JP5853074B1 - ハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハウス天井空気を、吹降ろす送風機・ダクトを利用した、ハウス内の上下方向の空気循環システムにおいて、吹出口に、整流板、マウスピース、錘等のブレ防止手段が付設されていた。ブレ防止手段は、ダクトを収容する際に、折畳みが困難で、厄介である。また、人、及び/又は、農作業車等が畝間を通過する際に、邪魔で、かつ作業に困る。又は怪我等の問題が発生する。【解決手段】 ハウス天井空気を、吹降ろす送風機・ダクトを利用した、ハウス内の上下方向の空気循環システムにおいて、ダクトを折返し、吹出口の強度維持・形状確保・ブレ防止等を図る。吹出口を折返すか否かを決定する方法は、吹出口と、地面との距離、又は吹出口からの空気の流れを基にして行う。1)折返さないときには、ダクトの長さは、全長(最初の長さ)を維持し、2)吹出口を折返すときは、吹出口の上側に折返して形成した新しい吹出口で、ダクトの長さは、全長より短くなる。【選択図】 図1

Description

本発明は、ハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法に関する。
ハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法に関して、本出願人は、ハウスに吊下設置したダクトを支持し、かつ天井の暖冷気(ハウス内空気)、或いは強制供給した暖冷気・空気を送風、及び/又は、循環等させるための送風機に関し、複数の特許・意匠出願を行い、その中で、実施例や使用状態を示した参考図において、この送風機に取付ける(主として、吊下した)ダクトに関して、説明、並びに図解している。
出願において、ダクトの説明と図解では、このダクトの構造(長さ、折返し、又は強度「ブレ」等)に関しては、詳細に説明していない。ところで、ハウス内においては、ダクトの吹出口より、所定の方向に、的確かつスムースに送風することで、ハウス内の空気の均一化を図りつつ、生育・成果・品質等の均一化が図れる。この目的達成には、少なくとも、ダクトの吹出口の強度維持、及び形状(環状)確保と、このダクトがブレないこと(盲動しないこと)が必要である。その為に、従来の一例を示した、図8では、吹出口に、整流手段(整流板)、又はマウスピース、錘等のブレ防止手段、及び/又は、整流手段、又はマウスピース等の形状確保手段が付設されていた。
ブレ防止手段、及び/又は、形状確保手段は、本来の目的を達成するには、それなりの効果がある。しかし、ダクトを収容する際に、折畳みが困難視されるので、厄介である。また、人、及び/又は、農作業車等の関係車輌が畝間を通過する際に、邪魔であり、かつ作業に困る。更に、稀であるが、怪我等の問題が発生する恐れがある。
そこで、近時、ブレ防止手段を無くす動きがある。しかし、所期の構造、即ち、前記のダクトの吹出口の強度維持、及び形状(環状)確保と、このダクトのブレ防止等の面において十分とは云えない状況である。
先行文献において、送風機にダクトを付設した、ハウス内の空気循環システムとして、特開平10−178930号公報と、特開2009−153459号公報とが挙げられるが、ダクトを吊下(垂下)する構造でなく、ハウス内の上下方向の空気循環システムとは云えないと考えられる。空気循環システムとしての意味合いは、同じとしても、構造が異なる。
特開平10−178930号公報 特開2009−153459号公報
上記に鑑み、ハウス内の上下方向の空気循環システムに採用するダクトに関し、最適で、かつ実効性がある、このダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法を提供する。
即ち、本発明は、ハウス内の上下方向の空気循環システムに採用するダクトの吹出口の強度維持、及び形状(環状)確保と、このダクトのブレ防止等の面において、最適で、かつ実効性があり、また、ブレ防止手段に基づくトラブル解消に有効である、請求項1〜請求項を提供する。
請求項1の発明では、ハウスの天井の空気を、栽培領域に向かって、吹降ろす送風機と、送風機に備えたダクトとを利用したハウスの空気循環システムにおいて、
ダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法は、吹出口と、地面との距離、又は吹出口からの空気の流れを基にして行う構造であり、
1) 吹出口を折返さないときには、ダクトの長さは、全長(最初の長さ)を維持し、
2) 吹出口を折返すときは、吹出口の上側に折返して形成した新しい吹出口となり、かつ新しい吹出口を備えたダクトの長さは、全長より短く維持し、
たハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法であり、ハウス内の上下方向の空気循環システムに採用するダクトの吹出口の強度維持、及び形状(環状)確保と、ダクトのブレ防止等の面において、最適で、かつ実効性がある特徴を有する。また、ブレ防止手段に基づくトラブル解消に有効である。
請求項2の発明は、栽培領域は、土耕栽培、又は棚栽培かの何れかであって、棚栽培の培地、又は土耕栽培の培地と、ハウスの地面とでなる距離間が異なる構成のハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法であり、請求項1の特徴を達成できることと、この特徴を達成するに、最適な、栽培領域の選択と、決定できる方法を提供できる。
請求項3の発明は、
1) 吹出口を折返さないときには、土耕栽培とし、
2) 吹出口を折返すときは、前記棚栽培とし、
た構成のハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法であり、請求項1の特徴を達成できることと、特徴を達成するに、最適な、吹出口の折返、及び/又は、栽培領域の選択と、決定できる方法を提供できる。
請求項4の発明は、ダクトの吹出口の折返し寸法を、以下の条件下で、適宜変更可能とした請求項1、又は請求項2にハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法であり、
1) 送風機からの風量の条件下、
2) 送風機からの風速の条件下、
3) 送風機からの風、薬品、二酸化炭素、又は細霧の如く、拡散対象物の条件下、
請求項1の特徴を達成できることと、特徴を達成するに、最適な、ダクトの折返し寸法と、折返し条件設定ができる方法を提供できる。
ハウスの、例えば、土耕栽培、又は棚栽培において、送風機とダクトとを設置した状態の仰視した模式図 送風機の拡大断面図 ハウスの棚栽培の一例において、送風機とダクトとの関係を示した正面模式図 送風機とダクトとの関係を示し、実験用の配置構造を示した正面模式図 ダクトの折返し等の結果を順に示した模式図であり、(イ)〜(へ)とした示した正面模式図 図5のダクトの折返し等の結果と、図5の図表を導き出すための実験条件の一例を示した実験用の模式図 (X)、(Y)は、ダクトの折返しが、当該ダクトの強度アップに繋がる理論構成を説明する模式図 本出願人による、従来の送風機とダクトとの関係を示した正面模式図
ハウスAの土耕栽培、又は棚栽培等の全ての栽培において、原則として、共通であるが、ダクト1(軟質プラスチック製ダクト)の内径(寸法)は、φ242mmであって、厚み(寸法)は、0.1mmを標準とし、この寸法は、一例であるとともに、ハウスAに吊下する(付設する)本数、風量、培地の大きさとか、ハウスAの規模、或いは栽培作物等によって、変更される。厚みの0.1mmは、従来の厚み0.05mmより、肉厚形状を採択する。ダクト1のブレ防止を図るためには、厚み寸法が、大きな要素の一つとなる。ダクト1は、ハウスAの支持材A1(躯体、梁等)、天井A2の構築物に、取付けた送風機2の風胴200に吊下される構造であり、このダクト1には、ハウスAの天井近傍の暖冷気(高温空気)を、上方の吸込口100より送風機2のファン201で吸込み、下方の吹出口101より、例えば、地表面GLに吹き降ろす構造である。この構造より、ダクト1のブレには、ファン201の回転(モータ202の回転)による吸込み空気量(風量)と、吹き降ろし空気速度(風速)等も大きく影響する。
この吹出口101の形状確保と、主として、吹出口101のブレ防止とを図るために、本実施例では、従来のように、整流板、錘等のように形状確保手段、及び/又は、ブレ防止手段を付設する構造を採用せず、当該ダクト1の、例えば、外周面1aに重なるように折返し、かつこの折返し寸法調整で、この形状確保と、ブレ防止とを図りつつ、安定送風を図れるダクト1の構造を提供する。一例では、外周面1aに重なるように折返す構造とすることで、吹出口101に対する空気(風)の抵抗をなくし、吹出口101のブレ防止に役立てる。
その一例として、図4の「図5のダクトの折返し結果(折返し状態)と、図6の図表を導き出すための実験条件の一例を示した実験用の模式図」を基にして、図5の「折返し結果」折返し結果と、図6に示した図表を説明する。この説明は、本発明の内容を理解して頂くための一例であり、限定されず、又は発明の内容を拘束するものでもない。また、この実験条件の一例は、前述の如く、ハウスAの土耕栽培、又は棚栽培等の全ての栽培において、原則として、共通する。
ダクト1の条件設定は、下記のようになる。
厚さは0.1mm、吊下長さは、2950mmで、重量は、198g
実験用器材の内容は、下記のようになる。
送風機 フルタ電機製HS2501(HS2503)、ダクト1の全長(吊下げ高さ)2950mm、地表面GLと吹出口101との間隔hとする。静圧は、1300mmの長さで測定したが、原則として、0であった。また、平均風速は、略3.8m/sである。その他として、電流は、0.2Aで、入力ワットは、平均値で43とする。
図6の図表において、
イ. 間隔hが、150mmでは、折返しなしで、ブレもなく有効であった。即ち、ダクト1の制振性が確保されることで、使用には、問題ないと考える。
ロ. 間隔hが、250mmでは、折返しは、100mmとする。ブレもなく有効であった。即ち、ダクト1の制振性が確保されることで、使用には、問題ないと考える。
ハ. 間隔hが、350mmでは、折返しは、200mmとする。ブレもなく有効であった。即ち、ダクト1の制振性が確保されることで、使用には、問題ないと考える。
ニ. 間隔hが、450mmでは、折返しは、300mmとする。ブレがあり(バタ付きがあり)、ダクト1の制振性が保障されず、少し問題である。改良の余地がある。
ホ. 間隔hが、550mmでは、折返しは、400mmとする。ブレがあり、ダクト1の制振性が保障されず、問題である。改良を必要とする。
ヘ. 間隔hが、550mmで、前記ホの改良案の一例であり、簡易で、原則として、他の機材を必要としない、最適な方法であって、二重の折返しとする。この一例では、200mmの二重折返しとする。ブレが少なくなり、前記ハ.と略同じであり、ダクト1の制振性が確保されることで、使用には、問題ないと考える。
図7に示した、折返しによるダクト1の強度向上(ダクト1の制振性が確保されること)を検証すると、次のような理論が考えられる。即ち、吹出口101からの吹出風の地上面GL、ダクト1の物性(厚み、内径)、或いは風速・風量等の抗体からの反発圧力(換言すると、静圧の発生状況)・対応圧力(応力)の影響により、変化があり、この変化と、ダクト1のブレに関する条件を、検証する必要性がある。
そこで、同図(X)、(Y)の如く、ダクト1自体の応力を計算すると、円周方向の応力σtと、軸線方向の応力σsが発生する。半截したダクト1に圧力Pが作用する。この条件下において、ダクト1の断面積が持ち堪える状態を計算すると、下記の式1となる。
(式1)
この条件を、ダクト1の折返しで対応することを考慮すると、下記の式2となる。
(式2)
以上の式1と式2とを比較すると、二重の折返しでは、単純に、強度は、2×2tとなって、略二倍であり、また、三重の折返しでは、単純に、2×3tとなって、強度は、略三倍であり、強度の向上が期待できる。
以上で説明した、ダクト1の折返し寸法、方法、並びに折返しの為の条件とか、理論構成の説明等は、好ましい一例を示したものである。従って、前述の条件に、何ら、拘泥される理由はなく、例えば、同様な効果と特徴を発揮できる、他の実施例や、その他の構造・手段は、本発明の範疇である。
1 ダクト
1a 外周面
100 吸込口
101 吹出口
2 送風機
200 風胴
201 ファン
202 モータ
A ハウス
A1 支持材
A2 天井
GL 地表面

Claims (4)

  1. ハウスの天井の空気を、栽培領域に向かって、吹降ろす送風機と、この送風機に備えたダクトとを利用したこのハウスの空気循環システムにおいて、
    このダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法は、当該吹出口と、地面との距離、又はこの吹出口からの空気の流れを基にして行う構造であり、
    1) この吹出口を折返さないときには、このダクトの長さは、全長(最初の長さ)を維持し、
    2) この吹出口を折返すときは、当該吹出口の上側に折返して形成した新しい吹出口となり、かつこの新しい吹出口を備えたダクトの長さは、前記全長より短く維持し、
    た構成とするハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法。
  2. 前記栽培領域は、土耕栽培、又は棚栽培かの何れかであって、この棚栽培の培地、又は土耕栽培の培地と、前記ハウスの地面とでなる距離間が異なる構成とした請求項1に記載のハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法。
  3. 前記 1) この吹出口を折返さないときには、前記土耕栽培とし、
    前記 2) この吹出口を折返すときは、前記棚栽培とし、
    た構成とする請求項1、又は請求項2に記載のハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法。
  4. 前記ダクトの吹出口の折返し寸法を、以下の条件下で、適宜変更可能とした請求項1、又は請求項2に記載のハウスの空気循環システムのダクトの吹出口を折返すか否かを決定する方法。
    1) 前記送風機からの風量の条件下、
    2) 前記送風機からの風速の条件下、
    3) 前記送風機からの風、薬品、二酸化炭素、又は細霧の如く、拡散対象物の条件下。
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