JP5846614B1 - 内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置 - Google Patents

内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コンパクト化を図り易いカム軸位相連続可変駆動装置を提供する。【解決手段】カム軸駆動ギア4とカム軸5との間に配置された一対のベベルギア11,12と、ベベルギア11,12の中央円孔11a,12aを貫通し、カム軸駆動ギア4とカム軸5とをヘリカルスプライン結合により連結させる連結軸3と、ベベルギア11,12の間に噛合されるベベルピニオン13と、ベベルギア11,12の回転を減速させるベベルギア用電磁ブレーキ16,17と、を備え、中央円孔11a内には右雌ねじ11bを形成し、中央円孔12a内には左雌ねじ12bを形成し、連結軸3の外周には、第1ベベルギア11の右雌ねじ11bに螺合する右雄ねじ23と、第2ベベルギア12の左雌ねじ12bに螺合する左雄ねじ24とを形成し、連結軸3のうちベベルギア11,12同士の間に位置し得る箇所には、右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重畳して形成した。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置に関する。
従来、内燃機関においては、カム軸位相連続可変駆動装置を用いてカム軸の回転位相を進角ないしは遅角方向に変更し、これにより吸気バルブおよび排気バルブの開閉タイミングを調整して、燃費並びにエミッションの向上、トルク−回転特性の向上を図ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−279632号公報
ところで、自動車のエンジンルーム等のように、内燃機関の配置空間の広さは限られている場合が多く、このためカム軸位相連続可変駆動装置のコンパクト化が望まれる。しかしながら、特許文献1に記載のカム軸位相連続可変駆動装置においては、内燃機関のクランク軸と連動するカム軸駆動ギアを一対のベベルギアの間に配置しているため、カム軸位相連続可変駆動装置がカム軸駆動ギアよりも外方へ突出してしまう。この結果、カム軸位相連続可変駆動装置のコンパクト化を図り難い。
そこで、カム軸駆動ギアをベベルギアの間から外れた位置に配置してベベルギア同士の離間距離を狭めようとすることが考えられるが、連結軸のうち一方のベベルギアに噛合する箇所が他方のベベルギアには噛合できないため、連結軸の軸方向の移動範囲が制限されてしまい、カム軸の回転位相の変更を十分に行うことができない。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンパクト化を図り易いカム軸位相連続可変駆動装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、内燃機関のクランク軸側から伝動車に受けた回転力によりカム軸を回転し、該カム軸の回転位相を変更するカム軸位相連続可変駆動装置において、
前記伝動車とカム軸との間に配置され、ギア面が対向する状態で回転自在に支承された一対のベベルギアと、
前記ベベルギア毎にそれぞれ開設された中央円孔を貫通し、伝動車とカム軸とをヘリカルスプライン結合により連結させる連結軸と、
前記ベベルギアの対向するギア面同士の間に噛合されるベベルピニオンと、
前記ベベルギア毎にそれぞれ付設され、ベベルギアの回転を減速させるベベルギア用ブレーキ手段と、
を備え、
一方のベベルギアの中央円孔内には右雌ねじを形成し、他方のベベルギアの中央円孔内には左雌ねじを形成し、
前記連結軸の外周には、一方のベベルギアの右雌ねじに螺合する右雄ねじと、他方のベベルギアの左雌ねじに螺合する左雄ねじとを形成し、
前記連結軸の外周のうち少なくともベベルギア同士の間に位置し得る箇所には、前記右雄ねじと前記左雄ねじとを重畳して形成したことを特徴とする内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置である。
請求項2に記載のものは、前記ベベルギア用ブレーキ手段は、電磁ブレーキからなることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置である。
請求項3に記載のものは、前記各ベベルギアには、歯数が互いに異なる一対のリングギアにプラネタリギアを噛合して構成される不思議遊星歯車機構をそれぞれ備え、
該不思議遊星歯車機構は、前記一対のリングギアの一方をベベルギアへ共回りする状態で接続し、他方のリングギアにはリングギア用ブレーキ手段を付設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置である。
請求項4に記載のものは、前記ベベルギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を変更する粗位相決め動作と、
該粗位相決め動作の後にリングギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を粗位相決め動作よりも遅い速度で変更する精密位相決め動作と、
を実行することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置である。
請求項5に記載のものは、前記リングギア用ブレーキ手段は、電磁ブレーキからなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、前記伝動車とカム軸との間に配置され、ギア面が対向する状態で回転自在に支承された一対のベベルギアと、前記ベベルギア毎にそれぞれ開設された中央円孔を貫通し、伝動車とカム軸とをヘリカルスプライン結合により連結させる連結軸と、前記ベベルギアの対向するギア面同士の間に噛合されるベベルピニオンと、前記ベベルギア毎にそれぞれ付設され、ベベルギアの回転を減速させるベベルギア用ブレーキ手段と、を備え、一方のベベルギアの中央円孔内には右雌ねじを形成し、他方のベベルギアの中央円孔内には左雌ねじを形成し、前記連結軸の外周には、一方のベベルギアの右雌ねじに螺合する右雄ねじと、他方のベベルギアの左雌ねじに螺合する左雄ねじとを形成し、前記連結軸の外周のうち少なくともベベルギア同士の間に位置し得る箇所には、前記右雄ねじと前記左雄ねじとを重畳して形成したので、連結軸の軸方向の移動範囲を制限せずにベベルギア同士の離間距離を狭めることができる。したがって、カム軸位相連続可変駆動装置のコンパクト化を図り易い。
請求項2に記載の発明によれば、前記ベベルギア用ブレーキ手段が電磁ブレーキからなるので、ベベルギア用ブレーキ手段を簡単な構成で実現することができる。また、通電することによりベベルギアの減速を滞りなく実行することができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記各ベベルギアには、歯数が互いに異なる一対のリングギアにプラネタリギアを噛合して構成される不思議遊星歯車機構をそれぞれ備え、該不思議遊星歯車機構は、前記一対のリングギアの一方をベベルギアへ共回りする状態で接続し、他方のリングギアにはリングギア用ブレーキ手段を付設したので、前記リングギア用ブレーキ手段の動作により他方のリングギアの回転を減速すると、一方のリングギアと共回りするベベルギアの回転がベベルギア用ブレーキ手段の動作時に比較して緩やかに減速する。このため、カム軸の回転位相の変更において、ベベルギア用ブレーキ手段による減速では難しい微調整が実行可能となり、これにより、回転位相の変更の精度向上を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記ベベルギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を変更する粗位相決め動作と、該粗位相決め動作の後にリングギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を粗位相決め動作よりも遅い速度で変更する精密位相決め動作と、を実行するので、カム軸の回転位相の変更を迅速かつ正確に行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記リングギア用ブレーキ手段が電磁ブレーキからなるので、リングギア用ブレーキ手段を簡単な構成で実現することができる。また、通電することによりリングギアの減速、ひいてはベベルギアの減速を滞りなく実行することができる。
カム軸位相連続可変駆動装置の概略断面図である。 不思議遊星歯車機構を備えたカム軸位相連続可変駆動装置の概略断面図である。 不思議遊星歯車機構を備えたカム軸位相連続可変駆動装置の部分拡大断面図である。 不思議遊星歯車機構を備えたカム軸位相連続可変駆動装置の動作のタイミングチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
内燃機関に設けられるカム軸位相連続可変駆動装置1は、図1に示すように、差動歯車部2に連結軸3を貫通して構成された装置であり、クランク軸からチェーンを介して(いずれも図示せず)回転力を受けるカム軸駆動ギア4(本発明における伝動車に相当)と、吸気バルブまたは排気バルブ(いずれも図示せず)の開閉タイミングを制御するカム5aが設けられたカム軸5との間に配置されている。そして、連結軸3によりカム軸駆動ギア4とカム軸5とを連結し、カム軸駆動ギア4に受けた回転力によりカム軸5を回転したり、カム軸5の回転位相を変更したりするように構成されている。なお、カム軸駆動ギア4およびカム軸5は、内燃機関のシリンダヘッド側に回転可能に支持されている。また、内燃機関には、カム軸5の回転位相を検出する回転位相検出センサ(図示せず)を備えている。
差動歯車部2は、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に配置されたギアケース10と、該ギアケース10内に収納された一対のベベルギア(第1ベベルギア11および第2ベベルギア12)と、該ベベルギア11,12同士の間に配置されたベベルピニオン13とを備えて構成されている。具体的に説明すると、ギアケース10内に一対のベベルギア11,12をギア面が対向する状態でベアリング14a,14bにより回転自在に支承し、該ベベルギア11,12の対向するギア面同士の間に複数のベベルピニオン13(例えば、ベベルギア11,12の回転軸線を中心にして120度ずつ位相をずらして配置された3つのベベルピニオン13)を噛合している。なお、図1に示す概略断面図では、便宜上ベベルピニオン13が連結軸3の上方および下方に現れるように描画されている。また、ベベルギア11,12の外周よりもひと回り大きな円環状のピニオン支持具15を、一対のベベルギア11,12同士の間隙を外方から覆う状態で配置し、該ピニオン支持具15に各ベベルピニオン13を回転可能な状態で支持している。そして、各ベベルギア11,12の回転中心には中央円孔11a,12aをそれぞれ開設し、カム軸駆動ギア4側(図1中、左側)に位置する第1ベベルギア11の中央円孔11a内には右雌ねじ11bを形成し、カム軸5側(図1中、右側)に位置する第2ベベルギア12の中央円孔12a内には左雌ねじ12bを形成している。
さらに、各ベベルギア11,12とギアケース10との間には、ベベルギア用ブレーキ手段として機能する電磁ブレーキ(第1ベベルギア用電磁ブレーキ16,第2ベベルギア用電磁ブレーキ17)をベベルギア11,12毎にそれぞれ付設している。そして、内燃機関の運転時にベベルギア11,12が回転している状態で、カム軸位相連続可変駆動装置1の動作を制御する制御装置(図示せず)からの制御信号に基づいて第1ベベルギア用電磁ブレーキ16へ通電すると、第1ベベルギア用電磁ブレーキ16のブレーキパッド(図示せず)が電磁力により移動する等して第1ベベルギア11の外側面に圧接されて第1ベベルギア11の回転が減速するように構成されている。また、第2ベベルギア用電磁ブレーキ17へ通電すると、第2ベベルギア用電磁ブレーキ17のブレーキパッド(図示せず)が電磁力により移動する等して第2ベベルギア12の外側面に圧接されて第2ベベルギア12の回転が減速するように構成されている。さらに、ギアケース10のうち第1ベベルギア用電磁ブレーキ16の近傍には、第1ベベルギア11の回転位相のずれを検出可能な回転パルスセンサ等の位相ずれ検出センサ(図示せず)を備え、位相ずれ検出センサの検出信号を制御装置へ送信可能としている。
連結軸3は、両ベベルギア11,12の中央円孔11a,12aを貫通した状態でカム軸駆動ギア4とカム軸5とを連結している。また、カム軸駆動ギア4に接続されるギア側端部(図1中、左端部)の外周面には左ねじ状態のギア側ヘリカルスプライン突条21を刻設し、カム軸駆動ギア4内に左ねじ状態で形成されたヘリカルスプライン溝4aにギア側ヘリカルスプライン突条21を噛合することで、当該連結軸3とカム軸駆動ギア4とを結合(左ねじ状態でヘリカルスプライン結合)している。さらに、カム軸5に接続されるカム軸側端部(図1中、右端部)の外周面には、右ねじ状態のカム軸側ヘリカルスプライン突条22を刻設し、カム軸5内に右ねじ状態で形成されたヘリカルスプライン溝5bへカム軸側ヘリカルスプライン突条22を噛合することで、当該連結軸3とカム軸5とを結合(右ねじ状態でヘリカルスプライン結合)している。したがって、連結軸3がカム軸5側に移動したりカム軸駆動ギア4側に移動したりすることで、カム軸駆動ギア4に対するカム軸5の回転位相がずれるように構成されている。
詳しくは、カム軸5、連結軸3、カム軸駆動ギア4からなる結合体をカム軸5側(図1中、右側)から見た場合に、連結軸3をカム軸5側へ移動すると、左ねじ状態のヘリカルスプライン結合により連結軸3がカム軸駆動ギア4に対して時計方向へ回転位相をずらす。さらに、カム軸5と連結軸3とが右ねじ状態でヘリカルスプライン結合していることにより、カム軸5がカム軸駆動ギア4に対して連結軸3よりもさらに時計方向へ回転位相をずらす。一方、連結軸3をカム軸駆動ギア4側へ移動すると、左ねじ状態のヘリカルスプライン結合により連結軸3がカム軸駆動ギア4に対して反時計方向に回転位相をずらす。さらに、カム軸5と連結軸3とが右ねじ状態でヘリカルスプライン結合していることにより、カム軸5がカム軸駆動ギア4に対して連結軸3よりもさらに反時計方向へ回転位相をずらす。このようにして、連結軸3が軸方向に沿って移動すると、カム軸5は、2つのヘリカルスプライン結合による回転量の和の分だけ回転位相がずれるように構成されている。
そして、連結軸3の外周のうちヘリカルスプライン突条21,22同士の間に位置する箇所には、第1ベベルギア11の右雌ねじ11bに螺合する右雄ねじ23と、第2ベベルギア12の左雌ねじ12bに螺合する左雄ねじ24とを形成している。具体的に説明すると、前記外周箇所のうち第1ベベルギア11側(図1中、左側)には右雄ねじ23を形成し、第2ベベルギア12側(図1中、右側)には左雄ねじ24を形成している。さらに、前記外周箇所のうちベベルギア11,12同士の間に位置し得る箇所には、右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重畳して形成している。この重畳形成部においては、右雄ねじ23の隣り合う谷(螺旋溝)と左雄ねじ24の隣り合う谷(螺旋溝)とで囲むことで、連結軸3の半径方向から見て平行四辺形状の突起(右雄ねじ23のピッチと左雄ねじ24のピッチとが等しい場合には菱形状の突起)を複数形成し、各突起を右雄ねじ23の螺旋方向および左雄ねじ24の螺旋方向に沿って配列している。
次に、このような構成を備えたカム軸位相連続可変駆動装置1の作用について説明する。なお、内燃機関の運転時においてクランク軸から回転力を受けたカム軸駆動ギア4は、図1中に矢印で示すように、カム軸5側(図1中、右側)から見て時計方向へ回転するものとする。また、説明の便宜上、カム軸位相連続可変駆動装置1の構成要素、カム軸5、カム軸駆動ギア4について、カム軸5側から見た回転方向を表記する場合には、単に「時計方向」、「反時計方向」と表記する。
いずれのベベルギア用電磁ブレーキ16,17も動作していない常態で内燃機関のクランク軸が回転すると、カム軸駆動ギア4が回転力を受け、カム軸駆動ギア4にヘリカルスプライン結合された連結軸3、該連結軸3にヘリカルスプライン結合されたカム軸5、連結軸3に噛合する各ベベルギア11,12、該ベベルギア11,12同士を噛合するベベルピニオン13が時計方向へ共回りし、カム軸5に設けられたカム5aの回転に基づいて排気バルブまたは吸気バルブが開閉する。
この共回り状態で制御装置が第1ベベルギア用電磁ブレーキ16のみを通電により動作させると、第1ベベルギア11が第1ベベルギア用電磁ブレーキ16から制動力を受け、第1ベベルギア11の回転がカム軸5やカム軸駆動ギア4よりも減速する。さらに、第1ベベルギア11の回転の減速によりベベルピニオン13が自転し、ベベルピニオン13に噛合する第2ベベルギア12の回転が第1ベベルギア11の回転の減速分だけ増速する。したがって、回転中の連結軸3に対して第1ベベルギア11が反時計方向へ回転位相をずらす一方、第2ベベルギア12が時計方向へ回転位相をずらして、第1ベベルギア11と第2ベベルギア12とが差動する。
すると、連結軸3の右雄ねじ23と第1ベベルギア11の右雌ねじ11bとの噛合、および連結軸3の左雄ねじ24と第2ベベルギア12の左雌ねじ12bとの噛合により、連結軸3がカム軸駆動ギア4側(図1中、左側)へ移動する。この結果、カム軸5は、カム軸駆動ギア4に対して反時計方向(言い換えるとカム軸5の回転方向(時計方向)とは反対の方向)へ回転位相をずらして遅角状態に変換し、カム5aによるバルブの動作タイミングを第1ベベルギア用電磁ブレーキ16の動作前の状態よりも遅らせる。そして、位相ずれ検出センサにより検出された第1ベベルギア11の位相のずれが所定の目標値(詳しくは、目標とするカム軸5の遅角状態を実現するために必要な第1ベベルギア11の位相のずれ)に到達すると、制御装置が位相ずれ検出センサからの信号に基づいて第1ベベルギア用電磁ブレーキ16への通電を遮断し、第1ベベルギア11の制動操作が解除されてカム軸駆動ギア4、連結軸3、カム軸5、各ベベルギア11,12、各ベベルピニオン13が上記遅角状態で共回りする。
一方、上記共回り状態で制御装置が第2ベベルギア用電磁ブレーキ17のみを通電により動作させると、第2ベベルギア12が第2ベベルギア用電磁ブレーキ17から制動力を受け、第2ベベルギア12の回転がカム軸5やカム軸駆動ギア4よりも減速する。さらに、第2ベベルギア12の回転の減速によりベベルピニオン13が自転し、ベベルピニオン13に噛合する第1ベベルギア11の回転が第2ベベルギア12の回転の減速分だけ増速する。したがって、回転中の連結軸3に対して第2ベベルギア12が反時計方向へ回転位相をずらす一方、第1ベベルギア11が時計方向へ回転位相をずらして、第1ベベルギア11と第2ベベルギア12とが差動する。
すると、連結軸3の右雄ねじ23と第1ベベルギア11の右雌ねじ11bとの噛合、および連結軸3の左雄ねじ24と第2ベベルギア12の左雌ねじ12bとの噛合により、連結軸3がカム軸5側(図1中、右側)へ移動する。この結果、カム軸5は、カム軸駆動ギア4に対して時計方向(言い換えるとカム軸5の回転方向(時計方向)と同じ方向)へ回転位相をずらして進角状態に変換し、カム5aによるバルブの動作タイミングを第2ベベルギア用電磁ブレーキ17の動作前の状態よりも進める。そして、位相ずれ検出センサにより検出された第1ベベルギア11の位相のずれが所定の目標値(詳しくは、目標とするカム軸5の進角状態を実現するために必要な第1ベベルギア11の位相のずれ)に到達すると、制御装置が位相ずれ検出センサからの信号に基づいて第2ベベルギア用電磁ブレーキ17への通電を遮断し、第2ベベルギア12の制動操作が解除されてカム軸駆動ギア4、連結軸3、カム軸5、各ベベルギア11,12、各ベベルピニオン13が上記進角状態で共回りする。
このような動作を実行可能なカム軸位相連続可変駆動装置1においては、連結軸3の外周のうちベベルギア11,12同士の間に位置し得る箇所に右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重畳して形成しているので、連結軸3のうち一方のベベルギアに螺合していた箇所を、連結軸3の移動時には他方のベベルギアへ螺合させることができる。このことから、連結軸3の軸方向の移動範囲を制限せずにベベルギア11,12同士の離間距離を従来の非重畳ねじよりも狭めることができる。したがって、カム軸位相連続可変駆動装置1のコンパクト化を図り易い。また、ベベルギア用ブレーキ手段として電磁ブレーキ(ベベルギア用電磁ブレーキ16,17)を採用しているので、ベベルギア用ブレーキ手段を簡単な構成で実現することができる。さらに、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17への通電からベベルギア11,12の制動開始までの時間遅れを短くすることができる。したがって、通電することによりベベルギア11,12の減速を滞りなく実行することができる。
ところで、上記第1実施形態においては、ベベルギア11,12の回転をベベルギア用電磁ブレーキ16,17のみで減速させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2および図3に示す第2実施形態のカム軸位相連続可変駆動装置1′においては、基本的な構成は第1実施形態と同じであるが、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17の他に不思議遊星歯車機構によってベベルギア11′,12′の回転を減速させることができる点で異なる。
具体的に説明すると、第2実施形態における差動歯車部2′の各ベベルギア11′,12′には、図2および図3に示すように、変速遊星歯車機構である不思議遊星歯車機構(第1不思議遊星歯車機構31,第2不思議遊星歯車機構32)をそれぞれ備え、該不思議遊星歯車機構31,32の中心軸をベベルギア11′,12′の回転中心および連結軸3の回転中心に揃えて配置している。なお、第1ベベルギア11′においては、カム軸駆動ギア4側(図2中、左側)を円環状に凹ませて第1歯車機構配置空間部33を形成し、該第1歯車機構配置空間部33内に第1不思議遊星歯車機構31を配置している。さらに、円環状の第1歯車機構配置空間部33に囲まれた中心部には、中央円孔11aが開設されて連結軸3が内周面の右雌ねじ11bに噛合する円筒状の第1軸噛合部34を形成している。また、第2ベベルギア12′においては、カム軸5側(図2中、右側)を円環状に凹ませて第2歯車機構配置空間部37を形成し、該第2歯車機構配置空間部37内に第2不思議遊星歯車機構32を配置している。さらに、円環状の第2歯車機構配置空間部37に囲まれた中心部には、中央円孔12aが開設されて連結軸3が内周面の左雌ねじ12bに噛合する円筒状の第2軸噛合部38を形成している。
第1不思議遊星歯車機構31は、歯数が互いに異なる一対のリングギア(第1内側リングギア41,第1外側リングギア42)を連結軸3の軸方向に沿って重なる状態に配置し、この一対のリングギア41,42の内歯に複数のプラネタリギア(例えば、リングギア41,42の回転軸線を中心にして120度ずつ位相をずらして配置された3つの第1プラネタリギア43)を共通に噛合し、この噛合状態で各第1プラネタリギア43を、リングギア41,42の回転軸線を中心にして円環状に形成された第1キャリア44へ回転自在な状態で軸着し、該第1プラネタリギア43同士の相対位置を一定に保持している。なお、図2に示す概略断面図では、便宜上第1プラネタリギア43が連結軸3の上方および下方に現れるように描画されている。また、第1不思議遊星歯車機構31の中心部には、第1軸噛合部34を内側に遊嵌する第1サンギア45を配置して各第1プラネタリギア43を外周に噛合し、第1サンギア45の外周に沿って第1プラネタリギア43が公転するように構成されている。なお、第1サンギア45においては、第1プラネタリギア43以外の構成要素との間で力の伝達を行なわないため、第1プラネタリギア43を第1キャリア44で十分に保持することができれば、第1サンギア45を設けることなく第1不思議遊星歯車機構31を構成してもよい。
さらに、一対のリングギア41,42のうち、カム軸5側(図2中、右側)に位置する第1内側リングギア41を第1ベベルギア11′へ共回りする状態で接続(例えば、ボルト等で止着)し、カム軸駆動ギア4側(図2中、左側)に位置する第1外側リングギア42を第1歯車機構配置空間部33の外周縁と第1軸噛合部34との間に第1ベアリング46,47を介して回転自在な状態で支承している。そして、第1内側リングギア41の歯数を第1外側リングギア42の歯数よりも多く(例えば、3枚多く)設定している。したがって、共通の第1プラネタリギア43に第1内側リングギア41と第1外側リングギア42とを噛合した状態で第1プラネタリギア43が回転(自転)して両方のリングギア41,42を回転(自転)させると、第1外側リングギア42が1回転したときには、第1内側リングギア41が歯数の多い分だけ1回転よりも少なく回転する。これにより、第1内側リングギア41の回転が第1外側リングギア42の回転よりも遅くなるように構成されている。
第2不思議遊星歯車機構32は、歯数が互いに異なる一対のリングギア(第2内側リングギア51,第2外側リングギア52)を連結軸3の軸方向に沿って重なる状態に配置し、この一対のリングギア51,52の内歯に複数のプラネタリギア(例えば、リングギア51,52の回転軸線を中心にして120度ずつ位相をずらして配置された3つの第2プラネタリギア53)を共通に噛合し、この噛合状態で各第2プラネタリギア53を、リングギア51,52の回転軸線を中心にして円環状に形成された第2キャリア54へ回転自在な状態で軸着し、該第2プラネタリギア53同士の相対位置を一定に保持している。なお、図2に示す概略断面図では、便宜上第2プラネタリギア53が連結軸3の上方および下方に現れるように描画されている。また、第2不思議遊星歯車機構32の中心部には、第2軸噛合部38を内側に遊嵌する第2サンギア55を配置して各第2プラネタリギア53を外周に噛合し、第2サンギア55の外周に沿って第2プラネタリギア53が公転するように構成されている。なお、第2サンギア55においては、第2プラネタリギア53以外の構成要素との間で力の伝達を行なわないため、第2プラネタリギア53を第2キャリア54で十分に保持することができれば、第2サンギア55を設けることなく第2不思議遊星歯車機構32を構成してもよい。
さらに、一対のリングギア51,52のうち、カム軸駆動ギア4側(図2中、左側)に位置する第2内側リングギア51を第2ベベルギア12′へ共回りする状態で接続(例えば、ボルト等で止着)し、カム軸5側(図2中、右側)に位置する第2外側リングギア52を第2歯車機構配置空間部37の外周縁と第2軸噛合部38との間に第2ベアリング56,57を介して回転自在な状態で支承している。そして、第2内側リングギア51の歯数を第2外側リングギア52の歯数よりも多く(例えば、3枚多く)設定している。したがって、共通の第2プラネタリギア53に第2内側リングギア51と第2外側リングギア52とを噛合した状態で第2プラネタリギア53が回転(自転)して両方のリングギア51,52を回転(自転)させると、第2外側リングギア52が1回転したときには、第2内側リングギア51が歯数の多い分だけ1回転よりも少なく回転する。これにより、第2内側リングギア51の回転が第2外側リングギア52の回転よりも遅くなるように構成されている。
また、各外側リングギア42,52とギアケース10との間には、リングギア用ブレーキ手段として機能する電磁ブレーキ(第1リングギア用電磁ブレーキ61,第2リングギア用電磁ブレーキ62)を外側リングギア42,52毎にそれぞれ付設している。そして、内燃機関の運転時に外側リングギア42,52が回転している状態で制御装置からの制御信号に基づいて第1リングギア用電磁ブレーキ61へ通電すると、第1リングギア用電磁ブレーキ61のブレーキパッドが電磁力により移動する等して第1外側リングギア42の外側面に圧接されて第1外側リングギア42の回転が減速するように構成されている。また、第2リングギア用電磁ブレーキ62へ通電すると、第2リングギア用電磁ブレーキ62のブレーキパッドが電磁力により移動する等して第2外側リングギア52の外側面に圧接されて第2外側リングギア52の回転が減速するように構成されている。
このような構成の不思議遊星歯車機構31,32を備えたカム軸位相連続可変駆動装置1′においては、いずれの電磁ブレーキ16,17,61,62も動作していない常態で内燃機関のクランク軸が回転すると、カム軸駆動ギア4、連結軸3、カム軸5、各ベベルギア11′,12′、各ベベルピニオン13、各不思議遊星歯車機構31,32が時計方向(図2中、矢印で示す方向)へ共回りする。この共回り状態で制御装置が第1リングギア用電磁ブレーキ61のみを通電により動作させると、第1不思議遊星歯車機構31の第1外側リングギア42が第1リングギア用電磁ブレーキ61から制動力を受け、該第1外側リングギア42の回転がカム軸5やカム軸駆動ギア4よりも減速し、さらには第1ベベルギア11′がカム軸駆動ギア4よりも減速して連結軸3を移動させる。
詳しくは、減速状態の第1外側リングギア42が第1プラネタリギア43を回転(自転および公転)させ、これにより第1内側リングギア41および第1ベベルギア11′の回転が連結軸3の回転よりも遅い状態に移行される。このとき、第1リングギア用電磁ブレーキ61の制動力の設定や第1不思議遊星歯車機構31の減速比の設定に基づき、第1ベベルギア11′の回転は、カム軸5やカム軸駆動ギア4の回転よりも遅く、尚且つ第1ベベルギア用電磁ブレーキ16の動作時よりも緩やかに減速するように設定される。このような設定で第1ベベルギア11′の回転が減速すると、第1実施形態と同様に、ベベルピニオン13の自転、一対のベベルギア11′,12′の差動、連結軸3のカム軸駆動ギア4側(図2中、左側)への移動が行われ、カム軸5が第1ベベルギア用電磁ブレーキ16の動作時よりも緩やかに(言い換えると、遅い速度で)遅角状態に移行される。そして、回転位相検出センサによりカム軸5が目標とする遅角の回転位相に到達したことを検出すると、制御装置が回転位相検出センサからの信号に基づいて第1リングギア用電磁ブレーキ61への通電を遮断し、第1外側リングギア42への制動操作が解除されてカム軸駆動ギア4、連結軸3、カム軸5、各ベベルギア11′,12′、各ベベルピニオン13、非動作状態の各不思議遊星歯車機構31,32が上記遅角状態で共回りする。
一方、上記共回り状態で制御装置が第2リングギア用電磁ブレーキ62のみを通電により動作させると、第2不思議遊星歯車機構32の第2外側リングギア52が第2リングギア用電磁ブレーキ62から制動力を受け、該第2外側リングギア52の回転がカム軸5やカム軸駆動ギア4よりも減速し、さらには第2ベベルギア12′がカム軸駆動ギア4よりも減速して連結軸3を移動させる。
詳しくは、減速状態の第2外側リングギア52が第2プラネタリギア53を回転(自転および公転)させ、これにより第2内側リングギア51および第2ベベルギア12′の回転が連結軸3の回転よりも遅い状態に移行される。このとき、第2リングギア用電磁ブレーキ62の制動力の設定や第2不思議遊星歯車機構32の減速比の設定に基づき、第2ベベルギア12′の回転は、カム軸5やカム軸駆動ギア4の回転よりも遅く、尚且つ第2ベベルギア用電磁ブレーキ17の動作時よりも緩やかに減速するように設定される。このような設定で第2ベベルギア12′の回転が減速すると、第1実施形態と同様に、ベベルピニオン13の自転、一対のベベルギア11′,12′の差動、連結軸3のカム軸5側(図2中、右側)への移動が行われ、カム軸5が第2ベベルギア用電磁ブレーキ17の動作時よりも緩やかに(言い換えると、遅い速度で)進角状態に移行される。そして、回転位相検出センサによりカム軸5が目標とする進角の回転位相に到達したことを検出すると、制御装置が回転位相検出センサからの信号に基づいて第2リングギア用電磁ブレーキ62への通電を遮断し、第2外側リングギア52への制動操作が解除されてカム軸駆動ギア4、連結軸3、カム軸5、各ベベルギア11′,12′、各ベベルピニオン13、非動作状態の各不思議遊星歯車機構31,32が上記進角状態で共回りする。
このようにして不思議遊星歯車機構31,32の動作によりカム軸5の回転位相を変更すれば、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17による減速では難しい微調整が実行可能となる。したがって、カム軸5の回転位相の変更において精度の向上を図ることができる。例えば、内側リングギア41,51の歯数をZs=65とし、標準歯車である外側リングギア42,52の歯数をZn=62とすれば、不思議遊星歯車機構31,32の減速比iは、i=Zs/(Zn−Zs)=65/(62−65)=−21.66となる。リングギア用電磁ブレーキ61,62の動作前に上記共回り状態のカム軸が2500rpmで回転していたとすると、リングギア用電磁ブレーキ61,62の動作時には、内側リングギア41,51および該内側リングギア41,51に接続されたベベルギア11′,12′を2500/21.66=115.4rpmだけ減速させることができる。そして、不思議遊星歯車機構31,32を用いれば、リングギア用電磁ブレーキ61,62の非動作時にベベルギア11′,12′が不用意に回転位相をずらす不都合を阻止することができる。言い換えると、不思議遊星歯車機構31,32をベベルギア11′,12′のロック機構として機能させることができる。なお、ベベルギア11′,12′自体も差動装置であるため、逆方向からの力では動かないロック構造を本質的に備えている。
また、リングギア用ブレーキ手段として電磁ブレーキ(リングギア用電磁ブレーキ61,62)を採用しているので、リングギア用ブレーキ手段を簡単な構成で実現することができる。さらに、リングギア用電磁ブレーキ61,62への通電からリングギア42,52の制動開始までの時間遅れ、さらにはベベルギア11′,12′の制動開始までの時間遅れを短くすることができる。したがって、通電することによりリングギア42,52の減速、ひいてはベベルギア11′,12′の減速を滞りなく実行することができる。
そして、第2実施形態のカム軸位相連続可変駆動装置1′においては、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17の動作を実行して回転状態のベベルギア11′,12′同士の位相をずらすことにより、カム軸5の回転位相を変更する粗位相決め動作と、粗位相決め動作の後にリングギア用電磁ブレーキ61,62の動作を実行して回転状態のベベルギア11′,12′同士の位相をずらすことにより、カム軸5の回転位相を粗位相決め動作よりも遅い速度で変更する精密位相決め動作とを実行して、カム軸5を目標の回転位相に変更することができる。このとき、カム軸5を変更実行前から遅角状態に設定する場合には、第1ベベルギア用電磁ブレーキ16と第1リングギア用電磁ブレーキ61とを動作させる制御を制御装置により実行し、進角状態に設定する場合には、第2ベベルギア用電磁ブレーキ17と第2リングギア用電磁ブレーキ62とを動作させる制御を制御装置により実行する。
詳しく説明すると、図4に示すように、回転位相の変更の実行開始時には、制御装置が粗位相決め動作を実行する制御を行ってベベルギア用電磁ブレーキ(第1ベベルギア用電磁ブレーキ16、または第2ベベルギア用電磁ブレーキ17)に通電してカム軸5の回転位相を変更する。そして、位相ずれ検出センサからの信号に基づき制御装置がカム軸5の回転位相の変更の進捗を判定し、カム軸5の回転位相が変更目標に到達する前の所定の値Δθ1(例えば、変更実行開始前における目標までの位相差の10%に相当する値Δθ1)となった場合には、制御装置が粗位相決め動作を終了する制御を行ってベベルギア用電磁ブレーキ(第1ベベルギア用電磁ブレーキ16、または第2ベベルギア用電磁ブレーキ17)への通電を遮断する。さらに、精密位相決め動作を実行する制御を行ってリングギア用電磁ブレーキ(第1リングギア用電磁ブレーキ61、または第2リングギア用電磁ブレーキ62)へ通電してカム軸5の回転位相の変更を引き続き行う。このとき、不思議遊星歯車機構31,32を介して制動力を受けるベベルギア11′,12′の回転が粗位相決め動作時よりも緩やかに減速する。そして、回転位相検出センサからの信号に基づき制御装置がカム軸5の回転位相の変更の進捗を判定し、カム軸5の回転位相が変更目標に到達した場合には、制御装置が精密位相決め動作を終了する制御を行ってリングギア用電磁ブレーキ(第1リングギア用電磁ブレーキ61、または第2リングギア用電磁ブレーキ62)への通電を遮断する。
このようにして粗位相決め動作と精密位相決め動作とを実行してカム軸5の回転位相を変更すれば、カム軸5の回転位相の変更を迅速かつ正確に行うことができる。また、粗位相決め動作と、その後に行われる精密位相決め動作においては、ベベルギア11′,12′や不思議遊星歯車機構31,32を構成するギアを一定方向(押し勝手)にのみ回転させてカム軸5の回転位相の変更を行うため、連結軸3上を移動するベベルギア11′,12′のねじ部のガタ、ギア構造のバックラッシュに起因するカム軸5の回転位相の誤差や騒音(ギア同士の衝突に伴う騒音)が発生し難い。さらに、不思議遊星歯車機構31,32をベベルギア11′,12′に形成された歯車機構配置空間部33,37内に収納したので、カム軸位相連続可変駆動装置1′のコンパクト化を図り易い。
なお、第2実施形態におけるカム軸位相連続可変駆動装置1′においては、不思議遊星歯車機構31,32を用いて行われる回転位相の変更の動作を装置始動操作として粗位相決め動作の前に実行してもよい。例えば、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17による制動力のみでは一対のベベルギア11′,12′を差動歯車部2の静止摩擦力(具体的には連結軸3やベベルピニオン13との間に生じる静止摩擦力)や慣性モーメントに抗してスムーズに差動を開始し難いが、リングギア用電磁ブレーキ61,62から不思議遊星歯車機構31,32を介して伝達される制動力であればスムーズに差動を開始し易い場合には、粗位相決め動作の前に不思議遊星歯車機構31,32による装置始動操作を実行することが好適である。要は、差動がスムーズに開始可能となるトルクをベベルギア11′,12′に付与することができれば、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17のみまたはリングギア用電磁ブレーキ61,62のみを使用してベベルギア11′,12′の差動を開始させてもよいし、あるいは第1ベベルギア用電磁ブレーキ16と第1リングギア用電磁ブレーキ61とを併用したり、第2ベベルギア用電磁ブレーキ17と第2リングギア用電磁ブレーキ62とを併用したりしてベベルギア11′,12′の差動を開始させてもよい。
また、粗位相決め動作の後に精密位相決め動作を連続して実行したが、本発明はこれに限定されない。例えば、粗位相決め動作と精密位相決め動作との間にインターバルを設けてもよい。
ところで、上記各実施形態では、連結軸3の外周のうちベベルギア11,12同士の間に位置し得る箇所にのみ右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重畳(重複)して形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結軸3の外周のうちギア側ヘリカルスプライン突条21とカム軸側ヘリカルスプライン突条22との間に亘って右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重複して形成してもよい。要は、少なくともベベルギア11,12同士の間に位置し得る箇所に右雄ねじ23と左雄ねじ24とを重複して形成すればよい。
また、上記各実施形態では、第1ベベルギア11に右雌ねじ11bを形成し、第2ベベルギア12に左雌ねじ12bを形成したが、本発明はこれに限定されない。要は、一方のベベルギアの中央円孔内には右雌ねじを形成し、他方のベベルギアには左雌ねじを形成すればよく、例えば、第1ベベルギア11に左雌ねじを形成し、第2ベベルギア12に右雌ねじを形成してもよい。
さらに、上記各実施形態では、連結軸3とカム軸駆動ギア4との間、連結軸3とカム軸5との間をそれぞれヘリカルスプライン結合で連結したが、本発明はこれに限定されない。要は、連結軸を介してカム軸駆動ギアとカム軸とを連結し、連結軸の移動によりカム軸の回転位相を変更することができればよく、例えば、連結軸とカム軸駆動ギアとの結合、または連結軸とカム軸との結合のいずれか一方をヘリカルスプライン結合とし、他方を通常のスプライン結合(突条および溝が連結軸の軸方向に沿って延在するスプライン結合)としてもよい。しかしながら、上記各実施形態のように、2つの異なるヘリカルスプライン結合によりカム軸駆動ギアと連結軸とカム軸とを連結すれば、単一のヘリカルスプライン結合により連結する場合と比較して、同じ連結軸の移動量でもカム軸の回転位相の変化が大きくなる。したがって、カム軸の回転位相の変更を短時間で実行し易くなって好適である。
そして、上記各実施形態では、本発明における伝動車の一例としてカム軸駆動ギア4を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、内燃機関のクランク軸からタイミングベルト(段付ベルト)を介して回転力を受ける段付プーリを伝動車として採用してもよい。要は、クランク軸側から回転力を受ける伝動車であればどのような構成であってもよい。また、本発明における各構成要素の回転方向や移動方向は、上記各実施形態で例示した設定に限らない。要は、ベベルギア同士の位相をずらすことにより連結軸が移動し、この移動に基づいてカム軸の回転位相の変更を実現することができれば、各構成要素の回転方向、移動方向をどのように設定してもよい。
さらに、上記各実施形態では、ベベルギア用電磁ブレーキ16,17の動作によるカム軸5の回転位相の変更の進捗を、位相ずれ検出センサによる第1ベベルギア11の回転位相のずれの検出により把握し、リングギア用電磁ブレーキ61,62の動作によるカム軸5の回転位相の変更の進捗を、回転位相検出センサによるカム軸5の回転位相の検出により把握したが、本発明はこれに限定されない。要は、カム軸の回転位相の変更の進捗に応じてベベルギア用ブレーキ手段またはリングギア用ブレーキ手段の動作の制御を実行することができれば、どのような手段でカム軸の回転位相の変更の進捗を把握してもよい。
また、本発明におけるベベルギア用ブレーキ手段およびリングギア用ブレーキ手段の例示として、制動力を与える対象に直接圧接される摩擦式電磁ブレーキを挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、通電により磁界を発生させ、この磁界を横切る抵抗により制動力を与える非接触タイプの電磁ブレーキを本発明におけるベベルギア用ブレーキ手段およびリングギア用ブレーキ手段に採用してもよい。あるいは、電磁力の利用に限らず、トグル構造のような機械的ブレーキ手段や油圧的ブレーキ手段を採用してもよい。
そして、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
1,1′ カム軸位相連続可変駆動装置
2,2′ 差動歯車部
3 連結軸
4 カム軸駆動ギア
4a ヘリカルスプライン溝
5 カム軸
5a カム
5b ヘリカルスプライン溝
10 ギアケース
11,11′ 第1ベベルギア
11a 中央円孔
11b 右雌ねじ
12,12′ 第2ベベルギア
12a 中央円孔
12b 左雌ねじ
13 ベベルピニオン
14a,14b ベアリング
15 ピニオン支持具
16 第1ベベルギア用電磁ブレーキ
17 第2ベベルギア用電磁ブレーキ
21 ギア側ヘリカルスプライン突条
22 カム軸側ヘリカルスプライン突条
23 右雄ねじ
24 左雄ねじ
31 第1不思議遊星歯車機構
32 第2不思議遊星歯車機構
33 第1歯車機構配置空間部
34 第1軸噛合部
37 第2歯車機構配置空間部
38 第2軸噛合部
41 第1内側リングギア
42 第1外側リングギア
43 第1プラネタリギア
44 第1キャリア
45 第1サンギア
46,47 第1ベアリング
51 第2内側リングギア
52 第2外側リングギア
53 第2プラネタリギア
54 第2キャリア
55 第2サンギア
56,57 第2ベアリング
61 第1リングギア用電磁ブレーキ
62 第2リングギア用電磁ブレーキ

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランク軸側から伝動車に受けた回転力によりカム軸を回転し、該カム軸の回転位相を変更するカム軸位相連続可変駆動装置において、
    前記伝動車とカム軸との間に配置され、ギア面が対向する状態で回転自在に支承された一対のベベルギアと、
    前記ベベルギア毎にそれぞれ開設された中央円孔を貫通し、伝動車とカム軸とをヘリカルスプライン結合により連結させる連結軸と、
    前記ベベルギアの対向するギア面同士の間に噛合されるベベルピニオンと、
    前記ベベルギア毎にそれぞれ付設され、ベベルギアの回転を減速させるベベルギア用ブレーキ手段と、
    を備え、
    一方のベベルギアの中央円孔内には右雌ねじを形成し、他方のベベルギアの中央円孔内には左雌ねじを形成し、
    前記連結軸の外周には、一方のベベルギアの右雌ねじに螺合する右雄ねじと、他方のベベルギアの左雌ねじに螺合する左雄ねじとを形成し、
    前記連結軸の外周のうち少なくともベベルギア同士の間に位置し得る箇所には、前記右雄ねじと前記左雄ねじとを重畳して形成したことを特徴とする内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置。
  2. 前記ベベルギア用ブレーキ手段は、電磁ブレーキからなることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置。
  3. 前記各ベベルギアには、歯数が互いに異なる一対のリングギアにプラネタリギアを噛合して構成される不思議遊星歯車機構をそれぞれ備え、
    該不思議遊星歯車機構は、前記一対のリングギアの一方をベベルギアへ共回りする状態で接続し、他方のリングギアにはリングギア用ブレーキ手段を付設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置。
  4. 前記ベベルギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を変更する粗位相決め動作と、
    該粗位相決め動作の後にリングギア用ブレーキ手段の動作を実行して回転状態のベベルギア同士の位相をずらすことにより、カム軸の回転位相を粗位相決め動作よりも遅い速度で変更する精密位相決め動作と、
    を実行することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置。
  5. 前記リングギア用ブレーキ手段は、電磁ブレーキからなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の内燃機関のカム軸位相連続可変駆動装置。
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