JP5847435B2 - 研磨ヘッド、および、研磨装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1の研磨装置の研磨ヘッドには、第1エアバッグと第2エアバッグとが設けられている。第1エアバッグは、リテーナリングを保持するリテーナフレームと、シャフトに設けられたフレームとの間に設けられている。また、第2エアバッグは、ウェーハチャックと、リテーナフレームとの間に設けられている。
このような構成により、ウェーハチャックとリテーナリングとを、回転駆動軸に沿って、独立的に移動させることが可能となり、第1エアバッグおよび第2エアバッグの圧力の調整により、研磨パッドにウェーハを押し付ける圧力を調整することができる。また、リテーナリングを研磨パッドに押し付けた状態で研磨する(以下、リテーナ有り研磨と称す)と、リテーナリングを研磨パッドから離間させた状態で研磨する(以下、リテーナ無し研磨と称す)とを容易に切り替えることができる。
また、特許文献1の研磨ヘッドには、研磨中に、ウェーハチャックとリテーナリングとの隙間を一定の範囲に保つようなメカストッパが設けられている。
このため、リテーナ保持部材の上昇量が上昇量規定手段で規定された最大上昇量となるように、第1加圧室の圧力を調整するだけの簡単な方法で、リテーナ無し研磨におけるリテーナパッド間隙間を、予め規定された大きさに設定することができる。
また、リテーナリングの摩耗により、摩耗前の研磨条件を維持するとリテーナパッド間隙間が摩耗前よりも大きくなってしまうような場合には、上昇量規定手段で規定される最大上昇量の大きさを摩耗前よりも小さくすることにより、リテーナパッド間隙間を摩耗前とほぼ等しくすることができる。したがって、リテーナ無し研磨中にウェーハが飛び出すことを防止するために、リテーナリングを交換する必要がなく、リテーナリングの長寿命化を図ることができる。また、被係止部あるいは係止部の突出量を調整するだけの簡単な方法で、リテーナ保持部材の最大上昇量を調整することができる。さらに、リテーナ有り研磨を行う場合には、係止部が収容凹部に収容されるまで、セラミックチャックに対してリテーナ保持部材を下降させることで、リテーナリングを研磨パッドに十分に押し付けることができ、エッジロールオフ量を適切に制御することができる。また、係止部の厚さ寸法を小さくしなくても、セラミックチャックに対してリテーナ保持部材を下降させることができるので、係止部の剛性を十分に確保でき、上昇量規定手段の長寿命化を図れる。
[ウェーハの研磨装置の構成]
図1に示すように、研磨装置1は、スラリーを用いて直径寸法が300mmのウェーハWの表面を複数段階的に研磨する枚葉式の装置である。具体的には、研磨装置1は、ウェーハWの粗研磨処理、この粗研磨処理よりも細かい粗さで研磨する第1仕上げ研磨処理、この第1仕上げ研磨よりも細かい粗さで研磨する第2仕上げ研磨処理を実施する装置である。なお、直径寸法が300mm以外のウェーハWを対象とした研磨装置1としてもよい。
この研磨装置1は、図1に示すように、箱状の筐体20に設けられた研磨処理部2と、この研磨処理部2の上方に設けられたウェーハ保持回転部3と、このウェーハ保持回転部3に設けられた研磨ヘッド4とを備える。
定盤222の上面には、研磨パッド223が設けられている。粗研磨スラリー供給部は、研磨パッド223の研磨面に、粗研磨用のスラリーを適宜供給する。リンス液供給部は、研磨面に、ウェーハWの被研磨面をリンスするためのリンス液を適宜供給する。
第2仕上げ研磨部24は、定盤回転駆動手段221と、定盤222と、研磨パッド223の研磨面に第2仕上げ研磨用のスラリーを供給する第2仕上げ研磨スラリー供給部と、リンス液供給部とを備える。
なお、定盤回転駆動手段221とヘッド回転駆動手段33とにより、本発明の回転駆動手段が構成されている。
ウェーハチャック41は、ウェーハWと略等しい直径寸法を有する略円板状に形成されている。このウェーハチャック41には、当該ウェーハチャック41の上面中央と、下面中央および下面外縁近傍の複数箇所とを連通するチャック孔411が開口形成されている。
また、ウェーハチャック41の下面には、多孔質樹脂材により略円板状に形成されたバッキングパッド46が設けられている。このバッキングパッド46におけるチャック孔411に対応する位置には、パッド孔461が設けられている。
リテーナリング47は、例えばアルミナなどの材質により、内径寸法がウェーハチャック41の直径寸法と略等しいリング状に形成され、ウェーハチャック41を囲むように設けられている。また、リテーナリング47の内周面には、樹脂で形成された樹脂リング471が設けられている。
このような構成により、ウェーハチャック41とリテーナ保持部材42と第1ダイアフラム48とで、内部圧力を調整可能な第1加圧室P1が形成される。
シャフト部431の下端面には、当該下端面を略閉塞する閉塞部材433が設けられている。この閉塞部材433には、上下を貫通する第2孔434が設けられている。
回転フレーム部432の直径寸法は、ウェーハチャック41およびリテーナ保持部材42の直径寸法よりも小さく設定されている。
このような構成により、リテーナ保持部材42と回転軸部材43と第2ダイアフラム49とで、内部圧力を調整可能な第2加圧室P2が形成される。
チャック管50は、閉塞部材433およびリテーナ保持部材42を貫通するように設けられ、その下端側が、ウェーハチャック41のチャック孔411内に固定されている。また、チャック管50の上端には、チャック吸引部53が接続されている。このチャック吸引部53は、チャック管50、チャック孔411、および、パッド孔461の内部を吸引して真空にすることにより、バッキングパッド46を介してウェーハチャック41でウェーハWを吸引保持させる。
第1圧力管51は、閉塞部材433を貫通するように設けられ、その下端側がリテーナ保持部材42の第1孔421内に固定されている。また、第1圧力管51の上端には、第1加圧調整手段54が接続されている。この第1加圧調整手段54は、第1圧力管51を介して、第1加圧室P1内部の圧力を調整する。
第2圧力管52の下端側は、閉塞部材433の第2孔434内に固定されている。また、第2圧力管52の上端には、第2加圧調整手段55が接続されている。この第2加圧調整手段55は、第2圧力管52を介して、第2加圧室P2内部の圧力を調整する。
被係止部441の下端には、当該被係止部441の全周にわたって研磨ヘッド4の外側に向けて突出する、被係止突部442が設けられている。この被係止部441は、上昇量調整手段45により、リテーナ保持部材42からの突出量を調整可能に、かつ、被係止突部442が後述する係止突部444の下方に位置するように固定されている。
係止部443の上端には、当該係止部443の全周にわたって研磨ヘッド4の中央に向けて突出する、係止突部444が設けられている。係止部443は、ねじ445によりウェーハチャック41の外縁近傍に固定されている。
そして、被係止部441の被係止突部442の上面と係止突部444の下面とが接触することにより、被係止部441が係止部443で係止される。なお、被係止突部442および係止突部444は、互いに接触可能であれば、被係止部441や係止部443の外周方向に沿って所定間隔で複数設けてもよい。
そして、上昇量調整手段45は、スピンドル453がリテーナ保持部材42に設けられた孔に挿通されており、スピンドル453の先端で被係止部441を保持している。また、スピンドル453が挿通されている孔の上端側には、スピンドル453の外周面に密接する円環状のシール454が嵌め込まれている、このシール454の上面にスリーブ451の下端が当接することで、上昇量調整手段45がリテーナ保持部材42の上面に位置決めされている。そして、シール454により、スピンドル453が上下に進退した場合でも、第1加圧室P1や第2加圧室P2の気密性を保持できるようになっている。
次に、上述の研磨装置1の作用として、ウェーハWの研磨方法について説明する。
ここで、研磨装置1の粗研磨部22での粗研磨は、リテーナ有り研磨で行われ、第1仕上げ研磨部23での第1仕上げ研磨および第2仕上げ研磨部24での第2仕上げ研磨は、リテーナ無し研磨で行われる。また、詳しくは後述するが、上昇量調整手段45は、リテーナ無し研磨を行う工程において、リテーナリング47が摩耗したときに有効に作用する。
以上のことから、まず、新品のリテーナリング47を用いたとき(47が摩耗していないとき)の粗研磨および第1仕上げ研磨について説明し、その後、リテーナリング47が摩耗したときの第1仕上げ研磨について説明し、他の研磨については説明を簡略にする。
まず、作業者は、事前準備として、上昇量調整手段45の調整により被係止部441を所定位置に位置決めするとともに、リテーナ保持部材42に新品のリテーナリング47を取り付ける。
そして、研磨装置1は、作業者の操作に基づき、支持体32を下降させるとともにチャック吸引部53を駆動して、研磨ヘッド4のウェーハチャック41で洗浄部21上のウェーハWを吸引保持する。次に、支持体32を上昇させた後、支持体32を90°回転させて、ウェーハWを保持している研磨ヘッド4を粗研磨部22の上方に位置させる。
研磨装置1は、粗研磨を行う際に、第1加圧調整手段54を制御して、係止部443が収容凹部422内に収容され、かつ、係止部443の上面が収容凹部422の上面に接触するように、第1加圧室P1内の圧力を調整する。すなわち、ウェーハチャック41に対するリテーナ保持部材42の下降量が最も大きくなるように、第1加圧室P1内の圧力を調整する。
このような調整により、リテーナ保持部材42で保持されているリテーナリング47の下面は、ウェーハチャック41で保持されているウェーハWの下面とほぼ等しい高さに位置することになる。
さらに、研磨装置1は、第2加圧調整手段55を制御して、ウェーハWおよびリテーナリング47の両方が所定の圧力で研磨パッド223に押し付けられるように、第2加圧室P2内の圧力を制御する。
研磨装置1は、粗研磨が終了すると、研磨ヘッド4の回転を停止させるとともに、ウェーハWを保持させたまま研磨ヘッド4を上昇させる。そして、支持体32を90°回転させて、当該研磨ヘッド4を第1仕上げ研磨部23の上方に位置させる。
研磨装置1は、粗研磨が行われたウェーハWが第1仕上げ研磨部23の上方に位置すると、第1仕上げ研磨を行うために、第1加圧調整手段54を制御して、被係止部441が係止部443で係止されるように、第1加圧室P1内の圧力を調整する。すなわち、ウェーハチャック41に対するリテーナ保持部材42の上昇量が最大上昇量となるように、第1加圧室P1内の圧力を調整する。
このような調整により、リテーナ保持部材42で保持されているリテーナリング47の下面は、ウェーハチャック41で保持されているウェーハWの下面よりも上方に位置することになる。
さらに、研磨装置1は、第2加圧調整手段55を制御して、ウェーハWのみが所定の圧力で研磨パッド223に押し付けられるように、第2加圧室P2内の圧力を制御する。
ここで、リテーナ無し研磨、すなわち第1仕上げ研磨および第2仕上げ研磨において、リテーナリング47と研磨パッド223との間に形成されるリテーナパッド間隙間Dの間隔寸法Dhは、ウェーハWの厚さ寸法の半分以下とすることが好ましい。間隔寸法DhがウェーハWの厚さ寸法を超える場合には、研磨中に、リテーナリング47と研磨パッド223との間からウェーハWが飛び出してしまうおそれがあるからである。なお、間隔寸法Dhの具体的な範囲としては、50μm以上400μm以下が例示できる。
作業者は、リテーナリング47が摩耗することにより、例えば図7に示すように、間隔寸法Dhが大きくなり、リテーナ無し研磨中にウェーハWが飛び出してしまうおそれがある場合に、上昇量調整手段45のシンブル452を回転させて被係止部441を上昇させる。これにより、ウェーハチャック41に対するリテーナ保持部材42の最大上昇量が、小さくなる。
なお、リテーナリング47が摩耗する主な要因は、リテーナ有り研磨中に、スラリーと研磨パッド223とにより削られることであるが、リテーナ無し研磨中に、リテーナリング47の内外に移動するスラリーによっても削られる。
上述したような本実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)研磨装置1に、ウェーハチャック41に対するリテーナ保持部材42の最大上昇量を規定するメカストッパ44とともに、当該最大上昇量を調整する上昇量調整手段45を設けている。
このため、リテーナリング47が摩耗した場合でも、上昇量調整手段45にてリテーナ保持部材42の最大上昇量を摩耗前よりも小さくすることにより、リテーナパッド間隙間Dを摩耗前とほぼ等しくすることができる。したがって、リテーナ無し研磨中にウェーハWが飛び出すことを防止するために、リテーナリング47を交換する必要がない。
このため、上昇量調整手段45のシンブル452を回転させて、被係止部441のリテーナ保持部材42からの突出量を調整するだけの簡単な方法で、リテーナ保持部材42の最大上昇量を高精度に調整することができる。
このため、リテーナ有り研磨を行う際には、係止部443の上面が収容凹部422の上面に接触するように第1加圧室P1内の圧力を調整することで、リテーナリング47をウェーハWとともに研磨パッド223に十分に押し付けることができ、エッジロールオフ量を適切に制御することができる。また、係止部443の厚さ寸法を小さくしなくても、ウェーハチャック41に対してリテーナ保持部材42を十分に下降させることができるので、係止部443の剛性を十分に確保でき、メカストッパ44の長寿命化を図れる。
このため、上昇量調整手段45により制限されるリテーナ保持部材42の上昇位置をウェーハWの外周方向に沿ってほぼ等しくすることができ、当該外周方向に沿ったリテーナパッド間隙間Dの大きさもほぼ等しくすることができる。よって、リテーナ無し研磨後のウェーハWにおける外周方向に沿ったエッジ形状のばらつきを、抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々の改良および設計の変更などが可能である。
すなわち、本発明の上昇量規定手段としては、被係止部441と係止部443との係止により制限する構成に限らず、例えば両端をウェーハチャック41とリテーナ保持部材42とに固定したテープ状の部材を適用し、当該テープ状の部材が伸びきった状態を、リテーナ保持部材42の最大上昇量として規定してもよい。このような構成における上昇量調整手段としては、例えばテープ状の部材におけるリテーナ保持部材42に固定される位置を変更するためのねじが例示できる。
なお、図9に示す構成において、ウェーハチャック41と係止部443との間にシム451Aを挟むことで、リテーナ保持部材42の最大上昇量を調整してもよい。
また、被係止部441をブロック状にした場合、被係止突部442を被係止部441の外周方向全体にわたって設けた部材と、ねじとを一体化した部品を準備し、当該部品のリテーナ保持部材42への螺合状態により、当該部品のリテーナ保持部材42からの突出量を調整する構成としてもよい。
4…研磨ヘッド
41…ウェーハチャック
42…リテーナ保持部材
43…回転軸部材
44…上昇量規定手段としてのメカストッパ
45,45A…上昇量調整手段
47…リテーナリング
48…第1隔壁としての第1ダイアフラム
49…第2隔壁としての第2ダイアフラム
54…第1加圧調整手段
55…第2加圧調整手段
221…回転駆動手段を構成する定盤回転駆動手段
222…定盤
223…研磨パッド
422…収容凹部
441…被係止部
443…係止部
P1…第1加圧室
P2…第2加圧室
W…ウェーハ
Claims (3)
- ウェーハを保持するウェーハチャックと、
前記ウェーハチャックを囲むリテーナリングを保持し、前記ウェーハチャックの上方に設けられたリテーナ保持部材と、
前記リテーナ保持部材の上方に設けられた回転軸部材と、
前記ウェーハチャックと前記リテーナ保持部材とを接続し、内部圧力を調整可能な第1加圧室を、前記ウェーハチャックと前記リテーナ保持部材とにより形成する第1隔壁と、
前記リテーナ保持部材と前記回転軸部材とを接続し、内部圧力を調整可能な第2加圧室を、前記リテーナ保持部材と前記回転軸部材とにより形成する第2隔壁と、を有する研磨ヘッドにおいて、
前記ウェーハチャックに対する前記リテーナ保持部材の最大上昇量を規定する上昇量規定手段と、
前記上昇量規定手段で規定される最大上昇量を調整する上昇量調整手段と、を備え、
前記上昇量規定手段は、前記リテーナ保持部材の下面から下方に突出する被係止部と、前記ウェーハチャックの上面から上方に突出し、前記被係止部を係止する係止部と、を備え、
前記被係止部は、前記係止部側に突出する被係止突部を備え、
前記係止部は、前記被係止部側に突出し前記被係止突部の上面に接触する係止突部を備え、
前記上昇量調整手段は、前記被係止部の突出量を調整することで、最大上昇量を調整できるように構成され、
前記リテーナ保持部材の下面には、当該リテーナ保持部材の上面側に凹む形状に形成され、前記被係止部が前記下面に接触するまで突出量が調整されたときに前記係止部が収容可能な収容凹部が設けられていることを特徴とする研磨ヘッド。 - 請求項1に記載の研磨ヘッドにおいて、
前記上昇量規定手段は、前記回転軸部材の回転方向に沿って等しい間隔で複数設けられていることを特徴とする研磨ヘッド。 - 請求項1または請求項2に記載の研磨ヘッドと、
研磨パッドが設けられた定盤と、
前記研磨ヘッドと前記定盤とを相対的に回転させる回転駆動手段と、
前記第1加圧室の圧力を調整する第1加圧調整手段と、
前記第2加圧室の圧力を調整する第2加圧調整手段と、を備えることを特徴とする研磨装置。
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