JP4391030B2 - 歯根用ポスト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シェル(A)とコア(B)から形成された歯根用ポストに関する。さらに詳しくは、シェル(A)とコア(B)から形成された歯根用ポストであって、該コアを構成する物質はシェルの歯根側先端部から突出するように形成された歯根用ポストに関する。本発明のポストによれば、歯根破折が少なく、また、ポストを除去せずに二次感染部の治療を容易に行うことができるため、歯冠欠損部の修復用材料、特に支台築造用の歯根用ポストとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
歯冠の崩壊が大きな虫歯を被覆冠で修復するには、まず歯冠欠損部を築盛することが行われるが、かかる築盛のための支台築造体としては、従来金属鋳造体が多用されていた。最近、これに代わり、根管窩洞の形成と支台築造を一回の診療で行えるコンポジットレジンなどの錬成物を用いる歯冠修復方法が取り上げられるようになってきた。しかし、コンポジットレジンそのものの強度は前記金属鋳造体よりも劣るので、近年では、支台築造体の強度増強や支台築造体の歯質への維持などを目的として支台歯に根管用支柱(歯根用ポスト)を併用することが定法となっている。
【0003】
歯根用ポストの材質としては、例えば実公昭6−30475号、実公昭51−29675号、特開昭56−152642号、特開昭56−136542号公報などに示されるように、強度あるいは歯質への保持の観点から、ステンレスやチタンなどの金属が一般的に使用されている。そして、さらには形成された根管への適合性を高めるためにテーパーを付与したもの、歯質への維持を高めるために溝を持つもの、スクリュー状のものなど各種形状のものが工夫され、今日では、これらが広く使用されている。
【0004】
しかしながら、これらの支台築造体においても、築造体の脱離、築造体破折が皆無ではなく、さらなる開発が望まれている。近年、歯質と強固な接着性を有する材料が開発されており、かかる材料を合着材として用いて歯質とポストとの間を充填すれば、歯根用ポストは歯質に強固に固定され、築造体の保持の観点から、より一層効果的な修復を行うことができるようになってきており、これらの問題は少なくなってきている。
【0005】
一方、築造体の強度が大きくなるにつれ、築造体が歯根部へ及ぼす応力の集中が生じやすくなり、歯根破折の問題が高まりを見せているのも事実であり、この歯根破折は支台築造修復において最も深刻なトラブルとなっている。と言うのも、破折した歯は抜歯につながるのみならず、ブリッジなど連結した補綴処置全体にも影響を及ぼすためである。
【0006】
歯根破折にいたるメカニズムを考えてみると以下のとおりである。健全な生活歯に咬合力が作用すると、中空構造(中味は歯髄)をもつ歯は合理的に変形して咬合力を分散させ、咬合応力は歯根膜、歯槽骨に伝播していく。この力学的刺激(咀嚼による力)が歯周組織を変形させ、骨のメインテナンスに貢献している。このように、歯髄がある場合は外部(咬合面)から力が加わり、歯全体が変形するが、歯が齲蝕進行により大きく崩壊し、歯髄を除去してポストを固定して、歯冠修復を行うと、咬合応力は咬合面だけからではなくポストを通して内部(ポスト先端部など)からも応力が生じる。歯はこのような内部から生じる大きな力に対して構造的に弱く、加えて失活歯は象牙質の粘弾性が低下して脆くなっているので疲労によるマイクロクラックも蓄積し易く、歯根部分の破折が起こりやすくなっている。
【0007】
この歯根破折の問題は、すでに歯科治療における深刻な問題の一つとして取り上げられており、これまで、局所的な応力集中を避けることにより、歯根破折を回避する方法として2種類の方法が提案されている。第一の方法は、例えば、日本接着歯学会誌Vol13,No.1、51−62頁に報告されているように、根管に形成されたポスト孔よりも一回り細い直径の歯科用金属製ポストを使用し、接着性レジンセメントをポスト孔との間に介在させ、ポストの先端をポスト孔の底部から少し浮き上がらせて、象牙質への応力集中を回避する方法である。そして、第二の方法は、例えば、特表平5−505316号公報に開示されているように、歯根用ポストとして、その弾性率が歯牙特に象牙質の弾性率に近似したものを選択することで、歯牙への応力集中を回避する方法である。このような歯根用ポストの材質として繊維強化型樹脂が提案されている。
【0008】
一方、築造体の強度の向上、歯質への保持性の向上に伴い、再根管治療に関わる新たな問題も発生してきている。すなわち、一旦治療が完成した後に根管部の清掃、殺菌が不十分であったり、あるいは辺縁漏洩により歯根部の根管の一部に二次感染が発生した場合、歯根用ポストを含む支台築造体全体を支台歯から除去し、再治療しなければならない。しかるに、ポストとして、高強度の金属材料が使用されている場合、ポストと歯質との接合が強固であるため、該ポストの除去は非常に困難と言うよりは、むしろ不可能である。よって、やむなく抜歯しなければならないケースがほとんどであり、せっかくの歯冠修復の努力が全く無に帰してしまう。
【0009】
この問題を回避するのに現在二つの方法が提案されている。すなわち、第一の方法は、ポスト全体あるいはポストを貫通する軸芯部を易切削性材料とし、易切削性部分を切削除去することで根尖部などの二次感染部を露呈させ、支台築造体全体を撤去せずとも二次感染部の治療が行えるようにする考えである。この第一の方法は、特公平6−75582号公報及び特表平11−500325号公報に提案されており、ポストの軸芯部に軸芯方向に貫通する中空部を形成し、該中空部に易除去性充填材料を充填しておくものである。このようにすれば、ポストを除去しなくても二次感染部の治療が容易に行うことができる。
【0010】
第二の方法は、ポストを固定する接着材として、歯質との高い接着性を発現する接着材を使用し、シーリング性を高めることで辺縁漏洩による細菌の侵入を阻み、二次感染そのものを抑制しようとする考えである。
【0011】
さらに、第一及び第二の考えを組み合わせ、辺縁漏洩による二次感染の予防を目的として接着性の根管充填剤を使用し、また、二次感染した場合でも歯科用切削具にて除去しやすい軟性材料を歯根用ポストとして用いた歯科用根管治療キットも特開平11−262494号公報に開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
先述したように、現在の支台築造修復が抱える歯根破折と再根管治療の問題に関し、前者に対しては、根管に形成されたポスト孔よりも一回り細い直径の歯科用金属製ポストを使用し、接着性レジンセメントをポスト孔との間に介在させ、ポストの先端をポスト孔の底部から少し浮き上がらせ根管壁に接触させない方法、あるいは、歯根用ポストとして、その弾性率が歯牙特に象牙質の弾性率に近似したものを選択する方法で回避が試みられ、一方、後者に対しては、ポスト全体あるいはポストを貫通する軸芯部を易切削性材料とし、易切削性部分を切削除去することで根尖部などの二次感染部を露呈させ、支台築造体全体を撤去せずとも二次感染部の治療が行えるようにする方法、及び/または、ポストを固定する接着材として歯質との高い接着性を発現する接着材を使用し、シーリング性を高めることで辺縁漏洩による細菌の侵入を阻み二次感染そのものを抑制する方法が試みられているのが現状である。
【0013】
しかしながら、支台築造修復の完成度を高めるには、まずは上記の要件を総合的に満足する必要がある一方で、再根管治療における二次感染部の露呈という観点から、歯根用ポストの尖端部と根管底部との間隙に存在する接着材層についてもさらに考慮する必要がある。すなわち、近年の接着材の強度の向上に伴い、歯根用ポストの尖端部と根管底部との間隙に存在する接着材層は、通常歯科治療で使用される根管治療時に使用される器具では穿孔することが非常に困難であることは、歯科臨床に携わる者であれば共通に認識するところである。
【0014】
以上の観点から従来技術を解析すると、さらに以下の問題点が見出せる。日本接着歯学会誌Vol13,No.1、51−62頁に示される技法は、歯根破折予防に対する効果は期待されるが、従来の金属製歯根用ポストを使用しているため、再根管治療は困難である。
【0015】
一方、特表平5−505316号公報に開示された歯根用ポストは、歯質との弾性率の考慮により、咬合応力の集中を回避でき、歯根破折に関しては予防効果が期待される。しかしながら、歯科用切削器具による該ポスト自体の切削除去の可能性については言及されていない。該ポストの材質は、一般的観点に基づくと、従来の歯根用ポストに使用される金属、セラミックスよりは軟性材料であるので、該ポストを歯科用ドリルなどで、仮に切削除去できたとしても、ポスト先端部と根管底部の間に存在する合着材層を、通常歯科で使用される器具で穿孔することは非常に困難であり、再根管治療を解決するものではない。
【0016】
また、特公平6−75582号公報に開示されたポストは、再根管治療を行いやすくするための技術ではあるものの、歯質より弾性率のはるかに高い金属製あるいはセラミックス製のポストであるため、歯根破折の問題は依然として解決されない。もし、歯根部への接触を回避するため、根管部からやや浮かせて固定しようとすると、ポストの先端部と根管の隙間に、固定するための歯科用(接着性)レジンセメントが介在し、再治療時の切削を大きく妨げることになる。
【0017】
さらに、特表平11−500325号公報に開示されたポストは、歯根破折予防の観点から、象牙質に近い弾性係数を有する材料の採用、及び再根管治療の容易性を考えて除去性の高い軸芯部を有する構造を有すべきことを提案したもので、従来技術の中ではさらに進歩したものではあるが、根管底部の間に存在する合着材層を、通常歯科で使用される器具で穿孔することは非常に困難である。
【0018】
また、特開平11−262494号公報に開示された歯科用根管キットは、辺縁漏洩による二次感染の抑制を追及すると同時に、再根管治療が必要となった場合を配慮して、歯根用ポスト自身の切削除去性を考慮したものではあるが、これもやはり根管底部の間に存在する合着材層の穿孔に関する問題を解決するものではない。以上述べたように、これまでのポストに係る従来技術は、現在支台築造修復において深刻な問題とされる歯根破折及び再根管治療の問題に対して、いずれも個々の課題に対して解決を見出そうとするにとどまるものであり、上記した問題点を総合的に解決するものではない。したがって、本発明の目的は、支台築造修復における種々の課題点、すなわち、歯根破折予防と、ポストを除去しなくても二次感染部の治療を容易に行うことのできる歯根用ポストを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、本発明に至った。すなわち、本発明は、繊維補強材料から構成されるシェルと、該繊維補強材料の弾性率以下の弾性率を有し、かつ軟化温度が40℃以上80℃以下である樹脂から構成されるコアとから形成された歯根用ポストであって、該シェルの歯根側先端部から該コアが0.5mm〜3mm突出するように形成されたことを特徴とする歯根用ポストである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の歯根用ポストは、シェル(A)とコア(B)から形成されたコア−シェル型のポストであるが、シェル(A)は本来の歯根用ポストとして必要とされる、レジンの強度、特に脆性を改善するための補強効果を担う。一方、コア(B)はシェル(A)が根管に直接接触し、応力が集中することを防ぐ機能を有することが必要であり、該コアを構成する物質としては、再根管治療の必要が生じた場合、歯科用のドリルやヤスリによって容易に除去できるような材質を使用する必要がある。
上記のように、コアの直径は再根管治療の操作を行いやすくすることと、シェル材料の強度を保つ観点から、0.2〜1.5mmが好ましい。
本発明のコア−シェルからなるポスト全体のサイズは、通常、太さ0.5〜3mm、長さ7〜25mmである。使用に際しては、症例の根管に適切な太さを選択し、必要に応じて切断して長さを調節することができる。
【0021】
本発明のコア−シェル型のポストを形成する方法はとくに限定されないが、例えば、コア部にコアを構成する物質を充填する方法、コアを構成する物質を芯としてそれにシェルを構成する物質を被覆する方法などによることができる。本発明の歯根用ポストにおいては、特にシェルの先端からコア(B)が突出していることが重要であるが、突出部の長さは、あまり長いとシェルが歯根内に十分挿入されず維持安定性が低下する原因となり、またあまり短いとシェル材が根管壁に接触してしまい応力の集中を招き根管破折の危険性を高めてしまったり、ポストと根管部との隙間に合着用セメントが入り込んで再根管治療時の妨げとなるので、0.5mm〜3mmとする。
【0022】
根管に歯根用ポストを固定する際、根管内にポストを挿入していくと、本発明の歯根用ポストにおいては、コアを構成する物質がシェルの歯根側先端部から突出するように構成されているので、シェルの先端部から突出した弾性率の低いコア(B)が歯質に接触し、弾性率の高いシェル(A)は歯質に接触せず、歯根破折の原因となる応力の集中を回避することができる。また、コア(B)は根管充填材に密着しているため、該ポストと根管充填剤との間に歯科用(接着性)レジンセメントなどポストを固定するための材料が入り込むのを防ぐことができる。
【0023】
すなわち、ポストと根管充填剤との間に歯科用のドリルやヤスリで除去しにくい歯科用(接着性)レジンセメントが介在しないので、二次感染などにより、再根管治療が必要となった場合であっても、歯根用ポストを固定したままでコア(B)を歯科用のドリルやヤスリで容易に取り除くことができ、根管内部(根尖部)を治療することができる。コア(B)は必ずしもシェル(A)の中空部全てに装備されている必要はなく、中間部分は中空のままであっても良い。
【0024】
シェル(A)の形状としては、先端部まで太さが不変のパラレル状のもの、先端部の径が小さくなるようなテーパー状のものなどが可能である。また、歯冠部分の適合性を向上するためにステップを設けて、歯冠に相当する箇所の外径を大きくすることも可能である。また、歯根用ポストを根管に固定する際に使用する歯科用(接着性)レジンセメントなどの余剰ペーストを容易に排出させるため、及び該ポストの維持力を高めるため、ポスト表面に鋸歯状、らせん状種々の溝を形成してもよい。
【0025】
シェル(A)の材質としては、公知の材料を広く使用することができ、例えば、繊維補強材料使用可能である。繊維補強材料としては、EガラスやSガラスなどのシリカを基材とするガラス繊維、カーボン繊維、セラミックスなどの無機繊維、炭化ケイ素繊維、ボロンカーバイド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維などの繊維を例示することができる。繊維は、直径1〜100μmの単繊維が数十〜数十万本単位で収束したロービングをはじめ、それらを短く切断した短繊維やストランド、よりをかけたヤーンの他に織物、あみものなど種々の繊維形状を使用することができる。
【0026】
繊維補強剤のマトリックス成分としては、エポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリルなどの樹脂を挙げることができる。繊維補強材料は従来から使用されているステンレス製の歯根用ポストなどと比較して、弾性率が小さく、歯質に類似しており、応力集中をさらに低減することができるので好ましい。また、金属製の歯根用ポストを歯根に固定した治療では、場合によって金属色が透けて暗く見え、審美的な点で劣る場合があるのに対して、ガラス繊維などを採用した繊維補強材料による歯根用ポストでは、審美的な観点でより優れており、好ましい。これらは根管に固定する歯科用(接着性)レジンセメントなどとの接着性を高めるために、シェル(A)に予めサンドブラスト処理や、シランカップリング処理などの表面処理を行うこともできる。
【0027】
コア(B)を構成する物質としては、公知の樹脂を広く使用することができる。すなわち、ポリエチレン、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ乳酸、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ガッタパーチャ、トランスポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミイド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリεカプロラクタム、アルギン酸、寒天、デンプン、ペクチン、セルロース、変成セルロース、コラーゲンなどを挙げることができる。
【0028】
コアを構成する物質としては、シェルを構成する物質の弾性率以下の弾性率を有するものを使用する。なかでも、軟化温度が80℃以下のものは、口腔内で該ポストを使用するにあたり、根管内部に装着する前に軟化させることにより、根管内部への密着性をより高めることができる点で優れている。一方、口腔内の温度で変形してしまうと適合性に影響を及ぼすため、40℃以下では軟化しないものを使用する。これらの要件、すなわち軟化温度が40℃以上80℃以下の材料がコア(B)を構成する物質として好ましく、具体的には、トランスポリイソプレン、ポリエチレン、ポリε−カプロラクタムなどが挙げられる。特に、トランスポリイソプレンは従来より根管充填材として広く使用されており、同種材料の使用により親和性が高まるためより好ましい。また、X線不透過性を付与するために、公知のX線不透過性のフィラーや成分をシェル(A)やコア(B)中に配合してもよい。
【0029】
【実施例】
参考例
シェルを構成する物質としてステンレス鋼からなる三金工業製チューブポスト(以下、チューブポストと略称する。)、コアを構成する物質としてガッタパーチャからなる株式会社モリタ製JMガッタパーチャポイント(以下、JMポイントと略称する。)を使用した場合の歯根用ポストを図面により具体的に説明する。図1は歯根用ポストを示す例である。チューブポストの内径約0.5mmの中空部にJMポイントを充填した。なお、先端部はJMポイントを2mm突出させた。1はシェル(A)、2はコア(B)である。ポストは、歯科用の接着性レジンセメント(株式会社クラレ製パナビアフルオロセメント)を用いて根管3に固定した。コア(B)はシェル(A)の先端部よりも突出しているため、硬度の高いシェルが根管に直接接触することを回避することができる。
【0030】
次いで、歯科用コンポジットレジン(株式会社クラレ製クリアフィルDCコア)を用いて支台歯4を形成し、人工歯冠5を装着する。6は人工支台歯、7は歯槽である。歯根部に二次感染が発生した場合には、人工歯冠5を取り外した後、歯科用ドリルやファイルなどを用いて、コア(B)を除去し、二次感染部を除去したり、直接薬物を投与するなどして再治療を行うことができる。再治療の終了後、コア(B)を装着して、再度人工歯冠物を装着する。
【0031】
実施例
シェル(A)として、ガラスファイバーをエポキシ樹脂で硬化した繊維強化材料、その内径0.5mmの中空部分にコア(B)を構成する物質として、トランスポリイソプレンを使用し、図2のように、先端部を細くしたテーパー状の歯根用ポストを形成した。効果参考例と同様であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明により、コア−シェル型の歯根用ポストを提供することができる。本発明の歯根用ポストによれば、歯根部へのポストの接触を確実にふせぐことができるので、歯根用ポストの装着により生じる歯質への応力集中を回避することができるので、歯根破折の危険性を大幅に低減することができる。また、ポスト先端部と根管充填材の隙間に歯科用(接着性)レジンセメントを介在しないので、根管部に二次感染が発生した場合でも、支台構造を破壊することなく治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 根用ポストの参考例である。
【図2】 本発明の歯根用ポストの実施態様である。
【符号の説明】
1…シェ
2…コ
3…根管
4…支台歯
5…人工歯冠
6…人工支台歯
7…歯槽

Claims (2)

  1. 繊維補強材料から構成されるシェルと、該繊維補強材料の弾性率以下の弾性率を有し、かつ軟化温度が40℃以上80℃以下である樹脂から構成されるコアとから形成された歯根用ポストであって、シェルの歯根側先端部から該コアが0.5mm〜3mm突出するように形成されたことを特徴とする歯根用ポスト。
  2. 該コアを構成する樹脂がトランスポリイソプレンである請求項1記載の歯根用ポスト。
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