JP5853744B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、複数のコアを有するマルチコアプロセッサを用いて演算を行う内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特開2008−269487号公報に開示されるように、マルチコア構成およびキャッシュメモリ搭載構成の少なくとも一方が採用されたマイクロコンピュータを備えたエンジン制御用電子制御装置において、エンジン停止中の消費電力を低減するための技術が開示されている。CPUコアおよびキャッシュメモリは、何れもマイクロコンピュータにおいて消費電力の大きい要素である。そこで、上記従来の技術では、エンジン動作中は、CPUコアおよびキャッシュメモリをフルに使用して最高の処理能力を発揮させるモードが選択されるとともに、エンジンの停止中は、CPUコアの使用数やキャッシュメモリの使用量をエンジン動作時よりも減ずるためのモードが選択される。
特開2008−269487号公報
ところで、近年の制御モデルを用いた内燃機関のモデルベース制御では、複数のコアを有するマルチコアプロセッサを用いて並列演算処理を行うことにより、演算の高速化を図ることができる。但し、使用コア数が増加すると演算負荷が増加し、これに伴い消費電力も増加する傾向がある。このため、消費電力の低減の観点からは、演算負荷に応じた効率的な演算資源配分を行うことが好ましい。この点、上述した従来の装置では、エンジン動作中の演算資源配分については何ら考慮されておらず、未だ改良の余地を残すものであった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数のコアを有するマルチコアプロセッサを用いて演算処理を行う内燃機関において、内燃機関の演算負荷に応じた効率的な使用コア配分を行うことのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関のアイドル運転中の回転数を所定のアイドル回転数に制御するアイドル回転数制御を行う内燃機関の制御装置であって、
複数のコアが搭載されたマルチコアプロセッサを有し、内燃機関の動作に関わる種々の演算のタスクを前記複数のコアに割り当てて並列に演算を行う演算手段と、
前記内燃機関の所定時間先の筒内空気量および機関回転数を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された筒内空気量および機関回転数に基づいて、所定時間先における前記アイドル回転数制御の動作状況を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された所定時間先における前記アイドル回転数制御の動作状況が停止される動作状況である場合に、停止前に比して前記演算手段に用いるコア数を減ずる制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記制御手段は、前記アイドル回転数制御が開始される場合に、開始前に比して前記演算手段に用いるコア数を増加させることを特徴としている。
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記演算手段は、前記アイドル回転数制御に関連する演算のタスクを、前記複数のコアから指定された1または複数の指定コアに割り当てる割当手段を含み、
前記制御手段は、前記アイドル回転数制御が停止された場合に、前記指定コアを停止させることを特徴としている。
第4の発明は、第3の発明において、
前記演算手段は、前記内燃機関のエンジンモデルを用いたアイドル回転数の予測演算を行うモデル演算手段を含み、
前記割当手段は、前記モデル演算手段における予測演算を前記指定コアに割り当てることを特徴としている。
の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、
前記推定手段は、アクセル開度から計算した目標スロットル開度の変化に対して実スロットル開度の変化を遅らせるディレイ制御を実施し、将来において達成される筒内空気量を前記目標スロットル開度から予測することを特徴としている。
第1の発明によれば、アイドル回転数制御を停止する場合に、停止前に比して使用コア数が減らされる。アイドル回転数制御を停止する場合には、クランクシャフトの運動方程式を解く必要がないため、解くべきモデル式の次数が停止前に比して減少する。このため、本発明によれば、演算負荷の減少に応じて使用コア数を減らすことができるので、内燃機関の演算負荷に応じた効率的な使用コア配分を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、所定時間先の筒内空気量および機関回転数に基づいて、所定時間先のアイドル回転数制御の動作状況が予測される。このため、本発明によれば、アイドル回転数制御を停止させる時期を前もって把握することができるので、内燃機関の将来の演算負荷に応じた効率的な使用コア配分を事前に行うことが可能となる。
第2の発明によれば、アイドル回転数制御が開始される場合に、開始前に比して使用コア数が増加される。このため、本発明によれば、解くべきモデル次数の増加に応じて使用コア数を増加させることができるので、内燃機関の演算負荷に応じた効率的な使用コア配分を行うことが可能となる。
第3の発明によれば、アイドル回転数制御に関連する演算のタスクが1または複数の指定コアに割り当てられる。そして、アイドル回転数制御が停止される場合に、当該指定コアの使用が停止される。このため、本発明によれば、アイドル回転数制御の停止時に不要となる演算を有効に停止して、内燃機関の演算負荷に応じた効率的な使用コア配分を行うことが可能となる。
第4の発明によれば、エンジンモデルを用いたアイドル回転数の予測演算のタスクが指定コアに割り当てられ、アイドル回転数制御が停止される場合に当該指定コアの使用が停止される。このため、本発明によれば、アイドル回転数制御の停止時に不要となるモデル予測演算を効率的に停止して、装置全体として演算資源を有効に配分することができる。
の発明によれば、スロットルのディレイ制御を行うことにより、将来において達成される筒内空気量を予測することができるので、予測された筒内空気量を用いて、所定時間先のアイドル回転数制御の動作状況を事前に把握することが可能となる。
本発明の実施の形態としての内燃機関システムの概略構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態としての内燃機関システムの概略構成を説明するための図である。図1に示すとおり、本実施の形態のシステムは内燃機関10を備えている。内燃機関10は火花点火式の4ストロークレシプロエンジンであり、車両に搭載され、その動力源とされているものとする。内燃機関10の吸気側には、吸気通路12が接続されている。吸気通路12の入口付近には、エアクリーナ14が設けられている。また、内燃機関10の排気側には、排気通路16が接続されている。排気通路16の途中には、排気ガスを浄化するための後処理装置18が設けられている。
本実施の形態の内燃機関10は、ターボ過給機20を備えている。ターボ過給機20は、排気ガスの排気エネルギによって作動するタービン20aと、タービン20aに入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動されるコンプレッサ20bとを有している。タービン20aとコンプレッサ20bとは、タービンシャフト20cにより一体的に連結されている。
ターボ過給機20のタービン20aおよびコンプレッサ20bは、排気通路16および吸気通路12の途中にそれぞれ配置されている。吸気通路12におけるコンプレッサ20bの更に下流側には、インタークーラ22および電子制御式のスロットルバルブ24がこの順に配設されている。エアクリーナ14を通って吸入された空気は、ターボ過給機20のコンプレッサ20bで圧縮された後、インタークーラ22で冷却される。インタークーラ22を通過した吸入空気は、吸気マニホールドにより各気筒の吸気ポート(図示せず)に分配される。
本実施の形態のシステムは、図1に示すとおり、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50は、n個のコア(core_1〜core_n)が搭載されたプロセッサを有するマルチコアECUとして構成され、コア毎にそれぞれ使用・停止を可変に設定することができる。ECU50の入力部には、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するためのアクセルポジションセンサ52、内燃機関10のクランク角度を検出するためのクランク角センサ54等、内燃機関10を制御するための各種センサが接続されている。また、ECU50の出力部には、上述したスロットルバルブ24の他、内燃機関10を制御するための各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、入力された各種の情報に基づいて、各種アクチュエータを駆動するための所定の制御アルゴリズムを実行する。
[本実施の形態1の特徴的動作]
次に、本実施の形態1の特徴的動作について説明する。本実施の形態にかかる内燃機関10は、その動作を制御するためのアクチュエータとして、例えば、スロットルバルブ24等の内燃機関10を制御するための各種アクチュエータを備えている。本実施の形態の制御装置は、いわゆるモデルベース制御によって内燃機関を制御するものであり、モデル予測を多用して制御状態を推定し、上述した種々のアクチュエータの制御量を決定する。
本実施の形態のシステムでは、アイドル回転数制御(ISC:Idle Speed Control)がモデルベース制御によって実現される。具体的には、ECU50は、空気量を制御入力としてクランクシャフトの回転ダイナミクスを演算することによって、制御出力としての回転数を演算するクランクモデルを実装している。アイドル運転中は、当該クランクモデルを用いることによりアイドル回転数が予測される。ECU50は、予測されたアイドル回転数が目標アイドル回転数となるようなフィードバックゲインを算出することにより、アイドル回転数を制御する。尚、アイドル回転数制御のモデル構成については、既に多くの文献が公知であるため、その詳細な説明を省略する。
また、マルチコアECUを備える本実施の形態のシステムにおいては、複数のコアの中から選択された1または複数の指定コアにおいて上記モデルベース制御が実行される。尚、指定コアは当該過給予測演算を専用に行うためのコアとして選択されたコアであって、システムのコア使用状況等を考慮して、演算資源を有効に活用しうるコア数に設定されることが好ましい。また、複数の指定コアを用いた並列演算処理を行う場合には、例えばOSCAR(Optimally Scheduled Advanced Multiprocessor)等の公知の並列化コンパイラを用いて、過給モデルの過給予測演算アルゴリズムを分割し、各指定コアにタスクを振り分ける。このように、並列演算処理を行うこととすると、単一のコアで逐次演算処理を行う場合に比して演算負荷が有効に軽減される。
ここで、上述したモデルベース制御において、アイドル運転から通常運転へ復帰した場合にはアイドル回転数の予測演算を解く必要性がない。したがって、このような場合においては、上記演算を停止しても特に問題はなく、むしろこれらの演算を停止した方が演算負荷軽減の観点から好ましい。
そこで、本実施の形態のシステムでは、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合に演算に使用するコア数を減ずることとする。具体的には、複数のコアの中から指定された1または複数の指定コアに、上述したクランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算のタスクを割り当てておき、アイドルフラグがONからOFFになった場合に当該指定コアを停止することとする。これにより、不要な演算が行われるコアを有効に停止することができるので、残された演算資源を有効に配分することにより、システム全体として演算負荷の軽減を図ることができる。これにより、タスク抜けを回避して内燃機関の制御を高精度に実現することができる。
また、本実施の形態のシステムでは、通常運転からアイドル運転へ再度移行する場合には、アイドルフラグが再びONとされた時点で上記停止されたコアでの演算を再度開始することとする。これにより、クランクモデルの回転数予測演算の開始に伴う演算負荷の増加を、使用コア数を増加させることで有効に補うことができる。
[実施の形態1における具体的処理]
次に、図2を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図2は、ECU50が、演算に使用する使用コア数の増減を行うルーチンのフローチャートである。尚、図2に示すルーチンは、内燃機関10の運転中に繰り返し実行されるものとする。また、図2に示すルーチンを実行する前提として、ここでは、クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算を行う1または複数の指定コアが既に選択され、当該アイドル回転数の予測演算のタスクがこれらの指定コアに割り当てられているものとする。
図2に示すルーチンでは、先ず、アイドル運転から通常運転へ復帰するか否かが判定される(ステップ100)。ここでは、具体的には、アイドルフラグがONからOFFとなったか否かが判定される。その結果、アイドルフラグがOFFとなったと判定された場合には、クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が不要となると判断されて、次のステップに移行し、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が割り当てられた指定コアが停止される(ステップ102)。一方、上記ステップ100において、アイドルフラグがOFFになっていないと判定された場合には、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が指定コアによって実行される(ステップ104)。
以上説明したとおり、本実施の形態のシステムによれば、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合には、クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が割り当てられたコアが停止される。これにより、不要な演算が行われるコアを有効に停止することができるので、残された演算資源を有効に配分することにより、システム全体として演算負荷の軽減を図ることができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合に、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が割り当てられた指定コアを停止することとしているが、停止可能なコアは当該指定コアに限らない。すなわち、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合には、モデル予測演算に関する演算負荷が少なからず減少する。このため、アイドル運転からの復帰時に何れかのコアを停止し、残された使用コアに停止されたコアのタスクを振り分けることで、使用コアを減らしつつ内燃機関の演算負荷に応じた高率的な使用コア配分を行うことが可能となる。
また、上述した実施の形態1においては、アイドル運転からの復帰時に不要となる演算として、クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算を例示したが、アイドル運転からの復帰時に不要となる他のモデル演算に対しても適用することができる。
また、上述した実施の形態1においては、ガソリン機関である内燃機関10の制御に適用した場合について説明したが、本発明はガソリン機関に限定されるものではなく、ディーゼル機関(圧縮着火内燃機関)、その他の各種の内燃機関の制御に適用することができる。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、図1に示すシステムを用いて、後述する図3に示すルーチンを実行することにより実現することができる。
上述した実施の形態1のシステムでは、現在の運転条件に基づいてアイドル運転からの復帰有無を判断し、ECU50の使用コア数を増減させることとしている。これに対して、本実施の形態2のシステムでは、将来の運転条件として、例えば32ms将来の筒内空気量および機関回転数を予測する。具体的には、アクセル開度から計算した目標スロットル開度の変化に対してスロットルバルブ24の実開度の変化を遅らせるディレイ制御を実施し、将来において達成される筒内空気量を目標スロットル開度から予測する。また、運転条件のパラメータを用いて計算された図示トルクおよび補機トルクとフリクショントルクの合算値を用いてクランクシャフトの回転速度を算出し、将来おいて達成される機関回転数を予測する。そして、これらの運転条件がアイドル運転領域に属していない場合には、将来において達成される運転条件によってアイドル運転から通常運転への復帰が行われると判断することができる。したがって、この場合にクランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算が割り当てられた指定コアを停止することとすれば、不要な演算が行われるコアを有効に停止することができる。これにより、残された演算資源を有効に配分することができるので、システム全体として演算負荷の軽減を図るとともに、タスク抜けを回避して内燃機関の制御を高精度に実現することができる。
尚、本実施の形態のシステムでは、将来において達成される運転条件によって通常運転から再びアイドル運転へ移行すると判断された時点で、上記停止されたコアでの演算を再度開始することとする。これにより、クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算の開始に伴う演算負荷の増加を、使用コア数を増加させることで有効に補うことができる。
[実施の形態2における具体的処理]
次に、図3を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図3は、ECU50が、演算に使用する使用コア数の増減を行うルーチンのフローチャートである。尚、図3に示すルーチンは、内燃機関10の運転中に繰り返し実行されるものとする。また、図3に示すルーチンを実行する前提として、ここでは、クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算を行う1または複数の指定コアが既に選択され、当該予測演算のタスクがこれらの指定コアに割り当てられているものとする。
図3に示すルーチンでは、先ず、32ms将来の機関回転数および筒内空気量が予測される(ステップ200)。ここでは、具体的には、ECU50は、アクセルポジションセンサ52により計測されたアクセル開度から目標スロットル開度を計算し、目標スロットル開度の変化に対してスロットルバルブ24の実開度の変化を遅らせるディレイ制御を実施することによって、32ms将来において達成される筒内空気量を目標スロットル開度から予測する。
また、ECU50は、現在の運転条件のパラメータを用いて、図示トルクτ、およびフリクショントルクと補機トルクの合算値τfを計算する。フリクショントルクは、ピストンとシリンダ内壁との摩擦など各勘合部の機械的な摩擦によるトルクであり、また、補機トルクは、補機類の機械的な摩擦によるトルクである。合算値τfは、例えば、機関運転状態と合算値τfとの間の関係を規定したマップを用いて特定することができる。そして、運動方程式に則った次式(1)に、計算した図示トルクτおよびフリクショントルクと補機トルクの合算値τfを代入することで、クランクシャフトの角加速度dω/dtを算出する。
I・dω/dt=τ−τf ・・・(1)
尚、Iは混合気の燃焼によって駆動される部材(クランクシャフト等)の慣性モーメント(イナーシャ)であり、内燃機関10のハード構成に基づいて決定される定数である。そして、角加速度dω/dtから求めたクランクシャフトの回転速度ωを用いて、32ms将来の機関回転数を算出する。
次に、32ms将来においてアイドル運転から通常運転への復帰が行われるか否かが判定される(ステップ202)。ここでは、具体的には、上記ステップ200において予測された32ms将来の運転条件が、アイドル運転領域に属するか否かが判定される。その結果、32ms将来の運転条件がアイドル運転領域に属さないと判定された場合には、クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算が将来に不要となると判断されて、次のステップに移行し、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算が割り当てられた指定コアが停止される(ステップ204)。一方、上記ステップ202において、32ms将来の運転条件がアイドル運転領域に属すると判定された場合には、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算が指定コアによって実行される(ステップ206)。
以上説明したとおり、本実施の形態のシステムによれば、アイドル運転からの復帰が将来に行われる場合には、クランクモデルを用いたアイドル回転数の予測演算が割り当てられたコアが停止される。これにより、不要な演算が行われるコアを有効に停止することができるので、残された演算資源を有効に配分することにより、システム全体として演算負荷の軽減を図ることができる。
ところで、上述した実施の形態2においては、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合に、当該クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算が割り当てられた指定コアを停止することとしているが、停止可能なコアは当該指定コアに限らない。すなわち、アイドル運転から通常運転へ復帰する場合には、モデル予測演算に関する演算負荷が少なからず減少する。このため、アイドル運転からの復帰時に何れかのコアを停止し、残された使用コアに停止されたコアのタスクを振り分けることで、使用コアを減らしつつ内燃機関の演算負荷に応じた高率的な使用コア配分を行うことが可能となる。
また、上述した実施の形態2においては、将来の運転条件として筒内空気量と機関回転数を予測し、これらに基づきアイドル運転の将来の復帰有無を予測することとしているが、アイドル運転からの復帰を予測する方法はこれに限られない。すなわち、例えば、予測に必要な運転条件として将来の筒内空気量のみを用いてもよいし、また、他の運転条件を用いた公知の手法によりアイドル運転からの復帰を予測することとしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、アイドル運転からの復帰時に不要となる演算として、クランクモデルを用いたアイドル回転数予測演算を例示したが、アイドル運転からの復帰時に不要となる他のモデル演算に対しても適用することができる。
また、上述した実施の形態2においては、ガソリン機関である内燃機関10の制御に適用した場合について説明したが、本発明はガソリン機関に限定されるものではなく、ディーゼル機関(圧縮着火内燃機関)、その他の各種の内燃機関の制御に適用することができる。尚、本実施の形態2の制御をディーゼル機関に適用する場合には、32ms将来の運転条件として、上述した筒内空気量に替えて32ms将来の噴射量を予測することとすればよい。
10 内燃機関(エンジン)
12 吸気通路
16 排気通路
20 ターボ過給機
24 スロットルバルブ
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 アクセルポジションセンサ
54 クランク角センサ

Claims (5)

  1. 内燃機関のアイドル運転中の回転数を所定のアイドル回転数に制御するアイドル回転数制御を行う内燃機関の制御装置であって、
    複数のコアが搭載されたマルチコアプロセッサを有し、内燃機関の動作に関わる種々の演算のタスクを前記複数のコアに割り当てて並列に演算を行う演算手段と、
    前記内燃機関の所定時間先の筒内空気量および機関回転数を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された筒内空気量および機関回転数に基づいて、所定時間先における前記アイドル回転数制御の動作状況を予測する予測手段と、
    前記予測手段によって予測された所定時間先における前記アイドル回転数制御の動作状況が停止される動作状況である場合に、停止前に比して前記演算手段に用いるコア数を減ずる制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記アイドル回転数制御が開始される場合に、開始前に比して前記演算手段に用いるコア数を増加させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記演算手段は、前記アイドル回転数制御に関連する演算のタスクを、前記複数のコアから指定された1または複数の指定コアに割り当てる割当手段を含み、
    前記制御手段は、前記アイドル回転数制御が停止された場合に、前記指定コアを停止させることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記演算手段は、前記内燃機関のエンジンモデルを用いたアイドル回転数の予測演算を行うモデル演算手段を含み、
    前記割当手段は、前記モデル演算手段における予測演算を前記指定コアに割り当てることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記推定手段は、アクセル開度から計算した目標スロットル開度の変化に対して実スロットル開度の変化を遅らせるディレイ制御を実施し、将来において達成される筒内空気量を前記目標スロットル開度から予測することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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