JP5853295B1 - 残存モノマー含有量を低減した湿気硬化型ポリウレタンプレポリマー - Google Patents

残存モノマー含有量を低減した湿気硬化型ポリウレタンプレポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】反応性ホットメルト接着剤の優れた瞬時固着性、湿気硬化型反応性接着剤の優れた操作性、両者の相反性質を併せ持つ、残存モノマー量を低下させ且つ発泡抑止された新規な反応性ホットメルト粘着剤用のプレポリマーを提供する。更に、該プレポリマーの新規な製造方法を提供する。又、該プレポリマーの製造方法、並びに接合方法を提供する。【解決手段】該新規なプレポリマーは常温で液状のジイソシアネート及び常温で液状のジオール、を使用してNCO基/OH基を2.2/1〜1.2/1の範囲で反応して得られるプレポリマーであり、数平均分子量(Mn)が1,500〜80,000の範囲、120℃における粘度が1,000〜200,000mP・sの範囲、且つ常温で高い粘着力を有するプレポリマーを使用することで達成される。【選択図】 図1

Description

本発明は残存モノマー含有量の低減が図られ且つ硬化物の発泡が抑止された湿気硬化型ポリウレタンプレポリマー、並びに該プレポリマーの製造方法、製造装置に関する。
更に詳しくは、該プレポリマーを基剤とする湿気硬化型反応性ホットメルトポリウレタン粘着剤、並びに該粘着剤の製造方法、製造装置及び接合方法に関する。
接着剤、シーラント等の製品領域において、湿気硬化型のポリウレタン硬化性組成物は、その機能面、性能面で優れ、且つ経済的でもあるので、その製品群は市場に広く浸透し、現在も活発な技術開発がなされ発展している。該湿気硬化型のポリウレタン硬化性組成物(以下、湿気型PU組成物、と略す)は、室温で液体であるプレポリマーを基剤(主成分)に使用した1液型の常温湿気型PU組成物、と常温で固体であるプレポリマーを基剤にした1液型の常温固体のポリウレタン反応性ホットメルト組成物(以下、PURHM、と略す)が著名である。両者の基剤であるプレポリマーは、一般には、ウレタン基、随意の尿素基および反応性イソシアネート基を有する。又、両者の組成物は溶剤を含有しない無溶剤型として使用されるので、溶剤の揮散に伴う資源のロスを防ぎ、環境面でも優しい。
該両者組成物に関しては、一方の湿気型PU組成物は、通常、1液常温で使用されるため操作性に優れるのが大きい利点である反面、生産性(硬化性)に難点が有る。他方のPURHMは、湿分硬化性の接着剤であり、該接着剤は室温では固体として調製され、加熱状態で溶融体として接着剤に使用される。そしてこの溶融体を塗布すると、室温下で冷却され、急激な物理的硬化、即ち固化がもたらせられる。次いで、周囲環境から供給される湿分と、該塗布体(イソシアネート基)との化学反応によって、架橋された硬化体(熱硬化性重合体)が形成される。このように、PURHMの利点は瞬時固化による固着力の急速な発現により瞬時接着が可能になる。そのため、特に、接着操作の生産性の向上に威力を発揮するので、産業界から広く支持され、発展している。
このように、産業界からはPURHMへの期待が大きいものが有り、現在も更なる性能の向上を求め努力がなされている。その改善の一つとして、大面積接合や、長時間塗布における操作性の改善がある。PURHMはその瞬時固着性の故に、例えば、大面積の接合において、塗布の開始時点ですぐ塗布体の固化(約数秒程度)が始まり、塗布中に固化してしまうため、塗布後の張り合わせが出来なくなる。このことはPURHMの弱点とも言える。そのため、PURHMの「瞬時固着性」と、1液常温湿気型PUの「長い操作時間(可使時間)」の相反性質を両立できるような製品が求められてきた。しかし、現在、未だ本格的な製品が得られていない。
本発明者は、これら本格的な製品を求め鋭意検討した。その結果、「固化」による固着力発現を、「高粘着力」による固着力発現に置き換える。即ち、「PURHM接着剤型」から、「PURHM粘着剤型」にすれば、粘着剤は固体でないので、長い可使時間を可能にし、「瞬時固着性」と「長い可使時間」の両立が可能になる事を見出した。又、この「PURHM粘着剤型」は、従来の熱可塑性エラストマーを基剤にした粘着剤は熱可塑性を示すので、これとは明確に異なるものである。では、なぜこれまで本格的なPURHM粘着剤が得られなかったのか。その原因は、該粘着剤の「製造」と「取扱」の困難さに有ると考えられた。
製造について; PURHM粘着剤の基剤(ベース成分、又は主成分)であるプレポリマーは、加熱下では流動性を呈し、常温冷却下では高粘着力を保持し、長期の貯蔵に対しても安定であるプレポリマー(熱可塑性重合体)であること。更に該プレポリマーは空気中の湿気と反応し、効率的に架橋体(熱硬化性重合体)を形成できることが条件である。それに必要なプレポリマーの適正条件、即ち、高粘着力を安定的に得るための条件設定が難しいことである。
取扱いついて; 、PURHM粘着剤は空気中の湿気に触れると、即湿気硬化しゲル化するので、取り扱いに際しては、窒素雰囲気で扱う等の空気完全遮断下で操作する必要がある。この点に於いては、PURHM接着剤と同じである。しかし、粘着剤は、水飴を更に高粘度にしたようなものであるため、製品の計量、塗布装置への投入、又、付着物の除去等に多大の労力を要する。更に、従来のPURHMは常温で固体であるため、常温近傍の温度が変化しても固着力に変化はない。これに対し、粘着剤は周辺の操作温度が変わると固着力(粘着力)が変化するので、操作性が極めて悪い。そのため、PURHM接着剤に比べ、取扱が格段に面倒である。
本明者は一貫して、湿気型PU組成物の開発を行ってきた。本発明者による先願発明(特許第4470073号、特許5044749号)の技術を更に発展させて、「PURHM粘着剤型」のプレポリマーの製造並びに取扱の最適化試験を検討することにより、初めてこれらが改善できることを見だした。
更に、本発明者は、湿気型PU組成物の共通する課題、即ち、「安全性」と「発泡」の課題についても検討した。これら課題はPUの本質的な課題であり、現在も、これら課題改善のための努力が続いている。ここで言う安全性の課題とは、プレポリマー中に残存するモノマー性ジイソシアネート(残存モノマー)の低減化のことである。通常、該プレポリマーはジイソシアネート、ジオール等の重付加反応によって合成される。この時、該反応を完全に反応させることはできないので、プレポリマー中には未反応の反応性モノマー量を0(ゼロ)にできず、必ず残存してしまう。特に、該プレポリマーの原料であるジイソシアネートモノマーは、人体に対し有害であることが知られている。この有害性の本体は該モノマーの蒸気である。
本発明においては、該プレポリマーは加熱状態で使用され、時に、使用温度は最高、約170℃に達する場合が有る。残存モノマー(ジイソシアネート)の蒸気圧は、常温に於いては必ずしも高いものではないが、170℃においては無視できなく。そのため、本発明の加熱系では、残存モノマー量の低減が、緊急且つ最大の課題であると言っても過言では無い。この課題が克服できれば新しい用途が拓け、PURHMの更なる発展が約束される。
残存モノマーの低減化に関しては、特表2003−515636号において、PURHM接着剤中の残モノマー(残モノマー成分はMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート))の低減化について述べられており、該文献で、残モノマー除去手段の事例が記載されている。本発明者は、これとは別に、PURHM粘着剤において、異なる手段を用いて残存モノマーが低減化された新組成系を見いだすことができた。
本発明者は、更に、「発泡」の課題についても検討した。発泡とは、湿気型PU組成物が空気中の湿気を吸収して硬化(架橋)する際、硬化物が発泡する現象のことである。この現象は、該組成物中の反応性のイソシアネート基が湿気(水)と反応し、炭酸ガスとアミンを生成することに起因する。発生炭酸ガスが硬化物を発泡(膨張)させ、硬化物の外観不良や強度低下の基になる。通常、ポリイソシアネート及びポリオールから成る2液型ポリウレタンに於いては、予め脱水剤等を添加しておくことにより系中の水分を除去することができ発泡を抑制することが可能である。
しかし、本発明の湿気型PU組成物は湿気(水)を硬化体(架橋体)形成の反応源に用いるので、湿気の除去は該反応を停止させることを意味し、発泡抑制には発生する炭酸ガスを直接除去する必要がある。この炭酸ガスの除去は、該組成物が高粘度の系であること、しかも、特に、短時間で硬化する際、急激に発生する炭酸ガスを選択的に効率よく除去することが難しい。本発明者は、新しいPURHM粘着剤系において、残存モノマー量低減と同時に、発泡抑止できることを見出した。
このようにして、従来、成し得なかった、「新PURHM粘着剤の創製」、「残存モノマーの低減化」及び「発泡抑止」の課題に対し、本発明者これら課題解消の手立てを得ることができた。
ここで使用している用語、「固化」と「固着」について述べる。「固化」とは「固体化」、即ち「固体」を指し、「固着」とは「固定する力」のようなものを指し、必ずしも固体である必要はない。本発明においてはこのように使い分ける。
特許4470073号公報 特開5044749号公報 特表2000−515636号公報
高分子化学教程[井本稔、藤代良一著 朝倉書店、昭和42年]
本発明は、従来湿気硬化型PURHMの課題、即ち、PURHM粘着剤の創製、残存モノマーの低減化、及び発泡抑止の課題を克服し、残存モノマー含有量の低減が図られ且つ硬化物の発泡が抑止された新規なPURHM粘着剤、及び該粘着剤の基剤であるポリウレタンプレポリマーを提供することに有る。更に詳しくは、該プレポリマーの製造方法、製造装置、粘着剤並びに該粘着剤の接合方法を提供することに有る。
本発明者は従来の湿気硬化型PURHMの課題について鋭意検討した。その結果、該PURHMの基剤であるプレポリマーの最適化、該プレポリマーを形成させるための反応性成分の最適化、並びに該プレポリマーを得るための反応条件を最適化することによって、従来の湿気硬化型PURHMの課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の発明から成っている。
1.(i)常温で液状のジイソシアネート、好ましくは数平均分子量(Mn)が350〜10,000であるジイソシアネート、及び(ii) 常温で液状のジオール、好ましくは(Mn)が140〜15,000であるジオール、を使用して(iii)ジイソシアネートとジオールの官能基比率(当量比)、NCO基/OH基を2.2/1〜1.2/1の範囲で反応して得られるプレポリマーは湿気硬化型粘着剤用組成物の基剤あって、該プレポリマーは(a)数平均分子量(Mn)が1,500〜80,000の範囲、(b)120℃における粘度が1,000〜200,000mP・sの範囲、且つ常温で高い粘着力を有することを特徴とする残存モノマー含有量を低減した湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーである。
2.前記のジイソシアネートは、その原料成分であるモノマー性ジイソシアネートの最大残存量(残存モノマー量)が1質量%以下である。3.前記1に記載のジイソシアネート(i)は、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートであり、(ii)ジオールは、主鎖がポリエーテル構造、ポリエステル構造、ポリカーボネート構造、ポリブタジエン構造、ヒマシ油変性構造、シロキサン構造から選択されるジオールである。4.前記1に記載の残存モノマー(モノマー性ジイソシアネート)がヘキサンメチレンジイソシアネート(HDI)である。
5.前記1〜4の何れかに記載のプレポリマーに含有される残存モノマーの最大含有量は0.1質量%以下である。6.好ましくは0.01質量%以下である。7.前記1に記載の常温で高い粘着力は、粘度の下限値が30万mPa・以上、上限値が10,000万mPa・以下である。8.前記1〜7の何れかに記載のプレポリマーが湿気と反応、硬化してなる硬化体(架橋体)は、ゴム弾性体である。9.前記8のゴム弾性体が無色透明且つ非黄変性若しくは難黄変性であり、且つ耐水性、耐熱性に優れる弾性体である。
10.前記1〜9のいずれかに記載のプレポリマーの製造方法であって、該製造方法は、下記工程から成ることを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造方法である。
(P1) ジシシアネート(i)成分とジオール(ii)成分を分離し、該ジオール側に硬化用架橋触媒を含有させて成る2成分型(2液型)を形成する工程、(P2) 該2液を、常温下一定の比率(NCO基/OH基比が1.2/1〜2.2/1の範囲)で、加熱された混合機に連続的に供給する工程、(P3) 該混合機内で極めて短時間にプレポリマーを生成(合成)する工程及び(P4) 該プレポリマーを 吐出する工程。11.前記10記載のNCO/OHは1.3/1〜1.9/1の範囲である。12.前記10の温度は60℃〜170℃である。13.前記10の時間は2秒〜30秒である。
14.前記10〜13記載のプレポリマーを製造するための装置であって、該装置は少なくとも下記の物品並びに機能を有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造装置である。(P1)工程で使用される,(i)成分、(ii)成分の夫々を貯蔵するための夫々の貯蔵容器(10、11)、(P2)工程で使用される、(i)成分、(ii)成分、夫々の液の計量と供給するための精密な定量吐出ができる定量ポンプ(20、21)、並びに吐出口を有する加熱混合機(30)、(P3)工程で必要とされる、液量(40)、温度(50)、時間(60)の計測と制御を行うための計測機器及び制御機器。
該夫々の貯蔵容器(10、11)は夫々の定量ポンプ(20、21)と繋がっており、該ポンプは加熱混合機(30)に繋がり、該混合機で生成した生成物を吐出口より吐出する。これらを繋げるための配管とその接続部品、及び全工程(P1〜P4)を円滑に作動、制御させるための制御機器又は制御システム。
15.前記1〜9のいずれかに記載のプレポリマーに、硬化触媒を含有させることを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンプレポリマー組成物である。16.前記15のプレポリマー組成物が、常温冷却により瞬時に高粘着力を発現させ、該粘着力により固着を発現し、且つ長い可使時間(オープンタイム)をも併せ持つことができることを特徴とするポリウレタン反応性ホットメルト粘着剤である。17.前記16のポリウレタン反応性ホットメルト接着剤を使用した被着材の張り合わせ(接合)であって、固着後も接合位置の調節が可能な性質を利用した被着材を張り合わせる接合方法である。
本発明は、従来湿気硬化型PURHMの課題、即ち、PURHM粘着剤の創製、残存モノマーの低減化、及び発泡抑止の課題を、本発明の手段によって、残存モノマー含有量の低減が図られ且つ硬化物の発泡が抑止された新規なPURHM粘着剤、及び該粘着剤の基材であるポリウレタンプレポリマーを提供することができた。更には、該プレポリマーの製造方法、製造装置、並びに該粘着剤の接合方法をも提供することができた。本技術は産業界からのニーズが極めて大きいものであるため、産業界の発展への貢献は著しい。
本発明を説明する。
最初に、本発明の湿気硬化型ホットメルト(PURHM)用組成物用の基剤であるプレポリマーについて説明する。ここで言う、基剤とは、ベース、又は主成分と同義語である。該PURHM用のプレポリマーであるためには、加熱下では流動性を呈し、室温に冷やすと固着性を呈することが必要条件である。そのため該プレポリマーは熱可塑性ポリマーである必要がある。更に該プレポリマーは固着後、空気中の湿気と反応して、熱硬化性ポリマーを形成できる必要がある。そのため、該熱可塑性プレポリマーは、湿気硬化性を有する直鎖構造を有する線状高分子或いは分岐構造を有する線状高分子である必要があり、該高分子の分子量は、加熱下では易流動性であることが望ましいので、高分子としては、比較的分子量が低い高分子であることが望ましい。
続いて、本発明のPURHM粘着剤用プレポリマーについて説明する。
プレポリマーの流動性(粘度); 該プレポリマーは、接着剤(PURHM)の常温固化物が固体(非流動性)であるのに対し、粘着剤として利用するので、常温では高粘着状(難流動性)である必要がある。そのようなプレポリマーを得るために、分子量を変化させたプレポリマーを合成し、該プレポリマーの各温度における流動特性(粘度)を調べた。その結果、該プレポリマーとして適正な粘度、即ち、常温(25℃)において高粘着力を得るための粘度は、粘度の下限値が30万mPa・s以上、上限値が10,000万mPa・s(外挿値)以下であることを見出した。
その理由は、30万mPa・s以下では十分な固着力(高粘着力)を得られない。又、10,000以上では非流動性の固体を形成する恐れがあった。ここで、適正粘度域を30万〜10,000万mPa・sの広い範囲とするのは、粘着接合に於いては、塗工性重視の比較的低粘着力で良いケース、その反対に少々塗工性が悪くとも十分な高粘着力が必要なケース等、様々な利用形態があり、作業現場での利用形態に合わせる必要があるからである。しかしながら、より好ましい粘度域は、100万〜8,000万mPa・sの範囲である。更に好ましい粘度域は1,000万〜7,000万の範囲である。
又、加熱下の流動性については、加熱温度(120℃)における粘度が1,000mPa・s以上、200,000mPa・s以下の範囲にあるのが望ましいことが判った。理由は、1,000mPa・s以下の粘度では流動性が増し、室温冷却時における、高粘着性が得られない。又、200,000mPa・s以上の粘度では、室温冷却時における、高粘着性の上限値を超えてしまう。又、120℃下での流動性が低下し塗布性の低下を来たす恐れが有る。より好ましい粘度域は2,000〜100,000mPa・sの範囲である。更に好ましい粘度域は5,000〜50,000mPa・sの範囲である。
プレポリマーの分子量; このような流動性を規定する因子としては幾つか考えられるが、とりわけプレポリマーの分子量の影響が最も大きいと考えられる。そこで分子量の影響について調べた結果、数平均分子量(Mn)が1500以上〜80,000以下の範囲に有ると、前記の加熱時流動性と常温高粘着状を満たすことができ、望ましいことが判った。その理由は、(Mn)が1500以下になると、流動性が良くなり、常温での粘度が30万mPa・s以下になる恐れがあり、十分な高粘着力がえられない。又、(Mn)が80,000を超えると、反対に、流動性が低下し、120℃の粘度は200,000mPa・sをも超え、加熱溶融物の塗工性(塗布性)が著しく低下する恐れがある。又、その室温冷却物の粘度は10,000万mPa・sを超え、もはや固体領域に接近するため塗布作業性が著しく低下する恐れがある。該プレポリマーのより好ましい(Mn)は2,000〜20,000の範囲である。更に好ましい(Mn)は2,000〜10,000の範囲である。
プレポリマー合成原料; 次にプレポリマー合成用の原料(反応成分)について説明する。
(a)常温で液状のジイソシアネート(ジイソシアネート原料); 本発明のプレポリマーは、イソシアネートとポリオールの重付加反応により合成される。使用されるイソシアネートとしては、(i)数平均分子量(Mn)が350〜10,000の常温で液状のジイソシアネートが使用される。ここで、ジイソシアネートが使用される理由は、前記、プレポリマー(線状高分子)を得るためのイソシアネート成分としては、2官能性のジイソシアネートが最も適切であるからである。3官能性、或いはそれ以上の多官能性イソシアネートは架橋性ポリマーを形成し、又、1官能性のモノイソシアネートは高分子化反応を停止しポリマーが得られなくなる。そのため両者は適切でない。ここで言う、ジイソシアネートは2官能のジイソシアネートのことであるが、不純物等として、極少量の3官能以上のポリイソシアネート、若しくは単官能イソシアネートが含有されたものも、本発明のジイソシアネートとして扱う。
ここで(Mn)を350〜10,000の範囲とするのは、前記プレポリマーの(Mn)の適性値(1500〜80,000)を得るためのジイソシアネート成分として、適正な分子量(Mn)であるからである。(Mn)が350以下では、プレポリマーの適正下限分子量以上のものが得られない恐れが有る。(Mn)が10,000以上になると、常温での粘度が高くなり過ぎ、常温で供給できなくなり、本発明に適さなくなる。好ましい(Mn)は400〜6,000の範囲であり、更に好ましい範囲は400〜4,000である。
該ジイソシアネートの例としては、モノマー性ジイソシアネートとジオールを使用し、公知の方法、即ち、該モノマージイソシアネート過剰系で反応して得られる、末端NCO基を有する常温で液状のジイソシアネートプレポリマー(d1)を挙げることができる。ここで使用されるジオールは、公知の鎖延長剤として用いられる2官能性の低分子ジオール、例えば、エチレングリコr−ル、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等である。又、低分子のポリエーテルジオール等が好ましく用いられる。更に又、この反応で得た、該ジイソシアネートプレポリマー(d1)を使用して該低分子ジオールと、同じ条件で反応して得られる(d1)より、分子量を大きくした常温液状のジイシシアネートプレポリマー(d2)である。このようなジイソシアネート(d1、d2)は原料として何れも好ましいものであるが、より好ましくは(d2)である。(d2)が好ましいしのは、未反応のモノマー性ジソシアネート(残存モノマー)の含有量を著しく少なくすことができ、環境、安全面の改善に、より有効であるからである。
これらジイソシアネートプレポリマー((d1)、(d2))を合成するために使用されるモノマー性ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートである。中でも、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイシアネートが好ましく、次の群から選択されるキシレンジイソシアネート(XDI)、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、水素化キシレンジイソシアネート(H6XDI)、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、m−もしくはp−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI、p-TMXDI)および上記のジイソシアネートの任意の混合物。である。その中でも、HDI(ヘキサンメチレンジイソシアネート)が好ましい。
HDIが好ましい理由は、ジイソシアネート原料にした時の粘度が小さいために、残存モノマーの除去が他のモノマーに比べ比較的容易である。又、粘度の小さいために、ジイソシアネート原料の分子量を高範囲に調製できるからである。更に又、PURHM粘着剤として使用した際、該硬化体(架橋体)は、無黄変タイプのゴム弾性体を形成し、優れた物性を示すので好ましい。
(b)常温で液状のジオール(ジオール原料); ジイソシアネート原料と反応させるポリオール成分としては、前記のイソシアネートと同様の理由で、2官能性のジオールが最も適切であるからである。3官能性以上のポリオールは架橋性ポリマー形成し、又、1官能性のモノオールは高分子化反応を停止させポリマーが得られないので適切でない。ここで、(ii)数平均分子量(Mn)が140〜15,000の範囲とするのは、前記プレポリマーの(Mn)の適性値を得るためのジオール原料として、適正な分子量(Mn)であるからである。(Mn)が140以下では、プレポリマーの適正分子量(Mn1500以上)のものが得られない恐れが有る。(Mn)が15,000以上になると、常温での粘度が高くなり過ぎ、もはや常温で供給できなくなり、本発明に適さなくなるからである。好ましい(Mn)は400〜10,000の範囲であり、更に好ましい範囲は400〜5,000である。ここで言う、ジオールは2官能のジオールのことであるが、不純物等として、極少量の3官能以上のポリオール、若しくは単官能モノオールが含有されたものも、本発明のジオールとして扱う。
これらのジオール原料は、両末端が水酸基を有し、主鎖がポリエーテル構造、ポリエステル構造、ポリカーボネート構造、ポリブタジエン構造、ヒマシ油変性構造、又はシロキサン構造から選択されるものが好ましい。ポリエーテル構造のジオールは、粘度が低いために合成されるプレポリマーの分子量を高範囲に調節できるので好ましい。ポリカーボネート構造は、プレポリマーの常温での高粘着力を高め、且つPURHM粘着剤の硬化体の耐熱性、耐加水分解性を改善するので好ましい。ポリブタジエン構造は、ポリカ−ボネートと同様、固着力を高め、硬化体の耐水、耐湿性を改善するので好ましい。
NCO/OH化学量論比; 次に、本発明のプレポリマーの分子量を規定する重要因子である、NCO/OH化学量論の影響について説明する。
本発明のプレポリマーは前記のジイソシアネート原料、ジオール原料から合成される。該プレポリマーの数平均分子量は、使用するジイソシアネート、ジオール夫々の分子量、及びジシシアネート、ジオールの反応比(NCO/OH当量比)が定まれば理論的に算出できる。この理論値は実験値と良く一致することが知られている(、非特許文献1)。例を示す。ここで、Aなる分子量を有するジイソシアネートを(A)、Bなる分子量を有するジオールを(B)で表し、(A)/(B)の反応比(NCO/OH比)で反応して得られる,Pなる平均分子量を有するプレポリマー(P)で表すものとする。今、NCO/OH比を2/1で反応させると、生成されるプレポリマー(P)は分子量分布を有し、平均分子量が(A−B―A)の3量体(重合度相当)が形成され、同時に、使用原料(A)の内の25%が未反応成分として、プレポリマー(P)系中に残存する。同様に、NCO/OH比が1.5/1の場合は平均分子量が5量体であり、1.33/1の場合は平均分子量が7量体であり、同時に,(A)の6.2%が未反応成分として(P)系中に残存する、ことが示される。
ここでNCO/OHは2.2/1〜1.2/1の範囲が適正である。その理由は、2.2/1以上では、生成プレポリマーの分子量(3量体)が上がらなくなり又、モノマー性ジイソシアネート(残存モノマー)の残存量の増加に繋がり好ましくない。又、湿気硬化時の発泡も増加するので好ましくない。1.2/1以下では、生成プレポリマーの分子量が増大しすぎ、流動性の低下を来たす恐れがあるので好ましくない。又、湿気硬化性が低下する恐れがあるので好ましくない。又、プレポリマー合成における短時間合成(反応収束性)が困難になる恐れがあるので好ましく無い。好ましいNCO/OH比は、2.0/1〜1.25/1、より好ましくは1,8/1〜1.3/1、最も好ましくは1.7/1〜1.3/1である。
このようにして、NCO/OH比を夫々変えた場合、夫々に対応したプレポリマーの重合度が定まり、使用したジイソシアネート、ジオールの分子量換算を行って、夫々のプレポリマーの分子量が得られる。通常、分子量が大きくなれば粘度は増大するが、使用した、ジイソシアネート、ジオールは夫々分子量、構造性等により粘度挙動が異なる。そのため、プレポリマーの分子量又は重合度の比較で持って、粘度挙動を予測することは困難である。しかし、ジシソシアネート、ジオールを固定して、NCO/OH比変えて得られる同一系列のプレポリマー分子量については、粘度挙動を予測することは可能である。
次に、プレポリマーの「残存モノマー量の低減」について説明する。本発明の残存モノマー量の低減化の考えは以下に基づいている。
(1)常温で液状のジイソシアネート原料として、「常温低粘度で、且つモノマー性ジイソシアネート含有量(残存モノマー量)の少ないジイソシアネート」を使用する。
(2)該ジイソシアネー原料とジオール原料を使用して、適正NCO/OH比を小さくする方向を選択し、生成するプレポリマーの重合度を上げる。これにより、ジイソシアネート原料がより多く消費され、結果として、生成プレポリマー中の残存モノマー量の低減を図る。
ここで使用される、ジイソシアネート原料、即ち、「常温低粘度で、且つモノマー性ジイソシアネート含有量(残存モノマー量)の少ないジイソシアネート」とは、前記、[0031]記載される(d1)に該当する。該ジイソシアネート原料は、市場で製品(残存モノマー量、1%レベル)としても供給されている。該(d1)原料を使用するとプレポリマー中の残存モノマー量を大幅に低減化できることを見出した。又更に、この(d1)原料と低分子ジオールとの反応より得られる該(d1)より分子量を大きくした常温で液状のジイソシアネート原料(d2)を使用すると、更にプレポリマー中の残存モノマー量を大幅に低減化できる。これら、これら(d1)、(d2)原料は何れも好ましい原料であるが、(d2)原料がより好ましい。
残存モノマー量が低減された好ましい例を以下に示す。ここで、(d1)原料中の残存モノマー量を1%を、(d1)[1%]として表示する。該(d1)[1%]を用いて、ジオールとNCO/OH比、2/1反応して得られる(d2)原料は、該(d2)中の残存モノマー量は0.25%となり、(d2)[0.25%]として表示する。該(d1)[1%]及び(d2)[0.25%]の夫々を使用して、ジオール原料と、NCO/OH比;2/1で反応させて得られる、夫々のプレポリマー中の残存モノマー量は、前者は0.25%、後者は0.06%となる。同様原料、操作でもって、NCO/OH比;1.33/1で反応させて得られる夫々のプレポリマー中の残存モノマー量は、前者が0.06%、後者は0.01%のものが得られる。この後者の0.01%レベルは、通常のPURHM接着剤の1%〜0.1%に比べ、、残存モノマー量が1/10〜1/100レベルに低減されるもので、本発明の有用性が理解される。
次に、本発明に使用される合成触媒、架橋触媒につて説明する。これら触媒は、ポリウレタンプレポリマーの製造における該プレポリマーの生成促進、および/または、該プレポリマーの湿分硬化触媒として使用され、通常のポリウレタン化学で使用せられる公知触媒が用いられる。これら触媒としては下記のようなものが挙げられる。錫、鉄、チタンまたはビスマスの有機金属化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート等、カルボン酸の錫(II)塩等は、本発明に使用する触媒としては適切である。さらに、ジアザビシクロオクタン(DABCO)等の脂肪族第三アミン、特に環状構造を有する第三アミンも適切である。又、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、モルホリン誘導体も有用である。特、DBTDLは高い触媒活性を示す。使用される触媒量と接着剤組成物中の触媒の濃度は約0.001〜2質量%、好ましくは0.02〜1.0重量%である。
さらに、本発明には、所望により、安定剤、接着性促進剤、充填剤、タッキファイヤー、顔料、等を含有させることができる。安定剤は、製造中、貯蔵中および使用中のポリウレタンプレポリマーの粘度を一定にする安定剤を意味する。また、抗酸化剤、紫外線安定剤および加水分解安定剤も本発明に有用である。更にまた、例えば、酸化チタン、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、炭酸カウシウム、酸化カルシウム、シリケート、タルク、クレー、カーボンブラック、合成ゼオライト、等の無機パウダーの添加は、本発明硬化物の物性を改善させ、又経済性を改善させる。シリケートの超微粉体可塑剤はチキソトロープ剤として有用である。酸化カルシウム、疎水性合成ゼオライトは硬化物の発泡を抑制する効果が有り有用である。無機パウダーの添加量は、PURHM粘着材プレポリマー100質量部に対し、概ね5〜100質量部である。好ましい範囲は10〜80部、更に好ましい範囲は20〜80部である。
次に、本発明の湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造方法について説明する。本法は、(P1) ;ジシシアネート(i)成分とジオール(ii)成分を分離する2成分系とする工程、好ましくは該ジオール側に硬化用架橋触媒を含有させて成る2成分型を形成する工程、(P2); 該2液を、常温下一定の比率(NCO基/OH基比が1.2/1〜2.2/1の範囲)で、加熱された混合機に連続的に供給する工程、(P3); 該混合機内で極めて短時間にプレポリマーを生成(合成)する工程、及び(P4) ;該プレポリマーを 吐出する工程から成る。
本法は、ジイソシアネート側のA液、ジオール側のB液から成る2成分(2液)を、加熱された混合機に、連続的に且つ常時一定比率で供給し、該混合機内で極めて短時間(瞬間的)で該プレポリマーを製造し、そのまま製品として、塗布、塗工に供する。本法の特徴は、装置が省エネ、シンプルであり、製品の高効率生産を可能にするため経済面で優れる。また、安全性、環境面でも優れる。また本製造法は、本製品(PURHM粘着剤)の製造に最も適した製造方法である。理由は、製品の使用現場の環境条件(温度等)に合わせ、即ち、NCO/OH比(A液/B液の原料比)を変えることにより、最適な粘度を有する製品を現場で製造することを可能にする。PURHM粘着剤の取扱いにおいても、常温2液の液状で使用できるので、計量、充填操作が常温ででき、且つ液体であるため操作が非常に簡単である。また、製品の使用においても、装置上で合成された製品を直接塗布に使用できるので取扱性が著しく向上する。
これを1液型のPURHMとして提供するとなると、使用現場の温度差(夏、冬の温度差等)が大きい場合、製品の調節が難しくなる。この理由を、図1の、PURHMプレポリマーの温度〜粘度曲線図により説明する。ここで夏場の温度を最高35℃、冬場の温度10℃と仮定する。(M4)曲線の場合を例にとると、夏場温度35度の粘度(n35で表示)は、約7万mPa・sであり、冬場温度10度の粘度(n10で表示)は約約70万mPa・sである。つまり、温度差25℃で粘度が10倍も変化することになる。実際、これだけ粘度差が発生すると作業性(特に塗布性)に大きい支障をきたす。そのため、1液型製品で提供するとなると、作業性に応じた製品(粘度を変えたもの数種)を提供する必要が出てくる。しかし、本発明のもの(2液型)では、製品粘度は、NCO/OH比を変えることで調節できるので、使用現場で、A液/B液の吐出量比を変えることにより、作業現場に適した粘度を簡単に調節できる。
ここで、好ましい製造条件は、好ましいNCO/OH比は、2.0/1〜1.25/1の範囲であり、より好ましいくは1.8/1〜1.3/1の範囲である。又、製造温度は60℃〜170℃であり、好ましくは、100℃〜160℃、更により好ましくは120℃〜150℃である。又、製造時間は2〜60秒の範囲が好ましく、より好ましくは2〜30秒、更により好ましくは2〜15秒である。本製造方法によって、取り扱いの困難なPURHM粘着剤用のプレポリマーを容易に製造することが可能で、又、残存モノマー量の低減された該プレポリマーを特別な装置、手段を用いることなく製造することができる。
次に、本発明の製造装置を図2に示す。本装置は、少なくとも以下の物品並びに機能からなっている。それらは、前記(P1)工程で使用される前記A液、B液の2液の夫々を貯留するための貯留容器(10、11)、[P2]工程使用される該A液、B液の夫々を計量と供給するための夫々の厳密な定量吐出ができる定量ポンプ(20、21)、並びに(P3)工程で使用される吐出口を有する加熱混合機(30)及び液量(40)、温度(50)、時間(60)の計測と制御機器。又、これらは、該貯蔵容器(10、11)は夫々の定量ポンプ(20、21)と繋がっており、該ポンプは加熱混合機(30)に繋がり、該混合機内で生成した生成物(プレポリマー)を吐出口より吐出する。これらを繋げるための配管とその接続部品、及び全工程(P1〜P4)を円滑に作動、制御させるための制御機器又は制御システムからなっている。また、該2器の定量ポンプは、夫々独自に吐出量を変える(ポンプ回転数等)ことができ、且つポンプのオン、オフ制御で、原料供給並びに製品吐出が制御できるため、「切り替え弁」が不要で、最も単純化された装置となっている。そのため、製造操作、保守共容易で、経済性に優れる装置となっている。
以下、実施例により、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に制約されるものではない。なお、実施例に使用した市販品原料、及び試験/評価法等は下記によった。
[原料]
1)ジイソシアネート; D201、及びA201Hは旭化成社(商品名デュラネート)、IPDIは住化バイエル社(商品名デスモジュールI)、XDIは三井化学社(商品名タケネート500)
2)ジオール; P400、P1000、P2000は旭電化社(商品名アデカポリエーテル)、PML-5005、PML-S4013Fは旭硝子社(商品名プレミノール)、T5651は旭化成(商品名デュラノール)、
G1000は日本曹達社(商品名末端水酸基ポリブタジエン)
3)触媒; DBTDL(ジブチルスズジラウレート)は和光純薬社
なお、実施例各表(原料欄記載)の数値はメーカーのカタログ値から引用、算出した。
[試験/評価法]
1)平均分子量(Mn); 市販品原料(Mn)については、カタログ値から引用した。本試験の合成により得られたジイソシアネート原料並びに生成プレポリマーの(Mn)については、高分子理論から導かれる計算値を採用した。
2)残存モノマー含有量; 市販品原料の残存モノマー量については、カタログ値から引用した。本試験の合成により得られたジイソシアネート原料並びに生成プレポリマー中に残存する残存モノマー量については、高分子理論から導かれる計算値を採用した。
3)流動性試験: 流動性の評価は、ガードナー粘度測定に準拠する方法で評価した。
(a)各種基準粘度液の調製; 各種市販の粘度が既知の液から調製した。(25℃粘度が70mPa・s、300mPa・s、1,000mPa・s、7,000mPa・s、15,000mPa・s、40,000mPa・s、80,000mPa・s、150,000mPa・s)。該液、約3〜4mを10mlガラスサンプル管に採取、密栓して調製した。
(b)加熱時の流動性測定; 加熱下で合成されたジイソシアネート原料並びに生成プレポリマーの粘度を評価するため、該温度で得られた評価用サンプル3〜4ml(10mlサンプル管中)を用いて、即ち、該サンプル管を転倒して、サンプル液の移動時間を測定した。同様に、25℃で、基準液について転倒試験を行い移動時間を測定した。両者の比較から、サンプル液の粘度を推定、算出した。
(c)流動性の評価; 前記、ガードナー粘度の算出から、流動性を以下のように判定した。(AA); 1,000mPa・s以下、(A); 1000〜7,000 、(B); 7,000〜40,000、(C); 40,000〜80,000、(D); 80,000〜200,000、(E)200,000mPa・s以上、に分け、本発明では、便宜的に、(AA)を易流動域、(A〜B)を適正流動域、(C〜D)を難流動域、(E)を超難流動域とした。尚、(B)と(C)の境界領域を(B〜C)で表示した。
4)(a)常温高粘着性(固着性)、(b)可使時間、及び(c)硬化物物性(外観、発泡、強度、耐熱、耐水、耐候、他)については、各該当する実施例で個別に説明した。
(1)ジイソシアネート原料の合成
(実施例1); 常温液状のジイソシアネート(A201H)2.33g(9.56mg当量;9.56mと略記)、常温液状のジオール(P400)1.00g(4.78m)及び触媒(DBTBL)0.0002g(ジオールに対し0.02%)の夫々を、乾燥した10mlガラスサンプル管に採取し、撹拌棒と温度計をセット、窒素置換した後、ポリエチレンシートフィルムのキャップをかぶせ全体を覆い、湿気の侵入を遮断した。その後、常温下、フィルム内の液を約1分間激しく手動で撹拌混合し、均一な低粘度液を得た。直ちに、この均一液を、予め120℃に加熱制御されたアルミブロックのサンプル管の加熱部位(23mmφ、深さ15mm)にセットし撹拌を続けた。最初、加温により粘度低下が起こり、数分後に発熱が開始され粘度上昇が認められた。約7分後に、内温が120℃に達し、その後、発熱はみられなかった。更に、1分撹拌/4分静置を繰り返しながら、30分間反応させた。直ちに、120℃加熱ブロック上でサンプル管を転倒して合成液の流動性を評価した後、室温冷却後の流動性についても同様に評価した。更に、該合成液を一夜放置後、合成物の反応促進(約常温1ケ月に相当)を確認するために、再度、120℃で15分加熱し、120下の流動性及び室温冷却後の流動性を測定した。尚、得られた生成物については、平均分子量が1,360と算出された。又、残存モノマー量が0.25%以下であると算出された。
(実施例2〜4、及び比較例1〜2); ジイソシアネート及びジオールを変えた他は、表1に示す試験条件で、実施例1と同じ操作を行った。その試験条件並びに結果を表1に併記した。
Figure 0005853295
表1から、次のことが言える。実施例1〜4で得られた生成物は、その何れに於いても、反応前と反応後の常温流動性の変化から、即ち、反応後の流動性が低下(粘度の上昇)は高分子化反応の生成(平均分子量の増加)を意味し、又、促進試験で生成物の流動性に変化が無いことから、生成反応の収束を意味し、且つ生成物が安定であると言える。又、加熱下における流動性は適正な流動域に有り良好と言える。又、生成物中の最大残存モノマー含有量が0.25%以下であり、原料の残存モノマー量を更に低いレベルにしている。以上のことから、該生成物はジイソシアネート原料として適切であると評価した(表1の、<評価>を(+)表示)。一方、比較例1〜2の生成物については、その流動性の評価から、実施例1〜4と同様、高分子化反応が適切に進行したものと考えられた。しかし、生成物中の最大残存モノマー含有量が25%以下であり、これは十分高いレベルに有り、このままでは、本発明のジイソシアネート原料としては適切でないと評価した(表1の、<評価>を(―)表示)。
(2)PURHMプレポリマーの生成
(実施例5); 実施例2で得たジイソシアネート 2.50g(2.50m)、ジオールP1000 0.94g(1.88m)及びDBTBL触媒(ジオールに対し0.02%)の夫々を、乾燥した10mlガラスサンプル管に採取(NCO/OHは1.33/1)し、撹拌棒と温度計をセット、窒素置換した後、ポリエチレンシートフィルムのキャップをかぶせ全体を覆い、湿気の侵入を遮断した。その後、常温下、フィルム内の液を約1分間激しく手動で撹拌混合し、均一液を得た。直ちに、この均一液を、予め120℃に加熱制御されたアルミブロックのサンプル管の加熱部位(23mmφ、深さ15mm)にセットし撹拌を続けた。最初、加温により粘度低下が起こり、数分後に発熱が開始され粘度上昇が認められた。約7分後に、内温が120℃に達し、その後、発熱はみられなかった。更に、1分撹拌/4分静置を繰り返しながら、30分間反応させた。直ちに、120℃加熱ブロック上でサンプル管を転倒して合成液の流動性を評価した。該評価後、120℃2〜3分再加熱状態で、キャップフィルムをハサミで切断し、臭気を嗅いだが無臭であった。直ちに、100mm角(厚さ3mm)PP板上に、該合成液を該撹拌棒で帯状に塗布し常温に冷やすと粘着物に変化した。以下の方法で該粘着物の粘着力を評価した。尚、該生成プレポリマーの平均分子量は11,000であると算出された。又、残存モノマー量は0.01%以下であると算出された。この値は非常に低いレベルである。
(実施例6〜8); 表2に示す試験条件で、実施例1と同じ操作を行った。その試験条件並びに結果を表2に併記した。
尚、表中の常温高粘着力(固着性)の試験は以下によった。100mm角(厚さ3mm)のPP板上に塗布された該粘着物に、SUS製スパチラ(先端部の幅5mm、長さ150mm、重量3.4g)の先端部の5mm(接着面積、5x5mm)を圧着張り合わせた。直ちに該PP板を垂直に直立させ、粘着力によるスパチラの保持時間でもって、該粘着力の程度を定性的に評価した。(++)保持時間120秒以上、(+)保持時間120〜60秒、(±)保持時間30〜60秒、(−)30〜5秒、(− −)5秒以下。評価は(+)以上を粘着力良好、(―)以下を粘着力不足と評価した。
Figure 0005853295
表2の実施例5〜6は、新規に合成されたジイソシアネート原料(実施例2のジソシアネート)の反応性と生成物の特性である。実施例7〜8は市販品のジイソシアネート原料の反応性と生成物の特性である。この結果から次のことが言える。PURHMプレポリマー生成において、新規合成ジイソシアネート原料は、熱時流動性及び常温固着性が何れも良好であり、本発明のジイソシアネート原料として適切であることが示された。又、市販品ジイソシアネート原料と比較しても、残存モノマー量が低下しており、これは利点である。他の物性(加熱時流動性、常温固着性)は遜色なかった。両者とも、NCO/OH比を小さくすると、分子量増大が図られ、その結果、加熱流動性は低下するが、常温固着力は増大した。これは理論とも合致し、本試験の妥当性が示された。
(3)PURHMプレポリマーの生成; NCO/OH比の影響
(実施例9); ジイソシアネートD201 1.06g(4.0m)、ジオールP2000 2.00g(2.0m)及びDBTBL触媒(ジオールに対し0.02%)の夫々を、乾燥した10mlガラスサンプル管に採取(NCO/OHは2.00/1)した。その他は、実施例5の操作に従って、反応させ生成物を得た。該生成物の熱時流動性、常温固着性の算出、評価も実施例5に従った。結果を表3に示した。
(実施例10〜11及び比較例3〜4); ジイソシアネート、及び、ジオールの採取量(NCO/OH)を変えた他は、実施例9に従った。試験条件並びに結果を表3に併記した。なお、表3で示した、実施例9〜比較例4の生成プレポリマーについては、最初、粘度〜温度測定用サンプルとして粘度挙動を評価した後、常温固着性を評価した。
Figure 0005853295
このように、表3に示すNCO/OH比を変えた試験から次のことが言える。
NCO/OH比を小さくすると生成物の平均分子量が増加する。分子量の増加によって粘度の上昇がもたらされ、加熱時の流動性は低下する、同時に、常温の高粘着力性(固着性)は向上することが判る。具体的にはNCO/OH比大(2.5/1;比較例3)では、分子量(2,200)と上がらず、熱時流動性が過大に大きくそのため常温固着性が低下した。更に、熱時流動測定の開封時若干の刺激性の異臭を感じ、残存モノマーの影響の恐れが予想された。更には、硬化物の発泡が大きく外観不良であった。反対に、NCO/OH(1.2/1)の小さいところでは、分子量が増大し、熱時流動性は低下したが、常温固着性は高かった。更には、湿気硬化性(硬化速度)は低下する傾向があった。結果的には、実施例9〜11で示される、NCO/OH比が2.00/1〜1.33/1において、熱時流動性と常温固着性のバランスが優れ、本発明のプレポリマーに適しているものと評価した。
(4)PURHMプレポリマーの加熱時流動性と常温固着性(プレポリマーの粘度〜温度キャリブレーション)
(実施例12)本発明で得たプレポリマーの加熱時流動性〜常温固着性の関係を評価するために、表3に示すプレポリマーを使用して、各温度における粘度を測定し、粘度〜温度較正曲線を求めた。その結果を図1に示した。
ここで、図1について説明する。
(a)測定用サンプルとして、(M1)サンプル;超難流動性(比較例4生成物)、(M2)サンプル;適正(高)流動性(実施例11生成物)、(M3)サンプル;適正(低)流動性(実施例9生成物)、(M4)サンプル;易流動性(比較例3)である。
(b)各温度における粘度測定; 例として、(M3)サンプルで説明する。最初に、120℃合成時(実施例9生成物)の粘度を流動性の転倒試験(前記ガードナー粘度測定法)により、120℃の粘度を算出した(粘度;5,000mPa・s)。測定後、該サンプル液を、アルミブロック加熱部に再びセット、加熱昇温させ加熱温度150度とし、約20分間、同温度で保持した後、該転倒試験により、150℃の粘度を算出した(粘度;1,000mPa・s).次いで、該サンプル液を100℃に冷却させ、100℃で約20分保持した後、転倒試験により、100℃粘度を算出した(粘度;10,000mPa・s)。同様に70℃粘度を算出した(粘度;80,000mPa・s)。
(c)粘度〜温度較正曲線の作成; 各温度で得られた粘度、温度(絶対温度の逆数)アレニウスプロットを行った。結果は略直線で近似され、直線性が示された。
(d)25℃粘度(外挿法)の算出; 25℃の高粘着性を数値で表すため、25℃の粘度を推定し、算出した。本発明系の25℃粘度は10の6乗〜10の7乗を扱う超高粘度系である。このような高粘度系の測定においては、特殊な測定装置、測定に時間を要する。又、測定値のバラツキも大きい。更には、本発明系は湿気の影響を非常に受けやすく、そのため湿気を完全遮断しなければならず測定が非常に困難である。そのため、本試験に於いては、該粘度〜温度直線から、温度25℃に外挿し、この外挿値粘度(図の点線)を、25℃の粘度と推定した。(M3)の外挿値粘度は約200万mPa・sである。
(e)同様に、(M2)にサンプルについても、120℃、100℃の粘度を算出し、25℃外挿値粘度を算出した。外挿値粘度は約4000〜5000万mPa・s。同様に、(M4)の低粘度系は、120℃粘度(300mPa・s)。25℃粘度は実測値(10万mPa・s)である。(M1)の超高粘度系は150℃粘度のみである。このように、常温高粘着系の粘度が数値として推定され、常温高粘着力と粘度の関係表示が可能(表3)となった。
(5)PURHMプレポリマーの超短時間合成と硬化物性について;
(実施例13)PURHMプレポリマーの超短時間合成と硬化物性を評価するために、下記の手順で試験を行った。(a)加熱反応器の調整; sus製スタティックミキサー(内容積;約1ml; 外径4.7mmφ、内形,3,2mmφ、長さ150mm、分割エレメント数27)を取り付けた温度制御付きの加熱反応器(円筒状のアルミブロックヒーターに該ミキサーを装着)を、シリコーンゴム栓を開孔し、該孔を介して2.5ml PPシリンジと直結した。(b)反応液の調製; ジイソシアネートD201 1.19(4.5m)、十分脱水処理したジオールP2000 3.00g(3.0mm)及びDBTBL触媒(ジオールに対し0.02%)の夫々を、乾燥した10mlガラスサンプル管に採取(NCO/OHは1.5/1)し、撹拌棒をセット、ポリエチレンシートフィルムのキャップをかぶせ、窒素を吹き流しながら極力気泡の混入を避けながら撹拌し均一液を調製[1液系]した。直ちにPP製2.5mlシリンジを用いて、シリンジ内に吸引、充填した。(c)プレポリマーの合成; 予め150℃を保持された加熱反応器(a)に、該シリンジをセットし、シリンジ内の液を反応器に導き反応させた。(d)反応時間の制御; 最初にシリンジ内の均一液を素早く押し出し反応器内に液を満たした(内容積約1ml)。その後、約30秒間停止保持後、素早く、第1回目の吐出、均一液約0、2〜0.3mlを吐出した(反応時間(t1)は30秒)。続いて、30秒停止後、第二回目の吐出を同様に行った(反応時間(t2)は60秒)。続いて、120秒停止後、第3回目の吐出を行った(反応時間(t3)は180秒)。このように反応器中での滞留時間を変えることによって反応時間を調節した。結果を表4に示した。
(実施例14〜16)ジイソシアネ−ト原料、ジオール原料の種類、添加量を変えた他は、実施例13に従って試験を行った。その結果を表4に示した。
(実施例17) 原料の供給を、(A液)ジイソシアネート、(B)ジオールの2液型で行った。そのため、(A液)は、2.5ml PPシリンジに充填されたものを使用した。又、(B)液は、5ml PPシリンジに充填されたものを使用した。又、シリコーンゴム栓は該シリンジ用の穴2か所を開孔し、該ゴム栓を介しシリンジと加熱反応器を直結した。原料供給は、該2器のシリンジを同期させて、常に一定の吐出比率を保持しながら(A)液1ml、(B)液2mlを供給した。その他の操作は実施例13に従った。結果を表4に示した。
Figure 0005853295
表4で示した湿気硬化物の物性試験並びに評価法等について説明する。
(a)可使時間; 100mm角(厚さ3mm)のPP板上に、生成物プレポリマーの加熱溶融体を塗布、室温に冷ました粘着塗布体に、10mmX30mm(厚さ1mm)のPP短冊状片を圧着(接着面積10x10)し、30分後に力を加え、接着箇所の位置調整の可否を判定した。評価;(+)は、位置調整ができ、可使時間は良好。(―)は、硬化が進み固化、位置調整できない、可使時間は不良。
(b)外観(色調)と硬化物の強度面の特徴; 硬化物を目視により色調を観察した。又、指触、荷重を加え硬化物の強度面を観察した。
(c)外観(発泡); 硬化物の目視観察により硬化物の発泡状況を観察した。評価(+)は発泡が認められず、発泡抑止性能は良好である。(−)は発泡が認められ、発泡抑止性能は不良。
(d)強度伸び; 硬化物に荷重を加え、伸び率(%)が500%以上のものを、伸び率、良好と判定し、評価を(+)表示した。
(e)耐熱; ホットプレート上に測定用テストピース小片(2mm角X厚さ約0.5mm)をセットし、昇温速度(10℃/分)で、200℃まで定速させ、200℃における該小片の外観形状(溶融状態)の変化をルーペを用いて観察し、耐熱性評価の判定を行った。評価(+)は、小片に溶融が認められず耐熱性が良好(プレポリマー硬化物が湿気硬化により、熱硬化型の架橋体に転換)。
(f)耐水性; テストピース小片(約0.2g)を精秤し、10mlガラスサンプル管中で1カ月間浸漬し、吸水率を測定した。該吸水率測定後、室内で一夜、風乾した後、再度秤量した。判定(+)は、吸水率が5%以下であり、外観(膨潤等]変化が無く、風乾後の、重量変化率が1%以下のものを、耐水性良好と判定した。
(g)耐候性; テストピースを室内で1年間放置したものについて、外観を目視観察した。判定(+)は、外観、色調共変化が無いものを、耐候性良好と判定した。
表4の結果から、以下のことが言える。実施例13〜16の1液型反応系の原料を変えた(但し,NCO/OH比は1.5/1)何れの試験に於いても、熱時流動性(150℃)は良好であった。又、常温固着性も良好であった。更には、該常温固着性において、その反応時間((t1),(t2,(t3))を変えた塗布体の粘着性には大きい変化が無く、良好な固着性が得られた。そしてこのことは、加熱下でのプレポリマーの生成が極めて短時間に合成されたことを裏付ける。本一連の試験では、反応時間として、30秒を最短時間としているが、加熱下における装置(熱伝導性)の改良、又、反応液の触媒量添加増等により、合成時間の更なる短縮化は容易である。又、可使時間としては、十分長い時間が見込め、このことは作業性が良好であることを意味する。本発明の目的である[瞬時固着性による高生産性]、[長い可使時間による良好な操作性の維持]の相反性質を可能にしたことを意味する。更に、該プレポリマーの湿気硬化物性は、発泡ないゴム弾性体が得られ、その耐熱性、耐水性、耐候性も良好である。
実施例17の2液型の試験から、2液型で、全く問題なくプレポリマーの超短時間合成が可能であることが示された。そのプレポリマーの生成物とその特性、又、該プレポリマー生成物の湿気硬化性とその特性は1液型に遜色なく、良好であることが示された。本発明は、一貫してこの2液型の利点を強調してきたが、この実施例から、本発明の有用性が示される。
PURHM粘着剤用プレポリマーの温度〜粘度曲線図である。 塗布装置の概略図である。
10 ジイソシアネート原料用貯留容器
11 ジオール原料用貯留容器
20 ジイソシアネート原料用精密定量吐出ポンプ
21 ジオール原料用精密定量吐出ポンプ
30 混合、反応容器
30H 加熱部
40 ジイソシアネート原料供給量の制御部
41 ジオール原料供給量の制御部
50 温度計測、制御部
60 時間計測、制御部
80 製造装置制御部

Claims (4)

  1. プレポリマーの製造と塗布を同時に行う装置を用いて湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーを製造する方法であって、(i)A液は、数平均分子量(Mn)が350〜10000、残存モノマー含有量が1質量%以下、且つ25℃で液状のジイソシアネート、B液は、数平均分子量(Mn)が140〜15000且つ、25℃液状のジオールであり、(ii)該2液を一定比率で、加熱された該装置に供給し、NCO/OHが1.2/1〜2.2/1、温度が60〜170℃、時間が2〜60秒反応させて、(iii)該反応により得られるプレポリマーは、数平均分子量が1.500〜80.000、120℃における粘度が1,000〜200,000mPa・s、且つ25℃における粘度が30万mPa・s 〜10,000万mPa・s を有するプレポリマーであることを特徴とする残存モノマー含有量を低減した湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造方法。
  2. 上記のプレポリマーは、残存モノマー含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造方法。
  3. 上記のプレポリマーは、湿気と反応してなる該プレポリマーの硬化体(架橋体)がゴム弾性体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造方法。
  4. 請求項1に記載のプレポリマーの製造と塗布を同時に行うための装置は、少なくとも下記の物品並びに機能を有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンプレポリマーの製造と塗布一体化装置。
    (a); A液、B液の夫々を貯蔵するための夫々の貯蔵容器(10、11)
    (b); A液、B液の夫々を計量と供給するための夫々の定量ポンプ(20、21)、並びに吐出口を有する加熱混合機(30)、液量(40)、温度(50)、時間(60)の計測と制御機器
    (c); 貯蔵容器(10、11)は夫々の定量ポンプ(20、21)と繋がっており、該ポンプは加熱混合機(30)に繋がり、該混合機内で生成した生成物(プレポリマー)を吐出口より吐出する。これらを繋げるための配管とその接続部品、及び全工程(a〜c)を円滑に作動、制御させるための制御機器又は制御システム
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