以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、断面図であってもハッチングを施さない場合がある。
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態の照明装置1の構造について説明する。
本発明の第1実施形態の照明装置1は、例えば自動車などの前方を照明する前照灯として用いられるものである。照明装置1は図1に示すように、励起光であるレーザ光を出射する励起光源2と、励起光源2が固定される放熱部材3と、励起光源2の前方に配置された導光部材4と、レーザ光(励起光)が照射される蛍光部材5と、蛍光部材5を支持する支持部材6と、蛍光部材5から出射した蛍光を照明装置1の外部に向かって反射する反射部材7と、反射部材7の前端に固定されるベゼル8と、蛍光を透過して照明装置1の外部に出射する透光部材9と、レーザ光通過面上の結露を除去する結露対処装置20(第1結露対処装置)とを備える。本実施形態では、反射部材7、ベゼル8および透光部材9などにより、本体部30が形成されている。本体部30内には空間S1が形成されている。
なお、レーザ光通過面とは、レーザ光が通過する面を意味し、本実施形態では、励起光源2のレーザ光出射面、導光部材4のレーザ光入射面4aおよびレーザ光出射面4b、蛍光部材5の照射面5aがレーザ光通過面である。また、本実施形態では、結露対処装置20は上記レーザ光通過面のうちの導光部材4のレーザ光出射面4b上の結露を除去する。
励起光源2は半導体レーザであり、半導体レーザ素子(図示せず)と半導体レーザ素子が搭載されるパッケージとによって構成されている。励起光源2は例えば約380nm〜約460nmの中心波長を有するレーザ光を出射するように構成されている。励起光源2は本体部30の外部に配置されている。
放熱部材3は例えば金属ブロックにより形成されており、励起光源2で発生した熱を放熱する機能を有する。放熱部材3は必要に応じて設けられるものであり、既存の部材で代用してもよい。
導光部材4は励起光源2から出射したレーザ光を蛍光部材5まで導く機能を有する。本実施形態では、導光部材4は例えば光ファイバにより形成されている。
導光部材4のレーザ光入射面4a側の部分は、励起光源2に固定されている。導光部材4のレーザ光入射面4aと励起光源2のレーザ光出射面とを密封するように、固定部材10が設けられている。導光部材4と励起光源2との接続部は、レーザ光の光路上に結露が生じないように形成されている。例えば、導光部材4のレーザ光入射端面4aと励起光源2のレーザ光出射面との間に透明な固定部材10が充填されていてもよい。また、導光部材4をピグテールファイバにして、導光部材4と励起光源2とをピグテール接続してもよい。この場合にも、導光部材4のレーザ光入射面4aと励起光源2のレーザ光出射面とを密封して、導光部材4と励起光源2との接続部におけるレーザ光の光路上に結露が生じないようにすることが可能である。なお、本明細書において、密封とは、気体の出入りができないように封をすることを言う。
導光部材4のレーザ光出射面4b側の部分は、反射部材7の後述する導入部7bに挿入されており、レーザ光出射面4bは本体部30内に配置されている。導光部材4は導入部7bに隙間なく挿入されていることが好ましい。
また、レーザ光出射面4bは蛍光部材5のレーザ光が照射される照射面5aから所定の距離を隔てて配置されている。これにより、蛍光部材5の照射面5aから出射した光が導光部材4のレーザ光出射面4bに再度入射するのを抑制することが可能であるので、光の利用効率が低下するのを抑制することが可能である。
蛍光部材5は、本体部30内に配置されており、レーザ光(励起光)が照射されることにより蛍光を出射する機能を有する。また、蛍光部材5は励起光の波長よりも長波長の中心波長を有する蛍光を出射する。蛍光部材5は、例えば青紫色のレーザ光を赤色光、緑色光および青色光にそれぞれ変換する3種類の蛍光体(図示せず)を含んでいる。そして、蛍光部材5から出射する赤色光、緑色光および青色光の蛍光が混色されることによって、白色の照明光が得られる。なお、蛍光部材5は、例えば青色のレーザ光の一部を黄色光に変換する1種類の蛍光体を含んでいてもよい。そして、黄色光と、蛍光部材5により散乱された青色光とが混色されることによって、白色の照明光が得られてもよい。蛍光部材5は、蛍光体をガラスや樹脂などに混ぜて固めたものや、蛍光体粒子を加圧または焼結したものなどを用いることが可能である。
支持部材6は、蛍光部材5の側面5bを保持する保持部6aと、ベゼル8に取り付けられる棒状の複数の取付部6bとを含んでいる。保持部6aは、蛍光部材5の側面を直接保持してもよいし、接着層などを介して保持してもよい。取付部6bは反射部材7に取り付けられていてもよい。
また、支持部材6は金属やグラファイトなどの熱伝導率の高い材料により形成されている。支持部材6は、蛍光部材5で発生した熱をベゼル8、反射部材7や図示しない金属ブロック等に放熱するように構成されている。
反射部材7は蛍光部材5から出射した光(蛍光や散乱光)を外部に向かって反射する機能を有する。反射部材7の反射面7aは凹状に形成されており、例えば放物面の一部を含むように形成されている。また、反射面7aの焦点を含む領域に、蛍光部材5の照射面5aが配置されている。また、反射部材7の所定の位置(例えば頂点)には、励起光源2から出射したレーザ光(励起光)を導入するための導入部7bが形成されている。反射部材7は金属や樹脂により形成されている。反射部材7を樹脂により形成する場合、反射面7aは金属膜などにより形成されていてもよい。
ベゼル8は例えば円筒状に形成されており、ボルト11やネジ(図示せず)などを用いて、反射部材7の前端に固定されている。ベゼル8は金属や樹脂により形成されている。ベゼル8の内面8aは、光を反射する機能を有する反射面で形成されていることが好ましい。
透光部材9は、レンズ(例えば平凸レンズ)からなり、ガラスや樹脂などにより形成されている。透光部材9はベゼル8の内面8aに固定されている。透光部材9の外面とベゼル8の内面8aとの間には、図示しない接着部材が設けられていてもよい。
結露対処装置20は、励起光源2が本動作する前に、導光部材4(レーザ光の光路上に配置される部材)のレーザ光出射面4b(レーザ光通過面)上の結露を除去するプレ動作を行うように構成されている。なお、励起光源2の本動作とは、照明光を得るために励起光源2がレーザ光を出射する動作のことを言う。結露対処装置20は、加熱機能を有するヒータ21と、ヒータ21の動作を制御する制御部22とを含んでいる。
ここで、導光部材4のレーザ光出射面4b側の外周面上には図1および図2に示すように、熱伝導層12(熱伝導部)が形成されている。熱伝導層12はレーザ光出射面4bまで形成されている。また、熱伝導層12はヒータ21に接続されており、ヒータ21で発生した熱をレーザ光出射面4bまで伝える機能を有する。
熱伝導層12は、例えば金属線をメッシュ状にしたものであってもよいし、導光部材4の表面上に導電性膜を形成したものであってもよい。また、熱伝導層12の外面と反射部材7の導入部7bの内面との間には、樹脂などからなる絶縁部材13が設けられている。これにより、熱伝導層12から反射部材7に熱が逃げるのを抑制することが可能である。
また、熱伝導層12の外面を覆うように絶縁性の樹脂など(図示せず)がコーティングされていてもよい。このように構成すれば、熱伝導層12が水滴などにより腐食するのを防止することが可能である。なお、熱伝導層12の外面が絶縁性の樹脂などによりコーティングされている場合や、反射部材7が樹脂などにより形成されている場合は、絶縁部材13は設けられていなくてもよい。
ヒータ21は導光部材4のレーザ光出射面4bに近づけて配置されることが好ましい。このように構成すれば、ヒータ21で発生した熱を早くレーザ光出射面4bに伝えることが可能である。ヒータ21を本体部30内に配置することも可能であるが、ヒータ21による光の吸収や意図しない方向への光の反射を防ぐために、ヒータ21は本体部30の外部に配置されていることが好ましい。
制御部22は図1に示すように、図示しない電力供給部を介してヒータ21に接続されており、ヒータ21の動作(オンオフ)を制御するように構成されている。また、制御部22は必要に応じて、自動車のエンジンスタートスイッチや、ドアロックスイッチや、ドア開閉スイッチまたはドア開閉検知センサや、ボンネットスイッチ(またはエンジンフードスイッチ)などに接続されている。そして、制御部22は、運転者がエンジンをオンした時や、運転者が運転座席に座りドアをロックした時や、運転者が自動車に乗り込むためにドアロックを解除した時や、ドアがロックされていない状態で運転席のドアが開いた時や、運転者または作業者がメンテナンスのためにボンネット(またはエンジンフード)を開けた時などに、ヒータ21をオン(プレ動作を開始)するように構成されている。
また、制御部22は必要に応じて、タイマーや、外気温を測定する温度センサーや、本体部30内の温度を測定する温度センサーなどに接続されている。例えば、制御部22は一定時間(例えば数秒〜10秒程度)経過後にヒータ21をオフ(プレ動作を終了)するように構成されていてもよい。また、制御部22は本体部30内の温度が所定温度(例えば20℃〜30℃)以上になるとヒータ21をオフするように構成されていてもよい。また、制御部22は本体部30内の温度が外気温に比べて所定温度(例えば5℃〜10℃程度)高くなるとヒータ21をオフするよう構成されていてもよい。すなわち、ヒータ21はプレ動作を所定時間行うように構成されていてもよい。また、ヒータ21はレーザ光出射面4bの周囲の温度が所定温度になるまでプレ動作を行うように構成されていてもよい。また、ヒータ21はレーザ光出射面4bの周囲の温度が外気温に比べて所定温度以上高くなるまでプレ動作を行うように構成されていてもよい。
また、制御部22は必要に応じて、本体部30内の相対湿度を測定する湿度センサや、導光部材4のレーザ光出射面4b上の水滴を検知する水滴検知センサに接続されていてもよい。そして、制御部22は本体部30内の相対湿度が例えば95%以下になるとヒータ21をオフするように構成されていてもよい。また、制御部22はレーザ光出射面4b上の水滴が無くなるとヒータ21をオフするように構成されていてもよい。
なお、制御部22は、例えば運転者がエンジンをオンした場合であっても、上述したヒータ21をオフする条件を満たしている場合には、ヒータ21をオンしなくてもよい。すなわち、レーザ光出射面4bに結露が生じていない場合には、プレ動作を行わなくてもよい。
励起光源2は結露対処装置20のプレ動作が終了するまで本動作しないように構成されている。制御部22は励起光源2の動作も制御するように構成されていてもよい。
本実施形態では、上記のように、励起光源2が本動作する前に、レーザ光の光路上に配置される導光部材4のレーザ光出射面4b上の結露を除去するプレ動作を行う結露対処装置20を備える。これにより、レーザ光出射面4b上の結露を除去するプレ動作を行った後に、励起光源2を本動作させることができる。このため、レーザ光がレーザ光出射面4b上の水滴により意図しない方向に反射や屈折されて規定ビーム光路から逸脱するのを、抑制することができる。その結果、所望の照明光が得られなくなったり、レーザ光が照明装置1の外部に出射して人間の眼に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
また、導光部材4のレーザ光出射面4b上の結露を除去することによって、レーザ光が蛍光部材5に照射される前に規定ビーム光路から逸脱するのを抑制することができるので、特に効果的である。
また、上記のように、結露対処装置20はレーザ光出射面4bを温めるためのヒータ21を含む。これにより、レーザ光出射面4b上の結露を容易に除去することができる。
また、上記のように、励起光源2から出射したレーザ光を蛍光部材5まで導く導光部材4を備える。これにより、励起光源2から出射したレーザ光を蛍光部材5に容易に導くことができる。
また、上記のように、導光部材4の表面には、ヒータ21で発生した熱を導光部材4のレーザ光出射面4bまで伝える熱伝導層12が設けられている。これにより、ヒータ21で発生した熱を導光部材4のレーザ光出射面4bまで容易に伝えることができる。これにより、レーザ光出射面4b上の結露をより容易に除去することができる。
また、上記のように、反射部材7に導入部7bを設けることによって、励起光源2から出射したレーザ光を本体部30内に容易に導入することができる。
また、上記のように、ヒータ21は、プレ動作を所定時間行ってもよい。また、ヒータ21は、レーザ光出射面4bの周囲の温度が所定温度になるまでプレ動作を行ってもよい。また、ヒータ21は、レーザ光出射面4bの周囲の温度が外気温に比べて所定温度以上高くなるまでプレ動作を行ってもよい。いずれの場合にも、レーザ光出射面4b上の結露を容易に除去することができる。
また、上記のように、導光部材4を導入部7bに隙間なく挿入すれば、導入部7bから本体部30内にごみなどが侵入するのを防止することができる。これにより、レーザ光がごみなどに当たって規定ビーム光路から逸脱するのを、抑制することができる。
また、上記のように、結露対処装置20は、ドアのロックや、ドアのロック解除や、ドアの開閉に連動して、プレ動作を開始する。これにより、運転者が照明装置1をオンする前に結露を除去することができるので、特に有効である。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の照明装置101では図3に示すように、加熱機能を有するヒータ121と、ヒータ121の動作を制御する制御部122とを含む結露対処装置120(第1結露対処装置)が設けられている。本実施形態では、結露対処装置120は、励起光源2が本動作する前に、蛍光部材5(レーザ光の光路上に配置される部材)の照射面5a(レーザ光通過面)上の結露を除去するプレ動作を行うように構成されている。
ヒータ121は蛍光部材5を温める機能を有する。ヒータ121は支持部材6の取付部6bに熱的に接続されており、ヒータ121で発生した熱は支持部材6を介して蛍光部材5に伝えられる。
また、制御部122は上記第1実施形態の制御部22と同様に構成されている。例えば、制御部122は必要に応じて、本体部30内の相対湿度を測定する湿度センサや、蛍光部材5の照射面5a上の水滴を検知する水滴検知センサに接続されていてもよい。そして、制御部122は本体部30内の相対湿度が例えば95%以下になるとヒータ121をオフするように構成されていてもよい。また、照射面5a上の水滴がなくなるとヒータ121をオフするように構成されていてもよい。
第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、結露対処装置120は、蛍光部材5の照射面5a上の結露を除去する。これにより、レーザ光が蛍光部材5の照射面5a上の水滴により反射されて規定ビーム光路から逸脱するのを抑制することができる。
また、熱伝導率の高い部材は熱伝導率の低い部材よりも先に温度が低下するので、熱伝導率の高い部材の表面に結露が生じやすい。本実施形態では、蛍光部材5周辺には放熱性を良くするために熱伝導率の高い支持部材6を用いているため、支持部材6周辺に結露が生じやすい。このため、水滴が支持部材6から蛍光部材5に流れ、レーザ光が水滴により反射されて規定ビーム光路から逸脱する可能性がある。また、反射部材7が金属製の場合、反射部材7の内面(反射面7a)に結露が生じやすくなる。この場合、反射部材7の内面(反射面7a)に付着した水滴が、蛍光部材5に落ちて、レーザ光が規定ビーム光路から逸脱する可能性がある。本実施形態では、上記のように、蛍光部材5の照射面5a上の結露を除去することができるので、熱伝導率の高い部材を例えば蛍光部材5周辺などに用いた場合であっても、レーザ光が規定ビーム光路から逸脱するのを抑制することができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
この第3実施形態では図4に示すように、導光部材204がレンズにより形成されている場合について説明する。
本発明の第3実施形態の照明装置201は、励起光源2と、放熱部材3と、励起光源2の前方に配置された導光部材204と、蛍光部材5と、蛍光部材5を支持する支持部材206と、蛍光部材5から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材207と、蛍光を透過して照明装置201の外部に出射する透光部材209と、レーザ光通過面上の結露を除去する結露対処装置220(第1結露対処装置)とを備える。本実施形態では、反射部材207、後述する透光部材214、支持部材206および透光部材209により、本体部230が形成されている。本体部230内には空間S201が形成されている。なお、本実施形態では、励起光源2のレーザ光出射面、導光部材204のレーザ光入射面およびレーザ光出射面、後述する透光部材214のレーザ光入射面およびレーザ光出射面、蛍光部材5の照射面5aがレーザ光通過面である。
導光部材204は、レンズ(例えば両凸レンズ)により形成されている。導光部材204は本体部230の外部に配置されている。
支持部材206は金属や樹脂により形成すること可能であるが、少なくとも蛍光部材5の周辺部分(保持部206a)は金属などの熱伝導率の高い材料により形成されている。保持部206aは、蛍光部材5で発生した熱を支持部材206全体や図示しない金属製の部材等に放熱するように構成されている。また、支持部材206の内面(空間S201を形成する面)206bは、光を反射する機能を有する反射面で形成されていることが好ましい。
反射部材207は蛍光部材5から出射した蛍光を照明装置201の外部に向かって反射する機能を有する。反射部材207の反射面207aは例えば放物面の一部を含むように形成されており、放物面をその頂点と焦点とを結ぶ軸(放物面の回転軸)に平行な面で分割したような形状に形成されている。また、反射部材207の所定の位置には、励起光源2から出射したレーザ光(励起光)を導入するための導入部207bが形成されている。
この導入部207bには、少なくともレーザ光(励起光)を透過する透光部材214(第1透光部材)が設けられている。この透光部材214は例えば石英、その他の無機ガラスや、樹脂により形成されている。また、透光部材214は蛍光部材5から出射した蛍光を反射するように構成されていてもよい。このように構成すれば、蛍光が励起光源2側に戻るのを防止することが可能となるので、光の利用効率を向上させることが可能である。
透光部材209は例えば平板状のガラスや樹脂などにより形成されている。透光部材209はレンズにより形成されていてもよい。透光部材209は反射部材207および支持部材206に固定されている。
結露対処装置220は、加熱機能を有するヒータ221と、ヒータ221の動作を制御する制御部222とを含んでいる。
ヒータ221は透光部材214を温める機能を有する。ヒータ221と透光部材214とを熱伝導部材(図示せず)により熱的に接続し、ヒータ221で発生した熱を透光部材214に伝えてもよい。また、ヒータ221の近くに送風機を設け、ヒータ221で発生した熱を送風することにより透光部材214の表面(レーザ光通過面)を温めてもよい。
なお、ヒータ221は、透光部材214だけでなく導光部材204の表面(レーザ光入射面およびレーザ光出射面)や励起光源2のレーザ光出射面も温めるように構成されていてもよい。また、ヒータ221は導光部材204の表面または励起光源2のレーザ光出射面だけを温めるように構成されていてもよい。照明装置201の構造、材質、配置場所等により、結露しやすい部分が異なるためである。
また、制御部222は上記実施形態の制御部と同様に構成されている。例えば、制御部222は必要に応じて、本体部230内の相対湿度を測定する湿度センサや、透光部材214の表面(レーザ光入射面やレーザ光出射面)上の水滴を検知する水滴検知センサに接続されていてもよい。そして、制御部222は本体部230内の相対湿度が例えば95%以下になるとヒータ221をオフするように構成されていてもよい。また、透光部材214の表面上の水滴がなくなるとヒータ221をオフするように構成されていてもよい。
第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、結露対処装置220は、透光部材214や導光部材204などの表面(レーザ光通過面)上の結露を除去する。これにより、レーザ光が蛍光部材5に照射される前に規定ビーム光路から逸脱するのを抑制することができるので、特に効果的である。
また、上記のように、導入部207bにはレーザ光を透過する透光部材214が設けられている。これにより、導入部207bから本体部230内にごみなどが侵入するのを防止することができる。これにより、レーザ光がごみなどに当たって規定ビーム光路から逸脱するのを、抑制することができる。
また、上記のように、透光部材214は石英やその他の無機ガラスで形成されていてもよい。石英やその他の無機ガラスは樹脂に比べて熱伝導率が高い。このため、透光部材214の表面に結露が生じやすい。本実施形態では、上記のように、透光部材214の表面上の結露を除去することができるので、熱伝導率の高い部材を例えば透光部材214として用いた場合であっても、レーザ光が規定ビーム光路から逸脱するのを抑制することができる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の照明装置301では図5に示すように、加熱機能を有するヒータ321と、ヒータ321の動作を制御する制御部322とを含む結露対処装置320(第1結露対処装置)が設けられている。本実施形態では、結露対処装置320は、励起光源2が本動作する前に、蛍光部材5の照射面5a上の結露を除去するプレ動作を行うように構成されている。
ヒータ321は蛍光部材5を温める機能を有する。ヒータ321は支持部材206の保持部206aに熱的に接続されており、ヒータ321で発生した熱は支持部材206を介して蛍光部材5に伝えられる。
また、制御部322は上記実施形態の制御部と同様に構成されている。
第4実施形態のその他の構造は、上記第3実施形態と同様である。
第4実施形態の効果は、上記第2および第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態の照明装置401では図6に示すように、熱伝導層412(熱伝導部)は導光部材4のレーザ光出射面4bからレーザ光入射面4aまで形成されている。
本実施形態では、励起光源2はヒータを兼ねており、励起光源2および制御部422によって結露対処装置420(第1結露対処装置)が構成されている。
制御部422は、図示しない電力供給部を介して励起光源2に接続されており、励起光源2のプレ動作および本動作を制御するように構成されている。また、制御部422は、励起光源2のプレ動作時の出力が本動作時の出力に比べて十分低くなるように励起光源2を制御する。本実施形態では、規定ビーム光路上に結露が生じた状態で励起光源2からレーザ光が出射されるが、このプレ動作時において励起光源2の出力は十分に低いので、レーザ光の一部が規定ビーム光路から逸脱したとしても人間の眼に悪影響を及ぼすのを十分に防止することが可能である。
第5実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、励起光源2がヒータを兼ねることにより、ヒータを別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができるとともに、照明装置401を小型化することができる。また、励起光源2のプレ動作時の出力を、励起光源2の本動作時の出力に比べて低くすることによって、高出力のレーザ光が照明装置401の外部に出射するのを防止しながら、励起光源2を用いてプレ動作を行うことができる。
第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態の照明装置501では図7に示すように、加熱機能を有するヒータ521と、ヒータ521の動作を制御する制御部522とを含む結露対処装置520(第2結露対処装置)が設けられている。
ヒータ521は反射部材7の反射面7aを温める機能を有する。反射部材7が金属製である場合は、反射部材7の外面を温めることにより反射面7aを温めることが可能である。反射部材7が樹脂製である場合は、反射面7aを例えば金属膜により形成し、金属膜に熱が伝わるようにヒータ521を設けることによって、反射面7aを温めることが可能である。
制御部522は上記実施形態の制御部と同様に構成されている。例えば、結露対処装置520は、励起光源2が本動作する前に、反射部材7の反射面7a上の結露を除去するプレ動作を行うように構成されている。なお、反射部材7の反射面7aには人間の眼に悪影響を及ぼすレーザ光は到達しないので、結露対処装置520の動作を励起光源2の本動作と同時に開始してもよい。
結露対処装置520はベゼル8や透光部材9(第2透光部材)も温めるように構成されていてもよいし、反射部材7ではなくベゼル8または透光部材9だけを温めるように構成されていてもよい。また、結露対処装置20が結露対処装置520を兼ねてもよい。この場合、部品点数を削減することが可能であるとともに、照明装置501を小型化することが可能である。
第6実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、反射部材7や透光部材9などの表面上の結露を除去する動作を行う結露対処装置520を備える。これにより、蛍光が反射部材7や透光部材9などの表面上の水滴により反射されたり屈折されたりするのを防止することができるので、所望の照明光が得られなくなるのを抑制することができる。
第6実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第7実施形態)
この第7実施形態の照明装置601では図8に示すように、励起光源2、導光部材204およびヒータ221を覆うように、カバー部材615が設けられている。カバー部材615は反射部材207に取り付けられている。カバー部材615は、励起光を遮光する機能を有しており、例えば樹脂や金属により形成されている。なお、制御部222はカバー部材615の外部に配置されていてもよいし、内部に配置されていてもよい。
第7実施形態のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、励起光源2や導光部材204を覆うカバー部材615を設けることによって、導光部材204などの表面で結露が生じ、レーザ光が規定ビーム光路から逸脱した場合であっても、レーザ光が照明装置601の外部に出射するのを容易に防止することができる。
第7実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、本発明の照明装置を自動車の前照灯に用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置を、飛行機、船舶、ロボット、バイクまたは自転車や、その他の移動体の前照灯に用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の照明装置を前照灯に適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置をダウンライトまたはスポットライトや、その他の照明装置に適用してもよい。また、本発明の照明装置を、反射部材が設けられていない例えば電球型の照明装置に適用してもよい。
また、上記実施形態では、励起光を可視光に変換した例について示したが、本発明はこれに限らず、励起光を可視光以外の光に変換してもよい。例えば、励起光を赤外光に変換する場合には、セキュリティ用CCDカメラの夜間照明装置などにも適用可能である。
また、上記実施形態では、白色光を出射するように、励起光源および蛍光部材を構成した例について示したが、本発明はこれに限らない。白色光以外の光を出射するように、励起光源および蛍光部材を構成してもよい。
また、上記実施形態では、レーザ光を出射する励起光源として、半導体レーザを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ以外の励起光源を用いてもよい。
また、上記実施形態では、反射部材の反射面を放物面の一部により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、反射面を例えば楕円面の一部により形成してもよい。この場合、蛍光部材の照射領域を反射面の焦点に位置させることにより、照明装置から出射する光を容易に集光することができる。また、反射面を多数の曲面(例えば放物面)からなるマルチリフレクタや、多数の微細な平面が連続して設けられた自由曲面リフレクタなどにより形成してもよい。
また、例えば上記第3、第4および第7実施形態では、導入部207bに透光部材214を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、導入部207bに透光部材214を設けなくてもよい。また、上記第7実施形態のようにカバー部材615を設ければ、透光部材214を設けない場合であっても、導入部207bから本体部230内にごみなどが侵入するのを防止することができる。
また、上記実施形態では、導光部材として光ファイバやレンズを用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。導光部材として反射鏡などを用いてもよく、光ファイバ、レンズおよび反射鏡などを複数組み合わせて用いてもよい。なお、導光部材は必要に応じて設けられるものであり、例えば図9に示した本発明の第1変形例の照明装置701のように、励起光源2を蛍光部材5の近傍に配置する場合は無くてもよい。この照明装置701では、本体部230内に励起光源2および蛍光部材5が配置されている。
また、上記実施形態では、結露対処装置にヒータを設けた例について示したが、本発明はこれに限らない。結露対処装置にヒータを設けず、例えば除湿器や送風機を設けてもよい。この場合にも、結露を除去することが可能である。
また、上記実施形態では、反射部材に導入部が設けられている例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば第3実施形態の支持部材206に導入部を設けることも可能である。
また、上記実施形態では、レーザ光通過面上に生じた結露を除去する例について示したが、本発明はこれに限らない。結露対処装置を常時オン状態にして、レーザ光通過面上に結露が生じること自体を防止することも可能である。
また、例えば図10に示した本発明の第2変形例の照明装置801のように、蛍光部材5から離れた位置に、熱伝導率の高い材料からなるゲッター部材816を設けてもよい。このゲッター部材816は、支持部材206の保持部206aと同等以上の高い熱伝導率を有することが好ましい。このように構成すれば、保持部206aよりも先に、ゲッター部材816に結露が生じるので、保持部206aに結露が生じるのを抑制することができる。また、ゲッター部材816は照明装置801の下部に設けられていることが好ましい。また、支持部材206の内面206bに凹部206cを形成し、その凹部206c内にゲッター部材816を配置することが好ましい。このように構成すれば、ゲッター部材816の表面に生じた水滴が他の部分に移動するのを抑制することができる。また、ゲッター部材816は照明装置801の外部に露出していてもよい。このように構成すれば、ゲッター部材816の温度を容易に、例えば保持部206aよりも先に低下させることができる。
また、レーザ光通過面に表面処理を施してもよい。レーザ光通過面上に例えば酸化チタン薄膜を設ければ、酸化チタンは親水性であるので、レーザ光通過面上の水が濡れ広がりやすくなる。このため、レーザ光が意図しない方向に屈折されるのを抑制することができる。また、レーザ光通過面上に細かい水滴が生じるように表面処理を施してもよい。このように構成すれば、ヒータ等により水滴を蒸発させやすくできる。
また、例えば上記第1実施形態では、ヒータ21で発生した熱をレーザ光出射面4bに伝えるように、導光部材4の表面に熱伝導層12を設けた例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、レーザ光出射面4bの近傍に発熱部(抵抗など)を設け、発熱部に接続するように導光部材4の表面に配線層を形成してもよい。そして、配線層を介して発熱部に電力を供給することにより発熱部を発熱させ、レーザ光出射面4b上の結露を除去してもよい。この場合、配線層および発熱部を覆うように絶縁性の樹脂などをコーティングすれば、配線層や発熱部が水滴により短絡するのを容易に防止することが可能である。
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、導光部材のレーザ光出射面および蛍光部材の照射面の表面上の結露を除去してもよい。また、例えば、第1実施形態と第6実施形態とを組み合わせて、導光部材のレーザ光出射面および反射部材の反射面の表面上の結露を除去してもよい。これらの場合、共通の結露対処装置を1つだけ設けてもよい。また、例えば、第3実施形態と第5実施形態とを組み合わせて、励起光源で発生した熱により透光部材の表面上の結露を除去してもよい。