JP5864142B2 - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導シートの製造方法に関する。
本発明に係る熱伝導シートは、例えば、CPU(中央処理装置)やGPU(グラフィック処理装置)等の高放熱性を必要とする半導体装置に適用される。
CPUやGPU等に使用される半導体素子(チップ)は、配線基板(パッケージ)上に電気的に接続されて固定されている。かかる半導体素子はその動作時にかなり高温になるので、その動作時に発する熱を大気に放出するための放熱部品(例えば、銅(Cu)等の金属製のヒートスプレッダ)をチップ上に配置している。その際、チップとヒートスプレッダの間に、TIM(サーマル・インタフェース・マテリアル)と呼ばれる材料を挟んで熱的に結合させている。
かかる熱インタフェース材(TIM)には高熱伝導性が要求されるため、その一つとして、インジウム(In)が使用されている。例えば、インジウムのシートをヒートスプレッダと半導体素子(チップ)の間に挟み、インジウムの融点(156.6℃)以下の温度で硬化する樹脂材(接着剤)を用いて、いったんヒートスプレッダと、チップを実装しているパッケージとを固定する。その後、インジウムの融点以上の温度でリフローを行い、加圧しながら溶融したインジウムの厚さをコントロールして、ヒートスプレッダとチップを接合させている。
かかる従来技術に関連する技術の一例は、下記の特許文献1に記載されている。この文献には、インジウムのシート内に銅の繊維を分散させた熱伝導体が開示されている。
特開2004−238646号公報
上述したように現状の技術では、半導体素子(チップ)とヒートスプレッダの間に熱インタフェース材(TIM)としてインジウムが用いられているが、以下の課題があった。
先ず、インジウムは銅に比べて熱伝導率が約1/5(銅の398W/m・Kに対し、インジウムは81.6W/m・K)と低いため、放熱経路のボトルネックとなり得る。すなわち、ヒートスプレッダには高放熱性が要求されるため熱伝導性の高い銅が用いられることが多いが、TIMとして用いられるインジウムは、このヒートスプレッダ(銅)の一部分に接触しているにすぎない。このため、放熱経路全体として見たときに熱源に近い部分での熱抵抗が他の部分と比べて高くなるため、全体的な熱伝導性が低下することになる。
また、ヒートスプレッダとチップを接合させる際に(アセンブリ時)、インジウムのシートをチップとヒートスプレッダの間に挟み込み、熱を加えて接着させている。このとき、インジウムは液状化するため、加圧しながらインジウム(シート)を所要の厚さにコントロールするのが難しい。
さらに、インジウムはレアアースであるため、コスト的な変動があり(比較的高価)、例えば、国際的な取引問題が発生した場合に安定した入手が困難になるなどの影響を受けるおそれがある。
以上に鑑み、熱伝導性を更に高めることができる熱伝導シートの製造方法を提供することを目的とする。
さらに、アセンブリ時のシート厚の調整を容易に行えるとともに、コストの低減に寄与することができる熱伝導シートの製造方法を提供することを目的とする。
以下の開示の第1の観点によれば、第1の金属材と第2の金属材とがシート状に複合成形され、前記第2の金属材が前記第1の金属材よりも高い熱伝導性を有していることを特徴とする熱伝導シートが提供される。
また、第2の観点によれば、上記の第1の観点に係る熱伝導シートにおいて、前記第1の金属材がインジウムのシートであり、前記第2の金属材がインジウムよりも高い融点を有する金属の粒粉であり、該金属の粒粉が前記インジウムのシート中に包含されていることを特徴とする熱伝導シートが提供される。
また、第3の観点によれば、第1の金属材と、該第1の金属材よりも高い熱伝導性を有する第2の金属材とを用意すること、加熱手段及び加圧手段を用いて、前記第1の金属材と前記第2の金属材とを複合しシート状に成形すること、を含むことを特徴とする熱伝導シートの製造方法が提供される。
また、第4の観点によれば、上記の第3の観点に係る熱伝導シートの製造方法において、前記第1の金属材としてインジウムのシートを、前記第2の金属材としてインジウムよりも高い融点を有する金属の粒粉をそれぞれ用意し、次に加熱ローラにより、前記インジウムのシートを溶融した状態で、該溶融したインジウムのシート中に前記金属の粒粉を混入させ、次に加圧ローラにより、前記金属の粒粉が混入されたインジウムのシートを所要の厚さに成形する、ことを特徴とする熱伝導シートの製造方法が提供される。
上記の第1及び第3の観点に係る熱伝導シート及びその製造方法によれば、第1の金属材(例えば、インジウム)に、この第1の金属材よりも熱伝導性の高い第2の金属材(例えば、銅など)が複合されているので、全体的な熱伝導性が上がり、熱抵抗が下がる。
また、上記の第2及び第4の観点に係る熱伝導シート及びその製造方法によれば、第1の金属材(インジウム)が溶融する温度でも第2の金属材(金属の粒粉)の融点には達しないため、アセンブリ時において圧縮に対するシート厚の調整を容易に行える。
また、第2の金属材(金属の粒粉)として銅を使用した場合、熱インタフェース材(TIM)として使用する量(ボリューム)が同じであれば、インジウム単体の場合と比べて銅の価格は低いため、コストダウンにも寄与する。
第1の実施形態に係る熱伝導シートの構成を示したもので、(a)は熱伝導シートの断面構造を示す図、(b)は熱伝導シートを斜視的に見たときの構造を概略的に示す図である。 図1に示す熱伝導シートの一変形例に係る構成を示したもので、(a)は熱伝導シートの断面構造を示す図、(b)は熱伝導シートを斜視的に見たときの構造を概略的に示す図である。 図1(図2、図7)に示す熱伝導シートを用いて半導体装置を構成した場合の一例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る熱伝導シートを製造するための装置の構成を概略的に示す側面図である。 図4の製造装置に用いられるステージの構造を斜視的に見たときの外観図である。 図5のステージを用いてめっき付銅粒粉を整列させて下流側に送り出している様子を模式的に示す上面図である。 第2の実施形態に係る熱伝導シートの構成を示す断面図である。 第2の実施形態に係る熱伝導シートを製造するための装置の構成を概略的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態…図1〜図6参照)
図1は第1の実施形態に係る熱伝導シートの構成を示したものであり、(a)はその熱伝導シートの断面構造、(b)はその熱伝導シートを斜視的に見たときの構造を概略的に示している。
本実施形態に係る熱伝導シート10は、インジウム(In)のシート12中に、インジウムよりも高い熱伝導性及び高い融点を有する金属粒粉16が多数混入されて形成されている。
金属粒粉16は、その形状が球状であり(図1(b))、銅(Cu)粒粉14の表面にめっき層15が被着された構造(図1(a))を有している。このめっき層15は、インジウムとの密着性を高めるための金(Au)めっき層を含んでいる。さらに、このAuめっき層と銅(Cu)粒粉14との間にバリヤメタル層としてのニッケル(Ni)めっき層を含んでいる。つまり、めっき層15はNi/Auの2層構造からなっている。
以下の記述において、めっき層15が被着された銅粒粉14(金属粒粉16)を、便宜上、「めっき付銅粒粉」とも呼ぶことにする。
本実施形態の熱伝導シート10において、インジウムのシート12中に包含される多数のめっき付銅粒粉16は、図1(b)に概略的に示すように、整列させた状態(つまり、均一な密度)で混入されているのが好ましい。このように整列させた状態でめっき付銅粒粉16が包含されていると、熱伝導シート10を熱インタフェース材(TIM)として利用したときに(図3参照)、熱伝導性の良い銅(Cu)の部分を通る熱量が相対的に大きくなるため、TIM全体としての放熱性が高められる。
また、インジウムのシート12中にめっき付銅粒粉16を整列させた状態で混入させておくことにより、後述するようにアセンブリ時のシート厚をコントロールする際にその調整が行い易くなるという点で有利である。
本実施形態では、インジウムのシート12中に混入させる金属粒粉16の素材として銅粒粉14を用いているが、所要の属性(インジウムよりも高い熱伝導性及び高い融点)を有した金属であれば十分である。例えば、銀(Ag)の粒粉を使用してもよい。
図2は第1の実施形態(図1)の一変形例に係る熱伝導シートの構成を示したものであり、(a)はその熱伝導シートの断面構造、(b)はその熱伝導シートを斜視的に見たときの構造を概略的に示している。
この変形例の熱伝導シート10aは、上述した実施形態の熱伝導シート10(図1)と比べて、インジウムのシート12中に包含されるめっき付銅粒粉16aの形状が直方体もしくは立方体の形状(図2(b))である点で相違する。他の構成(銅粒粉14aの表面にめっき層(Ni/Au)15aを被着させている点、めっき付銅粒粉16aを整列させた状態で混入させている点)については、上述した実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
図3は、図1に示す熱伝導シート10(図2に示す熱伝導シート10a、図7に示す熱伝導シート60)を用いて半導体装置を構成した場合の一例を断面図の形態で示したものである。
図3に示す半導体装置40において、20は放熱対象とされる半導体素子(チップ)を示し、この半導体素子(チップ)20は、能動素子等の回路が形成されている側の面(回路形成面)を下にして配線基板(パッケージ)22上に実装されている。このパッケージ22とチップ20との接続(接合)部分については具体的な図示を省略しているが、この部分の構成は、一般的なプリント配線板等にチップをフリップチップ実装した場合の構成と同じである。
例えば、パッケージ22として樹脂基板(プラスチックパッケージ)を用いた場合、その樹脂基板のソルダレジスト層から露出するパッド(ソルダレジスト層で覆われた配線層の所要の箇所に画定される部分)に、チップ20の電極端子をはんだバンプ等を介して電気的に接続する(フリップチップ接続)。さらに、その実装されたチップ20とパッケージ22との隙間にアンダーフィル樹脂(熱硬化性のエポキシ系樹脂等)を充填し、熱硬化させて機械的に接合する。
30は金属製のヒートスプレッダを示し、半導体素子(チップ)20が動作時に発する熱を大気に放出するためのものである。このヒートスプレッダ30には、その材料として銅(Cu)が用いられ、さらにその表面にニッケル(Ni)めっきが施されている。ヒートスプレッダ30は、その主要部分(放熱を担う部分)が板状に成形されており(板状部30a)、この板状部30aの周囲に側壁部30bが一体的に形成された構造を有している。この側壁部30bは、平面視すると、チップ20の外形(方形)に合わせて方形のリング状に成形されている。ヒートスプレッダ30は、この側壁部30bを介して、固定用の樹脂(エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂)32により、パッケージ22上に固定されている。
また、熱インタフェース材(TIM)としての役割を果たす熱伝導シート10(10a,60)は、半導体素子(チップ)20の回路形成面と反対側の面と、ヒートスプレッダ30の板状部30aの内側(チップ20に対向する側)の面との間に、各面にそれぞれ接着された状態で介在している。つまり、熱伝導シート10(10a,60)を介してチップ20とヒートスプレッダ30は熱結合されている。
次に、第1の実施形態に係る熱伝導シート10(10a)を製造する方法について、図4〜図6を参照しながら説明する。
図4は第1の実施形態に係る熱伝導シートを製造するための装置の構成を側面から見たときの概略図である。また、図5はこの製造装置に用いられるステージの構造を斜視的に見たときの外観図、図6はこのステージを用いてめっき付銅粒粉を整列させて下流側に送り出している様子を模式的に示す上面図である。図4〜図6に示す実施形態では、図2に示す熱伝導シート10aを製造する場合を例示している。
図4に示すように、製造装置50は、ステージ51と、バイブレータ52と、供給ローラ53と、加熱ローラ54と、加圧ローラ55と、巻取りローラ56とを備えている。
ステージ51は、第1ステージ51aと第2ステージ51bに分かれ、一体的に形成されている(図5参照)。バイブレータ52は、ステージ51の第1ステージ51aの下方側に配置され(図4参照)、その振動部52Sを介して第1ステージ51aに適当な振動を与えるためのものである。
供給ローラ53には、インジウムのシート12Aがロール状に巻回されている。このインジウムのシート12Aは、例えば、厚さが100μm程度で、幅が22mm程度に選定されている。このインジウムのシート12Aの幅は、半導体素子20(図3参照)の平面視したときのサイズ(縦×横の矩形)の縦又は横の寸法に対応している。
加熱ローラ54は、供給ローラ53の後段に配置され、ステージ51の第2ステージ51b上の加工対象物(インジウムのシート12A、めっき付銅粒粉16a)に接触可能に設けられている。この加熱ローラ54は、供給ローラ53から引き出されて移動されてくるインジウムのシート12Aを溶融する一方で、第2ステージ51b上を搬送されてくるめっき付銅粒粉16aを、その溶融したインジウム(シート)12A中に混入させるためのものである。このため、加熱ローラ54の温度は、少なくともインジウムの融点(156.6℃)を超える温度、例えば、170℃前後の温度に設定されている。この温度は、めっき付銅粒粉16aの融点(銅:1083.4℃/ニッケル:1450℃/金:1064.4℃)よりもはるかに低い温度である。
加圧ローラ55は、加熱ローラ54の後段に配置され、第2ステージ51b上の加工対象物(インジウム(シート)12A中にめっき付銅粒粉16aが混入された状態のシート10A)に接触可能に設けられている。この加圧ローラ55は、加熱ローラ54によって一体化されたシート10Aを所要の厚さに成形するためのものである。
このようにして所要の厚さに成形された熱伝導シート10Aは、巻取りローラ56によって巻き取られる。この後、この熱伝導シート10Aを適当な長さにカットすることで、目的の熱伝導シート10a(図2)が得られる。
上述した方法では図2の熱伝導シート10aを製造しているが、図1に示す熱伝導シート10についても同様に、製造装置50(図4)を使用して製造することができる。
製造装置50(図4)において、ステージ51の第1ステージ51aは、インジウムのシート12A中に混入されるべきめっき付銅粒粉16aを貯留し、均一な密度に整列させて第2ステージ51b側に送り出すための部分として利用される。一方、第2ステージ51bは、加熱ローラ54によって一体化されたシート10Aを、加圧ローラ55と協働して所要の厚さにコントロールするための部分として利用される。このため、各ステージ51a,51bは、図5及び図6に示すように特定の形状に成形されている。
先ず、第1ステージ51aは、水平方向に配置された第2ステージ51bに対して、図5に示すように上方向に傾斜して設けられている。さらに、各ステージ51a,51bの周囲の部分(第2ステージ51bの出口側の部分を除く)には、上方に折り曲げ加工されたガイド51Gが設けられている。
第1ステージ51aを上方向に傾斜させることにより、この第1ステージ51a上に貯留されためっき付銅粒粉16aが、バイブレータ52(振動部52S)から与えられる振動によって第2ステージ51b側に移動し易くなる。また、第1ステージ51aのガイド51Gの存在により、貯留されためっき付銅粒粉16aが、バイブレータ52の振動に起因して第1ステージ51a上からこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、第2ステージ51bのガイド51Gの存在により、加熱ローラ54によって液状化したインジウム12A(めっき付銅粒粉16aが混入されている)が第2ステージ51b上からはみ出るのを防ぐことができる。
また、第1ステージ51aは、平面視したときに、図6に示すように第2ステージ51b側に向かう出口の部分(先端部)が先細りの形状となるように成形されている。このように先端部を細くすることにより、バイブレータ52の振動によってこの先端部に集められためっき付銅粒粉16aは、強制的に整列させられた状態で(つまり、均一な密度で)第2ステージ51b側に送り出される。
これにより、第2ステージ51b上で加熱及び加圧処理された際に、インジウムのシート12A中にめっき付銅粒粉16aを均等に分散配置させることができる。このようにインジウムのシート12A中にめっき付銅粒粉16aを均一な密度で混入させることで、熱伝導性にむらが生じない熱伝導シート10(10a)を製造することができる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る熱伝導シート10(10a)及びその製造方法によれば、インジウムのシート12中に、インジウムよりも高い熱伝導性を有するめっき付銅粒粉16(16a)が混入されているので、インジウム単体の場合と比べて、熱伝導性を更に高めることができる。つまり、熱伝導シート10(10a)全体としての熱伝導性が上がり、熱抵抗が下がる。
また、図3に例示したように熱伝導シート10(10a)を熱インタフェース材(TIM)として適用したときに(アセンブリ時)、インジウムが溶融する温度でもめっき付銅粒粉16(16a)の融点には達しないため、圧縮に対するシート厚の調整を容易に行うことができる。
また、熱インタフェース材(TIM)として使用する量(ボリューム)が同じであれば、インジウム単体の場合と比べて銅の価格は低いため、コストの低減に寄与することができる。
(第2の実施形態…図7、図8参照)
図7は第2の実施形態に係る熱伝導シートの構成を断面図の形態で示したものである。
この第2の実施形態の熱伝導シート60は、インジウム(In)のシート64が、インジウムよりも高い熱伝導性及び高い融点を有する銅(Cu)のシート62の両面にそれぞれ積層されて形成されている。つまり、熱伝導シート60は、In/Cu/Inの3層構造からなっている。銅のシート62の厚さは、インジウムのシート64の厚さよりも厚く選定されている。
以下、第2の実施形態の熱伝導シート60を製造する方法について、図8を参照しながら説明する。図8はその熱伝導シート60を製造するための装置の構成を側面から見たときの概略図である。
図8に示すように、製造装置70は、供給ローラ71、72及び73と、加熱ローラ74及び75と、加圧ローラ76及び77と、巻取りローラ78とを備えている。
供給ローラ71には、銅のシート62Aがロール状に巻回されている。この銅のシート62Aは、例えば、厚さが100μm程度で、幅が22mm程度に選定されている。この銅のシート62Aの幅は、半導体素子20(図3参照)の平面視したときのサイズ(縦×横の矩形)の縦又は横の寸法に対応している。
供給ローラ72及び73には、それぞれインジウムのシート64Aがロール状に巻回されている。このインジウムのシート64Aは、例えば、厚さが50μm程度で、幅が22mm程度(銅のシート62Aの幅と同じ)に選定されている。一方の供給ローラ72は上方側に配置され、他方の供給ローラ73は下方側に配置されている。
加熱ローラ74及び75は、それぞれ対応する供給ローラ74及び75の後段に配置され、加工対象物(銅のシート62A、インジウムのシート64A)に接触可能に設けられている。加熱ローラ74及び75は、供給ローラ71から引き出されて移動されてくる銅のシート62Aの両面に、供給ローラ72,73からそれぞれ引き出されて移動されてくるインジウムのシート64Aを重ね合わせ、熱接着させるためのものである。このため、加熱ローラ74,75の温度は、上述した第1の実施形態の場合と同様に、170℃前後の温度に設定されている。
加圧ローラ76及び77は、それぞれ対応する加熱ローラ74及び75の後段に配置され、加工対象物(熱接着された3層構造(In/Cu/In)のシート60A)に接触可能に設けられている。加圧ローラ76及び77は、加熱ローラ74及び75を通して一体化されたシート60Aを所要の厚さに成形するためのものである。
このようにして所要の厚さに成形された熱伝導シート60Aは、巻取りローラ78によって巻き取られる。この後、この熱伝導シート60Aを適当な長さにカットすることで、目的の熱伝導シート60(図7)が得られる。
第2の実施形態に係る熱伝導シート60 及びその製造方法によれば、インジウムよりも高い熱伝導性及び高い融点を有する銅のシート62を熱伝導シート60中に介在させているので、上述した第1の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
さらに、この第2の実施形態では、第1の実施形態で必要としたような、めっき付銅粒粉16(16a)をインジウムのシート12中で整列させる処理は不要である。これにより、熱伝導シート60を熱インタフェース材(TIM)として利用したときに(図3)、放熱の際の全熱量がこの銅のシート62を通ることになり、第1の実施形態のようにめっき付銅粒粉16(16a)の部分を通る場合と比べて、TIM全体としての放熱性をより一層高めることができる。
また、第1の実施形態の場合(インジウムのシート12中にめっき付銅粒粉16を整列させた状態で混入させる場合)と比べて、ベタ状の銅のシート62を介在させた方が、アセンブリ時のシート厚の調整がより一層行い易くなる。
上述した各実施形態では、熱インタフェース材(TIM)として、インジウムのシート12中にめっき付銅粒粉16,16aを包含させた形態(図1の熱伝導シート10、図2の熱伝導シート10a)、又は銅のシート62の両面をインジウムのシート64で挟み込んだ形態(図7の熱伝導シート60)を例にとって説明したが、TIMの形態がこれらに限定されないことはもちろんである。
例えば、第1の実施形態(図1、図2)の変形例として、めっき付銅粒粉16,16aの代わりに、カーボンナノチューブをインジウムのシート中に包含させるようにしてもよい。この場合、インジウムのシート中でカーボンナノチューブを熱伝導方向に配列させるのが好ましい。カーボンナノチューブは熱伝導性に優れており、また曲げ強度が非常に高いため、半導体素子の動作時の発熱によって起こり得る形状変化(反り)に柔軟に追従し得ることが期待される。このことは、高い熱伝導性の維持に寄与する。
10,10a,10A,60,60A…熱伝導シート、
12,12A,64,64A…インジウム(In)のシート、
14,14a…銅(Cu)の粒粉、
15,15a…めっき(Ni/Au)層、
16,16a…めっき付銅粒粉(金属粒粉)、
20…半導体素子(チップ)、
30…ヒートスプレッダ、
40…半導体装置、
50,70…(熱伝導シートの)製造装置、
51…ステージ、
62,62A…銅(Cu)のシート。

Claims (2)

  1. インジウムのシートからなる第1の金属材と、前記第1の金属材よりも高い熱伝導性を有し、かつ前記第1の金属材よりも高い融点を有する金属の粒粉からなる第2の金属材とを用意すること、
    バイブレータの振動によってステージの上に金属の粒粉を整列させること、
    加熱ローラにより、前記インジウムのシートを溶融した状態で、前記溶融したインジウムのシート中に前記ステージ上の前記金属の粒粉を混入させ、
    次に加圧ローラにより、前記金属の粒粉が混入されたインジウムのシートを所要の厚さに成形すること、を含むことを特徴とする熱伝導シートの製造方法。
  2. 前記第2の金属材として、その表面に金めっきが施された銅又は銀の粒粉を使用することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
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