JP5854659B2 - 表面改質方法 - Google Patents
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Description
このような、ゴムにおけるシール性と摺動性との相反する要求を満たすために、ゴムのシール部分の表面に自己潤滑性を有する樹脂であるPTFEフィルムを被覆する技術が提案されている(特許文献1)。
さらにタイヤの溝表面の流体抵抗を下げると、ウエットや雪上での、水や雪のはけが良くなり、トレッド面の接地面および接地圧が上がり、その結果としてグリップが向上し安全性が増す。
タイヤのサイドウォール面や建物の壁の摺動抵抗や表面張力を減少させると、ゴミや粉
塵が付きにくく、きれいなままの状態になる。
前記モノマーとして、共役ジエンまたはビニル基を重合基として有し、その置換基または側鎖にカルボン酸もしくはその塩、スルホン酸もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、アミン基もしくはその塩のイオン基、またはカルボキシベタイン、スルホベタインもしくはホスホベタインの両性イオン基が結合された化合物が使用される。
2つの前記ポリマーブラシ間を、酸素原子を有する親水性基でイオン架橋または架橋してもよい。
本発明に係る他の表面改質方法は、前記ポリマーブラシを、ジエンまたはビニル基とアルキルフッ素基とを有するモノマーにより形成する。
前記改質対象物の表面にポリマーブラシを成長させる重合反応が、I価の銅化合物と塩基とを触媒として用いる原子移動ラジカル重合(ATRP)、またはII価の銅化合物と塩基とからなる触媒に還元剤を系中に共存させた原子移動ラジカル重合のAGET ATRP法もしくはARGET ATRP法である遷移金属触媒ラジカル重合による。
前記還元剤として有機または無機の還元剤を使用する。
前記還元剤としてアスコルビン酸を使用する。
好ましくは、改質後の表面の静摩擦係数が0.5以下および動摩擦係数が0.25以下であり、かつ前記表面が水に濡れたときの静摩擦係数が0.4以下および動摩擦係数が0.2以下となるように前記改質対象物の表面に水酸基を生成し、前記重合開始点を起点にして前記モノマーをラジカル重合させて前記表面にポリマーブラシを成長させる。
表面改質の対象物は、架橋成形後のゴムである。
対象物としてのゴムは、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムおよび天然ゴム等のジエン系ゴム、ならびにブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等である。
ゴムがブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムの場合は、トリアジンによる架橋がよい。架橋ゴムからの抽出物が少なくなるからである。この場合、受酸剤を含んでもよい。受酸剤は、ハイドロタルサイトまたは炭酸マグネシウムが好ましい。
また、ゴムはフィラーを含んでも良い。フィラーとしてはカーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等がよい。
架橋は150℃以上、さらに好ましくは170℃以上、さらに好ましくは175℃以上で行うのが好ましい。
さて、表面改質は、電子移動により触媒を繰り返し活性化させるAGET(Activators
generated by electron transfer)およびARGET(Activators regenerated by electron transfer)による原子移動ラジカル重合(ATRP:Atom Transfer Radical Polymerization)法により行われ、架橋水酸基形成工程P1、重合開始点形成工程P2、重合系調製工程P3、還元剤調製工程P4および重合工程P5からなる。
重合開始点形成工程P2では、脱水されたアセトン(溶媒)中に、2級または3級のハロゲン化物(好ましくはエステル結合を含むハロゲン化物)を溶解させ、室温(生活環境の温度)で数時間攪拌されることにより、改質対象物の表面に形成された水酸基に2級または3級のハロゲン化物が付加される。
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等が使用される。これは反応により発生するハロゲン化水素(HBr等)をトラップするためである。
2級または3級のハロゲン化物により所定の時間処理された改質対象物は、攪拌装置から取り出され、付着する溶媒が気化により除去される。
両性イオン型モノマーは次の一般式(4)で示される。
ここでpは2以上の整数、qは2〜4の整数である。XおよびYは反対の電荷を有するイオン性官能基であり、Xとしてはテトラアルキルアンモニウムまたはホスホネートなどが、Yとしてはカルボン酸、スルホン酸、ホスホネート、テトラアルキルアンモニウムな
どが挙げられる。
遷移金属触媒としては、II価の銅ハロゲン化物である臭化第二銅、塩化第二銅等が使用される。
配位子は、原子移動ラジカル重合に一般に使用されるものであり、例えば4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン等のビピリジン類、N,N,N’,N’’,N’’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)等の脂肪族アミン類である。
還元剤の調製は、還元剤、例えばアスコルビン酸を水に溶解し例えばアルゴンを導入して溶存する酸素を除去する。
還元剤として、他にアスコルビン酸−6−パルミテート(A6P)、第一スズ化合物、シュウ酸第一スズ、亜硫酸ナトリウム、低酸化状態の硫黄化合物、亜硫酸水素ナトリウム、金属イオンを含む無機塩、フェノール、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、アルキルアミン、ポリアミン、ピリジンおよびその誘導体、アルキルチオール、メルカプトエタノール、容易にエノール化されうるカルボニル化合物、アセチルアセトネート、カンフルスルホン酸、ヒドロキシアセトン、還元糖、単糖、グルコースおよび関連糖、テトラヒドロフラン、ジヒドロアントラセン、シラン、2,3ジメチルブタジエン、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物、アルデヒド、およびこれらの誘導体、例えば、Fe2+、Al3+、Ti3+およびTi4+等の無機物との塩が使用される。
続いて、脱水したアセトン、開始点形成剤として2−ブロモイソブチリルブロミド(85mMol/L)を使用し、これらを表面に水酸基が形成されたクロロブチルゴムとともにトリエチルアミン(127.5mMol/L)の共存下、室温(生活環境の温度)で5時間攪拌し、重合開始点を形成させた。
次に、この中に臭化第二銅を6.6mg(0.0030mol、約1,000,000ppm)、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンを11.1mg加え、15分間アルゴンでバブリングを行い、系内の酸素を追い出した。
還元液として0.1Mのアスコルビン酸水溶液を調製し、3分間アルゴンをバブリングして溶存酸素を放出した後、15mlをクロロブチルゴムが浸漬された重合系に加えて、40℃、大気圧下で攪拌しながら、24時間攪拌してモノマーを重合させ、ポリマーブラシを成長させた。
は、水で洗浄した後、さらに水中で超音波洗浄して真空乾燥した。
タイヤのサイドウォールにアルキルフッ素系モノマーを用いてポリマーブラシを生成させると、汚れが付き難くなることが期待できる。
道路標識または看板等の表面をポリマーブラシが形成されたゴムで被覆すると、埃および雪が落ち易くなり、表示内容が見やすくなることが期待できる。
(3)式で示される構造のポリマーブラシは、重合系調製工程P3において2種類のモノマー(MPC:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびDMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート)を20:1のモル比で200重量部重合系に加え、実施例4と同量の臭化第二銅および4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンを加え、実施例4とおなじ条件で重合を行った。重合工程P5によりポリマーブラシが表面に
生成した表面改質対象物を、1,2−ビス(2−ヨードエトキシ)エタン(I(CH2)2O(CH2)2O(CH2)2I)を溶解させたメチルアルコールに浸漬し室温で48時間架橋反応させたものである。2つのポリマーブラシの間の架橋部分には、親水性の酸素原子を有する。
ポリマーブラシの長さは、10nm以上50000nm以下が適切である。ポリマーブラシの長さが10nm以下では良好な摺動性が得られず、50000nm以上としても摺動性のさらなる向上がなく、高価なモノマーを使用するために原料コストが上昇するからである。また、これ以上高分子にすると表面処理による表面模様が肉眼で見える様になり、美観を損ねるためである。
Claims (10)
- ゴムを改質対象物とする表面改質方法であって、
前記ゴムを架橋すると同時に表面に水酸基を生成させ、
前記水酸基に2級または3級の有機ハロゲン化合物を作用させて重合開始点を形成し、
前記重合開始点を起点にしてモノマーをラジカル重合させて前記改質対象物の表面にポリマーブラシを成長させ、
前記モノマーとして、共役ジエンまたはビニル基を重合基として有し、その置換基または側鎖にカルボン酸もしくはその塩、スルホン酸もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、アミン基もしくはその塩のイオン基、またはカルボキシベタイン、スルホベタインもしくはホスホベタインの両性イオン基が結合された化合物を使用する
ことを特徴とする表面改質方法。 - 前記モノマーとして化学構造が異なる2種類以上のモノマーを使用し、
前記改質対象物の表面に成長させた2つのポリマーブラシを架橋する
請求項1に記載の表面改質方法。 - 2つの前記ポリマーブラシ間を、酸素原子を有する親水性基でイオン架橋または架橋する
請求項1に記載の表面改質方法。 - ゴムを改質対象物とする表面改質方法であって、
前記ゴムを架橋すると同時に表面に水酸基を生成させ、
前記水酸基に2級または3級の有機ハロゲン化合物を作用させて重合開始点を形成し、
前記重合開始点を起点にしてモノマーをラジカル重合させて前記改質対象物の表面にポリマーブラシを成長させ、
前記ポリマーブラシを、ジエンまたはビニル基とアルキルフッ素基とを有するモノマーにより形成する
ことを特徴とする表面改質方法。 - 前記2級または3級の有機ハロゲン化合物は、ハロゲン化エステル基を含み、
トリアルキルアミンの共存下で2級または3級の有機ハロゲン基を持つ前記重合開始点を形成する
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表面改質方法。 - 前記改質対象物の表面にポリマーブラシを成長させる重合反応が、I価の銅化合物と塩基とを触媒として用いる原子移動ラジカル重合(ATRP)、またはII価の銅化合物と塩基とからなる触媒に還元剤を系中に共存させた原子移動ラジカル重合のAGET ATRP法もしくはARGET ATRP法である遷移金属触媒ラジカル重合による
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の表面改質方法。 - 前記遷移金属錯体触媒としてII価の銅化合物を使用する
請求項6に記載の表面改質方法。 - 前記還元剤として有機または無機の還元剤を使用する
請求項6または請求項7に記載の表面改質方法。 - 前記還元剤としてアスコルビン酸を使用する
請求項6または請求項7に記載の表面改質方法。 - 改質後の表面の静摩擦係数が0.5以下および動摩擦係数が0.25以下であり、かつ前記表面が水に濡れたときの静摩擦係数が0.4以下および動摩擦係数が0.2以下となるように前記改質対象物の表面に水酸基を生成し、前記重合開始点を起点にして前記モノマーをラジカル重合させて前記表面にポリマーブラシを成長させる
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の表面改質方法。
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