JP5863893B2 - 歯科用ポスト - Google Patents

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Description

関連出願
本願は、日本国で2008年5月30日に出願した特願2008−143800の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
本発明は、歯科における支台築造の治療に際して歯根内部の根管に挿入するために用いられる歯科根管用ポスト成型品、すなわち歯科用ポストに関し、より詳細には、繊維強化複合材料(すなわち、ポリマーマトリックスと強化繊維との複合体、以下、繊維強化複合樹脂と称する場合がある)で形成された歯科用ポストに関する。
生活歯、失活歯を問わず、う蝕や外傷により失った実質欠損を補うために支台築造の治療が行われ、歯科用ポストが用いられる。このような歯科用ポストとしては、これまで成型加工が容易であるという観点から、金属から形成された歯科用ポストが用いられてきた。金属の成型加工が容易である観点から、このような金属製の歯科用ポストとしては、様々な形状のものが形成され、例えば、全長に渡って複数の横溝が形成されている形状のもの(特許文献1)、平滑な円錐状の下方端部分と、この下方端部分に隣接するねじ山部分と、このねじ山部分に隣接する方形形状部分とで構成されたスクリュータイプのもの(特許文献2)等が知 られている。
しかし、金属製の歯科用ポストは歯質そのものの弾性率の数倍〜数十倍も高い弾性率を有するため、これらの金属製の歯科用ポストを用いて支台築造の治療が行われた治療歯では、咬合力などの外力が治療歯に対してかかると、応力が金属製の歯科用ポストではなく、歯質に対して集中してしまい、その結果歯根が破折 される虞がある。
また、近年、金属製の歯科用ポストについては、金属に起因して発症する金属アレルギーについて危惧されているだけでなく、歯科用ポストの金属色がジャケットクラウンから透けてみえるなど、審美性の観点からも改善が求められている。
特開昭56−136542号 特開平09−201373号
本発明の目的は、金属アレルギーを引き起こすことなく、歯根破折のリスクを低減させる歯科用ポストを提供することである。
本発明の別の目的は、繊維強化樹脂から形成された歯科用ポスト(以下、ファイバーポストと称することがある)であっても、優れた引き抜き抗力および疲労耐久性を両立することができる歯科用ポストを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、予後における疲労耐久性を確保する一方で、再度根管を治療する必要が発生した場合であっても、ファイバーポスト自体を削って治療することができる歯科用ポストを提供することである。
本発明の他の目的は、挿入する際の操作性が良好であるとともに、引き抜き抗力に優れる歯科用ポストを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、まず、金属製の歯科用ポストに代えて、ファイバーポストを利用することについて検討を行ったところ、(1)ファイバーポストは、金属製の歯科用ポストに比較して、象牙質に近い弾性率を有することから歯根破折を起こしにくいという利点を有するが、その一方で、強化繊維樹脂の歯科用ポストは、支台築造に用いられる歯科セメントなどの合着材との接着性に欠けること、(2)合着材との接着性を向上させるためにねじ山を設けると、ねじ山は支台内部での歯科用ポストの保持力を増加させる一方で、ねじ山に起因して歯科用ポストの直径が減少し、歯科用ポストの強度を弱めてしまうことが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、更に検討を重ね、繊維で強化された樹脂製の歯科用ポストであっても、歯科用ポストの特定の位置に凹部を設けることにより、引き抜き方向の抗力を増加できるとともに、歯科用ポストに求められる強度を発揮することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、繊維強化複合材料で構成された歯科用ポストであって、前記歯科用ポストは、根管へ挿入する挿入先端部と、前記挿入先端部に隣接する支柱部とを備え、かつ前記歯科用ポストには、支柱部と反対側に位置する挿入先端部の末端から6mmの範囲内にのみ少なくとも1つの凹部が形成されている歯科用ポストである。
この歯科用ポストは、挿入先端部が、支柱部と反対側に位置する挿入先端部の末端に向かってテーパー付けられているテーパー部分を有していてもよい。また、前記凹部は、歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された一本以上の溝であってもよい。
前記歯科用ポストにおいて、凹部の深さ(D:単位mm)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R:単位mm)とが、下記式(1)を満たしていてもよい。
(D)=(R)×n (1)
(式中、nは0.03〜0.4である。)
また、凹部は、挿入先端部の軸長さ方向に沿った断面における凹部の開口幅(W)が0.03〜3.5mmであってもよい。
このような凹部の軸長さ方向に沿った断面形状は、楔状や矩形状など、さまざまな形状であってもよいが、例えば円弧状であるのが好ましい。
なお、本発明において、凹部とは、歯科用ポストの表面から、深さ12μm以上の部分を意味する。また、凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とは、歯科用ポストの軸長さ方向に直交する断面であって、凹部の支柱部側の開口端部と接する断面の直径を意味する。
本発明では、歯科用ポストを繊維強化複合材料から形成するとともに、歯科用ポストの先端部分の特定の位置に凹部を形成するため、引き抜き方向の抗力を増加させるとともに、歯根破折のリスクを低減することができる。さらに、金属に由来する金属アレルギーの発症を防止することができるだけでなく、金属色がジャケットクラウンから透けて見えるのも防止でき、審美性を確保することも可能である。
さらにまた、特定の形状を有する繊維強化樹脂で形成するため、予後における疲労耐久性を確保する一方で、再度根管を治療する必要が発生した場合であっても、ファイバーポスト自体を削って治療することができるため、歯質の欠損を少なくすることができる。
また、挿入先端部を支柱部と反対側の挿入先端部の末端に向かってテーパー付けることにより、歯科用ポストを根管の奥まで挿入できるので、引き抜き方向の抗力の低下を有効に防止することができる。さらに、歯科用ポストを挿入する際の操作性に優れる。
また、凹部を特定の形状にすることにより、支台における歯科用ポストの引き抜き抗力を、よりいっそう高めることができる。
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解される。図面は必ずしも一定の縮尺で示されておらず、本発明の原理を示す上で誇張したものになっている。また、添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一部分を示す。
本発明の一実施態様である歯科用ポストの軸長さ方向における断面図である。 図1の歯科用ポストを歯根内部の根管へ挿入している様子を説明するための概略図である。 本発明の別の実施態様である歯科用ポストの軸長さ方向における断面図である。 本発明の様々な実施態様の歯科用ポストにおける軸長さ方向に沿った凹部の断面形状を示す断面図である。 歯科用ポストの引き抜き抗力を測定するために用いる試料を作製する工程を説明する概略斜視図である。 図5で作製した試料を用いて、歯科用ポストの引き抜き抗力を測定する方法を説明する概略断面図である。 歯科用ポストの疲労耐久性を測定するために用いる試料を作製する工程を説明する概略斜視図である。 図7で作製した試料を用いて、歯科用ポストの疲労耐久性を測定する方法を説明するための概略断面図である。 比較例1の歯科用ポストにおける軸長さ方向に沿った凹部の断面形状を示す断面図である。 比較例2の歯科用ポストにおける軸長さ方向に沿った凹部の断面形状を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の歯科用ポストの軸長さ方向における断面図を示し、図2は、図1の歯科用ポストを歯根内部の根管へ挿入している様子を説明するための概略図を示す。
歯科用ポスト10は、繊維強化複合材料から形成され、支柱部12と挿入先端部14とを備えている。図1に示すように、挿入先端部14は、その末端18(すなわち、根管への挿入側)とは反対側において、支柱部12と隣接している。そして、歯科用ポストには、特定の箇所において少なくとも1つの凹部が形成されている。すなわち、歯科用ポストには、支柱部12と挿入先端部14との隣接部とは反対側に位置する挿入先端部14の末端18から6mmの範囲内にのみ、少なくとも1つの凹部が形成され、この実施態様においては、挿入先端部14において、平滑な円柱形状の壁面に、歯科用ポストの軸長さ方向に対して直交する横溝である凹部16が形成されている。一方で、支柱部12は、凹部を有することなく、平滑な円柱形状を有している。
図2に示すように、歯科用ポスト10は、挿入先端部14の末端18から、歯根1内部にある根管3へ挿入され、合着材5などを介して歯質に対して固定される。その際、凹部16が、歯科用ポストの末端18側から6mmの範囲内に形成されることにより、合着材5と歯科用ポスト10との接着性が向上し、歯科用ポストが予後に脱離するのを防止できる。
さらに、歯根1の界面7付近には、前記凹部が、歯科用ポストにおいて、末端18から6mmの範囲内にのみ形成されるため、たとえ、咬合による応力が界面7に集中した場合であっても、歯科用ポストの強度を維持し、支台歯と歯根界面の剥離を予防し、歯科用ポストとともに支台歯が破折するのを有効に防止できる。
図3には、別の実施態様の歯科用ポストの軸長さ方向における断面図が示されている。この歯科用ポスト20は、支柱部22と挿入先端部24を有しており、挿入先端部24が、歯科用ポスト20の末端28に向かってテーパー付けられている。テーパー部分を有することにより、歯科用ポストの根管へのフィット性を向上することができる。さらに、このようなテーパー部分を有すると、歯科用ポストを施術中に挿入しやすくなり、歯科用ポストの操作性が向上する。
図3の例では、テーパー部分が、挿入先端部24全体に対して形成されているが、必要に応じて、末端28に向かってテーパー付けられているテーパー部分は挿入先端部24の一部に形成されていてもよい。また、図3の例において、横溝状の凹部16は、テーパー部分25に設けられているが、挿入先端部がテーパー 部分と非テーパー部分から形成される場合、凹部は、テーパー部分に設けられてもよいし、非テーパー部分に設けられていてもよい。
支柱部と挿入先端部との長さの割合は、症例に応じて決定できるが、例えば、挿入先端部の長さは、支柱部の長さの1〜600%程度であってもよく、好ましくは3〜300%程度であってもよい。また、挿入先端部におけるテーパー部分は、挿入先端部の30〜100%程度であってもよく、好ましくは50%以上、より好ましくは80%程度であってもよい。
本発明では、根管へのポストの挿入深度が、通常10mm以上であることに鑑みて、歯科用ポストの強度と引き抜き抗力を確保するために、歯科用ポストには、支柱部と反対側に位置する挿入先端部の末端から6mmの範囲内にのみ少なくとも1つの凹部が形成される必要がある。なお、根管挿入深度の浅い症例にも対応するため、凹部は、歯科用ポストの前記末端から4mmの範囲内に形成されてもよく、より好ましくは3.5mmの範囲内に形成されてもよく、さらに好ましくは3mmの範囲内に形成されてもよい。
次に、挿入先端部に形成される凹部の形状について、詳述する。凹部の形状は、歯科用ポストと合着材との保持力を向上できる限り特に限定されず、穴状の窪みであってもよいし、歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された溝であってもよい。
凹部は、穴状の窪みであってもよいが、成形性及び合着材との保持力を向上させる観点から、歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向(好ましくは、直交方向)の周囲に設けられた一本以上の横溝であるのが好ましい。この場合、開口幅に応じて、横溝の本数は適宜決定することができるが、歯科用ポストとしての強度を保ちつつ、合着材との保持力を付与する観点から、横溝の本数は、1〜4本程度、好ましくは2〜3本程度であってもよい。
図2に示すように、このような凹部において、合着材との保持力を向上する観点から、歯科用ポストの軸長さ方向に沿った断面における凹部16の開口幅(W)は、例えば、0.03〜3.5mmであってもよく、好ましくは0.05〜3.3mm、より好ましくは1.0〜3.0mmであってもよい。
また、前記凹部の深さ(D:単位mm)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R:単位mm)とは、下記式(1)を満たしていてもよい。
(D)=(R)×n (1)
(式中、nは0.03〜0.4であり、好ましくは、0.05〜0.35である。)
なお、この式(1)は、凹部の深さが、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)の何パーセントであるかを示しており、「n×100」をパーセント表示した値として用いてもよい。
なお、支柱部の形状は、円柱状であっても、多角柱状であってもよく、支柱部の断面直径とは、例えば支柱部が円柱状である場合はその円の直径、また、支柱部が多角柱状である場合は、その多角形に内在できる円で最も直径が大きい円の直径を意味する。
支柱部の断面直径は、患部の状態に合わせ、例えば、0.5〜2.0mmの範囲から適宜選択することができ、好ましくは0.7〜1.8mm、より好ましくは0.8〜1.7mmであってもよい。
また、凹部が複数存在している場合、それぞれの凹部の開口幅(W)および深さ(D)は、必ずしも同一である必要はない。
凹部が溝状の形態である場合の、様々な変形例について図4を用いて詳述する。図4には、歯科用ポストの軸長さ方向に沿った凹部の断面形状が、円弧状である歯科用ポスト(a)、楔状である歯科用ポスト(b)および、矩形状である歯科用ポスト(c)の断面図が記載されている。歯科用ポストに形成される溝は、これらの形態のいずれであってもいいが、歯科用ポストの強度的な観点から、断面形状は、円弧状であるのが好ましい。
本発明において、最も大きな特徴の一つは、歯科用ポストが、繊維強化複合材料で構成されている点である。このような繊維強化複合材料は、弾性率が歯質と近似しているため、金属製の歯科用ポストで問題となっている歯根破折を防止できるだけでなく、金属アレルギー患者へも対応できる。さらに、再度根管を治療する必要が発生した場合であっても、切削が困難で除去し辛い金属製の歯科用ポストとは異なり、ファイバーポスト自体を容易に削ることが可能であるため、歯質の喪失を低減できる。さらには、金属色がジャケットクラウンから透過せず審美性にも優れている観点から好ましい。
このような繊維強化複合材料は、ポリマーマトリックスおよび強化繊維(例えば、ガラス繊維など)で構成される。
ポリマーマトリックスとしては、歯科用材料の技術分野において用いられる高分子材料である限り特に限定されず、歯科用ポストとしての強度を付与できる限り、熱(光)硬化性ポリマーであっても、熱可塑性ポリマーであってもよい。これらのポリマーマトリックスと強化繊維との複合化は、樹脂の種類に応じて、公知または慣用の方法により行われる。
熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリエステル、ポリカーボネート、スチレン、スチレン・アクリロニトリル樹脂、ABS樹脂、ポリイミド、ポリアリールエステル、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
熱(光)硬化性ポリマーとしては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、メラミン、シリコーン、フェノールなどが挙げられる。
これらのポリマーマトリックスのうち、熱(光)硬化性ポリマーが好ましく、とくに、(メタ)アクリル系モノマーをベースに用いる熱(光)硬化性ポリマー(例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステルなど)が含まれる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸モノマーおよび(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、これらの(メタ)アクリル系モノマーのうち、メタクリル酸モノマーが好ましい。
特に好ましい(メタ)アクリル系モノマーとしては、ビスフェノールAとグリシジルメタクリレートとの縮合生成物、2,2’−ビス[4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパンで、ポリウレタンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス[4−メタクリロイルオキシ(ポリエチレンオキシ)エトキシフェニル]プロパンなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系モノマーは、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
なお、本明細書において、熱(光)硬化性ポリマーとは、可視光硬化性タイプ、自己硬化性タイプ、二重硬化性タイプ、真空硬化性タイプ、加熱硬化性タイプおよび圧力硬化性タイプならびにそれらの任意の組合せを含むポリマーを意味している。
本発明に用いられるポリマーマトリックスには、普通、重合開始剤、重合促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、および当該技術分野で公知のその他の添加剤が含まれる。
可視光硬化性タイプには、通常の重合開始剤、重合促進剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等が含まれる。熱硬化性タイプおよび圧力硬化性タイプは、モノマー成分に加えて、ベンゾイルパーオキサイド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)の様な熱硬化開始剤、またはその他のラジカル開始剤が添加される。
さらに、本発明に用いられるポリマーマトリックスは、当該技術分野で公知であると共に歯科用修復材料に使用される少なくとも1種以上の充填剤を更に含んでもよい。
適切な充填剤は、ポリマーマトリックス自体に共有結合可能なものまたは両方に共有結合するカップリング剤に共有結合可能なものである。適切な充填材料の例には、シリカ、珪酸塩ガラス、石英、バリウム珪酸塩、ストロンチウム珪酸塩、バリウム硼珪酸塩、ストロンチウム硼珪酸塩、硼珪酸塩、リチウム珪酸塩、アモルファスシリカ、アンモニアと化合したまたは分離した燐酸カルシウム、アルミナ、ジルコニア、酸化錫およびチタニア等、特に限定されないが、当該技術分野で公知のものを使用することができる。
また、色調を調節するために、必要に応じて、ポリマーマトリックスに顔料を配合してもよい。顔料は酸化チタン、酸化鉄、レーキ顔料、アゾ系など、特に限定されないが、当該技術分野で公知のものを使用することができる。
強化繊維としては、ガラス繊維(EガラスやSガラスなど)、セラミック繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維などの無機繊維;カーボン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維などが挙げられるこれらの強化繊維は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
これらの強化繊維のうち、機械的強度の面で、ガラス繊維が好ましく、特に表1に記載されたガラス繊維が好ましい。
Figure 0005863893
繊維とポリマーマトリックスとの結合強度を上げて補強効果を大きくするため、繊維をシラン化、あるいはグラフト化官能モノマーなどで処理し、繊維と樹脂マトリックスとの間を適度に結合させる。シラン化により繊維は疎水性となり、水を吸収しにくくなって複合材料の加水分解安定性が向上する。
またシラン化により繊維は有機親和性となり、ぬれ性と混合性が向上して繊維とポリマーマトリックスとの結合性が向上する。シラン処理剤は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
さらに、繊維強化複合材料は、X線不透過性付与剤を含んでいてもよい。
X線不透過性付与剤は、例えば、カルシウム、バリウム、ビスマス、マグネシウム、および原子番号58〜71の希土類金属もしくはそれらの酸化物、炭酸塩、フッ化物または硝酸塩の様な当該技術分野で公知のものが含まれる。これらのX線不透過性付与剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
好ましいX線不透過性付与剤には、バリウム、ビスマス、ランタン、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、イッテルビウム、イットリウム、ジルコニウムまたは亜鉛の酸化物、炭酸塩、硝酸塩またはフッ化物が含まれ、より好ましいX線不透過性付与剤には、バリウム、ランタン、ストロンチウム、イッテルビウムまたはタンタルの酸化物、炭酸塩またはフッ化物が含まれる。
より詳細には、特に好ましいX線不透過性付与剤としては、BaO、(BiO)2CO3、La23、La2(CO33、SrO、SrCO3、SrF2、Ta25、TaF5、Y23、YF3、ZnO、ZrO、ZrCO3などが挙げられる。この中でも特に好ましいX線不透過性付与剤としては、フッ化イッテルビウム、次炭酸ビスマスが挙げられる。
強化繊維は、ポリマーマトリックスの強度および剛性を向上できる限り、様々な形状であってもよく、例えば、連続フィラメントであっても、適当なサイズに(例えば、3〜4mm程度)切断されたフィラメントなどであってもよい。また、フィラメントを用いる場合、不均一な長さのフィラメントの混合物であってもよいし、均一な長さのフィラメントであってもよい。
繊維強化複合材料は、通常、線形状である場合が多く、そのような線形状である場合、強化繊維の配列方向は、複合材料の最終用途に応じて、線形状の軸長さ方向に沿った縦方向に配列されてもよく、軸長さ方向に対して横方向や斜め方向に配向してもよい。
これらのうち、強化繊維による繊維強化複合材料の強度を向上させる観点から、強化繊維は、線形状の軸長さ方向に沿って少なくとも部分的に整列および配向されるのが好ましい。
本件の歯科用ポストは、ポリマーマトリックスの種類や、歯科用ポストに求められる最終的な形状に応じて、公知または慣用の方法で製造することができる。 このような方法には、マッチドダイ加工、オートクレーブ成形、レジンインジェクション成形(RIM)、レジントランスファー成形(RTM)、シート、ドウ及びバルク成形、プレス成形、射出成形、反応射出成形、圧縮成形、オープン成形、ハンドローリング、浸し塗り及び圧延、加圧成形、押出し成形、引き抜き成形、フィラメントワインディング成形などが含まれる。
また、歯科用ポストとしての最終的な形状は、その製造工程の間に同時に形成されてもよいし、または、予め略棒形の材料を作り、その後、研削、切削、スライス削りなどにより所望の形状と大きさに成形してもよい。
本発明の歯科用ポストは、根管の形状に応じて、1本〜3本程度の範囲内で自由に根管に挿入することができる。また、歯科用ポストは、あらかじめ他の歯科用材料と複合一体化した形にして根管に挿入してもよい。
さらに本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお以下で、実施例において用いられる試験方法、形状等を以下にまとめて示す。
[曲げ強さ (MPa)]
歯科用ポストの曲げ強さの測定には、万能測定装置オートグラフ(AG−100kNI:島津製作所製)を用いた。スパンは10mm、支点部分の距離rは2mmとし、支柱部の3点曲げを実施した。
クロスヘッドスピードは1.0mm/minとした。歯科用ポストの曲げ強さは1000MPa以上が好適とされる。
[引き抜き抗力 (N)]
歯科用ポストの引き抜き抗力を、下記に示すモデル系を用い、以下の手順で測定した。測定方法を図5および6を用いて説明する。
(A)まず、A工程において、支柱部102および挿入先端部104を備える歯科用ポスト100の表面をアルコールワッテで清掃し、次いで、クリアフィルセラミックプライマー(登録商標、クラレメディカル(株)製)を用いて表面を処理した。その一方で、中心に直径2mmの貫通した挿入孔107が開いている直径20mm×高さ15mmの円柱状ステンレス鋼ブロック106を用意し、この挿入孔107の内面をサンドブラスト処理(モリタ社製 JetBlastII 50μmアルミナ 0.35MPa)した。
(B)次いで、B工程においてサンドブラスト処理したステンレス鋼ブロック106の挿入孔107内に、パナビアF2.0(登録商標、クラレメディカル(株)製)を注入し、その中へ歯科用ポスト100を挿入先端部104側から深さ7mmまで挿入した。挿入後、パナビアF2.0を化学重合により硬化させ、室温にて約1時間放置した。
(C)C工程において、歯科用ポスト100の支柱部側102からポリエステルフィルム108をステンレス鋼ブロック106上面に被せた。その一方で、歯科用ポスト100を挿入するための直径4mm×深さ15mmの盲孔123が一端面に開いた直径7mm×高さ30mmの銅棒120を用意し、この盲孔123の内面をサンドブラスト処理した。なお、銅棒120の他端部には、引き抜き抗力を測定するための持ち手となる貫通孔122が存在している。
(D)D工程では、C工程においてサンドブラスト処理した銅棒120の盲孔123内に、パナビアF2.0(登録商標、クラレメディカル(株)製)を注入した。そして、その中へ歯科用ポスト100を支柱部102側から歯科用ポスト100残部がかぶさるように挿入し、パナビアF2.0を化学重合により硬化させ、引き抜き抗力を測定するための試料とした。
銅棒を装着した試料を37℃水中下で1日保存した後、図6に示すように、銅棒120の貫通孔122を持ち手として歯科用ポストを引き抜くための力を測定した。万能測定試験機オートグラフ(AG−100kNI:島津製作所製)を用いて、歯科用ポスト100がステンレス鋼ブロック106から引き抜かれるまで、一定のクロスヘッドスピード(2mm/min)で荷重負荷を与え、その間の最大荷重を引き抜き抗力とした。なお、歯科用ポストの引き抜き抗力は、100N以上が好適とされる。
[疲労耐久性 (回数)]
歯科用ポストの疲労耐久性を、下記に示すモデル系を用い、以下の手順で測定した。測定方法を図7および8を用いて説明する。
(A)まず、A工程において、支柱部102および挿入先端部104を備える歯科用ポスト100の表面をアルコールワッテで清掃し、次いでクリアフィルセラミックプライマー(登録商標、クラレメディカル(株)製)を用いて歯科用ポストの表面を処理した。
(B)次いでB工程において、中心に貫通孔131が開いた直径7mm×厚さ2mmのバイトンゴム製円板130を、歯科用ポスト100の支持部102側から通し、挿入先端部104側において、円板130の一方の表面130aから歯科用ポスト100が7mm突き出す位置で、円板130を固定した。
(C)C工程では、直径1.8mmの盲孔133が一端面に開いた直径7mmの銅棒132を用意し、この盲孔133の内面をサンドブラスト処理した後、盲孔133にパナビアF2.0(登録商標、クラレメディカル(株)製)を充填し、その中へ、円板130を固定した歯科用ポスト100を挿入先端部104側から挿入し、歯科用ポスト100の挿入伸度を7mmとした。挿入後、パナビアF2.0を化学重合により硬化させ、室温にて約1時間放置した。
(D)D工程では、剥き出しになっている歯科用ポスト100表面にクリアフィルDCボンド(登録商標、クラレメディカル(株)製)を塗布し、エアーブローした後、歯科用ハロゲン照射器(モリタ社製、ジェットライト3000)で10秒間光照射を行った。さらに、銅棒132の外径と同じ内径をもつ透明なプラスチックのパイプ134を残りのポスト部分が完全に隠れるように銅棒にかぶせ、充填器136からクリアフィルDCコアオートミックス(登録商標、クラレメディカル(株)製)138を充填した。
(E)次いで、技工用可視光線照射器(モリタ社製、αライトII)を用いて5分間光照射して、クリアフィルDCコアオートミックスを硬化させた後、プラスチックパイプ134を取り除いて荷重負荷部138を形成し、疲労耐久性を測定するための試料とした。
得られた試料を37℃雰囲気下で一日保存した後、室温空気中、この試料を繰り返し荷重疲労試験機サーボパルサー(EHF−LM10KN−4LA、島津製作所製)に供した。
図8に示すように、繰り返し荷重疲労試験では、試料を、試料の銅棒132側の端部を支点140として水平姿勢から20度の角度を付けて傾斜させ、銅棒132と円板130の界面(すなわち、円板130の銅棒132と接している表面130a)のうち、界面の最上部から5mmに位置する点を荷重点142として、荷重負荷部138の外側から50Nの負荷をかけた。振幅は1Hzとし、最小荷重は最大負荷荷重の1/10として繰り返し負荷をかけ、歯科用ポスト100が破壊するまで、または歯科用ポスト100が銅棒132から引き抜かれるまでの回数を測定した。なお、歯科用ポストの疲労耐久性の破断回数は5000回以上が好適とされる。
[製造例]
無機超微粒子(「AEROSIL130」シリカ:登録商標、日本アエロジル(株)社製)100重量部に対して、20重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、表面処理無機超微粒子(A)を得た。
2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン50重量部、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2− ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン35重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート15重量部に、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させた後、表面処理無機超微粒子(A)12重量部を混合分散させ、重合性単量体組成物(B)を得た。
Eガラスからなるガラス繊維(番手2400tex(g/km)、繊維径:11μm)70重量部に、重合性単量体組成物(B)30重量部を含浸させ、直径3mmの円柱状に成形し、加熱硬化させ、繊維強化複合材を得た。
(実施例1)
上述した製造例で得られた繊維強化複合材を、NC旋盤(COSMO ACE:(株)光畑製作所製)で切削加工し、支柱部が円柱状であるとともに、挿入先端部の全体が、支柱部と、反対側の挿入先端部の末端に向かってテーパー付けられている歯科用ポストを得た。この歯科用ポストには、歯科用ポストの軸長さ方 向に沿った凹部の断面形状が円弧状である横溝が形成されている。
より詳細には、挿入先端部は、歯科用ポストの支柱部と反対側の挿入先端部の末端から6mmであり、前記歯科用ポストの支柱部の直径は1.24mmであ り、歯科用ポストの全体の長さは18mmである。また、凹部としては、歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された二本の横溝が、歯科用ポストの前記末端から0.95mmと2.15mmを中心位置として形成されており、凹部の開口幅は0.5mmであるとともに、この凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)については、表2にパーセント表示した値が記載されている。
(実施例2)
凹部として、歯科用ポストの支柱部と反対側の挿入先端部の末端から2.00mmに歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された横溝を一本のみ形成する以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例3)
凹部の開口幅を0.05mmとする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例4)
凹部の開口幅を0.3mmとする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例5)
凹部の開口幅を2.2mmとする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例6)
歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された二本の横溝が、歯科用ポストの支柱部と反対側の挿入先端部の末端から1.50mmと4.50mmを中心位置として形成されること、および凹部の開口幅を3mmとし、凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが満たす関 係を表2の記載のようにすること以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例7)
凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが満たす関係を表2の記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例8)
凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが満たす関係を表2の記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例9)
凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが満たす関係を表2の記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例10)
凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが満たす関係を表2の記載のようにする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例11)
歯科用ポストの軸長さ方向に沿った凹部の断面形状を、図4(b)に示すような楔状とする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(実施例12)
歯科用ポストの軸長さ方向に沿った凹部の断面形状を、図4(c)に示すような矩形状とする以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(比較例1)
図9に示すように、先端挿入部から支柱部にかけて1.80mm間隔ごとに、全体的に横溝を形成する以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
(比較例2)
図10に示すように、全く凹部を形成しない以外は、実施例1と同様にして、歯科用ポストを得た。
得られた歯科用ポストの曲げ強度、引き抜き抗力および疲労耐久性を表2に示す。
Figure 0005863893
表2より、実施例1〜12で得られた歯科用ポストは、いずれも高い曲げ強度、高い引き抜き抗力を有し、疲労耐久性に優れることがわかる。
また、実施例1と、比較例1および比較例2とを比較した場合、全体に溝が形成された比較例1では、引き抜き抗力に優れるものの、曲げ強度および疲労耐久性に劣っており、約1800回足らずで破折した。そのため、比較例1のような歯科用ポストでは、歯科用ポストの挿入時や予後の折損の危険性を増加させる。
また、全く溝が形成されていない比較例2では、曲げ強度には優れるものの、歯科用ポストを挿入した際の引き抜き抗力および疲労耐久性の双方について劣っており、特に疲労耐久性試験では、約2000回足らずで歯根部に相当する銅棒から抜けてしまった。
その一方で、特定の位置に凹部が形成された実施例1の歯科用ポストでは、歯科用ポストとして求められる引き抜き抗力を有するだけでなく、曲げ強度および 歯科用ポストを挿入した際の疲労耐久性にも優れている。特に、疲労耐久性は、比較例1の10倍近くに向上しているため、予後の折損の危険性を回避でき、歯科用ポストとして優れていることが分かる。
このような、本発明の歯科用ポストは、歯科治療の分野において支台築造治療に好適に用いられるものである。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
1…歯根
3…根管
5…合着材
7…界面
10,20,100…歯科用ポスト
12,22,102…支柱部
14,24,104…挿入先端部
16…凹部
18…末端

Claims (7)

  1. ポリマーマトリックスおよび強化繊維からなる繊維強化複合材料で構成された歯科用ポストであって、
    前記歯科用ポストは、根管へ挿入する挿入先端部と、前記挿入先端部に隣接する円柱状または多角柱状の平滑な壁面を有する支柱部とを備え、かつ前記歯科用ポストには、支柱部と反対側に位置する挿入先端部の末端から6mmの範囲内にのみ少なくとも1つの凹部が形成されており、
    支台築造治療に用いられる歯科用ポスト(前記支柱部にスロットがある場合を除く)
  2. 請求項1において、挿入先端部が、支柱部と反対側に位置する挿入先端部の末端に向かってテーパー付けられているテーパー部分を有する歯科用ポスト。
  3. 請求項1または2において、凹部が、歯科用ポストの軸長さ方向と交わる横方向に形成された一本以上の溝である歯科用ポスト。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記凹部の深さ(D)と、この凹部の開口端部における支柱部側の断面直径(R)とが、下記式(1)を満たす歯科用ポスト。
    (D)=(R)×n (1)
    (式中、nは0.03〜0.4である。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、歯科用ポストの軸長さ方向に沿った断面における凹部の開口幅(W)が0.03〜3.5mmである歯科用ポスト。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、歯科用ポストの軸長さ方向に沿った凹部の断面形状が円弧状である歯科用ポスト。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において、根幹へ挿入される部分の長さが10mm以上であり、前記挿入先端部の末端から4mmの範囲内にのみ前記少なくとも1つの凹部が形成されている歯科用ポスト。
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