JP5846044B2 - (メタ)アクリル酸誘導体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸誘導体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ホスホリルコリン類似基を有する特定の(メタ)アクリル酸誘導体を、安全に、生産効率良く、かつ高純度で製造することができる、(メタ)アクリル酸誘導体の製造方法に関する。
ホスホリルコリン基を有する化合物は、例えば、特許文献1〜3や、非特許文献1に示される方法により製造されることが広く知られている。これらの製造方法は、例えば、非特許文献2に示されるとおり、まず、3塩化リンを出発物質として、2段階の反応を経て、高純度に精製された反応中間体である2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホリル(以下、COPと略す)を合成する。その後、3段階目の反応で、COPを、水酸基を有する化合物と反応させることで、後述する式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体である2−オキソ−1,3,2−ホスホラン誘導体(以下、OP(M)Aと略すことがある)を合成し、4段階目の反応にてトリメチルアミンと反応させることで、計4段階の反応を経てホスホリルコリン類似基を有する、後述する式(7)に示される(メタ)アクリル酸誘導体(以下、(M)APCと略すことがある)が得られる。しかし、この方法では、高純度なCOPを得るために、各反応終了時に反応中間体を蒸留により精製する必要があり、生産効率が非常に低い。
上記方法とは異なる方法により、(M)APCを合成する方法としては、非特許文献3や特許文献4に記載の方法が知られている。前者の合成法は、オキシ塩化リンを出発物質とし、各反応の反応溶媒としてテトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル溶媒を使用し、塩化水素捕捉剤としてトリエチルアミンを用いて、1段階目の反応にて第1反応中間体である、後述する式(1)に示される(メタ)アクリル酸誘導体(以下、DCP(M)Aと略すことがある)である、オキシハロゲン化リンモノエステル体を得、2段階目の反応にて第2反応中間体である、OP(M)Aを合成し、更に第2反応中間体にアセトニトリルを加え、トリメチルアミンと反応させることで、計3段階の反応を経て目的の(M)APCを得る合成法である。しかし、この合成法は、第2反応中間体の合成において2段階の反応を経ているが、各反応に、過酸化物が発生し易い危険性の高いエーテル溶媒を用いなければならず、また、各反応終了後に発生するアミンの塩酸塩の除去のため、ろ過工程が2回必要となり、工業生産においては生産効率が低くなる。
国際公開第95/14702号 特開昭58−154591号公報 特許第3052923号公報 特開昭54−63025号公報
Org. Lett., 1999,1[9], PP1347 Chemistry and Indust, Oct. 20, 1962, PP1828 Tet. Lett., 1985, 26[9], PP1167
本発明者らは、上記従来の合成法を応用して、後述する式(1b)で表されるハロゲン化リンを出発物質として、(M)APCの合成を検討した。該検討に際して、DCP(M)A及びOP(M)Aの合成において、反応溶媒として、危険性の高いエーテル溶媒の代わりにアセトニトリルを用い、塩化水素捕捉剤として、代表的な3級アミンであるトリエチルアミンを用いた。しかしながら、反応溶媒をアセトニトリルとしてOP(M)Aを合成する場合、エーテル溶媒を用いた場合と比較して、非常に多くの副生成物が生成し、OP(M)Aの収率が著しく低下することが分かった。この原因として、上記反応においてはエーテル溶媒の溶媒効果により、副生成物が低減されていたが、反応溶媒をアセトニトリルに変更したことで溶媒効果がなくなり、副生成物が低減されなくなったためと考えられる。また、得られたOP(M)Aを含む反応溶液を用いて(M)APCの合成を行ったが、副生成物が最終生成物である(M)APCに対して可溶化効果を示したため、(M)APCの収率が極端に低下した。
本発明の課題は、安全に、効率良く、かつ高純度な目的物が得られる、(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A、OP(M)A又は(M)APC)の製造方法を提供することにある。
本発明の別の課題は、(メタ)アクリル酸誘導体(OP(M)A)の製造時に、ハロゲン化リンからDCP(M)Aを得る1段階目の反応終了後にろ過や精製等を行わずに、同一釜内にて2段階目の反応を連続して行うことで、ろ過数及び使用する反応釜数を削減することができるOP(M)Aを含む溶液の製造方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、目的物である(M)APCに可溶化を示す副生成物を低減し、高純度及び高収率で目的物を得ることが可能な(M)APCの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、DCP(M)A及びOP(M)Aを特定なハロゲン化リンを用いて製造する際に、分子内にエーテル基を有する特定構造のアミンを用いることで、エーテル溶媒を用いずに副生成物が低減され、目的物を高純度で製造することが可能であることを見出した。また、特定のハロゲン化リンを用いて、DCP(M)Aを得る反応を1段階目、DCP(M)AからOP(M)Aを得る反応を2段階目とするとき、1段階目の反応終了時に生成した、分子内にエーテル基を有する特定構造のアミンの塩酸塩又は臭素水素酸塩を、ろ過等で除去せずにその存在下で、2段階目の反応を同一反応釜内で連続的に行うことが可能であり、それにより、ろ過回数が削減可能になり、使用する反応釜数も減らすことが可能となることを見出した。更に、高純度なOP(M)Aを有する反応溶液を用いることで、可溶化を引き起こす副生成物が低減され、最終化合物である(M)APCの収率及び純度を向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(1b)で表されるハロゲン化リンとを溶媒中で反応させるにあたり、
溶媒として、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、トルエン、キシレン、クメン、テトラリン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、及びクロロベンジルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い、かつ式(3)又は式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いることを特徴とする、式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A)を含む溶液の製造方法(以下、製造方法(a)ということがある)が提供される。
Figure 0005846044
(式(1a)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Vは−(OR2)q−(ここで、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、qは1〜10の整数である。)、もしくは下記式(式中、R3は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、R4は水素原子を示し、また、R3及びR4は互いに連結してピペリジン骨格を形成しても良い。)に示される基を示す。)。
Figure 0005846044
Figure 0005846044
(式(1b)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Wは酸素原子又は硫黄原子を示す。)
Figure 0005846044
(式(3)中、R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10のアリール基を示し、また、R7を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。式(4)中、R8及びR9はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、R10はメチル基又はエチル基を示し、また、R10は、R10に結合している酸素原子を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。sは1〜4の整数である。)
Figure 0005846044
(式(1)中、R1、X1、X2、W及びVは前記と同じ意味を示す)。
また本発明によれば、上記式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A)と、式(2)で表さる2価のアルコールとを溶媒中で反応させるにあたり、
溶媒として、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、トルエン、キシレン、クメン、テトラリン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、及びクロロベンジルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い、かつ上記式(3)又は上記式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いることを特徴とする、式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(OP(M)A)を含む溶液の製造方法(以下、製造方法(b)ということがある)が提供される。
OH−R5R6−OH ・・・(2)
(式(2)中、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜3の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、また互いに連結して環を形成しても良く、互いに不飽和結合にて結合されていても良い。)
Figure 0005846044
(式(5)中、R1、V、W、R5及びR6は前記と同じ意味を示す。)
更に本発明によれば、上記式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(OP(M)A)と、式(6)で表されるアミンとを反応させるにあたり、該OP(M)Aとして、上記製造方法(b)により得られたOP(M)Aを含む溶液を用いることを特徴とする、式(7)で表される(メタ)アクリル酸誘導体((M)APCの製造方法(以下、製造方法(c)ということがある)が提供される。
Figure 0005846044
(式(6)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0005846044
(式(7)中、R1、R5、R6、R11、R12、R13、V及びW前記と同じ意味である。)
本発明の製造方法(a)及び(b)においては、上記分子内にエーテル基を有するアミンを用いるので、反応溶媒にエーテル溶媒を用いずに、高純度なOP(M)Aを短時間で高収率に得ることができる。このように、エーテル溶媒を使用しないため、危険な過酸化物の管理が不要となる。また、反応溶媒を全てアセトニトリルにすることで溶媒種を1種に統一することも可能となる。更に、製造方法(a)で得られるDCP(M)Aを有する溶液を、製造方法(b)に用いることにより、該DCP(M)Aを有する溶液に含まれるアミン塩酸塩又はアミン臭化水素酸塩の存在下で反応を行うことでき、反応を連続して同一反応釜中で行うことができる。これにより、ろ過回数を減らすことができるとともに、反応釜数の削減や製造時間の短縮が可能となる。
本発明の製造方法(c)は、本発明の製造方法(b)で得られた高純度なOP(M)Aを有する溶液を用いるので、(M)APCに対して可溶化を引き起こす副生成物を低減し、目的の(M)APCを高純度、高収率で得ることができる。
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の製造方法(a)は、上記式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、上記式(1b)で表されるハロゲン化リンとを特定の溶媒中で反応させるにあたり、上記式(3)又は式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いて、上記式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A)を含む溶液を製造する。
本発明の製造方法(b)は、上記式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A)と、上記式(2)で表される2価のアルコールとを特定の溶媒中で反応させるにあたり、上記式(3)又は式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いて、上記式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(OP(M)A)を含む溶液を製造する。
本発明の製造方法(a)に用いる式(1a)において、R1は水素原子又はメチル基を示す。またVは、−(OR2)q−(ここで、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、qは1〜10の整数である。)、もしくは下記式(式中、R3は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、R4は水素原子を示し、また、R3及びR4は互いに連結してピペリジン骨格を形成しても良い。)に示される基を示す。
Figure 0005846044
上記式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、1−(メタ)アクリロイル−4−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
本発明の製造方法(a)に用いる上記式(1b)において、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Wは酸素原子又は硫黄原子を示す。
式(1b)で表されるハロゲン化リンとしては、例えば、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、チオ塩化リン、チオ臭化リンが挙げられ、特に、オキシ塩化リンの使用が好ましい。
本発明の製造方法(a)及び(b)に用いる上記式(3)において、R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10のアリール基を示し、また、R7を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。
式(3)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物としては、例えば、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−ブチルモルホリン、4−シクロヘキシルモルホリン、4−ビニルモルホリン、4−アリルモルホリン、4−(1−シクロキセン−1−イル)モルホリン、4−フェニルモルホリン、4−(ナフタレン−1−イル)モルホリン、ビス−1,2−(モルホリン−4−イル)エタン、ビス−1,4−(モルホリン−4−イル)ブタン、ビス−1,6−(モルホリン−4−イル)へキサン、ビス(2−モルホリノエチル)エーテルが挙げられる。
本発明の製造方法(a)及び(b)に用いる上記式(4)において、R8及びR9はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、R10はメチル基又はエチル基を示し、また、R10は、R10に結合している酸素原子を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。sは1〜4の整数である。
式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物としては、例えば、N−メトキシエチルジメチルアミン、N−エトキシエチルジメチルアミン、N−エトキシエチルジエチルアミン、N−エトキシエチルフェニルメチルアミン、N−エトキシエチルジフェニルアミン、N−(ナフタレン−1−イル)メトキシエチルメチルアミン、N−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ジメチルアミン、ビス(N−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(N−ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(N,N−エチルメチルアミノエチル)エーテル、ビス(N−ジフェニルアミノエチル)エーテル、ビス[N−(ジナフタレン−1−イル)アミノエチル]エーテルが挙げられる。
本発明の製造方法(a)及び(b)に用いる溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、トルエン、キシレン、クメン、テトラリン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、及びクロロベンジルからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、特に、アセトニトリル単独、もしくはアセトニトリルと、50質量%以下の他の溶媒とを含む混合溶媒の使用が好ましい。アセトニトリルを含む混合溶媒を用いる場合は、該混合溶媒を蒸留等で容易に単離できるものが好ましい。
本発明の製造方法(a)により得られる上記式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(DCP(M)A)を含む溶液、並びに本発明の製造方法(b)に用いるDCP(M)Aにおいて、式(1)中、R1、X1、X2、W及びVは前記と同じ意味を示す。
DCP(M)Aとしては、例えば、R1がメチル基であり、Vが−OC2H4−である化合物、R1がメチル基であり、Vが−OC6H12−である化合物、R1がメチル基であり、Vが−(OC2H4)10−である化合物、R1が水素原子であり、Vが−NH−C2H4−である化合物、R1が水素原子であり、Vが−NH−C6H12−である化合物、R1が水素原子であり、Vが下記構造の基である化合物が挙げられる。
Figure 0005846044
本発明の製造方法(b)に用いる上記式(2)において、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜3の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、また互いに連結して環を形成しても良く、互いに不飽和結合にて結合されていても良い。
式(2)で表される2価のアルコールとしては、例えば、エチレングルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ヘキセングリコール、1,4−ヘキセングリコール、1,2−シクロヘキセングリコール、1,3−シクロヘキセングリコール、1,2−ジビニルエチレングリコール、カテコールが挙げられる。
本発明の製造方法(b)により得られる上記式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体(OP(M)A)を含む溶液、並びに後述する本発明の製造方法(c)に用いるOP(M)Aにおいて、式(5)中、R1、V、W、R5及びR6は前記と同じ意味を示す。
OP(M)Aとしては、例えば、下記構造式(5-1)〜(5-11)に示される化合物が挙げられる。
Figure 0005846044
Figure 0005846044
本発明の製造方法(a)において反応は、上記式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンの存在下、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(1b)で表されるハロゲン化リン化合物とを、上記溶媒存在下で混合して行われる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、式(1b)で表されるハロゲン化リン化合物に対して質量比で1〜30倍量である。
各成分の仕込み量は、上記アミンとしてモノアミンを用いる場合、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体:式(1b)で表されるハロゲン化リン化合物:式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンが、モル比で、通常、1:0.75〜2.0:0.75〜2.0、好ましくは1:0.9〜1.1:0.9〜1.1である。
上記アミンとしてジアミンを用いる場合、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体:式(1b)で表されるハロゲン化リン化合物:式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンが、モル比で、通常、1:0.75〜2.0:0.38〜2.0、好ましくは1:0.9〜1.1:0.45〜1.1である。
本発明の製造方法(a)において反応は、例えば、式(1b)で表されるハロゲン化リン化合物と上記溶媒とを混合した溶液を、好ましくは−50℃〜30℃、特に好ましくは−20℃〜0℃に冷却し、該冷却した溶液に、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンとの混合溶液を滴下して反応させることにより行うことができる。前記滴下中の反応温度は、通常、−50℃〜30℃、好ましくは−10℃〜10℃に保持して行うことが好ましい。
以上の反応により、第1中間体である、DCP(M)Aを含む溶液が得られる。得られる溶液中には、副生成物であるアミン塩酸塩又はアミン臭化水素酸塩が沈殿するが、ろ過等を行わずに、本発明の製造方法(b)に用いるDCP(M)Aとして用いることができる。
本発明の製造方法(b)において反応は、上記式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンの存在下、DCP(M)Aと、式(2)で表される2価のアルコールとを、上記溶媒存在下で混合して行われる。この際、上述のとおり、DCP(M)Aとして本発明の製造方法(a)により得られた溶液をそのまま用いることができる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、DCP(M)Aに対して質量比で1〜30倍量である。
各成分の仕込み量は、上記アミンとしてモノアミンを用いる場合、DCP(M)A:式(2)で表される2価のアルコール:式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンが、モル比で、通常、1:0.75〜2.0:1.5〜4.0、好ましくは1:0.8〜1.2:1.6〜2.2である。
上記アミンとしてジアミンを用いる場合、DCP(M)A:式(2)で表される2価のアルコール:式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンが、モル比で、通常、1:0.75〜2.0:0.75〜4.0、好ましくは1:0.8〜1.2:0.8〜2.2である。
本発明の製造方法(b)において反応は、例えば、DCP(M)Aと前記溶媒との混合物、もしくは本発明の製造方法(a)により得られたDCP(M)Aを含む溶液を、好ましくは−50℃〜30℃、特に好ましくは−20℃〜0℃に冷却し、該冷却した溶液に、式(2)で表される2価のアルコールと、式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンとの混合溶液を滴下して反応させることにより行うことができる。前記滴下中の反応温度は、通常、−50℃〜30℃、好ましくは−10℃〜10℃に保持して行うことが好ましい。
上記反応により、OP(M)Aを含む溶液が得られる。該溶液には、反応で生じた副生成物であるアミン塩酸塩又はアミン臭化水素酸塩が沈殿する。そこで、本発明の製造方法(b)においては、該副生成物である沈殿物を、ろ過操作等により除去する工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法(c)は、OP(M)Aと、上記式(6)で表されるアミンとを反応させるにあたり、該OP(M)Aとして、本発明の製造方法(b)により得られたOP(M)Aを含む溶液を用いて、上記式(7)で表される(メタ)アクリル酸誘導体((M)APC)を製造する。
本発明の製造方法(c)に用いる式(6)において、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を示す。
式(6)で表されるアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルイソブチルアミン、ジメチルターシャリーブチルアミンが挙げられる。
本発明の製造方法(c)において反応は、溶媒存在下で行うことができ、該溶媒としては、上記本発明の製造方法(a)及び(b)で用いた溶媒の使用が好ましい。ここで、アセトニトリル以外の溶媒を用いる場合は、反応に用いる本発明の製造方法(b)により得られたOP(M)Aを含む溶液を、蒸留操作等で濃縮して用いることが好ましい。
本発明の製造方法(c)の反応において、OP(M)Aと、式(6)で表されるアミンとの仕込み量は、モル比で、通常1:0.5〜5、好ましくは1:1〜2である。
反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは60〜90℃で、反応時間は、数時間〜数十時間、好ましくは5〜10時間程度である。
本発明の製造方法(c)においては、上記反応終了後、反応溶液を、通常−50〜30℃、好ましくは−30〜−10℃まで冷却することで、目的物の結晶を析出させることができる。これにより、得られる(M)APCを、公知の方法により容易に精製することができる。
本発明の製造方法(c)により得られる(M)APCとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート等を挙げることができる。入手性より2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MAPC)が好ましく挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1−1−1
温度センサー、攪拌機、恒温ジャケットを付した10Lの反応釜に、オキシ塩化リン306.6g(2.0モル)及び溶媒としてアセトニトリル2000gを仕込み、−15℃に冷却した。次いで、滴下用の反応釜に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)260.3g(2.0モル)、4−メチルモルホリン(NMM)202.2g(2.0モル)、及びアセトニトリル2000gを仕込み、この溶液を、反応釜の反応溶液が−10℃以下になるように保持して3時間かけて上記反応釜に滴下した。滴下終了後、−10℃で2時間反応を熟成した。得られた反応液中に、上記式(1)において、R1がメチル基であり、Vが−OC2H4−であるDCP(M)Aが得られていることを確認した。
次いで、滴下用の反応釜に、エチレングリコール(EG)124.1g(2.0モル)、NMM404.4g(4.0モル)及びアセトニトリル800gを仕込み、この溶液を、反応釜の反応溶液が−10℃以下になるように保持して、3時間かけて上記DCP(M)Aを含む反応釜に滴下した。滴下終了後、−10℃で2時間反応を熟成した後、析出したアミン塩酸塩を、外気に曝されないようにろ過し、中間体である、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を新たな10Lの耐圧反応釜に得た。得られた式(5-1)に示されるOP(M)Aの純度は94.2%であった。なお、式(5-1)に示されるOP(M)Aの純度測定は、31P−NMRにて行った。31P−NMRの機種はJEOL JNM-AL400を用いた。また、純度の決定は全積分面積に対する式(5-1)に示されるOP(M)A(18.5〜19.5ppm)の積分面積比から算出した。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−1−2
アセトニトリルの代わりに、トルエンを同量用いた以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−1−3
アセトニトリルの代わりに、アセトニトリルとトルエンとを等量混合した混合溶媒を同量用いた以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−1
HEMAの代わりに、6−ヒドロキヘキシルメタクリレート(HHMA)(Org. Prep. Proc. Int., 1993, 25 (6). 649を参考に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-2)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−2
HEMAの代わりに、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEG(n=10)MMA)(Poly Sciences. Inc製、CAS No.25636-86-1)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-3)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−3
HEMAの代わりに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-4)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−4
HEMAの代わりに、6−ヒドロキシヘキシルアクリルアミド(HHAA)(Angew. Chem., 2010, 49 (6).1052を参照に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-5)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−5
HEMAの代わりに、1−アクリロイル−4−ヒドロキシピペリジン(AHP)(国際公開第96/010049号を参照に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-6)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−2−6
HEMAの代わりに、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド(HPMAA)(国際公開第96/010049号を参照に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-7)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表1に示す。
実施例1−3−1
NMMの代わりに、式(3-1)に示される4−シクロヘキシルモルホリンを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−2
NMMの代わりに、式(3-2)に示される4−(1−シクロヘキセン−1−イル)モルホリンを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−3
NMMの代わりに、式(3-3)に示される4−(ナフタレン−1−イル)モルホリン(Org. Lett., 2010, 12(7), 1640を参照に合成を行した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−4
NMMの代わりに、式(3-4)に示されるビス(2−モルホリノエチル)エーテルを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−5
NMMの代わりに、式(4-1)に示されるビス(N−ジメチルアミノエチル)エーテルを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−6
NMMの代わりに、式(4-2)に示されるN−エトキシエチルジメチルアミン(Aurora Screening Library社製)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−7
NMMの代わりに、式(4-3)に示されるN−(ナフタレン−1−イル)メトキシエチルメチルアミン(Molecules., 2006, 11(1), 81を参照に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−3−8
NMMの代わりに、式(4-4)に示されるN−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ジメチルアミン(Org. Lett., 2010, 12(7), 1640を参照に合成した。)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表2に示す。
Figure 0005846044
実施例1−4−1
EGの代わりに1,4−ブチレングリコール(1,4-BG)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-8)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表3に示す。
実施例1−4−2
EGの代わりにカテコールを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-9)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表3に示す。
実施例1−4−3
EGの代わりに1,2−ジビニルエチレングリコール(1,2-DVG)を用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-10)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表3に示す。
実施例1−5−1
オキシ塩化リンの代わりにオキシ臭化リンを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表3に示す。
実施例1−5−2
オキシ塩化リンの代わりにチオ塩化リンを用い、同モル当量を仕込んだ以外は、実施例1−1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-11)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表3に示す。
比較例1−1
温度センサー、攪拌機、恒温ジャケットを付した10Lの反応釜にオキシ塩化リン306.6g(2.0モル)及び溶媒としてテトラヒドロフラン2000gを仕込み、−15℃に冷却した。次いで、滴下用の反応釜に、HEMA260.3g(2.0モル)、トリエチルアミン(TEA)202.4g(2.0モル)及びテトラヒドロフラン2000gを仕込み、この溶液を、反応釜の反応溶液が−10℃以下に保持し、3時間かけて反応釜に滴下した。滴下終了後、析出した4−メチルモルホリン塩酸塩をろ過後、中間体である、DCP(M)A溶液を新たな10Lの反応釜に得た。同じ滴下用の反応釜に、EG124.1g(2.0モル)、TEA404.4g(4.0モル)及びテトラヒドロフラン800gを仕込み、DCP(M)A溶液が入っている反応釜に、反応溶液が−10℃以下になるように保持して、3時間かけて滴下した。滴下終了後、−10℃で2時間反応を熟成した後、析出したアミン塩酸塩を、外気に曝されないようにろ過した後、中間体である、上記式(5-1)に示すOP(M)Aを含む溶液を新たな10Lの耐圧反応釜に得、実施例1−1−1と同様に各測定を行った。以上の反応及び結果を表4に示す。
比較例1−2
テトラヒドロフランの代わりに、アセトニトリルを同重量用いた以外は、比較例1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表4に示す。
比較例1−3
TEAの代わりに、トリブチルアミン(TBA)を同モル当量用いた以外は、比較例1−2と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表4に示す。
比較例1−4
TEAの代わりに、ジイソプロピルアミン(DIPA)を同モル当量用いた以外は、比較例1−2と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表4に示す。
比較例1−5
テトラヒドロフランの代わりに、トルエンを同量用いた以外は、比較例1−1と同様に各反応を行って、上記式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液を得、各測定を行った。以上の反応及び結果を表4に示す。
Figure 0005846044
Figure 0005846044
Figure 0005846044
Figure 0005846044
実施例2−1
実施例1−1−1で調製した、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液5050gが入っている耐圧反応釜に、トリメチルアミン236.4g(4.0モル)を加えて密閉し、80℃で10時間反応させた。反応終了後、過剰のトリメチルアミンを留去し、−20℃で24時間攪拌後、生成した結晶を、外気に曝されないようにろ過した。ろ過した結晶をアセトニトリル1000gにて結晶洗浄した後、減圧乾燥し、最終生成物である、式(7-1)に示す、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MAPC)の白色結晶509gを得た。MAPCの収率は85%、純度は99.2%であった。原料、MAPCの純度及び収率を表5に示す。
なお、収率は下記式を用いて算出した。
MAPCの収率(%)=(得られたMAPCの重量(g))/(オキシ塩化リンの仕込み量(モル)
×MAPCの分子量(295.3))×MAPCの純度×100
純度測定は、31P−NMRにて行った。31P−NMRの機種はJEOL JNM-AL400を用いた。また、純度の決定は全積分面積に対する、MAPC(0.6〜1.0ppm)の積分面積比から算出した。
Figure 0005846044
実施例2−2
実施例1−1−2で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液5122gが入った耐圧反応釜にて、該OP(M)Aが20質量%となるように溶媒を留去した後、濃縮し、式(5-1)に示すOP(M)Aを含む溶液に対してアセトニトリルを質量比で2倍量加え、更にトリメチルアミン236.4g(4.0モル)を加えて密閉し、80℃で10時間反応させた。反応終了後、過剰のトリメチルアミンを留去し、−20℃で24時間放置後、生成した結晶を、外気に曝されないようにろ過した。ろ過した結晶をアセトニトリル1000gにて結晶洗浄した後、減圧乾燥し、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの白色結晶463gを得た。収率は78%、純度は99.3%であった。結果を表5に示す。
実施例2−3
実施例1−1−3で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液5087gに対して、実施例2−2と同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの白色結晶475gを得た。収率は80%、純度は99.5%であった。結果を表5に示す。
比較例2−1
比較例1−1で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液4984gに対して、実施例2−2と同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの薄黄色結晶363gを得た。収率は60%、純度は97.4%であった。結果を表5に示す。
比較例2−2
比較例1−2で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液4990gに対して、実施例2−1と同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの薄黄色結晶187gを得た。収率は31%、純度は96.7%であった。結果を表5に示す。
比較例2−3
比較例1−3で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液4969gに対して、実施例2−1と同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの黄色結晶147gを得た。収率は24%、純度は95.3%であった。結果を表5に示す。
比較例2−4
比較例1−4で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液4945gに対して、実施例2−1同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの黄色結晶51gを得た。収率は8%、純度は93.7%であった。
比較例2−5
比較例1−5で得られた、式(5-1)に示されるOP(M)Aを含む溶液4961gに対して、実施例2−2と同様の操作を行い、最終生成物である、上記式(7-1)に示されるMAPCの黄色結晶110gを得た。収率は18%、純度は94.9%であった。結果を表5に示す。
Figure 0005846044
以上の結果から、式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンを用いることで、エーテル溶媒を用いずに、OP(M)Aが高純度で得られることがわかった。その結果、(M)APCに関しても高収率、高純度で得られることがわかった。またOP(M)Aの製造において、式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンの塩酸塩もしくは臭化水素酸塩の存在下で同一反応釜内にて連続的に行うことが可能であることがわかった。従って、ろ過数及び反応釜数の削減が可能であった。

Claims (6)

  1. 式(1a)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(1b)で表されるハロゲン化リンとを溶媒中で反応させるにあたり、
    溶媒として、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、トルエン、キシレン、クメン、テトラリン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、及びクロロベンジルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い、かつ式(3)又は式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いることを特徴とする、式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む溶液の製造方法。
    Figure 0005846044
    (式(1a)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Vは−(OR2)q−(ここで、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、qは1〜10の整数である。)、もしくは下記式(式中、R3は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、R4は水素原子を示し、また、R3及びR4は互いに連結してピペリジン骨格を形成しても良い。)に示される基を示す。)。
    Figure 0005846044
    Figure 0005846044
    (式(1b)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Wは酸素原子又は硫黄原子を示す。)
    Figure 0005846044
    (式(3)中、R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10のアリール基を示し、また、R7を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。式(4)中、R8及びR9はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、R10はメチル基又はエチル基を示し、また、R10は、R10に結合している酸素原子を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。sは1〜4の整数である。)
    Figure 0005846044
    (式(1)中、R1、X1、X2、W及びVは前記と同じ意味を示す)。
  2. 式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(2)で表される2価のアルコールとを溶媒中で反応させるにあたり、
    溶媒として、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、トルエン、キシレン、クメン、テトラリン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、及びクロロベンジルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い、かつ式(3)又は式(4)で表される分子内にエーテル基を有するアミン化合物を用いることを特徴とする、式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む溶液の製造方法。
    Figure 0005846044
    (式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を示し、Wは酸素原子又は硫黄原子を示す。Vは−(OR2)q−(ここで、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、qは1〜10の整数である。)、もしくは下記式(式中、R3は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、R4は水素原子を示し、また、R3及びR4は互いに連結してピペリジン骨格を形成しても良い。)に示される基を示す。)。
    Figure 0005846044
    OH−R5R6−OH ・・・(2)
    (式(2)中、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜3の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、また互いに連結して環を形成しても良く、互いに不飽和結合にて結合されていても良い。)
    Figure 0005846044
    (式(3)中、R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10のアリール基を示し、また、R7を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。式(4)中、R8及びR9はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示し、R10はメチル基、エチル基、もしくはR10に結合している酸素原子を介して同一の構造を2つ有するジアミンを形成しても良い。sは1〜4の整数である。)
    Figure 0005846044
    (式(5)中、R1、V、W、R5及びR6は前記と同じ意味を示す。)
  3. 前記溶媒が、アセトニトリルである請求項2記載の製造方法。
  4. 式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体として、請求項1記載の製造方法により得られた、式(1)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む溶液を用いることを特徴とする請求項2又は3記載の製造方法。
  5. 前記反応において生成した、式(3)又は式(4)で表される、分子内にエーテル基を有するアミンの塩酸塩もしくは臭化水素酸塩を除去する工程を含む請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体と、式(6)で表されるアミンとを反応させるにあたり、該(メタ)アクリル酸誘導体として、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた式(5)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む溶液を用いることを特徴とする、式(7)で表される(メタ)アクリル酸誘導体の製造方法。
    Figure 0005846044
    (式(5)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Wは酸素原子又は硫黄原子を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜3の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、また互いに連結して環を形成しても良く、互いに不飽和結合にて結合されていても良い。Vは−(OR2)q−(ここで、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、qは1〜10の整数である。)、もしくは下記式(式中、R3は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、R4は水素原子を示し、また、R3及びR4は互いに連結してピペリジン骨格を形成しても良い。)に示される基を示す。)。
    Figure 0005846044
    Figure 0005846044
    (式(6)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0005846044
    (式(7)中、R1、R5、R6、R11、R12、R13、V及びW前記と同じ意味である。)
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