ましい。
芳香環を主鎖に有する高分子化合物としては、例えば、下記式(4)で表される2価の繰り返し単位(以下、「2価の繰り返し単位V」ということがある。)を主鎖に有する高分子化合物が挙げられる。下記式(4)において、Arは2価の芳香族基であり、ヘテロ原子を有してもよい。Arとしては、例えば、芳香環を有する化合物から芳香環の炭素原子に直結した2個の水素原子を取り除いた残りの原子団が例示できる。この2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0005866222
芳香環を有する化合物としては、下記式(Ar-1)〜(Ar-62)のいずれかで表される化合物が挙げられ、合成容易さの観点から、下記式(Ar-1)〜(Ar-12)、(Ar-15)〜(Ar-31)又は(Ar-37)〜(Ar-40)のいずれかで表される化合物が好ましく、下記式(Ar-1)〜(Ar-3)、(Ar-8)〜(Ar-10)、(Ar-15)〜(Ar-21)、(Ar-24)〜(Ar-31)、(Ar-37)又は(Ar-38)で表される化合物がより好ましく、下記式(Ar-1)〜(Ar-3)、(Ar-8)、(Ar-10)、(Ar-15)、(Ar-17)〜(Ar-19)、(Ar-21)、(Ar-24)、(Ar-37)又は(Ar-38)で表される化合物がさらに好ましく、下記式(Ar-1)〜(Ar-3)、(Ar-8)、(Ar-10)、(Ar-17)、(Ar-18)又は(Ar-37)で表される化合物が特に好ましく、下記式(Ar-1)、(Ar-8)、(Ar-10)、(Ar-17)又は(Ar-18)で表される化合物が最も好ましい。
Figure 0005866222
Figure 0005866222
式(4)で表される2価の繰り返し単位Vを主鎖に有する高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(ただし、標準ポリスチレンが溶解する溶媒に該高分子化合物が溶解しない場合は、標準ポリエチレングリコール換算の数平均分子量)が500以上1000万以下であることが好ましく、3000以上100万以下であることがより好ましい。
式(4)における2価の芳香族基Arが有していてもよい置換基としては、
ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、メルカプト基、メルカプトカルボニル基、メルカプトチオカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルアミノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルアミノ基、ホスフィノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルホスフィノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルホスフィノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、ホルミル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニルオキシ基、ニトロ基、式:−OP(=O)(OH)2で表される基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルバモイル基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルカルバモイル基、式:−C(=S)NR2で表される基、式:−B(OH)2で表される基、式:−BR2で表される基、ホウ酸エステル残基、式:−Si(OR)3で表される基、スルホ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホニル基、スルフィノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルフィノ基、式:−NRC(=O)ORで表される基、式:−NRC(=O)SRで表される基、式:−NRC(=S)ORで表される基、式:−NRC(=S)SRで表される基、式:−OC(=O)NR2で表される基、式:−SC(=O)NR2で表される基、式:−OC(=S)NR2で表される基、式:−SC(=S)NR2で表される基、式:−NRC(=O)NR2で表される基、式:−NRC(=S)NR2で表される基、2個以上のエーテル結合を有するヒドロカルビル基、2個以上のエステル結合を有するヒドロカルビル基、2個以上のアミド結合を有するヒドロカルビル基、式:−SMで表される基、式:−C(=O)SMで表される基、式:−CS2Mで表される基、式:−OMで表される基、式:−CO2Mで表される基、式:−NM2で表される基、式:−NHMで表される基、式:−NRMで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−OP(=O)(OM)2で表される基、式:−P(=O)(OM)2で表される基、式:−C(=O)NM2で表される基、式:−C(=O)NHMで表される基、式:−C(=O)NRMで表される基、式:−C(=S)NHMで表される基、式:−C(=S)NRMで表される基、式:−C(=S)NM2で表される基、式:−B(OM)2で表される基、式:−BR3Mで表される基、式:−B(OR)3Mで表される基、式:−SO3Mで表される基、式:−SO2Mで表される基、式:−NRC(=O)OMで表される基、式:−NRC(=O)SMで表される基、式:−NRC(=S)OMで表される基、式:−NRC(=S)SMで表される基、式:−OC(=O)NM2で表される基、式:−OC(=O)NRMで表される基、式:−OC(=S)NM2で表される基、式:−OC(=S)NRMで表される基、式:−SC(=O)NM2で表される基、式:−SC(=O)NRMで表される基、式:−SC(=S)NM2で表される基、式:−SC(=S)NRMで表される基、式:−NRC(=O)NM2で表される基、式:−NRC(=O)NRMで表される基、式:−NRC(=S)NM2で表される基、式:−NRC(=S)NRMで表される基、式:−NR3M’で表される基、式:−PR3M’で表される基、式:−OR2M’で表される基、式:−SR2M’で表される基、式:−IRM’で表される基、及びカチオン化された窒素原子を複素環内に有する複素環基が挙げられる。
なお、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)を表し、Mは、金属カチオン又は置換基を有していてもよいアンモニウムカチオンを表し、M’は、アニオンを表す。)また、これらの置換基同士は結合して環を形成してもよい。
前記の置換基のうち好ましい例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、メルカプト基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルアミノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルアミノ基、式:−OP(=O)(OH)2で表される基、スルホ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、式:−CO2Mで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−SO3Mで表される基、又は式:−NR3M’で表される基が挙げられ、より好ましい例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、スルホ基、複素環基、式:−CO2Mで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−NR3M’で表される基が挙げられ、更に好ましい例としては、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、メルカプト基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいピリジル基、式:−CO2Mで表される基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
置換基を有していてもよいヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素原子数1〜50のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素原子数3〜50の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素原子数2〜50のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素原子数6〜50のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数7〜50のアラルキル基が挙げられる。炭素原子数1〜50のアルキル基、炭素原子数6〜50のアリール基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜18のアリール基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基が更に好ましい。
置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルジチオ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニル基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、及び置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルボニルオキシ基とはそれぞれ、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基とチオ基、チオカルボニル基、ジチオ基、オキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、及びカルボニルオキシ基との組み合わせからなる基をいう。
置換基を有していてもよいヒドロカルビルアミノ基、置換基を有していてもよいヒドロカルビルホスフィノ基、及び置換基を有していてもよいヒドロカルビルカルバモイル基とはそれぞれ、アミノ基、ホスフィノ基、及びカルバモイル基中の水素原子一個が置換基を有していてもよいヒドロカルビル基で置換された基をいう。
置換基を有していてもよいジヒドロカルビルアミノ基、置換基を有していてもよいジヒドロカルビルホスフィノ基、及び置換基を有していてもよいジヒドロカルビルカルバモイル基とはそれぞれ、アミノ基、ホスフィノ基、及びカルバモイル基中の水素原子二個が置換基を有していてもよいヒドロカルビル基で置換された基をいう。
式:−C(=S)NR2で表される基、式:−BR2で表される基及び式:−Si(OR)3で表される基において、Rは前述のとおり水素原子又は前記ヒドロカルビル基であり、該ヒドロカルビル基の好ましい例は前述と同じである。
ホウ酸エステル残基としては、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 0005866222
置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホ基及び置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルフィノ基とはそれぞれ、スルホ基及びヒドロカルビルスルフィノ基中の水素原子一個が置換基を有していてもよいヒドロカルビル基で置換された基をいう。
置換基を有していてもよいヒドロカルビルスルホニル基とは、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基とスルホニル基との組み合わせからなる基をいう。
式:−NRC(=O)ORで表される基、式:−NRC(=O)SRで表される基、式:−NRC(=S)ORで表される基、式:−NRC(=S)SRで表される基、式:−OC(=O)NR2で表される基、式:−SC(=O)NR2で表される基、式:−OC(=S)NR2で表される基、式:−SC(=S)NR2で表される基、式:−NRC(=O)NR2で表される基、及び式:−NRC(=S)NR2で表される基において、Rは前述のとおり水素原子又は前記ヒドロカルビル基であり、該ヒドロカルビル基の好ましい例は前述と同じである。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた残りの原子団である。複素環としては、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、アザジアゾール環等の単環式複素環;単環式芳香環から選んだ2個以上の環が縮合した縮合多環式複素環;2個の複素環、又は1個の複素環と1個の芳香環とを、メチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する有橋多環式芳香環等が挙げられ、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環が好ましく、ピリジン環、1,3,5−トリアジン環がより好ましい。
2個以上のエーテル結合を有するヒドロカルビル基としては、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 0005866222
(式中、R’は置換基を有していてもよいヒドロカーボンジイル基を示し、複数あるR’は同一でも異なっていてもよい。n2は2以上の整数である。好ましくはR’=−CHCH−であり、n2は2〜5の整数である。)
置換基を有していてもよいヒドロカーボンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、ドデカメチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜50の飽和ヒドロカーボンジイル基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の不飽和ヒドロカーボンジイル基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜50の飽和環状ヒドロカーボンジイル基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜50のアリーレン基が挙げられる。エーテル結合を有するヒドロカルビル基が複数ある場合は、これらの基同士は環を形成してもよい。
2個以上のエステル結合を有するヒドロカルビル基としては、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 0005866222
(式中、R’及びn2は、前述と同様の意味である。)
2個以上のアミド結合を有するヒドロカルビル基としては、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 0005866222
(式中、R’及びn2は、前述と同様の意味である。)
Mで示される金属カチオンとしては、1価、2価又は3価の金属カチオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等由来の金属カチオンが挙げられ、Li、Na、K、又はCs由来の金属カチオンが好ましい。
Mで示される置換基を有していてもよいアンモニウムカチオンにおいて置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
Mを有する前記式で表される基には、該基全体の電荷が中和されるように、M以外の別の金属カチオンが伴ってもよく、また、アニオンが伴ってもよい。アニオンの具体例としては、後述のM’で示されるアニオンと同様のものが挙げられる。
M’で示されるアニオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、[(CF3SO22N]-、テトラキス(イミダゾリル)ボレートアニオン、8−キノリノラトアニオン、2−メチル−8−キノリノラトアニオン、2−フェニル−8−キノリノラトアニオン等が挙げられる。
Mで示される置換基を有していてもよいアンモニウムカチオンは、カチオン化された窒素原子を複素環内に有するアンモニウムカチオンを含み、具体例としては以下の式(n−1)〜(n−13)で表される複素環から水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられる。これらの複素環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、Arについて上述したものが挙げられる。芳香環を主鎖に有する高分子化合物の合成が容易となるので、式(n−1)、(n−5)、(n−7)、(n−9)、(n−11)又は(n−13)で表される複素環が好ましく、式(n−1)、(n−5)、(n−11)又は(n−13)で表される複素環がより好ましく、式(n−1)、(n−5)又は(n−13)で表される複素環が更に好ましい。
Figure 0005866222
(式中、R及びM’は上述のとおりである。)
置換されているArの具体例としては、以下の式(a−2)、(a−3)、(a−4)、(a−14)、(a−27)、(a−35)、(b−4)、(b−6)、(b−9)、(b−11)、(b−16)、(b−18)、(b−20)、(b−22)、(b−25)、(b−28)、(b−29)、(b−32)、(b−34)、(b−35)、(c−1)、(c−14)、(c−17)、(d−1)、(d−3)、(d−5)、(d−12)、(d−13)、(d−15)、(d−18)、(d−20)、(d−24)、(d−27)、(d−30)、(d−34)、(d−38)、(d−41)、(d−43)、(d−45)、(f−10)、(f−14)、(f−17)、(f−19)、(f−23)、(f−26)、(f−31)、(f−33)、(f−34)、(g−12)、(g−14)、(g−17)、(g−20)又は(g−21)で表される2価の芳香族基が挙げられる。これらの式中、n3は2以上の整数を表し、2〜30の整数が好ましく、2〜20の整数がより好ましく、6〜10の整数が更に好ましい。これらの式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表し、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基がより好ましい。
Figure 0005866222
Figure 0005866222
置換されているArとしては、式(a−3)、(a−14)、(a−27)、(b−6)、(b−9)、(b−11)、(b−22)、(b−34)、(b−35)、(c−1)、(d−1)、(d−5)、(d−13)、(d−34)、(d−38)、(d−41)、(f−31)、(f−34)、(g−12)、(g−20)又は(g−21)で表される2価の芳香族基が好ましく、式(a−3)、(a−14)、(b−6)、(b−22)、(b−34)、(b−35)、(c−1)、(d−34)、(d−38)、(d−41)、(f−34)、(g−12)、(g−20)又は(g−21)で表される2価の芳香族基がより好ましく、式(b−6)、(b−34)、(c−1)、(d−38)、(d−41)、(f−34)又は(g−12)で表される2価の芳香族基がさらに好ましく、式(b−6)、(b−34)、(c−1)、(d−38)又は(d−41)で表される2価の芳香族基が特に好ましい。
本発明において、導電材料の表面に有機物を吸着させる方法としては、該導電材料の分散液に該有機物を混合し、得られた混合物を攪拌する方法が例示できる。
<振動層>
本発明において、振動層としては、アクリルエラストマー、シリコンエラストマー、ウレタンエラストマーなどのエラストマーを含む層を用いることもできるが、圧電性を有する層を用いることが好ましい。
圧電性を有する層としては、例えば、圧電性を有する高分子化合物を含む層が挙げられる。圧電性を有する高分子化合物を含む層において、該高分子化合物の含量は、好ましくは50重量%以上(例えば、50〜100重量%)、より好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90〜100重量%)である。
圧電性を有する高分子化合物としては、シアノビニリデンとビニルアセテートとの交互共重合体又はL型ポリ乳酸も選択できるが、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)(即ち、下記式(F−1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体)、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体(即ち、下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位とからなる共重合体。)、又はこれらの組み合わせ(即ち、ポリビニリデンフルオリドおよびビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体の組成物)であることが好ましく、PVDFであることがより好ましい。下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、下記式(F−2)、(F−3)、(F−4)、(F−11)、(F−12)、(F−21)、(F−22)、(F−31)又は(F−32)で表される繰り返し単位が好ましく、(F−2)、(F−3)、(F−11)、(F−21)又は(F−31)で表される繰り返し単位がより好ましく、(F−2)で表される繰り返し単位がさらに好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体において、下記式(F−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対し80モル%以下(例えば、0モル%超80モル%以下)が好ましく、50モル%以下(例えば、0モル%超50モル%以下)がより好ましく、30モル%以下(例えば、0モル%超30モル%以下)がさらに好ましい。前記共重合体が下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−2)で表される繰り返し単位とからなる共重合体である場合、両繰り返し単位のモル比は、70:30〜90:10であることが好ましく、80:20であることがより好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体が下記式(F−1)で表される繰り返し単位と下記式(F−3)で表される繰り返し単位とからなる共重合体である場合、両繰り返し単位のモル比は、70:30〜90:10であることが好ましく、80:20であることがより好ましい。ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体は、ビニリデンフルオリドとトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンなどとのラジカル重合で得られる。また、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体は、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから購入することもできる。
Figure 0005866222
圧電性を有する層の圧電性を強くするためには、該層にポーリング処理(層の上下方向に電場を加えること)又は延伸処理(特に一軸延伸処理)を施すことが好ましい。
圧電性を有する層は(株)クレハトレーディングのKFピエゾフィルム(一軸延伸PVDFフィルム)として購入することができる。
<その他の構成要素>
本発明の装置において、電極層(第一電極層及び第二電極層)は振動層と直接接していることが好ましいが、第1電極層と振動層との間に機能層があってもよいし、第2電極層と振動層との間に機能層があってもよい。該機能層としては、電極層と振動層とを接着する接着層、本発明の装置の機械的強度を高める支持層、電極を保護する保護層、音を大きくするための補助層などが挙げられる。ただし、これらの層の厚さは100μm以内が好ましく、30μm以内がより好ましく、10μm以内がさらに好ましい。
本発明の装置において第1電極層及び第2電極層の外側(即ち、振動層とは反対側)には、上記と同じ機能層があってもよい。特に保護層があることが好ましい。第1電極層上にある保護層と第2電極層上にある保護層は接着されているか、又は一体となって、本発明の装置全体を包むことが、導電材料の脱落を防ぐために好ましい。
本発明の装置において第1電極層及び第2電極層はそれぞれ、周囲又は一部に補助電極が取り付けられていることが好ましい。これにより電極層間の電界強度を均一にすることができる。補助電極は銅、銀、金、鉄、ステンレス、はんだ、真鍮などの金属及びこれら金属の2種以上からなる合金を素材とした、テープ、フォイル、導線が好ましく、導電性のある炭素繊維または樹脂によって第1電極層又は第2電極層に接着されていてもよい。金属(好ましくは銀)の粒子を含む導電性ペースト(例えば藤倉化成(株)のドータイト)を塗布して補助電極とすることもできる。はんだを直接つけて補助電極とすることもできるが熱による振動層の変形が起こるので好ましくない。
本発明の一実施形態において、第1電極層及び第2電極層はそれぞれ、少なくとも1本の導線と接続される。接続には銅、銀、金、鉄、ステンレス、はんだ、真鍮などの金属及びこれら金属の2種以上からなる合金を素材とした、テープ、フォイル、ワニ口クリップを用いることが好ましく、導電性のある炭素繊維又は樹脂によって導線が第1電極層又は第2電極層に接着されていてもよい。金属(好ましくは銀)の粒子を含む導電性ペースト(例えば藤倉化成のドータイト)を塗布して接続を行うこともできる。補助電極を用いる場合は補助電極と導線を接続することが好ましい。このとき、第1電極層又は第2電極層に取り付けられた補助電極が複数存在する場合は、それぞれ個別に導線と接続されていることが好ましい。
本発明の他の一実施形態において、導線はさらに、制御部と接続される。本発明の装置をスピーカーとして使用する場合、制御部は、例えば、外部からの信号を電圧信号に変換し、その電圧信号を前記装置に入力することにより該装置を振動させる。一方、本発明の装置をマイクロフォンとして使用する場合、制御部は、前記装置が受信した音(振動)から発生する電圧変動を信号に変換し、外部へと出力する。
本発明の装置をスピーカーとして使用する場合は、該装置を湾曲させて使用すると発生する音が大きくなるので好ましい。
<作製方法>
本発明の装置の作製方法の一例を記載する。振動層の一方の面に第1電極層を作製する。同様に振動層の他方の面に第2電極層を作製する。第1電極層及び第2電極層の少なくとも一方は、例えば、導電材料を含む液状混合物を振動層の表面に塗布することで作成することができる。必要に応じて、補助電極を作成し、導線と接続することで、本発明の装置が完成する。
上記液状混合物は、少なくとも1種の溶媒を含む。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール溶媒、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール等のフッ素化アルコール、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒が例示される。
これらの中でも、導電材料の分散安定性を向上させるためには、上記の多価アルコール及びその誘導体、アルコール溶媒又はフッ素化アルコールが好ましく、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールがより好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールがさらに好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノールが特に好ましい。
上記液状混合物において溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよいが、一種単独で用いることが好ましい。液状混合物中における溶媒の割合は40重量%から99.99重量%が好ましく、70重量%から99.99重量%がより好ましく、90重量%から99.99重量%がさらに好ましく、95重量%から99.99重量%が特に好ましい。
導電材料を含む液状混合物は、導電材料の表面に吸着させる有機物を含むことができる。有機物の割合は該液状混合物において40重量%以下(例えば、0重量%超40重量%以下)が好ましく、10重量%以下(例えば、0重量%超10重量%以下)がより好ましく、3重量%以下(例えば、0重量%超3重量%以下)がさらに好ましく、1重量%以下(例えば、0重量%超1重量%以下)が特に好ましい。導電材料の割合は該液状混合物において40重量%から0.01重量%が好ましく、10重量%から0.01重量%がより好ましく、5重量%から0.01重量%がさらに好ましい。また、導電材料と導電材料の表面に吸着させる有機物との割合は、導電材料を100重量%とした場合、0重量%超30重量以下であることが好ましく、0.01重量%超20重量以下であることがより好ましく、0.1重量%超10重量以下であることが更に好ましい。
液状混合物を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等が挙げられる。
本発明の装置の別の作製方法としては、例えば、塗布法により別個に作製した電極層をラミネート法により振動層の両面に張り合わせる方法が挙げられる。
[スピーカー]
本発明のスピーカーは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を含む。本発明のスピーカーでは、音と電気信号とを相互変換する前記の装置が該装置に加えられた電気信号を音に変換し、音が発生する。
[マイクロフォン]
本発明のマイクロフォンは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を含む。本発明のマイクロフォンでは、音と電気信号とを相互変換する前記の装置が該装置に加えられた音(振動)を電気信号に変換する。
[ディスプレイ]
本発明のディスプレイは、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明のディスプレイは、例えば、上記の装置を、ディスプレイ(ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイなど)に貼り付けることで得ることができる。上記の装置は、単独のディスプレイに貼り付けても、テレビ中に組み込まれた状態のディスプレイに貼り付けてもよい。有機エレクトロルミネッセンスディスプレイがフレキシブルであっても、上記の装置を該ディスプレイに貼り付けることができる。有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを積層によって作製し、さらに、得られた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ上に本発明の装置を積層によって形成してもよい。この場合は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイと本発明の装置とにおいて電極を共有することもできる。本発明の装置は、持ち運びできるテレビ、持ち運びできるパソコン、ポータブルゲーム機、ポータブル情報端末機、携帯電話、携帯音楽再生機のディスプレイにも貼り付けることができる。また、本発明の装置は、自動車、電車、飛行機、船に搭載されたディスプレイ(操縦用、通信用又は娯楽用)にも貼り付けることができる。
本発明のディスプレイにおいて、本発明の装置はスピーカー及びマイクロフォンの少なくとも一方として用いてもよい。即ち、本発明の一実施形態において、本発明のディスプレイは、本発明のスピーカー、本発明のマイクロフォン、又はこれらの組み合わせを有するディスプレイである。
[太陽電池]
本発明の太陽電池は、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明の太陽電池は、例えば、上記の装置を、太陽電池(シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池など)に貼り付けることで得ることができる。色素増感太陽電池又は有機薄膜太陽電池がフレキシブルであっても、上記の装置を該太陽電池に貼り付けることができる。これらの太陽電池を積層によって作製し、さらに、得られた太陽電池上に本発明の装置を積層によって形成してもよい。この場合は太陽電池と本発明の装置とにおいて電極を共有することもできる。
本発明の太陽電池において、本発明の装置はスピーカー及びマイクロフォンの少なくとも一方として用いてもよい。即ち、本発明の一実施形態において、本発明の太陽電池は、本発明のスピーカー、本発明のマイクロフォン、又はこれらの組み合わせを有する太陽電池である。
[窓]
本発明の窓は、音と電気信号とを相互変換する本発明の装置を有する。本発明の窓は、例えば、上記の装置を、窓(ガラス製、アクリルなどの樹脂製)に貼り付けることで得ることができる。窓がフレキシブルであっても、上記の装置を該窓に貼り付けることができる。窓は、住宅やオフィスビルなどの窓に限らず、ショーウィンドウの透明板、博物館、動物園、水族館等の展示物と観覧者をしきる透明板、メガネ、お面、ゴーグルなどの透明又は半透明部分を含む。
本発明の窓において、本発明の装置はスピーカー及びマイクロフォンの少なくとも一方として用いてもよい。即ち、本発明の一実施形態において、本発明の窓は、本発明のスピーカー、本発明のマイクロフォン、又はこれらの組み合わせを有する窓である。
<導電材料の合成例>
エチレングリコール1Lをフラスコに入れ、乾燥させた空気をバブリングさせながら、150℃に加熱して、2時間攪拌した。空気のバブリングを止め、フラスコ内を窒素気流下にして、塩化銅(II)二水和物の1mMエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングしたもの)48mLを加え、15分間150℃で攪拌した。その後、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量55000、シグマアルドリッチジャパン(株)製)の16.7g/Lエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングしたもの)450mLを加えて混合し、反応液が150℃に戻るのを待ってから、硝酸銀の100mMエチレングリコール溶液(予め窒素でバブリングし、100℃に加熱したもの)450mLを滴下した。その後、150℃でさらに2時間攪拌した後、反応液を室温まで冷却した。該反応液の一部を取り出して、5〜10倍体積量のアセトンに滴下して沈殿を生成した。デカンテーションにより沈殿を取り出し、少量のメタノールに分散させて再度5〜10倍体積量のアセトンに滴下して沈殿を生成した。この操作(即ち、沈殿の取り出し、メタノール中での分散、及び沈殿の生成)を3回繰り返し、銀のナノワイヤーを得た。走査型電子顕微鏡により、このナノワイヤーは、太さ(d)が0.05〜0.15nmで、長さ(l)が数μm〜数10μmであることが確認された。各ナノワイヤーにおいて、長軸方向の各点における短軸方向の寸法の最大値と最小値との比は1.3以下であった。l/dには分布があった。
銀のナノワイヤーを沈殿物として取り出し、乾燥させることなく、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(OFP)に分散させ、銀のナノワイヤーを2重量%の濃度で含むOFP分散液を調製した。
<合成例1>(高分子化合物P−3の合成)
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン52.5g(0.16mol)、サリチル酸エチル154.8g(0.93mol)及びメルカプト酢酸1.4g(0.016mol)を容量3000mLのフラスコに入れ、窒素ガスで置換した。該フラスコに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、得られた混合物を75℃で終夜撹拌した。得られた混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄した固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させて、ろ別した。得られた固体(62.7g)、3,6,9−トリオキサデシルオキシ−p−トルエンスルホネート86.3g(0.27mmol)、炭酸カリウム62.6g(0.45mmol)及び1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(「18−クラウン−6」と呼ばれることもある。) 7.2g(0.027mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670mL)に溶解させ、得られた溶液をフラスコに移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、フラスコに氷水を加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、得られたクロロホルム溶液を濃縮することで、下記式で表される化合物B(51.2g)を得た。収率は31%であった。
Figure 0005866222
アルゴンガス置換した容量1000mLのフラスコに、化合物B(15g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.8g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.5g)、酢酸カリウム(9.4g)及びジオキサン(400mL)を入れて混合し、110℃に加熱して、10時間加熱還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。反応混合物をメタノールで3回洗浄した。沈殿物をトルエンに溶解させ、溶液に活性炭を加えて攪拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、下記式で表される化合物D(11.7g)を得た。
Figure 0005866222
アルゴンガス置換した容量100mLのフラスコに、化合物B(0.55g)、化合物D(0.61g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(シグマアルドリッチジャパン(株)製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)及びトルエン(10mL)を入れて混合し、105℃に加熱した。この温度に反応液を維持しながら、該反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。得られた反応液に4−tert−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、さらに6時間還流させた。その後、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。得られた混合溶液を、室温下のメタノール300mL中に滴下し、次いで1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下し、次いで1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下し、次いで30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過により固体として得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、乾燥することにより、高分子化合物(以下、「高分子化合物P−3」という)を520mg得た。
H−NMRの測定結果から、高分子化合物P−3は、下記式で表される構造単位を有することが確認された。
Figure 0005866222
Figure 0005866222
高分子化合物P−3のGPCで測定されたポリスチレン換算の数平均分子量は5.2×104であった。なお、上記式中のnは該数平均分子量と式中の構造単位の式量から66と決定された。
<合成例2>(高分子化合物P−4の合成)
合成例1で得られた高分子化合物P−3(200mg)を容量100mLのフラスコに入れ、窒素ガスで置換した。テトラヒドロフラン(20mL)及びエタノール(20mL)を添加し、それらの混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることにより、下記式:
Figure 0005866222

で表される構造を有する高分子化合物(以下、「高分子化合物P−4」という)を150mg得た。H−NMRスペクトルにより、高分子化合物P−3内に存在したエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。なお、上記式中、nは66である。
高分子化合物P−4を17mgとり、OFP1.05gに溶解させ溶かし、高分子化合物P−4のOFP溶液を作成した。
<装置の作製例>
上記の銀のナノワイヤーのOFP分散液9.06gと、上記の高分子化合物P−4のOFP溶液1.05gを混合し、塗布溶液を作製した。このときの組成は、銀のナノワイヤーが1.7重量%で高分子化合物P−4が0.17重量%であった。
クレハ社のKFピエゾフィルム(厚さ200μm)をB6サイズに切り取り、両面の全面にエアーブラシを用いて上記の塗布溶液を塗布し、常温気流下で乾燥させ、第1電極層および第2電極層とした。このときの電極層の1cm距離の電気抵抗は2×10−4Ωであった。このフィルムの両面のおのおのにおいて、各辺との間隔を5mmとして全周囲に幅およそ5mmで藤倉化成(株)のドータイトを塗布し、気流下で乾燥させ、補助電極とした。このようにして作製した本発明の装置の表裏の補助電極にワニ口クリップで導線を取り付けた。2本の導線間での導電性がないことをテスターで確認し、それらの導線をトランスとアンプから構成された制御部に接続した。制御部はさらに音楽再生機(東芝社製デジタルオーディオプレイヤーMEG203)に接続した。音楽再生機で音楽を再生すると、前記装置から明瞭に音楽が発声された。この装置は補助電極の部分を除いて透明であり、しなやかに屈曲することができ、前記装置を屈曲させた状態ではさらに明瞭に音楽が発声された。以上から、本装置は透明フレキシブルスピーカーとして機能することが示された。
上記の装置から制御部をとりはずし、2本の導線を音声録音機(オリンパス社製ICレコーダーVN−480PC)に接続し、装置に向かって声を発した。音声録音機には音声が明瞭に録音されていた。したがって本装置は透明フレキシブルマイクロフォンとしても機能することが示された。
上記の装置を(株)アスカのラミネーター専用フィルムではさみ、ラミネーターでラミネートした。これを制御部に接続して音楽を再生すると、明瞭に音楽が発声された。この装置は補助電極の部分を除いて透明であり屈曲することができ、前記装置を屈曲させた状態ではさらに明瞭に音楽が発声された。さらにラミネーター専用フィルムは保護層として機能し、電極層の導電材料の脱落を防止することができた。以上から、本装置は透明フレキシブルスピーカーとして機能することが示された。
本発明の装置は透明フレキシブルスピーカーおよび透明フレキシブルマイクロフォンとして機能し、その透明性は十分に高いためディスプレイ及び窓に貼っても、それらを通してそれぞれ画像及び景色を見ることができ有用である。また、屈曲性が高いため、フレキシブルディスプレイに貼り付けることにも応用できる。

Claims (8)

  1. 第1電極層、
    第2電極層、及び
    該第1電極層と該第2電極層との間に位置する振動層
    を有し、
    該第1電極層及び該第2電極層の少なくとも一方が、化合物、又はこれらの組み合わせからなる導電材料を含み、
    該導電材料の形状は、太さ(d)が1nm〜1μmで、長さ(l)と太さとの比(l/d)が1.5以上の柱状である、
    音と電気信号とを相互変換する装置。
  2. 前記第1電極層が前記導電材料を含む場合、該第1電極層において該導電材料の量が10重量%以上であり、
    前記第2電極層が該導電材料を含む場合、該第2電極層において該導電材料の量が10重量%以上である、
    請求項1に記載の装置。
  3. 前記導電材料が銀ナノワイヤー、銀ナノロッド、又は銀ナノワイヤーと銀ナノロッドとの組み合わせである、請求項1または2に記載の装置。
  4. 芳香環を主鎖に有する高分子化合物が、前記導電材料の表面に吸着している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記振動層が、圧電性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記振動層が、
    ポリビニリデンフルオリド、ビニリデンフルオリドとこれと共重合可能な単量体との共重合体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置を含むスピーカー。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置を含むマイクロフォン。


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