以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、中間転写体を採用し、複数の画像形成部を並列して構成した画像形成装置を示す構成図である。
図1における画像形成装置1は、記録媒体Pを収納する給紙カセット2及び給紙トレイ3、給紙カセット2又は給紙トレイ3から記録媒体Pを搬送路にピックアップ及び給紙する給紙ローラ4及び給紙ローラ4’を備えている。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各感光ドラム11Y、11M、11C、11Kを備えている。各感光ドラム11Y、11M、11C、11Kを一様に所定の電位に帯電するための各色用の一次帯電手段としての帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kを備えている。一次帯電手段によって帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に各色画像データに対応したレーザ光を照射し、静電潜像を形成するための各色用の光学ユニット13Y、13M、13C、13Kを備えている。感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成された静電潜像を可視化するための現像器(カートリッジともいう)14Y、14M、14C、14Kを備えている。現像器14Y、14M、14C、14K内の現像剤を感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに送り出すための現像ローラ15Y、15M、15C、15Kを備えている。感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成した画像を一次転写される中間転写ベルト17、及び各色用の一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kを備えている。中間転写ベルト17を駆動する駆動ローラ18、中間転写ベルト17上に形成された画像を記録媒体Pに転写するための二次転写ローラ19、及び記録媒体Pを搬送させながら記録媒体Pに転写された現像剤像を融解定着させる定着ユニット20を備えている。
次に画像形成装置1の動作を説明する。まず、印刷する画像信号が画像形成装置1に入力されると、記録媒体Pは給紙ローラ4又は給紙ローラ4’によって、給紙カセット2又は給紙トレイ3からピックアップされ搬送路に送り出される。記録媒体Pは中間転写ベルト17上に形成する画像の形成動作と同期を取るため、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に一時停止して待機する。このとき、先ほど課題で前述したように、記録媒体Pと送信部30との距離、または記録媒体Pと受信部40との距離が変動することがある。その後、画像形成動作に同期して、記録媒体Pが搬送され、中間転写ベルト17上に形成された現像剤像を記録媒体Pに転写する。記録媒体Pに転写された現像剤像は定着ローラ等の定着ユニット20によって定着され、現像剤像が定着された記録媒体Pは排出ローラ21によって不図示の排紙トレイに排紙され、画像形成動作を終了する。
次に中間転写ベルト17上に形成する画像形成方法についてもう少し詳しく説明する。印刷する画像信号が画像形成装置1に入力されると、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kによって、一定の電位に帯電される。受け取った画像信号にあわせて光学ユニット13Y、13M、13C、13Kは、帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面をレーザビームによって露光走査して潜像を形成する。静電潜像を可視化するために現像器14Y、14M、14C、14K及び現像ローラ15Y、15M、15C、15Kによって現像を行う。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に形成された静電潜像は、現像器14Y、14M、14C、14Kにより単色現像剤像として現像される。これらの感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは、中間転写ベルト17と接触しており、中間転写ベルト17の回転と同期して回転する。現像された単色現像剤像は、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kにより中間転写ベルト17上に順に転写され、多色現像剤像となる。この多色現像剤像を記録媒体P上に転写を行う。
図1の画像形成装置1において、記録媒体Pの坪量検知センサは、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6の手前に記録媒体Pを搬送する搬送路を挟むように送信部30と受信部40が配置されている。記録媒体Pの坪量検知は、記録媒体Pが搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6の手前に一時的に停止している状態で行われる。ここでいう坪量とは、記録媒体の単位面積当たりの質量であり、1平方メートル当たりの質量を(g/m2)で表す。
画像形成装置1は、坪量検知センサで得られた出力結果に応じて、画像形成における画像形成条件の制御を行っている。ここでいう画像形成条件とは、例えば記録媒体Pの紙種の違いによって、記録媒体Pの搬送スピードを変更したり、転写時における二次転写ローラ19にかける電圧を変更したり、定着時の温度を変更したりすることである。ここでは、画像形成条件の一例として前記のような処理を列挙したが、これに限定されるものではなく、坪量検知センサの出力結果を用いて制御できるものであれば、如何なるものでもよい。
図2に、坪量検知センサの送信部30又は受信部40の構成を示す。50は超音波を発信又は受信する振動部材である。この振動部材50が振動することにより、超音波の送信又は受信を行うことができる。51はガイドの開口寸法である。52は振動部材50の表面からガイド先端面55までの距離を示すものである。53はイコライザーで、振動部材50で発信又は受信される超音波を増幅するための部材である。なお、このイコライザー53がない構成であっても振動部材50があれば超音波を送信又は受信することは可能である。本実施形態では、一例として超音波を増幅させて送信及び受信するために、イコライザー53を設けた構成としている。54はセンサの周りを囲む円筒状のガイドであり、55はガイド先端面である。ここで、ガイド先端面55を含む平面、つまりガイド部材の開口部を仮想面と定義する。56は振動部材50を支持する支持部材であり、57はセンサの基盤部分となる部材である。この振動部材50は支持部材56で支持された状態で振動して超音波を発生する。この振動部材50は支持部材56で支持された状態で振動して超音波を発生する。振動部材50の中心を通り且つ、振動部材50と垂直な線58は実際に振動部材50に存在するものではない仮想的な線であり、振動部材50の表面からガイドの先端面55までの距離52を一義的に決めるための基準となる。
本実施形態では、送信部30又は受信部40となる振動部材50は、ガイド先端面55と水平になるように設置される。振動部材50の表面からガイド先端面55までの距離52をガイド長と定義される。この距離52は、円形状の振動部材50の中心から垂直方向に仮想的に中心軸を設定し、この中心軸上の距離と同一の距離として定義する。なお、本実施形態では、中心軸とガイド部材は水平であり、この中心軸上の距離をガイド長と定義している。しかし、中心軸とガイドの関係は、後述するように演算出力から記録媒体Pの坪量を一義的に検知することが可能であれば、必ずしも水平でなくてもよい。また、演算出力から記録媒体Pの坪量を一意に検知することが可能であれば、ガイド54はすべて同じ長さでなくてもよい。
図2のように、振動部材50をガイド54で囲むことによって、超音波に指向性をもたすことが可能となり、さらにガイド54によって周辺部材からの反射波の影響を低減することができる。このときガイド54は本実施例における好適な例としては、振動部材50の基盤部分57とガイド54の内面が接するように配置される。しかし、演算出力から記録媒体Pの坪量を一意に検知することが可能であれば、振動部材50の基板部分57とガイドの内面が接しないように配置しても良い。送信部30と受信部40はこの振動部材50を用いて同一の部材で構成することが可能である。例えば、送信部30は不図示の圧電素子によって振動部材50を振動させることで超音波を照射することができる。また、受信部40は照射された超音波が振動部材50に到達すると振動部材50が振動し超音波を受信することができる。
ガイド54は、例えば本実施形態においては樹脂を用いて構成されるものであり、送信部30や受信部40の周辺の部材からの超音波反射波を防ぐことができるものである。本実施形態では樹脂を用いてガイドを構成しているが、本実施形態と同様の効果を得られるものであれば、金属など他の素材を用いてガイドを構成してもよい。
次に図3に、本発明の第1の実施形態に係る坪量検知センサの構成について示す。記録媒体Pの坪量を検知する坪量検知センサの構成は、記録媒体Pに対して超音波を照射する送信部30と送信部30から照射された超音波を受信する受信部40を備えている。ここで示した送信部30及び受信部40は図2で説明した超音波センサを用いて構成される。さらに、送信部30から照射される超音波を対向した受信部40の方向へ導くガイド部材31(以下、送信側ガイド部材31と定義する)を備えている。さらに、記録媒体Pを透過した超音波を受信部40の方向へ導くと共に、周辺部材等からの超音波の反射波の干渉を防ぐガイド部材41(以下、受信側ガイド部材41と定義する)を備えている。さらに、記録媒体Pを搬送する搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6と、搬送路60と、搬送ガイド61を備えている。搬送路60は搬送ガイド61により構成されている。送信部30の振動部材50からガイド先端面までの距離を送信部のガイド長32とし、受信部40の振動部材50からガイド先端面までの距離を受信部のガイド長42とする。ガイド長32及びガイド長42は前述した図2における、振動部材50の表面からガイド先端面55までの距離52と同様の長さとなっている。
次に、図1の画像形成装置1において、坪量を検知する制御方法について図4のブロック図を用いて説明する。また、図5に、(a)として圧電素子を振動させるための駆動信号を、(b)として超音波の代表的な受信波形を、(c)としてその受信波形を基に坪量検知を行うための演算出力の波形を、夫々一例として示す。
坪量検知センサは、搬送路60を挟んで、夫々所定の位置に配置されており、搬送路60内を搬送される記録媒体Pの坪量を検知する。ここで示した超音波送信部(送信部)30と超音波受信部(受信部)40は、図3の示したものと同一であるので、同じ符号を付けている。
坪量の検知方法について、具体的に説明する。まず、CPU10から超音波発信信号73を送信制御部70に送る。送信制御部70は駆動信号生成部71と増幅器72を有する。超音波発信信号73には、送信部30を駆動するタイミングや周波数の情報を含んでいる。送信制御部70内の駆動信号生成部71は、超音波発信信号73に基づいて、指定された周波数(例えば、40kHz)の駆動信号74を生成し、出力する。駆動信号74を図5(a)に示す。駆動信号74は40kHzであり、この駆動信号74により圧電素子を駆動させ、振動部材50を振動させることにより、超音波を発生させる。増幅器72は駆動信号74の信号レベルを増幅し、増幅した駆動信号75を送信部30に出力する。この駆動信号75によって、送信部30は40kHzの超音波を出力する。
受信部40は、送信部30から記録媒体Pを透過した超音波を受信して、超音波の受信信号83を演算部80に出力する。受信信号83を図5(b)に示す。受信信号83は時間が経つにつれ超音波の出力が大きくなっていることがわかる。受信信号83は時間の経過と共に、その出力値が大きくなっていることがわかる。時間の経過と共に超音波の出力値は大きくなっているが、時間が経過するほど反射波等の影響を受ける可能性も高くなる。そこで、本実施形態では、できるだけ早く超音波を受信し、且つ坪量検知に十分な出力値を得るために、ある一定以上の出力値が得られたタイミングの値を用いて坪量の検知を行っている。そのタイミングを図5(b)では時刻T0としている。なお、時刻T0については後に詳しく述べる。なお、不図示ではあるが、さらに時間が経過してある所定時間以上が経過すると受信波形は安定し、一定の出力を示すようになる。
演算部80は、増幅器81と平滑回路82と不図示の整流回路を有する。演算部80は受け取った受信信号83を増幅器81で増幅する。この増幅された信号84を整流回路によって整流した後、平滑回路82によって積分して演算出力85を生成する。演算出力85を図5(c)に示す。演算出力85は受信信号83の出力と比例して大きくなる。演算出力85の出力が十分に得られると、CPU10に得られた演算出力結果が出力され、この演算出力結果を用いて記録媒体Pの坪量の判別を行う。受信信号83と同じく、ある程度以上時間が経過すると受信波形は安定し、一定の出力を示すようになる。
CPU10では、図5のcの波形において、駆動信号75が送信部30に出力されたタイミングから一定時間後に波形をサンプリングしはじめる。ある一定時間後とは、演算出力85が予め設定された演算出力85の閾値を超えたときの時刻T0である。ここでいう演算出力85の閾値は任意に決定できるものであり、坪量の演算出力結果より低い値に設定すればよい。例えば、本実施形態においてガイド長を1波長、閾値を0.5Vとすれば、0.5V以上の演算出力に対応する坪量を判別することが可能となる(図6参照)。本実施形態の上記の条件であれば、坪量60〜220g/m2までの坪量を判別することが可能である。また、本実施形態では、時刻T0を150μsとしている。この値は、先ほど説明した演算出力の閾値によって変動するものであるので、150μsに限定されるものではない。
時刻T0の後、入力周波数の半周期の間での最大値を求める(図5のcの波形の丸部分)。この演算出力の値をもって坪量を推定する。なお、図4及び図5は、坪量検知センサの構成及び制御を実現する際の一例であり、本発明はこの構成に制限されるものではない。
次に図6に、ガイドを用いた場合とガイドを用いない場合において、記録媒体Pの紙種(坪量)を変更したときの演算部80の演算出力を測定した実験結果を示す。用いたガイド長は送信される超音波の波長に対して1/4波長、1/2波長、3/4波長、1波長である。図6のグラフの横軸は、記録媒体Pの坪量、縦軸は、演算部80の出力である。送信部30を駆動する周波数は、本実施形態では40kHzとした。なお、本実施形態では周波数を40kHzと設定しているが、周波数は40kHzに限定されるものでない。例えば、図2で説明したセンサの振動部材50やその他の部材の大きさ等を変更した場合は、変更した構成に応じた周波数に変更して設定すればよい。
図7は図6のグラフでプロットした点を繋ぎ、各ガイド長における演算出力と坪量の関係を示したものである。図6と図7は、表示方法が違うだけで同じ実験結果を表したものである。図6の実験結果より、ガイドを用いた場合(ガイド長1波長)とガイドを用いない場合(ガイド長0波長)とを比較してみる。例えば、坪量105g/m2のときの演算出力を比較してみると、ガイド長1波長のときは約2.1Vに対し、ガイド長0波長のときは約1.0Vとなっている。この結果より演算出力が約2倍程度上昇していることがわかる。また、坪量間の出力値の差について比較してみる。例えば、坪量105g/m2と坪量120g/m2のときの演算出力の差を比較する。ガイド長1波長のときは、坪量105g/m2のときの演算出力が約2.1V、坪量120g/m2のときの演算出力が約1.8Vと約0.3Vほどの出力差がある。一方、ガイド長0波長(ガイドを用いない)のときは、坪量105g/m2のときの演算出力が約1.0V、坪量120g/m2のときの演算出力が約0.9Vと約0.1Vほどしか出力差がない。このように、ガイドを用いることで各坪量間の演算出力の出力差が大きくなっており、坪量の大きな紙を測定したときでも、ガイドを用いたときには、坪量ごとにおける出力値の変化量も大きくなり坪量を特定しやすくなる。一方、ガイドを用いない場合には、坪量が増えると出力値の変化量が小さくなってしまうため、坪量を特定することが難しくなる。よって、ガイド部材を配置することで記録媒体の坪量検知精度を向上することができる。
このように、ガイドを設けることによって、出力を上げることは可能である。しかし、画像形成装置1において、記録媒体の坪量を検知する動作を行う場合、記録媒体Pの停止姿勢は、紙質や温度や湿度などの条件の変化により常に一定とはならず、多少のばらつきが生じてしまう。前述したように、記録媒体Pの停止姿勢がばらついてしまうと、送信部30と記録媒体P及び記録媒体Pと受信部40の間の距離が変化するので、出力が不安定になってしまう。
この記録媒体Pとガイドとの関係を図8に示す。図8は、送信部30と受信部40のガイド先端面の位置を固定した条件で、送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42を変化させ、さらに記録媒体Pの停止姿勢を変化させて実験を行った結果である。ガイド長32、42の規定は超音波の波長に基づいており、夫々ガイド長を送信される超音波の波長に対して0波長(ガイド無し)、1/4波長、1/2波長、3/4波長、1波長とした。記録媒体Pの紙種(坪量)は75g/m2を用いて、演算部80の演算出力を測定した。図8のグラフの横軸は記録媒体Pの送信部30又は受信部40に対する位置を示し、縦軸は演算部80の演算出力を示す。送信部30を駆動する周波数は、前記実験と同様に40kHzである。また、記録媒体Pと送信部30と受信部40との距離をずらすことによって記録媒体Pの停止姿勢が変化した状態を作って、夫々の状態において演算出力を測定した。具体的には、送信部30と受信部40の夫々のガイド先端面との中心を記録媒体の停止姿勢の基準位置(誤差0mm)とし、受信側に記録媒体Pの位置をずらしたときをプラスにしている。図8の実験結果からガイドを用いない場合、記録媒体Pのばらつきの影響は極めて小さく、受信部40の演算出力が安定して検知されていることが読み取れる。ただし、ガイドを用いないと得られる演算出力は小さくなってしまう。
一方、ガイドを用いた場合には、ガイド長32及びガイド長42を長くするにしたがって演算出力値が大きくなっていることがわかる。演算出力値は大きくなるものの、例えばガイド長を3/4波長とすると、演算出力に大きな変動があり、最大で約0.4Vも変動している。これを図7の実験結果に当てはめて坪量の判別を行おうとすると、坪量75g/m2から坪量105g/m2までの範囲が判別結果の候補となり、坪量75g/m2であるという判別が困難になってしまう。しかし、ガイド長が1/2波長及び1波長の時、演算出力の変動は0.2V以内に収まって安定おり、坪量75g/m2と判別することができる。
この実験結果から、ガイドを用いる場合はガイドを用いない場合より演算出力を増加させることが可能であるが、ガイド長及び記録媒体Pの位置によって出力が不安定になってしまうことが確認できる。そのなかでもガイド長32、42が1/2波長または1波長の時は、記録媒体Pの位置がばらついても演算出力が安定していることがわかる。よって、ガイド長を1/2波長や1波長といった、超音波の波長の1/2のn倍(nは1以上の整数、以下整数倍と表す)にすることで、超音波の出力が安定することになり、坪量検知精度を向上することができる。
なお、超音波を照射するための温度や湿度などの条件は、常に一定ではなく、ある程度変動するものである。本実施形態においては、温度23℃、周波数40kHzという条件下において実験をしているが、実際に画像形成装置において坪量検知を行う状況下では、温度や湿度など様々な条件の変化により設定したガイド長が最適な長さでなくなることもある。つまり、理想的にはガイド長は超音波の波長の1/2の整数倍であることが最適ではある。しかし、画像形成装置を使用する環境条件は常に一定ではないために、環境条件の変動によって超音波の速度が変化し、波長が変化する。例えばある条件下で超音波の波長の1/2の整数倍の長さに設定しても、超音波の波長が変動すれば、設定したガイド長が超音波の波長の1/2の整数倍の長さから外れることもある。そこで、温度23℃、周波数40kHzにおいて、ガイド長を波長の1/2の整数倍から少しずつ長さを変えて、どこまでの範囲なら坪量検知が正しく行えるのかを実験した実験結果を図9に示す。図9は、坪量検知の一例として、受信側のガイド長42を11mm〜6.5mmまで変動させたときの実験結果を示した図である。先の図6にプロットされている記録媒体のうち、坪量105g/m2の紙種を第1の坪量の記録媒体と、坪量120g/m2の紙種を第2の坪量の記録媒体として、夫々ガイド長を変動させて坪量検知を行った。
ここで、まず理論的に最適なガイド長を求める方法に関して説明する。超音波の波長は、超音波の音速と周波数から求められる。超音波の音速をv、周波数をf、波長をλとすると、これらの間には、v=fλの関係が成り立つ。また、超音波の音速は、媒質の温度に依存する。ここで用いられる媒質は空気であり、空気中の音速は、空気の温度tとの間に、v=331.5+0.61tの関係が成り立つ。
これを本実施形態の実験を行った条件に当てはめると、周波数40kHz、温度23℃であるので、これから最適なガイド長を求めることが出来る。
v=331.5+(0.61×23)=345.53(m/s)
λ=v/f=345.53/40=8.63825(mm)
という、関係が成り立つので、ガイド長は1/2×8.63825×n(nは1以上の整数)、で最適な長さを求めることができる。しかし、前述したように温度等の環境条件の変化によりこの関係式のvやλが変化してしまうため、ある条件下で設定したガイド長が超音波の波長の1/2の整数倍から外れてしまうことがある。本実施形態の条件下においては、近似値として8.5mmを最も超音波の波長の1/2の整数倍に近いガイド長と設定している。この8.5mmを中心に6.5mmから11mmまでガイド長を変化させて図9の実験結果を得ている。
図9において、ガイド長を8.5mmから0.5mmずつ変化させたときに、坪量105g/m2と坪量120g/m2を判別できるかどうかの説明を行う。まず、ガイド長が8.5mmのときについて述べる。坪量105g/m2の記録媒体を検知したときには、1.98Vから2.03Vの間に演算出力が収まっており、坪量120g/m2の記録媒体を検知したときには、1.79Vから1.85Vの間に演算出力が収まっている。このことから、判別したい2つの坪量の演算出力の範囲は重複しておらず、演算出力に応じて一義的に坪量を判別することができることがわかる。このとき、例えば坪量の判別を行う閾値を坪量105g/m2のときにおける演算出力の最小値1.98Vと坪量120g/m2のときにおける演算出力の最大値1.85Vとの平均値をとって、1.915Vとする。同様にして、図示していない各坪量間の閾値を求め、演算出力がどの閾値の間に属するかによって坪量を判別することが可能となる。
上記のように、閾値を出すためには比較する2つの坪量の演算出力の範囲が重複していないことが条件となる。そのような条件を満たしているガイド長は図9から7.5mmから9.5mmまでの間であるということがわかる。つまり、温度23℃、周波数40kHzという本実施形態の条件下においては、ガイド長は8.5mmから±1mmまでの長さにおいて、坪量を一義的に検知することが可能であるいうことがわかる。よって、ガイド長を超音波の波長の略1/2のn倍(nは1以上の整数)とすることがよいことがわかる。しかし、これは本実施形態における一例にすぎず、例えば環境条件が変わったり、予め設定される坪量を求める精度の条件が変わったりすることで適切なガイド長の範囲は変化する。
次に、なぜガイドの長さを超音波の波長の1/2の整数倍にすることで安定した出力結果が得られるかを図10及び図11を用いて説明する。得られる演算出力が安定している理由は、ガイド部材内を伝搬する超音波の振動と開口端形状をしたガイド部材内の空気の振動が共鳴していることである。送信部30から発生される超音波とガイド部材内の空気の振動が共鳴している場合、ガイド内の音波の干渉は極めて小さくなる。ガイド長が変わることによって、反射波の周波数に変化が起こり、ガイド長が超音波の波長の1/2の整数倍の長さの時には、ちょうどガイド内の空気の振動と共鳴する反射波が発生する。
まず、ガイド長が周波数40kHzの1波長(約8.5mm)の場合について説明する。図10は、ガイド部材の振動によって起こる反射波の周波数が40kHzになるものを示している。図10(a)では、実線により送信部30から送信される超音波の波形を示し、点線によりガイド部材から反射する反射波の波形を示している。図10(b)では、先ほどの超音波と反射波の合成波の波形を示している。送信部30から照射された超音波とガイドからの反射波の位相が同じであるため、合成した音波は増幅され安定していることがわかる。
次に、ガイド長が周波数40kHzの3/4波長(約6.3mm)の場合について説明する。図11は、ガイド部材の振動によって起こる反射波の周波数が53kHzになるものを示している。図11(a)では、実線により送信部30から照射される超音波の波形を示し、点線によりガイド部材から反射する反射波の波形を示している。図11(b)では、先ほどの超音波と反射波を合成した音波の波形を示している。送信部30から照射された超音波は40kHzであり、ガイドから反射する反射波は53kHzであるため、二つの波の位相はずれている。よって図11(b)の合成した音波の波形は、超音波と反射波の干渉が起こってしまっているため、出力が安定していないことがわかる。
このように、ガイド長を超音波の波長の1/2の整数倍にすることで、超音波とガイドからの反射波の位相が一致し、安定した出力の超音波を得ることができる。
以上の結果より、送信側のガイド長32、受信のガイド長42を送信部30から照射される超音波の波長の1/2の整数倍にすることで超音波の出力を安定させることができるので、坪量検知精度を向上させることができる。なお、ガイド長は、理想的な長さである超音波の波長の1/2の整数倍の長さから所定の範囲内の長さであれば坪量検知精度を向上させることができる。所定の範囲内の長さとは、例えば図9で示したように、坪量の異なる記録媒体の演算出力の結果が重複しないように所定の範囲内となるようにガイド長を設定すれば、正確に坪量を特定することが出来る。
また、本実施形態では、記録媒体Pの坪量検知センサの検知動作は、記録媒体Pが停止している状態で行われるとしたが、停止状態に限られるものではなく、記録媒体Pが搬送中に検知を行うことも可能である。搬送中に検知を行う場合は記録媒体Pの搬送状態のばらつきが大きくなることが予想されるので、例えば複数回検知を行う、搬送速度を遅くするなどの方法で検知精度を維持することが可能である。
また、本実施形態では、送信部30及び、受信部40にガイド部材を配置した構成を説明したが、送信部30にガイド部材を配置することなく、受信部40のみにガイド部材を配置しても良い。少なくとも受信部40にガイド部材が配置されていれば、記録媒体Pを透過した超音波を安定した状態で受信部40に導くことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明した図2及び図3に示した構成で実施可能であるため、ここでの詳しい説明は省略する。本実施形態では、温度を23℃に設定して実験を行っており、送信側のガイド長32は、送信部30から照射される超音波の波長の1/2の整数倍となっている。同様に、受信側のガイド長42も、送信部30から照射される超音波の波長の1/2の整数倍となっている。
上記のような条件下で、送信部30及び受信部40のガイド先端面の間の距離を5mmに固定し、記録媒体Pの停止姿勢を変化させたときの演算出力を検知した実験結果を図12に示す。検知条件は、第1の実施形態で説明した図8の構成と同様であるためここでの説明は省略する。図12の出力結果を見ると、記録媒体Pの位置が送信部30及び受信部40のガイド先端面の間の中心である基準位置から±2mmまでのとき、記録媒体Pの停止姿勢による出力の変動が小さいことがわかる。つまり、記録媒体Pの停止姿勢を送信部30及び受信部40のガイド先端面の間の中心である基準位置から±80%以内に搬送することができれば、記録媒体Pの停止姿勢の影響が少なく安定した演算出力を得ることが可能となる。
以上の結果より、送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42を、送信部30から照射される超音波の波長の1/2の整数倍とする。さらに記録媒体Pを送信部30及び受信部40のガイド先端面の間の中心から±80%以内に搬送されるようにする。すると、安定した演算出力を得ることができるので坪量検知精度を向上させることができる。
例えば、図1に示されている画像形成装置1の搬送路の直線部分に送信部30及び受信部40を配置しているのは、搬送路のカーブ部分より直線部分の方が記録媒体の搬送時のばらつきと停止姿勢のばらつきの影響を受けにくいからである。つまり直線部分の方が、カーブ部分に比べ、停止姿勢のばらつきが送信部30及び受信部40のガイド先端面の間の中心から±80%以内におさまる可能性が高く、安定した演算出力を得ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の構成を図13に示す。第1の実施形態と同様の構成に関しては、同一符号を付けており、その説明は省略する。第3の実施形態は、記録媒体Pに対して超音波を照射する送信部30と送信部30から照射された超音波を受信する受信部40を備えている。さらに、記録媒体Pを搬送する搬送路60と、搬送ガイド61を備えている。さらに、搬送ガイド61と密着した送信側ガイド部材31と、搬送ガイド61と密着した受信側ガイド部材41を備えている。さらに、記録媒体Pを搬送する搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6とを備えている。
本実施形態では、送信側ガイド部材31及び受信側ガイド部材41の開口部の幅である開口寸法33、43を、記録媒体Pを搬送する搬送ガイド61の超音波が通過する開口部の幅である開口寸法62、63と等しくしている。さらにガイド部材31,41の先端を搬送ガイド61に密着させている。これにより、送信側ガイド部材31及び受信側ガイド部材41と搬送ガイド61が連結した状態となっている。送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42は、図2で説明したように、振動部材50からガイド先端面55までの長さであり、送信部30から照射される超音波の波長の1/2の整数倍の長さである。
図14に、送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42を超音波の1/2波長に固定し、送信側ガイド部材31及び受信側ガイド部材41を搬送ガイド61に密着させ、記録媒体Pの停止姿勢を変化させたときの演算出力を検知した実験結果を示す。送信側ガイド部材31及び受信側ガイド部材41は、記録媒体Pを搬送する搬送ガイド61に密着しており、且つ開口部の幅である開口寸法33、43は搬送ガイド61の開口部の幅である開口寸法62、63と等しくなっている。そのため、送信部30から受信部40に送信された超音波に対して、周辺の部材からの反射波の影響を低減することができる。よって、周辺の部材からの反射波の影響が少ない、安定した演算出力を得ることができるので、坪量検知精度を向上することができる。
(第4実施形態)
第4の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明した図2及び図3に示した構成で実施可能であるため、同一の構成についてはここでの詳しい説明は省略する。第1の実施形態との違いは、送信側のガイド長32を可変とし、受信側のガイド長42を送信される超音波の1波長に固定していることである。
このような条件下で演算出力の変化を検知した実験結果を図15に示す。検知条件は、図8の構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。図15の実験結果から、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を同じ1波長にした場合、記録媒体Pの停止姿勢による反射波の影響が少なく、最も演算出力が安定していることがわかる。また、送信側のガイド長32を超音波の波長の1/2の整数倍の長さにした場合にも、記録媒体Pの停止姿勢による反射波の影響が少なく、演算出力が安定していることがわかる。一方、送信側のガイド長32を超音波の波長の1/2の整数倍以外にした場合には、記録媒体Pの停止姿勢による反射波の影響により、演算出力がばらついて安定していないことがわかる。
この結果より、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を超音波の波長の1/2の整数倍にすれば、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42の長さが異なっていても、安定した演算出力を得ることが可能となり坪量検知精度を向上することができる。
なお、本実施形態では、送信側のガイド長32を様々な長さに変化させ、受信側のガイド長42を固定して演算出力を検知したが、送信側のガイド長32を固定して、受信側のガイド長42を様々な長さに変化させて演算出力の検知を行ってもよい。また送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42の両方を変化させて演算出力の検知を行ってもよい。
なお、送信側のガイド長32及び受信側のガイド長42を共に超音波の波長の1/2の整数倍にすることで、本実施形態における効果を得ることができる。また、本実施形態では、送信部30、受信部40ともにガイドを持つ条件で実験を行ったが、送信部30には、必ずしもガイドを配置する必要はなく、受信部40のみガイドを配置した状態でも本実施形態の効果を得ることが可能である。
(第5実施形態)
第5の実施形態の構成を図16に示す。第1の実施形態と同様の構成に関しては、同一符号を付けており、その説明は省略する。本実施形態では、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を超音波の1/2波長又は1波長に固定している。そして、送信側のガイド先端面から受信側のガイド先端面までの距離をガイド間距離44とし、このガイド間距離44を変化させて演算出力を検知した実験結果を図17及び図18に示す。検知条件は、図8の構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図17に、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を1/2波長に固定し、ガイド間距離44を複数の条件に変化させ、各条件のガイド間距離44において記録媒体Pの停止姿勢を変化させたときの演算出力を検知した実験結果を示す。ガイド間距離44の条件は、超音波の1/4波長、1/2波長、3/4波長、1波長である。ガイド間距離44が1/2波長、1波長のときは、演算出力の変化が大きく安定した結果とはなっていないが、ガイド間距離44が1/4波長と3/4波長のときは、記録媒体Pの停止姿勢による反射波の影響が小さく安定した演算出力を得られていることがわかる。
図18に、送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を1波長に固定し、ガイド間距離44を複数の条件に変化させ、各条件のガイド間距離44において記録媒体Pの停止姿勢を変化させたときの演算出力を検知した実験結果を示す。ガイド間距離44の条件は、超音波の1/4波長、1/2波長、3/4波長、1波長である。前述した送信側のガイド長32と受信側のガイド長42を1/2波長に固定したときと同様に、ガイド間距離44が1/4波長と3/4波長のときに、記録媒体Pの停止姿勢による反射波の影響が小さく演算出力が安定していることがわかる。つまり、ガイド間距離44=λ/4×m(mは1以上の奇数)で求めることが可能である。
次に、なぜガイド間距離44を1/4波長のm倍(以下、奇数倍とする)とすることで安定した出力結果が得られるかを図19、図20、図21、図22を用いて説明する。
送信部30から発生される超音波と記録媒体Pで反射する超音波の反射波の伝搬経路を図19(a)、(b)に示す。経路91、101は送信部30から記録媒体Pに直接伝搬する超音波の経路であり、経路92、102は送信部30から送信された超音波が記録媒体Pで反射され、再び送信部30で反射された後に記録媒体Pに伝搬する超音波の経路である。経路93、103は送信部30から記録媒体Pに伝播した超音波が、記録媒体Pを透過し、受信部40で反射され、その後記録媒体Pに再び伝搬する超音波の経路である。ガイド長が夫々1/2波長で、ガイド間距離44が3/4波長において、図19(a)は記録媒体Pが送信側のガイド先端面から受信側のガイド先端面までの中間点(以下、センサ間中央とする。)に停止している停止姿勢の場合であり、図19(b)は記録媒体Pがセンサ間中央より送信側にずれて停止している停止姿勢の場合である。
まず、図19(a)の状態における超音波の干渉について説明する。経路91の超音波に対して、経路92との経路差は、ガイド先端面から記録媒体Pまでの距離が3/8波長、ガイド長が1/2波長であることから、7/4波長であることがわかる。同様に、経路91の超音波に対して、経路93との経路差は7/4波長となる。つまり、経路92及び経路93の超音波は、経路91の超音波に対して7/4波長遅れている。このときの記録媒体Pにおける夫々の経路の超音波は図20(a)に示したようになる。各超音波の合成波を考えると、経路92と経路93の超音波は同位相であるが、送信部30から発生される超音波とは、1/4波長位相がずれていることがわかる。経路91の超音波に対して経路92と経路93の超音波は、夫々1/4波長ずれているものの、経路92と経路93の超音波は送信部30から送信された超音波の反射波であるため、経路91の音波よりも減衰している。そのため、位相はずれているものの、そのずれ幅は安定な演算出力を得るための許容範囲内であるといえる。
次に、図19(b)の状態における超音波の干渉について説明する。図19(b)は記録媒体Pがセンサ間中央より1/8波長だけ送信側にずれて停止している停止姿勢の場合である。経路101の超音波に対して、経路102との経路差は3/2波長であるので、経路102の超音波は経路101の超音波に対して3/2波長遅れていることになる。また、経路101の超音波に対して、経路103との経路差は2波長であり、同様に経路103の超音波は経路101の超音波に対して2波長遅れていることになる。このときの記録媒体Pにおける夫々の経路の超音波は図20(b)に示したようになる。各超音波の合成波を考えると、経路101と経路102の超音波は同位相であるが、経路103の超音波は逆位相であることがわかる。経路103の超音波は逆位相になるものの、経路102と経路103の超音波は送信部30から送信された超音波の反射波であるため、経路101の超音波よりも減衰している。そのため、経路102の超音波と経路103の超音波は実質的に打ち消しあい、合成波は安定することがわかる。また、図示していないが経路101と経路103の超音波が同位相となる場合は、経路102の超音波が逆位相となるため、やはり経路102の超音波と経路103の超音波が打ち消しあい、合成波は安定することがわかる。
次に、ガイド間距離が1波長の状態における各経路の超音波の状態を図21(a)(b)を用いて説明する。まず、図21(a)の状態における超音波の干渉について説明する。図21(a)のように記録媒体Pがセンサ間中央に停止している停止姿勢の場合、経路111の超音波に対して経路112との経路差は、ガイド先端面から記録媒体Pまでの距離が1/2波長、ガイド長が1/2波長であることから、1波長であることがわかる。同様に、経路111の超音波に対して、経路113との経路差も1波長となる。よって、図22(a)に示すようにすべての経路の超音波が同位相で重なり合うため、合成波の出力が最も大きくなる。
次に、図21(b)の状態における超音波の干渉について説明する。図21(b)は記録媒体Pがセンサ間中央より1/4波長だけ送信側に停止している停止姿勢の場合である。経路121の超音波に対して、経路122との経路差は、送信側のガイド先端面から記録媒体Pまでの距離が1/4波長、ガイド長が1/2波長であることから、3/2波長であるので、経路122の超音波は経路121の超音波に対して3/2波長遅れている。また、経路121の音波に対して、経路123との経路差は、受信側のガイド先端面から記録媒体Pまでの距離が3/4波長、ガイド長が1/2波長であることから、5/2波長であり、経路123の超音波は経路121の超音波に対して5/2波長遅れている。よって、図22(b)に示すように経路121の超音波に対して、経路122と経路123の超音波が逆位相で重なるため、合成波の出力が最も小さくなる。
このように、ガイド間距離を1/4波長の奇数倍としなかったときは、記録媒体Pの位置により合成波の出力が最大値となることもあれば最小値になることもあり、出力の変動が大きく安定しない演算出力を得ることになってしまう。しかし、ガイド間距離44を1/4波長の奇数倍としたときは、記録媒体Pの位置により経路ごとに位相の異なる超音波が照射される。しかし、送信部30から照射された超音波に対して、すべての反射波が同位相になる、又はすべての反射波が逆位相になるというような大きな変動は起こらない。よって、変動の少ない安定した演算出力を得ることができる。すなわち、ガイドの長さが1/2波長の整数倍であり、さらにガイド間距離が1/4波長の奇数倍のときに、記録媒体Pの停止姿勢による出力の変動が小さく安定した出力結果を得ることが可能となり、記録媒体Pの坪量検知精度を向上させることができる。なお、上記で説明した条件は一例でありガイド間距離44を超音波の波長の略1/4のm倍(mは1以上の奇数)にすれば、同様の結果を得ることができる。