JP5850823B2 - チタン溶接管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器用の熱交換パイプであるチタン溶接管の製造方法に関する。
例えば、海水淡水化装置やLNG(液化天然ガス)気化器では、溶接管の外表面に突起や溝が施された伝熱管が熱交換器として用いられている。伝熱管は、表面に突起や溝が形成された金属平板を管状に加工して溶接することで得られる溶接管であり、内部に流体を流通させ外部との熱交換を促進するパイプである。
従来から、海水淡水化装置やLNG(液化天然ガス)気化器などの高性能化及び小型化を実現するために、これら淡水化装置や気化器に搭載される熱交換器の伝熱性(熱交換効率)の向上が求められていた。近年では、更なる高性能化及び小型化を実現するために、熱交換器の熱交換効率の更なる向上が求められている。
上述の事情を背景として、熱交換器の熱交換効率の向上のために、特許文献1〜3に開示される種々の伝熱管がこれまでに提案されている。
特許文献1に開示の核沸騰型伝熱管は、管の外表面に、管軸方向に所定のピッチを有する螺旋状で、かつその断面の変化した管周方向の空洞部を配設すると共に、該空洞部は、その長手方向に沿って外部と連通する連続又は不連続の幅0.13mm以下の不規則な形状の狭い間隙部を有し、管軸方向に隣接する該間隙部相互間を結ぶように管周方向に対して所定のピッチで、小さな管軸方向の空洞部を設け、この管軸方向の空洞部に、その長手方向に沿って外部と連通する幅0.13mm以下の不規則な形状の狭い間隙部を設けることを特徴とするものである。
特許文献2に開示の沸騰用伝熱管は、管本体と、この管本体の外周面下に設けられ管軸方向に直交又は傾斜して延びる空洞と、この空洞に沿って設けられ前記空洞の内部空間と外部とを連絡する複数の開口部と、前記管本体から外側に突出して設けられたフィンとを有し、前記開口部の各開口面積は0.15乃至0.25mmであり、前記フィンの高さは0.30乃至0.50mmであることを特徴とするものである。
また、特許文献3に開示の沸騰管用伝熱管は、内部に加熱媒体が流れる管本体と、前記管本体の外周面に設けられた複数の第1のフィンと、前記複数の第1のフィンと所定間隔を隔てて前記管本体の外周面に設けられ、前記複数の第1のフィンと組み合わされることにより冷媒を流入する流入口を有する空洞が形成され、前記空洞内に流入した前記冷媒が前記加熱媒体によって沸騰したときの気泡を外部に排出する複数の排出口が形成された複数の第2のフィンとを備えることを特徴とするものである。
特公昭64−2878号公報 特開平6−323778号公報 特開2005−121238号公報
上述した特許文献1〜3に開示の伝熱管では、熱交換効率を向上させることを目的として伝熱管の外表面に突起、溝など複雑な凹凸加工が施されているが、複雑な凹凸加工を容易にするために、銅管やアルミ管などの転造加工性の良い材料が選定される。
一方で、伝熱管内に海水を流す場合には、海水に対する耐腐食に優れたチタン製の伝熱管が採用されるが、チタンは、弾性強度が高いため転造加工を施すのが難しい素材である。
そこで、弾性強度が高いチタン管は、例えば参考文献として示す“宮本淳之、外2名、「溶接チタン管の高速造管技術と高強度チタン管」、神戸製鋼技報、株式会社神戸製鋼所、1999年12月、Vol.47、No.3、p.39−42”に開示されるような造管
ライン上で、チタン製の帯板(フープ)を複数のロールで連続的にロール状に成形し、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接法によりシーム溶接することで製造される。
上述の造管ラインを用いれば、予め表面に凹凸パターンが形成されたチタン製の長尺細幅の帯板(フープ)を管(ロール)状に成形することで、管の外周表面に凹凸パターンを有するチタン管を製造することができる。しかし、フープ表面の凹凸パターンは、造管ラインの複数のロールとの摩擦によってつぶれて摩滅してしまう。このため、チタン管の表面積を十分に大きく確保することができず、熱交換効率の高いチタン管を製造することは困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、表面積が十分に大きく確保された熱交換効率の高いチタン溶接管の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
発明に係るチタン溶接管の製造方法は、複数の凸部及び凹部が形成された凹凸面を片面に備えるチタン板を、前記凹凸面側と接する造管ロールによって管状に成形することで、チタン溶接管を製造するチタン溶接管の製造方法であって、前記チタン板の凹凸面を、前記チタン板の幅長に対する割合が0.4以上かつ0.7以下である被覆材で覆って保護する保護ステップと、前記チタン板を、前記チタン板の凹凸面を覆う被覆材と接する造管ロールによって管状に成形する成形ステップと、前記管状に成形されたチタン板の幅方向における両端を互いに突き合わせて溶接することで、外表面に凹凸加工が施されたチタン溶接管を得る溶接ステップと、を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記保護ステップは、直径13mm以上のチタン溶接管を製造するに際し、前記凹凸面の幅方向において両端から少なくとも9mm離れた位置までの領域を非被覆領域として、前記非被覆領域以外を前記被覆材で覆って保護するとよい。
本発明のチタン溶接管の製造方法によれば、表面積が十分に大きく確保された熱交換効率の高いチタン溶接管を得ることができる。
本発明の実施形態によるチタン溶接管を製造するための造管ラインの一部を示す概略図である。 本実施形態によるチタン溶接管として形成されるチタン帯板(チタンフープ)の表面形状を示す概略図である。 本実施形態によるチタン帯板に貼り付けられたフィルムの位置及び大きさを示す図である。 本実施形態によるチタン溶接管の径方向及び周方向における構成を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
図1を参照しながら、本実施形態によるチタン溶接管の構成及びチタン溶接管の製造方法について説明する。
図1は、本実施形態によるチタン溶接管1を製造するための造管ラインの一部を示す概略図である。
本実施形態によるチタン溶接管1は、金属材料であるチタン製の長尺の板であって、少なくとも一方の表面に凹凸が形成された帯板(チタンフープ)2から製造される。具体的には、上述の参考文献に開示されるような造管ライン上で、チタンフープ(チタン板)2を連続的に複数の成形ロール(造管ロール)3に通過させることで管状に成形し、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接法などによりシーム溶接することで製造される。
図1は、造管ライン上の複数の造管ロール3のうち、シーム溶接直前に配置された一対の造管ロール3の間をチタン板2が通過する状態を示しており、該造管ロール3を通過したチタン板2は、管状となることで突き合わされたチタン板2の端部に対してシーム溶接が施されチタン溶接管1となる。
図1に示すように、チタン板2は、一対の造管ロール3の間を通過する際に、凹凸が形成された面を造管ロール3に向けている(対面させている)。チタン板2の表面に形成された凹凸は、チタン板2がチタン溶接管1として成形されたときに、チタン溶接管1の外周の表面積を十分に大きく確保して熱交換効率の高いチタン溶接管1を得るためのものである。従って、造管ロール3に向かう凹凸が、造管ロール3との摩擦によってつぶれて摩滅してしまうのを防ぐために、チタン板2の凹凸が形成された面に、凹凸を保護する被覆材(フィルム)4を貼り付けている。
本実施形態によるチタン溶接管1は、チタン板2を造管ラインに導入する前にチタン板2の凹凸面を被覆材4で覆って保護し、チタン板2を、チタン板2の凹凸面を覆う被覆材と接する造管ロール3によって管状に成形し、管状に成形されたチタン板2の幅方向における両端を互いに突き合わせて溶接することで、外表面に凹凸加工が施されたチタン溶接管1として得られる。
以下、チタン板2の構成、チタン板2の凹凸面を覆う被覆材4の構成、及び成形されたチタン溶接管1の構成について、順に説明する。
図2を参照しながら、チタン板2の構成を説明する。
図2は、本実施形態によるチタン溶接管1として形成される帯状のチタン板(又は、チタンフープ)2の表面形状を示す概略図である。
チタン板2は、上述したとおり、金属材料であるチタン製の長尺の板であって、少なくとも一方の面に、複数の窪みである凹部又は複数の突起である凸部で構成された凹凸パターンが形成された帯板である。チタン板2の表面に凹凸パターンを形成する方法としては、例えば、特許公開公報(特開2012−21767号公報)などに開示される公知の技術を用いればよい。
ここで、チタン板2の表面に形成された凹凸パターンの形状は、特に限定されるものではない。通常、凹凸パターンは、凸部又は凹部で構成されるか、凸条又は凹溝で形成されるストライプで構成されるが、本実施形態によるチタン溶接管1に対しては、凸部又は凹部で構成されると好ましい。凸部及び凹部の形状としては、円柱や楕円柱、又は立方体や直方体が挙げられる。
図2は、チタン板2の表面を該表面に対して垂直方向から見た場合である平面視における、チタン板2の凹凸パターンと、凹凸パターンの拡大図を示している。図2の拡大図では、複数の円形5が規則的に並んだパターンが示されているが、この一つ一つの円形5が円柱形状の凸部である。ここで、規則的に並んだ円形5の一つ一つが円柱形状に窪んだ凹部であってもよい。
凹凸パターンを、凹部で構成するか、凸部で構成するか、又は凹部と凸部を共に用いて構成するかの選択は、チタン溶接管1として実現したい熱交換効率などを考慮して決めればよい。凹凸パターンは、平面視において同一形状の凹部や凸部によって構成されるのが好ましいが、同一形状ではなく様々に異なった形状の凹部や凸部で構成されてもよい。また、凸部の頂部の形状も、特に限定されることはない。凸部の頂部の形状は、平坦から略平坦であることが好ましいが、山状に突出していてもよい。
また、図2に示した平面視における凹部及び凸部の大きさも、特に限定されない。例え
ば、凸部の頂部の平面視形状が円形5及び楕円形の場合、通常、円形5及び楕円形の面積は、2000μm以上1000000μm以下であり、好ましくは10000μm以上800000μm以下である。凸部の頂部の面積が2000μmより小さい場合、チタン板2に対する凸部の高さを確保しにくくなってチタン板2の凹凸面の表面積を十分に広く確保することができず、チタン溶接管1において十分に高い伝熱性(熱交換効率)を実現することが困難となる。他方、凸部の頂部の面積が1000000μmより大きい場合でも、チタン板2の凹凸面の表面積を十分に広く確保することができず、チタン溶接管1において十分に高い伝熱性(熱交換効率)を実現することが困難となる。
複数の凸部間の距離(ピッチ)も、特に限定されないが、通常100μm以上2000μm以下、好ましくは200μm以上1000μm以下である。ピッチが100μmより小さい場合、複数の凸部間の距離が小さくなりすぎて伝熱性(熱交換効率)が低下することがある。他方、ピッチが2000μmより大きい場合でも、複数の凸部間の距離が大きくなりすぎて、伝熱性(熱交換効率)が低下することがある。
さらに、凸部及び凹部の数も特に限定されるものではなく、チタン溶接管1として実現したい熱交換効率などを考慮して適宜設定されるとよい。
次に、図3を参照しながら、被覆材(フィルム)4の構成を説明する。
図3は、本実施形態によるチタン板2に貼り付けられたフィルム4の位置及び大きさを示す図である。
チタン板2の凹凸面を覆うフィルム4は、例えば、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリエチレン系フィルム等の樹脂フィルムであり、例えば、0.04mm以上0.5mm以下の厚みを有し、好ましくは0.06mm以上0.12mm以下の厚みを有する。ここで、フィルム4の種類は、特に限定されないが、チタン板2の変形に合わせて容易に変形し、且つ造管ロール3との摩擦によっても破れにくい強度を有する材質でなくてはならない。
フィルム4の厚みが0.04mm未満である場合、フィルム4が破れ易くなり、破れた箇所から露出した凸部が造管ロール3で潰されるので、チタン溶接管1の外周面の表面積が減少した分だけ伝熱性(熱交換効率)が低下する可能性がある。
他方、フィルム4の厚みが0.5mmを超えると、造管ロール3からチタン板2へ加わる圧力が不均一になってしまい、成形後のチタン溶接管1に適正な真円度を付与することが困難となる。
図3を参照しつつ、フィルム4の幅長について説明する。
フィルム4の幅は、まず、チタン板2の幅長Waに対するフィルム4の幅長Wbの比(Wb/Wa)で規定され、チタン板2の幅長Waに対するフィルム4の幅長Wbの比(割合)を0.4以上かつ0.7以下(0.4≦Wb/Wa≦0.7)とする。
図3に示すように、チタン板2の幅よりも小さな幅を有するフィルム4を、チタン板2の幅方向における両端部から等しく離れる位置でチタン板2の凹凸面に貼り付ける。
フィルム4の幅がチタン板2の幅の0.7倍より大きい場合、チタン板2の端部とフィルム4の端部が近接するので、チタン板2の端部の溶接時に溶接の熱でフィルム4が溶けて、チタン溶接管1に焼き付いてしまう。フィルム4が焼き付いてしまうと、清浄な凹凸面を有する健全なチタン溶接管1を製造することができない。
一方、フィルム4の幅がチタン板2の幅の0.4倍未満の場合、チタン板2の凹凸面が半分以上フィルム4に覆われず露出してしまうので、凹凸面の6割以上が造管ロール3と接触することとなる。凹凸面の6割以上が造管ロール3と接触してしまうと、凹凸面のうち凸部がつぶれる領域が大きくなってしまい、伝熱性(熱交換効率)を向上させる効果が小さくなってしまう。
また、フィルム4を、チタン板2の両端部から均等に離れた位置でチタン板2の凹凸面に貼り付けなければ、造管ロール3を通過するときにチタン板2が蛇行してしまう。これによって、管状に成形されたチタン板2の幅方向における両端が互いに突き合わされた位置が、図1に示したような溶接ビード6の形成位置と一致しなくなってしまい、不適切な位置に溶接ビード6が形成され健全なチタン溶接管1を得ることができない。
次に、フィルム4の幅は、チタン板2の凹凸面の幅方向において両端から少なくとも9
mm離れた位置までの領域をフィルム4で覆われない非被覆領域7として、非被覆領域7以外を覆って保護する幅に設定される。
チタン板2の両端からフィルム4までの距離が9mm未満になると、溶接時に溶接の熱でフィルム4が溶けてチタン溶接管1に焼きついてしまい、清浄な凹凸面を有する健全なチタン溶接管1を製造することができない。
言い換えると、チタン溶接管1の周方向に沿った同一線上において溶接ビード6の中央から9mm未満となる領域にフィルム4が貼られていると、溶接時に溶接の熱でフィルム4が溶けてチタン溶接管1に焼きついてしまうため、この9mm未満となる領域にはフィルム4を貼らずにチタン板2を造管ラインに導入する。そのため、非被覆領域7では凸部がつぶれるが、一方でフィルム4が貼られている溶接ビード6の中央から9mm以上の領域(非被覆領域7以外の領域)はフィルム4によって保護されるので、凸部がつぶされずに残る。
図4を参照しながら、チタン溶接管1の構成を説明する。図4は、本実施形態によるチタン溶接管1の径方向及び周方向における構成を示す概略図である。
上述したように、フィルム4が貼り付けられたチタン板2を造管ラインに導入すると、図4に示す構成を有するチタン溶接管1が得られる。
フィルム4が貼り付けられたチタン板2をロール状に成形して、チタン板2の幅方向における両端を互いに突き合わせて溶接する。このとき、図4に示すように、チタン板2の両端が突き合わされた位置に溶接ビード6が形成されている。
図4では、フィルム4で覆われていない溶接ビード6の中央から9mm未満の領域(非被覆領域7)では凸部がつぶれ、フィルム4で覆われた領域(非被覆領域7以外の領域)では凸部がつぶれず残っている。このとき、チタン溶接管1の周方向の同一線上において、溶接ビード6の中央から9mm未満の領域(非被覆領域7)にある凸部の最大高さの平均値(凸部の平均高さ)を平均凸部最大高さLaとし、溶接ビード6の中央から9mm以上離れた領域(非被覆領域7以外の領域)にある凸部の最大高さの平均値(凸部の平均高さ)を平均凸部最大高さLbとすると、平均凸部最大高さLaは平均凸部最大高さLbより小さく、La<Lbである。
なお、凸部の最大高さとは、チタン溶接管1の周方向における同一線上の凹凸形状の高さ変化を該周方向に沿って測定し、得られたプロファイルの凹部の最低部の平均線をゼロとし、その平均線(ゼロ)を基準として、測定対象となった各凸部のプロファイルの中で最大となる高さのことである。つまり、凸部の最大高さとは、各凸部の高さの代表値であるともいえる。
このとき、平均凸部最大高さLaは平均凸部最大高さLbより小さく(La<Lb)なければならない。もし、平均凸部最大高さLaが平均凸部最大高さLbより大きく(La>Lb)となった場合は、フィルム4の効果が得られず、全体的に凸部が潰れていることになり、このようなチタン溶接管1では、期待される伝熱性能の向上は得られない。
加えて、チタン溶接管1の周方向の同一線上において、非被覆領域7と非被覆領域7以外の領域を含むチタン溶接管1の外周一周にわたる凹凸パターンの平均凸部最大高さが12μm未満であると、チタン溶接管1の伝熱性(熱交換効率)を向上させる効果が低くなってしまい、期待される伝熱性能の向上は得られない。そこで、チタン板2の凹凸面における平均凸部最大高さが、チタン溶接管1として成形された後でも12μm以上に保たれるように、チタン板2の凹凸面に複数の凸部及び凹部を形成する。
以上、チタン板2の構成、チタン板2の凹凸面を覆うフィルム(被覆材)4の構成、及び成形されたチタン溶接管1の構成について順に説明したが、チタン溶接管1の製造方法として、以下に整理する。
まず、複数の凸部及び凹部が形成された凹凸面を片面に備えるチタン板2を用意し、チタン板2の凹凸面を、チタン板2の幅長に対する割合が0.4以上かつ0.7以下であるフィルム(被覆材)4で覆って保護する(保護ステップ)。
保護ステップにおいてフィルム4で保護したチタン板2を、チタン板2の凹凸面を覆うフィルム4と接する造管ロール3によって管状に成形する(成形ステップ)。
成形ステップにおいて管状に成形されたチタン板2の幅方向における両端を互いに突き合わせて、シーム溶接によって溶接することで、外表面に凹凸加工が施されたチタン溶接管1を得る(溶接ステップ)。
このとき、製造するチタン溶接管1の直径は13mm以上であることが好ましく、保護ステップは、直径13mm以上のチタン溶接管1を製造するに際し、凹凸面の幅方向において両端から少なくとも9mm離れた位置までの領域を非被覆領域7として、非被覆領域7以外をフィルム4で覆って保護する。
このチタン溶接管1の製造方法によって製造されるチタン溶接管1は、直径が13mm以上であり、チタン溶接管1の周方向に沿って、溶接ビード6の中央から9mm以上離れた位置に存在する凸部の平均凸部最大高さが、溶接ビード6の中央から9mm未満に存在する凸部の平均凸部最大高さよりも高い。
(実施例)
以下、本実施形態を具体化した実施例について説明する。
まず、板厚が0.6mmで板幅が59.3mmのチタン(JIS1種)板の片面に、直径(φ)400μmの円形の水玉である凸部を、600μmのピッチ(凸部と凸部の間隔)で複数形成し、複数の凸部の平均凸部最大高さを16.7μmとすることで、以下に説明する各実施例のチタンフープ(チタン板)2を作成した。このチタンフープ2に上述のフィルム4を貼り、造管ラインに導入して、凸凹面が外面となるように造管ロール3によって管状に成形して溶接した。その後フィルム4を剥がし、φ19mm、肉厚0.6mmのチタン溶接管1を作製した。
フィルム4としては、ヒタレックスD−3760(日立化成製、材質:ポリエチレン、厚み:0.06mm)を用いた。このフィルム4を、(フィルム幅)/(フープ両端からフィルムまでの距離)/(フープ幅に対するフィルム幅)の比が様々な値となるように成形してチタン板2に貼り付けた。上述の比が、41.0mm/9.0mm/0.70となるものを実施例1とし、37.7mm/10.8mm/0.64となるものを実施例2とし、25.5mm/16.9mm/0.43となるものを実施例3とし、19.0mm/20.2mm/0.32となるものを比較例1とし、44.0mm/7.6mm/0.75となるものを比較例2とした。また、フィルム4を貼らずに造管ラインを通して、φ19mm、肉厚0.6mmのチタン溶接管も、比較例3として作製した。
作製した各実施形態及び比較例のチタン溶接管について、まず造管後でのフィルム4の焼き付きの有無を目視で確認した。
次に、レーザー顕微鏡で凸部の最大高さを測定し、平均凸部最大高さを求めた。
その上で、溶接ビード6の中央から9mm未満の領域(非被覆領域)にある凸部の最大高さの平均値である均凸部最大高さLaと、溶接ビード6の中央から9mm以上離れた領域にある凸部の最大高さの平均値である平均凸部最大高さLbとを用いて、La/Lbの比を求めた。
これらの結果を次の表1に示す。
Figure 0005850823
まず、比較例2では、チタンフープ(チタン板)2の両端からフィルム4までの距離が7.6mmであり、9mm未満となっている。そのため、溶接の熱でフィルム4が溶けてチタン溶接管の表面に焼きついてしまい、健全な溶接管が作製できなかった。
次に、チタンフープ(チタン板)2の両端からフィルム4までの距離が9mm以上であり、造管時にフィルム4の焼きつきが起こらなかった実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、及びフィルム4が貼り付けされていない比較例3について、それぞれ長さ550mmに切り出し、また、基準材として、表面に凹凸が形成されておらず表面が平滑な同形状のチタン管(平滑管)を用意した。
これら実施例及び比較例によるチタン溶接管を用いて蒸発伝熱性試験を行い、平滑管に対する伝熱性の向上率を求めた。
蒸発伝熱性試験は、媒体(フロンR134a)中に試料となるチタン溶接管をセットして、チタン溶接管内に温水(35℃)を一定の流量(例えば、25L/min)で供給し、媒体(フロンR134a)の及びチタン溶接管内に供給された温水の温度変化、温水の圧力及び流量の計測を行った。その後、各実施例及び比較例について温度及び流量を計測し、温水と媒体の間での交換熱量を求めて熱伝達係数を算出した。
この熱伝達係数を平滑管についても算出し、平滑管の熱伝達係数に対する各実施例及び比較例によるチタン溶接管の熱伝達係数の比を求め、対平滑管伝熱性向上率とした。つまり、各実施例及び比較例によるチタン溶接管の対平滑管伝熱性向上率は、平滑管の熱伝達係数を1.00としたときの各実施例及び比較例によるチタン溶接管の熱伝達係数として示される。
これらの結果を次の表2に示す。
Figure 0005850823
平滑管と比較したときに凹凸面を有するチタン溶接管の伝熱性能を考えると、熱交換器用プレートに用いるチタン溶接管の対平滑板伝熱性向上率は1.00よりも大きいことが必要である。しかし、熱交換器で著しく改善された熱交換効率を得るためには、対平滑板伝熱性向上率が1.05以上あることが望ましい。ここで、表2に示す実施例1〜3の対平滑板伝熱性向上率を見ると、対平滑板伝熱性能向上率が1.08以上となり高い伝熱性能(熱交換効率)を得られることが分かる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 チタン溶接管
2 チタンフープ(チタン板)
3 造管ロール
4 被覆材(フィルム)
5 円形(凹部又は凸部)
6 溶接ビード
7 非被覆領域

Claims (2)

  1. 複数の凸部及び凹部が形成された凹凸面を片面に備えるチタン板を、前記凹凸面側と接する造管ロールによって管状に成形することで、チタン溶接管を製造するチタン溶接管の製造方法であって、
    前記チタン板の凹凸面を、前記チタン板の幅長に対する割合が0.4以上かつ0.7以下である被覆材で覆って保護する保護ステップと、
    前記チタン板を、前記チタン板の凹凸面を覆う被覆材と接する造管ロールによって管状に成形する成形ステップと、
    前記管状に成形されたチタン板の幅方向における両端を互いに突き合わせて溶接することで、外表面に凹凸加工が施されたチタン溶接管を得る溶接ステップと、
    を備えることを特徴とするチタン溶接管の製造方法。
  2. 前記保護ステップは、直径13mm以上のチタン溶接管を製造するに際し、前記凹凸面の幅方向において両端から少なくとも9mm離れた位置までの領域を非被覆領域として、前記非被覆領域以外を前記被覆材で覆って保護することを特徴とする請求項に記載のチタン溶接管の製造方法。
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