JP5862879B2 - 層状複水酸化物を用いたアクチュエータおよびその制御方法 - Google Patents

層状複水酸化物を用いたアクチュエータおよびその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクチュエータに関し、より詳細には、層状複水酸化物を用いたアクチュエータおよびその制御方法に関する。
層状複水酸化物に代表される無機層状物質は、その層間にイオン、分子等をインターカレート(取り込む/挿入)できる。これに伴い層間隔が変化するので、これを利用したアクチュエータが開発されている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
特許文献1によれば、無機層状物質に外部から溶液を供給することにより、化学エネルギーを機械エネルギーに変換するメカノケミカルシステムのアクチュエータを提供する。詳細には、外部からの溶液の供給による化学反応によって無機層状物質の層間にゲスト物質が出入りすることにより駆動する。また、溶液としてゲスト物質および溶媒分子を供給することにより、層間にゲスト物質および溶媒分子を一体的に取り込むので、ゲスト物質の大きさに制限されない大きな層間隔(層間距離)変化を得ることができる。特許文献1では、無機層状物質として層状チタンニオブ酸塩を、ゲスト物質としてn−ブチルアミンを、ゲスト物質の脱離剤として塩酸を用いた。
一方、非特許文献1によれば、無機層状物質に外部から光を照射することにより、その層間に取り込まれたゲスト物質がトランスとシスとの間で変化する。その結果、層間隔変化を得ることができる。非特許文献1では、無機層状物質として層状ニオブ酸塩を、ゲスト物質としてポリフルオロアルキルアゾベンゼン誘導体を、光として紫外線および可視光を用いた。
しかしながら、特許文献1および非特許文献1のいずれの技術も、層間隔を大きく変化させることはできるが、層間隔をサブオングストロームの精度で連続的に制御することはできない。
したがって、本発明の課題は、サブオングストロームで動作可能な層状物質を用いたアクチュエータおよびその制御方法を提供することである。
本発明によるアクチュエータは、ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物と、前記ホスト層の層間に位置する少なくとも2種のアルコールとを備え、前記少なくとも2種のアルコールの混合比は可変であり、これにより上記課題を達成する。
前記少なくとも2種のアルコールの混合比は、0〜1:1〜0の範囲で可変であってもよい。
前記ホスト層は、[MII 1−yIII (OH)]で表され、前記ゲストは、[(Xn−y/n・mHO]で表され、ここで、MIIは2価の金属イオンであり、MIIIは3価の金属イオンであり、Xは前記有機アニオンであり、nは前記有機アニオンの価数であり、yは0.2〜0.33の範囲であり、m=(1−3y)/2を満たしてもよい。
前記MIIはMgであり、前記MIIIはAlであってもよい。
前記有機アニオンは、カルボン酸アニオンであってもよい。
前記カルボン酸アニオンは、酢酸アニオン、アクリル酸アニオン、メタクリル酸アニオンおよびアミノ酸アニオンからなる群から選択されてもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは、前記ホスト層中のヒドロキシ基または水分子と水素結合してもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは、RCHOHまたはHOCHCHOHで表される1級アルコール、RCHOHで表される2級アルコールおよびRCOHで表される3級アルコールからなる群から選択されるアルコールであってもよい(ここで、R、RおよびRは、同一または別異の官能基を含むまたは官能基を含まない炭化水素基である)。
前記1級アルコールは、C2n+1OH(n≧1)またはHOC2nOH(n≧1)であってもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは、互いにインターデジテートするように位置してもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは液体であってもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは蒸気であってもよい。
前記少なくとも2種のアルコールは、C2n+1OH(n≦4)を満たしてもよい。
本発明によるアクチュエータを制御する方法であって、前記アクチュエータは、ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物と、前記ホスト層の層間に位置する、混合比が可変な少なくとも2種のアルコールとを備え、前記アクチュエータに前記少なくとも2種のアルコールを供給し、前記層状複水酸化物に含有される前記少なくとも2種のアルコールの混合比を変化させ、これにより上記課題を達成する。
前記少なくとも2種のアルコールを液体で供給してもよい。
前記少なくとも2種のアルコールを蒸気で供給してもよい。
本発明によるアクチュエータは、ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物のホスト層間に、ゲストと少なくとも2種のアルコールとを備える。少なくとも2種のアルコールは、ゲストとアニオン交換することなく層状複水酸化物に位置するので、少なくとも2種のアルコールの挿入・脱離を容易にする。その結果、少なくとも2種のアルコールの混合比(モル濃度、重量比)を可変に制御するだけで、層状複水酸化物の層間隔はサブオングストロームで混合比に対してほぼ線形に変化するので、サブオングストロームで動作可能なアクチュエータを提供できる。
本発明のアクチュエータを示す模式図 本発明のアクチュエータの線形動作を示す模式図 参考例1の外観を示す図 参考例1の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示す図 参考例6の外観を示す図 参考例1〜12のXRDパターンを示す図 参考例1〜11の層間隔とアルコールの炭素数との関係を示す図 参考例3のアルコールの挿入および脱離を示すXRDパターンを示す図 参考例1および参考例9のIRスペクトルを示す図 参考例9の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示す図 参考例1および9のTG−DTAプロファイルを示す図 実施例13のXRDパターンを示す図 実施例13の層間隔と混合比との関係を示す図 実施例14のXRDパターンを示す図 実施例14の層間隔と混合比との関係を示す図 参考例6、7および実施例14のシンクロトロンXRDパターンを示す図 実施例13のシンクロトロンXRDパターンを示す図 実施例15のXRDパターンを示す図 実施例15のDSCプロファイルを示す図 比較例16のXRDパターンを示す図 比較例17のXRDパターンを示す図 比較例18のXRDパターンを示す図 参考例1、参考例19〜22および比較例23〜24のXRDパターンを示す図 参考例20のAFM観察の結果を示す図 参考例20を蒸気エタノールおよび乾燥窒素に繰り返し晒した際の高さの変化を示す図 参考例20の雰囲気に依存したXRDパターンの経時変化を示す図 参考例19、20および実施例25のXRDパターンを示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、同様の構成要素には同様の参照番号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明のアクチュエータを示す模式図である。
本発明のアクチュエータ100は、ホスト層110と有機アニオンからなるゲスト120とを有する層状複水酸化物と、少なくとも2種のアルコールとして第1のアルコール130および第2のアルコール140とを備える。図1では簡単のため、2種のアルコールのみを示すが、本発明は2種に制限されるものではない。
ここで、少なくとも2種のアルコールである第1のアルコール130および第2のアルコール140の混合比(第1のアルコール130:第2のアルコール140)は、0〜1:1〜0の間で可変である。混合比は、例えば、モル濃度比であり得るが、重量比であってもよい。また、後述する少なくとも2種のアルコールが蒸気の場合、混合比は、蒸気アルコールの制御性の観点から、モル濃度比が好ましい。
なお、第1のアルコール130と第2のアルコール140との比(第1のアルコール130:第2のアルコール140)が0:1、または、1:0である場合、本発明のアクチュエータ100は、少なくとも2種のアルコールを備えないことになるが、本明細書では、第1のアルコール130と第2のアルコール140との比が0〜1:1〜0の間で可変となるように構築される限り、少なくとも2種のアルコールを備えることを意図する。また、3種以上のアルコールの場合も、同様である。
本発明のアクチュエータ100の層状複水酸化物において、好ましくは、ホスト層110は、[MII 1−yIII (OH)]で表され、ゲスト層120は、[(Xn−y/n・mHO]で表される。ここで、MIIは2価の金属イオンであり、MIIIは3価の金属イオンであり、Xは有機アニオンであり、nは有機アニオンの価数であり、yは0.2〜0.33の範囲であり、m=(1−3y)/2を満たす。
ホスト層110において、MIIはMgであり、MIIIはAlであり、y=0.25である場合、本発明のアクチュエータ100の線形な動作を確実にする。
また、ゲスト層120において、有機アニオンXは、イオン半径が大きく層間の静電相互作用が比較的弱いとされる有機アニオンであり、好ましくは、カルボン酸アニオンである。カルボン酸アニオンであれば、ゲスト120が少なくとも2種のアルコールとアニオン交換することなく、層状複水酸化物は、ゲスト120と少なくとも2種のアルコールとの両方を保持できるので、後述する本発明のアクチュエータ100の可逆動作を可能にする。
カルボン酸アニオンは、より好ましくは、酢酸アニオン、アクリル酸アニオン、メタクリル酸アニオンおよびアミノ酸アニオンからなる群から選択される。これらのカルボン酸アニオンであれば、ゲスト120が後述するアルコールとアニオン交換することはない。中でも、酢酸アニオンを用いれば、本発明のアクチュエータの製造が容易であるとともに、取扱いが簡便であるので好ましい。
本発明のアクチュエータ100において、少なくとも2種のアルコールは、ホスト層110中のヒドロキシ基または水分子と水素結合する。これにより、本発明のアクチュエータ100は、ゲスト120とアニオン交換することなくアルコールの挿入・脱離を可能にする。
本発明のアクチュエータ100において、少なくとも2種のアルコールは、互いにインターデジテートするように位置する(150)。インターデジテートは、互い違いに組み合わさった(interdigitated)状態である。このように少なくとも2種のアルコールが位置することにより、アクチュエータ100の線形動作を可能にする。
少なくとも2種のアルコールは、好ましくは、RCHOHまたはHOCHCHOHで表される1級アルコール、RCHOHで表される2級アルコールおよびRCOHで表される3級アルコールからなる群から選択されるアルコールである。ここで、R、RおよびRは、同一または別異の官能基を含むまたは官能基を含まない炭化水素基である。
ここで、官能基は、アミン基、ビニル基、エステル基、エーテル基、ケトン基等であるが、これらに限定されない。また、炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、環状炭化水素基等任意の炭素および水素からなる置換基を意図する。
具体的には、1級アルコールは、C2n+1OH(n≧1)またはHOC2nOH(n≧1)で表される。これらの1級アルコールは、2級アルコールおよび3級アルコールに比べて、本発明のアクチュエータの製造が容易であるとともに、安価に入手できる。
第1のアルコール130がC11OHであり、第2のアルコール140がC1021OHである場合、あるいは、第1のアルコール130がC17OHであり、第2のアルコール140がC1225OHである場合、本発明のアクチュエータは、約8Å〜10Åにわたるダイナミックな変化を混合比に対してほぼ線形に達成できる。第1のアルコール130がC11OHであり、第2のアルコール140がC13OHである場合、本発明のアクチュエータは、約2Åにわたる微妙な変化を混合比に対してほぼ線形に達成できる。なお、1nm=10Åである。
少なくとも2種のアルコールは、液体であってもよいし、蒸気であってもよい。少なくとも2種のアルコールが蒸気であれば、本発明のアクチュエータ100に少なくとも2種のアルコールとして蒸気を通すだけで混合比に対して線形な制御を可能にするので、アクチュエータ100の小型化を可能にする。
また、少なくとも2種のアルコールが蒸気の場合、揮発性のアルコールが好ましく、具体的には、1級アルコールであればC2n+1OH(n≦4)が望ましい。n≦4である1級アルコールは、いずれも、揮発性が高く、蒸気での取り扱いが簡便である。
次に、本発明のアクチュエータ100の線形動作のメカニズムを説明する。
図2は、本発明のアクチュエータの線形動作を示す模式図である。
図2においても図1で模式的に示した本発明のアクチュエータ100を採用する。図2の縦軸は、アクチュエータ100の層間隔の変化を示し、図2の横軸は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比(第1のアルコール130:第2のアルコール140)を示す。
状態S210におけるアクチュエータ100の第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比および層間隔が、それぞれ、1:0およびD210である。同様に、状態S220、状態S230、状態S240、状態S250ならびに状態S260におけるアクチュエータ100の混合比および層間隔は、それぞれ、x1:y1およびD220、x2:y2およびD230、x3:y3およびD240、x4:y4およびD250、ならびに0:1およびD260である。ここで、1>x4>x3>x2>x1>0、1>y1>y2>y3>y4>30、xn+yn=1(n=1〜4)およびD210<D220<D230<D240<D250<D260の関係を満たす。各状態について詳述する。
状態S210:アクチュエータ100は、少なくとも2種のアルコールとして第1のアルコール130と第2のアルコール140とを含み得るように構築されているが、状態S210のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比が1:0となるように制御されている。すなわち、アクチュエータ100は、第1のアルコール130のみを含む。状態S210において、アクチュエータ100の層間隔は、D210であり、第1のアルコール130のみで達成される層間隔である。
状態S220:状態S220のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比がx1:y1となるように制御されている。状態S220のアクチュエータ100は、状態S210のそれから第2のアルコール140をわずかに含む状態である。この結果、状態S220において、アクチュエータ100の層間隔は、D210よりも大きくなり、D220となる。
状態S230:状態S230のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比がx2:y2となるように制御されている。状態S230のアクチュエータ100は、状態S220のそれから第2のアルコール140をさらに含む状態である。この結果、状態S230において、アクチュエータ100の層間隔は、D220よりも大きくなり、D230となる。
状態S240:状態S240のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比がx3:y3となるように制御されている。状態S240のアクチュエータ100は、状態S230のそれから第2のアルコール140をさらに含む状態である。この結果、状態S240において、アクチュエータ100の層間隔は、D230よりも大きくなり、D240となる。
状態S250:状態S250のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比がx4:y4となるように制御されている。状態S250のアクチュエータ100は、状態S240のそれから第2のアルコール140をさらに含み、第1のアルコール130の含有量が、第2のアルコール140のそれよりも小さい状態である。この結果、状態S250において、アクチュエータ100の層間隔は、D240よりも大きくなり、D250となる。
状態S260:アクチュエータ100は、少なくとも2種のアルコールとして第1のアルコール130と第2のアルコール140とを含み得るように構築されているが、状態S260のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比が0:1となるように制御されている。すなわち、アクチュエータ100は、第2のアルコール140のみを含む。状態S260において、アクチュエータ100の層間隔は、D260であり、第2のアルコール140のみで達成される層間隔である。
ここで、本発明のアクチュエータ100によれば、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比と、層間隔との関係は、図2に示されるように、実質的に線形の関係がある。すなわち、本発明のアクチュエータ100は、第1のアルコール130と第2のアルコール140との混合比を制御すれば、図2に示される、第1のアルコール130のみを含有する場合に達成される層間隔(図2ではD210)と、第2のアルコール140のみを含有する場合に達成される層間隔(図2ではD260)との間の範囲を連続かつ線形に動作する。本発明のアクチュエータ100は、上記範囲の間の任意の層間隔を達成できる。また、図1を参照して説明したように、本発明のアクチュエータ100を構成する層状複水酸化物は、アルコールの挿入・脱離を可逆的に行うので、アクチュエータ100は、上記範囲で可逆的に動作する。
選択した第1のアルコール130と第2のアルコール140とによってそれぞれ達成される層間隔の差がオングストロームオーダであれば、本発明のアクチュエータ100は、オングストロームまたはサブオングストロームで層間隔を制御できる。
本発明のアクチュエータ100は、上述したように液体アルコールまたは蒸気アルコールによって動作し得る。その動作方法は、上述の層状複水酸化物に所定の混合比を有する少なくとも2種のアルコールを供給し、層状複水酸化物に含有されるアルコールの混合比を変化させればよい。アルコールは、好ましくは、液体または蒸気で供給される。
例えば、少なくとも2種のアルコールとして第1のアルコール130および第2のアルコール140が液体アルコールである場合の具体的な供給方法は、所定の混合比を満たす第1のアルコール130および第2のアルコールの混合アルコールを、層状複水酸化物に滴下してもよいし、液体ライン等の供給装置を用いて層状複水酸化物に供給してもよい。また、例えば、少なくとも2種のアルコールとして第1のアルコール130および第2のアルコール140が蒸気アルコールである場合の具体的な供給方法は、所定の混合比を満たす第1のアルコール130および第2のアルコール140の飽和蒸気を、ガス流路系等の供給装置を用いて層状複水酸化物に供給してもよい。
また、本発明のアクチュエータ100を動作させるシステムには、本発明のアクチュエータ100、および、0〜1:1〜0の間の混合比で可変に制御される少なくとも2種のアルコールをアクチュエータ100に供給する供給装置を有するアクチュエータシステムが採用される。なお、アクチュエータ100の小型化およびシステム構築の容易性の観点から、少なくとも2種のアルコールは、蒸気が好ましい。
本発明のアクチュエータ100の混合比に対してほぼ線形な層間隔の変化は、次のようにして外部へと伝達される。まず、本発明のアクチュエータ100を層状複水酸化物の層間隔が変化する方向に板状物質等の伝達部材で挟み込む。次いで、流路等を介して供給装置から供給されるアルコールにより生じるアクチュエータ100の層間隔の変化は、伝達部材を介して駆動力として外部へ伝達される。なお、アクチュエータ100の層状複水酸化物の層数および配列は、用途に応じて適宜改変される。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
(参考例1)
実施例に先立って、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物として、ホスト層[MII 1−yIII (OH)]においてMIIがMgであり、MIIIがAlであり、ゲスト[(Xn−y/n・mHO]においてXがカルボン酸アニオンのうち酢酸アニオンである層状複水酸化物(MgAl(OH)(AcO)・2HO、上記式においてy=0.25であり、n=1であり、m=2である。以降では、単にAcO−LDHと称する)を合成した。合成の手順を説明する。
市販のMgAl(OH)(CO0.5・2HO(DHT−6、協和化学工業、1.0g)をメタノール(東京化成工業、200mL)に分散させ、超音波処理を5分間行った。次いで、酢酸(東京化成工業、0.5mL)を加え、真空ラインを用いて窒素置換を3回繰り返した。窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した後、遠心分離(4500rpm、5分)によって固形物を回収し、メタノールで2回洗浄した。洗浄した白い固形物を終夜真空乾燥させ、メノウ乳鉢で粉砕した。収率は860mg、82.4%であった。この結果、COが酢酸アニオンにイオン交換されたAcO−LDHが得られた。なお、メタノールに替えて、エタノールを用いてもイオン交換反応が可能であることを確認した。
得られた白い固形物の外観を観察した。結果を図3に示す。また、白い固形物がAcO−LDHであることを高解像度固体核磁気共鳴(NMR)により確認した。高解像度核磁気共鳴の測定は、JEOL ECA500分光計を用いて、13Cおよび1Hそれぞれに対して125.7MHzおよび500.1MHzで行った。プロトンデカップリングのための高出力増幅器、および、CP/MAS(交差分極/磁気スピン)プローブを備えた分光計を用いた。スペクトルは、ヘキサメチルベンゼン(TMSから17.4ppm)のメチルの炭素信号を基準とした。また、粉末状の白い固形物が充填されたZrOロータ(φ=4mm)を高解像度核磁気共鳴用の試料に用いた。MAS周波数を15kHzに設定し、試料温度を300±3Kとした。接触時間は2ミリ秒であり、パルス遅延時間は5秒であった。得られたスペクトルを図4に示す。
AcO−LDHについて粉末X線回折を行った。測定は、Niフィルタにより単色化されたCuKα放射(λ=1.5418Å)のRigaku RINT 1200回折計を用い、走査速度2θ=2°/分、25℃、窒素雰囲気下で行った。得られたXRD(X線回折)パターンを図6、図8および図23に示す。
得られたXRDパターンから、層とその隣の層との間の距離である底面間隔(層間隔)を求めた。結果を図7に示す。これは、層状複水酸化物の単位格子のd003に相当する。詳細には、層間隔とは、層と層との間の距離、もしくは層間部分と層部分との厚さの合計であり、一方、層状複水酸化物の単位格子は、3つの層のc軸方向への積み重なりであるため、層間隔は、単位格子のc軸長の1/3の長さ(d003)と同じ値を示す。
AcO−LDHについてFT−IR透過スペクトルを測定した。NEXUS670FT−IR分光計を用いて、CaF基板上に配置されたAcO−LDHを、乾燥窒素雰囲気下、室温で測定した。結果を図9に示す。
AcO−LDHについて示差熱熱重量同時測定解析(TG−DTA)を行った。測定は、Rigaku TG8120(リガク製)を用いて、窒素雰囲気下、室温から1200℃の温度範囲を10℃/分で昇温させて行った。標準資料にはAlを用いた。結果を図11に示す。
別の合成の手順を説明する。
市販のMgAl(OH)(CO0.5・2HO(DHT−6、協和化学工業、100mg、0.331mmol)をメタノール(東京化成工業、40mL)に分散させ、超音波処理を行った。次いで、この懸濁液に、乾燥窒素フロー(0.5L/分)下で、メタノール(10ml)に溶解させた、8モル当量の酢酸アンモニウム(関東化学、204.2mg、2.65mmol)を加えた。混合溶液を、乾燥窒素フロー下で、室温(約25℃)で1〜2時間撹拌した。次いで、乾燥窒素フロー下で、懸濁液を、薄膜フィルタ(オムニポア、0.2ミクロン)を用いてろ過した。薄膜フィルタ上に回収された白い固形物を終夜真空乾燥させた。収率は100%であった。この結果、COが酢酸アニオンにイオン交換されたAcO−LDHが得られた。
(参考例2)
実施例に先立って、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例2では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体CHOH(C2n+1OH、n=1、A1とも称する)を用いた。
ガラススライドにAcO−LDH(約10mg)を配置し、その上にA1を4〜5滴加え、これにより白い固形物はゲル状物質(以降では、これをA1−AcOと称する)となった。
A1−AcOについて粉末X線回折を行った。測定は、ゲル状物質をスライドガラス上で均一に延ばし、窒素雰囲気下にて行った。結果を図6に示す。また、参考例1と同様に、層間隔を求めた。結果を図7に示す。
(参考例3)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔、アルコールの挿入・脱離の可逆性等の物性を調べた。参考例3では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体COH(C2n+1OH、n=2、A2とも称する)を用いた。参考例3で得られたゲル状物質(以降では、これをA2−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
さらに、A2を用いて、AcO−LDHへのアルコールの挿入・脱離の可逆性を調べた。具体的な手順は次のとおりである。アルコールを挿入する前のAcO−LDH、次いで、上記手順により得たA2−AcOの粉末X線回折を測定した。その後、A2−AcOを乾燥窒素雰囲気下で30分間保持し、粉末X線回折を測定した。さらに、これに、再度上記手順(COHの添加)を行い、粉末X線回折を測定した。結果を図8に示す。
(参考例4)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例4では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体COH(C2n+1OH、n=3、A3とも称する)を用いた。参考例4で得られたゲル状物質(以降では、これをA3−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
(参考例5)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例5では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体COH(C2n+1OH、n=4、A4とも称する)を用いた。参考例5で得られたゲル状物質(以降では、これをA4−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
(参考例6)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例6では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C11OH(C2n+1OH、n=5、A5とも称する)を用いた。参考例6で得られたゲル状物質(以降では、これをA5−AcOと称する)について、外観の観察、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図5〜図7に示す。
さらに、A5−AcOについてシンクロトロン粉末X線回折(SXRD)を行った。SXRDは、SPring−8におけるNIMSビームラインに搭載されたデバイシェラーカメラを用いた(λ=0.65298Å)。AcO−LDHをリンデマンガラスキャピラリ(φ=0.3mm)に詰め、リンデマンガラスキャピラリ(φ=0.1mm)を用いて、キャピラリ内でA5と混合し、A5−AcOを得た。結果を図16に示す。
(参考例7)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例7では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C13OH(C2n+1OH、n=6、A6とも称する)を用いた。参考例7で得られたゲル状物質(以降では、これをA6−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。実施例6と同様に、A6−AcOについてシンクロトロン粉末X線回折を行った。結果を図16に示す。
(参考例8)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例8では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C15OH(C2n+1OH、n=7、A7とも称する)を用いた。参考例8で得られたゲル状物質(以降では、これをA7−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
(参考例9)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔、FT−IRスペクトル、NMRスペクトル等の物性を調べた。参考例9では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C17OH(C2n+1OH、n=8、A8とも称する)を用いた。参考例9で得られたゲル状物質(以降では、これをA8−AcOと称する)について、粉末X線回折、層間隔、TG−DTAおよびNMRスペクトルを調べた。結果を図6、図7、図9、図10および図11に示す。また、Torchiaパルスシーケンスを用いてT緩和時間を測定した。結果を表2に示す。
(参考例10)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例10では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C1021OH(C2n+1OH、n=10、A10とも称する)を用いた。参考例10で得られたゲル状物質(以降では、これをA10−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
(参考例11)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合の層間隔等の物性を調べた。参考例11では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体C1225OH(C2n+1OH、n=12、A12とも称する)を用いた。参考例11で得られたゲル状物質(以降では、これをA12−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図6および図7に示す。
(参考例12)
参考例2と同様に、参考例1で製造したAcO−LDHが、単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。参考例12では、単一のアルコールとして1級アルコールである液体HOCOH(HOC2nOH、n=4)を用いた。参考例12で得られたゲル状物質(以降では、これをA’4−AcOと称する)について、粉末X線回折を調べた。結果を図6に示す。
(実施例13)
実施例13は、参考例1で製造したAcO−LDHが、少なくとも2種のアルコールを種々の混合比で含有した場合の層間隔等の物性を調べた。実施例13では、少なくとも2種のアルコールとして1級アルコールである液体C11OH(A5)および液体C1021OH(A10)(C2n+1OH、n=5、10)を用いた。A5とA10との種々の混合比(重量比)は、1:0、0.8:0.2、0.6:0.4、0.2:0.8および0:1であった。
ガラススライドにAcO−LDH(約10mg)を配置し、その上に種々の混合比で混合したA5およびA10を4〜5滴加え、スパチュラで均一となるようによく混ぜた。これにより白い固形物はゲル状物質(以降では、これをA5,A10−AcOと称する)となった。A5,A10−AcOについて、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図12および図13に示す。
さらに、A5,A10−AcOについて、シンクロトロン粉末X線回折を行った。AcO−LDHをリンデマンガラスキャピラリ(φ=0.3mm)に詰め、リンデマンガラスキャピラリ(φ=0.1mm)を用いて、キャピラリ内でA5およびA10と混合し、A5,A10−AcOを得た。結果を図17に示す。
(実施例14)
実施例13と同様に、実施例14は、参考例1で製造したAcO−LDHが、少なくとも2種のアルコールを種々の混合比で含有した場合の層間隔等の物性を調べた。実施例14では、少なくとも2種のアルコールとして1級アルコールである液体C11OH(A5)および液体C13OH(A6)(C2n+1OH、n=5、6)を用いた。A5とA6との種々の混合比(重量比)は、1:0、0.8:0.2、0.6:0.4、0.2:0.8および0:1であった。
実施例13と同様の手順で合成した。得られたゲル状物質(以降では、これをA5,A6−AcOと称する)について、粉末X線回折および層間隔を調べた。結果を図14、図15および表3に示す。実施例13と同様に、シンクロトロン粉末X線回折を行った。結果を図16に示す。
(実施例15)
実施例13と同様に、実施例15は、参考例1で製造したAcO−LDHが、少なくとも2種のアルコールを種々の混合比で含有した場合の層間隔、重量変化等の物性を調べた。実施例15では、2種のアルコールとして1級アルコールである液体C17OH(A8)および液体C1225OH(A12)(C2n+1OH、n=8、12)を用いた。A8とA12との種々の混合比(モル濃度比)は、0.8:0.2および0.6:0.4であった。
ガラススライドにAcO−LDH(約10mg)を配置し、その上にA8を4〜5滴加え、次いで、上述の種々の混合比を達成するよう所定量A12を加え、スパチュラで均一となるようによく混ぜた。これにより白い固形物はゲル状物質(以降では、これをA8,A12−AcOと称する)となった。A8,A12−AcOについて、粉末X線回折を調べた。結果を図18に示す。
A8,A12−AcOについて、示差走査熱量分析(DSC)を行った。測定は、MAC DSC 3100S(MAC Science製)を用いて、Al製パンに装填されたA8,A12−AcO(8mg)について、窒素フロー(100ml/分)中、−40℃〜20℃の温度範囲を5℃/分で走査させて行われた。標準試料はAl粉末であった。結果を図19に示す。
(比較例16)
層状複水酸化物として、市販のMgAl(OH)(CO0.5・2HOを用い、これが単一のアルコールと混合された場合のXRDパターン等の物性を調べた。単一のアルコールとして1級アルコールである液体C11OH(C2n+1OH、n=5、A5)を用いた。参考例2と同様にして、比較例16で得られた混合物質(以降では、これをA5−COと称する)について、粉末X線回折を調べた。結果を図20に示す。
(比較例17)
層状複水酸化物として、非特許文献2に従って合成したMgAl(OH)(ClO)・2HOを用い、これが単一のアルコールと混合された場合のXRDパターン等の物性を調べた。単一のアルコールとして1級アルコールである液体C11OH(C2n+1OH、n=5、A5)を用いた。参考例2と同様にして、比較例17で得られた混合物質(以降では、これをA5−ClOと称する)について、粉末X線回折を調べた。結果を図21に示す。
(比較例18)
比較例18では、アルコールに替えて、アニオン交換法によるアルキルスルホン酸アニオン(C2n+1SO )混合物の層状複水酸化物への導入を既存の参考例1のAcO−LDHを用いて行った。アルキルスルホン酸アニオンがメタノール(10mL)に溶解した溶液に、AcO−LDH(20mg)を添加した。この懸濁液を30分間、超音波処理した後、室温で3日間保持した。次いで、この懸濁液に遠心分離(12000rpm、1分)を行い、固形物を回収し、メタノールで2回洗浄した。洗浄した白い固形物を真空乾燥させた。ここで、アルキルスルホン酸塩として、1−ペンタンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業、174mg、1mmol)、1−デカンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業、244mg、1mmol)、および、1−ペンタンスルホン酸ナトリウム(87mg、0.5mmol)と1−デカンスルホン酸ナトリウム(122mg、0.5mmol)との組み合わせを用いた。それぞれのアルキルスルホン酸塩を用いて得られた層状複水酸化物について粉末X線回折を調べた。結果を図22に示す。
(参考例19)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の高い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。参考例19では、単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気CHOH(C2n+1OH、n=1、A1Vとも称する)を用いた。
ガラススライドにAcO−LDH(約10mg)を配置し、これに飽和蒸気A1Vを、窒素をバブリングした状態で流し、これによりAcO−LDHにA1Vを含有させた。以降では、参考例19で得た物質をA1V−AcOと称する。A1V−AcOの外観は、AcO−LDHと同様に、白い粉末状であった。A1V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23および図27に示す。
(参考例20)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の高い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン、原子間力顕微鏡観察等の物性を調べた。参考例20では、単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気COH(C2n+1OH、n=2、A2Vとも称する)を用いた。参考例19と同様にして、AcO−LDHにA2Vを含有させた。以降では、参考例20で得た物質をA2V−AcOと称する。A2V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23および図27に示す。
A2V−AcOについて原子間力顕微鏡(AFM)観察を行った。観察用の試料は次のように調製した。参考例1で製造したAcO−LDH(20mg)をエタノール(5mL)に分散させ、1分間、超音波処理を行った。懸濁液をガラス基板に1滴、滴下した。次いで、これを乾燥窒素でパージした試料台に設置した。AFM像は、xyスキャンが20μm、zスキャンが10μmの範囲のPZTスキャナを搭載したDFMユニット(SPA−400−SPI4000、セイコーインスツルメント製)により得た。AFM像は、至適力にてダイナミックフォースモード(すなわち、タッピングモード)で撮影された。観察・撮影には、ばね定数13N/mであり、共振周波数133kHzの矩形シリコンカンチレバ(SI−DF−20、セイコーインスツルメント製)を用いた。室温にて、乾燥窒素フロー、または、飽和蒸気A2V(ただし窒素をバブリングした状態)に試料を晒し、それぞれの雰囲気下で観察・撮影を行い、高さの変化を評価した。結果を図24および図25に示す。
さらに、A2Vを用いて、AcO−LDHへのアルコールの挿入・脱離の可逆性を調べた。AcO−LDHについて、乾燥窒素雰囲気下で飽和蒸気A2Vを流しながら粉末X線回折を測定し、経時変化を調べた。測定間隔は1分ごとであった。また、A2V−AcOについて乾燥窒素雰囲気下で粉末X線回折を測定し、経時変化を調べた。測定間隔は2分ごとであった。結果を図26に示す。
(参考例21)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の高い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。参考例21では、単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気COH(C2n+1OH、n=3、A3Vとも称する)を用いた。参考例19と同様にして、AcO−LDHにA3Vを含有させた。以降では、参考例21で得た物質をA3V−AcOと称する。A3V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23に示す。
(参考例22)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の高い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。参考例22では、単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気COH(C2n+1OH、n=4、A4Vとも称する)を用いた。参考例19と同様にして、AcO−LDHにA4Vを含有させた。以降では、参考例22で得た物質をA4V−AcOと称する。A4V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23に示す。
(比較例23)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の低い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。比較例23では、揮発性の低い単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気C11OH(C2n+1OH、n=5、A5Vとも称する)を用いた。参考例19と同様にして、AcO−LDHにA5Vを含有させた。以降では、比較例23で得た物質をA5V−AcOと称する。A5V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23に示す。
(比較例24)
参考例1で製造したAcO−LDHが、揮発性の低い単一のアルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。比較例24では、揮発性の低い単一のアルコールとして1級アルコールである蒸気C13OH(C2n+1OH、n=6、A6Vと称する)を用いた。参考例19と同様にして、AcO−LDHにA6Vを含有させた。以降では、比較例24で得た物質をA6V−AcOと称する。A6V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図23に示す。
(実施例25)
実施例25は、参考例1で製造したAcO−LDHが、少なくとも2種のアルコールとして2種の蒸気アルコールを含有した場合のXRDパターン等の物性を調べた。実施例25では、2種の蒸気アルコールとして1級アルコールである蒸気CHOH(A1V)および蒸気COH(A2V)(C2n+1OH、n=1、2)を用いた。A1VとA2Vとの混合比(モル濃度比)は、0.5:0.5であった。
ガラススライドにAcO−LDH(約10mg)を配置し、これに上述の混合比で混合された飽和蒸気A1VおよびA2Vを、ガス流路系を介して、窒素をバブリングした状態で流し、これによりAcO−LDHにA1VおよびA2Vを含有させた。以降では、実施例25で得た物質をA1V,A2V−AcOと称する。A1V,A2V−AcOについて粉末X線回折を調べた。結果を図27に示す。
以上の参考例、実施例および比較例1〜25の実験条件を表1にまとめて示す。
図3は、参考例1の外観を示す図である。
図3によれば、参考例1で得たAcO−LDHは、白い粉末状であることが分かった。
図4は、参考例1の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示す図である。
図4によれば、主として酢酸アニオンのピークが検出された。わずかながらメタノールのピークも検出されたが、これは、洗浄後に残留するメタノール(分散媒)に起因する。このことから、市販の炭酸型層状複水酸化物の炭酸イオンは、酢酸アニオンにアニオン交換されたことが確認された。
以上より、参考例1で製造した試料が、ホスト層[MII 1−yIII (OH)]においてMIIがMgであり、MIIIがAlであり、ゲスト[(Xn−y/n・mHO]においてXがカルボン酸アニオンのうち酢酸アニオンである層状複水酸化物(MgAl(OH)(AcO)・2HOであることが確認された。なお、参考例1で示した別の製造方法による試料もまた、同様に、AcO−LDHであることが確認された。
図5は、参考例6の外観を示す図である。
図5によれば、参考例6で得たA5−AcOは、白いゲル状であり、液体を含有していることが分かった。
図6は、参考例1〜12のXRDパターンを示す図である。
XRDパターン(a)〜(l)は、それぞれ、参考例1、参考例2〜5、参考例12、および、参考例6〜11のXRDパターンである。参考例1のAcO−LDHは、d003およびd006の明瞭な回折ピークを示した。同様に、参考例2〜12のいずれも、d003、d006およびd009の明瞭な回折ピークを示した。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物に、アルコールとして液体アルコールを含有させても、その層構造は維持されており、安定であることが分かった。
さらに、参考例1と、参考例2〜12とのXRDパターンを比較すると、d003、d006およびd009の回折ピークは、いずれも、アルコールの含有に伴い、低角度側にシフトすることが分かった。すなわち、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、アルコールを含有することにより、層間隔が増大することが確認された。
また、参考例1と、参考例2〜11とのXRDパターンを比較すると、d003、d006およびd009の回折ピークは、いずれも、アルコール(C2n+1OH)の炭素数(n)の増大に伴い、より低角度側にシフトすることが分かった。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物に含有させるアルコールを適宜選択することにより、アクチュエータの動作範囲を制御できることが示唆される。
また、参考例2〜11と、参考例12とのXRDパターンを比較すると、層状複水酸化物が含有するアルコールが1級アルコールであっても、C2n+1OH(n≧1)またはHOC2nOH(n≧1)の選択により異なる層間隔が得られることが分かった。
図7は、参考例1〜11の層間隔とアルコールの炭素数との関係を示す図である。
図6に基づいて、層間隔とアルコールの炭素数との関係を求めた。層間隔Dは、D=(d003+2d006+3d009)/3より算出した。図7によれば、アルコール(C2n+1OH)の炭素数(n)の増大につれて、層間隔が増大することが示された。より詳細には、アルコールの炭素数n=1〜3の範囲は、D=0.83n+12.78の関係があり、n=4〜12の範囲は、D=1.60n+11.92の関係があることが分かった。
図8は、参考例3のアルコールの挿入および脱離を示すXRDパターンを示す図である。
XRDパターン(A)は、アルコールを挿入する前の参考例1のAcO−LDHのXRDパターンであり、図6の(a)と同様である。XRDパターン(B)は、AcO−LDHにA2(COH)を含有させたA2―AcOのXRDパターンであり、図6の(c)と同様である。XRDパターン(C)は、A2−AcOを乾燥窒素雰囲気下で保持した後のXRDパターンであり、XRDパターン(D)は、乾燥窒素雰囲気下で保持したA2−AcOに再度エタノールを含有させた後のXRDパターンである。
XRDパターン(C)の回折ピークは、XRDパターン(A)それと同一であり、A2−AcOからエタノールが脱離し、AcO−LDHになったことを確認した。さらに、XRDパターン(D)の回折ピークは、XRDパターン(B)それと同一であり、A2−AcOからエタノールが脱離したAcO−LDHが、再度、エタノールを含有し、A2−AcOになったことを確認した。
以上より、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、アルコールの挿入・脱離を繰り返し行うことができることが分かった。したがって、本発明のアクチュエータは、アルコールの挿入・脱離を利用した層間隔の変化により、安定した動作が可能であることが示された。
図9は、参考例1および参考例9のIRスペクトルを示す図である。
図9には、参考例9で用いたA8(C17OH)のIRスペクトルも併せて示す。図9のAcO−LDHのIRスペクトルによれば、酢酸アニオンに起因する、波数1562cm−1にνC=Oのピーク、および、波数1406cm−1にνC−Oのピークを示した。このことからも、参考例1で得られた試料が、AcO−LDHであることが確認された。
図9(A)によれば、参考例9のA8−AcOのIRスペクトルは、参考例1のAcO−LDHおよびA8のIRスペクトルのいずれの特徴も有することが分かった。詳細には、図9(A)によれば、参考例9のA8−AcOのIRスペクトルは、波数1562cm−1および1406cm−1にAcO−LDHに起因する上述のピークを示した。図9(B)によれば、参考例9のA8−AcOのIRスペクトルは、波数2956cm−1、2926cm−1(C−H伸縮モード)および2856cm−1にA8に起因するピークを示した。また、図9(C)によれば、参考例9のA8−AcOのIRスペクトルは、波数1458cm−1(CHはさみ振動モード)に液体アルキル鎖を有するA8に起因するピークを示した。
このことは、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物が、アルコールを含有した場合、そのアルコール分子のアルキル鎖は結晶化しておらず、液体状態と同様の活発な分子運動をしていることが確認された。
図10は、参考例9の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示す図である。
図10で求めた参考例9のA8−AcOの炭素(a〜h、yおよびz)についてT緩和時間を求めた。この結果を表2にまとめる。

表2によれば、ヒドロキシル基に近い炭素原子ほど、T緩和時間が短いことが分かった。さらに、A8−AcO中の炭素原子のT緩和時間は、液体A8単体中の炭素原子のそれに匹敵することが分かった。このことは、A8−AcOにおけるアルコール分子は、液体状態を維持しつつも、ヒドロキシル基を介してAcO−LDHのホスト層と相互作用することを示唆する。また、このような特徴により、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物において、アルコール分子が均一に位置することができ、その結果、本発明のアクチュエータの高精度動作および層間隔の制御性を達成できる。
図11は、参考例1および9のTG−DTAプロファイルを示す図である。
図11(A)および(B)は、それぞれ、参考例9のA8−AcOおよび参考例1のAcO−LDHのTG−DTAプロファイルである。図11(B)のTGプロファイルによれば、100℃〜200℃にAcO−LDH中の結晶性の水の重量損失を示したが、それ以外の重量損失は見られなかった。一方、図11(A)のTGプロファイルによれば、50℃付近に第1の重量損失1110および100℃〜200℃に第2の重量損失1120を示した。第1の重量損失1110は、A8−AcO中のオクタノール(A8)の重量損失に相当する。第2の重量損失1120は、AcO−LDHと同様に、A8−AcO中の結晶性の水の重量損失に相当する。このことから、アルコールが継続的に供給されて、アルコールの揮発が補填される限りにおいては、本アクチュエータは結晶性の水が揮発し始める100℃までの高温環境下で使用可能であることが示唆される。
図12は、実施例13のXRDパターンを示す図である。
図12において、A10(C1021OH):A5(C11OH)=1:0、および、0:1XRDパターンは、それぞれ、図6のXRDパターン(k)および(g)と同一である。図12のXRDパターンによれば、いずれも、A10およびA5の混合比によらず、同様の半値幅を示した。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、少なくとも2種のアルコールとして異なる2種の液体アルコールを含有しても、層構造の結晶性秩序を維持することが確認された。
さらに、図12のd00(3n)の回折ピークに注目すると、A10(デカノール)とA5(ペンタノール)との混合において、A10の割合が増大するにつれて、低角側に単調にシフトした。これは、図6を参照して説明した、参考例10のA10−AcOのXRDパターンのd00(3n)の回折ピークが、参考例6のA5−AcOのそれよりも低角側に位置することに一致した。
図13は、実施例13の層間隔と混合比との関係を示す図である。
図13によれば、A10(デカノール)とA5(ペンタノール)との混合において、A10の割合が増大するにつれて、ほぼ線形に層間隔が増大した。より詳細には、層間隔は、A10の割合(重量比)が0から1まで増大するにつれて、約20Åから28Åまで1Å未満(サブオングストローム)の増分で増大した。
図14は、実施例14のXRDパターンを示す図である。
図14において、A5(C11OH):A6(C13OH)=1:0、および、0:1のXRDパターンは、それぞれ、図6のXRDパターン(g)および(h)と同一である。図14のXRDパターンによれば、いずれも、A5およびA6の混合比によらず、同様の半値幅を示した。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、少なくとも2種のアルコールとして異なる2種の液体アルコールを含有しても、層構造の結晶性秩序を維持することが確認された。
さらに、図14のd00(3n)の回折ピークに注目すると、A6(1−ヘキサノール)とA5(ペンタノール)との混合において、A6の割合が増大するにつれて、低角側に単調にシフトした。これは、図6を参照して説明した、参考例7のA6−AcOのXRDパターンのd00(3n)の回折ピークが、参考例6のA5−AcOのそれよりも低角側に位置することに一致した。
図15は、実施例14の層間隔と混合比との関係を示す図である。
図15によれば、A6(1−ヘキサノール)とA5(ペンタノール)との混合において、A6の割合が増大するにつれて、ほぼ線形に層間隔が増大した。より詳細には、層間隔は、A6の割合(重量比)が0から1まで増大するにつれて、約21.70Åから22.90Åまで0.1Å(サブオングストローム)の増分で増大した。
以上、図12〜図15により、本発明のアクチュエータは、選択するアルコールの組み合わせに応じて動作範囲を制御できるとともに、組み合わせたアルコールの混合比を適宜制御するだけで、サブオングストロームの精度で動作を制御できることが示された。また、本発明のアクチュエータは、少なくとも2種の液体アルコールの混合比を0〜1:1〜0の間で制御することにより、少なくとも2種の液体アルコールそれぞれ単体で達成される層間隔の間を連続かつ線形に動作可能であることが示された。
また、参考例2〜12に示すように、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物が単一のアルコールを含有した際の層間隔を参照すれば、当業者であれば、用途や目的に応じたアクチュエータの動作範囲を達成するために、適宜アルコールの組み合わせを選択できる。
図16は、参考例6、7および実施例14のシンクロトロンXRDパターンを示す図である。
図16における実施例14のXRDパターンは、A6(1−ヘキサノール)とA5(ペンタノール)との混合比(重量比)が0.5:0.5であるA5,A6−AcOのXRDパターンである。図16によれば、実施例14のA5,A6−AcOのシンクロトロンXRDパターンのd00(3n)の回折ピークは、参考例6のA5−AcOおよび参考例7のA6−AcOのそれの中間に位置することが分かった。このことは、少なくとも2種のアルコールを層状複水酸化物に挿入することにより、単一アルコールでは達成できない中間の層間隔を可能にすることを示唆する。
表3には、A5およびA6の混合比を変化させた場合の粉末XRD回折の結果を示す。
表3によれば、A5およびA6の混合比において、A6の割合が増大するにつれて、層間隔がほぼ線形に増大することが分かる。
図17は、実施例13のシンクロトロンXRDパターンを示す図である。
図17における実施例13のXRDパターンは、A10(デカノール)とA5(ペンタノール)との混合比(重量比)が0.4:0.6であるA5,A10−AcOのXRDパターンである。図17によれば、実施例13のd00(3n)の回折ピークは、参考例1のそれと同様にシャープであった。このことは、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、少なくとも2種のアルコールが挿入された後であっても、層間隔の結晶秩序構造を維持することを意味する。
ここで、結晶サイズおよび格子歪みをWilliamson−Hallの以下の式を用いて算出した。
βcosθ/λ=1/t+2ε・sinθ/Kλ
ここで、βは半値幅(ラジアン)であり、θは回折角であり、λはX線の波長(0.65298Å)であり、tは結晶サイズ(nm)であり、εは格子歪みであり、Kは補正係数(ここでは0.9である)である。
図17の挿入図は、各回折ピークに対して、sinθ/Kλを変数として上記式のβcosθ/λの値をプロットした図である。結晶サイズおよび格子歪みは、それぞれ、131nmおよび0.0052%と算出された。算出された結晶サイズは、実施例13のA5,A10−AcOにおける層状複水酸化物(AcO−LDH)が60層を有することを示す。また、算出された格子歪みは、無視できるほどに小さく、2種のアルコールの挿入によっても層状複水酸化物に歪みを生じないことが分かった。
図18は、実施例15のXRDパターンを示す図である。
図18における実施例15のXRDパターンは、A8(オクタノール)とA12(ドデカノール)との混合比(重量比)が、0.6:0.4および0.8:0.2であるA8,A12−AcOのXRDパターンである。
図12および図14と同様に、図18のXRDパターンによれば、いずれも、A8およびA12の混合比によらず、同様のXRDパターンを示した。さらに、図18のd00(3n)の回折ピークに注目すると、A8(オクタノール)とA12(ドデカノール)との混合において、A12の割合が増大するにつれて、低角側に単調にシフトした。これは、図6を参照して説明した、参考例11のA12−AcOのXRDパターンのd00(3n)の回折ピークが、参考例9のA8−AcOのそれよりも底角側に位置することに一致した。
図19は、実施例15のDSCプロファイルを示す図である。
プロファイル(a)は、A8(オクタノール)とA12(ドデカノール)とを混合比(重量比)0.4:0.6で混合したアルコールのDSCプロファイルを示す。プロファイル(b)は、AcO−LDHにA8とA12とを混合比(重量比)0.4:0.6で含有させたA8,A12−AcOのDSCプロファイルを示す。
プロファイル(a)によれば、A8とA12との混合アルコールは、冷却時に、相分離を伴う2つの連続する相転移を−5.4℃および−32.1℃に示した。一方、プロファイル(b)によれば、A8,A12−AcOは、冷却時に、単一の相転移を−12.9℃に示した。この相転移は、インターデジテートにより層状になったA8およびA12が有するアルキル鎖の液晶からゲルへの相転移に相当する。
以上より、AcO−LDHに挿入された少なくとも2種の液体アルコールは、熱力学的に均一な液相またはガラス相を形成することが確認された。すなわち、少なくとも2種の液体アルコールはAcO−LDHの層間で混じりあっていることが示された。
図20は、比較例16のXRDパターンを示す図である。
図20には、A5−COのXRDパターンとともに、ペンタノール(A5)を含有させる前の層状複水酸化物MgAl(OH)(CO)・2HOのXRDパターンを併せて示す。
図20によれば、A5−COのXRDパターンの回折ピークは、A5を含有させる前の層状複水酸化物のそれに一致した。すなわち、アルコールの含有によっても層状複水酸化物の層間隔に何ら変化がなかった。このことは、層状複水酸化物としてMgAl(OH)(CO)・2HOをアルコールに接触させても、層間にアルコールを挿入できないことを示す。
図21は、比較例17のXRDパターンを示す図である。
図21には、A5−ClOのXRDパターンとともに、ペンタノール(A5)を含有させる前の層状複水酸化物MgAl(OH)(ClO)・2HOのXRDパターンを併せて示す。
図20と同様に、図21によれば、A5−ClOのXRDパターンの回折ピークは、A5を含有させる前の層状複水酸化物のそれに一致した。すなわち、アルコールの含有によっても層状複水酸化物の層間隔に何ら変化がなかった。このことは、層状複水酸化物としてMgAl(OH)(ClO)・2HOをアルコールに接触させても、層間にアルコールを挿入できないことを示す。
以上より、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、好ましくは、イオン半径が大きく層間の静電相互作用が比較的弱いとされる有機アニオンからなるゲストを有することが確認された。
図22は、比較例18のXRDパターンを示す図である。
図22によれば、1−ペンタンスルホン酸ナトリウムおよび1−デカンスルホン酸ナトリウムの混合物(混合モル濃度比1:1)でアニオン交換された層状複水酸化物のXRDパターンの回折ピークは、図16とは異なり、1−ペンタンスルホン酸ナトリウム単体でアニオン交換された層状複水酸化物、および、1−デカンスルホン酸ナトリウム単体でアニオン交換された層状複水酸化物のXRDパターンのそれぞれの回折ピークの中間にあるものの、その回折強度は低かった。また、アルキルスルホン酸の混合物でアニオン交換された層状複水酸化物は、極めて回折強度が低いながらも、アルキルスルホン酸単体でアニオン交換された層状複水酸化物の回折ピークも有した。
このことは、アルキルスルホン酸の混合物でアニオン交換された層状複水酸化物の層間隔は、アルコールが挿入されたAcO−LDHのそれと異なり、アルキルスルホン酸単体でアニオン交換された層状複水酸化物が達成する層間隔の組み合わせにならないことを示す。
以上より、本発明のアクチュエータは、好ましくは、イオン半径が大きく層間の静電相互作用が比較的弱いとされる有機アニオンからなるゲストを有する層状複水酸化物に加えて、そのホスト層間に少なくとも2種のアルコールを含有する。
図23は、参考例1、参考例19〜22および比較例23〜24のXRDパターンを示す図である。
XRDパターン(a)〜(g)は、それぞれ、参考例1、参考例19〜22および比較例23〜24のXRDパターンである。XRDパターン(a)は、図6のXRDパターン(a)と同一であり、d003およびd006の明瞭な回折ピークを示した。同様に、参考例19〜22のいずれも、d003、d006およびd009の明瞭な回折ピークを示した。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物に、アルコールとして蒸気アルコールを含有させても、その層構造は維持されており、安定であることが分かった。
さらに、参考例1と、参考例19〜22とのXRDパターンを比較すると、d003、d006およびd009の回折ピークは、いずれも、アルコールの含有に伴い、低角度側にシフトすることが分かった。すなわち、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、液体アルコールと同様に、蒸気アルコールを含有することにより、層間隔が増大することが確認された。
また、参考例1と、参考例19〜22とのXRDパターンを比較すると、d003、d006およびd009の回折ピークは、いずれも、アルコール(C2n+1OH)の炭素数(n)の増大に伴い、より低角度側にシフトすることが分かった。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物に含有させる蒸気アルコールを適宜選択することにより、アクチュエータの動作範囲を制御できることが示唆される。
一方、比較例23〜24のXRDパターンの回折ピークの位置は、参考例1のそれと一致した。このことから、蒸気アルコールの場合、C2n+1OH(n≧5)のアルコールをAcO−LDHに含有させても、層間隔を変化させないことが分かった。
以上より、本発明のアクチュエータが少なくとも2種のアルコールとして蒸気アルコールを有する場合、C2n+1OH(n≦4)が好ましいことが確認された。
図24は、参考例20のAFM観察の結果を示す図である。
図24によれば、AcO−LDHを蒸気アルコールとしてエタノール(A2V)に晒すことによって、AcO−LDHの高さが増大することが分かる。すなわち、AcO−LDHは、その積層方向の層間に蒸気アルコールを挿入することにより、その層間隔が変化することを示す。以上より、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、液体アルコールに加えて、蒸気アルコールを層間に有することが示された。
図25は、参考例20を蒸気エタノールおよび乾燥窒素に繰り返し晒した際の高さの変化を示す図である。
図25によれば、A2V−AcOは、乾燥窒素および蒸気エタノール(A2V)に繰り返し晒すことによって、その高さ(すなわち層間隔)を繰り返し変化させることが分かる。詳細には、A2V−AcOを乾燥窒素下に晒した際の高さは、175nmであり、蒸気エタノールに晒した際の高さは、195nmであり、それぞれの高さは、乾燥窒素および蒸気エタノールに繰り返し晒しても変化しなかった。このことから、本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物は、その層間への蒸気アルコールの挿入および脱離を繰り返し行うことが示された。
図26は、参考例20の雰囲気に依存したXRDパターンの経時変化を示す図である。
図26(A)は、AcO−LDHを蒸気エタノール(A2V)に晒した際のXRDパターンの経時変化を示す。図26(B)は、A2V−AcOを乾燥窒素に晒した際のXRDパターンの経時変化を示す。
図26(A)によれば、XRDパターンのd003の回折ピークは、A2Vに晒してから約3分後に低角側にシフトした。すなわち、AcO−LDHは、その層間にA2Vを挿入するに約3分を要することが分かった。一方、図26(B)によれば、XRDパターンのd003の回折ピークは、乾燥窒素に晒してから約2分後に回折ピークが消失し、約8分後に高角側にシフトした。すなわち、A2V−LDHは、その層間からA2Vを脱離するに約8分を要することが分かった。AcO−LDHへの蒸気アルコールの挿入の方が、その脱離よりも高速に生じるのは、AcO−LDH内に位置するアルコール分子のピラー効果に起因する。
本発明のアクチュエータを構成する層状複水酸化物を用いれば、アクチュエータの動作1サイクル(層間隔が最小値から最大値へと変化し、次いで、最大値から最小値へと変化する)に要する時間は、約10分程度であるといえる。この動作時間は、液体または蒸気分子を用いた既存のアクチュエータの動作1サイクルに要する時間(数時間)に比較して、極めて速いことが分かる。また、この動作時間は、例えば、YoshidaらのNature 1995,374,240に記載の櫛形グラフト重合体に基づくヒドロゲルアクチュエータのそれに匹敵した。
図27は、参考例19、20および実施例25の粉末XRDパターンを示す図である。
図27における実施例25のXRDパターンは、A1V(メタノール)とA2V(エタノール)との混合比(モル濃度比)が0.5:0.5であるA1V,A2V−AcOのXRDパターンである。図27によれば、実施例25のA1V,A2V−AcOのシンクロトロンXRDパターンのd00(3n)の回折ピークは、参考例19のA1V−AcOおよび参考例20のA2V−AcOのそれの中間に位置することが分かった。このことは、少なくとも2種の蒸気アルコールを層状複水酸化物に挿入することにより、単一アルコールでは達成できない中間の層間隔を可能にする。
なお、A1VとA2Vとの混合比が0.5:0.5以外の場合のd00(3n)の回折ピークは、A1V−AcOおよびA2V−AcOの回折ピークの間の混合比に応じて位置することが分かった。これにより、挿入される少なくとも2種の蒸気アルコールの混合比を適宜制御することにより、上述の中間の層間隔以外の層間隔を可能とする。
以上より、本発明のアクチュエータは、少なくとも2種の蒸気アルコールの混合比を0〜1:1〜0の間で制御することにより、少なくとも2種の蒸気アルコールそれぞれ単体で達成される層間隔の間を連続かつ線形に動作可能であることが示唆される。
上述してきたように、本発明によるアクチュエータは、ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物と、ホスト層の層間に位置する少なくとも2種のアルコールと備え、少なくとも2種のアルコールの混合比は、0〜1:1〜0の間で可変である。これにより、本発明のアクチュエータは、層状複水酸化物の層(ホスト層)間に位置するアルコールの混合比の変動に起因して連続、線形かつサブオングストロームの動作(アクチュエーション)を可能にする。このような本発明のアクチュエーションは、電気配線を用いない動力源としてマイクロ流路や微小電気機械素子(Micro Electro Mechanical Systems, MEMS)に適用されうる。または、機械応答分子の微細制御に適用され得る。
100 層状複水酸化物
110 ホスト層
120 ゲスト
130 第1のアルコール
140 第2のアルコール
150 インターデジテート
特開2002−371952号公報
Nabetaniら,J.Am.Chem.Soc.2011,133,17130 Iyiら,Chem.Lett.2010,39、591

Claims (16)

  1. ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物と、
    前記ホスト層の層間に位置する少なくとも2種のアルコールと
    を備え、
    前記少なくとも2種のアルコールの混合比は可変であり、
    前記少なくとも2種のアルコールの供給によって、サブオングストロームで動作可能な前記層状複水酸化物の前記ホスト層の層間隔を変化させることによるアクチュエータ。
  2. 前記少なくとも2種のアルコールの混合比は、0〜1:1〜0の範囲で可変である、請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記ホスト層は、[MII 1−yIII (OH)]で表され、
    前記ゲストは、[(Xn−y/n・mHO]で表され、
    ここで、MIIは2価の金属イオンであり、MIIIは3価の金属イオンであり、Xは前記有機アニオンであり、nは前記有機アニオンの価数であり、yは0.2〜0.33の範囲であり、m=(1−3y)/2を満たす、請求項1に記載のアクチュエータ。
  4. 前記MIIはMgであり、前記MIIIはAlである、請求項3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記有機アニオンは、カルボン酸アニオンである、請求項1に記載のアクチュエータ。
  6. 前記カルボン酸アニオンは、酢酸アニオンである、請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記少なくとも2種のアルコールは、前記ホスト層中のヒドロキシ基または水分子と水素結合する、請求項1に記載のアクチュエータ。
  8. 前記少なくとも2種のアルコールは、RCHOHまたはHOCHCHOHで表される1級アルコールである(ここで、 、同一または別異の官能基を含むまたは官能基を含まない炭化水素基である)、請求項1に記載のアクチュエータ。
  9. 前記1級アルコールは、C2n+1OH(n≧1)またはHOC2nOH(n≧1)である、請求項8に記載のアクチュエータ。
  10. 前記少なくとも2種のアルコールは、互いにインターデジテートするように位置する、請求項1に記載のアクチュエータ。
  11. 前記少なくとも2種のアルコールは液体である、請求項1に記載のアクチュエータ。
  12. 前記少なくとも2種のアルコールは蒸気である、請求項1に記載のアクチュエータ。
  13. 前記少なくとも2種のアルコールは、C2n+1OH(n≦4)を満たす、請求項12に記載のアクチュエータ。
  14. ホスト層と有機アニオンからなるゲストとを有する層状複水酸化物と、前記ホスト層の層間に位置する、混合比が可変な少なくとも2種のアルコールとを備え、サブオングストロームで動作可能な前記層状複水酸化物の前記ホスト層の層間隔を変化させることによるアクチュエータを制御する方法であって、
    前記アクチュエータに前記少なくとも2種のアルコールを供給し、前記層状複水酸化物に含有される前記少なくとも2種のアルコールの混合比を変化させる、方法。
  15. 前記少なくとも2種のアルコールを液体で供給する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記少なくとも2種のアルコールを蒸気で供給する、請求項14に記載の方法。
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