JP5844239B2 - 放射線画像処理装置、放射線画像撮影システム、プログラム及び放射線画像処理方法 - Google Patents

放射線画像処理装置、放射線画像撮影システム、プログラム及び放射線画像処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射線画像処理装置、放射線画像撮影システム、プログラム及び放射線画像処理方法に係り、特に、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせを行う放射線画像処理装置、放射線画像撮影システム、プログラム及び放射線画像処理方法に関する。
従来、医療現場において放射線画像を撮影する装置として、FPD(Flat Panel Detector)を有する放射線画像撮影装置が用いられている。この放射線画像撮影装置では、撮影を行うときに、放射線を出射させる管球部、及び当該管球部により出射された放射線が入射されるFPD間において被検体をポジショニングすれば良いため、撮影場所や被検体の姿勢等における制限が少ないといった利点がある。一方、この放射線画像撮影装置により撮影を行う度に被検体をポジショニングする場合、被検体における撮影対象領域が撮影の度に変化するため、異なるタイミングでの撮影で得られた複数の放射線画像の各画像間の位置関係の把握が難しいといった欠点もある。
そこで、この欠点を解消するために適用できる技術として、特許文献1には、複数の放射線画像において形態が類似する領域を各々切り出して拡大表示することで、手術における医師の診断能を高めた放射線画像撮影装置が開示されている。
すなわち、この放射線画像撮影装置は、撮像で得た第1の放射線画像から、観察範囲として関心のある領域を第1関心領域として決定して切り出し、第1関心領域から観察対象とする形態である第1形態を決定して拡大表示する。また、この放射線画像撮影装置は、撮像で得た第2の放射線画像から、第1の放射線画像の第1形態に類似する第2形態を検索し、第2形態を含むように第2関心領域を決定して切り出し第2形態を拡大表示する。
特開2011−56024号公報
ところで、医療現場で放射線画像を撮影する際には、被検体が、撮影対象としない部位を放射線から防護するための放射線防護具を着用した状態で撮影する状況が想定される。また、被検体の体内に人工関節や体内固定ボルトが埋め込まれている状況も想定される。これらの状況で撮影された放射線画像は、放射線防護具、人工関節、体内固定ボルト等の人工物に対応する人工物領域を含んでいる場合が多い。
一方、複数回の撮影によって得られた複数の放射線画像を相互に比較する場合、複数の放射線画像を各画像間で位置合わせすることにより各画像を比較し易くした状態で表示させる場合がある。この場合、上記特許文献1に開示されている技術を利用して、複数の放射線画像において形態が類似する領域を検索し、当該領域に基づいて位置合わせを行う手法を用いることができる。
しかし、この手法では、人工物が放射線防護具であった場合には人工物の位置が撮影毎に異なる場合があるため、人工物領域に基づいて複数の放射線画像の位置合わせを行うと、被検体に対応する被検体領域の位置がずれてしまう場合がある。この場合、位置合わせの精度が低下する場合がある、という問題点があった。
また、人工物が人工関節、体内固定ボルト等の体内に設けられるものであった場合には、体内に人工物を設ける手術前の撮影で得た放射線画像には人工物領域が存在しない一方、当該手術後の撮影で得た放射線画像には人工物領域が存在する。そのため、上記手術の前後の放射線画像を含む複数の放射線画像の位置合わせを行うと、人工物領域と被検体領域とを誤って対応付けてしまう場合がある。この場合にも、位置合わせの精度が低下する場合がある、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる放射線画像処理装置、放射線画像撮影システム、プログラム及び放射線画像処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線画像処理装置は、同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得手段と、前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出手段と、前記取得手段で取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせ手段とを備えている。
本発明に係る放射線画像処理装置によれば、取得手段により、同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報が取得され、検出手段により、前記放射線画像から前記人工物領域が検出される。
ここで、本発明では、位置合わせ手段により、前記取得手段で取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせが行われる。
このように、本発明の放射線画像処理装置によれば、非人工物領域を基準として複数の放射線画像の各々の位置合わせを行うので、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる。
なお、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記位置合わせ手段が、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出されなかった非検出放射線画像の場合には、前記検出放射線画像で検出された前記人工物領域に対応する領域を除いた領域を前記非人工物領域として、当該非人工物領域を基準として位置合わせを行うようにしても良い。これにより、人工物領域が検出されなかった放射線画像内に探索点を設定する場合に比較して、人工物領域が検出されなかった放射線画像についても、高精度に位置合わせを行うことができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記位置合わせ手段が、前記非人工物領域の全領域を基準として粗い位置合わせを行った後、前記人工物領域からの距離が予め定められた閾値以下となる領域を基準として詳細な位置合わせを行うようにしても良い。これにより、人工物領域の全領域を基準にした位置合わせのみを行う場合に比較して、より高精度に、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせを行うことができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記放射線画像の対応する各画素の画素値の差分値を各画素の画素値とした差分画像を表示手段に表示させる制御を行う表示制御手段を更に備えたようにしても良い。これにより、位置合わせを行った複数の放射線画像の差異を容易に確認することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記人工物領域の各画素の差分値を予め定められた値としたようにしても良い。これにより、差分画像において、人工物領域により観察対象の視認性が低下することを防止することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記予め定められた値が、前記非人工物領域の各画素の差分値の平均値であるようにしても良い。これにより、差分画像において、人工物領域により観察対象の視認性が低下することを防止することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記予め定められた値が0を含む予め定められた範囲内の数値であるようにしても良い。これにより、差分画像において、人工物領域により観察対象の視認性が低下することを防止することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記表示制御手段が、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記放射線画像の各々を表示手段に予め定められた順に複数回更に表示させるようにしても良い。これにより、位置合わせを行った複数の放射線画像を相互に比較しながら閲覧することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記表示制御手段が、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた少なくとも1つの前記検出放射線画像について前記人工物領域を含む予め定められた領域を拡大して前記表示手段に更に表示させる制御を行うようにしても良い。これにより、位置合わせを行った複数の放射線画像における人工物領域の細部を確認することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記表示制御手段が、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた少なくとも1つの前記検出放射線画像について前記人工物領域を含む予め定められた領域を拡大して前記表示手段に更に表示させる制御を行うようにしても良い。これにより、位置合わせを行った複数の放射線画像における非人工物領域の細部を確認することができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記放射線画像が、被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像であり、前記人工物が、前記被検体の少なくとも一部を放射線から防護する放射線防護具であるようにしても良い。これにより、撮影時に被検体が放射線防護具を着用していても、高精度に複数の放射線画像の各画像間の位置合わせを行うことができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記放射線画像が、被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像であり、前記人工物が、前記被検体の体内に設けられた人工関節、体内固定ボルト及びチタンプレートの少なくとも1つであるようにしても良い。これにより、被検体の体内に人工物が設けられていても、高精度に複数の放射線画像の各画像間の位置合わせを行うことができる。
また、本発明に係る放射線画像処理装置は、前記画像情報により示される各放射線画像が、前記被検体の体内に人工物を設ける手術の前後において各々前記被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像であるようにしても良い。これにより、位置合わせを行った複数の放射線画像における手術前後の変化を容易に確認することができる。
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る放射線画像撮影システムは、本発明に係る放射線画像処理装置と、放射線画像を撮影する撮影手段とを有し、前記放射線画像処理装置の取得手段は、前記撮影手段による撮影で得られた画像情報を取得する。
従って、本発明の放射線画像撮影システムによれば、本発明に係る放射線画像処理装置と同様に作用するので、当該放射線画像処理装置と同様に、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる。
一方、上記目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得手段と、前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出手段と、前記取得手段で取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせ手段と、として機能させる。
従って、本発明に係るプログラムによれば、コンピュータを本発明に係る放射線画像処理装置と同様に作用させることができるので、当該放射線画像処理装置と同様に、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明に係る放射線画像処理方法は、同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得ステップと、前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出ステップと、前記取得ステップで取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出ステップにより前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせステップと、を有している。
従って、本発明に係る放射線画像処理方法によれば、本発明に係る放射線画像処理装置と同様に作用するので、当該放射線画像処理装置と同様に、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる。
本発明によれば、複数の放射線画像の各画像間の位置合わせの精度を向上させることができる、という効果を奏する。
実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示すブロック図である。 実施形態に係る電子カセッテの内部構成を示す一部破断斜視図である。 実施形態に係る放射線照射装置の要部構成を示す斜視図である。 実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示すブロック図である。 実施形態に係る放射線検出器の1画素部分に注目した等価回路図である。 実施形態に係る間接変換方式の放射線検出器の構成を模式的に示した断面図である。 実施形態に係るTFT基板の構成を概略的に示した断面図である。 表面読取方式と裏面読取方式を説明するための断面側面図である。 実施形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係る位置合わせ処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係る画像選択画面の一例を示す正面図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第1実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第2実施形態に係る位置合わせ処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。 第2実施形態に係る位置合わせ処理の説明に供する模式図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム(以下、単に「撮影システム」という。)10の構成について説明する。
同図に示すように、本実施形態に係る撮影システム10は、予め設定された撮影条件に従った放射線量からなる放射線Xを被検体14に照射する放射線照射装置18を有する。また、撮影システム10は、可搬型撮影装置(以下、「電子カセッテ」という。)20を有する。この電子カセッテ20は、被検体14を透過した放射線Xを検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す放射線画像情報(以下、単に「画像情報」という。)を生成し、当該画像情報を予め定められた記憶領域に記憶することにより撮影を行う。さらに、撮影システム10は、放射線照射装置18及び電子カセッテ20を制御するコンソール26とを備えている。
電子カセッテ20は、図2に示すように、放射線Xを透過させる材料からなる略矩形平板状の筐体30を備えている。電子カセッテ20は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、筐体30を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20を繰り返し続けて使用することができる。
また、電子カセッテ20の筐体30の側面には通信ケーブルを接続するための接続端子20Aが設けられている。また、筐体30の内部には、放射線Xが照射される筐体30の照射面32側から、放射線Xの散乱線を除去するグリッド34を備える。また、筐体30の内部には、放射線Xが照射される略矩形状の照射面36Aを備え、被検体14を透過して照射面36Aから照射された放射線Xの放射線量を検出して、当該放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報を出力する放射線検出器36を備える。さらに、筐体30の内部には、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板38を備える。なお、筐体30の内部において、グリッド34、放射線検出器36、鉛板38は順に配設されている。
また、筐体30の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能な二次電池を収容するケース40が配置されている。放射線検出器36及び電子回路は、ケース40に収容された二次電池から供給される電力によって作動する。ここで、ケース40内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース40の照射面32側には鉛板等の放射線を遮蔽する遮蔽部材を配設しておくことが望ましい。
一方、放射線照射装置18は、図3に示すように、放射線Xを射出する放射線源42と、放射線源42と電子カセッテ20との間に設けられ、4枚のスリット板44A,44B,44C,44Dを含んで構成された絞り部44(コリメータ)とを備えている。
各スリット板44A乃至44Dは、鉛やタングステン等の放射線Xを遮蔽する材料で構成された、平面視矩形状の板状部材により構成されている。絞り部44では、スリット板44Aとスリット板44Bとの一側面同士が対向し、かつスリット板44Cとスリット板44Dとの一側面同士が対向するように各スリット板44A乃至44Dが配置されている。また、各スリット板44A乃至44Dの当該対向する各々の側面により平面視矩形状の開口領域51が形成される。
ここで、スリット板44A及びスリット板44Bは同図x方向に移動可能に構成されているのに対し、スリット板44C及びスリット板44Dは上記x方向とは直交する方向である同図y方向に移動可能に構成されている。なお、本実施形態に係る絞り部44では、各スリット板44A乃至44Dの移動可能な範囲が、対向配置されているスリット板同士の先端部が接触する状態から、開口領域51が平面視矩形状を保ち、かつ最大の面積となる状態までの範囲とされている。
また、後述する図5に示すように、本実施形態に係る放射線照射装置18では、スリット板44Aがモータ146の駆動力が図示しない伝達手段を介して伝達されて移動する。また、放射線照射装置18では、スリット板44Bがモータ148の駆動力が図示しない伝達手段を介して伝達されて移動する。また、放射線照射装置18では、スリット板44Cがモータ150の駆動力が図示しない伝達手段を介して伝達されて移動し、さらに、スリット板44Dがモータ152の駆動力が図示しない伝達手段を介して伝達されて移動する。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る撮影システム10の電気系の要部構成について説明する。
同図に示すように、本実施形態に係る放射線照射装置18には、コンソール26と通信を行うための接続端子18Aが設けられている。これに対し、本実施形態に係るコンソール26には、放射線照射装置18と通信を行うための接続端子26A、電子カセッテ20と通信を行うための接続端子26Bが設けられている。
放射線照射装置18は、通信ケーブル70を介してコンソール26に接続されている。電子カセッテ20は、放射線画像の撮影時に、接続端子20Aに通信ケーブル72が接続され、当該通信ケーブル72を介してコンソール26に接続される。本実施形態では、電子カセッテ20とコンソール26との間のデータ転送の高速化を図るために、通信ケーブル72に光ファイバーを採用した光通信ケーブルを用いていて、光通信によって電子カセッテ20とコンソール26との間でデータの転送を行っている。
電子カセッテ20に内蔵された放射線検出器36は、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換方式、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式の何れでもよい。直接変換方式の放射線検出器36は、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板74上に、放射線Xを吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成る。光電変換層は、放射線Xが照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線Xを電荷へ変換する。間接変換方式の放射線検出器36は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換する放射線−電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換してもよい。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)がよく知られている。この場合、蛍光体材料によって放射線X−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行う。本実施形態に係る電子カセッテ20は、間接変換方式の放射線検出器36を内蔵するものとする。
また、TFTアクティブマトリクス基板74上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量76と、蓄積容量76に蓄積された電荷を読み出すためのTFT78とを備えた画素部80がマトリクス状に多数個配置されている。なお、図4では個々の画素部80に対応する光電変換層や光電変換素子を光電変換部82として模式的に示している。電子カセッテ20への放射線Xの照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部80の蓄積容量76に蓄積される。これにより、電子カセッテ20に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器36に保持される。
また、TFTアクティブマトリクス基板74には、一定方向(行方向)に延設され、個々の画素部80のTFT78をオンオフさせるための複数本のゲート配線84と、ゲート配線84と直交する方向(列方向)に延設される。また、TFTアクティブマトリクス基板74には、オンされたTFT78を介して蓄積容量76から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線86が設けられている。個々のゲート配線84はゲート線ドライバ88に接続されており、個々のデータ配線86は信号処理部90に接続されている。個々の画素部80の蓄積容量76に電荷が蓄積されると、個々の画素部80のTFT78は、ゲート線ドライバ88からゲート配線84を介して供給される信号により行単位で順にオンされる。TFT78がオンされた画素部80の蓄積容量76に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線86を伝送されて信号処理部90に入力される。従って、個々の画素部80の蓄積容量76に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
図5に示すように、TFT78のソースは、データ配線86に接続されており、このデータ配線86は、信号処理部90に接続されている。また、TFT78のドレインは蓄積容量76及び光電変換部82に接続され、TFT78のゲートはゲート配線84に接続されている。
信号処理部90は、個々のデータ配線86毎にサンプルホールド回路92を備えている。個々のデータ配線86を伝送された電荷信号はサンプルホールド回路92に保持される。サンプルホールド回路92はオペアンプ92Aとコンデンサ92Bを含んで構成され、電荷信号をアナログ電圧に変換する。また、サンプルホールド回路92にはコンデンサ92Bの両電極をショートさせ、コンデンサ92Bに蓄積された電荷を放電させるリセット回路としてスイッチ92Cが設けられている。
サンプルホールド回路92の出力側にはマルチプレクサ94、A/D(アナログ/デジタル)変換器96が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はアナログ電圧に変換されてマルチプレクサ94に順に(シリアルに)入力される。そして、入力された電荷信号は、A/D変換器96によってデジタルの画像情報へ変換される。
図4に示すように、信号処理部90にはラインメモリ98が接続されており、信号処理部90のA/D変換器96から出力された画像情報はラインメモリ98に順に記憶される。ラインメモリ98は放射線画像を示す画像情報を所定ライン分記憶可能な記憶容量を有しており、1ラインずつ電荷の読み出しが行われる毎に、読み出された1ライン分の画像情報がラインメモリ98に順次記憶される。
ラインメモリ98は電子カセッテ20全体の動作を制御するカセッテ制御部100と接続されている。カセッテ制御部100は、マイクロコンピュータによって実現されており、光通信制御部102が接続されている。この光通信制御部102は、接続端子20Aに接続されており、接続端子20Aを介して接続された外部機器との間での各種情報の伝送の制御を行う。従って、カセッテ制御部100は、光通信制御部102を介して外部機器との間で各種情報の送受信が可能とされている。
さらに、電子カセッテ20は電源部106を備えている。上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ88、信号処理部90、ラインメモリ98、光通信制御部102やカセッテ制御部100として機能するマイクロコンピュータ)は、電源部106から供給された電力によって作動する。電源部106は、電子カセッテ20の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路や素子へ電力を供給する。
コンソール26は、サーバ・コンピュータとして構成されており、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、操作メニューや撮影された放射線画像等の各種情報がディスプレイの表示面に表示される。また、コンソール26は、医師等がタッチペンで上記タッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力されるUI(User Interface)パネル110と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル112と、を備えている。
また、コンソール26は、装置全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)114と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)116を備えている。さらに、コンソール26は、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)118と、各種データを記憶して保持するHDD(Hard Disk Drive)120と、を備えている。
また、コンソール26は、UIパネル110のディスプレイの制御を行うと共に、タッチパネルに対する操作状態を検出するUIパネル制御部122と、操作パネル112に対する操作状態を検出する操作入力検出部124とを備えている。また、コンソール26は、接続端子26Aに接続され、接続端子26A及び通信ケーブル70を介して放射線照射装置18との間で曝射条件や放射線照射装置18の状態情報等の各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部126を備えている。また、コンソール26は、接続端子26Bに接続され、接続端子26B及び通信ケーブル72を介して電子カセッテ20との間で画像情報等の各種情報の送受信を行う光通信制御部128を備えている。
CPU114、ROM116、RAM118、HDD120、UIパネル制御部122、操作入力検出部124、通信I/F部126、及び光通信制御部128は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU114は、ROM116、RAM118、HDD120へのアクセスを行うことができる。また、CPU114は、UIパネル制御部122を介したUIパネル110のディスプレイへの各種情報の表示の制御を行うことができる。また、CPU114は、UIパネル制御部122を介したUIパネル110のタッチパネルに対する医師等による操作状態の把握、操作入力検出部124を介した操作パネル112に対する医師等による操作状態の把握を行うことができる。さらに、CPU114は、通信I/F部126を介した放射線照射装置18との各種情報の送受信の制御、光通信制御部128を介した電子カセッテ20との各種情報の送受信の制御を行うことができる。
なお、本実施形態に係るUIパネル110のタッチパネルは、透明電極を用いた多数のスイッチがマトリクス状に配列されて構成されている。UIパネル110のディスプレイの画面に被検体14の放射線画像が表示されている状態で、医師等がタッチペン(図示省略)でUIパネル110のディスプレイの画面に触れると、タッチパネルの多数のスイッチのうちの何れか1つがオンする。UIパネル制御部122は、タッチパネルの何れかのスイッチがオンになると、オンになったスイッチの位置をマトリクスにおける2次元直交座標で表した座標情報をCPU114へ出力する。CPU114は、UIパネル制御部122から座標情報が入力されると、当該座標情報をHDD120に記憶する。
一方、放射線照射装置18は、放射線照射装置18全体の動作を制御する照射装置制御部140を備えている。照射装置制御部140はマイクロコンピュータによって実現されており、通信I/F部142が接続されている。通信I/F部142は、接続端子18Aに接続されており、接続端子18Aを介して接続されたコンソール26との間での各種情報の伝送の制御を行う。従って、照射装置制御部140は、通信I/F部142を介してコンソール26との間での各種情報の送受信が可能とされている。また、照射装置制御部140には放射線源42が接続されており、照射装置制御部140は、通信I/F部142を介して受信した曝射条件に基づいて放射線源42を制御する。
また、放射線照射装置18は、スリット板44Aを移動させるための駆動力を発生するモータ146を備えている。また、放射線照射装置18は、スリット板44Bを移動させるための駆動力を発生するモータ148を備えている。さらに、放射線照射装置18は、スリット板44Cを移動させるための駆動力を発生するモータ150と、スリット板44Dを移動させるための駆動力を発生するモータ152とを備えている。
また、放射線照射装置18は、モータ146の駆動制御を行うモータドライバ154と、モータ148の駆動制御を行うモータドライバ156とを備えている。また、放射線照射装置18は、モータ150の駆動制御を行うモータドライバ158と、モータ152の駆動制御を行うモータドライバ160とを備えている。
モータ146は、モータドライバ154を介して照射装置制御部140に接続されている。モータ148は、モータドライバ156を介して照射装置制御部140に接続されている。モータ150は、モータドライバ158を介して照射装置制御部140に接続されている。モータ152は、モータドライバ160を介して照射装置制御部140に接続されている。従って、モータ146,148,150,152の駆動は、コンソール26からの指示に応じて、照射装置制御部140によって制御される。
次に、蛍光体材料と光電変換素子を用いて放射線を間接的に電荷に変換する間接変換方式とした場合の放射線検出器36の構成について説明する。
図6に示すように、放射線検出器36は、絶縁性の基板300上に、信号出力部302、光電変換部82、及びシンチレータ304が順次積層しており、信号出力部302、光電変換部82により画素部が構成されている。画素部は、基板300上に複数配列されており、各画素部における信号出力部302と光電変換部82とが重なりを有するように構成されている。
シンチレータ304は、光電変換部82上に透明絶縁膜306を介して形成されており、上方(基板300と反対側)から入射してくる放射線を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。このようなシンチレータ304を設けることで、被写体を透過した放射線を吸収して発光することになる。
シンチレータ304が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器36によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
シンチレータ304に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線としてX線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが400nm〜700nmにあるCsI(Tl)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
シンチレータ304は、例えば、CsI(Tl)等の柱状結晶で形成しようとする場合、蒸着基板への蒸着によって形成されてもよい。このように蒸着によってシンチレータ304を形成する場合、蒸着基板は、X線の透過率、コストの面からAlの板がよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ304としてGOSを用いる場合、蒸着基板を用いずにTFTアクティブマトリクス基板74の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ304を形成してもよい。
光電変換部82は、上部電極310、下部電極312、及び該上下の電極間に配置された光電変換膜314を有している。
上部電極310は、シンチレータ304により生じた光を光電変換膜314に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ304の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましい。具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極310としてAuなどの金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極310は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜314は、シンチレータ304から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光電変換膜314は、光が照射されることにより電荷を発生する材料により形成すればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料などにより形成することができる。アモルファスシリコンを含む光電変換膜314であれば、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ304による発光を吸収することができる。有機光電変換材料を含む光電変換膜314であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ304による発光以外の電磁波が光電変換膜314に吸収されることがほとんどない。よって、X線等の放射線が光電変換膜314で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
光電変換膜314を構成する有機光電変換材料は、シンチレータ304で発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ304の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ304の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ304から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ304の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmである。そのため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ304の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜314で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
次に、本実施形態に係る放射線検出器36に適用可能な光電変換膜314について具体的に説明する。
本発明に係る放射線検出器36における電磁波吸収/光電変換部位は、1対の下部電極312,上部電極310と、該下部電極312,上部電極310間に挟まれた光電変換膜314を含む有機層により構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合により形成することができる。
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。
有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び光電変換膜314の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜314は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
光電変換膜314の厚みは、シンチレータ304からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましい。しかし、ある程度以上厚くなると光電変換膜314の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜314に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなる。そのため、光電変換膜314の厚みは、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
なお、図6に示す放射線検出器36では、光電変換膜314は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。
下部電極312は、画素部毎に分割された薄膜とする。下部電極312は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。また、下部電極312の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
光電変換部82では、上部電極310と下部電極312の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜314で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極310に移動させ、他方を下部電極312に移動させることができる。本実施形態の放射線検出器36では、上部電極310に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極310に印加されるものとする。又、バイアス電圧は、光電変換膜314で発生した電子が上部電極310に移動し、正孔が下部電極312に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
各画素部を構成する光電変換部82は、少なくとも下部電極312、光電変換膜314、及び上部電極310を含んでいればよい。しかし、暗電流の増加を抑制するため、各画素部を構成する光電変換部82には、電子ブロッキング膜316及び正孔ブロッキング膜318の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜316は、下部電極312と光電変換膜314との間に設けることができる。電子ブロッキング膜316を設けることにより、下部電極312と上部電極310間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極312から光電変換膜314に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
電子ブロッキング膜316には、電子供与性有機材料を用いることができる。
実際に電子ブロッキング膜316に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜314の材料等に応じて選択すれば良い。しかし、当該材料は、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜314の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜316の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、光電変換部82の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましい。しかし、電子ブロッキング膜316の厚みは、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
正孔ブロッキング膜318は、光電変換膜314と上部電極310との間に設けることができる。正孔ブロッキング膜318は、下部電極312と上部電極310間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極310から光電変換膜314に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。また、正孔ブロッキング膜318には、電子受容性有機材料を用いることができる。
正孔ブロッキング膜318の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、光電変換部82の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましい。しかし、正孔ブロッキング膜318の厚みは、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
実際に正孔ブロッキング膜318に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜314の材料等に応じて選択すれば良い。しかし、当該材料は、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜314の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
なお、光電変換膜314で発生した電荷のうち、正孔が上部電極310に移動し、電子が下部電極312に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜316と正孔ブロッキング膜318の位置を逆にすれば良い。又、電子ブロッキング膜316と正孔ブロッキング膜318は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
各画素部の下部電極312下方の基板300の表面には信号出力部302が形成されている。
図7に示すように、下部電極312に対応して、下部電極312に移動した電荷を蓄積する蓄積容量76と、蓄積容量76に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT78が形成されている。蓄積容量76及びTFT78の形成された領域は、平面視において下部電極312と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部302と光電変換部82とが厚さ方向で重なりを有することとなる。なお、放射線検出器36(画素部)の平面積を最小にするために、蓄積容量76及びTFT78の形成された領域が下部電極312によって完全に覆われていることが望ましい。
蓄積容量76は、基板300と下部電極312との間に設けられた絶縁膜319を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極312と電気的に接続されている。これにより、下部電極312で捕集された電荷を蓄積容量76に移動させることができる。
TFT78は、ゲート電極320、ゲート絶縁膜322、及び活性層(チャネル層)324が積層され、さらに、活性層324上にソース電極326とドレイン電極328が所定の間隔を開けて形成されている。活性層324は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブなどにより形成することができる。なお、活性層324を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
活性層324を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましい。しかし、活性層324を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層324を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
活性層324を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
TFT78の活性層324を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まる。そのため、TFT78の活性層324を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、信号出力部302におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、活性層324をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT78のスイッチング速度の高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT78を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層324を形成する場合、活性層324に極微量の金属性不純物が混入するだけで、TFT78の性能は著しく低下するため、遠心分離などにより極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板300としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド等の可撓性基板を用いることができる。また、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板も用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
また、基板300には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板300を形成してもよい。
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板300を形成できる。
本実施形態では、基板300上に、信号出力部302、光電変換部82、透明絶縁膜306を順に形成し、当該基板300上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ304を貼り付けることにより放射線検出器36を形成している。以下、透明絶縁膜306まで形成された基板300をTFTアクティブマトリクス基板(以下「TFT基板」という。)74と称する。
本実施形態に係る電子カセッテ20では、放射線検出器36がTFT基板74側から放射線Xが照射されるように内蔵されている。
ここで、放射線検出器36は、図8に示すように、シンチレータ304が形成された側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の裏面側に設けられたTFT基板74により放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式とされたとする。なお、裏面読み取り方式とは、所謂PSS(Penetration Side Sampling)方式である。この場合、シンチレータ304の同図上面側(TFT基板74の反対側)でより強く発光する。一方、TFT基板74側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたTFT基板74により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式とされたとする、なお、表面読取方式は、所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式である。この場合、TFT基板74を透過した放射線がシンチレータ304に入射してシンチレータ304のTFT基板74側がより強く発光する。TFT基板74に設けられた各光電変換部82には、シンチレータ304で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器36は、表面読取方式とされた場合の方が裏面読取方式とされた場合よりもTFT基板74に対するシンチレータ304の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
また、放射線検出器36は、光電変換膜314を有機光電変換材料により構成しており、光電変換膜314で放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施形態に係る放射線検出器36は、表面読取方式により放射線がTFT基板74を透過する場合でも光電変換膜314による放射線の吸収量が少ないため、放射線Xに対する感度の低下を抑えることができる。表面読取方式では、放射線がTFT基板74を透過してシンチレータ304に到達する。しかし、このように、TFT基板74の光電変換膜314を有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜314での放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、表面読取方式に適している。
また、TFT78の活性層324を構成する非晶質酸化物や光電変換膜314を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板300を放射線の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。このように形成された基板300は放射線の吸収量が少ないため、表面読取方式により放射線がTFT基板74を透過する場合でも、放射線Xに対する感度の低下を抑えることができる。
また、例えば、放射線検出器36をTFT基板74が照射面32側となるように筐体30内の照射面32部分に貼り付けるものとし、基板300を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成したとする。この場合、放射線検出器36自体の剛性が高いため、筐体30の照射面32部分を薄く形成することができる。また、基板300を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器36自体が可撓性を有するため、照射面32に衝撃が加わった場合でも放射線検出器36が破損しづらい。
次に、本実施形態に係る撮影システム10の作用を説明する。
撮影を行う医師、放射線技術者等の撮影者は、まず、被検体14の検査対象とする部位(例えば、股関節)が電子カセッテ20により撮影可能な位置となるように、放射線照射装置18及び電子カセッテ20間に被検体14を誘導し、被検体14のポジショニングを行う。その後、撮影者は、コンソール26に対して放射線画像の撮影の開始を指示する指示操作を行う。
コンソール26は、当該指示操作が行われると、放射線画像を撮影する撮影処理を実行する。
次に、図9を参照して、撮影処理の実行時におけるコンソール26の作用を説明する。なお、図9は、この際にコンソール26のCPU114によって実行される撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM116の所定領域に予め記憶されている。
ステップS101では、静止画撮影を行う際の予め定められた曝射条件(本実施形態では、放射線源42の管電流、管電圧及び放射線Xの射出時間)を放射線照射装置18及び電子カセッテ20へ送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて照射装置制御部140は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
次のステップS103では、静止画撮影を行う際の予め定められた絞り部44の開口状態の設定を指示する開口状態指示情報を放射線照射装置18に送信する。
上記開口状態指示情報が受信されると、放射線照射装置18では、照射装置制御部140により、絞り部44の開口状態が指定された状態となるように各スリット板44A乃至44Dの位置を制御する。
次のステップS105では、静止画撮影を行うことを指示する静止画撮影指示情報を電子カセッテ20に送信した後、曝射開始指示を示す曝射開始指示情報を放射線照射装置18及び電子カセッテ20へ送信することで、静止画での放射線画像の撮影を実行させる。
これに応じて、放射線源42は、放射線照射装置18がコンソール26から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流等で放射線Xを発生して射出する。放射線源42から照射された放射線Xは、絞り部44を介して被検体14を透過した後に電子カセッテ20に到達する。これにより、電子カセッテ20に内蔵された放射線検出器36の各画素部80の蓄積容量76には電荷が蓄積される。
電子カセッテ20のカセッテ制御部100は、静止画撮影指示情報を受信してから放射線検出器36の各画素部80の蓄積容量76への電荷の蓄積が終了するまでの期間として予め定められた期間の経過後にゲート線ドライバ88を制御する。カセッテ制御部100は、この制御の際、ゲート線ドライバ88から1ラインずつ順に各ゲート配線84にオン信号を出力させ、各ゲート配線84に接続された各TFT78を1ラインずつ順にオンさせる。
各ゲート配線84に接続された各TFT78を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量76に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線86に流れ出す。各データ配線86に流れ出した電気信号は信号処理部90でデジタルの画像情報に変換されて、ラインメモリ98に記憶される。
カセッテ制御部100は、ラインメモリ98に記憶された画像情報に対し、予め定められた画像補正処理を施した後に光通信制御部102を介してコンソール26へ送信する。
そこで、次のステップS107では、1フレーム分の画像情報が電子カセッテ20から受信されるまで待機する。
次のステップS109では、受信した1フレーム分の画像情報をHDD120に記憶し、本撮影処理プログラムを終了する。
本実施形態に係るコンソール26は、以上のような撮影処理によって同一の被検体14に対する複数の放射線画像を記憶しているとする。この場合、コンソール26は、医師等のユーザによるUIパネル110または操作パネル112を介する予め定められた操作に応じて、当該複数の放射線画像のうちの2枚の放射線画像について各画像間の位置合わせを行って表示させる位置合わせ処理を行う。
次に、図10を参照して、位置合わせ処理の実行時におけるコンソール26の作用を説明する。なお、図10は、ユーザによって上記位置合わせ処理の実行を指示する操作がUIパネル110または操作パネル112を介して行われた際にコンソール26のCPU114によって実行される位置合わせ処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムも、コンソール26のROM116の所定領域に予め記憶されている。なお、当該プログラムが実行されるタイミングは、予め定められたユーザ操作に応じたタイミングに限らず、電子カセッテ20から1フレーム分の放射線画像の画像情報を受信したタイミングであっても良い。
まず、ステップS201では、位置合わせの対象とする放射線画像の選択を補助するための画像選択画面60をUIパネル110のディスプレイに表示させる制御を行う。本実施形態に係る画像選択画面60は、図11に示すように、HDD120に記憶されている複数の放射線画像を特定することができる情報が表示されると共に、表示された放射線画像毎の情報のうちの何れか2枚の放射線画像の情報を選択する選択欄62を有する。また、本実施形態に係る画像選択画面60は、選択が終了した旨を示す情報を入力するための選択終了ボタン64を有する。
ユーザは、画像選択画面60に対し、位置合わせを行って表示させたい2枚の放射線画像の情報に対応する選択欄62を指定した後、選択終了ボタン64を指定する。以下では、一例として図12A及び図12Bに示すように、同一の被検体14に対して同一の部位(例えば、股関節)を異なるタイミングで撮影して得た2枚の放射線画像170、172を示す情報がユーザにより指定された場合について例示する。
次のステップS203では、選択終了ボタン64が指定されるまで待機することにより、ユーザにより2枚の放射線画像の情報が指定されるまで待機する。
次のステップS205では、ユーザにより指定された2枚の放射線画像の画像情報をHDD120から読み出す。
次のステップS207では、読み出した各画像情報により示される放射線画像(以下、「処理対象画像」という。)から人工物領域を検出する。ここで、処理対象画像から人工物領域を検出する方法について説明する。なお、本実施形態での人工物領域とは、処理対象画像において、放射線防護具、人工関節、体内固定ボルト、チタンプレート等の人工物に対応する領域である。
処理対象画像における各画素は、処理対象画像を区分けした複数の領域の何れかに属する。本実施形態では、処理対象画像は、図12A及び図12Bに示すように、人工物領域174、被検体領域174A、及び素抜け領域174Bに区分けされる。人工物領域174は、放射線防護具等の人工物に対応する領域であり、被検体領域174Aは、被検体14に対応する領域であり、素抜け領域174Bは、放射線Xが人工物及び被検体14の何れも通過せずに電子カセッテ20に直接入射される領域である。よって、処理対象画像における各画素は、人工物領域174、被検体領域174A、及び素抜け領域174Bのうちの何れかの領域に属する。
ここで、上記人工物領域174、被検体領域174A及び素抜け領域174Bの各領域は、濃度や画素値分散(連続して配列された画素群の各画素の画素値の変化量やばらつき等)等において固有の特徴量を各々有している。
そこで、本実施形態では、CPU114により、処理対象画像における各画素を順次選択し、選択した画素(以下、「特定画素」という。)及び特定画素の周辺の画素の特徴量を導出する。そして、CPU114は、導出した特徴量に基づいて特定画素が何れの領域に属するかを判定する。
また、本実施形態では、CPU114により、処理対象画像の各々について隣接する各画素の画素値の差が予め定められた閾値以上の画素群であるエッジ部分を検出することにより、上記各領域の境界線を検出する。そして、CPU114は、上記境界線に基づいて各処理対象画像を上記各領域に区分けし、区分けされた領域の中から人工物領域を抽出することで人工物領域を検出する。
次のステップS209では、処理対象画像のうちの少なくとも1枚に人工物領域が存在するか否かを判定する。ステップS209で肯定判定となった場合はステップS210に移行する一方、否定判定となった場合は後述するステップS219に移行する。
ステップS210では、処理対象画像の各画像間の大まかな位置合わせを行う。
ここで、上記大まかな位置合わせの手法について説明する。まず、処理対象画像を複数に分割し、予め定められた複数の分割領域を生成する。この際、本実施形態では、図12の正面視上下方向に半分に分割すると共に、左右方向に半分に分割することで、各処理対象画像から4つの分割領域を生成する。
次に、一方の処理対象画像の各分割領域に対してクロス型のフィルタを用いてフィルタリング処理を施し、フィルタの出力の最大値を与える点を検出する。なお、本実施形態に係るクロス型のフィルタは、フィルタのマトリクスをAi,j(i=1,2,…n、j=1,2,…n)とし、要素a=Ai,j(i=jまたはi=n−j−1),b=Ai,j(i≠jかつi≠n−j−1) としたときにa>bであるマトリクス状のフィルタである。このクロス型のフィルタを用いることにより、処理対象画像において構造が複雑な部分の点や、周囲の領域に比較して極端に濃度が変化する点を検出することができる。
次に、上記一方の処理対象画像においてフィルタリング処理で検出した点を探索点とし、当該探索点を中心としたテンプレート領域を他方の処理対象画像上の対応する分割領域内で移動させてテンプレートマッチングを行い、他方の処理対象画像から対応点を検出する。テンプレートマッチングの手法は、相関法、SSDA(Sequential Similarity Detection Algorithm)等の既知の手法を用いて良い。
次に、一方の処理対象画像の探索点(x,y)を基準として、他方の処理対象画像の対応点(u,v)の座標を下記の(1)式を用いてアフィン変換する。
ただし、上記(1)式におけるmは拡大率(縮小率)、θは回転量、A及びBは回転移動の補正と拡大率(縮小率)の補正とに関する係数、C及びDは、平行移動の補正と拡大率(縮小率)の補正とに関する係数である。
探索点(x,y)と対応点(u,v)との誤差が最小となるように、係数A乃至Dを最小二乗法により決定し、上記他方の処理対象画像を拡大(縮小)、回転移動、平行移動等により変形させることで、処理対象画像の各画像間の位置合わせを行う。なお、本実施形態では、一方の処理対象画像を変形させることで位置合わせを行うが、双方の処理対象画像を変形させる手法で位置合わせを行っても良い。
次のステップS211では、処理対象画像の全領域のうちの後述する第1の詳細な位置合わせの対象とする領域(以下、「第1の対象領域」という。)を決定する。
図12A及び図12Bに示すように、上記ステップS207の処理により、処理対象画像である放射線画像170、172の双方から人工物領域174が検出されたとする。なお、図12A及び図12Bにおける人工物領域174は、撮影の際に被検体14が股関節の部分に着用している放射線防護具に対応する領域である。放射線防護具は、被検体14が撮影に際して着用するため、撮影の度に、被検体14の撮影対象とする部位に対してややずれた位置関係となる場合が多い。
そこで、本実施形態では、CPU114は、一例として図13Aに示すように、一方の処理対象画像(例えば放射線画像170)から、図13Bに示すように各処理対象画像における人工物領域174を重畳させた人工物領域174’を検出する。一例として図12A及び図12Bに示すように、放射線画像170、172上の対応する点173は、放射線画像170においては人工物領域174に属さないが、放射線画像172においては人工物領域174に属する。この場合、放射線画像170、172上の対応する点173は、人工物領域174’に属する。
また、CPU114は、一例として図13Bに示すように、放射線画像170から、人工物領域174’を含む周辺領域174Dを除いた領域を第1の対象領域176とする。ここで、周辺領域174Dは、人工物領域174’に、人工物領域174’からの距離が予め定められた画素数(例えば10画素)以下である領域を含めた領域である。なお、本実施形態では、処理対象画像から周辺領域174Dを除いた領域を第1の対象領域176とする。しかし、対象領域176はこれに限定されず、処理対象画像から人工物領域174’を除いた領域(以下、「非人工物領域」という。)を非人工物領域、すなわち第1の対象領域176としても良い。
次のステップS212では、第1の対象領域176に基づいて処理対象画像の画像間の第1の詳細な位置合わせを行う。なお、本実施形態では、上述したテンプレートマッチングを用いた第1の詳細な位置合わせの手法を例に挙げて説明する。
まず、CPU114は、一例として図13Bに示すように、一方の処理対象画像である放射線画像170の第1の対象領域176に対して上記ステップS210の処理と同様にフィルタリング処理を施し、複数の探索点を決定する。次に、CPU114は、図13Cに示すように、探索点178を中心としたテンプレート領域を他方の処理対象画像である放射線画像172の第1の対象領域176内で移動させてテンプレートマッチングを行い、放射線画像172から対応点を検出する。そして、CPU114は、各探索点178と当該探索点178に対応する対応点180と誤差が最小となるように、少なくとも一方の処理対象画像(本実施形態では、放射線画像172)を変形させることで処理対象画像の第1の詳細な位置合わせを行う。
なお、第1の対象領域176としていない周辺領域174Dについては、B−Spline関数等により画素を補間することによって変形量を算出する。
次のステップS213では、処理対象画像の全領域のうちの後述する第2の詳細な位置合わせの対象とする領域(以下、「第2の対象領域」という。)を決定する。第1の詳細な位置合わせでは、周辺領域174Dに基づいた位置合わせを行っていないため、ここでは、周辺領域174Dを基準として、更に第2の詳細な位置合わせを行う。
本実施形態では、CPU114は、一例として図15に示すように、図14Aに示す処理対象画像(例えば放射線画像170)の周辺領域174Dから、図14Bに示す当該処理対象画像における人工物領域174を除いた領域を第2の対象領域176Aとする。人工物領域174においては対応する探索点及び対応点を検出できず、人工物領域174に基づいて位置合わせを行うことができない。しかし、人工物領域174の周辺領域においては対応する探索点及び対応点を検出することができるので、人工物領域174の周辺領域に基づいて位置合わせを行う。
次のステップS214では、第2の対象領域176Aに基づいて処理対象画像の画像間の第2の詳細な位置合わせを行い、ステップS215に移行する。なお、本実施形態では、上述したテンプレートマッチングを用いた第2の詳細な位置合わせの手法を例に挙げて説明する。
まず、CPU114は、一例として図16Aに示すように、一方の処理対象画像である放射線画像170の第2の対象領域176Aに対して上記フィルタリング処理を施し、複数の探索点を決定する。次に、CPU114は、図16Bに示すように、探索点178を中心としたテンプレート領域を他方の処理対象画像である放射線画像172の第2の対象領域176A内で移動させてテンプレートマッチングを行い、放射線画像172から対応点を検出する。なお、第2の詳細な位置合わせでは、テンプレート領域を、第1の詳細な位置合わせがされたと仮定した場合の放射線画像172上の対応点180の座標値を中心とした予め定められた領域内で移動させてテンプレートマッチングを行う。そして、CPU114は、各探索点178と当該探索点178に対応する対応点180と誤差が最小となるように、少なくとも一方の処理対象画像(本実施形態では、放射線画像172)を変形させることで処理対象画像の第2の詳細な位置合わせを行う。
なお、上記第1の詳細な位置合わせ、及び上記第2の詳細な位置合わせの手法はこれらに限定されない。また、以下、上記大まかな位置合わせ、第1の詳細な位置合わせ、及び第2の詳細な位置合わせを順次行う位置合わせを、単に「位置合わせ」という。
なお、処理対象画像のうちの一方の処理対象画像のみに、人工物領域174が存在する場合であっても同様に、上記ステップS210乃至S214の処理を行う。
一例として図17A及び図17Bに示すように、放射線画像170からは人工物領域が検出されず、放射線画像172からは人工物領域174が検出されたとする。なお、ここでは、図17Bにおける人工物領域174が、被検体14の体内(例えば、大腿部)に埋め込まれた人工関節に対応する領域である場合を例に挙げている。すなわち、放射線画像170は人工関節が埋め込まれる前の撮影で得られた画像であり、放射線画像172は、同一の被検体の同一の部位に対して手術により人工関節が埋め込まれた後の撮影で得られた画像である。
この場合には、ステップS210では、処理対象画像の全領域のうちの第1の詳細な位置合わせに用いる第1の対象領域176を、上記ステップS210と同様の処理により決定する。この際、一例として図18Aに示すように、人工物領域174が存在しない処理対象画像(本実施形態では、放射線画像170)においても、各処理対象画像における人工物領域174を重畳させた人工物領域174’を検出する。また、一例として図17Bに示すように、人工物領域174が存在する処理対象画像(本実施形態では、放射線画像172)においては、検出された人工物領域174を人工物領域174’とする。
一方、ステップS219では、各処理対象画像の全領域を第1の対象領域176とし、ステップS212と同様の手法で、処理対象画像の各画像間の第1の詳細な位置合わせを行い、ステップS215に移行する。
ステップS215では、ステップS214及びS219の何れか一方の処理により位置合わせを行った各処理対象画像の差分画像を生成する。すなわち、CPU114は、処理対象画像のうちの一方の画像と他方の画像との同一位置での画素値の差分を画素値とした差分画像を生成し、HDD120に記憶する。これにより、処理対象画像の各画像間の差異が観察し易くなる。なお、CPU114は、処理対象画像の各画素の画素値に、対象領域176の平均画素値が予め定められた範囲内の誤差で同一となる数値を加算または減算して上記各画素の濃度をシフトさせた後、当該位置合わせを行っても良い。これにより、各処理対象画像の差異がより明確に示される。また、被写体の変化を観察し易いよう、差分画像の各画素に予め定められた数値(例えば、処理対象画像の各画素の画素値の最大値及び最小値の中間値)を加算しても良い。
次のステップS217では、生成した差分画像をUIパネル110のディスプレイに表示させる制御を行い、本位置合わせ処理プログラムを終了する。
なお、本実施形態では、2枚の放射線画像を位置合わせの対象とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、3枚以上の放射線画像を位置合わせの対象としても良い。この場合、上記位置合わせ処理プログラムのステップS203において3枚以上の放射線画像が選択される。また、CPU114は、選択された放射線画像のうちの2枚の放射線画像の組み合わせを順次選択し、組み合わせ毎にステップS207乃至ステップS214及びステップS219の処理を順次行う。ここで、組み合わせの選択の際には、予め定められた1枚の放射線画像に対して、他の放射線画像の各々を順次組み合わせていく。または、既に位置合わせが行われた放射線画像のうちの何れかの放射線画像に対して、位置合わせが行われていない他の放射線画像を組み合わせていっても良い。
また、図19A及び図19Bに示すように、一方の処理対象画像に人工物領域174が含まれていた場合に、一方の処理対象画像では人工物領域に含まれるが他方の処理対象画像では人工物領域に含まれない領域が発生する。また、双方の処理対象画像に人工物領域174が含まれていた場合にも同様に、双方の処理対象画像で人工物領域に含まれる領域と、一方の処理対象画像では人工物領域に含まれるが他方の処理対象画像では人工物領域に含まれない領域とが発生する。差分画像において、一方の処理対象画像では人工物領域に含まれるが他方の処理対象画像では人工物領域に含まれない領域においては、図20に示すように、各画素の濃度が極端に高くなったり低くなったりする。しかしながら、処理対象画像における観察対象が人工物領域174の有無とは無関係である場合等には、人工物領域174を差分画像に表示させる必要がない場合が多い。そこで、本実施形態では、図21に示すように、差分画像において、各処理対象画像における人工物領域174を重畳させた人工物領域174’の差分値を予め定められた数値とする。当該予め定められた数値は、0を含む予め定められた範囲内の数値とされると良い。また、当該予め定められた数値は、非人工物領域の各画素の画素値の平均値とされても良い。
また、本実施形態では、撮影システム10が有するコンソール26で上記位置合わせ処理プログラムを実行するが、これに限定されず、撮影システム10には属さない外部の制御装置で実行しても良い。この場合には、電子カセッテ20による撮影で得られた画像情報、またはコンソール26において記憶されている画像情報が、上記外部の制御装置に送信されて処理対象とされる。
また、本実施形態では、電子カセッテ20による撮影で得られた複数の画像情報を用いて上記位置合わせ処理を行うが、各画像情報を得るための撮影装置はこれに限定されない。すなわち、コンソール26は、外部の撮影装置による放射線を用いた撮影で得られた複数の画像情報を用いて上記位置合わせ処理を行っても良い。また、コンソール26は、電子カセッテ20による撮影で得られた画像情報と外部の撮影装置による放射線を用いた撮影で得られた画像情報との双方を含む複数の画像情報を用いて上記位置合わせ処理を行っても良い。
また、本実施形態では、位置合わせ処理における大まかな位置合わせの際に、処理対象画像から人工物領域174を含む周辺領域174Dを除いた第1の対象領域176を位置合わせの基準に用いるが、これに限定されない。すなわち、周辺領域174Dの画素値を第1の対象領域176の画素値に比較して重みを下げた状態で、上記ずれのベクトルの平均値を求め、処理対象画像の各画像間の位置合わせを行っても良い。
また、上記位置合わせを行う前に、処理対象画像に対して周波数強調処理、ノイズ除去処理等の画像処理を行っても良い。この場合、上記画像補正処理の処理条件が同一である場合には、処理対象画像の各画素の画素値に予め定められた数値を加算または減算して各画素の濃度をシフトさせる。
一方、処理対象画像が各々異なる撮影装置での撮影で得られた場合等には、各画像の上記画像補正処理の処理条件が異なっている可能性がある。この場合には、各処理対象画像の被検体14に対応する領域におけるコントラストが異なっている可能性が高い。そのため、この場合には、CPU114は、正確な差分画像を生成できていない可能性がある旨をUIパネル110のディスプレイに表示する制御を行うと良い。
また、処理対象画像に対して上記画像補正処理として階調処理を行う場合がある。階調処理は、放射線画像における画素値の最低値及び最高値を用いてダイナミックレンジを導出し、当該ダイナミックレンジを表示手段におけるダイナミックレンジに圧縮する処理である。階調処理において、ダイナミックレンジテーブルが処理対象画像の画素値範囲に階調カーブの肩及び足の両端に割り当てられて当該放射線画像における各画素値が変換される。
処理対象画像に対して階調処理が行われている場合、処理対象画像が各々異なる撮影装置での撮影で得られた場合等には、処理対象画像の上記画像補正処理の処理条件が異なっている可能性がある。この場合には、処理対象画像に対して逆階調処理を行うことで処理対象画像の各画像間の各画素の画素値の濃度差を補正しても良い。ここでいう逆階調処理とは、階調処理を施した放射線画像を、当該階調処理の処理条件に基づいて上記階調処理の前の放射線画像(原画像)を復元する処理である。この際、処理対象画像の各画像間の各画素における画素値の対応関係を取得し、階調特性の差分を算出し、差分を補正するための対応テーブルを生成して逆階調処理を行うと良い。また、各画像の階調特性がわかっている場合には、当該階調特性を用いて逆階調処理を行っても良い。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る撮影システム10について添付図面を用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態では、位置合わせを行った処理対象画像の差分画像を表示する一方、第2実施形態では、位置合わせを行った処理対象画像を交互に表示する。
まず、第2実施形態に係る撮影システム10では、第1実施形態と同様に、撮影処理プログラムを実行し、放射線画像を撮影する。そして、本実施形態に係るコンソール26は、当該撮影処理プログラムの実行によって同一の被検体14に対する複数の放射線画像を記憶しているとする。この場合、UIパネル110または操作パネル112を介する予め定められたユーザ操作に応じて、記憶している複数の放射線画像を相互に位置合わせして表示させる位置合わせ処理を行う。
次に、図22を参照して、位置合わせ処理の実行時におけるコンソール26の作用を説明する。なお、図22は、ユーザによって上記位置合わせ処理の実行を指示する操作が、UIパネル110または操作パネル112を介して行われた際にコンソール26のCPU114によって実行される位置合わせ処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムは、コンソール26のROM116の所定領域に予め記憶されている。なお、当該プログラムが実行されるタイミングは、予め定められたユーザ操作に応じたタイミングに限らず、電子カセッテ20から放射線画像の画像情報を受信したタイミングであっても良い。
まず、ステップS201乃至S219では、第1実施形態の位置合わせ処理のステップS201乃至S219と同様の処理を行う。なお、ステップS215では、位置合わせを行った処理対象画像の画像情報をHDD120に記憶する。
次にステップS301で、位置合わせを行った各処理対象画像をUIパネル110のディスプレイに予め定められた時間の経過毎に予め定められた順で複数回表示する制御を行い、本位置合わせ処理プログラムを終了する。なお、UIパネル110または操作パネル112を介する予め定められたユーザ操作に応じて各処理対象画像の表示の切り替えを行っても良い。
また、ステップS301の処理を行う前に第1実施形態の位置合わせ処理のステップS215の処理を行っても良い。この場合、本ステップS301において、生成した差分画像、及び本第2実施形態の位置合わせ処理で位置合わせを行った処理対象画像をUIパネル110のディスプレイに予め定められた時間の経過毎に予め定められた順で複数回表示する制御を行うと良い。
ここで、例えば被検体14の体内に人工関節や体内固定ボルト等の人工物を埋め込む手術を行った後に、骨と埋め込んだ人工物との間に緩み(ルースニング)が発生する場合がある。この場合、ルースニングが発生した後の撮影により得られた放射線画像において、人工物領域174の周辺の画素群の濃度が濃くなるため、当該画素群が、ルースニングが発生する前の撮影により得られた放射線画像と比較して黒く表示される。
そのため、CPU114は、処理対象画像の人工物領域174周辺の画素群の画素値の平均値が、過去の撮影で得られた処理対象画像における当該平均値に比較して予め定められた第1閾値以上大きい場合、UIパネル110のディスプレイに警告を表示する制御を行う。また、同一の被検体の部位について過去の撮影で得られた処理対象画像にルースニングが発生している場合、この処理対象画像に比較し、上記平均値が予め定められた第2閾値以上小さくない場合も、UIパネル110のディスプレイに警告を表示する制御を行う。
なお、位置合わせを行った各処理対象画像を表示させる際、各処理対象画像の視認性を向上させるため、各処理対象画像に対して各種画像処理を施しても良い。
例えば、被検体領域174Aにおける、画素値の最低値及び最高値を用いてダイナミックレンジを導出する。そして、当該ダイナミックレンジをUIパネル110のディスプレイにおけるダイナミックレンジに圧縮するように、ダイナミックレンジテーブルを被検体領域174Aの画素値範囲に階調カーブの肩及び足の両端を割り当てて階調処理を行っても良い。
また、処理対象画像に対して、被検体領域174Aの各帯域の周波数特性が所定の値になるように周波数強調の強調度を算出し、周波数強調処理を行っても良い。あるいは、処理対象画像に対して、被検体領域174A内の各画素を対象にノイズ解析し、解析したノイズ情報に基づいてノイズ除去処理を行っても良い。
また、図23Aに示すように、処理対象画像における人工物領域174を含む予め定められた領域(図17Bに示す領域182A)を、UIパネル110のディスプレイに拡大表示させる制御を行っても良い。この際、処理対象画像における人工物領域174を内包する最小サイズの矩形状の領域を、当該矩形状の領域より大きなサイズのウィンドウで人工物領域174を拡大表示すると良い。
なお、ウィンドウのサイズはこれに限定されず、対向する各辺の幅が上記矩形状の領域より予め定められた長さだけ長い矩形状のウィンドウであっても良い。また、拡大表示させる際に、撮影で得られた原画像のサイズであっても、撮影で得られた原画像を予め定められた倍率で拡大または縮小させたサイズであっても良い。また、処理対象画像において人工物領域174が複数存在する場合には、各人工物領域174を含む予め定められた領域を各々異なる複数のウィンドウで拡大表示させても良く、あるいは、1つのウィンドウで順次切り替えながら表示させても良い。さらに、UIパネル110または操作パネル112を介するユーザ操作により指定された人工物領域174を含む予め定められた領域のみを拡大表示させても良い。人工物領域174を含む予め定められた領域を拡大表示させる方法は、UIパネル110または操作パネル112を介するユーザ操作に基づいて決定されても良い。
また、図23Bに示すように、処理対象画像における非人工物領域の一部(図19Bに示す領域182B)を、UIパネル110のディスプレイに拡大表示させる制御を行っても良い。人工物が放射線防護具である場合等には、人工物領域174の表示が不要である場合が多いため、処理対象画像における非人工物領域を内包する最小サイズの矩形状の領域を、当該矩形状の領域より大きなサイズのウィンドウで拡大表示すると良い。
また、処理対象画像における人工物領域174と他の領域との境界において、人工物領域174の画素値を隣接する非人工物領域の画素値に置き換えても良い。これにより、急激に濃度が変わることにより発生するオーバーシュートアーチファクト及びアンダーシュートアーチファクトが抑制される。
また、処理対象画像における人工物領域174の内部の画素値を、その近傍の非人工物領域の画素群の画素値の平均値等、より高濃度の画素値に置き換えても良い。なお、人工物領域174の内部の画素値を、その近傍の非人工物領域の画素群の画素値のメディアン値や中央値に置き換えても良い。これらによっても、上記オーバーシュートアーチファクト及びアンダーシュートアーチファクトが抑制される。
また、処理対象画像における人工物領域174と他の領域との境界の近傍では、人工物領域174を画像端と見なし、非人工物領域の画像で外挿しても良い。これによっても、上記オーバーシュートアーチファクト及びアンダーシュートアーチファクトが抑制される。
また、人工物によって放射線Xが遮蔽された場合には、処理対象画像における人工物領域174の各画素の濃度が他の領域に比べて著しく低いため、各処理対象画像を視認するユーザにとって人工物領域174が眩しく感じられる。
そこで、処理対象画像の人工物領域174の各画素の画素値を予め定められたグレイスケールの数値としても良い。当該グレイスケールの数値は、例えば、非人工物領域の画素群の画素値の平均値に基づいた色の補色となる色の画素値である。これにより、処理対象画像における人工物領域174の眩しさが低減される。また、処理対象画像における人工物領域174の各画素の画素値に予め定められた数値を加算することで当該各画素を高濃度にして表示させても良い。これにより、人工物領域174の構造情報を保持した状態で、処理対象画像における人工物領域174の眩しさが低減される。UIパネル110または操作パネル112を介するユーザ操作に基づいて人工物領域174の出力濃度が決定されても良い。
10 放射線画像撮影システム
14 被検体
18 放射線照射装置
20 電子カセッテ
26 コンソール
114 CPU
170,172 放射線画像
174,174’ 人工物領域
176 対象領域

Claims (16)

  1. 同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得手段と、
    前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出手段と、
    前記取得手段で取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    を備えた放射線画像処理装置。
  2. 前記位置合わせ手段は、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出されなかった非検出放射線画像の場合には、前記検出放射線画像で検出された前記人工物領域に対応する領域を除いた領域を前記非人工物領域として、当該非人工物領域を基準として位置合わせを行う
    請求項1記載の放射線画像処理装置。
  3. 前記位置合わせ手段は、前記非人工物領域の全領域を基準として粗い位置合わせを行った後、前記人工物領域からの距離が予め定められた閾値以下となる領域を基準として詳細な位置合わせを行う
    請求項1または2記載の放射線画像処理装置。
  4. 前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記放射線画像の対応する各画素の画素値の差分値を各画素の画素値とした差分画像を表示手段に表示させる制御を行う表示制御手段を更に備えた
    請求項1乃至3の何れか1項記載の放射線画像処理装置。
  5. 前記人工物領域の各画素の差分値を予め定められた値とした
    請求項4記載の放射線画像処理装置。
  6. 前記予め定められた値が、前記非人工物領域の各画素の差分値の平均値である
    請求項5記載の放射線画像処理装置。
  7. 前記予め定められた値が0を含む予め定められた範囲内の数値である
    請求項5記載の放射線画像処理装置。
  8. 前記表示制御手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記放射線画像の各々を前記表示手段に予め定められた順に複数回更に表示させる
    請求項記載の放射線画像処理装置。
  9. 前記表示制御手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた少なくとも1つの前記検出放射線画像について前記人工物領域を含む予め定められた領域を拡大して前記表示手段に更に表示させる制御を行う
    請求項4乃至8の何れか1項記載の放射線画像処理装置。
  10. 前記表示制御手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた少なくとも1つの前記検出放射線画像について前記非人工物領域内の予め定められた領域を拡大して前記表示手段に更に表示させる制御を行う
    請求項4乃至9の何れか1項記載の放射線画像処理装置。
  11. 前記放射線画像は、被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像であり、
    前記人工物は、前記被検体の少なくとも一部を放射線から防護する放射線防護具である
    請求項1乃至10の何れか1項記載の放射線画像処理装置。
  12. 前記放射線画像は、被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像であり、
    前記人工物は、前記被検体の体内に設けられた人工関節、体内固定ボルト及びチタンプレートの少なくとも1つである
    請求項1乃至10の何れか1項記載の放射線画像処理装置。
  13. 前記画像情報により示される各放射線画像は、前記被検体の体内に前記人工物を設ける手術の前後において各々前記被検体に対する放射線を用いた撮影で得られた画像である
    請求項12記載の放射線画像処理装置。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項記載の放射線画像処理装置と、
    放射線画像を撮影する撮影手段とを有し、
    前記放射線画像処理装置の取得手段は、前記撮影手段による撮影で得られた画像情報を取得する
    放射線画像撮影システム。
  15. コンピュータを、
    同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得手段と、
    前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出手段と、
    前記取得手段で取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出手段により前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    として機能させるためのプログラム。
  16. 同一の被検体を異なるタイミングで撮影して得られ、かつ各々が放射線画像を示す画像情報であって、少なくとも1つの画像情報により示される放射線画像が人工物を示す人工物領域を含む画像情報を取得する取得ステップと、
    前記放射線画像から前記人工物領域を検出する検出ステップと、
    前記取得ステップで取得した画像情報に基づいて位置合わせを行う際に、位置合わせ対象画像が、前記検出ステップにより前記人工物領域が検出された検出放射線画像の場合には、検出された前記人工物領域を除いた非人工物領域を基準として位置合わせを行う位置合わせステップと、
    を有する放射線画像処理方法。
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