JP5860323B2 - 電気刺激用生体電極 - Google Patents

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Description

本発明は、低周波治療機器や干渉波治療器、電気治療器、痩身用機器などの電気刺激を生体に与える電気刺激機器に接続し人体に貼付する電気刺激用生体電極に関する。
心電や脳波等を生体電気信号に基づいて計測したり、その反対に電気治療器などでは体内へ電気信号を送り込んだりすることが生体用電気機器を通じて行われている。これらの計測や治療には、生体と生体用電気機器との間に介在する媒体として生体用電極が重要な役割を担っている。この生体用電極について例えば特開平8−243085号公報(特許文献1)等に記載されている。
特開平8−243085号公報
生体用電気機器の中でも心電図などの生体電気信号を捉える生体電気信号取得機器においては、心電等の微弱な電位を捉える必要があることから比較的電気抵抗が小さな生体用電極が用いられる。しかしながら、生体に電気信号を与える電気刺激機器に用いられる生体用電極、即ち電気刺激用生体電極では、電気抵抗が小さすぎると、生体にピリピリ感を与える等の不都合を生じる場合がある。そのため、電気刺激用生体電極の場合には、比較的抵抗値が高い材料を用いることが検討されるが、単に抵抗値だけみると、銅を1とした場合、ステンレスで30倍、カーボンで800倍になるため、単にカーボンを用いるだけでは高抵抗すぎて発熱や出力の減少などの不具合が生じると予測される。
そこで本発明は、こうした不具合の生じない電気刺激用生体電極を提供することを目的としてなされたものである。
上記目的を達成するために、導電性ゲル、電極エレメント、電線コード、粘着剤層、支持基材の順に積層した積層構造を有しインピーダンスが20Ω〜100Ω以下の電気刺激用生体電極であって、電極エレメントが80Ω〜1200Ωの表面抵抗と1〜20kΩ・cmの抵抗率を有するカーボン素材であり、電線コードの芯材がカーボンファイバーである電気刺激用生体電極を提供する。
電気刺激用生体電極のインピーダンスを20Ω〜100Ω以下としたため、生体に電気刺激を与える電気刺激機器用の生体電極として、生体にピリピリ感などの不快感を与えずに所望の治療効果を発揮することができる。
また、電極エレメントが80Ω〜1200Ωの表面抵抗と1〜20kΩ・cmの抵抗率を有するカーボン素材であるため、カーボンファイバーを用いた電線コードとの組合せで通電性が好適である。さらに、電線コードの芯材がカーボンファイバーであるため、その抵抗(μΩ・cm)自体は高いものの、カーボン素材である電極エレメントとの組み合わせに優れ、局所的な発熱、温度上昇を防止することができる。
また、電極エレメントのカーボン素材をカーボン練り込みフィルムとすることができる。電極エレメントのカーボン素材をカーボン練り込みフィルムとすれば、金属箔などと比べて強度に優れ、柔軟性や可撓性がある。さらに、80Ω〜1200Ωの表面抵抗と1〜20kΩ・cmの抵抗率とすること、およびこの数値の範囲内で適度に抵抗値を調整することができること、などに優れ、所望のインピーダンスを有する電気刺激用生体電極を簡単に得ることができる。
こうした芯材や電極エレメントに用いられるカーボン素材は、腐蝕の問題が起きにくく、また軽量であって取扱い性にも優れている。
また、電線コードに用いるカーボンファイバーの太さを4μm〜10μmとすることができる。
カーボンファイバーの太さを4μm〜10μmとしたため、電極エレメントとの間で十分な接触面積を確保することができる。そのため、電極エレメントと電線コードとの接続部分での無用な発熱や温度上昇、電気刺激用生体電極自体のインピーダンスの上昇を抑えることができる。
さらに、電線コードの芯材にカーボンファイバーに加えて補強線を含む電気刺激用生体電極とすることができる。電線コードの芯材にカーボンファイバーに加えて補強線を含むため、カーボンファイバーのもろさを補い電線コードの屈曲耐性を向上させることができる。
そして、電極エレメント上にカーボンファイバーと補強線とを分離して固定する電気刺激用生体電極とすることができる。電極エレメント上でカーボンファイバーと補強線とを分離して固定したため、電極エレメントとカーボンファイバーとの間に補強線が入り込みにくく、電極エレメントとカーボンファイバーとの接触、固定が補強線によって妨げられない。したがって、芯材に補強線を含みながら、電極エレメントとの接触抵抗の高抵抗化を抑制することができる。また、電極エレメントと補強線との固定もされるため、電極エレメントとカーボンファイバーとを固着するだけの場合と比較して固着力が高まり、電気刺激用生体電極から電線コードを抜け難く、また切断し難くすることができる。
本発明の電気刺激用生体電極は、好適なインピーダンスを有し、局所的な発熱を起こし難い電気刺激用生体電極である。
電気刺激用生体電極の平面図である。 図1のSA−SA線模式断面図である。 電極エレメントに固着する電線コード先端部の別の実施形態を示す平面図である。
本発明について図面を参照しつつ以下に説明する。なお、変更例を示す場合には変更箇所を説明するものとし、変更前共通する構成、材質、製造方法、作用効果等については重複説明を省略する。
図1には、電気刺激用生体電極11の平面図を示し、図2には模式断面図を示す。電気刺激用生体電極11は、図1で示すように、生体に貼付する部分は平面視で略長方形状であり、この部分は図2で示すように、導電性ゲル12、電極エレメント13、電線コード14、粘着剤層15、支持基材16がこの順に積層した積層構造を有している。
電線コード14は、電気を流す芯材14aを絶縁樹脂で被覆した被覆電線14bの一方側に電気刺激機器への接続端子となるコネクタ14cを有し、もう一方側には絶縁樹脂が削がれ芯材14aが剥き出しになっている。
導電性ゲル12は、電気刺激用生体電極11にあって生体の皮膚に直接的に接触する部位である。導電性ゲル12は、保形性を有し、予め所定の厚みや形状に形成しておくことができるだけでなく、柔軟性があって容易に変形し得るので、皮膚等に対する密着性が高い。また、電極エレメント13に一体化させ易いことも好ましい。
この導電性ゲル12を設けずに電極エレメント13を皮膚に直接的に接触させただけでは、電極エレメント13と生体とが電気的に接合されず、電極エレメント13と皮膚との不安定な接触による複雑な電位やインピーダンスが生じて生体に電気信号を精度良く送ることができないが、導電性ゲル12を設けることで、電気刺激用生体電極11を生体表面に密着させることが可能となる。この導電性ゲル12の厚みは、電流が均一に流れること、生体へのフィット性の向上などの理由から0.3mm〜2.0mm程度が好ましい。
導電性ゲル12は、重合性単量体に、架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に、可塑剤と、溶媒成分と、電解質塩とを含む導電性ゲル12を好適に用いることができる。こうした導電性ゲル12は、体温や加熱により網目構造が崩れず、皮膚の表面に当接した際に粘着性を有し、あるいはゲル表面の水分の表面張力によって密着性を有するものである。また、生体との界面で濡れが良好で均一に密着し、剥離時に崩壊しない。
重合性単量体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ有する単量体であれば良く、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)ルアクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその塩、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸とその塩等の(メタ)アクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド誘導体、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びその塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体は、1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、上記例示において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
架橋性単量体としては、分子内に重合性を有する二重結合を2以上有している単量体を使用することが好ましい。具体的には、メチレンビス〈メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ〈メタ)アクリレート、(ポリ)プロビレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これら単量体は、1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
可塑剤としては、可塑性を向上させる多価アルコールを使用することが好ましい。また、溶媒成分の保持力があり、湿潤剤としての役割も果たす多価アルコールを使用することが好ましい。ゲルは、高分子マトリックス内に、可塑剤を含むことにより良好な粘弾性特性を有する。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の2価以上の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体等が使用可能である。これら多価アルコールは、1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。これら多価アルコールの内、常温で液状であることが、ゲルの粘弾性特性を維持する点、重合反応後のゲル体の透明性を確保する点、製造時のハンドリング性を向上させる点で望ましい。そのような多価アルコールとして、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
溶媒成分としては、沸点が高く、常温で低い蒸気圧の極性溶媒が好ましく、重合性単量体及び架橋性単量体と相溶性のあるものが好ましい。溶媒成分としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら溶媒成分は、1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。混合してもよい。また、溶媒成分は、水を全量の10重量%以上含むことが好ましい。
導電性ゲル12の導電性は、ゲルが電解質塩を含むことにより得られる。
電解質塩としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属又はその他の金属ハロゲン化物や、各種金属の次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、アンモニウム塩や、各種錯塩等の無機塩類や、酢酸、安息香酸、乳酸、酒石酸等の一価有機カルボン酸塩や、フマル酸、コハク酸、アジビン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩や、スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩及び有機アンモニウム塩や、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の高分子電解質の塩が使用できる。これら電解質塩は、1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
導電性ゲル12には、必要に応じて防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、pH調整剤、香料、界面活性剤、着色剤等の他の添加剤を適宜添加してもよい。添加する方法としては、あらかじめ配合液に他の添加剤を溶解又は分散させ、高分子マトリックスを形成する方法と、一旦生成した高分子ゲルに後から添加する方法がある。
電極エレメント13は、一般的にはアルミニウムや銅、ニッケル、ステンレスなどの金属箔や、これらの金属をフィルムや繊維・布の表面に蒸着や塗布した金属複合物が用いられる。硬く柔軟性に乏しいことから生体表面に対する追随性が不十分になり易いこと、また、イオン化し易く、腐食(孔食)や酸化(錆)が起こると安定性や導電性能が低下すること、などの欠点もあるが、金属箔は比較的安価であり導電性が高いからである。また、カーボンは導電性はあるが抵抗が高いため局所的に発熱するおそれが考えられ好適には用いられていなかった。一方、電線コード14の芯材14aとしては、一般的には銅や鉄、ステンレスといった金属線が用いられ、カーボンファイバーは、金属線に比較すると抵抗が高いことから特殊な用途、例えばX線に影が写ることを避けるために金属線をなるべく用いないようにしたX線透過型心電図測定用電極等以外にはあまり用いられていなかった。
このように、一般的には、電極エレメント13には金属箔を用い、電線コード14の芯材14aにも金属線を用いている。ところが、電気刺激機器では抵抗が低くなりすぎ必要以上に電気が流れやすいとピリピリ感を感じさせてしまう。この点で、生体の微弱な電流を回収し機器で計測する心電図計等の生体電気信号取得機器とは異なる。
電気刺激用生体電極11では、電極エレメント13にカーボン素材を用いる。カーボンは不活性素材であるため、安定な電気刺激用生体電極が形成できる点で好ましく、何よりも後述する電線コード14との関係を考慮してカーボン素材が選択される。
カーボン素材を用いた電極エレメント13には、カーボンファイバーシートや、カーボンガスケット素材、カーボン練り込みフィルム等の態様が挙げられる。
カーボンファイバーを織布とするカーボンファイバーシートは、一般的には表面抵抗は低抵抗であるが抵抗率が高く、また硬く高価である。カーボンを圧縮して得たカーボンガスケット素材からなる態様は、カーボン単体であるため一般的には表面抵抗は低抵抗であるが抵抗率が高く、また強度が弱い。ポリエチレンや塩化ビニル、ポリウレタンなどの樹脂バインダーにカーボンを練り込んでシート状としたカーボン練り込みフィルムは、強度が向上し、柔軟性を有しているが、樹脂バインダーの非導電性が影響し一般的には100Ω〜500Ωほどの高抵抗である。こうした態様の中で、電極エレメント13としては80Ω〜1200Ωの表面抵抗と1〜20kΩ・cmの抵抗率とに調製したカーボン素材を用いる。したがって、カーボン練り込みフィルムは、抵抗値が高いものの、強度や取扱い性の点で優れている。また、カーボン練り込みフィルムに用いられる樹脂バインダーはポリウレタン系樹脂が好ましい。柔軟性があることや、導電性ゲル12との接着性に優れているからである。
また、電気刺激用生体電極11では芯材14aにカーボンファイバー14a1と補強線14a2の混合線を用いている。カーボンファイバー14a1の抵抗(μΩ・cm)は、銅やステンレスなどの金属線に比べて1桁から2桁オーダーほど大きいが、前記カーボン素材からなる電極エレメントとの組合せで電気刺激用生体電極11に好適なインピーダンスをもたらすことができる。
このカーボンファイバー14a1の太さは4μm〜10μmが好ましい。4μmより細いと強度が低く折れやすくなるからであり、10μmより太いと電極エレメントとの接触部分が少なくなり、接触不良を起こすおそれがあるからである。また、1本の被覆電線14bあたりのカーボンファイバー14a1の本数は、1000本〜5000本が好ましい。1000本〜5000本の範囲とすれば通電が安定し、屈曲強度に優れ、被覆電線14bとしての柔軟性も良好だからである。
また、補強線14a2の素材はポリエステル繊維やナイロン繊維、アラミド繊維等、種々の繊維を適用することができる。補強線14a2の太さは20デニール〜500デニールであることが好ましい。20デニールよりも細いと十分な強度が得られないからであり、500デニールより太いとカーボンファイバー14a1と電極エレメントとの接触、固定がし難くなり、また電線コードの柔軟性が劣るからである。また、1本の被覆電線14bあたりの補強線14a2の本数は、1000本〜10000本であることが好ましい。1000本より少ないと十分な屈曲耐性が得られず、10000本を超えても要求する屈曲耐性よりも上がらないからである。
このように、電気刺激用生体電極11では、電極エレメント13と電線コード14の芯材14aの双方にカーボン素材を用いている。先述のようにカーボン素材は導電性はあるものの抵抗値は比較的高いため、電極エレメント13と電線コード14の双方にカーボン素材を用いたのでは、いくら電気刺激機器に用いるといっても抵抗が高くなりすぎると考えられる。
しかしながら、後述の各例で示した実験結果からわかるように、電線コード14に金属線を用いて抵抗値を下げても、あるいは、電極エレメント13のカーボン素材に低抵抗のカーボン素材を用いても結果は好ましくなく、抵抗値が所定の範囲にあるカーボン素材からなる電極エレメント13とカーボンファイバー14a1製の芯材14aの組合せが要求するインピーダンス特性や、刺激感、出力特性、消費電力特性を満足している。
即ち、電極エレメント13がカーボン素材であり、芯材14aがカーボンファイバー14a1であることは、それぞれ単独では高インピーダンスの部材でありながら、電極エレメント13と芯材14aとの間での接触抵抗を下げることができ、電気刺激用生体電極11全体のインピーダンスを下げること、そして局所的な発熱を抑制すること、ができたものと思われる。
電極エレメント13と電線コード14とのこうした接触は、芯材14aとしてカーボンファイバー14a1以外に補強線14a2を含む場合には、カーボンファイバー14a1と補強線14a2とを分けて電極エレメント13上に固定することが好ましい。電極エレメント13とカーボンファイバー14a1との間に補強線14a2が入り込むと、電極エレメント13とカーボンファイバー14a1との接触が悪くなって抵抗が高くなるからである。また、カーボンファイバー14a1と補強線14a2とが分離して固定されるため、固定が強固になり、電線コード14が引っ張られても抜けにくくなる。
こうした電極エレメント13に対する芯材14aの固定は、図1で示すように補強線14a2を一つにまとめてカーボンファイバー14a1と分離する方法や、図3(A)で示すように補強線14a2の両端に分けてカーボンファイバー14a1と分離する方法、さらには図3(B)で示すようにカーボンファイバー14a1と分けるけれども補強線14a2どうしはまとめずに広げて配置する方法等、種々の方法が挙げられる。
なお、カーボンファイバー14a1も図示したように一つにまとめずに、分散させて電極エレメント13に固定することもできる。
電極エレメント13の抵抗は、表面抵抗が80Ω〜1200Ωであり、抵抗率が1〜20kΩ・cmである。表面抵抗が80Ω、抵抗率が1kΩ・cmよりも低いと、通電が良すぎてピリピリ感を与える場合があるからである。また、表面抵抗が1200Ω、抵抗率が20kΩ・cmよりも高いと、通電量が多くなり無駄であることや、局所的に電流が流れるおそれがある。
また、電極エレメント13には孔が開いていないことが好ましい。その理由は、導電性ゲル12の水分や塩分が電極コード14に移行して電極コード14を傷めることがないようにするためである。
電極エレメント13の厚みは、生体へのフィット性や電流が均一に流れるように50μm〜200μmとすることが好ましい。
支持基材16は、電極エレメントおよび電線コード15の芯材14aが剥き出しにならないように被覆するもので、一般的な絶縁性樹脂、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、PET、ポリウレタン等の各種樹脂フィルムを用いることができる。また、粘着剤層15は、電極エレメント13上に電線コード14を固定し支持基材16と固着する機能を有するもので、一般的な樹脂粘着剤を用いることができる。
次に、実験例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明がこうした実験例に限定されるものではない。
<各種電気刺激用生体電極の作製>
例1
電極エレメントとして厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値250Ω、抵抗率16600Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(クレハエラストマー社製)に、導電性ゲルとしてハイドロゲル(積水化成品工業社製テクノゲルSRRA)を貼り合わせ、50mm×90mm×10mmの形状に打ち抜いた。さらに、電極エレメントのハイドロゲルを積層した面とは反対側の面に電極エレメントの長手方向に沿って電線コードを配置した。このとき、60mm長の剥出しになったカーボンファイバーがその電極エレメントの中央に来るようにし、同長のナイロン製の補強線はこのカーボンファイバーから選り分けて配置した。このように電線コードには太さ7μmの3000本のカーボンファイバーと、太さ250デニールの6000本のナイロン繊維とをまとめて塩化ビニール被覆した比抵抗1700μΩ・cmの被覆電線(荻野電線社製)100mmを用いており、その一方の先端60mmでは芯材を剥き出しにし、他方ではコネクタを接続している。そして、さらにその上に、不織布(デュポン社製ソンタラ(商品名))にアクリル粘着剤を塗布して粘着加工してある支持基材の粘着面を貼り付け、電線コードを固定させるとともに電極エレメントが皮膚に接触しないようにした。こうして例1の電気刺激用生体電極を得た。
例2
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値600Ω、抵抗率2400Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(三菱樹脂社製)に代えた以外は例1と同様にして例2の電気刺激用生体電極を得た。
例3
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値120Ω、抵抗率15000Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(クレハエラストマー社製)に代えた以外は例1と同様にして例3の電気刺激用生体電極を得た。
例4
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値1150Ω、抵抗率3000Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(ケミテック社製)に代えた以外は例1と同様にして例4の電気刺激用生体電極を得た。
例5
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値40Ω、抵抗率2800Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(ケミテック社製)に代えた以外は例1と同様にして例5の電気刺激用生体電極を得た。
例6
電線コードとしての被覆電線を、8μmのステンレスファイバーを1000本まとめて塩化ビニール被覆した比抵抗72μΩ・cmの被覆電線(セキセー産業社製)に代えた以外は例1と同様にして例6の電気刺激用生体電極を得た。
例7
電線コードとしての被覆電線を、50μmの銅線を130本まとめて塩化ビニール被覆した比抵抗1.7μΩ・cmの被覆電線(セキセー産業社製)に代えた以外は例1と同様にして例7の電気刺激用生体電極を得た。
例8
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値600Ω、抵抗率16600Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(クレハエラストマー社製)に代え、電線コードとしての被覆電線を、50μmの銅線を130本まとめて塩化ビニール被覆した比抵抗1.7μΩ・cmの被覆電線(セキセー産業社製)に代えた以外は例1と同様にして例8の電気刺激用生体電極を得た。
例9
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値40Ω、抵抗率2800Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(ケミテック社製)に代え、電線コードとしての被覆電線を、50μmの銅線を130本まとめて塩化ビニール被覆した比抵抗1.7μΩ・cmの被覆電線(セキセー産業社製)に代えた以外は例1と同様にして例9の電気刺激用生体電極を得た。
例10
電極エレメントとしてのカーボン練り込みフィルムを、厚さ100μm、10mm間隔表面抵抗値220Ω、抵抗率49000Ω・cmのカーボン練り込みフィルム(ケミテック社製)に代え、電線コードとしては、ステンレスファイバーを芯材とした例6で用いた電線コードに代えた以外は例1と同様にして例10の電気刺激用生体電極を得た。
<電気的性質の測定方法>
(1)電極エレメントの抵抗値測定方法
電極エレメントの表面で10mmの間隔を開け、デジタルマルチメーターCDM−11(カスタム社製、商品名)を用いて電極エレメントの表面抵抗を測定した。
また、同じ測定機器を用いて電極エレメントの表裏両面の厚み方向の抵抗を測定した。即ち、電極エレメントの厚みは厚み計で測定し、この値から単位厚み当たりの抵抗値を算出した
(2)電気刺激用生体電極のインピーダンス測定方法
大型(75mm×150mm×1mm)のステンレス板上に空気を挟まないように例1〜例9で作製した電気刺激用生体電極を貼り付け、LCZメーター(カスタム社製LC−131R(商品名))を電線コードのコネクタとステンレス板に接続し、その間のインピーダンス(1kHz)を測定した。
<発熱・体感試験方法>
電気刺激用生体電極4枚を腹部に貼付し、電気治療器(伊藤超短波社製ES−520(商品名))を用いて30分間通電治療を行った。治療モードは、IF4, Carrier Freq. =5kHz, 250 Beats, Sweep 0 °として、出力は40mAとした。そして、電線コード取付部(電線コードと電極エレメントの接合部分)に直近の導電性ゲルの表面温度の温度上昇を、サーモグラフG−100(NEC AVIO社製、商品名)で測定した。この温度上昇は、電気刺激用生体電極を生体に貼り付ける前の状態の導電性ゲルの表面温度と、治療を終了してから15秒以内の導電性ゲルの表面温度との差から求めた。
また、通電時の刺激(ピリピリ感や痛感)については、刺激がない場合を「○」、刺激がある場合を「×」と評価した。
以上の結果を表1に示す。なお、表1において電極エレメントの抵抗率は「厚み抵抗」と略記した。
Figure 0005860323
例1〜例4の電気刺激用生体電極は、電線コード取付部の温度上昇が4.9℃以下であり、治療時の発熱が無く、また、治療時(通電時)にピリピリ感や痛感といった刺激が無い。さらに電気刺激用生体電極のインピーダンスも50Ω〜75Ωの間にある。
これに対して、電線コードの芯材にカーボン以外のステンレスや銅を用いた例6〜例10の電気刺激用生体電極では、電線コード自体の抵抗は72μΩ・cm以下と低いものの、電気刺激用生体電極インピーダンスでは何れも100Ω以上となってしまい、電線コード取付部の温度上昇が6.7℃〜9.6℃と何れも5℃を超える温度上昇となった。5℃を超える温度上昇は、低温火傷を引き起こす可能性があり好ましいものではない。
例6〜例10の結果から、電極エレメント種と芯材種の組合せが、異種素材の組合せの場合はこれらの接触抵抗が高くなり電気刺激用生体電極のインピーダンスが高くなるものと考えられる。一方、例1〜例5のカーボンとカーボンのようにカーボン同士の同種素材の組合せの場合は、電極エレメントと芯材との接触抵抗が低く、電気刺激用生体電極のインピーダンスが低下すると考えられる。
この結果から異種素材が接触すると接触抵抗が高くなるのに対し、同素材のカーボン同士ではそれぞれの抵抗が多少高くても接触抵抗を低く抑えることができ、結果的に電気刺激用生体電極のインピーダンスを下げることができたと考えられる。
また、例5、例7、例9では、局所的に刺激が発生していることが確認された。例5、例9では電極エレメントの抵抗が40Ωとなり、他の例に比べて電極エレメントの抵抗がかなり低い値となった。また、例7では電線コードの抵抗が1.7μΩ・cmとなり、他の例に比べて電線コードの抵抗がかなり低い値となった。このことから、電極エレメントまたは電線コードの抵抗が低すぎる場合は、電流が集中し易く、電極エレメントと電線コードの芯材との接触箇所で局所的な刺激が発生していると考えられる。
上記実施形態で説明した形状、原材料等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、電気刺激用生体電極の形状としては長方形以外に円形や楕円形などの種々の形状とすることができる。また、上記以外の公知の原材料の使用等も可能であり、例えば補強線14a2を含まない電線コードが挙げられる。こうした種々の変更も本発明の技術的思想の範囲に含まれるものである。
電気刺激用生体電極11は、特定の周波数をもつ電流を生体に送り込み、生体に流れた電流で治療や処置を行う低周波治療器などの電気治療器やマッサージ器、筋肉を鍛えたりリハビリさせたりするTENS機器などの生体刺激機器に好適に用いることができる。
11 電気刺激用生体電極
12 導電性ゲル
13 電極エレメント
14 電線コード
14a 芯材
14a1 カーボンファイバー
14a2 補強線
14b 被覆電線
14c コネクタ
15 粘着剤層
16 支持基材

Claims (5)

  1. 導電性ゲル、電極エレメント、電線コード、粘着剤層、支持基材の順に積層した積層構造を有しインピーダンスが20Ω〜100Ωの電気刺激用生体電極であって、
    電極エレメントが80Ω〜1200Ωの表面抵抗と1〜20kΩ・cmの抵抗率を有するカーボン素材であり、電線コードがカーボンファイバーを含む芯材を絶縁樹脂で被覆したものであり、電極エレメントと電線コードのカーボンファイバーが接触している電気刺激用生体電極。
  2. 電極エレメントのカーボン素材がカーボン練り込みフィルムである請求項1記載の電気刺激用生体電極。
  3. カーボンファイバーの太さが4μm〜10μmである請求項1または請求項2記載の電気刺激用生体電極。
  4. 電線コードの芯材にカーボンファイバーに加えて補強線を含む請求項1〜請求項3何れか1項記載の電気刺激用生体電極。
  5. 電極エレメント上に前記カーボンファイバーと補強線とを分離して固定する請求項4記載の電気刺激用生体電極。

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