しかし、上記の背景技術では、表示部に表示されている文字をコピーしたり切り取ったりすることができなかった。
なお、従来の一般的な携帯端末では、たとえば、タッチパネルの操作で所望の文字列を指定した後、メニューキーの操作でメニュー画面を呼び出し、そして再びタッチパネルの操作でコピーや切り取りを選択する、といった一連の面倒な操作が必要であった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末を提供することである。
この発明の他の目的は、タッチデバイスの簡単な操作でコピーおよび/または切り取りが行える、携帯端末を提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
第1の態様は、ディスプレイ(30)とディスプレイの画面に設けられたタッチデバイス(36)とを有する携帯端末(10)であって、画面に表示される情報を記憶する第1メモリ(90)、第1メモリに記憶された情報の一部を複製するための第2メモリ(100)、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロールするスクロール手段(24:S53)、スクロール手段による画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止する禁止手段(24:S3,S13)、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別する判別手段(24:S18)、判別手段の判別結果が第1方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1)を指定し、判別手段の判別結果が第2方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2)を指定する指定手段(24:S17,S25,S31,S37,S43)、指定手段によって指定されたコピー範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに複製する複製手段(24:S33)、および指定手段によって指定された切り取り範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに移動する移動手段(24:S45)を備える。なお、タッチデバイスは、たとえばタッチパネルやタッチスクリーンなどである。
第1の態様では、スクロール手段が、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロールする。禁止手段は、スクロール手段による画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止し、判別手段は、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき、当該スライド操作の方向を判別する。指定手段は、判別手段の判別結果が第1方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲を指定し、判別手段の判別結果が第2方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲を指定する。複製手段は、指定手段によって指定されたコピー範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに複製し、移動手段は、指定手段によって指定された切り取り範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに移動する。
第1の態様によれば、タッチデバイスの簡単な操作でコピーおよび切り取りが行える。
第2の態様は、第1の態様に従属する携帯端末であって、コピー範囲を指定するためのスライド操作は、第1方向にスライドした後さらに第2方向にスライドする第1スライド操作であり、切り取り範囲を指定するためのスライド操作は、第2方向にスライドした後さらに第1方向にスライドする第2スライド操作であり、判別手段は、スライド操作の開始直後の方向を判別する。
第2の態様では、判別手段がスライド操作の開始直後の方向を判別するので、ユーザは、コピー範囲を指定したい場合には第1方向,第2方向の順に従う第1スライド操作を、切り取り範囲を指定したい場合には第2方向,第1方向の順に従う第2スライド操作を行えばよい。
第2の態様によれば、第1方向および第2方向を組み合わせた一連のスライド操作で範囲指定を行うとき、最初どちらの方向にスライドするかで、コピーおよび切り取りのどちらが実行されるかが決まるので、操作量を増やすことなくコピーまたは切り取りの選択が行える。
第3の態様は、第2の態様に従属する携帯端末であって、第1方向は横方向(X)および縦方向(Y)の一方であり、第2方向は横方向および縦方向の他方である。
第3の態様によれば、縦方向および横方向を組み合わせた一連のスライド操作で範囲指定を行うとき、最初どちらの方向にスライドするかで、簡単にコピーまたは切り取りの選択が行える。
第4の態様は、第3の態様に従属する携帯端末であって、判別手段は、スライド操作の開始直後の方向に沿う直線(L)の傾きを閾値と比較して、傾きが閾値に満たない場合は第1方向と判別し、傾きが閾値以上の場合は第2方向と判別する。
第4の態様によれば、スライド操作の開始直後の方向に沿う直線の傾きと閾値との比較に基づいて方向判別を行うので、縦/横方向のスライド操作に限らず、斜め方向の直線(対角線)に沿うスライド操作であっても、さらには、上または下に凸の曲線に沿うスライド操作によっても、コピーまたは切り取りの選択が行える。
第5の態様は、第1ないし4のいずれかの態様に従属する携帯端末であって、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへの第1特定タッチ操作が行われたとき当該禁止状態を解除する解除手段(24:S11)をさらに備える。
第5の態様によれば、画面のスクロールを禁止する際に行ったのと同じ第1特定タッチ操作で、禁止状態の解除も行える。
第6の態様は、第5の態様に従属する携帯端末であって、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でスライド操作中にタッチデバイスへの第2特定タッチ操作が行われたとき当該禁止状態を一時解除する一時解除手段(24:S57)をさらに備える。
第6の態様によれば、画面のスクロールが禁止された状態でスライド操作中に第2特定タッチ操作を行うことで、禁止状態の一時解除も行える。
第7の態様は、第6の態様に従属する携帯端末であって、一時解除手段によって画面のスクロール禁止が一時解除された状態でタッチデバイスへの第2特定タッチ操作が行われたとき当該一時解除状態を解消する解消手段(24:S59)をさらに備える。
第7の態様によれば、画面のスクロールを一時禁止する際に行ったのと同じ第2特定タッチ操作で、一時解除状態の解消(スクロール禁止状態への復帰)も行える。
第8の態様は、第6または7の態様に従属する携帯端末であって、第1特定タッチ操作は画面の対角2端部(C1,C2)への2点タッチ操作であり、第2特定タッチ操作は、(スライド操作を行っている指とは別の指による)画面の下部への1点タップ操作、または(スライド操作を行っている指による)画面の周縁部へのロングタッチ操作である。
第8の態様によれば、スクロールの禁止または一時禁止もしくはそれらの解除のための操作を、コピーまたは切り取りのためのスライド操作や他の処理のための通常のタッチ操作とは異なる特定のタッチ操作としたことで、コピーまたは切り取りや他の処理への影響を回避できる。そして、スクロールの禁止および禁止状態の解除のための第1特定タッチ操作として、画面の対角2端部への2点タッチ操作(対角2点タッチ操作)を採用し、禁止状態の一時解除および一時解除状態の解放のための第2特定タッチ操作として画面の下部への1点タップ操作(画面下1点タップ操作)または画面の周縁部へのロングタッチ操作(周縁ロングタッチ操作)を採用したことで、コピーまたは切り取りのためのスライド操作とも連携した、優れた操作性が実現される。
第9の態様は、第1ないし8のいずれかの態様に従属する携帯端末であって、ディスプレイは、指定手段によって指定されたコピー範囲または切り取り範囲を画面にさらに表示し、画面に表示されたコピー範囲または切り取り範囲の一部または全部をなぞるスライド操作に応じて、指定手段によって指定されたコピー範囲または切り取り範囲から当該なぞった部分を除外する除外手段(24:S67)、および移動手段によって移動された情報または複製手段によって複製された情報のうち除外手段によって除外された部分の情報を第2メモリから削除する削除手段(24:S69)をさらに備える。
第9の態様によれば、画面に表示されたコピー範囲または切り取り範囲の一部または全部をなぞることで、その部分をコピー範囲または切り取り範囲から除外して、その部分の情報を第2メモリから簡単に削除できる。
第10の態様は、コピー/切り取り制御プログラム(52)であって、ディスプレイ(30)とディスプレイの画面に設けられたタッチデバイス(36)と画面に表示される情報を記憶する第1メモリ(90)と第1メモリに記憶された情報の一部を複製するための第2メモリ(100)とを有する携帯端末(10)のプロセッサ(24)を、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロールするスクロール手段(24:S53)、スクロール手段による画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止する禁止手段(S3,S13)、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別する判別手段(S18)、判別手段の判別結果が第1方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1)を指定し、判別手段の判別結果が第2方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2)を指定する指定手段(S17,S25,S31,S37,S43)、指定手段によって指定されたコピー範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに複製する複製手段(S33)、および指定手段によって指定された切り取り範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに移動する移動手段(S45)として機能させる。
第11の態様は、ディスプレイ(30)とディスプレイの画面に設けられたタッチデバイス(36)と画面に表示される情報を記憶する第1メモリ(90)と第1メモリに記憶された情報の一部を複製するための第2メモリ(100)とプロセッサ(24)とを有し、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロール可能な携帯端末(10)によって実行されるコピー/切り取り方法であって、画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止する禁止ステップ(S3,S13)、禁止ステップによって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別する判別ステップ(S18)、判別ステップの判別結果が第1方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1)を指定し、判別ステップの判別結果が第2方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2)を指定する指定ステップ(S17,S25,S31,S37,S43)、指定ステップによって指定されたコピー範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに複製する複製ステップ(S33)、および指定ステップによって指定された切り取り範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに移動する移動ステップ(S45)を含む。
第10,11の各態様によっても、第1の態様と同様に、タッチデバイスの簡単な操作でコピーおよび切り取りが行える。
第12の態様は、ディスプレイ(30)とディスプレイの画面に設けられたタッチデバイス(36)とを有する携帯端末(10)であって、画面に表示される情報を記憶する第1メモリ(90)、第1メモリに記憶された情報の一部を複製するための第2メモリ(100)、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロールするスクロール手段(24:S53)、スクロール手段による画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止する禁止手段(24:S3,S13)、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別する判別手段(24:S18)、判別手段の判別結果が所定方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1)を指定する指定手段(24:S17,S25,S31)、および指定手段によって指定されたコピー範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに複製する複製手段(24:S33)を備える。
第12の態様によれば、タッチデバイスの簡単な操作でコピーが行える。
第13の態様は、ディスプレイ(30)とディスプレイの画面に設けられたタッチデバイス(36)とを有する携帯端末(10)であって、画面に表示される情報を記憶する第1メモリ(90)、第1メモリに記憶された情報の一部を複製するための第2メモリ(100)、画面に表示された情報をタッチデバイスへのスライド操作に応じてスクロールするスクロール手段(24:S53)、スクロール手段による画面のスクロールをタッチデバイスへの第1特定タッチ操作に応じて禁止する禁止手段(24:S3,S13)、禁止手段によって画面のスクロールが禁止された状態でタッチデバイスへのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別する判別手段(24:S18)、判別手段の判別結果が所定方向を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2)を指定する指定手段(24:S17,S37,S43)、および指定手段によって指定された切り取り範囲に含まれる情報を第1メモリから第2メモリに移動する移動手段(24:S45)を備える。
第13の態様によれば、タッチデバイスの簡単な操作で切り取りが行える。
この発明によれば、タッチデバイスの簡単な操作でコピーおよび/または切り取りを行える、携帯端末が実現される。
図1には、携帯端末10のハードウエア構成が示される。図1を参照して、この発明の一実施例である携帯端末10はCPU24を含む。CPU24には、キー入力装置26、メインメモリ32,フラッシュメモリ34およびタッチパネル36が接続され、さらに、無線通信回路14を介してアンテナ12が、A/Dコンバータ16を介してマイク18が、D/Aコンバータ20を介してスピーカ22が、そしてドライバ28を介してディスプレイ30が、それぞれ接続される。タッチパネル36は、ディスプレイ30の画面上に設けられる。
アンテナ12は、図示しない基地局からの無線信号を捕捉(受信)し、また、無線通信回路14からの無線信号を放出(送信)する。無線通信回路14は、アンテナ12で受信された無線信号を復調および復号化し、また、CPU24からの信号を符号化および変調する。マイク18は、音波をアナログの音声信号に変換し、A/Dコンバータ16は、マイク18からの音声信号をディジタルの音声データに変換する。D/Aコンバータ20は、CPU24からの音声データをアナログの音声信号に変換し、スピーカ22は、D/Aコ ンバータ20からの音声信号を音波に変換する。
また、無線通信回路14は、上記のような音声通話に加えて、図示しないネットワークを介してサーバや他の携帯端末との間でデータ通信(たとえばウェブページの閲覧や電子メールの送受信など)を行う機能も有している。
キー入力装置26は、利用者によって操作される各種のキー,ボタン,トラックボール(図示せず)などで構成され、操作に応じた信号(コマンド)をCPU24に入力する。ドライバ28は、CPU24からの信号に応じた画像をディスプレイ30に表示する。ディスプレイ30は、液晶パネルおよびバックライトなどで構成され、ドライバ28によって駆動される。
タッチパネル36は、ディスプレイ30の表示面(画面)に設けられ、1つまたは2つ以上のタッチ点の位置を示す信号(座標)をCPU24に入力する。なお、「タッチパネル」は「タッチスクリーン」とも呼ばれ、これらを「タッチデバイス」と総称する。タッチデバイスは、ディスプレイと一体的に「タッチ画面」,「タブレット」と呼ばれることもある。
メインメモリ32は、たとえばSDRAMなどで構成され、CPU24に各種の処理を実行させるためのプログラム,データ類(図11参照)を記憶する共に、CPU24に必要な作業領域を提供する。フラッシュメモリ34は、たとえばNAND型のフラッシュメモリで構成され、プログラムなどの保存領域として利用される。
CPU24は、メインメモリ32に記憶されたプログラム,データ類(52〜54,62〜76,82〜84)に基づいて、他のハードウエア(12〜22,26〜36)を利用しつつ、各種の処理(たとえば通話,データ通信,コピー/切り取り制御など)を実行する。
以上のように構成された携帯端末10では、図示しないメニュー画面を通して、通話を行う通話モード、およびネットワークに接続してデータ通信を行うデータ通信モードなどを選択することができる。
通話モードが選択されると、携帯端末10は、通話装置として機能する。詳しくは、キー入力装置26によって発呼操作が行われると、CPU24は、無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12を介して出力され、図示しない移動通信網を経て相手の電話機に伝達される。電話機は、着信音,振動,発光などによる呼び出しを開始する。相手が着呼操作を行うと、CPU24は通話処理を開始する。一方、相手からの発呼信号がアンテナ12によって捕捉されると、無線通信回路14は着信をCPU24に通知し、CPU24は、着信音による呼び出しを開始する。キー入力装置26によって着呼操作が行われると、CPU24は通話処理を開始する。
通話処理は、たとえば、次のように行われる。相手から送られてきた受話音声信号は、アンテナ12によって捕捉され、無線通信回路14によって復調および復号化を施された後、D/Aコンバータ20を経てスピーカ22に与えられる。これにより、スピーカ22から受話音声が出力される。一方、マイク18によって取り込まれた送話音声信号は、A/Dコンバータ16を経て無線通信回路14に送られ、無線通信回路14によって符号化および変調を施された後、アンテナ12を通して相手に送信される。相手の電話機でも、送話音声信号の復調および復号化が行われ、送話音声が出力される。
データ通信モードが選択されると、携帯端末10は、データ通信端末として機能する。たとえば、ウェブページを閲覧する場合、CPU24は、無線通信回路14を制御して図示しないネットワークに接続し、指定されたアドレスにアクセスする。そして、そのアドレスに対応するウェブサーバとの間でデータ通信を行い、ウェブサーバからの受信データに基づきドライバ28を制御してディスプレイ30にウェブページを表示する。
また、電子メールを送受信する場合、CPU24は、無線通信回路14を制御してネットワークに接続し、登録されたアドレスにアクセスする。そして、そのアドレスに対応するメールサーバとの間でデータ通信を行い、メールサーバからの受信データに基づきドライバ28を制御してディスプレイ30に電子メールを表示したり、事前に作成した電子メールの送信データをメールサーバに送信したりする。
そして、携帯端末10では、ウェブページを閲覧したり電子メールを作成したりする際に、ディスプレイ30に表示されたテキストの一部または全部をタッチパネル36の簡単な操作によりコピーしたり切り取ったりすることができる。以下、このコピー/切り取り動作について詳しく説明する。
タッチパネル36が設けられたディスプレイ30の画面(以下“タッチ画面30/36”または単に“画面”と呼ぶ)に定義される座標系の一例を図2に示す。この例では、タッチ画面30/36の左上隅に原点Oが定義され、原点Oから上辺に沿って右向きにX軸が、左辺に沿って下向きにY軸が定義される。タッチ画面30/36内の任意の点は、たとえばP(x,y)のように記述される。したがって、ユーザが点Pにタッチすると、タッチパネル36から点Pの座標(x,y)を示す信号が出力される。
タッチパネル36は2点の同時検出が可能であり、タッチ画面30/36上の対角2点、たとえば図3に示すような右上領域C1および左下領域C2内の点Pおよび点Qが同時にまたは略同時にタッチされると、タッチ画面30/36はロック状態となり、スライド操作を行っても画像がスクロールしなくなる。
このような対角2点タッチによる画面ロック状態で、たとえば図4に示すような点P1から点P2に至る“横スライド操作”を行うと、コピーモードが設定され、この横スライド操作で指定された始点P1から終点P2に至る領域(以下“指定領域”)SRに含まれるテキストがコピーされる。一方、同じ画面ロック状態で、たとえば図5に示すような点P1から点P2に至る“縦スライド操作”を行うと、切り取りモードが設定され、この縦スライド操作で指定された始点P1から終点P2に至る指定領域SRに含まれるテキストが切り取られる。なお、指定領域SRは、たとえば図4,図5に示すような網掛けの態様で画面に表示される。
ここで、横スライド操作とは、基本的には、図4に示すように、始点P1にタッチオンして、まず横向き(この実施例では右向き)にスライドし、次に縦向き(この実施例では下向き)にスライドして、終点P2でタッチオフするような操作をいい、縦スライド操作とは、基本的には、図5に示すように、始点P1にタッチオンして、まず縦向き(この実施例では下向き)にスライドし、次に横向き(この実施例では右向き)にスライドして、終点P2でタッチオフするような操作をいう。要するに、横スライド操作と縦スライド操作との違いは、横線および縦線を組み合わせて矩形の領域を指定する際に、横線,縦線の順で引くか、縦線,横線の順で引くかの違いである。
ただし、図6(A)に示されるように、始点P1から終点P2まで一直線にスライドする操作(つまり1本の対角線を引いて矩形の領域を指定するような操作)は、この実施例では横スライド操作とみなされる。また、図6(B)に示されるような、上に凸の曲線に沿って始点P1から終点P2までスライドする操作も、横スライド操作とみなされる。一方、図6(B)に示されるような、下に凸の曲線に沿って始点P1から終点P2までスライドする操作は、縦スライド操作とみなされる。
したがって、一般的には、始点P1から終点P2に至るタッチ軌跡において、始点P1近傍での傾き(曲線の場合は接線Lの傾き)を計算し、計算結果と閾値(たとえば“2”や“4”など)との比較に基づいて、そのタッチ軌跡が横スライドであるか、縦スライドであるかを判別すればよい。この実施例では、始点P1近傍での傾きが閾値に満たなければ横スライドと判別され、閾値以上であれば縦スライドと判別される。ただし、他の実施例では、傾きが閾値を超えていれば縦スライドと判別し、傾きが閾値以下であれば横スライドと判別してもよい。
なお、閾値は、画面の縦横比やコピーおよび切り取りの実行頻度などに基づいて、固定的または可変的に決められてよい。たとえば、画面の縦横比が2:1の場合、閾値を“2”(傾斜角60度相当)とすれば、判別は縦横均等になるので、コピーも切り取りも同じような頻度で行われる場合(電子メール作成時など)に適する。閾値を“4”(傾斜角76度相当)とすれば、判別は横優先となるので、主としてコピーが行われる場合(ウェブページ閲覧時など)に好適である。
また、上記のような縦/横スライド操作による範囲指定の後、その指定範囲SR(コピー範囲SR1または切り取り範囲SR2)から不要な部分を削除したい場合には、図8に示すように、その部分をなぞる操作(たとえば始点P3から終点P4に至るスライド操作)を行えばよい。
また、範囲指定が画面外に及ぶ場合、図9に示すように、範囲指定のためのスライド操作を維持したまま(たとえば人差し指で点P2にタッチしている状態で)、画面の下部の1点(この実施例では左下領域C2内の点P3)へのタップ操作を別の指たとえば親指で行うことによって、画面ロック状態を一時解除させることができる。なお、このような別の指による画面の下部への1点タップ操作(“画面下1点タップ操作”ともいう)に代えて、スライド操作を行っている指を画面の周縁部(たとえば画面の下部の点P2)までスライドさせた後、そこで一定時間以上停止(点P2を長押し)してもよい。言い換えると、スライド操作の途中に同じ指で周縁部へのロングタッチ操作(“周縁ロングタッチ操作”ともいう)を行っても、画面ロック状態の一時解除が可能である。
こうして画面のロック状態を一時解除した後、図10に示すように、(たとえば点P3への画面下1点タップ操作を行った親指で引き続き)点P3から点P4に向かう上向きのスライド操作を行えば、画面を上向きにスクロールさせることができる。そして、スクロールによって画面の表示画像と範囲指定用のタッチ点P2との位置関係が変化する結果、指定範囲SRは拡大する。
なお、図10に示すような画面ロックの一時解除状態を解消するには、画面ロック状態を一時解除するときと同様の画面下1点タップ(または周縁ロングタッチ)を再度行えばよい。ただし、一時解除状態を解消するときの周縁ロングタッチは、画面の下部に対して行おうとすると画面が下向きにスクロールしてしまうため、画面の左端または右端に対して行われる。
以上のようなコピー/切り取り動作は、携帯端末10のCPU24が、メインメモリ32に記憶された図11に示すコピー/切り取り制御プログラム52などに基づいて、図12〜図18に示すフローに従う処理を実行することにより実現される。
詳しくは、まず図11を参照して、メインメモリ32はプログラム領域50,遷移データ領域60,非遷移データ領域80,表示領域90およびクリップ領域100を含み、プログラム領域50にはコピー/切り取り制御プログラム52,入出力制御プログラム54などが記憶される。
非遷移データ領域60には2点タッチ座標62,始点座標64,終点座標66,タッチ軌跡情報68,スライド方向情報70,画面ロック状態情報72,一時解除フラグ74,モード情報76および範囲情報78などが、非遷移データ領域80には右上領域82および左下領域84などが、それぞれ記憶される。
表示領域90には画面に表示されるテキストが、クリップ領域100にはコピー/切り取り範囲のテキストが、それぞれ記憶される。
コピー/切り取り制御プログラム52は、CPU24を介して図11〜図18のフローに従う処理を実行するソフトウェアプログラムであり、入出力制御プログラム54は、キー入力装置26やタッチパネル36からの信号をCPU24に入力したり、CPU24を介してドライバ28を制御してディスプレイ30にテキストを表示したりするソフトウェアプログラムである。
2点タッチ座標62は、同時にまたは略同時に検出された2点(P,Q:図3参照)の座標を示す情報である。始点座標64は、スライド操作の始点P1を示す座標であり、たとえば(x1,y1)のように記述される。終点座標66は、スライド操作の終点P2を示す座標であり、たとえば(x2,y2)のように記述される。タッチ軌跡情報68は、スライド操作の始点P1から終点P2に至るタッチ軌跡(図4〜図7参照)を示す情報であり、たとえば直線または曲線に沿う点列の座標群として記述される。なお、これら2点タッチ座標62,始点座標64,終点座標66およびタッチ軌跡情報68は、入出力制御プログラム54によって書き込まれ(更新され)、コピー/切り取り制御プログラム52によって参照される。
スライド方向情報70は、スライド操作が横スライドか縦スライドかを示す情報であり、始点座標64,終点座標66およびタッチ軌跡情報68から求められる。画面ロック状態情報72は、画面ロック状態が設定されているか解除されているかを示す情報である。一時解除フラグ74は、画面ロック状態の設定が一時解除されたとき立てられるフラグであり、具体的には、一時解除されるとONになり、一時解除が解消されるとOFFになる。モード情報76は、現時点で設定されているモードを示す情報であり、コピーモードおよび切り取りモードなどを識別する識別子で記述される。範囲情報78は、現時点で設定されている範囲を示す情報であり、コピー範囲(SR1:図4,図6)または切り取り範囲SR2(図5,図7)が記述される。なお、これらタッチ軌跡情報68,スライド方向情報70,画面ロック状態情報72,一時解除フラグ74,モード情報76および範囲情報78は、コピー/切り取り制御プログラム52によって書き込まれ(更新され)かつ参照される。
右上領域82および左下領域84は、画面ロック状態の設定および解除などを行うために画面の右上および左下に定義された領域C1およびC2(図3参照)を示す情報であり、コピー/切り取り制御プログラム52によって参照される。
次に、図12を参照して、このコピー/切り取り制御処理は、ウェブページや電子メールなどのテキストが画面に表示されている期間に実行される。CPU24は、まずステップS1で、画面操作が行われたか否かをタッチパネル36からの信号に基づいて判別し、ここでNOであれば、所定の待機期間(たとえば1/30秒)を経て同様の判別を繰り返す。
ステップS1でYESであれば、ステップS3に進んで、その画面操作が画面対角2点タッチ(図3参照:前述)であるか否かを遷移データ領域60の2点タッチ座標62および非遷移データ領域80の右上領域82および左下領域84の比較に基づいて判別する。たとえば、図3に示されるように、2点タッチ座標62つまり点Pおよび点Qの座標が右上領域82および左下領域84にそれぞれ含まれていれば、ステップS3でYESと判別される。一方、1点のタッチ座標しかなかったり、少なくとも一方のタッチ座標が右上領域82にも左下領域84にも含まれていなかったりすれば、ステップS3でNOと判別される。
ステップS3でNOであれば、さらにステップS5で、スライド操作中か否かをタッチパネル36からの信号に基づいて判別し、ステップS5でもNOであれば、その画面操作に応じた通常の操作処理(たとえば画面上のアイコンへのタッチ操作に応じた処理など)をステップS7で実行した後、ステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。ステップS5でYESであれば、ステップS49(図16:後述)に進む。
ステップS3でYESであれば、ステップS9で、画面がロック状態か否かを画面ロック状態情報72に基づき判別する。画面ロック状態情報72が“設定”を示す場合、ステップS9でYESと判別し、ステップS11に進んで画面ロック状態を解除する。これにより、画面ロック状態情報72は“設定”から“解除”に更新され、スライド操作によるスクロールが可能となる。その後、ステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。
画面ロック状態情報72が“解除”を示す場合には、ステップS9でNOと判別し、ステップS13に進んで画面ロック状態を設定する。これにより、画面ロック状態情報72は“解除”から“設定”に更新され、スライド操作によるスクロールは不可能となる。その後、ステップS15に進む。
次に、図13を参照して、ステップS15では、画面操作が行われたか否かを判別し、NOであれば、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。ステップS15でYESであれば、その画面操作はスライド操作か否かをステップS17で判別し、NOであればステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。ステップS17でYESであれば、ステップS18に進んで、縦/横スライド判別処理を実行する。縦/横スライド判別処理は、たとえば図18に示すフローに従って実行される。
ここで図18を参照して、まずステップS71で、タッチ開始直後のスライド方向(タッチ軌跡の始点P1近傍における傾きないしは接線Lの傾き:図7,図8参照)を始点座標64,終点座標66およびタッチ軌跡情報68に基づいて計算する。次に、ステップS73で、スライド方向が横方向(ここでは傾き<閾値)であるか否かを判別する。そして、ステップS73でYESであれば、スライド方向情報70に“横スライド”を示す情報をステップS75で記述し、ステップS73でNOであれば、スライド方向情報70に“縦スライド”を示す情報をステップS77で記述した後、元のフロー(図13)に戻る。
再び図13を参照して、ステップS19では、そのスライド操作が横スライドか否かをスライド方向情報70に基づき判別する。ステップS19でYESであれば、ステップS21でコピーモードを設定する。これにより、モード情報76に“コピーモード”が記述され、図14に示すステップS25〜S35の処理が実行される。一方、ステップS19でNOであれば、ステップS23で切り取りモードを設定する。これにより、モード情報76に“切り取りモード”が記述され、図15に示すステップS37〜S47の処理が実行される。
次に、図14を参照して、ステップS25では、遷移データ領域60から始点座標64および終点座標66つまり(x1,y1)および(x2,y2)を取得し、ステップS27では、終点P2が始点P1よりも下側にある(y2>y1)か否かを判別する。ステップS27でYESであれば、さらにステップS29で1行以上のテキストが選択可能か否かを判別し、ステップS29でもYESであれば、ステップS31でコピー範囲を設定する。具体的には、範囲情報78に記述されたコピー範囲に始点座標64および終点座標66をセットする。そして、ステップS33でコピー処理を実行する。
コピー処理では、コピー範囲のテキストが表示領域90からクリップ領域100に複製される。この場合、後述するステップS45の切り取り処理とは異なり、画面上においてコピー範囲のテキストが半透明表示等になることはなく元のまま表示され続ける(図4参照)。その後、ステップS63(図17:後述)に進む。
ステップS27またはS29でNOであれば、ステップS35で範囲指定を解除(遷移データ領域60の各種情報62〜78をクリア)した後、ステップS15に戻って上記と同様の処理を繰り返す。つまり、終点P2が始点P1より下でかつ指定範囲SRに1行以上のテキストがある場合に限り、その横スライド操作は有効とされる。終点P2が始点P1よりも上の場合や、終点P2が始点P1より下であっても指定範囲SRに1行以上のテキストが含まれていない(横方向のスライド量が足りない)場合には、その横スライド操作は無効とされる。なお、他の実施例では、終点P2が始点P1より上でかつ指定範囲SRに1行以上のテキストがある場合も、その横スライド操作を有効としてよい。
次に、図15を参照して、ステップS37では、遷移データ領域60から始点座標64および終点座標66つまり(x1,y1)および(x2,y2)を取得し、ステップS39では、終点P2が始点P1よりも右側にある(x2>x1)か否かを判別する。ステップS39でYESであれば、さらにステップS41で1文字以上のテキストが選択可能か否かを判別して、ここでもYESであれば、ステップS43で切り取り範囲を設定する。具体的には、範囲情報78に記述された切り取り範囲に始点座標64および終点座標66をセットする。そして、ステップS45で切り取り処理を実行する。
切り取り処理では、切り取り範囲のテキストが表示領域90からクリップ領域100に移動される。この場合、ステップS33のコピー処理とは異なり、たとえば、移動されたテキストを半透明態様に変換したものが再び表示領域90の同じ位置に書き込まれる結果、画面上において切り取り範囲のテキストが半透明表示になる(図5参照)。その後、ステップS63(図17:後述)に進む。なお、半透明表示に代えて、切り取り範囲のテキスト切り取り範囲外のテキストとは異なる色で表示したり、異なる明るさで表示したり、点滅表示したりしてもよい。
ステップS39またはS41でNOであれば、ステップS47で範囲指定を解除(遷移データ領域60の各種情報62〜78をクリア)した後、ステップS15に戻って上記と同様の処理を繰り返す。つまり、終点P2が始点P1より右でかつ指定範囲SRに1文字以上のテキストがある場合に限り、その縦スライド操作は有効とされる。終点P2が始点P1よりも左の場合や、終点P2が始点P1より右であっても指定範囲SRに1文字以上のテキストが含まれていない(縦方向のスライド量が足りない)場合には、その縦スライド操作は無効とされる。なお、他の実施例では、終点P2が始点P1より左でかつ指定範囲SRに1文字以上のテキストがある場合も、その縦スライド操作を有効としてよい。
次に、図16を参照して、ステップS49では、モード情報76を参照してコピーモードまたは切り取りモードが設定されているか否かを判別し、ステップS49でYESであれば、ステップS51に進んで、画面下1点タップ操作または周縁ロングタッチ操作(図9参照:前述)が行われたか否かをタッチパネル36からの信号に基づいて判別する。
ステップS49でNOつまりコピーモードも切り取りモードも設定されていない場合、またはステップS51でNOつまり画面下1点タップも周縁ロングタッチも行われない場合には、ステップS53に移って、そのスライド操作に応じた画面スクロール処理を実行する。その後、ステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。
ステップS51でYESであれば、ステップS55に進んで、画面ロック状態が設定されているか否かを画面ロック状態情報72に基づき判別する。画面ロック状態情報72が“設定”を示す場合、ステップS55でYESと判別し、ステップS57に進んで画面ロック状態を一時解除する。これにより、一時解除フラグ74は“ON”に更新され、スライド操作によるスクロールが一時的に可能となる。その後、ステップS61に進む。
画面ロック状態情報72が“解除”を示す場合には、ステップS55でNOと判別し、ステップS59に進んで、画面ロック設定の一時解除状態を解消する。これにより、一時解除フラグ74は“OFF”に更新され、スライド操作によるスクロールは再び不可能となる。その後、ステップS61に進む。
ステップS61では、コピーモードが設定されているか否かをモード情報76に基づき判別し、ここでYESであればステップS25(図14参照)に移り、NOであればステップS37(図15参照)に移る。
次に、図17を参照して、ステップS63では、画面操作が行われたか否かを判別し、NOであれば、所定の待機期間を経て同様の判別を繰り返す。ステップS63でYESであれば、ステップS65に進んで、指定範囲SR内がなぞられたか否かをタッチパネル36からの信号および範囲情報78に基づいて判別する。ステップS65でNOであれば、ステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。
テップS65でYESであれば、ステップS67で、なぞった部分を指定範囲から除外(図8参照)する。具体的には、範囲情報78に記述されたコピー範囲または切り取り範囲からなぞった部分の情報を削除する。さらに、ステップS69で、なぞった部分のテキストをクリップ領域100から削除した後、ステップS1に戻って上記と同様の処理を繰り返す。
以上から明らかなように、この実施例の携帯端末10は、ディスプレイ30およびそのドライバ28と、ディスプレイ30の画面に設けられたタッチパネル36と、CPU24と、メインメモリ32とを有する。メインメモリ32は、画面に表示されるテキストを記憶する表示領域90と、表示領域90に記憶されたテキストの一部を移動または複製するためのクリップ領域100とを含む。表示領域90に記憶されたテキストは、ドライバ28を介してディスプレイ30の画面にスクロール可能に表示される。
CPU24は、画面に表示されたテキストをタッチパネル36へのスライド操作に応じてスクロールする(S53)。また、CPU24は、タッチパネル36へのスライド操作に応じた画面のスクロールをタッチパネル36への対角2点タッチ操作(図3)に応じて禁止し(S3,S13)、画面のスクロールが禁止された状態でタッチパネル36へのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別し(S18)、判別結果が横方向(X)を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1:図4,図6)を指定し、判別結果が縦方向(Y)を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2:図5,図7)を指定し(S17,S25,S31,S37,S43)、そして、指定されたコピー範囲に含まれる情報を表示領域90からクリップ領域100に複製し(S33)、指定された切り取り範囲に含まれる情報を表示領域90からクリップ領域100に移動する(S45)。これにより、タッチパネル36の簡単な操作でコピーおよび切り取りが行える。
また、スライド操作の方向を判別するにあたって、CPU24は、スライド操作の開始直後の方向に沿う直線(L)の傾きを閾値と比較して、傾きが閾値に満たない場合は横方向と判別し、傾きが閾値以上の場合は縦方向と判別する。したがって、縦/横方向のスライド操作に限らず、斜め方向の直線(対角線)に沿うスライド操作(図6(A))であっても、さらには、上または下に凸の曲線に沿うスライド操作(図6(B),図7)によっても、コピーまたは切り取りの選択が行える。
また、画面のスクロールが禁止された状態で画面の右上領域C1および左下領域C1への2点タッチ操作(対角2点タッチ操作:図3)が行われたとき、CPU24は、その禁止状態を解除する(S11)。また、画面のスクロールが禁止された状態でスライド操作中に、スライド操作を行っている指とは別の指による画面の下部(たとえば左下領域C1の点P3:図9)への1点タップ操作(画面下1点タップ操作)、またはスライド操作を行っている指による画面の周縁部(たとえば画面の下部の点P2:図9)へのロングタッチ操作(周縁ロングタッチ操作)が行われたとき、その禁止状態を一時解除する(S57)。そして、画面のスクロール禁止が一時解除された状態で同様の画面下1点タップ操作または周縁ロングタッチ操作が行われたとき、その一時解除状態を解消する(S59)。
こうして、スクロールの禁止または一時禁止もしくはそれらの解除のための操作を、コピーまたは切り取りのためのスライド操作や他の処理のための通常のタッチ操作とは異なる特定のタッチ操作(対角2点タッチ操作,画面下1点タップ操作,周縁ロングタッチ操作)としたことで、コピーまたは切り取りや他の処理への影響を回避できると共に、コピーまたは切り取りのためのスライド操作とも連携した、優れた操作性が実現される。
また、ドライバ28は、指定されたコピー範囲SR1または切り取り範囲SR2をたとえば網掛けの態様で画面にさらに表示し、CPU24は、画面に表示されたコピー範囲SR1または切り取り範囲SR2の一部または全部をなぞるスライド操作(図8)に応じて、指定手段によって指定されたコピー範囲または切り取り範囲から当該部分を除外(たとえは当該部分の網掛けを解除)し(S67)、そして、移動された情報または複製された情報のうち除外された部分の情報をクリップ領域100から削除する(S69)。こうして、画面に表示されたコピー範囲SR1または切り取り範囲SR2の一部または全部をなぞることで、その部分をコピー範囲または切り取り範囲から除外して、その部分の情報をクリップ領域100から簡単に削除できる。
なお、図15のステップS45では、切り取り範囲SR2のテキストを表示領域90からクリップ領域100に移動する際に、移動されたテキストを半透明に変換したものが再び表示領域90に書き込まれる結果、画面上において切り取り範囲のテキストは半透明表示となったが、このような表示領域90への半透明テキストの書込みを行わず、画面上において切り取り範囲のテキストが消去されるように変更してもよい。ただし、この場合、なぞる操作によって切り取り範囲SR2から不要な部分を削除する処理は、切り取り範囲SR2のテキストが見えず困難となるので、ステップS45の後、(図17のステップS63〜S69を経ることなく直ちに)図12のステップS1に戻ることが好ましい。なお、この変更に加えて、図14のステップS33の後、図12のステップS1に戻るように、さらに変更してもよい(つまり、なぞる操作によって指定範囲SRから不要な部分を削除することを想定しない変形例も可能である)。
または、図15のステップS45で、切り取り範囲SR2のテキストを表示領域90からクリップ領域100に移動する際に、たとえば、移動されたテキストと同じものを再び表示領域90に書き込むことで、画面上において切り取り範囲のテキストが元のまま表示し続けられるように変更してもよい。この場合、なぞる操作によって切り取り範囲SR2から不要な部分を削除する処理は、切り取り範囲SR2のテキストを半透明表示する場合と同様に実行されてよい(ステップS45の後、図17のステップS63に進んでよい)。
なお、この実施例では、横スライド操作に応じてコピーモードを設定し、縦スライド操作に応じて切り取りモードを設定したが、横スライド操作に応じて切り取りモードを設定し、縦スライド操作に応じてコピーモードを設定してもよい。
また、指定範囲SR内にテキストが1行しかない場合には、右向きの横スライド操作(右スライド操作)に応じてコピーモードを設定し、左向きの横スライド操作(左スライド操作)に応じて切り取りモードを設定する制御を行ってもよい。
なお、コピー/切り取りの対象は、この実施例ではテキストであるが、画像でもよく、両者が混在した情報でもよい。
なお、この実施例の携帯端末10は、コピーおよび切り取りの両方を行えるが、どちらか一方だけが行える携帯端末の実施例も考えられる。
すなわち、他の実施例の携帯端末は、携帯端末10と同様に構成され、CPU24は、画面に表示されたテキストをタッチパネル36へのスライド操作に応じてスクロールする(S53)。また、CPU24は、タッチパネル36へのスライド操作に応じた画面のスクロールをタッチパネル36への対角2点タッチ操作(図3)に応じて禁止し(S3,S13)、画面のスクロールが禁止された状態でタッチパネル36へのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別し(S18)、判別結果が所定方向たとえば横方向(X)を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じたコピー範囲(SR1:図4,図6)を指定し、そして、指定されたコピー範囲に含まれる情報を表示領域90からクリップ領域100に複製する(S33)。これにより、タッチパネル36の簡単な操作でコピーが行える。
その他の実施例の携帯端末は、携帯端末10と同様に構成され、CPU24は、画面に表示されたテキストをタッチパネル36へのスライド操作に応じてスクロールする(S53)。また、CPU24は、タッチパネル36へのスライド操作に応じた画面のスクロールをタッチパネル36への対角2点タッチ操作(図3)に応じて禁止し(S3,S13)、画面のスクロールが禁止された状態でタッチパネル36へのスライド操作が行われたとき当該スライド操作の方向を判別し(S18)、判別結果が所定方向たとえば縦方向(Y)を示す場合に、画面に対しスライド操作に応じた切り取り範囲(SR2:図5,図7)を指定し(S17,S25,S31,S37,S43)、そして、指定された切り取り範囲に含まれる情報を表示領域90からクリップ領域100に移動する(S45)。これにより、タッチパネル36の簡単な操作で切り取りが行える。
以上では、携帯端末10について説明したが、この発明は、コンピュータ(CPU,プロセッサなど),ディスプレイ(LCDなど)およびタッチデバイス(画面と一体化されたタッチパネル,タッチスクリーンのほか、画面とは独立したタッチパッドなどでもよい)を備える、様々な携帯端末(携帯電話端末,スマートフォン,携帯情報端末,タブレットPCなど)に適用可能である。