JP5852878B2 - 沿面放電型プラズマ生成器ならびにそれを用いた成膜方法 - Google Patents

沿面放電型プラズマ生成器ならびにそれを用いた成膜方法 Download PDF

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本発明は、半導体基板に酸化膜や窒化膜などを成膜するための活性粒子を生成するプラズマ生成器、及び、それを用いた成膜方法に関するものである。
電子デバイスの微細化が進みにつれ、良好な電気的特性を有する絶縁膜(酸化膜や窒化膜)が可能な成膜装置が求められている。
特に低温処理成膜方法として、プラズマ酸化・窒化処理があり、プラズマとして平行平板プラズマやICPプラズマが用いられているが、酸化膜中の欠陥が発生し膜耐圧も低いという欠点があった。
この問題を解決する手段として表面波プラズマが提案されている。例えば、これは非特許文献の図1に記載のように真空チャンバー(成膜装置)上面に、誘電体板が設置され、真空を封入する構造となっており、その大気側にアンテナが設置されている。このアンテナにマイクロ波を導入すると誘電体板直下にプラズマ(表面波プラズマ)が生成される。
表面波プラズマでは、マイクロ波は表面波として誘電体板直下のみに広がり、誘電体板直下のプラズマ中の電子は加速するが、それより深くは進入できないため、誘電体から数cm離れた場所では電子の加速は行われない。
その結果、誘電体板直下に均一で電子温度は低いが電子温度の高いプラズマが生成されるとされている。
一方、特許文献2には放電部の圧力が大気圧近傍に維持され、処理室の圧力が放電部の圧力より低く維持され、放電部で生成された活性粒子を処理室に供給する方法が記載されている。
山本伸彦、「小特集 実用化プロセスにおけるプラズマ源の革新〜平行平板プラズマ源から新プラズマ源へ〜 2.マイクロ波表面波プラズマを用いたシリコン酸化窒化」プラズマ・核融合学会誌、2011年、第87巻1号、P4−8
特開2011−154973号公報
前述の表面波プラズマでは、マイクロ波発信器から導波管を誘電体板の上に置かれたアンテナに導きから、それらから放射されたマイクロ波が誘電体板直下にプラズマを生成するが、誘電体板、導波管、アンテナという複雑、かつ、精密な加工が必要な部材が必要である。
さらに、これの部材はマイクロ波の波長で決まる寸法で製作されるため、プラズマのコントロールはマイクロ波の照射パワーのみで決まるものである。
また、マイクロ波照射することで誘電体では誘電体損や、放電によって熱が発生するるが、ここで用いられる誘電体板は電磁波を遮断する恐れのある冷却器を取り付けることができず、熱膨張により歪む恐れもあった。
一方、放電部の圧力が大気圧近傍に維持され、処理室の圧力が放電部の圧力より低く維持され、放電部で生成された活性粒子を処理室に供給する方法では、放電部と処理室の間に設けれた多数の細孔から活性粒子が供給されるため、細孔で活性粒子が失活してしまう恐れがあった。
また、放電部と処理室の間に設けれた多数の細孔のコンダクタンスで放電部から処理室に供給される活性粒子を含むガス流量が一義的に決まり、活性粒子の流束を上げようとして細孔の数を変えない限り不可能である。そのため、活性粒子の流束の制御範囲が限られ、良質の酸化膜や窒化膜を成膜速度を上げることが難しい。
本発明では、簡単な構造で広い範囲(例えば300mmウエハー全体)に均一かつ高密度の流束で活性粒子を供給し、ウエハー上に均一で強固な酸化膜や窒化膜を成膜できる放電プラズマ生成器、ならびに、それを用いた成膜方法を提供することにある。
また、簡単な手段、例えばガス供給量や放電に用いる電源の周波数、電圧、供給電力などを変化させるだけで活性粒子の流束を制御する手段を提供することである。
本発明による沿面放電プラズマ生成器は、真空容器内に置かれた板状誘電体に2組の電極を形成のうえ、それらを覆って誘電体(保護誘電体)を設けた沿面放電素子において、これらの電極間に高周波高電圧を印加することで、この保護誘電体表面に沿面放電プラズマを発生させて、そこから空間に進展する活性粒子源を生成することを特徴としている。
また、本発明による成膜方法は、沿面放電プラズマ生成器に対向して電子デバイス用基材を設置し、これらの空間に供給されたガスで沿面放電プラズマを生成し、電子デバイス用基材の表面に活性粒子を供給することでシリコン膜、酸化膜や窒化膜などを成膜することを特徴としている。
本発明による沿面放電プラズマ生成器では簡単な構造で、沿面放電発生用板状誘電体の全面に渡り均一な沿面放電が得られ、そこから空間に進展する活性粒子源を容易に生成することができる。
また、本発明による成膜方法は、均一な流束で活性粒子が基板に供給され、均一性が高く緻密な良質の酸化膜や窒化膜を生成することができる。
図1は本発明による沿面放電プラズマ生成器の沿面放電素子の構造の例(角形)を示すものである。 図2は本発明による沿面放電プラズマ生成器の沿面放電素子の構造の例(丸形;分割)を示すものである。 図3は本発明による沿面放電プラズマ生成器の沿面放電素子の他の構造の例を示すものである。。 図4は本発明による沿面放電プラズマ生成器を用いた成膜方法の一実施例である。 図5は本発明による沿面放電プラズマ生成器により生成された酸素ラジカルの発光スペクトルの例である。
本発明によれば、真空容器内に置かれた板状誘電体に2組の電極を形成のうえ、それらを覆って誘電体(保護誘電体)を設けた沿面放電素子において、これらの電極間に高周波高電圧を印加することで、この保護誘電体表面に沿面放電プラズマを発生させて、そこから空間に進展する活性粒子源を生成することができる。
さらに、前記沿面放電プラズマ生成器に対向して電子デバイス用基板を設置し、これらの空間に供給されたガスで沿面放電プラズマを生成し、電子デバイス用基板の表面に活性粒子を供給することで良質なシリコン膜、酸化膜や窒化膜などを成膜することが可能となる。
図1に示すものは、板状誘電体8の内部に平面状の誘電電極9を形成し、その板状誘電体内表面15にスリット状電極、すなわち、スリット状のパターンに形成された放電電極14を形成し、さらに、これらの放電極14を覆って、保護誘電体16を設けている。また、誘導電極9は誘導電極ターミナル2に板状誘電体8に設けたスルーホール中に形成された誘導電極接続線7で接続されている。同様に、放電電極12は放電電極ターミナル11に板状誘電体8に設けたスルーホール中に形成された放電電極接続線10で接続されている。
誘導電極ターミナル2と放電電極ターミナル11に高周波高電圧電源4をそれぞれ高電圧配線4とアース6と接続されたアース配線5で接続する。この時、高周波高電圧電源4は周波数を数kHzから数百kHzの範囲で、また、印加電圧は数kVppから十数kVpp(ピーク−ピーク電圧)の範囲に設定する。この時、供給する放電電力は高周波高電圧電源4に内蔵のインバータ一次電力を制御することで、最適の値に設定するとよい。
この沿面放電素子を真空中に設置して、高周波高電圧を印加すると保護誘電体16の表面で放電電極14のエッジ部に近い場所から表面に沿って沿面放電が発生する。さらに、その沿面放電から保護誘電体16の鉛直方向に進展していく活性粒子が供給されて、その空間は活性粒子に特徴的な波長の光を発する。
この時、図1に示すように放電電極14が接地していると、沿面放電で生成されるプラズマ中の荷電粒子は外部電界(放電電極14と周囲の部材との間に形成される電界)が生じないため、それによる加速がないので、対向して基板などを置いた場合に電界で加速された荷電粒子によるダメージが発生しない。
この素子の製造は、例えば、ドクターブレード法やロールコンパクション法で形成した厚さ0.2mm〜1mmアルミナセラミックシート(セラミックシート(放電電極側)13)の表面に放電電極14を印刷すると共に、タングステンインクで印刷スルーホールを設け、そこにタングステンインクを注入することで放電電極接続線10とする。
同様にセラミックシート(誘導電極側)12に前記放電電極接続線10から絶縁用の沿面距離を確保するための空白部を除いて面状の誘導電極9をタングステンインクで印刷する。セラミックシート(誘導電極側)12には、スルーホールを設けそこにタングステンインクを注入して誘導電極接続線7と放電電極接続線10を形成しておくとともに、それぞれが接続した誘導電極ターミナル2並びに放電電極ターミナル11をタングステンインクで印刷しておく。
これら2枚のセラミックシート(放電電極側)13とセラミックシート(誘導電極側)12、さらに、保護誘電体16に用いるために同じく厚さ0.1〜0.5mm程度の無垢のセラミックシートを放電電極接続線10の位置合わせをした後、プレスして密着させ、そのまま還元雰囲気で焼結すると一体構造の放電電極−誘導電極構造の沿面放電素子が得られる。この場合、角形シートを用いれば図1に示した放電電極−誘導電極構造の角形沿面放電素子1が得られ、丸形シートを用いれば図2に示した放電電極−誘導電極構造の丸形沿面放電素子21が得られる。
なお、保護誘電体16は板状誘電体8、誘導電極8や放電電極4などと一体的に焼結しないで、別のセラミック板、例えば、窒化ケイ素、ボロンナイトライドなどの薄板を貼り付けた構造としてもよい。すなわち、この保護誘電体16は沿面放電に直接曝されるため、スパッタされる恐れがあり、目的とする成膜に合わせた材質とする。例えば、酸化膜の生成が目的ならば、アルミナセラミックでも良いが、窒化膜を生成したい場合は窒化ケイ素、ボロンナイトライドなど窒化系セラミックを用いた方がよい。
図2は誘電体を分割し、それぞれを個別の誘導電極接続線7と外周部誘導電極接続線23ならびに誘導電極ターミナル2と外周部誘導電極ターミナル22を設け、それぞれ個別の高周波高電圧電源4並びに外周部駆動用高周波高電圧電源26から給電すると、分割した各部分の放電パラメータ(例えば放電電力、駆動周波数など)を別々に制御することが可能となる。
例えば、図2のように外周部誘電体24に対応する外周部放電部28に供給する単位面積当たりの放電電力を内側放電部29大きくすることで、生成する活性粒子の分布の均一性を高めることが可能となる。
図3に示すものは、板状誘電体8の内表面26に1対のスリット状電極、すなわち、スリットのパターンに形成された高電圧電極36と低電圧電極37を交互に形成し、さらに、これらの電極を覆って、保護誘電体16を設けている。また、高電圧電極36は誘導電極ターミナル2に高電圧電極接続線33と高電圧側接続線32で接続されている。同様に、低電圧電極37は放電電極ターミナル11に低電圧電極接続線34と低電圧側接続線35で接続されている。
この沿面放電素子を真空中に設置して、高周波高電圧を印加すると保護誘電体16の表面で一対のスリット電極(高電圧電極36と低電圧電極37)の電極間で表面に沿って放電が発生する。さらに、その沿面放電から保護誘電体16の鉛直方向に進展していく活性粒子が供給されて、その空間は活性粒子に特徴的な波長の光を発する。
この素子の製造は、実施例1で記載したものと同様に行うことができる。また、保護誘電体16に関しても、アルミナセラミックで一体的に焼結したものでもよいし、別のセラミックの薄板を貼り付けた構造としてもよい。また、図3に示すような丸形としても良く、また、角形としても良い。
図4は図1から図3に記載のような沿面放電素子を1枚または複数枚組み込んだ沿面放電素子42を真空容器49内に設置した図である。沿面放電素子42をホルダー43に取り付ける。この場合ホルダー43には気密に設けた高電圧配線46と低電圧配線47が組み込まれている。また、ホルダー43は沿面放電素子42で発生する熱を熱伝導で外気に取り出し、必要に応じてホルダー43に取り付けた冷却器44でその熱を除去すればよい。
高周波高電圧電源4をホルダー43の高電圧接続ターミナル45とアース接続ターミナル48に接続し、周波数を数kHzから数百kHzの範囲で、また、印加電圧は数kVppから十数kVpp(ピーク−ピーク電圧)の範囲の高周波高電圧を高電圧配線46と低電圧配線47を介して沿面放電素器42の誘導電極ターミナル2と放電電極ターミナル11に給電する。この時、供給する放電電力は高周波高電圧電源4に内蔵のインバータ一次電力を制御することで、成膜条件に合った最適の値に設定する。
真空ポンプ系57を稼働するとともにガス源50からガス供給菅51を経て沿面放電素子2の保護誘電体近傍にガスを供給するとその保護誘電体表面で沿面放電52が発生する。
沿面放電52の前方部には供給されたガスに固有の波長で発光する活性粒子が豊富に存在する空間53が形成される。
例えば、ガス源50として酸素を用いた場合、真空度50Paに設定した時に、活性粒子が豊富に存在する空間53の発光を分光器で観測すると図5に示すように酸素ラジカルの代表的な発光777.4nm(P)と844.6nm(−3)が確認できた。
図4に示すように、沿面放電素子42に対向してシリコン膜、酸化膜、窒化膜を形成する基板54をおく。基板54を保持するサセプタ55は基板54の温度を制御するとともに回転する機構を有するとよい。
沿面放電素子42と基板54の間隙を25〜30mmとし、酸素を100cc/分でガス供給菅51から供給し、真空容器49の真空度を15Paに保って、基板53としてシリコン基板を用いてシリコン酸化膜を生成したところ、5分間で沿面放電素子42に対向したシリコン基板の中心部で約25オングストロームのシリコン酸化膜を生成することができた。
この膜の絶縁特性は、8MV/cmの電界強度でリーク電流が1x10−11A程度の良質の酸化膜であることが確認できた。
図4には別のガス源(2)59も記載しているが、必要に応じて1種類のガスだけでなく複数のガス、例えばシランと酸素で酸化シリコン膜を生成するなどの応用も可能である。
本発明による沿面放電型プラズマ生成器ならびにそれを用いた成膜方法では、半導体製造プロセスで従来用いてきたプラズマCVD、プラズマ酸化、プラズマ窒化などに適用することが可能であり、より良質な膜を製作することが可能となる。
1 放電電極−誘導電極構造の角形沿面放電素子
2 誘導電極ターミナル
3 高電圧配線
4 高周波高電圧電源
5 アース配線
6 アース
7 誘導電極接続線
8 板状誘電体
9 誘導電極
10 放電電極接続線
11 放電電極ターミナル
12 セラミックシート(誘導電極側)
13 セラミックシート(放電電極側)
14 放電電極
15 板状誘電体内表面
16 保護誘電体
21 放電電極−誘導電極構造の丸形沿面放電素子
22 外周部誘導電極ターミナル
23 外周部誘導電極接続線
24 外周部誘導電極
25 外周部高電圧配線
26 外周部駆動用高周波高電圧電源
27 外周部アース配線
28 外周部放電部
29 内側放電部
31 スリット電極構造の丸形沿面放電素子
32 高電圧側接続線
33 高電圧電極接続線
34 低電圧電極接続線
35 低電圧側接続線
36 高電圧電極
37 低電圧電極
41 真空
42 沿面放電素子
43 ホルダー
44 冷却器
45 高電圧接続ターミナル
46 高電圧配線
47 低電圧配線
48 アース接続ターミナル
49 真空容器
50 ガス源
51 ガス供給菅
52 沿面放電
53 活性粒子が豊富に存在する空間
54 基板
55 サセプタ
56 サセプタ支持体
57 真空ポンプ系
58 ガス供給菅(2)
59 ガス源(2)

Claims (5)

  1. 真空容器内におかれた板状誘電体の内部に平面状の誘導電極を、その板状誘電体の一方の表面上にスリット状のパターンに形成された放電電極を設け、
    他方の表面上に誘導電極ターミナルと放電電極ターミナルを設けるとともに、該板状誘電体に設けたスルーホールを介してそれぞれに誘導電極と放電電極が接続され、
    該放電電極を覆って薄板の保護誘電体を設けた沿面放電素子において、
    板状誘電体の内部に形成された平面状の誘導電極が2個以上の領域に分割されており、その分割された領域が絶縁され、それぞれの誘導電極を絶縁して設けた誘導電極ターミナルに接続した上で、
    放電電極を接地し、放電電極ターミナルとそれぞれの誘導電極ターミナルに個別の高周波高電圧を印加し
    該保護誘電体表面に沿面放電プラズマを発生させて、そこから空間に進展する活性粒子源を生成することを特徴とする沿面放電プラズマ生成器。
  2. 薄板の保護誘電体としてアルミナセラミックを用いることを特徴とする請求項に記載の沿面放電プラズマ生成器。
  3. 薄板の保護誘電体として窒化系セラミックを用いることを特徴とする請求項に記載の沿面放電プラズマ生成器。
  4. 高電圧配線とアース配線を気密に設けたホルダーの片面と沿面放電プラズマ生成器の放電電極ターミナルと誘導電極ターミナルが形成された面を密着させて取付け、該ホルダーの他面を真空容器の外部に保持する構造とすることで、沿面放電プラズマ生成器で発生する熱を熱伝導によって真空容器の外部に取り出すことを特徴とする請求項1〜に記載の沿面放電プラズマ生成器。
  5. 請求項1〜に記載の沿面放電プラズマ生成器に対向して電子デバイス用基材を設置し、沿面放電プラズマ生成器と電子デバイス用基材間に供給されたガスで沿面放電プラズマを生成し、電子デバイス用基材の表面に活性粒子を供給することでシリコン膜、酸化膜もしくは窒化膜を成膜することを特徴とする沿面放電プラズマ生成器を用いた成膜方法。
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