JP5848287B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は無線通信用アンテナに関する。特に、無線通信用アンテナを商業地域、住宅地域のマンション、アパート、ビル等で使用する場合に適するアンテナを提供する。
「アンテナ工学入門講座」2008年10月29日、後藤尚久著、株式会社電波新聞社発行 アンテナ解析ソフトMMANA、"http://www33.ocn.ne.jp/〜je3hht/mmana/index.html" 2012年6月25日 「アマチュアのアンテナ設計法」1996年7月15日、岡本次郎著、CQ出版社発行
無線通信用に用いられるダイポールアンテナの長さはおおよそ1/2λ(λは波長、以下同じ。)である。そのため、住宅密集地域等のアンテナを設置するスペースが狭小な場合には、短縮型アンテナを使用することが一般的である。
1/2λ長のダイポールアンテナのインピーダンスは、図1(非特許文献1、151頁、図3−27)に示すように、1/2λ付近でリアクタンス成分が0となり共振するため、共振させるための付加素子は不要であるが、短縮型ダイポールアンテナではインピーダンスのリアクタンス成分が増加するため、短縮型ダイポールアンテナを使用するためには、インダクタンスを直列に挿入してリアクタンス成分をキャンセルして使用周波数に共振させる必要がある。
図2に垂直型ダイポールアンテナと等価なバーチカルアンテナの短縮方法の一例を示す。図2において、201はコイルを給電点近くに配置するベースローディングタイプの短縮アンテナ、202はコイルをラジエータの途中に配置するミドルローディングタイプの短縮アンテナ、203はキャパシティーハットとベースローディングのコイルを用いた短縮アンテナ、204はキャパシティーハットをミドルローディングのコイルを用いた短縮アンテナ、205はキャパシティーハットをトップローディングのコイルを用いた短縮アンテナの例を示す。
例えば7MHz用バーチカルアンテナにおいてアンテナ長が1mの場合、図2の201のローディング方式で必要なインダクタンスは約60μHでありこのときの放射抵抗は0.2Ω、202の方式のローディング方式の場合は116μH、放射抵抗は0.5Ωである。コイルのQを300と仮定するとアンテナ効率は、前者が約2.2%(損失16.5dB)、後者が2.8%(損失15dB)となる。一般に、コイルの挿入位置が高い(トップローディングに近い)ほど効率が良いとされているが、図3に示すように、コイルの挿入位置を高くするほどインダクタンス値が同じであれば短縮効果は低減し(共振周波数が高く)、コイルを最上部に挿入すると短縮効果はゼロとなる。
ローディングコイルを使用した短縮アンテナの効率を向上させるためには、図2の203、204、205に示すキャパシティーハットが用いられている。キャパシティーハットによりアンテナのリアクタンスを低減させた上でベースにローディングコイルを設けることによりインダクタンスを低減させ、損失を減少させる。例えば、図2の203でキャパシティーハットの半径を10cmとしたとき、インダクタンスは42μH、放射抵抗は0.4Ωとなる。同様に図2の204では、インダクタンスは63μH、放射抵抗は0.7Ω、図2の205の場合のトップローディングコイルの場合には、インダクタンスは82μH、放射抵抗は0.9Ωとなる。Q=300と仮定したときのアンテナの効率は図2の203では6.1%(損失12dB)、204では7.0%(損失11.5dB)、205では効率は7.1%(損失11.4dB)となる。
バーチカルアンテナと水平型ダイポールアンテナは同一の電気的等価回路で表すことができ、上記問題点はそのまま水平型ダイポールアンテナに当てはまる。バーチカルアンテナと水平型ダイポールアンテナの相互の変換は周知であるため、詳細については省略する。
このように、従来の短縮アンテナではローディングコイルの損失抵抗が大きく、商業地域、住宅地域のマンション、アパート、ビル等で使用する場合に従来の短縮アンテナでは十分な効率がとれないという問題があった。本発明は、アンテナの全長が短くともアンテナの放射効率を落とさず、損失を低減し、住宅密集地域でも良好な通信環境を提供する短縮アンテナに関する。
以下の方法で上記の課題を解決する。
短縮ダイポールアンテナの両端それぞれに、両端が開放されている回旋状導体A、導体Bを直接に又は導線により接続することで、共振周波数を低減させると共に、放射器に流れる電流を低減させずに効率よく電磁波を放射させ、アンテナの全長が短くとも放射効率を落とさず、住宅密集地域でも良好な通信環境を提供することができる。
具体的には、回旋状の導体を螺旋状、または渦巻状とすることができる。さらに、螺旋状の導体を、例えば、並行に配置した同一形状の隣接した円を接続した螺旋状、すなわち、円形の閉ループの導体の一カ所に、端点が端点APi、端点AQiである切込みをいれたi=2,・・・,nであるn個(nは2以上の整数)の同一形状、同一の大きさで中心を一致させて概略並行に配置した複数の導体(導体A1、・・・、導体Anという。以下同じ。)を、切込み部分を近接して配置し、端点AP(i−1)と端点AQiをi=2,・・・,nについて接続した導体とすることができる。
また、渦巻状の導体を、例えば、内外の円を接続した同心円状、すなわち、円形の閉ループの導体の一カ所に、端点が端点APi、端点AQiである切込みをいれたi=2,・・・,nであるn個(nは2以上の整数)の同一形状、同一の大きさで中心を一致させて概略並行に配置した複数の導体(導体A1、・・・、導体Anという。以下同じ。)を、切込み部分を近接して配置し、端点AP(i−1)と端点AQiをi=2,・・・,nについて接続した導体とすることができる。
さらに、導体Aおよび導体Bを板状の導体(以下、板状導体Aおよび板状導体Bという。)とすることにより、表面積を増加させ、表皮効果による減衰を低減させて放射器以外の導体の損失を低減することができる。また、板状導体Aおよび板状導体Bを、巻き階層毎に交互に配置することにより、さらに表皮効果による減衰を低減させ、高効率化を図ることができる。
短縮ダイポールアンテナの放射抵抗は小さいため、無線通信機のアンテナ入出力インピーダンスと整合をとるために整合回路が必要となるが、これを、放射器の中心に設定した給電点を短絡した上記アンテナ(以下、アンテナ1という。)と、上記アンテナと同様に構成されたアンテナであってアンテナ1の共振周波数とほぼ等しい共振周波数を有しアンテナ1の近くに配置したアンテナ(以下、アンテナ2という。)と、から構成され、アンテナ1とアンテナ2の距離及び配置を調整することにより、アンテナ2の給電点から見込んだインピーダンスを最適値とすることにより整合回路を不要とすることができる。また、上記アンテナの導体1または導体2上に給電点を設け、給電点からアンテナを見込んだインピーダンスを最適値とすることにより整合回路を不要とすることができる。
本発明により、電力損失が小さい無線通信用の小型アンテナをマンション等の集合住宅・商業施設等に設置することができる。
ダイポールアンテナ長とインピーダンスの関係を表す図である。 短縮型ダイポールアンテナの構成を説明する図である。 ローディングコイル位置と共振周波数を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が円形で巻き数が1重の場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が円形で螺旋形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が円形で渦巻形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が四角形で巻き数が1重の場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が四角形で螺旋形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が四角形で渦巻形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が八角形で1重の場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が八角形で螺旋形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bの開口面形状が八角形で渦巻形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 開口面形状が円形で1重の場合の実施例において、放射器先端が円形エレメントに直接接続されているアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bが開口面形状が円形で半径が異なる複数の同心円である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 円形で螺旋状の線形導体の開口面が放射器と平行である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bが複数の半径の異なる同心円形状である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図16の導体A、導体Bが2重である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図16の導体A、導体Bが板状導体である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図18のアンテナの正面図、側面図、A−A断面図である。 図18のアンテナの導体A、導体Bの隣り合う階層の板状導体の向かい合う面の面積が最小となるように配置された実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図20のアンテナの正面図、側面図、A−A断面図である。 導体A、導体Bが2重の同心円である場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図22のアンテナの正面図、側面図、上面図である。 図22に示す形状のアンテナを上下2段に構成することにより整合回路を不要とする実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 導体A、導体Bが円形の螺旋形状で給電点が導体A、導体B上にある場合の実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 図16の形状のアンテナの放射器にインダクタンスを挿入した実施例によるアンテナの物理的構成を示す図である。 本実施例によるアンテナと送受信機間に挿入するバランおよびインピーダンス変換回路の実施例を示す図である。 本実施例によるアンテナと送受信機間に挿入するバラン機能を有するインピーダンス変換回路の実施例を示す図である。 本実施例によるアンテナと送受信機間に挿入するインピーダンス変換機能を有するバランの実施例を示す図である。 図24の形態のアンテナのインピーダンス変換機能を説明する図である。 給電点を導体Aまたは導体B上とした場合のインピーダンス変換機能を説明する図である。 図17の形状のアンテナで(条件1)の場合のVSWR特性を示す図である。 本実施例によるアンテナの設置環境を示す図である。 図20の形状のアンテナで(条件2)の場合のVSWR特性を示す図である。 図14の形状のアンテナで(条件3)の場合のVSWR特性を示す図である。 図24の形状のアンテナで(条件4)の場合のVSWR特性を示す図である。 図16の形状のアンテナで(条件5)の場合のVSWR特性を示す図である。 図20の形状のアンテナで(条件6)の場合のVSWR特性を示す図である。 図20の形状のアンテナで(条件7)の場合のVSWR特性を示す図である。 図25の形状のアンテナで(条件8)の場合のVSWR特性を示す図である。 図26の形状のアンテナで(条件9)の場合のVSWR特性を示す図である。 図26の形状のアンテナで(条件9)の場合のアンテナ指向性を示す図である。 図16の形状のアンテナで(条件1)の場合に放射器端点と導体A、導体Bの接続点を変更したときの共振周波数特性を示す図である。 図16の形状のアンテナの導体A、導体Bに伸縮可能な導体を接続した図である。 図44の形状のアンテナで(条件1)の場合に導体A、導体Bに接続した伸縮可能な導体の長さと共振周波数特性を示す図である。 導体A、導体B、放射器を面上に配置した本発明のアンテナの実施例を示す図である。 図46のアンテナのVSWR特性の実測値である。 導体A、導体Bを面上に配置した本発明のアンテナの実施例を示す図である。 図48のアンテナのVSWR特性の実測値である。 ヘアピンマッチを用いた本発明によるアンテナの実施例を示す図である。 図50の形状のアンテナで(条件13)の場合のVSWR特性を示す図である。 ヘアピンマッチのインピーダンス変換機能を説明する図である。 板状導体の開口面が放射器と並行でヘアピンマッチを用いた本発明の実施例を示す図である。 図53のアンテナのVSWR特性の実測値である。 短縮ダイポールアンテナと図16の形状の本発明によるアンテナの放射器長と放射抵抗の関係を示す図である。 図55の横軸を0.01を基準とした対数値とし、縦軸を10mΩを基準とした対数値とした図である。 短縮ダイポールアンテナと図16の形状の本発明によるアンテナの放射器長と放射効率の関係を示す図である。 図57の横軸を0.01を基準とした対数値とし、縦軸を0.01%を基準とした対数値とした図である。
1. 本発明の実施類型
図4から図6に導体A、導体Bが螺旋状または渦巻状の場合の本発明の実施例を示す。401、402、501、502、601、602は放射器(ラジエータおよびラジアルを含む電磁波を放射する導体をいう。以下同じ。)、403は導体A、404は導体Bであって円形の1重巻、503は導体A、504は導体Bであり、形状は螺旋状で3重巻、603は導体A、604は導体Bであって、形状は渦巻状で2重巻、それぞれ開口面が前記放射器の先端付近に位置している。407及び408、507及び508、607及び608はそれぞれ給電点の対である。
図7から図9に導体A、導体Bが螺旋状の四角形または渦巻状の四角形の場合の本発明の実施例を示す。701、702、801、802、901、902は放射器、703は導体A、704は導体Bであり、形状は四角形で1重巻、803は導体A、804は導体Bであって、形状は螺旋状の四角形で3重巻、903は導体A、904は導体Bであって、形状は渦巻状の四角形が3重巻、開口面が前記放射器の先端付近に位置している。707及び708、807及び808、907及び908はそれぞれ給電点の対である。
図10から図12に導体A、導体Bが螺旋状または渦巻状で八角形の場合の本発明の実施例を示す。1001、1002、1101、1102、1201、1202は放射器、1003は導体A、1004は導体Bであって、形状が八角形の1重巻、1103は導体A、1104は導体Bであって、形状が螺旋状の八角形で3重巻、1203は導体A、1204は導体であって、形状が渦巻状の八角形で3重巻である。それぞれ、開口面は全て前記放射器の先端付近に位置している。1007及び1008、1107及び1108、1207及び1208はそれぞれ給電点の対である。
前記の実施例の他、導体A、導体Bは任意の形状を取ることができる。例えば、螺旋状または渦巻状の楕円、三角形、長方形、菱形、六角形、七角形、12角形等の任意の図形、或いは、辺がうねった曲線を有する図形等が考えられるがそれに限らない。
放射器と導体A又は導体Bの位置関係は、放射器の先端が導体A又は導体Bの開口面付近にあれば良い。図4〜図12では、放射器の先端が導体A又は導体Bの開口面上であって、導体A又は導体Bが形成する図形の中心としている。しかし、両者の位置関係は厳密なものではなく、アンテナを製造する際に最適な位置をとることができる。
図13は、図4において放射器が導体Aおよび導体B上に位置している場合の例を示す。1301、1302は放射器、1303は導体A、1304は導体B、1307、1308は給電点であり、1301の端点1が導体Aに直接に接続され、1302の端点2が導体Bに直接に接続されている。このような構造とすることでアンテナの製造に要する部品点数を低減することが可能となる。このような配置は、図4〜図10の全てに適用することができ、さらに、導体A又は導体Bの開口面内の任意の位置、或いは、開口面内でなく開口面外であっても適用は可能である。
図6、図9、図12は、導体A又は導体Bが渦巻状場合の例を示している。渦巻状の導体を実現することは製造上難点を有する。そこで、2重目以降の巻き線が1重目の巻き線の開口面上にある他の例を図14に示す。1401、1402は放射器、1403は円形の導体A、1404は円形の導体B、1405は1401の端点1と導体Aを接続する導線、1406は1402の端点2と導体Bを接続する導線、1407、1408は給電点である。1403、1404は同心円状の円形導体が2重巻きであって、1重目の巻き線、2重目の巻き線は一部に切れ目があり、異なる半径を有する中心が同一位置にある円であって、2重目の巻き線が1重目の巻き線の開口面上にあり1重目の巻き線の終端(端点P)が2重目の巻き線の先端(端点Q)と接続されている例を示している。これにより、渦巻形状を実現する製造上の難点を解消することができる。
図15は1503である導体Aおよび1504である導体Bが三重巻きで、開口面が放射器1501、1502と平行であり放射器の先端が円形導体に一点でそれぞれ接続されている場合の実施例を示している。1507、1508は給電点である。
図16は導体Aおよび導体Bが円形に近似できる13角形であり、1603である同心円状の円形導体A、1604である同心円状の円形導体Bがそれぞれ5重で、隣接する同心円のそれぞれの始点と終点が導線1609、1610で接続され、開口面が放射器1601、1602とほぼ垂直であり、放射器の先端が導線1605、1606で接続されている場合の実施例を示している。
図17において、1703は図16における1603に対応し、同様に1704は1604に、1705は1605にそれぞれ対応する。これらの導体の外側に並行にそれぞれ1709、1710、1711、1712を配置し、最外円の円形導体の先端を導線1713、1714で接続する。本実施例により導体A、導体Bによる損失を低減することができる。
図18は図16におけるアンテナの導体Aである1603、導体Bである1604をそれぞれ板状導体A1803、板状導体B1804、導線1605、1606を板状導体1805、1806に置き換えた実施例を示している。図19は図18の正面図、右側面図、左側面図およびA−A断面図を示している。図19の1801〜1808は図18の1801〜1808と同一である。本実施例により導体の表面積を大きくして表皮効果による損失を低減することができる。
図20,図21に隣り合う巻き階層同士で垂線が共通となる面の面積を小さくするようにずらして配置した回旋状導体を板状導体とした実施例を示す。図20、図21は図18における板状導体A,板状導体Bを、隣り合う巻階層毎に交互に配置したものある。図21は図20の正面図、右側面図、左側面図およびA−A断面図である。図21のA−A断面図に示すように、板状導体Aである2003、2009は面が違いに重ならないように、あるいは重なる面積が極力小さくなるように交互に配置され、板状導体Bである2004、2010も同様である。2005、2006は内側の導体と外側の導体を接続する導体である。
図22は図14の実施例の実体図である。図23は図22の正面図、右側面図、左側面図、上面図である。2201、2202は放射器、2203、2204は同心円状の導体A、2205、2206は同心円状の導体B、2207は、導体Aと放射器2201を接続する導線、2208は、導体Bと放射器2201を接続する導線である。2209はアンテナを保持するマスト、2210はコモン電流阻止機能および整合機能を有するモジュール、2211はアンテナと送受信機を接続する同軸フィーダである。
図24は図22に示すアンテナであって、共振周波数がほぼ等しい2つのアンテナを上下に配置したものである。下側の第1のアンテナについては、2401、2402は放射器、2403、2404は同心円状の導体A、2405、2406は同心円状の導体B、2407は、導体Aと放射器2402を接続する導線、2408は、導体Bと放射器2401を接続する導線である。上側の第2のアンテナについては、2411、2412は放射器、2413、2414は同心円状の導体A、2415、2416は同心円状の導体B、2417は、導体Aと放射器2412を接続する導線、2418は、導体Bと放射器2411を接続する導線である。2209はコモン電流阻止機能を有するバラン、2210はアンテナと送受信機を接続する同軸フィーダである。本実施例においては、第2のアンテナと送受信機の間にはインピーダンス変換器は不要であり、第1のアンテナと第2のアンテナの電気磁気結合により等価的にインピーダンス変換を行っている。インピーダンス変換については後述する。
図25は給電点が導体Aまたは導体B上としたアンテナの実施例である。2501は放射器、2503は螺旋状の導体A、2504、2510は導体Bであり、給電点2507、2508を有している。
図26にローディングコイルを用いた本発明の実施例を示す。放射器1601、1602にローディングコイル2601、2602を挿入した実施例を示す。ローディングコイルによりアンテナの給電点から見込んだインピーダンスが容量性である場合に、これをキャンセルしてアンテナを目的の無線周波数に共振させることができる。放射器の長さが十分にとれず、さらに導体A、導体Bの開口面および巻き数が十分にとれない場合に本実施例を適用することができる。逆にアンテナの給電点から見込んだインピーダンスが誘導性である場合は、ローディングコイルの代わりにコンデンサを使用することにより、目的の周波数に共振させることができる。ローディングコイル、コンデンサを挿入することは周知技術であるので説明は省略する。
図19、図20は板状導体A、導体Bの面の垂線が同心円の中心に向いている場合を示しているが、板状導体A、板状導体Bの面の垂線が放射器と並行である場合も同様の効果を得ることができる。このような場合の例として、板状導体A、板状導体Bを基板上に銅箔で描く場合が考えられ、特にVHF帯以上の周波数で製造を簡素化することができる。また、放射器自体も基板上の銅箔で構成することで、アンテナ全体の構造を簡略化することができる。
図46に基板上に放射器および板状導体A、板状導体Bを構成することによる本アンテナの実施例を示す。図46において、4601は放射器、4603は板状導体A、4604は板状導体B、4605、4606は板状導体A、板状導体Bと放射器を接続する導線、4607、4608は給電点、4609は基板である。
図48に基板上に板状導体A、板状導体Bを構成することによる本アンテナの実施例を示す。図48において、4801は放射器、4803は板状導体A、4804は板状導体B、4805、4806は板状導体A、板状導体Bと放射器を接続する導線、4807、4808は給電点、4809、4810は基板である。
2.整合回路について
図27に本発明によるアンテナを送受信機に接続する場合のバランおよび整合回路の実施例を示す。2701はバラン、2702はインピーダンス変換回路、図2703は同軸フィーダである。バラン2701はコモンモード信号を減衰させる効果を有し、インピーダンス変換器2702は、リアクタンス成分が0である時に50Ωに満たない放射抵抗Rfを50Ωに整合させる機能を有する。
バラン2701は共振周波数において十分な減衰量を有するコモンモード除去フィルタである。バランによるコモンモード除去方法は周知技術であるので詳細は省略する。インピーダンス変換器2702に使用されている素子容量と変換特性は次式(式1)により表すことができる。
(式1)
Rf=(ωL)**2/Ra
LCω**2=1、ω=2πf(f:共振周波数)
図28にバランの機能を有したインピーダンス変換器2801の実施例を示す。2802は同軸フィーダである。本実施例がバランの機能を有することについては非特許文献3、44ページ、第2−32図(b)に記載されている。各素子と変換特性の関係は(式1)と同様である。
図29にバランおよび整合回路の他の実施例を示す。2901はバラン機能を有するインピーダンス変換回路である。図29に示す2901はフェライトコアに1:2の巻線数の絶縁導線を巻いたもので、アンテナのインピーダンスを1:4で変換するインピーダンス機能を有するバランである。2902は送受信装置に接続ずる同軸フィーダである。
図24に示す構成では第2のアンテナと送受信機間にインピーダンス変換器は不要である。なぜなら、前述の通り第1のアンテナと第2のアンテナ間の電気磁気特性により等価的な変換器が構成されているためである。図30(1)〜(3)に本アンテナの等価回路を示す。図30(1)の3001は第1のアンテナの等価回路、3002は第2のアンテナの等価回路を示す。3005、3006、3007はそれぞれ第1のアンテナの放射抵抗Rf1、キャパシタンスC1、インダクタンスL1、3009、3008、3010はそれぞれ第2のアンテナの放射抵抗Rf2、キャパシタンスC2、インダクタンスL2、3013は第1のアンテナのインダクタンスL1と第2のアンテナのインダクタンスL2間の相互インダクタンスMである。Mは第1のアンテナと第2のアンテナの相対位置(距離、角度等)により変動する。
図30(2)の3003はL1とL2が相互インダクタンスMを有する場合の等価回路を示す。本図において、第1のアンテナ3001と第2のアンテナ3002は周波数fで共振しているものとすると、L1、L2、C1、C2とfの間には以下の(式2)の関係が成立する。
(式2)
L1C1ω**2=L2C2ω**2=1、ω=2πf(f:共振周波数)
図30(3)は第2のアンテナ3002から第1のアンテナ3001を見た場合、第1のアンテナは等価回路3004となることを示している。なぜなら、共振周波数においては、第1のアンテナのL1、C1は見えなくなり、放射抵抗Rf1がインピーダンス変換器3003により以下の関係式(式3)により変換されて3013のインピーダンスRf3となるからである。
(式3)
Rf3=(ωM)**2/Rf1
図30(3)において、給電点3012から見たインピーダンスRfは、第2のアンテナが共振していることから、L2、C2は見えなくなり、以下となる。
(式4)
Rf=Rf2+Rf3
(式3)(式4)により給電点から第2のアンテナを見込んだインピーダンスを50Ωとするように第1と第2のアンテナの距離等を調整することにより、アンテナと送受信機間のインピーダンス変換器による整合は不要となる。
図25の給電点は導体2504上にある。この場合のアンテナの等価回路は図31(1)〜(3)で表すことができる。3101はアンテナの放射抵抗Rf1、3102はアンテナの等価キャパシタンスC1、3103、3104はアンテナの等価インダクタンスであり、3103は図25の2501、2503、2504から構成されるインダクタンスL1、3104は図25の2510から構成されるインダクタンスL2に相当する。3105はL1とL2間の相互インダクタンスM、3112は2510と2504間のキャパシタンス、3106は給電点である。図31(2)は、インダクタンスL1、L2および相互インダクタンスMを等価回路3107に置き換えたものである。図31(3)は(2)と等価な置き換えを行ったものであり、
(式5)
N=L2−M
により、図31(2)を、放射抵抗Rf、キャパシタンスC1および3108のインダクタンス(L1+L2)から構成されたアンテナの等価回路3110と、Nおよび−Nによるインピーダンス変換器3109と、インダクタンスL2である3111およびキャパシタンスC2に置き換えることができる。
アンテナ3110が周波数fに共振している場合、インピーダンス変換器3109により変換されたインピーダンスRfは、
(式6)
Rf=(ωN)**2/Rf1
C1(L1+L2)ω**2=1、ω=2πf(f:共振周波数)
給電点3106におけるインピーダンスZは
Z=Rf+j(ωL2−1/(ωC2))
となる。これにより、Rfを所定の値に設定しリアクタンス成分を除去するためには、
L2C2ω**2=1
となるL2、C2、Mを調整により追い込む必要がある。具体的には、導体2503、2504、2510の巻数および巻数比、給電点2507、2508の場所を変更することにより行う。
3.本発明の実施例
3.1 インピーダンス変換器で整合をとった場合
図16の形状のアンテナにおいて、
(条件1)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:自由空間
放射器1601、1602合計の長さ:60cm
放射器径:18mmφ
同心円数:5
同心円線径:3mmφ
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
とした時、非特許文献2のMMANAによるシミュレーションで、放射抵抗は1.68Ωとなる。上記と同じ形状で同心円の導体A、導体Bが2重の図17のアンテナの場合、放射抵抗は1.75Ωとなる。前記放射抵抗の値は全ての導線が無損失の場合であるが、導線の材質をアルミ線とすると、図16の形状の場合は3.14Ω、図17の形状の場合は2.59Ωとなる。シミュレーションにおけるアルミ線を使用した場合に図16の形状のアンテナの効率ηは、
(式7)
η=放射抵抗/(放射抵抗+アンテナ損失)=1.68/3.14=0.54
図17の場合の効率は、0.68となる。
図17の形状のアンテナの給電点に図27の2702に示すインピーダンス変換器を用いて導線が無損失で放射抵抗1.75Ωを50Ωに変換する場合、インピーダンス変換器の素子定数は(式6)により、
L=0.071[μH]、C=805[PF]
となる。導線がアルミ線で上記整合回路を用いた場合のMMANAシミュレーションによるVSWR特性を図32(1)に示す。導線にアルミ線を用いた場合、放射抵抗2.59Ωを50Ωに変換する場合、インピーダンス変換器の素子定数は(式6)により、
L=0.086[μH]、C=666[PF]
となる。導線がアルミ線で上記整合回路を用いた場合のMMANAシミュレーションによるVSWR特性を図32(2)に示す。
図20の形状のアンテナにおいて、
(条件2)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上3mかつ地上高8m(図33参照)
放射器2001、2002合計の長さ:60cm
放射器径:18mmφ
同心円状の板状導体幅:40mmφ
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
の場合の損失を含むアンテナ共振点での放射抵抗の実測値は3.1Ωである。図33にシミュレーションに使用した環境条件を示す。3301は図16に示すアンテナ、3302はアンテナを設置したバルコニー上の手摺である。一方、(条件1)の図16の形状のアンテナに実環境の条件をいれ、MMANAシミュレーションで放射抵抗を求めると1.9Ωとなる。これによりアンテナの効率ηは、(式7)より0.61となる。アンテナ長が0.042λの場合に上記効率は極めて高効率といえる。インピーダンス変換器の素子定数をL=0.1[μH]、C=500[PF]とした場合のVSWR特性の実測値を図34に示す。
図14の形状および図22の実体図に示すアンテナにおいて、
(条件3)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上5mかつ地上高10m
放射器1401、1402(2201、2202)合計の長さ:150cm
放射器径:18mmφ
同心円状の導体A、導体B線径:10mmφ(アルミパイプ)
同心円数:2
最小同心円半径:240mm
同心円半径の増分:30mm
給電点位置:放射器中心
とし、インピーダンス変換器の素子定数L=0.185[μH]、C=300[PF]とした時のVSWR特性の実測値を図35に示す。なお、アンテナの共振周波数は、放射器と接続する導体A、または導体Bの内側の円形導体上の点の位置を調整することにより設定する。
3.2 2つのアンテナで整合をとった場合
図24に示すアンテナにおいて、第1のアンテナは、
(条件4)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上5mかつ地上高10m
放射器2401、2402合計の長さ:200cm
放射器径:18mmφ
同心円状の導体A、導体B線径:10mmφ(アルミパイプ)
同心円数:2
最小同心円半径:400mm
同心円半径の増分:30mm
給電点位置:なし
であり、第2のアンテナは前記(条件3)と同様である。第1のアンテナと第2のアンテナの距離は800mmである。第1のアンテナおよび第2のアンテナの共振周波数は、放射器と接続する導体A、または導体Bの内側の円形導体上の点の位置を調整することにより設定する。本実施例によるアンテナのVSWR特性を図36に示す。
3.3 給電点位置を調整して整合をとった場合
図16に示すアンテナにおいて、
(条件5)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:地上高10m
放射器1601、1602合計の長さ:60cm
放射器径:18mmφ
同心円状の導体A、導体B線径:3mmφ(銅線)
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:同心円の最外円の端から0.5周内部に入った点
の場合のシミュレーションによるVSWR特性を図37に示す。
図20に示すアンテナにおいて、
(条件6)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上5mかつ地上高10m
放射器2001、2002合計の長さ:60cm
放射器径:18mmφ
同心円状の板状導体幅:40mmφ(0.1mm厚の銅板)
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:同心円の最外円の端から0.5周内部に入った点
の場合のVSWR特性の実測値を図38に示す。
さらに、図20に示すアンテナにおいて、(条件5)で放射器長、給電点位置を変更した下記条件、
(条件7)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上5mかつ地上高10m
放射器2001、2002合計の長さ:100cm
放射器径:18mmφ
同心円状の板状導体幅:40mmφ(0.1mm厚の銅板)
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:同心円の最外円の端から1周内部に入った点
の場合のVSWR特性の実測値を図39に示す。
図25に示すアンテナにおいて、
(条件8)
周波数:433.0MHz
アンテナ周囲環境:SMAオス−オスコネクタ(22.5mm長)を介してハンディートランシーバに直接接続
放射器2501の長さ:30mm
放射器径:3mmφ(銅線)
導体A、導体B径:3mmφ(銅線)
螺旋形状:直径30mmの円形
螺旋巻数(上):2回
螺旋巻数(下):1回
給電点位置:下側の螺旋状の導体A、導体Bの端から0.25周内部に入った点
の場合のVSWR特性の実測値を図40に示す。
図26に示すアンテナにおいて、
(条件9)周波数:14.0MHz
アンテナ周囲環境:自由空間
放射器1601、1602合計の長さ:60cm
放射器径:18mmφ
導体A、導体B線径:3mmφ
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:同心円の最外円の端から0.3周内部に入った点
ローディングインダクタンス(2601、2602)容量:6μH
ローディングインダクタンス(2601、2602)挿入位置:放射器両端点からセンター方向に10cm入った位置
の場合のシミュレーションによるVSWR特性を図41に示す。なお、全ての導線の損失はないものとして算出した。
図46に示すアンテナにおいて、
(条件10)周波数:433MHz
アンテナ周囲環境:SMAオス−オスコネクタ(22.5mm長)を介してハンディートランシーバに直接接続
放射器4601の長さ:35mm
放射器形状:6mm×35mm×0.08mm
導体A、導体B厚さ:0.08mm(銅箔)
導体A、導体B幅:2mm
同心円状の導体A巻数:3.25回
同心円状の導体B巻数:2回
導体A、導体Bの階層間の半径の差:5mm
給電点位置:導体Bの外側端点から0.25周内部に入った点
基板の厚さ:1.4mm
基板の材質:紙
の場合のVSWR特性の実測値を図47に示す。
図48に示すアンテナにおいて、
(条件11)周波数:436MHz
アンテナ周囲環境:SMAオス−オスコネクタ(22.5mm長)を介してハンディートランシーバに直接接続
放射器4601の長さ:35mm
放射器形状:35mm×5mmφ
導体A、導体B厚さ:0.08mm(銅箔)
導体A、導体B幅:2mm
同心円状の導体A巻数:2.7回
同心円状の導体B巻数:2回
同心円状の導体A最小半径:10mm
同心円状の導体B最小半径:15mm
導体A、導体Bの階層間の半径の差:5mm
給電点位置:導体Bの外側端点から0.25周内部に入った点
基板の厚さ:1.4mm
基板の材質:紙
の場合のVSWR特性の実測値を図48に示す。
3.4 放射器長がλ/40以下である場合
図16の形状のアンテナにおいて、
(条件12)
周波数:21.0MHz
アンテナ周囲環境:自由空間
放射器1601、1602合計の長さ:36cm
放射器径:18mmφ
同心円状の導体A、導体B線径:3mmφ
同心円数:5
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
の場合のシミュレーションによると、放射抵抗は約0.6Ωとなり、放射器および導体A、導体Bに流れる電流は極めて大きくなる。このため、放射器から変動電界による電磁波以外に導体A、導体Bから変動磁界により電磁波も放射される。磁界放射は微小ループに流れる電流により生成され、その場合の指向性は微小ループが作る面の方向に最大となる。本実施例においては、異なる2つのループからの磁界放射の合成となる。ループに流れる電流が逆方向である場合には互いに打ち消し合い磁界放射がゼロとなるため、ループに流れる電流の方向を同一方向とする必要がある。磁界放射によるアンテナの指向性は導体A、導体Bが作る面の方向に最大となり、放射器により放射される電磁波の方向とほぼ等しい方向で最大となる。図42に指向特性を示す。レイリーフェージング下においては、電界最小点で磁界最大点となるため、本アンテナはレイリーフェージングによる音質劣化を改善させる可能性を有している。
3.5 周波数調整を容易にしたアンテナの実施例
図16に示すアンテナの導線1605を導体Aの端点ではなく、端点から角度θだけ右回り(放射器方向から見た場合)に移動した点に接続した場合、(条件1)での共振周波数の変動特性を図43に示す。構造的に放射器と導体A、導体Bの接続点を変更できるようにすることにより、共振周波数の調整を容易にすることができる。
図16に示すアンテナの導体A603の先端にロッドアンテナのような伸縮可能な導体4401を接続した場合の実施例を図44に示す。図45において(条件1)で導体4401の長さを変更したときのアンテナの共振周波数の関係を図45に示す。ロッドアンテナの長さを調整することにより共振周波数の調整を容易にすることができる。
3.6
ヘアピンマッチによる整合回路を用いたアンテナの実施例
図50にヘアピンマッチを用いた場合の実施例を示す。図50において、5001、5002は放射器、5003、5004は放射器に接続された板状導体であり、図20、図21に示すアンテナと同様の構造を有している。5006は給電点5007、5008に接続されたヘアピンマッチのコイル素子、5006はインダクタンス成分を除去するコンデンサ素子、5009はバラン、5010は送受信装置との接続端子である。
具体的には図50に示す形状のアンテナにおいて以下の条件13を満足する。
(条件13)
周波数:7.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上1mかつ地上高6m
放射器5001、5002合計の長さ:100cm
放射器径:18mmφ
同心円状の板状導体幅:40mmφ(0.1mm厚の銅板)
同心円数:10
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
ヘアピンマッチ:外周長53cmである円形コイル(5005)を給電点5007、5008に接続し、リアクタンス成分除去コンデンサ(5006)330PFを接続
上記条件における端子5010から見込んだVSWRの実測値を図51に示す。図51の横軸は周波数、縦軸はVSWRである。
図52にヘアピンマッチの等価回路を示す。図52においてL2(5204)はヘアピンマッチのコイル素子のインダクタンス、M(5205)はアンテナのインダクタンスL1(5203)とL2(5204)の間の相互インダクタンスである。図52の等価回路は図31に示す回路動作と同等であるので説明は省略する。なお、ヘアピンマッチのコイル素子のインダクタンスを大きくとることにより、リアクタンス成分がゼロでかつインピーダンス成分を50Ωとすることができる場合があり、この場合にはコンデンサC2(5006)を不要とすることができる。
図53にヘアピンマッチを用いた本発明によるアンテナの他の実施例を示す。5301、5302は放射器で、絶縁性の固定具5309により、マスト5311に固定されている。5303、5304は渦巻状の板状導体で、巻階層毎に中心面を挟んで交互に配置されている。5305、5306は放射器と渦巻状の板状導体とを接続する導線、5307、5308はアンテナの給電点、5310はヘアピンマッチ用のループ状インダクタンス、5312はバラン、5313はリアクタンス成分除去用コンデンサ、5314は送受信機との接続点である。
本実施例においては、以下の条件を設定する。
(条件14)
周波数:7.0MHz
アンテナ周囲環境:バルコニー手摺上5mかつ地上高10m
放射器5301、5302合計の長さ:100cm
放射器径:18mmφ
渦巻状の板状導体幅:40mmφ(0.1mm厚の銅板)
渦巻の巻数:9回
最小渦巻半径:56mm
渦巻の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
ヘアピンマッチ:外周長53cmである円形コイル(5310)を給電点5307、5308に接続し、リアクタンス成分除去コンデンサ(5313)220PFを接続
板状導体と放射器間の距離:板状導体の開口面に並行な中心面と放射器間距離は10cm
本アンテナの上記条件における端子5314から見込んだVSWRの実測値を図54に示す。図54の横軸は周波数、縦軸はVSWRである。
4.短縮ダイポールと本発明によるアンテナの特性比較
以下の条件の場合の短縮ダイポールアンテナと本発明によるアンテナについて検討する。
(条件15)短縮ダイポールの形状
周波数:7.0MHz
アンテナ周囲環境:自由空間
放射器の長さ:50cm、1m、2m、4m、8m
放射器径:18mmφ
給電点位置:放射器中心
共振周波数調整用インダクタンス挿入位置:給電点に挿入
ラジエータ、ラジアルそれぞれの共振周波数調整用インダクタンス値:
放射器長 インダクタンス値
50cm 99.3μH
1m 63.9μH
2m 39.0μH
4m 22.5μH
8m 11.6μH
共振周波数調整用インダクタンスのQ:300、1200
(条件16)本発明によるアンテナの形状(図16)
周波数:7MHz付近
アンテナ周囲環境:自由空間
放射器1601、1602合計の長さ:50cm、1m、2m、4m、8m
放射器径:18mmφ
同心円状の導体A、導体B線径:10mmφ
同心円数:10
最小同心円半径:56mm
同心円半径の増分:28mm
給電点位置:放射器中心
導体A、導体Bの抵抗値(測定値を参考にして仮定):1.2Ω
上記条件における短縮ダイポールアンテナと図16の形状の本発明によるアンテナの放射抵抗のシミュレーション結果を図55、図56に、アンテナ効率を図57、図58に示す。図中、CESは本発明によるアンテナであり、BL−DPは短縮ダイポールアンテナである。図55の横軸は放射器長の波長比率であり、縦軸は放射抵抗である。図56の横軸は放射器長の波長比率を0.01を基準として底が10の対数で表したものであり、縦軸は10mΩを基準として底が10の対数で表したものである。図55、図56により、表示した波長の範囲では短縮ダイポールの放射抵抗は本発明によるアンテナの放射抵抗の約1/4程度であり、放射抵抗は放射器の長さの2乗に比例して変化することがわかる。
図57の横軸は放射器長の波長比率であり、縦軸はアンテナの放射効率である。図58の横軸は放射器長の波長比率を0.01を基準として底が10の対数で表したものであり、縦軸は0.01%を基準として底が10の対数で表したものである。図57により、放射器の長さが0.18波長以下の範囲で本発明によるアンテナの効率が短縮ダイポールの効率を上回っている。図58により、放射器長が短くなるほど本発明によるアンテナの効率と短縮ダイポールの効率の比率が拡大することがわかる。
201 ベースローディングコイルによる短縮アンテナ
202 ミドルローディングコイルによる短縮アンテナ
203 トップローディングのキャパシティーハットとベースローディングコイルを用いた短縮アンテナ
204 トップローディングのキャパシティーハットとミドルローディングコイルを用いた短縮アンテナ
205トップローディングのキャパシティーハットとトップローディングコイルを用いた短縮アンテナ
206 放射器
207 ローディングコイル
208 ホット側給電点
209 コールド側給電点
210 キャパシティーハット
401、501、601、701、801、901、1001、1101、1201、1301、1401、1501、1601、1701、1801、2001、2201、2401,2411、2501、402、502、602、702、802、902、1002、1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702、1802、2002、2202、2402、2412、2501、5001、5002、5301、5302 放射器
403、404、1303、1304 円形の導体A、導体B
503、504、2503、2504、2510 螺旋状導体A、導体B
603、604 渦巻状導体A、導体B
703、704 四角形状の導体A、導体B
803、804 四角形かつ螺旋状の導体A、導体B
903、904 四角形かつ渦巻状の導体A、導体B
1003、1004 八角形状の導体A、導体B
1103、1104 八角形かつ螺旋状の導体A、導体B
1203、1204 八角形かつ渦巻状の導体A、導体B
1403、1404、1603、1604、2203、2204、2205、2206、2403、2404、2405、2406、2413、2414、2415、2416 同心円状の導体A、導体B
1503、1504 放射器に平行に配置された螺旋状導体A、導体B
1703、1704 内側に配置された同心円状の導体A、導体B
1709、1710 外側に配置された同心円状の導体A、導体B
1803、1804 同心円状の板状導体
2003、2010 内側に配置された同心円状の板状導体
2004、2009 外側に配置された同心円状の板状導体
405、406、505、506、605、606、705、706、805、806、905、906、1005、1006、1105、1106、1205、1206、1405、1406、1605、1606、1609、1610、1705、1706、1711、1712、2206、2207、2407、2408、2417、1418、5305、5306 導線
1805、1806、2005、2006 導体板
407、408、507、508、607、608、707、708、807、808、907、908、1007、1008、1107、1108、1207、1208、1307、1308、1407、1408、1507、1508、1607、1608、1707、1708、1807、1808、2007、2008、2507、2508、5007、5008、5307、5308 給電点
2209、2419 アンテナ支持マスト
2210 バラン兼インピーダンス変換器
2211、2410、2703、2802、2902 同軸フィーダ
2409、2701 バラン
2702 インピーダンス変換回路
2801 バラン兼インピーダンス変換回路
2901 バラン兼インピーダンス変換器
3001 第1のアンテナの等価回路
3002 第2のアンテナの等価回路
3003 L1とL2間の相互インダクタンスMの等価回路
3004 第1のアンテナの共振周波数における等価回路
3005 第1のアンテナの放射抵抗Rf1
3006 第1のアンテナのキャパシタンスC1
3007 第1のアンテナのインダクタンスL1
3008 第2のアンテナのキャパシタンスC2
3009 第2のアンテナの放射抵抗Rf2
3010 第2のアンテナのインダクタンスL2
3011 L1とL2間の相互インダクタンスM
3012 第2のアンテナの給電点
3013 インピーダンス変換後の第1のアンテナの放射抵抗
3101、5201 アンテナの放射抵抗Rf1
3102、5202 アンテナのキャパシタンスC1
3103、5203 給電点から放射器側のアンテナのインダクタンスL1
3104 給電点から放射器の逆側のアンテナのインダクタンスL2
3105、5205 L1とL2間の相互インダクタンスM
3106 給電点
3107、5207 L1、L2、Mの等価回路
3108、5208 アンテナのインダクタンス(L1+L2)
3109、5209 等価回路3107を(N=L2−M)で置き換えた場合のN成分のみのインピーダンス変換回路
3110、5210 アンテナの等価回路
3111 N成分のみのインピーダンス変換回路3109を構成した場合に出力側に得られたインダクタンスL2
3112 導体A、導体B間のキャパシタンスC2
3301 条件2、3、6、7の場合のアンテナ
3302 条件2、3、6、7の場合のバルコニーの手摺
4401 伸縮可能な導体
4601、4801 放射器
4603、4604、4803、4804 板状の導体
4605、4606、4805、4806 導線
4607、4608、4807、4808 給電点
4609、4809、4810 紙製のアンテナ支持基板
5003、5004 板状導体を内側、外側に交互に配置した同心円状の円形導体
5005、5204、5310 ヘアピンマッチのためのインダクタンス素子
5006、5313 ヘアピンマッチのリアクタンス成分をキャンセルするためのコンデンサ
5009、5312 バラン
5206、5314 送受信装置との接続端子
5211 N成分のみのインピーダンス変換回路3209を構成した場合に出力側に得られたインダクタンスL2
5212 L2をキャンセルするためのキャパシタンスC2
5213、5214 アンテナの給電点
5303、5304 開口面と平行な中心面を挟んで階層毎に交互に配置した渦巻状の板状導体
5309 放射器をアンテナ起立用マストに取付けるための絶縁性の固定具
5311 アンテナ起立用マスト

Claims (1)

  1. 線状、棒状、筒状、または板状の導体(以下、放射器という。)と、
    両端が開放されている巻き数が1より大きい回旋状の、異なる2の導体(以下、導体A、導体Bという。)とから構成され、
    前記導体Aの中心部分に近い側の端子と放射器の先端(以下、端点1という。)が直接に又は導線で接続され、
    前記導体Bの中心部分に近い側の端子と放射器の先端(以下、端点2という。)が直接に又は導線で接続され、
    放射器の中心点を給電点として、
    上記給電点からアンテナを見込んだインピーダンスを特定の無線通信周波数に共振するように導体1および導体2の巻き数を設定したことを特徴とする無線通信用アンテナにおいて、
    回旋状の導体Aおよび導体Bが同心形状の導体であって
    導体Aについては開口面の形状が円形、楕円形、多角形、またはそれらの合成、あるいはそれらをゆがめた形状の閉ループの導体の一カ所に、端点が端点APi、端点AQiである切込みをいれたi=2,・・・,nであるn個(nは2以上の整数)の大きさの異なる相似形状であって開口面および中心を概略一致させて配置した複数の導体(導体A1、・・・、導体Anという。以下同じ。)を、切込み部分を近接して配置し、端点AP(i−1)と端点AQiをi=2,・・・,nについて接続した導体であり、
    導体Bについては開口面の形状が円形、楕円形、多角形、またはそれらの合成、あるいはそれらをゆがめた形状の閉ループの導体の一カ所に、端点が端点BPj、端点BQjである切込みをいれたj=2,・・・,mであるm個(mは2以上の整数)の大きさの異なる相似形状であって開口面および中心を概略一致させて配置した複数の導体(導体B1、・・・、導体Bmという。以下同じ。)を、切込み部分を近接して配置し、端点BP(j−1)と端点BQjをj=2,・・・,mについて接続した導体であることを特徴とする無線通信用アンテナ。
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