図1は本発明の実施の形態に係る固体撮像素子の構成を示す図である。本実施の形態に係る固体撮像素子は、CMOSイメージセンサーであって、図1に示されるように、画素アレイ部1と、読み出し回路2,3と、出力回路4と、行選択回路5と、制御回路6とを備えている。
画素アレイ部1では、複数の画素部10が行列状に配置されている。図中のX軸方向は画素部10が配列されている行方向を示し、当該X軸方向に垂直なY軸方向は画素部10が配列されている列方向を示している。複数の画素部10のそれぞれは、照射される光の強度に応じた信号を生成する。行選択回路5は、複数の画素部10を行単位で選択する。行選択回路5によって選択された画素部10は、生成した信号を後述する出力線OLに出力する。読み出し回路2,3は、画素アレイ部1を間に挟むようにY軸方向で互いに対向して配置されている。読み出し回路2,3のそれぞれは、画素部10から出力線OLに出力された信号を読み出して出力回路4に出力する。読み出し回路2は、複数の画素部10のうち、当該読み出し回路2側の半分の画素部10の信号を読み出し、読み出し回路3は、当該読み出し回路3側の残りの半分の画素部10の信号を読み出す。出力回路4は、読み出し回路2,3が読み出した画素部10の信号を、本固体撮像素子の外部に出力する。制御回路6は、本固体撮像素子全体の動作を統括的に管理し、本固体撮像素子の他の構成要素の動作を制御する。
図2は各画素部10の回路構成を示す図である。図2に示されるように、画素部10は、光電変換を行うフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで発生した電荷を転送する転送トランジスタTXと、転送トランジスタTXから転送される電荷を蓄積するフローティングディフュージョンFDと、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅する増幅トランジスタAMIと、増幅トランジスタAMIで増幅された電位を、読み出し回路2,3の一方に接続された出力線OLに出力するか否かを選択する選択トランジスタSELと、フォトダイオードPDのカソード及びフローティングディフュージョンFDの電位を所定電位に初期化するリセットトランジスタRSTとを備えている。転送トランジスタTX、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI及び選択トランジスタSELのそれぞれは、例えばNMOSトランジスタである。
フォトダイオードPDのアノードには、マイナス側電源電位である接地電位GNDが印加され、そのカソードは、転送トランジスタTXのソースに接続されている。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTXのドレインと、リセットトランジスタRSTのソースと、増幅トランジスタAMIのゲートとに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレインと、増幅トランジスタAMIのドレインとには、プラス側電源電位VCCが印加される。増幅トランジスタAMIのソースは、選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは、上述の読み出し回路2,3のいずれか一方に接続された出力線OLに接続されている。
次に画素部10の動作について説明する。まず、転送トランジスタTX及びリセットトランジスタRSTのゲートに所定電位が印加されて、転送トランジスタTX及びリセットトランジスタRSTがともにオン状態となる。そうすると、フォトダイオードPDに残存する電荷及びフローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷がプラス側電源電位VCCに向かって流れて、フォトダイオードPD及びフローティングディフュージョンFDの電荷が初期化される。その後、リセットトランジスタRSTがオフ状態となる。
次に、入射光がフォトダイオードPDのPN接合に照射されて、フォトダイオードPDで光電変換が発生する。その結果、フォトダイオードPDに電荷が発生する。この電荷は、転送トランジスタTXによってすべてフローティングディフュージョンFDに転送される。フローティングディフュージョンFDは転送されてきた電荷を蓄積する。これにより、フローティングディフュージョンFDの電位が変化する。
次に、選択トランジスタSELがオン状態となると、変化後のフローティングディフュージョンFDの電位が、増幅トランジスタAMIによって増幅されて、その後、出力線OLに出力される。そして、読み出し回路2,3の一方は、出力線OLの電位を読み出す。
図3,4は画素部10の構造を示す上面図である。図5は図3中の矢視A−Aにおける断面構造を示す図である。図3では、説明の便宜上、活性領域ARよりも上方の構造についてはゲート電極20及びコンタクトプラグ40のみを示している。
図3〜5に示されるように、N型の半導体基板1の上面内には、P−型のウェル領域2が形成されている。そして、ウェル領域2上には、半導体基板1に活性領域ARを区画する素子分離構造3が形成されている。複数の画素部10はこの活性領域ARに形成されている。素子分離構造3は例えばシリコン酸化膜から成る。
ウェル領域2の上面内には、接地電位GNDが印加されるP+型不純物領域17と、N−型不純物領域11と、N+型不純物領域12と、ソース・ドレイン領域13〜16とが、互いに離れて形成されている。ソース・ドレイン領域13〜16のそれぞれはN+型不純物領域である。
N−型不純物領域11は、フォトダイオードPDのカソード及び転送トランジスタTXのソースとして機能する。N−型不純物領域11とPN接合を形成するウェル領域2はフォトダイオードPDのアノードとして機能する。N+型不純物領域12は、フローティングディフュージョンFD及び転送トランジスタTXのドレインとして機能する。ソース・ドレイン領域13はリセットトランジスタRSTのソースとして機能する。ソース・ドレイン領域14は、リセットトランジスタRSTのドレイン及び増幅トランジスタAMIのドレインとして機能する。ソース・ドレイン領域15は、増幅トランジスタAMIのソース及び選択トランジスタSELのドレインとして機能する。ソース・ドレイン領域16は、選択トランジスタSELのソースとして機能する。
N−型不純物領域11とN+型不純物領域12との間のウェル領域2上には、ゲート絶縁膜21を介して、転送トランジスタTXのゲート電極20が形成されている。ソース・ドレイン領域13,14の間のウェル領域2上には、ゲート絶縁膜21を介して、リセットトランジスタRSTのゲート電極20が形成されている。ソース・ドレイン領域14,15の間のウェル領域2上には、ゲート絶縁膜21を介して、増幅トランジスタAMIのゲート電極20が形成されている。そして、ソース・ドレイン領域15,16の間のウェル領域2上には、ゲート絶縁膜21を介して、選択トランジスタSELのゲート電極20が形成されている。ゲート電極20は例えばポリシリコンから成り、ゲート絶縁膜21は例えばシリコン酸化膜から成る。
このように、画素部10が形成された活性領域ARは、N−型不純物領域11が形成された部分活性領域AR1と、N+型不純物領域12が形成された部分活性領域AR2と、ソース・ドレイン領域13〜16がそれぞれ形成された部分活性領域AR3〜AR6と、P+型不純物領域17が形成された部分活性領域AR7とを有している。上面視上では、部分活性領域AR1,AR2から成る領域と、部分活性領域AR7とは素子分離構造3で分離されており、部分活性領域AR1,AR2から成る領域と、部分活性領域AR3〜AR6から成る領域とは素子分離構造3で分離されており、部分活性領域AR7と、部分活性領域AR3〜AR6から成る領域とは素子分離構造3で分離されている。部分活性領域AR7と、部分活性領域AR1と、部分活性領域AR2とは、X軸方向に沿ってこの順で並んで配置されている。部分活性領域AR3〜AR6は、X軸方向に沿ってこの順で並んで配置されている。そして、部分活性領域AR1と、部分活性領域AR4〜AR6から成る領域とはY軸方向に沿って並んで配置されており、部分活性領域AR2と部分活性領域AR3とはY軸方向に沿って並んで配置されている。
図3に示されるように、上面視上における部分活性領域AR1の形状は略長方形であって、X軸方向に沿って延在している。そして、複数の部分活性領域AR1のうちY軸方向に並ぶ一部の部分活性領域AR1、つまりある列の部分活性領域AR1のそれぞれは、上面視上において、Y軸方向で対向する2つの長辺のそれぞれの部分活性領域AR2側の略半分がY軸の矢印方向に若干ずれた形状を成している。そのため、当該2つの長辺にはそれぞれ段差90が生じている。
また、複数の部分活性領域AR5のうち、段差90を有する部分活性領域AR1とY軸方向に並ぶ部分活性領域AR5、つまり段差90を有する部分活性領域AR1と同じ列に属する部分活性領域AR5の上面視上での形状は、X軸方向で対向する2つの辺とY軸方向で対向する2つの辺とを有する四角形において、当該Y軸方向で対向する2つの辺のそれぞれの部分活性領域AR4側の略半分がY軸の矢印方向に若干ずれた形状となっている。そのため、当該Y軸方向で対向する2つの辺にはそれぞれ段差91が生じている。
このように、ある列に属する部分活性領域AR1は、上面視上の周縁に段差90が生じるように上面視上でY軸方向にずれた形状を成しており、当該部分活性領域AR1とY軸方向で隣り合う部分活性領域AR5は、上面視上の周縁に段差91が生じるように上面視上でY軸方向にずれた形状を成している。これらの段差90,91は、後述するように、活性領域ARを半導体基板1に区画する際の分割露光処理において、露光境界線が、半導体基板1における、部分活性領域AR1,AR5が形成される領域上に配置されるために生じる。
なお、複数の部分活性領域AR5のうち、段差91を有する部分活性領域AR5以外の部分活性領域AR5は上面視上で略四角形を成している。また、部分活性領域AR3,AR4,AR6のそれぞれは上面視上で略四角形を成しており、部分活性領域AR7は、上面視上で、Y軸方向に沿って延びる略長方形を成している。
図5に示されるように、半導体基板1上には、ゲート絶縁膜21及びゲート電極20を覆って層間絶縁膜30が形成されている。そして、層間絶縁膜30内にはその厚さ方向に貫通する複数のコンタクトプラグ40が形成されている。複数のコンタクトプラグ40の一端は、部分活性領域AR2〜AR4,AR6,AR7にそれぞれ接触している。層間絶縁膜30上には複数のコンタクトプラグ40に接触して下層の複数の配線50が形成されている。層間絶縁膜30上には複数の配線50を覆って層間絶縁膜60が形成されている。層間絶縁膜60内には、その厚さ方向に貫通する図示しないビアプラグが形成されている。このビアプラグは、複数の配線50の一部と接触している。そして、層間絶縁膜60上にビアプラグと接触する上層の配線80が形成されている。層間絶縁膜30,60のそれぞれは例えばシリコン酸化膜である。コンタクトプラグ40、ビアプラグ及び配線50,80のそれぞれは例えば金属から成る。
図4に示されるように、上層の配線80は上面視上において格子形状を成しており、層間絶縁膜60のうち行列状に配列された複数の部分活性領域AR1上の部分領域60aは配線80から露出している。配線80は、その側面に段差92が生じるように上面視上でY軸方向にずれた形状を成している。配線80のうち、段差90を有する部分活性領域AR1上の部分領域60aとY軸方向で並ぶ部分領域80aでは、Y軸方向で対向する両側面のそれぞれの略半分がY軸方向に若干ずれており、当該部分領域80aの両側面のそれぞれには段差92が生じている。この段差92も、後述するように、配線80を形成する際の分割露光処理において、露光境界線が、部分活性領域AR1,AR5上に配置されるために生じる。
次に、本実施の形態に係る固体撮像素子の製造方法について説明する。図6は本実施の形態に係る固体撮像素子の製造方法を示すフローチャートである。以下では、画素部10の製造方法を中心に説明する。
図6に示されるように、ステップs1において、半導体チップたる半導体基板1を準備して、ステップs2において、半導体基板1の上面内にウェル領域2を形成する。
次にステップs3において、ウェル領域2上に素子分離構造3を形成して、複数の画素部10が形成される活性領域ARを半導体基板1に区画する。なお、このとき、読み出し回路2,3や出力回路4などが形成される活性領域も半導体基板1に区画される。
次にステップs4において、転送トランジスタTX、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI及び選択トランジスタSELなど、各種MOSトランジスタについて、ゲート絶縁膜21及びゲート電極20から成るゲート構造を形成する。
次にステップs5において、活性領域AR中のウェル領域2の上面内に、N−型不純物領域11、N+型不純物領域12、ソース・ドレイン領域13〜16及びP+型不純物領域17など、各種不純物領域を形成する。
次にステップs6において、半導体基板1上に層間絶縁膜30を形成し、ステップs7において、層間絶縁膜30内にコンタクトプラグ40を形成する。そして、ステップs8において、層間絶縁膜30上に下層の配線50を形成する。
次にステップs9において、層間絶縁膜30上に層間絶縁膜60を形成し、ステップs10において、層間絶縁膜60内にビアプラグを形成する。そして、ステップs11において、層間絶縁膜60上に上層の配線80を形成する。
上述のステップs3〜s5などでは、半導体基板1上にフォトレジストが形成され、当該フォトレジストに対して露光処理が行われる。本実施の形態に係る製造方法で使用される露光装置での1回の露光面積は、半導体基板1に形成される本固体撮像素子の表面積よりも小さくなっている。したがって、本実施の形態では、図7に示されるように、半導体基板1上に形成されたフォトレジスト95を複数の露光領域ER、例えば3つの露光領域ERに分割して、当該3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理を行う。したがって、本実施の形態では、露光領域ERの境界線DLが2本存在することになる。そして、本実施の形態では、分割露光の境界線DLの位置を適切に設定することによって、互いに隣接する2つの露光領域ERを露光する際にそれぞれ使用される2種類のマスクパターンの位置ずれに起因する本固体撮像素子の性能劣化を抑制する。なお、図7中の破線96は、半導体基板1において、画素アレイ部1が形成される領域を示している。
図8はステップs3での素子分離構造3を形成する工程を詳細に示すフローチャートである。図8では、シリコン酸化膜から成る素子分離構造3をLOCOS(local oxidation of silicon)方式で形成する場合のフローが示されている。なお、素子分離構造3をSTI(shallow trench isolation)方式で形成しても良い。図8に示されるように、まずステップs301において、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層構造を有する保護膜99を半導体基板1上に形成する。そして、ステップs302において、保護膜99上にフォトレジスト100を形成する。
次にステップs303において、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用してフォトレジスト100を露光する。このとき、フォトレジスト100に対しては分割露光が行われる。図9はステップs303での分割露光処理の様子を示す図である。図9に示されるように、フォトレジスト100における分割露光の境界線DLは、少なくとも、半導体基板1における活性領域ARが形成される領域PAR上に位置している。具体的には、境界線DLは、半導体基板1において活性領域ARが形成される領域PARのうち、ある列に属する複数の画素部10のN−型不純物領域11及びソース・ドレイン領域15が形成される領域上で、Y軸方向に沿って直線状に延びている。
上述のように、本実施の形態では、フォトレジスト100は3つの露光領域ERに分割される。そして、3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理が行われる。このとき使用されるマスクパターンは、3つの露光領域ERのそれぞれに対応して個別に準備される。つまり、ステップs303での露光処理では、3種類のマスクパターンが使用される。
ステップs303が実行されると、ステップs304において、露光後のフォトレジスト100が現像されて、当該フォトレジスト100がパターンニングされる。図10はパターンニング後のフォトレジスト100を示す上面図である。図10に示されるように、パターニングされたフォトレジスト100は、互いに隣接する2つの露光領域ERの間でレジストパターンがその境界線DLを境にしてY軸方向にずれた形状となっている。これは、フォトレジスト100における互いに隣接する2つの露光領域ERを露光する際にそれぞれ使用される2種類のマスクパターンの間で、Y軸方向の位置ずれが発生したためである。その結果、フォトレジスト100の側面には、分割露光の境界線DLを境にして段差101が発生している。
次にステップs305において、フォトレジスト100をマスクに用いて、当該フォトレジスト100から露出した保護膜99をエッチングで除去し、その後、ステップs306においてマスクに使用したフォトレジスト100を除去する。そして、ステップs307において、得られた構造に対して酸化処理を実行する。このとき、半導体基板1の上面のうち、保護膜99が形成されている部分は酸化されず、保護膜99から露出している部分だけが酸化される。これにより、半導体基板1には、活性領域ARを区画する素子分離構造3が形成される。その後、ステップs308においてマスクに使用した保護膜99を除去する。
図11はステップs308の実行後に得られる構造を示す上面図である。図11に示されるように、活性領域ARのうち、ある列の複数の画素部10のN−型不純物領域11が形成される部分活性領域AR1では、フォトレジスト100の側面に形成された段差101に応じて、上面視上での周縁に段差90が形成されている。また、活性領域ARのうち、ある列の複数の画素部10のソース・ドレイン領域15が形成される部分活性領域AR5では、フォトレジスト100の側面に形成された段差101に応じて、上面視上での周縁に段差91が形成されている。
図12はステップs4でのゲート構造を形成する工程を詳細に示すフローチャートである。図12に示されるように、まずステップs401において、ゲート絶縁膜21となる絶縁膜を半導体基板1上に形成し、その後、ステップs402において、当該絶縁膜上にゲート電極20となる導電膜210を形成する。
次にステップs403において、導電膜210上にフォトレジスト200を形成する。そして、ステップs404において、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用してフォトレジスト200を露光する。このとき、フォトレジスト200に対しては分割露光処理が行われる。図13はステップs404での分割露光処理の様子を示す図である。図13に示されるように、フォトレジスト200における分割露光の境界線DLは、上述のステップs303での分割露光の境界線DLと同じ位置に設定されている。つまり、ステップs404では、境界線DLは、活性領域ARのうち、ある列の複数の画素部10のN−型不純物領域11及びソース・ドレイン領域15が形成される領域上に位置している。ステップs404では、ステップs303と同様に、フォトレジスト200は3つの露光領域ERに分割され、当該3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理が行われる。
次にステップs405において、露光後のフォトレジスト200が現像されて、当該フォトレジスト200がパターンニングされる。図14はパターンニング後のフォトレジスト200を示す上面図である。図14に示されるように、ゲート絶縁膜21及びゲート電極20の形状に応じた形状のフォトレジスト200が導電膜210上に形成されている。
次にステップs406において、ステップs405で形成したレジストパターンの寸法検査を行う。図15は当該寸法検査を説明するための図である。ここで、本実施の形態では、フォトレジストに対しては分割露光処理が行われることから、ある露光領域ERに対する露光処理と、他の露光領域ERに対する露光処理とは同時に行われず、複数種類のマスクパターンが使用される。そのため、露光条件の設定誤差やマスクパターンの設計誤差等のために、パターンニング後のフォトレジストでは、互いに隣接する2つの露光領域ERの間で、本来同じであるべきレジストパターンの寸法が異なることがある。その結果、半導体基板1においては、境界線DLを間に挟む2つの領域の間で、素子寸法が異なることがある。例えば、当該2つの領域の間でゲート電極20の寸法が異なる場合には、当該2つの領域の間で、転送トランジスタTXの電荷転送能力や、画素部10に対するデータの読み出し速度が異なるようになる。さらには、当該2つの領域の間で、フローティングディフュージョンFDでのゲート電極20に対する結合容量が異なるようになり、その結果、画素特性が相違し、画質の劣化を招来する。したがって、分割露光されたフォトレジストにおいて、隣接する2つの露光領域ERのそれぞれのレジストパターンの寸法を管理することは非常に重要である。
そこで、ステップs406では、図15に示されるように、パターニング後のフォトレジスト200において、境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERのうち、一方の露光領域ERの所定箇所251でのレジストパターンの寸法と、他方の露光領域ERの所定箇所252でのレジストパターンの寸法とを測定し、測定した2つの寸法を比較する。ステップs406では、互いに隣接する2つの露光領域ERのそれぞれにおいて、ゲート電極20の形状に応じたレジストパターンの寸法が測定される。本実施の形態では、境界線DLは2本存在することから、当該2本の境界線DLのうち、一方の境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERのそれぞれについてレジストパターンの寸法検査を行い、他方の境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERのそれぞれについてレジストパターンの寸法検査を行う。所定箇所250,251は境界線DLにできるだけ近い位置に設定される。
また、フォトレジスト200における一つの露光領域ER内においても、光の照射具合は均一ではないことから、パターニング後のフォトレジスト200の一つの露光領域ER内において、レジストパターンの寸法がばらつくことがある。特に、ある露光領域ERを露光する際には、それに隣接する他の露光領域ERは遮光膜で覆われることから、当該ある露光領域ERにおいて、その中央部分と、境界線DLに近い部分とでは、本来同じ形状であるべきレジストパターンが大きく異なることがある。
そこで、ステップs406では、パターンニング後のフォトレジスト200の各露光領域ERにおいて、その中央の所定箇所250でのレジストパターンと、境界線DLに近い所定箇所251でのレジストパターンとの寸法を測定し、測定した2つの寸法を比較する。本実施の形態では、フォトレジスト200は3つの露光領域ERに分割されることから、当該3つの露光領域ERのそれぞれについて、このようなレジストパターンの寸法検査を行う。
ステップs406でのレジストパターンの寸法測定は、例えば走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を使用して行われる。このとき、レジストパターンの測定箇所たる所定箇所250〜252を特定するために、分割露光の境界線DLの位置を把握する必要がある。本実施の形態では、走査電子顕微鏡を用いて、活性領域ARに形成された段差90,91を検出することによって、境界線DLの位置を把握する。本実施の形態に係る活性領域ARでは、分割露光の境界線DLの位置に応じて段差90,91が形成されているため、当該段差90,91を検出することによって、境界線DLの位置を簡単に把握することができる。活性領域AR上にはゲート絶縁膜21となる絶縁膜及びゲート電極20となる導電膜210が形成されているが、これらの膜は比較的薄いため、走査電子顕微鏡を用いて活性領域ARの段差90,91を検出することは可能である。なお、段差90,91を走査電子顕微鏡で検出するためには、段差90,91の高さは0.03μm以上が望ましい。また、段差90,91が高いと、本固体撮像素子の性能が劣化する可能性があることから、段差90,91の高さは0.3μm以下が望ましい。
次にステップs407において、ステップs406でのレジストパターンの寸法比較の結果に基づいて、フォトレジスト200に形成されたレジストパターンの寸法検査の合否を判定する。つまり、パターンニング後のフォトレジスト200が設計通りであるか否かを判定する。
ステップs407においてレジストパターンの寸法検査が合格であると判定されると、ステップs408において、フォトレジスト200をマスクに用いて、当該フォトレジスト200から露出する導電膜210をエッチングして除去し、さらにその下の絶縁膜をエッチングして除去する。その後、ステップs409において、マスクに使用したフォトレジスト200を除去する。これにより、図16に示されるように、転送トランジスタTX、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI及び選択トランジスタSELのゲート電極20及びゲート絶縁膜21が形成される。
次にステップs410において、完成後のゲート電極20の寸法検査を行う。上述のように、半導体基板1上では、境界線DLを挟む2つの領域の間で、本来は同じであるべきゲート電極20の寸法が異なることがある。そこで、ステップs410では、半導体基板1上のゲート電極20が形成されている領域において、境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERにそれぞれ対応した2つの部分領域のうち、一方の部分領域でのゲート電極20の寸法と、他方の部分領域でのゲート電極20の寸法とを測定し、測定した2つの寸法を比較する。本実施の形態では、境界線DLは2本存在することから、当該2本の境界線DLのうち、一方の境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERにそれぞれ対応した2つの部分領域のそれぞれについてゲート電極20の寸法検査を行い、他方の境界線DLを間に挟む2つの露光領域ERにそれぞれ対応した2つの部分領域のそれぞれについてゲート電極20の寸法検査を行う。
また、フォトレジスト200での一つの露光領域ER内においても、その中央部分と、境界線DLに近い部分とでは、本来同じ形状であるべきレジストパターンが大きく異なることがあるため、半導体基板1上のゲート電極20が形成されている領域に関しても、一つの露光領域ERに対応する部分領域において、その中央部分と境界線DLに近い部分とでは、本来同じ寸法であるべきゲート電極20の寸法が異なることがある。そこで、ステップs410では、半導体基板1上のゲート電極20が形成されている領域での、一つの露光領域ERに対応する部分領域において、その中央箇所でのゲート電極20の寸法と、境界線DLに近い箇所でのゲート電極20との寸法を測定し、測定した2つの寸法を比較する。本実施の形態では、フォトレジスト200は3つの露光領域ERに分割されることから、半導体基板1上のゲート電極20が形成されている領域での、3つの露光領域ERにそれぞれ対応する3つの部分領域のそれぞれについて、このようなゲート電極20の寸法検査を行う。
そして、ゲート電極20の寸法比較の結果に基づいて、以後の製造工程の実行を継続するか否かを判定する。ゲート電極20の寸法ばらつきが大きければ、本固体撮像素子の製造を終了し、小さければ以後の製造工程を継続して実行する。また、ステップs410での寸法比較の結果は、次のロットの固体撮像素子を製造する際の露光条件を決定する際に考慮される。つまり、次のロットの固体撮像素子を製造する際には、ゲート電極20の寸法ばらつきが小さくなるよう露光条件が調整される。
これに対して、ステップs407において、レジストパターンの寸法検査が不合格であると判定されると、ステップs411において、パターンニングされたフォトレジスト200を除去して、ステップs412において、新たなフォトレジスト200を導電膜210上に形成する。そして、ステップs413において、ステップs406でのレジストパターンの寸法比較の結果に基づいて、新たなフォトレジスト200に対する露光条件を調整する。ステップs413では、レジストパターンの寸法ばらつきが小さくなるように、例えば露光量が調整される。その後、調整後の露光条件において再びステップs404が実行され、以後同様の処理が実行される。
図17はステップs5での各種不純物領域を形成する工程を詳細に示すフローチャートである。以下では、N−型不純物領域11を形成する工程について代表的に説明する。
図17に示されるように、まずステップs501において、半導体基板1上にフォトレジスト300を形成する。次にステップs502において、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用してフォトレジスト300を露光する。このとき、フォトレジスト300に対しては分割露光処理が行われる。図18はステップs502での分割露光処理の様子を示す図である。図18に示されるように、フォトレジスト300における分割露光の境界線DLは、上述のステップs303,s404での分割露光の境界線DLと同じ位置に設定されている。つまり、ステップs502では、境界線DLは、活性領域ARのうち、ある列の複数の画素部10のN−型不純物領域11及びソース・ドレイン領域15が形成される領域上に位置している。ステップs502では、ステップs303,s404と同様に、フォトレジスト300は3つの露光領域ERに分割され、当該3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理が行われる。
次にステップs503において、露光後のフォトレジスト300が現像されて、当該フォトレジスト300がパターンニングされる。図19はパターンニング後のフォトレジスト300を示す上面図である。図19に示されるように、半導体基板1上には、一部の部分活性領域AR1を露出する開口部300aを有するフォトレジスト300が形成されている。
次にステップs504において、上述のステップs406と同様にして、ステップs503で形成したレジストパターンの寸法検査を行う。ここでは、部分活性領域AR1の露出面積が適切であるか否かを確認するために、フォトレジスト300に形成された開口部300aの寸法を測定する。このとき、ステップs406と同様に、活性領域ARに形成された段差90,91を検出することによって、境界線DLの位置を把握する。
次にステップs505において、ステップs504でのレジストパターンの寸法比較の結果に基づいて、フォトレジスト300に形成されたレジストパターンの寸法検査の合否を判定する。ステップs505においてレジストパターンの寸法検査が合格であると判定されると、ステップs506において、フォトレジスト300をマスクに用いて、当該フォトレジスト300から露出する部分活性領域AR1に対して例えばイオン注入法を用いてN型の不純物を導入する。その後、ステップs507において、マスクに使用したフォトレジスト300を除去する。これにより、図20に示されるように、活性領域ARのうちの部分活性領域AR1にはN−型不純物領域11が形成される。
一方で、ステップs505において、レジストパターンの寸法検査が不合格であると判定されると、ステップs508において、パターンニングされたフォトレジスト300を除去し、ステップs509において、新たにフォトレジスト300を半導体基板1上に形成する。そして、ステップs510において、ステップs505でのレジストパターンの寸法比較の結果に基づいて、新たに形成したフォトレジスト300に対する露光条件が調整される。ステップs510では例えば露光量が調整される。その後、調整後の露光条件において再びステップs502が実行され、以後同様の処理が実行される。
N+型不純物領域12、ソース・ドレイン領域13〜16及びP+型不純物領域17を形成する際には、同様の処理が実行される。
図21はステップs7でのコンタクトプラグ40を形成する工程及びステップs10でのビアプラグを形成する工程を詳細に示すフローチャートである。コンタクトプラグ40とビアプラグとは同様の方法で形成されるため、以下では代表的にコンタクトプラグ40を形成する工程について説明する。
図21に示されるように、まずステップs701において、ステップs6で形成された層間絶縁膜30上にフォトレジスト400を形成する。次にステップs702において、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用してフォトレジスト400を露光する。このとき、フォトレジスト400に対しては分割露光処理が行われる。図22はステップs702での分割露光処理の様子を示す図である。図22に示されるように、フォトレジスト400における分割露光の境界線DLは、上述のステップs303,s404,s502での分割露光の境界線DLと同じ位置に設定されている。また、ステップs702では、ステップs303,s404,s502と同様に、フォトレジスト400は3つの露光領域ERに分割され、当該3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理が行われる。
次にステップs703において、露光後のフォトレジスト400を現像して、当該フォトレジスト400をパターンニングする。そして、ステップs704において、フォトレジスト400をマスクに用いて、当該フォトレジスト400から露出する層間絶縁膜30をエッチングして除去する。その後、ステップs705において、マスクに使用したフォトレジスト400を除去する。これにより、層間絶縁膜30内には、N+型不純物領域12等を露出する複数のコンタクトホールが形成される。なお、層間絶縁膜60内にビアプラグを形成する際には、当該層間絶縁膜60内には、配線50を露出するビアホールが形成される。
次に、ステップs706において、層間絶縁膜30内の各コンタクトホールを充填する導電膜を形成する。これにより、層間絶縁膜30内に複数のコンタクトプラグ40が形成される。なお、層間絶縁膜60内にビアプラグを形成する際には、層間絶縁膜60に形成されたビアホールに導電膜が充填される。
図23はステップs8での下層の配線50を形成する工程及びステップs11での上層の配線80を形成する工程を詳細に示すフローチャートである。配線50,80は同様の方法で形成されるため、以下では代表的に配線80を形成する工程について説明する。
図23に示されるように、まずステップs801において、配線80となる導電膜510を層間絶縁膜60上に形成し、その後、ステップs802において、導電膜510上にフォトレジスト500を形成する。
次にステップs803において、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用してフォトレジスト500を露光する。このとき、フォトレジスト500に対しては分割露光処理が行われる。図24はステップs803での分割露光処理の様子を示す図である。図24に示されるように、フォトレジスト500における分割露光の境界線DLは、上述のステップs303,s404,s502,s702での境界線DLと同じ位置に設定されている。また、ステップs803では、ステップs303,s404,s502,s702と同様に、フォトレジスト500は3つの露光領域ERに分割され、当該3つの露光領域ERのそれぞれに対して個別に露光処理が行われる。
次にステップs804において、露光後のフォトレジスト500を現像して、当該フォトレジスト500をパターンニングする。図25はパターニング後のフォトレジスト500を示す上面図である。図25に示されるように、導電膜510上には、当該導電膜510におけるN−型不純物領域11の上方部分を露出するフォトレジスト500が形成されている。
ここで、パターニングされたフォトレジスト500は、互いに隣接する2つの露光領域ERの間でレジストパターンがその境界線DLを境にしてY軸方向にずれた形状となっている。これは、フォトレジスト500における互いに隣接する2つの露光領域ERを露光する際にそれぞれ使用する2種類のマスクパターンの間で、Y軸方向の位置ずれが発生したためである。その結果、フォトレジスト500の内側面には、分割露光の境界線DLを境にして段差501が発生している。
次にステップs805において、フォトレジスト500をマスクに用いて、当該フォトレジスト500から露出する導電膜510をエッチングして除去する。その後、ステップs806において、マスクに使用したフォトレジスト500を除去する。これにより、図26に示されるように、層間絶縁膜60上に配線80が形成される。格子状の配線80の内側面には、フォトレジスト500に形成された段差501に応じて段差92が形成されている。
以上のように、本実施の形態に係る固体撮像素子の製造方法では、半導体基板1に活性領域ARを区画する際に使用されるフォトレジスト100を分割露光する際には、その境界線DLが、少なくとも、半導体基板1において活性領域ARが区画される領域PAR上に位置している。
これに対して、分割露光の境界線DLが、半導体基板1において素子分離構造3が形成される領域上のみに位置している場合には、当該境界線DLを挟む2つの露光領域ERを露光する際にそれぞれ使用される2種類のマスクパターンの位置ずれによって、境界線DLの下方に形成される素子分離構造3の寸法が本来よりも小さくなることがある。そのため、素子分離構造3による素子間の電気的絶縁性が十分に確保されず、本固体撮像素子の性能劣化、あるいは誤動作を引き起こすことがある。近年、固体撮像素子において要求される画素数が多くなり、それにともない複数の画素部10が密集して配置されることから、素子分離構造3の寸法も小さくなりつつある。そのため、素子分離構造3の寸法変化に起因する本固体撮像素子の性能劣化の問題は非常に顕著となってきている。特に、境界線DLが、隣接する画素部10の間に存在する素子分離構造3が形成される領域上のみに配置される場合には、画素部10の間の間隔が本来の大きさを維持できず、画素部10の間のクロストークが非常に問題となり、本固体撮像素子の撮像性能が大きく劣化することになる。
本実施の形態では、フォトレジスト100における互いに隣接する2つの露光領域ERの境界線DLは、半導体基板1における素子分離構造3が形成される領域上だけではなく、半導体基板1において活性領域ARが形成される領域上にも位置しているため、当該2つの露光領域ERを露光する際にそれぞれ使用される2種類のマスクパターンに位置ずれが生じた場合に、素子分離構造3のうち寸法変化が生じる部分を小さくすることができる。その結果、本固体撮像素子の性能劣化を抑制することができる。別の観点から見れば、許容できるマスクパターンの位置ずれ量を大きくすることができることから、製造上でのスループットの向上や製造マージンの増加が可能となる。
また、本実施の形態では、フォトレジスト100を分割露光する際の境界線DLは、半導体基板1において活性領域ARが形成される領域PARのうち、特に、フォトダイオードPDの構成要素たるN−型不純物領域11が形成される領域、つまり部分活性領域AR1が形成される領域上に位置している。活性領域ARのうち、N−型不純物領域11が形成される部分活性領域AR1の表面積は、他の部分活性領域と比べて大きくすることができることから、マスクパターンの位置ずれによって部分活性領域AR1の寸法が変化した場合であっても、その変化はそれほど固体撮像素子の性能に影響を与えない。したがって、本固体撮像素子の性能劣化をさらに抑制することができる。
また、本実施の形態では、フォトレジスト100を分割露光する際の境界線DLは、半導体基板1において活性領域ARが形成される領域PARのうち、フローティングディフュージョンFDとして機能するN+型不純物領域12が形成される領域、つまり部分活性領域AR5が形成される領域上には位置していないため、マスクパターンの位置ずれが生じた場合であっても、部分活性領域AR5の寸法は変化しない。したがって、N+型不純物領域12の寸法変化を抑制できる。N+型不純物領域12に寸法変化が生じると、フローティングディフュージョンFDでの電荷の蓄積容量が変化することから、当該N+型不純物領域12を有する画素部10に対応する画素の特性が変化することがある。これは画質の劣化を招来する。本実施の形態では、マスクパターンの位置ずれに起因するN+型不純物領域12の寸法変化を抑制できることから画質の劣化を抑制できる。
また、本実施の形態では、活性領域ARの上面視上での周縁には境界線DLの位置に応じて段差90,91が形成されるため、当該段差90,91を検出することによって、境界線DLの位置を容易に把握することができる。したがって、境界線DLを基準としたレジストパターンの寸法測定や、形成素子の寸法測定を簡単に実行することができ、その寸法測定結果を露光条件に容易にフィードバックすることができる。
さらに、本実施の形態では、配線80の側面にも境界線DLの位置に応じて段差92が形成されるため、当該段差92を検出することによっても、境界線DLの位置を容易に把握することができる。
また、半導体基板1に活性領域ARを区画する際の分割露光処理での境界線DLは、図9に示されるように、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域上においてY軸方向に沿って延在している。つまり、当該境界線DLは、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域上において当該領域の短手方向に沿って延在している。
これに対して、半導体基板1に活性領域ARを区画する際の分割露光処理での境界線DLが、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域上においてX軸方向に沿って、つまり当該領域の長手方向に沿って延在している場合には、上面視上において、境界線DLが当該領域を横切る長さが長くなるため、分割露光時にマスクパターンの位置ずれが生じると、部分活性領域AR1の表面積の変動量が大きくなる。図27はその様子を示す図である。図27の領域700は、本実施の形態のように、境界線DLが、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域の短手方向に沿って延在している場合の部分活性領域AR1の表面積の変動量を示している。図27の領域701は、境界線DLが、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域の長手方向に沿って延在している場合の部分活性領域AR1の表面積の変動量を示している。
このように、半導体基板1に活性領域ARを区画する際の分割露光処理での境界線DLが、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域の長手方向に延在する場合には、マスクパターンの位置ずれに起因する、部分活性領域AR1の表面積の変動量が大きくなる。部分活性領域AR1には、フォトダイオードPDのN−型不純物領域11が形成されることから、部分活性領域AR1の表面積が変動すると、N−型不純物領域11の表面積が変動し、フォトダイオードPDでの光電変換の感度が変動する。その結果、画質の劣化が生じる。よって、本実施の形態のように、半導体基板1に活性領域ARを区画する際の分割露光処理での境界線DLが、半導体基板1での部分活性領域AR1が形成される領域の短手方向に沿って延在することによって、部分活性領域AR1の表面積の変動を抑制でき、画質の劣化を抑制できる。
また、本実施の形態では、半導体基板1に活性領域ARを区画する際の分割露光処理での境界線DLは、複数の部分活性領域AR1〜AR7のうち、コンタクトプラグ40と接触する部分活性領域AR2〜AR4,AR6,AR7が半導体基板1において形成される領域上には位置していない。
これに対して、境界線DLが、例えば、コンタクトプラグ40と接触する部分活性領域AR2が半導体基板1において形成される領域上に位置している場合には、分割露光時のマスクパターンの位置ずれによって、部分活性領域AR5の段差91と同様な段差が部分活性領域AR2の周縁に生じて、当該部分活性領域AR2の周りの素子分離構造3と、コンタクトプラグ40との距離が小さくなり、コンタクトプラグ40とウェル領域2との間のリーク電流が増大することがある。
本実施の形態では、分割露光時にマスクパターンの位置ずれが発生した場合には、コンタクトプラグ40とは接触しない部分活性領域AR1,AR5の周縁に段差が生じるため、マスクパターンの位置ずれに起因するコンタクトプラグ40とウェル領域2との間のリーク電流の増大を抑制できる。
また、一般的に、半導体装置の製造工程においては、先の工程で形成される構造に対して後の工程で形成される構造が位置合わせされる場合、両構造の位置合わせ精度を高めて装置の微細化を図るために、先の工程で使用されるフォトマスクのマスクパターンが、後の工程で使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。例えば、後の工程で形成されるゲート電極20は、先の工程で形成される活性領域ARに対して位置合わせされることから、ゲート電極20を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンは、活性領域ARを半導体基板1に区画する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。また、コンタクトプラグ40はゲート電極20に対して位置合わせされることから、コンタクトプラグ40を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンは、ゲート電極20を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。また、下層の配線50はコンタクトプラグ40に対して位置合わせされることから、配線50を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンは、コンタクトプラグ40を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。また、ビアプラグは配線50に対して位置合わせされることから、ビアプラグを形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンは、配線50を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。そして、上層の配線80はビアプラグに対して位置合わせされることから、配線80を形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンは、ビアプラグを形成する際に使用されるフォトマスクのマスクパターンに基づいて設計される。
このように、互いに位置合わせされる2つの構造をそれぞれ形成する2つの工程においては、分割露光の境界線DLの位置は同じに設定される方が好ましい。例えば、本実施の形態のように、活性領域ARを半導体基板1に区画する際とゲート電極20を形成する際の分割露光の境界線DLは同じ位置に設定される方が好ましい。
これに対して、互いに位置合わせされる2つの構造をそれぞれ形成する2つの工程において、分割露光の境界線DLが異なる位置に設定された場合には、マスクパターンの位置ずれによって位置合わせ精度が劣化して、歩留りが低下することがある。例えば、図28に示されるように、ゲート電極20を形成する際の境界線DLたる境界線DLAが部分活性領域AR5上に設定され、コンタクトプラグ40を形成する際の境界線DLたる境界線DLBが、部分活性領域AR4において、それに接触するコンタクトプラグ40が形成される領域よりも部分活性領域AR3側(図中では右側)の領域上に設定された場合を考える。この場合において、ゲート電極20を形成する際に境界線DLAよりも部分活性領域AR4側(図中では右側)の露光領域ERを露光する際のマスクパターンがX軸の矢印方向(図中では右方向)に位置ずれし、コンタクトプラグ40を形成する際に境界線DLBよりも部分活性領域AR5側(図中では左側)の露光領域ERを露光する際のマスクパターンがX軸の矢印とは反対方向(図中では左方向)に位置ずれした場合には、増幅トランジスタAMIのゲート電極20と、部分活性領域AR4上のコンタクトプラグ40とが許容間隔以上に近づいてしまい、歩留りが低下することがある。
本実施の形態のように、互いに位置合わせされる2つの構造をそれぞれ形成する2つの工程において、分割露光の境界線DLの位置を同じに設定することによって、位置合わせ精度を向上することができ、その結果、歩留りを向上することができる。
なお、半導体基板1にN−型不純物領域11を形成する際の分割露光処理での境界線DLは、図29に示されるように、部分活性領域AR1上には位置していない方が望ましい。N−型不純物領域11を形成する際の境界線DLが部分活性領域AR1上に位置する場合には、分割露光時のマスクパターンの位置ずれによって、上述のフォトレジスト300の開口部300aの形状が変化して、N−型不純物領域11の形状が変化する。その結果、フォトダイオードPDでの光電変換の感度が大きく変化することがあり、画質が劣化する。したがって、図29に示されるように、N−型不純物領域11を形成する際の境界線DLを部分活性領域AR1上には配置しないことによって、N−型不純物領域11の形状変化が抑制され、画質の劣化を抑制できる。
また、図29に示されるように、N−型不純物領域11、N+型不純物領域12、ソース・ドレイン領域13〜16及びP+型不純物領域17を形成する際の境界線DLは、常に、活性領域ARのうち部分活性領域AR7上のみに位置することが望ましい。この場合には、各種不純物領域を形成する際の境界線DLの位置は一定となり、フォトマスクの設計が容易になる。また、N−型不純物領域11を形成する際には、境界線DLは、部分活性領域AR1上には位置していないため、画質の劣化を抑制できる。P+型不純物領域17を形成する際には、境界線DLは部分活性領域AR7上に配置されるため、分割露光時のマスクパターンの位置ずれによって、P+型不純物領域17の形状が変化することがあるが、P+型不純物領域17は、マイナス側電源電位たる接地電位GNDが印加される不純物領域であるため、P+型不純物領域17の形状が変化しても画素部10の特性はそれほど変化しない。
また、本発明を固体撮像素子に係る発明として捉えれば、本固体撮像素子では、画素部10が形成された活性領域ARは、上面視上の周縁に段差90,91をそれぞれ有する部分活性領域AR1,AR5を含んでいるため、本実施の形態のように、半導体基板1に活性領域ARを区画する際に使用されるフォトレジスト100に対して、当該部分活性領域AR1,AR5の段差90,91の位置を境界として分割露光している際には、当該段差90,91を検出することによって、分割露光の境界線DLの位置を容易に把握することができる。
さらに、配線80の側面にも段差92が形成されているため、配線80を形成する際に当該段差92の位置を境界として分割露光が行われている場合には、当該段差92を検出することによって、分割露光の境界線DLの位置を容易に把握することができる。
また、周縁に段差90,91がそれぞれ形成されている部分活性領域AR1,AR5上には、コンタクトプラグ40は接触していないため、コンタクトプラグ40とウェル領域2との間のリーク電流の増加を抑制できる。