JP5855734B1 - 鉄道車両用フラッシング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークに対してフラッシングを行う際、ワーク内に潤滑油を送り込む給油量とワーク内から潤滑油を排出する排油量とが同量になる正確な定量循環制御を行うことができ、且つ流量調整を容易に行うことができる鉄道車両用フラッシング装置を提供すること。【解決手段】鉄道車両用フラッシング装置は、輪軸回転機構と、軸箱4(ワーク)にタンク61から潤滑油を送り込む送り流路と、軸箱4から潤滑油をタンクへ戻す戻り流路と、軸箱4を通った潤滑油から不純物を取り除くフィルタ91を備える。送り流路と戻り流路とを連結して閉じた回路で潤滑油を循環させる循環経路ZKが形成され、潤滑油がタンク61から送り流路と戻り流路を通ってタンク61へ流れる非循環流れと潤滑油が循環経路ZKを循環して流れる循環流れとを切り換える第1三方弁71及び第2三方弁72が設けられ、循環経路ZKに一定量の潤滑油を吐出可能な給排兼用ポンプ80が設けられる。【選択図】 図10

Description

本発明は、輪軸を回転させながら軸箱又は歯車箱であるワーク内に潤滑油を送り込んで、ワークのフラッシングを行う鉄道車両用フラッシング装置に関し、特に、ワークに潤滑油を送り込む給油量とワークから潤滑油を排出する排油量とを同量にすることができる鉄道車両用フラッシング装置に関する。
鉄道車両に実施される定期検査として、台車検査がある。台車は、車輪と車軸とから成る輪軸、軸バネ、主電動機、駆動装置等の各部品を備えたものであり、走行後に台車検査で部品毎に分解される。車軸には軸箱及び歯車箱が取付けられているため、軸箱及び歯車箱でも細かく部品毎に分解される。なお、軸箱は車軸の両端を回転可能に支持するものであり、歯車箱は主電動機の動力を車軸に伝達する駆動装置を収容するものである。分解された各部品は、検査及び修繕されて、再び台車として組立てられるようになっている。
ところで、軸箱及び歯車箱では、検査及び修繕された後、台車として組立てられる前に、不純物が混入するおそれがある。この不純物とは、例えば歯車が擦れる際の鉄粉や、布で拭く際の細かな糸屑等である。つまり、軸箱及び歯車箱は修繕によって綺麗にされているため、この不純物とは、走行中に生じた汚れではなく、台車の組立過程で混入し得る微細なものである。このため、軸箱及び歯車箱に対して、最終的に台車として組立てる前にフラッシングを行い、軸箱内又は歯車箱内を洗浄して不純物を取り除くようになっている。
このフラッシングを行うための装置として、例えば非特許文献1に記載された鉄道車両用フラッシング装置がある。このフラッシング装置は、歯車箱が取付けられたままの輪軸を回転させて、歯車箱内に加熱した潤滑油を送り込み、歯車箱内から潤滑油を排出させている。これにより、不純物が潤滑油によって取り除かれて、歯車箱内部の各部品(ギヤ等)を解体せずに、歯車箱内を洗浄するようになっている。
ここで、従来のフラッシング装置において軸箱に対するフラッシングを、図16に示す油圧回路を参照して説明する。図16に示すように、この油圧回路160では、先ず、給油ポンプ181がタンク161の浄油槽161aから潤滑油を吸い込み、送り流路s1を通して軸箱104内に潤滑油を送り込む。そして、軸箱104内に送り込まれた潤滑油は、排油ポンプ182によって吸い込まれて、排油ポンプ182が戻り流路s2を通してタンク161の回収槽161bに潤滑油を排出する。
なお、軸箱104内に送り込まれる潤滑油では、送り流路s1を通る際にフィルタ191によって不純物が取り除かれ、軸箱104内から排出される潤滑油でも、戻り流路s2を通る際にフィルタ192によって不純物が取り除かれるようになっている。こうして、フラッシングでは、所定時間の間、輪軸を回転させながら浄油槽161aから軸箱104内に潤滑油を送り込み、軸箱104内から不純物を含んだ潤滑油を回収槽161bへ排出するようになっている。つまり、従来のフラッシング装置では、給油ポンプ181と排油ポンプ182とを用いて、軸箱104に対して潤滑油を給排油しながら洗浄を行う連続洗浄方式が採用されている。
特に、この油圧回路160では、送り流路s1を流れる潤滑油の給油量を測定するために、給油流量計171が設けられている。そして、給油ポンプ181を回転駆動させるモータ181aの回転数は、インバータ181bによって可変制御され、測定された給油量に応じて設定される。これにより、給油ポンプ181は、給油流量計171の測定とインバータ181bの可変制御によって、一定量の潤滑油を軸箱104内に送り込むようになっている。
同様に、戻り流路s2を流れる潤滑油の排油量を測定するために、排油流量計172が設けられている。そして、排油ポンプ182を回転駆動させるモータ182aの回転数は、インバータ182bによって可変制御され、測定された排油量に応じて設定される。これにより、排油ポンプ182は、排油流量計172の測定とインバータ182bの可変制御によって、一定量の潤滑油を軸箱104内から排出するようになっている。こうして、フラッシングでは、給油量と排油量とが同量になるように設定され、潤滑油が浄油槽161aから送り流路s1と軸箱104内と戻り流路s2を通って回収槽161bへ流れる定量循環制御を行うようになっていた。
情報通信システム 検修システム/輪軸駆動装置回転試験システム[平成26年12月2日検索]、インターネット〈URL:http://www.mitsubishielectric.co.jp/society/traffic/jyouhou/kensyu/ion/rinjiku/s/rinjiku_s.html〉
しかしながら、従来のフラッシングには、以下の問題点があった。即ち、フラッシングでは、軸箱104の注油口から潤滑油が送り込まれて、軸箱104内で車軸が回転しながら軸箱の排油口から潤滑油が排出される。このとき、軸箱104から排出される潤滑油には、車軸102の回転によって気泡が多く含まれる。これにより、排油流量計172が気泡を含む潤滑油の排油量を測定し、実際に流れる排油量より多い値で測定してしまう。この結果、排油量と給油量とが完全に一致しなくて、正確な定量循環制御を行うことが難しいという問題点があった。
従来、このような事情に対応すべく、作業者が、安全上、軸箱104内に多めの潤滑油を送り込んで、軸箱104内の油面の位置が規定位置より上方になるように設定していた。具体的には、作業者の経験に基づき、排油量を一定に設定し、設定した排油量に対して所定の係数(例えば0.98)を乗算して給油量を設定して、微調整しながら軸箱104内に多めの潤滑油を送り込んでいた。なお、軸箱104内に多めの潤滑油を送り込むのは、軸箱104内に送り込む潤滑油の量が少なくて、軸箱104内の油面の位置が規定位置より下方になって潤滑油の不足により焼き付きが生じることを確実に防止するためである。
このため、従来において、軸箱104内では、油面の位置が規定位置より上方になって、潤滑油が車軸の軸端から軸箱104外へ僅かに漏れ出ることがあった。そして、軸箱104内の油量が多いと、潤滑油に含まれる不純物がオイルシールに噛み込むおそれがあった。従って、軸端からの潤滑油の漏れやオイルシールへの不純物の噛み込みを確実に防止するため、給油量と排油量とが同量になる正確な定量循環制御を行うことが求められていた。
更に、作業者は、排油量と給油量とが一致するように、経験に基づいて独自に排油量と給油量との関係を微調整していたため、最適な流量調整に多くの時間を要していた。特に、輪軸(軸箱又は歯車箱)には多くの種類があるため、軸箱の種類が異なったときには、作業者は給油量と排油量の関係を再考しなければならない。従って、様々な軸箱に対応できるように、給油量及び排油量を流量調整することは難しい作業であった。なお、上記した問題点は、軸箱に対してフラッシングを行う場合だけでなく、歯車箱に対してフラッシングを行う場合にも生じるものであった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、軸箱又は歯車箱であるワークに対してフラッシングを行う際に、ワーク内に潤滑油を送り込む給油量とワーク内から潤滑油を排出する排油量とが同量になる正確な定量循環制御を行うことができると共に、流量調整を容易に行うことができる鉄道車両用フラッシング装置を提供することを目的とする。
本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置は、鉄道車両の輪軸を回転可能な輪軸回転機構と、前記輪軸に取付けられた軸箱又は歯車箱であるワークにタンクから潤滑油を送り込む送り流路と、前記ワークから潤滑油をタンクへ戻す戻り流路と、前記ワークを通った潤滑油から不純物を取り除くフィルタとを備え、前記輪軸を回転させながら前記ワーク内に潤滑油を送り込んで前記ワークのフラッシングを行うものであって、前記送り流路と前記戻り流路とを連結して閉じた回路で潤滑油を循環させる循環経路が形成され、潤滑油がタンクから前記送り流路と前記戻り流路を通ってタンクへ流れる非循環流れと、潤滑油が前記循環経路を循環して流れる循環流れとを切り換える流れ切換手段が設けられ、前記循環経路に一定量の潤滑油を吐出可能な給排兼用ポンプが設けられていることを特徴とする。
本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置によれば、先ず、流れ切換え手段によって非循環流れに設定し、潤滑油をタンクから送り流路と戻り流路に流しておく。次に、この状態でワーク内に所定量の潤滑油を入れる。また、輪軸回転機構によって輪軸を回転させる。その後、流れ切換え手段によって循環流れに設定する。これにより、給排兼用ポンプが、閉回路である循環経路で潤滑油を循環させるため、一定量の潤滑油が循環経路で循環する。即ち、ワーク内から排出される潤滑油に多くの気泡が含まれていても、給排兼用ポンプによって気泡が含まれたままの潤滑油が循環経路で循環する。
このため、ワーク内に潤滑油を送り込む給油量とワーク内から潤滑油を排出する排油量とを同量にすることができ、正確な定量循環制御を行うことができる。更に、ワーク内に潤滑油を送り込む給油ポンプとワーク内から潤滑油を排出する排油ポンプとが別個に設けられていないため、流量調整を行う場合、単一の給排兼用ポンプの吐出量を調整するだけで良い。従って、作業者の経験に依存することがなく、軸箱及び歯車箱の種類が異なっても流量調整を容易に行うことができる。
こうして、正確な定量循環制御を行うことができるため、ワーク内の油面の位置が規定位置に保たれて、軸端から潤滑油が漏れ出てくることやオイルシールに不純物が噛み込むことを確実に防止できる。更に、流量調整を容易に行うことができるため、様々な種類のワークに対してフラッシングを行う際の作業が容易になると共に、従来に比べて流量調整時間を大幅に短縮できる。また、給排兼用ポンプが給油ポンプと排油ポンプを兼用するため、従来のフラッシング装置に比べて、ポンプ及び流量制御を行う装置(流量計、インバータ)の数を減らすことができる。こうして、部品点数が減ることで、フラッシング装置の保守性を向上させることができる。
また、本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置において、前記循環経路には、1つの流路から分岐し且つ1つの流路に合流する第1分岐流路と第2分岐流路とが設けられ、前記第1分岐流路及び前記第2分岐流路には、それぞれ前記フィルタが交換可能に設けられ、前記第1分岐流路に潤滑油を流す状態又は前記第2分岐流路に潤滑油を流す状態を切り換え可能なフィルタ切換手段が設けられていることが好ましい。
この場合には、例えば長い間、潤滑油が第1分岐流路を流れていると、第1分岐流路に設けられたフィルタは不純物によって目詰まりを起こし、機能が低下する。このとき、フィルタ切換手段によって、第2分岐流路に潤滑油を流す状態に切り換える。これにより、第2分岐流路に設けられている新しいフィルタが、不純物を効果的に取り除くことができる。そして、潤滑油が第2分岐流路を流れている間に、第1分岐流路に設けられたフィルタを交換しておく。その後、第2フィルタの機能が低下したとき、フィルタ切換手段によって、第1分岐流路に潤滑油を流す状態に切り換える。こうして、2つのフィルタを交互に使用することで、潤滑油を循環経路で循環させる場合に生じ易いフィルタの目詰まりに十分対応できる。
また、本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置において、前記第1分岐流路に設けられたフィルタ又は前記第2分岐流路に設けられたフィルタを通過する前の潤滑油の圧力を測定する第1圧力計と、前記第1分岐流路に設けられたフィルタ又は前記第2分岐流路に設けられたフィルタを通過した後の潤滑油の圧力を測定する第2圧力計とが設けられていると良い。
この場合には、第1圧力計によって測定された圧力と第2圧力計によって測定された圧力とを両方確認することで、フィルタで不純物による目詰まりが生じているか否かを的確に判断することができる。
また、本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置において、前記フィルタは、複数のフィルタエレメントが積層された積層型フィルタであり、前記複数のフィルタエレメントは、潤滑油が通過する方向へ順にメッシュサイズが小さくなっていて、最小のメッシュサイズが10μm以下であると良い。
この場合には、最小のメッシュサイズが10μm以下であるため、不純物を効果的に取り除くことができ、より綺麗な潤滑油をワークに供給することができる。そして、複数のフィルタエレメントでは、潤滑油が通過する方向に順にメッシュサイズが小さくなるため、不純物の大きさに応じて段階的に不純物を捕捉することができる。このため、比較的大きい不純物が最小のメッシュサイズであるフィルタエレメントで目詰まりを起こすことがなく、フィルタの交換頻度を少なくすることができる。更に、メッシュサイズが順に小さくなるため、圧力損失が小さい。従って、最小のメッシュサイズが10μm以下であって小さくても、潤滑油の流量の低下を抑えることができる。
本発明の鉄道車両用フラッシング装置によれば、軸箱又は歯車箱であるワークに対してフラッシングを行う際に、ワーク内に潤滑油を送り込む給油量とワーク内から潤滑油を排出する排油量とが同量になる正確な定量循環制御を行うことができると共に、流量調整を容易に行うことができる。
輪軸を示した正面図である。 本実施形態のフラッシング装置を模式的に示した斜視図である。 本実施形態のフラッシング装置の平面図である。 軸箱系配管部が構成する油圧回路を示した図である。 図4に示す一方側の油圧回路を示した拡大図である。 第1フィルタを示した斜視図である。 第1フィルタの内部構造を模式的に示した断面図である。 潤滑油が浄油槽から軸箱内を通らずに回収槽へ流れる状態を示した図である。 潤滑油が浄油槽から軸箱内を通って回収槽へ流れる状態を示した図である。 潤滑油がタンクを経由しないで循環経路で循環する状態を示した図である。 循環経路を循環していた潤滑油が回収槽へ流れる状態を示した図である。 潤滑油が第2分岐流路を通って循環経路で循環する状態を示した図である。 各フィルタエレメントが不純物を捕捉する状態を模式的に示した図である。 軸箱に対してフラッシングを行ったときの洗浄度分析結果を示した図である。 歯車箱に対してフラッシングを行ったときの分析結果を示した図である。 従来のフラッシング装置による油圧回路を示した図である。
本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、輪軸1を示した正面図である。図1に示すように、輪軸1は、長手方向に延びる車軸2と、この車軸2の両端部に一体回転可能に取付けられている二つの車輪3とを備えて構成されている。また、車軸2の両端にはそれぞれ軸箱4,5が取付けられていて、車軸2のうち一方側(図1の左側)の車輪3の近くに歯車箱6が取付けられている。軸箱4,5は、内部に収容するベアリング(図示省略)で車軸2の両端を回転可能に支持するものである。歯車箱6は、主電動機(図示省略)の動力を車軸2に伝達する駆動装置を収容するものである。ここで、図2は、本実施形態の鉄道車両用フラッシング装置10(以下、単に「フラッシング装置10」と呼ぶ)を模式的に示した斜視図である。
フラッシング装置10は、図2に示すように、輪軸回転機構20と潤滑油給排機構30とを備えていて、輪軸1を回転させながら軸箱4,5及び歯車箱6に対してフラッシングを行うものである。ここで、フラッシングとは、台車検査で台車の各部品が検査及び修繕された後、輪軸1が台車として組立てられる前に、軸箱4,5内及び歯車箱6内に潤滑油を送り込んで洗浄し、不純物を取り除くことである。この不純物とは、例えば歯車が擦れる際の鉄粉や、布で拭く際の細かな糸屑等である。
輪軸回転機構20は、輪軸1を回転支持するものであり、主に、軸箱4,5を保持する軸箱押さえフレーム21と、各車輪3を下側から支持する各ローラ22と、各ローラ22を回転可能な駆動モータ(図示省略)と、輪軸1を昇降可能な昇降シリンダ(図示省略)等を備えている。輪軸回転機構20の各装置の動作は、電子制御盤23によって制御されている。作業員は、この電子制御盤23の各種ボタンを操作することで、輪軸1を回転させてフラッシングを行うことができる。
潤滑油給排機構30は、軸箱4,5内及び歯車箱6内に潤滑油を送り込むと共に、軸箱4,5内及び歯車箱6内から潤滑油を排出させるものである。この潤滑油給排機構30では、図2の左側に、軸箱4,5に対して潤滑油を送り込む軸箱系配管部40が設けられ、図2の右側に、歯車箱6に対して潤滑油を送り込む歯車箱系配管部50が設けられている。ここで、図3は、本実施形態のフラッシング装置10を示した平面図である。
図3に示すように、軸箱系配管部40は、略上下対称の構造になっていて、下側の軸箱系配管部40Aが軸箱4に対する配管部であり、上側の軸箱系配管部40Bが軸箱5に対する配管部である。軸箱系配管部40Aと歯車箱系配管部50とは、略左右対称の構造になっている。ここで、図4は、軸箱系配管部40A,40Bが構成する油圧回路60A,60Bを示している。図4に示すように、油圧回路60Aと油圧回路60Bは、同様の構成であるため、以下では一方側の油圧回路60Aを代表して説明する。ここで、図5は、図4に示す一方側の油圧回路60Aを示した拡大図である。
図5に示すように、油圧回路60Aでは、タンク61の浄油槽61aに貯留されている潤滑油を軸箱4内に送り込み、軸箱4内の潤滑油をタンク61の回収槽61bへ排出できるように構成されている。回収槽61bに貯留されている潤滑油は、ポンプ62によって吸い込まれ、流路r1を通って浄油槽61aに送り込まれる。流路r1には、フィルタ63が設けられているため、浄油槽61aに送り込む潤滑油から不純物を濾し取ることができる。
また、浄油槽61aには、ヒータ64及び温度指示調節器65が設けられている。ヒータ64は、温度指示調節器65によって作動が制御されている。即ち、温度指示調節器65は、浄油槽61aに貯留する潤滑油の温度を測定していて、この潤滑油の温度が50度になるようにヒータ64が発生する熱量を制御している。これにより、浄油槽61aに貯留する潤滑油の温度が50度に保たれる。なお、浄油槽61aには、潤滑油の温度を一定範囲に保つために、温度指示調節器65の他にサーモスタット66が設けられている。
また、浄油槽61aには、貯留する潤滑油の液面の位置を測定するレベルスイッチ67が設けられている。これにより、浄油槽61a内の潤滑油の液面が所定の位置より下がると、警報が発生するようになっている。同様に、回収槽61bにも、貯留する潤滑油の液面の位置を測定するレベルスイッチ68が設けられている。これにより、回収槽61b内の潤滑油の液面が所定の位置より下がると、警報が発生するようになっている。浄油槽61a及び回収槽61bは、それぞれ約100リットルの容器である。
ところで、従来のフラッシングでは、図16に示すように、給油ポンプ181が、給油流量計171の測定とインバータ181bの可変制御によって、一定量の潤滑油を軸箱104内に送り込むようになっている。また、排油ポンプ182が、排油流量計172の測定とインバータ182bの可変制御によって、一定量の潤滑油を軸箱104内から排出するようになっている。
しかし、軸箱104から排出される潤滑油には、車軸が軸箱104内で回転するため、気泡が多く含まれていた。これにより、排油流量計172が気泡を含む潤滑油の排油量を測定し、実際に流れる排油量より多い値で測定してしまう。従って、排油ポンプ182が定量循環制御を行うために必要な排油量より少ない量の潤滑油を吐出する。この結果、排油量と給油量とが完全に一致しなくて、正確な定量循環制御を行うことが難しいという問題点があった。
更に、従来において、作業者は、排油量と給油量とが一致するように、経験に基づいて独自に排油量と給油量との関係を微調整していたため、最適な流量調整に多くの時間を要していた。特に、輪軸(軸箱又は歯車箱)には多くの種類があるため、軸箱の種類が異なったときには、作業者は給油量と排油量の関係を再考しなければならない。従って、様々な軸箱に対応できるように、給油量及び排油量を流量調整することは難しい作業であった。
そこで、本実施形態のフラッシング装置10は、フラッシングを行う際に、給油量と排油量とが同量になる正確な定量循環制御を行うことができると共に、流量調整を容易に行うことができるように構成されている。以下において、図5に示す油圧回路60Aの構成を詳細に説明する。油圧回路60Aには、浄油槽61aと軸箱4との間に、流路r2及び流路r3が設けられている。また、回収槽61bと軸箱4との間には、流路r4と流路r5と第1分岐流路v1及び第2分岐流路v2と流路r6とが設けられている。そして、流路r3の中間部から分岐する流路r7と、この流路r7と流路r4とに連結されている流路r8が設けられている。
ここで、この油圧回路60Aでは、流路r2と流路r3との間に第1三方弁71が設けられ、流路r4と流路r5との間に第2三方弁72が設けられている。そして、第1三方弁71と第2三方弁72との間に流路r9が形成されている。これにより、流路r9と流路r5と第1分岐流路v1又は第2分岐流路v2と流路r6と流路r3とによって、閉じた回路で潤滑油が循環する循環経路ZKが形成される。そして、本実施形態では、流路r9に単一の給排兼用ポンプ80が設けられていることに特徴がある。
第1三方弁71は、浄油槽61aから流路r2を流れた潤滑油が流路r9を通って流れる状態と、軸箱4内から流路r3を流れた潤滑油が流路r9を通って流れる状態とを切り換える手動切換弁である。浄油槽61aから流路r2を流れた潤滑油が流路r9を通って流れる状態では、流路r3を流れる潤滑油は、第1三方弁71を通過することができなくて、流路r7の方へ流れ込む。また、軸箱4内から流路r3を流れた潤滑油が流路r9を通って流れる状態では、浄油槽61aで貯留されている潤滑油が流路r2を通って第1三方弁71の方へ流れ込むことができない。
第2三方弁72は、流路r9を流れた潤滑油が流路r5を通って流れる状態と、流路r9を流れた潤滑油が流路r4を通って流れる状態とを切り換える手動切換弁である。本実施形態では、第1三方弁71及び第2三方弁72が、本発明の「流れ切換手段」に相当する。また、流路r2と流路r9と流路r5と第1分岐流路v1又は第2分岐流路v2と流路r6とが、本発明の「送り流路」に相当する。また、流路r3と流路r7と流路r8と流路r4とが本発明の「戻り流路」に相当する。
流路r5には、ヒータ74が設けられている。このヒータ74は、流路r6に設けられた温度指示調節器75によって作動が制御されている。即ち、温度指示調節器75は、流路r6を流れる潤滑油の温度を測定していて、この潤滑油の温度が50度になるようにヒータ74が発生する熱量を制御している。これにより、軸箱4内に送り込まれる潤滑油の温度が50度に保たれている。このように、潤滑油の温度を比較的高い一定温度に保つのは、潤滑油を流動し易くし、且つ潤滑油の粘度が変化するのを防止して潤滑油の流量を安定させるためである。また、流路r6には、流れる潤滑油の流量、即ち軸箱4内に送り込む給油量を測定する流量計76が設けられている。
給排兼用ポンプ80は、モータ80aによって回転駆動するようになっている。そして、そのモータ80aの回転数は、インバータ80bによって可変制御されていて、流量計76で測定された給油量に応じて設定される。これにより、給排兼用ポンプ80は、流量計76の測定とインバータ80bの可変制御によって、一定量の潤滑油を流路r9に吐出することができる。この給排兼用ポンプ80は、構造が比較的単純であるギヤポンプで構成されているが、ポンプの種類は適宜変更可能である。流路r9には、異常に上昇した油圧を下げるためのリリーフバルブ81が設けられている。
第1分岐流路v1には、第1フィルタ91が交換可能に設けられ、第2分岐流路v2にも、第2フィルタ92が交換可能に設けられている。これら第1フィルタ91及び第2フィルタ92は、軸箱4に対して潤滑油の流れの上流側に設けられていて、より綺麗な潤滑油を軸箱4に送り込むためのものである。第1フィルタ91及び第2フィルタ92は、図6に示すように、略円筒形状であり、軸箱系配管部40A,40B及び歯車箱系配管部50にそれぞれ配置され(図3参照)、作業員が比較的容易に着脱可能になっている。第1フィルタ91と第2フィルタ92の構成は同様であるため、以下では第1フィルタ91の構成を代表して説明する。ここで、図7は、第1フィルタ91の内部構造を模式的に示した断面図である。
図7に示すように、第1フィルタ91は、複数のフィルタエレメント91a,91b,91cが積層された積層型フィルタになっている。各フィルタエレメント91a,91b,91cは、潤滑油の流路抵抗を低減できるように、合成繊維で構成されている。フィルタエレメント91aは、潤滑油の流れの上流側に配置されていて、フィルタエレメント91cは、潤滑油の流れの下流側に配置されている。これらフィルタエレメント91a,91b,91cは、潤滑油が通過する方向へ順にメッシュサイズが小さくなっていて、フィルタエレメント91aのメッシュサイズが50μmであり、フィルタエレメント91bのメッシュサイズが30μmであり、フィルタエレメント91cのメッシュサイズが10μmである。
ここで、従来のフラッシング装置で用いられているフィルタは、メッシュサイズが74μmである。これに対して、第1フィルタ91は、最小のメッシュサイズが10μmであるため、潤滑油に含まれる不純物を効果的に濾し取ることができる。本実施形態では、第1フィルタ91としてドナルドソン株式会社製の「デュラマックス(登録商標)」を用いているが、フィルタの種類及び上記したメッシュサイズは適宜変更可能である。第1フィルタ91が積層型フィルタになっている理由については後述する。
図5に示す油圧回路60Aの説明に戻る。流路r5から第1分岐流路v1と第2分岐流路v2とに分岐する部分には、第3三方弁73が設けられている。第3三方弁73は、潤滑油が流路r5から第1分岐流路v1へ流れる状態と、潤滑油が流路r5から第2分岐流路v2へ流れる状態とを切り換える手動切換弁である。この第3三方弁73が、本発明の「フィルタ切換手段」に相当する。作業員が第3三方弁73の向きを手動で切り換えることで、第1フィルタ91及び第2フィルタ92のうち何れか一方を使用し、何れか他方を交換することができる。
また、流路r5のうち第3三方弁73より上流側に、第1圧力計77が設けられている。第1圧力計77は、使用している第1フィルタ91又は第2フィルタ92を通過する前の潤滑油の圧力を測定するものである。本実施形態では、第1圧力計77が測定した圧力が0.4MPa以下であるとき、正常な値を示していることになり、使用している第1フィルタ91又は第2フィルタ92で不純物による目詰まりが生じていないと判断できる。但し、上記した圧力値(0.4MPa)は適宜変更可能である。
また、第1分岐流路v1のうち第1フィルタ91より下流側に、第2圧力計78が設けられている。第2圧力計78は、使用している第1フィルタ91又は第2フィルタ92を通過した後の潤滑油の圧力を測定するものである。第2圧力計78が測定した圧力が0.01MPa以上であるとき、正常な値を示していることになり、給排兼用ポンプ80の吐出圧力が正常であるか否かを判断できる。但し、上記した圧力値(0.01MPa)は適宜変更可能である。
こうして、第1圧力計77によって測定された圧力と第2圧力計78によって測定された圧力とを両方確認することで、使用している第1フィルタ91又は第2フィルタ92で不純物による目詰まりが生じているか否かを的確に判断することができる。なお、本実施形態のフラッシング装置10は、流量計76の測定値、第1圧力計77の測定値、第2圧力計78の測定値が特に異常である場合に、フェールセーフとして非常停止するように構成されている。
この油圧回路60Aでは、軸箱4に図示しないカプラを接続することで、流路r6を流れる潤滑油が軸箱4内を通って流路r3を流れるようになっている。言い換えると、軸箱4にカプラを接続しない場合には、潤滑油が流路r6から流路r10を通って流路r3へ流れるようになっている(図8参照)。流路r3には、ストレーナ79が設けられている。ストレーナ79は金属製の網であり、メッシュサイズが50μmである。このストレーナ79は、軸箱4内から排出される潤滑油から比較的大きい不純物を取り除き、給排兼用ポンプ80が故障しないようにポンプの保護を図るものである。
上述した説明では、軸箱4に対してフラッシングを行うための油圧回路60Aについて説明したが、この油圧回路60Aと歯車箱6に対してフラッシングを行うための油圧回路とは同様の構成であるため、歯車箱6に対してフラッシングを行うための油圧回路の説明を省略する。なお、フラッシング装置10は、軸箱4,5及び歯車箱6に対して同時にフラッシングを行うことができる。
次に、フラッシング装置10の操作手順について、軸箱4に対するフラッシングを代表して説明する。先ず、図8に示すように、作業員は第1三方弁71を、潤滑油が流路r2から流路r9へ流れるように切り換える。また、作業員は第2三方弁72を、潤滑油が流路r9から流路r5へ流れるように切り換える。ここでは第1フィルタ91を使用するために、第3三方弁73は、潤滑油が流路r5から第1分岐流路v1へ流れるように切り換えられている。なお、軸箱4にはカプラが接続されていない。
これにより、給排兼用ポンプ80が浄油槽61a内に貯留されている潤滑油を吸い込み、潤滑油が、流路r2、流路r9、流路r5、第1分岐流路v1、流路r6、流路r10、流路r3、流路r7、流路r8を通って回収槽61bへ流れる。こうして、潤滑油を浄油槽61aから各配管を通って回収槽61bへ流し、軸箱系配管部40A内で循環させておく。即ち、軸箱4に潤滑油を送り込む前に、予め各配管内に潤滑油を送り込んでおく。
続いて、図9に示すように、作業員は、軸箱4にカプラを接続し、潤滑油が流路r6から軸箱4内を通って流路r3へ流れる状態に設定する。そして、軸箱4内の油面の位置が規定位置になるまで、軸箱4内に潤滑油を入れる。なお、軸箱4内に送り込まれる潤滑油の容量は約1.0リットルである。その後、作業員は、輪軸回転機構20を作動させて、輪軸1を数百rpmで回転させる。
次に、図10に示すように、作業員は第1三方弁71を切り換えて、潤滑油が流路r3から流路r9へ流れる状態に設定する。これにより、潤滑油が流路r9、流路r5、第1分岐流路v1、流路r6、軸箱4内、流路r3を通って、再び流路r9へ流れる。即ち、潤滑油が循環経路ZKを循環して、浄油槽61a及び回収槽61bを経由しない。こうして、作業員は、十数分以上、給排兼用ポンプ80が吐出する一定量の潤滑油を循環経路ZKで循環させてフラッシングを行う。
このとき、軸箱4内では車軸2が回転しているため、軸箱4内から排出される潤滑油には、気泡が多く含まれている。しかし、この油圧回路60Aでは、単一の給排兼用ポンプ80によって、気泡が含まれたままの潤滑油が循環経路ZKを循環し続けるため、軸箱4内に送り込まれる潤滑油の給油量と軸箱4内から排出される潤滑油の排油量とが同量になる。この結果、軸箱4内の油面の位置を規定位置に保つことができる。なお、給排兼用ポンプ80が吐出する潤滑油の流量は、約2.0リットル/min)である。
こうして、フラッシングを行った後、図11に示すように、作業員は第2三方弁72を切り換えて、潤滑油が流路r9から流路r4へ流れる状態に設定する。これにより、循環経路ZKを循環していた潤滑油は、流路r4を通って回収槽61bへ流れる。こうして、各配管内に潤滑油が残らないように抜油を行い、作業が完了する。軸箱5及び歯車箱6に対するフラッシングも同様であるため、説明を省略する。
ところで、従来のフラッシングでは、図16に示すように、軸箱104内から排出された潤滑油に不純物が含まれるため、排出された潤滑油を一度タンク161の回収槽161bに戻して希釈している。これにより、潤滑油が回収槽161b及び浄油槽161aを経由して、不純物の濃度が低くなった潤滑油を軸箱104内に送り込むようになっている。従って、潤滑油がタンク161を経由することを前提としていて、軸箱104内に潤滑油を送り込む給油側と軸箱内から潤滑油を排出する排出側とを分離して考えて、給油ポンプ181と排油ポンプ182とを設けていた。
これに対して、本実施形態のフラッシングでは、単一の給排兼用ポンプ80が潤滑油を閉じた循環経路ZKで循環させることに特徴があり、潤滑油がタンク61を経由しないという新しい考えに基づいている。一般的にフラッシングは、対象物から不純物を取り除くために行うものであるから、軸箱内から取り除いた不純物を含む潤滑油を循環経路ZKで循環し続ける方法は、矛盾する。しかし、鉄道車両のフラッシングは、軸箱及び歯車箱が台車として組立てられる直前に混入した微細な不純物(鉄粉や糸屑等)を取り除くものであって、軸箱及び歯車箱は修繕によって既に十分綺麗にされており、汚れ等を取り除く一般的なフラッシングとは大きく異なる。実際に、従来の鉄道車両のフラッシングでは、軸箱内に潤滑油を封入して、所定時間輪軸を回転させるだけで、軸箱内から潤滑油の給排を行わない方法も存在する。従って、本実施形態のフラッシングのように、潤滑油がタンク61を経由しないで、潤滑油を循環経路ZKで循環させ続ける方法は特に問題ではない。
そして、本実施形態のフラッシング装置10では、潤滑油を循環経路ZKで循環させても、できるだけ綺麗な潤滑油を軸箱4内へ送り込むことができるように十分対処している。即ち、上述したように、油圧回路60Aでは、2系統の流路(第1分岐流路v1と第2分岐流路v2)及びフィルタ(第1フィルタ91と第2フィルタ92)が設けられていて、第3三方弁73を切り換えることで、第1フィルタ91及び第2フィルタ92のうち何れか一方を使用し、何れか他方を交換できるようになっている。
このため、図10に示すように、例えば長い間、潤滑油を第1分岐流路v1へ流すと、第1フィルタ91は不純物によって目詰まりを起こし、機能が低下する。このとき、作業員は、第1圧力計77によって測定された圧力と第2圧力計78によって測定された圧力とによって、第1フィルタ91で不純物による目詰まりが生じていることを認識する。これにより、図12に示すように、作業員は、第3三方弁73を切り換えて、潤滑油を第2分岐流路v2へ流す。これにより、新しい第2フィルタ92が、不純物を効果的に取り除くことができる。
そして、潤滑油が第2分岐流路v2を流れている間に、第1フィルタ91を交換しておく。その後、第2フィルタ92の機能が低下したとき、第3三方弁73を切り換えて、潤滑油を第1分岐流路v1へ流す。こうして、二つのフィルタ91,92を交互に使用することで、潤滑油を循環経路ZKで循環させる場合に生じ易いフィルタ91,92の目詰まりに十分対応できて、綺麗な潤滑油を軸箱4内へ送り込むことができる。
更に、本実施形態のフラッシング装置10では、上述したように、第1フィルタ91及び第2フィルタ92の最小のメッシュサイズが10μmであるため、より綺麗な潤滑油を軸箱4に供給できるようになっている。そして、図13に示すように、複数のフィルタエレメント91a,91b,91cでは、潤滑油が通過する方向に順にメッシュサイズが小さくなるため、不純物F1,F2,F3の大きさに応じて段階的に不純物F1,F2,F3を捕捉することができる。つまり、第1フィルタ91及び第2フィルタ92は積層型のフィルタであるため、比較的大きい不純物F1,F2が最小のメッシュサイズであるフィルタエレメント91cで目詰まりを起こすことがない。この結果、第1フィルタ91及び第2フィルタ92の交換頻度を少なくすることができる。
ここで、従来のフラッシング装置で用いられているフィルタは、メッシュサイズが74μmの単層型のフィルタであった。このため、仮にメッシュサイズを74μmから小さくしようとすると、圧力損失が大きくなり、潤滑油の流量が低下するという問題点があった。これに対して、本実施形態の第1フィルタ91及び第2フィルタ92は、潤滑油が通過する方向にメッシュサイズが順に小さくなる積層型フィルタであるため、圧力損失が小さい。従って、最小のメッシュサイズが10μmであって小さくても、潤滑油の流量の低下を抑えることができる。
次に、実際に本実施形態のフラッシング装置10と従来のフラッシング装置とを用いて、フラッシングを行ったときの洗浄度を比較して説明する。フラッシングでは、フィルタによって不純物を取り除いて、軸箱4,5又は歯車箱6であるワークに対してできるだけ綺麗な潤滑油を常に供給することが重要である。このため、実際にワークへ供給される潤滑油(供給油)の中に含まれる不純物を見ることで、本実施形態のフラッシング装置10と従来のフラッシング装置との清浄度を比較している。
図14は、軸箱4,5に対してフラッシングを行ったときの洗浄度分析結果を示した図である。例えば図14で示す「7333」という数字は、供給油の100ml中に含まれる5〜15μmの大きさの不純物の数を意味している。そして、清浄度の評価は、5〜15μmと15〜25μmと25〜50μmと50〜100μmと100μm〜の5つの範囲において行っている。ここで、NAS等級とは、日本ポール株式会社が規定しているものであり、100ml中の粒子を上記した5つの範囲に分類して、数量によって規定した等級のことである。NAS等級が小さい程、清浄度が高いことを意味している。
図14に示すように、本実施形態のフラッシング装置10は、従来のフラッシング装置に比べて、5つの範囲全てで不純物の数が少なくなっていて、より清浄な潤滑油を軸箱4,5に供給できることが分かる。従来のフラッシング装置ではNAS等級が12級以上であった。これに対して、本実施形態のフラッシング装置10ではNAS等級が5級であり、清浄効果が非常に大きいことが確認できる。
図15は、歯車箱6に対してフラッシングを行ったときの清浄度分析結果を示した図である。図15に示すように、本実施形態のフラッシング装置10は、従来のフラッシング装置に比べて、5つの範囲全てで不純物の数が少なくなっていて、より清浄な潤滑油を歯車箱6に供給できることが分かる。従来のフラッシング装置ではNAS等級が12級以上であった。これに対して、本実施形態のフラッシング装置10ではNAS等級が8級であり、清浄効果が非常に大きいことが確認できる。なお、歯車箱6に供給する潤滑油が、軸箱4,5に供給する潤滑油より多くの不純物を含んでいるのは、歯車箱6では各歯が擦れあったときに鉄粉が生じ、軸箱4,5に比べてより微細な不純物が混入し易いためだと考えられる。
本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態のフラッシング装置10によれば、図10に示すように、給排兼用ポンプ80が、閉回路である循環経路ZKで潤滑油を循環させるため、一定量の潤滑油が循環経路ZKで循環する。即ち、軸箱4,5又は歯車箱6(以下、「ワーク」と呼ぶ)内から排出される潤滑油に多くの気泡が含まれていても、給排兼用ポンプ80によって気泡が含まれたままの潤滑油が循環経路ZKで循環する。このため、ワーク内に潤滑油を送り込む給油量とワーク内から潤滑油を排出する排油量とを同量にすることができ、正確な定量循環制御を行うことができる。更に、ワーク内に潤滑油を送り込む給油ポンプとワーク内から潤滑油を排出する排油ポンプとが別個に設けられていないため、流量調整を行う場合、単一の給排兼用ポンプ80の吐出量を調整するだけで良い。従って、作業者の経験に依存することがなく、軸箱及び歯車箱の種類が異なっても流量調整を容易に行うことができる。
こうして、このフラッシング装置10によれば、正確な定量循環制御を行うことができるため、軸箱4,5内の油面の位置が規定位置に保たれて、軸端から潤滑油が漏れ出てくることやオイルシールに不純物が噛み込むことを確実に防止できる。更に、流量調整を容易に行うことができるため、様々な種類のワークに対してフラッシングを行う際の作業が容易になると共に、従来に比べて流量調整時間を大幅に短縮できる。また、給排兼用ポンプ80が給油ポンプと排油ポンプとを兼用するため、従来のフラッシング装置に比べて、ポンプ及び流量制御を行う装置(流量計、インバータ)の数を減らすことができる。こうして、部品点数が減ることで、フラッシング装置10の保守性を向上させることができる。
以上、本発明に係る鉄道車両用フラッシング装置の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態のフラッシング装置10では、第1三方弁71と第2三方弁72と第3三方弁73はそれぞれ手動切換弁であるが、電磁切換弁であっても良く、油圧回路60の構成は適宜変更可能である。
1 輪軸
2 車軸
4,5 軸箱
6 歯車箱
10 フラッシング装置
20 輪軸回転機構
30 潤滑油給排機構
40A,40B 軸箱系配管部
50 歯車箱系配管部
60A,60B 油圧回路
61 タンク
61a 浄油槽
61b 回収槽
71 第1三方弁
72 第2三方弁
73 第3三方弁
74 ヒータ
75 温度指示調節器
76 流量計
77 第1圧力計
78 第2圧力計
80 給排兼用ポンプ
80a モータ
80b インバータ
91 第1フィルタ
91a,91b,91c フィルタエレメント
92 第2フィルタ
v1 第1分岐流路
v2 第2分岐流路
ZK 循環経路

Claims (4)

  1. 鉄道車両の輪軸を回転可能な輪軸回転機構と、
    前記輪軸に取付けられた軸箱又は歯車箱であるワークにタンクから潤滑油を送り込む送り流路と、
    前記ワークから潤滑油をタンクへ戻す戻り流路と、
    前記ワークを通った潤滑油から不純物を取り除くフィルタとを備え、
    前記輪軸を回転させながら前記ワーク内に潤滑油を送り込んで前記ワークのフラッシングを行う鉄道車両用フラッシング装置において、
    前記送り流路と前記戻り流路とを連結して閉じた回路で潤滑油を循環させる循環経路が形成され、
    潤滑油がタンクから前記送り流路と前記戻り流路を通ってタンクへ流れる非循環流れと、潤滑油が前記循環経路を循環して流れる循環流れとを切り換える流れ切換手段が設けられ、
    前記循環経路に一定量の潤滑油を吐出可能な給排兼用ポンプが設けられていることを特徴とする鉄道車両用フラッシング装置。
  2. 請求項1に記載された鉄道車両用フラッシング装置において、
    前記循環経路には、1つの流路から分岐し且つ1つの流路に合流する第1分岐流路と第2分岐流路とが設けられ、
    前記第1分岐流路及び前記第2分岐流路には、それぞれ前記フィルタが交換可能に設けられ、
    前記第1分岐流路に潤滑油を流す状態又は前記第2分岐流路に潤滑油を流す状態とを切り換え可能なフィルタ切換手段が設けられていることを特徴とする鉄道車両用フラッシング装置。
  3. 請求項2に記載された鉄道車両用フラッシング装置において、
    前記第1分岐流路に設けられたフィルタ又は前記第2分岐流路に設けられたフィルタを通過する前の潤滑油の圧力を測定する第1圧力計と、
    前記第1分岐流路に設けられたフィルタ又は前記第2分岐流路に設けられたフィルタを通過した後の潤滑油の圧力を測定する第2圧力計とが設けられていることを特徴とする鉄道車両用フラッシング装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載された鉄道車両用フラッシング装置において、
    前記フィルタは、複数のフィルタエレメントが積層された積層型フィルタであり、
    前記複数のフィルタエレメントは、潤滑油が通過する方向へ順にメッシュサイズが小さくなっていて、最小のメッシュサイズが10μm以下であることを特徴とする鉄道車両用フラッシング装置。
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