JP5843384B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた塗膜外観を有する複層塗膜を形成せしめる方法に関する。
自動車車体内板における塗膜形成方法としては、例えば被塗物に電着塗装を施し、加熱硬化せしめた後、中塗り塗料の塗装→ベースコート塗料の塗装→クリヤコート塗料の塗装→焼き付け硬化を順次行なう3コート1ベーク方式により複層塗膜を形成せしめる方法や、電着塗装を施し、加熱硬化せしめた後、中塗り塗料を塗装せずにベースコート塗料の塗装→クリヤコート塗料の塗装→焼き付け硬化を順次行なう2コート1ベーク方式が知られている。
これらの塗膜形成方法は未硬化、すなわちウェットな状態のベースコート塗膜の上にクリヤコート塗料を塗布するのでウェットオンウェット方式とも呼ばれている。
一方、自動車車体等の被塗物に塗料が塗装されて得られた塗膜においては、塗膜外観に優れることが要求されている。
水性ベースコート塗料を塗布した後、未硬化の状態でクリヤコート塗料を塗布するウェットオンウェット方式の塗装系では、通常、水やアミン等の揮発成分がベースコート層に残存した状態でクリヤコート塗料が重ねて塗布されるため、複層塗膜中から揮発成分が揮散しにくい。また、塗装時に巻き込まれた気泡も複層塗膜中から消失しにくい。
このように水等の揮発成分や気泡が抜け難い状態で複層塗膜を硬化させると、水等の揮発成分や気泡が塗膜外に揮発する前に複層塗膜が硬化してしまうことにより揮発成分や気泡が塗膜中に残存することとなり、その結果、一般にワキ、ピンホール、フクレなどと呼ばれる不具合により塗膜外観の低下を生じるという問題があった。さらにフクレが生じた塗膜は焼付け後の冷却過程の収縮により、塗膜が剥離し、補修が必要となるという問題もあった。
例えば、特許文献1には3コート1ベーク方式の塗膜形成方法において中塗り塗料、ベースコート塗料、クリヤコート塗料の少なくとも一つにベンゾイン又はベンゾイン誘導体および特定の重量平均分子量のビニル系重合物を添加する方法により、塗装時に巻き込まれる気泡や硬化反応で発生するガスの抜けによるワキやピンホールの発生といった塗膜欠陥がなく十分に平滑な塗装面を提供できるという発明が開示されている。
また、特許文献2ではヘミング部のシーリング剤についてフクレ防止効果が得られることが開示されている。
特開2002−113414号公報 特開2004−26070号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、通常1mm以下程度の直径で発生するワキやピンホールよりも直径の大きい塗膜欠陥であるフクレ(通常5mm程度の直径)の発生を抑制するには不十分な場合があった。
また特許文献2に記載の方法では、塗料の面からの解決方法は開示されていない。
本発明はこれらの点を考慮してなされたものであり、水性ベースコート塗料を塗布した後、未硬化の状態でクリヤコート塗料を塗布するウェットオンウェット方式の塗装方法、具体的には水性ベースコート塗料及びイソシアネート硬化タイプの2液型クリヤコート塗料を用いた2コート1ベーク方式の塗装方法、あるいは、中塗り塗料、水性ベースコート塗料及びイソシアネート硬化タイプの2液型クリヤコート塗料を用いた3コート1ベーク方式の塗装方法において、優れた外観を有する複層塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により塗装された物品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、被塗物上に水性ベースコート塗料及び2液型クリヤコート塗料を用いた2コート1ベーク方式、あるいは、中塗り塗料、水性ベースコート塗料及び2液型クリヤコート塗料を用いた3コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法において、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を基体樹脂成分とする2液型クリヤコート塗料に、イソシアネート基のブロック剤および特定のアルコール化合物を含有させることにより、優れた塗膜外観を有する複層塗膜を形成させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により塗装された物品を提供するものである。
1.
被塗物上に、少なくとも1層の水性ベースコート塗料(Y)を塗装して少なくとも1層のベースコート塗膜を形成し、
該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜上に、2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、
該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜及び該未硬化のクリヤコート塗膜を同時に硬化させる複層塗膜形成方法であって、
上記2液型クリヤコート塗料(Z)が
水酸基含有樹脂(A)、
ポリイソシアネート化合物(B)、
イソシアネート基のブロック剤(C)、及び
沸点が100〜240℃のアルコール化合物(D)
を含有することを特徴とする複層塗膜形成方法。
2.
被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装して中塗り塗膜を形成し、
該未硬化の中塗り塗膜上に、少なくとも1層の水性ベースコート塗料(Y)を塗装して少なくとも1層のベースコート塗膜を形成し、
該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜上に、2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、
該未硬化の中塗り塗膜、該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜及び該未硬化のクリヤコート塗膜を同時に硬化させる複層塗膜形成方法であって、
上記2液型クリヤコート塗料(Z)が
水酸基含有樹脂(A)、
ポリイソシアネート化合物(B)、
イソシアネート基のブロック剤(C)、及び
沸点が100〜240℃のアルコール化合物(D)
を含有することを特徴とする複層塗膜形成方法。
3.
上記中塗り塗料(X)及び/又は水性ベースコート塗料(Y)が塩基性物質を含有する上記項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
4.
上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
ブロック剤(C)の活性水素基の量の比率が、モル比で1%〜40%であり、
上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
アルコール化合物(D)中の水酸基の量の比率が、モル比で20%〜200%である上記項1〜3のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
5.
上記中塗り塗膜及び少なくとも1層のベースコート塗膜の硬化時の合計膜厚が20μm以上であることを特徴とする上記項1〜4のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
6.
上記被塗物がヘミング部を有する自動車車体である、上記項1〜5のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
7.
上記項1〜6のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、水性ベースコート塗料及び2液型クリヤコート塗料を用いた2コート1ベーク方式の塗装方法、ならびに中塗り塗料、水性ベースコート塗料及び2液型クリヤコート塗料を用いた3コート1ベーク方式の塗装方法において、優れた外観を有する複層塗膜を形成できる。すなわち、2液型クリヤコート塗料にブロック剤およびアルコール化合物を添加することで該2液型クリヤコート塗料の硬化速度を低下させることにより、フクレ等の塗膜欠陥、の原因となる揮発物質の複層塗膜中の残存を軽減し、複層塗膜中から塗装により生成した気泡を、脱泡しやすくさせることができることから、外観に優れた複層塗膜を得ることができるものである。
以下、本発明の複層塗膜形成方法(以下、「本方法」ということがある)について詳細に説明する。
被塗物
本方法が適用される被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等を挙げることができる。またこれらにより形成された自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体や部品であってもよい。
また、被塗物としては、上記金属基材や車体の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記金属基材、車体等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
特にヘミング部を有する車体のヘミング部において前記不具合が生じやすく、本方法を好適に使用することができる。
ヘミング部とは、車体を形作る鋼板のインナパネルとアウタパネルとを重ね合わせ、インナパネルの端部を挟む様にアウタパネルの縁部がインナパネル側に折り返された、いわゆるヘミング加工がされた部分のことである。
ヘミング部は狭隘な構造であるためにエアー溜りができやすい。また同様な理由で水等が入り込むとその水が抜け難い。さらに、その形状から、塗装時に巻き込まれた気泡も抜け難い。このように塗装後ヘミング部に水や気泡が残存し密閉された状態で塗料を塗装し焼付け硬化させると、焼付けにより塗膜外に揮発する前にクリヤコート塗料が硬化してしまうので、ヘミング部はワキやピンホールといった欠陥よりも程度のひどい欠陥であるフクレが特に発生しやすい部分である。
また、ヘミング加工が難しい鋼板の角(あるいは緩やかにカーブする形状)の部分などはヘミング加工が不十分となって、ヘミング部の間隙が生じやすい。このようなヘミング部とヘミング部の間隙部はさらにフクレが発生しやすい部分である。
また、被塗物がヘミング部を有する自動車車体である場合、ヘミング部にシーリング剤等の副資材が塗布されていてもよい。さらに副資材によって得られた膜の上に電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。さらに中塗り塗膜は硬化していても未硬化であってもよい。
本発明の複層塗膜形成方法において、水性ベースコート塗料(Y)が塗装される。
本願では水性ベースコート塗料(Y)は色や光輝感といった意匠性を担う塗料を意味し、以下に説明する水性第1ベースコートとは区別される。水性第1ベースコートとは中塗り塗料(X)のひとつである。前記3コート1ベーク方式のうち、中塗り塗料(X)が特に水性である方式、すなわち、水性中塗り塗料→水性ベースコート塗料→クリヤコート塗料をウェットオンウェットで塗装する方式では該中塗り塗料(X)は特に「第1ベースコート塗料」と称され、水性ベースコート塗料(Y)は特に「第2ベースコート塗料」と称されることがある。中塗り塗料は例えば下塗り塗膜と上塗り塗膜(すなわち水性ベースコート塗料(Y)によって得られる塗膜)との密着性を確保するために塗装される塗料であって、その点で、意匠性を担う水性ベースコート塗料(Y)とは区別されるものである。
水性ベースコート塗料(Y)
本発明の複層塗膜形成方法に使用される水性ベースコート塗料(Y)は、一般に、基体樹脂、架橋剤および顔料等を水性媒体中に混合分散することにより調製することができる。
基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂を使用することが好ましい。該樹脂の種類としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
カルボキシル基及び水酸基含有樹脂中のカルボキシル基は中和されていることが好ましい。該中和は、架橋剤等と混合する前に、塩基性物質を用いて行うことが好ましい。
中和に用いる塩基性物質としては、例えば、アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中和に用いる塩基性物質の使用量は、カルボキシル基及び水酸基含有樹脂中のカルボキシル基を基準にして、通常0.1〜1.5当量、特に0.3〜1.2当量の範囲内であるのが好ましい。
基体樹脂は、水分散性等の観点から、通常10〜150mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。また、基体樹脂は、硬化性等の観点から、通常10〜150mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。基体樹脂は、さらに、耐侯性等の観点から、アクリル樹脂においては、通常3000〜100000、特に5000〜50000、そしてポリエステル樹脂においては、通常500〜50000、特に3000〜30000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
基体樹脂としてカルボキシル基及び水酸基含有アクリル樹脂を用いる場合、分散安定剤の存在下で乳化重合によって製造されるカルボキシル基及び水酸基含有アクリル樹脂も使用することができる。
上記乳化重合により製造されるアクリル樹脂の場合、通常100000以上、特に200000〜2000000の範囲内の数平均分子量を有するものが好ましい。
乳化重合で用いる分散安定剤としては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤のほか、酸価が10〜150mgKOH/g程度で且つ数平均分子量が5000〜30000程度のアクリル樹脂等の水性樹脂を好適に使用することができる。
乳化重合はそれ自体既知の方法で行うことができる。
基体樹脂としては、なかでも、カルボキシル基含有不飽和モノマーを共重合成分とする多段重合法により製造されるアクリルエマルションが、塗装作業性に優れた水性ベースコート塗料(Y)を得ることができるので好ましい。すなわち、最初にカルボキシル基含有不飽和モノマーを全くもしくは殆ど含まない(通常、全モノマー中3質量%以下)組成のモノマー混合物を用いて重合反応を行い、次いでカルボキシル基含有不飽和モノマーを含有する(通常、全モノマー中5〜30質量%)組成のモノマー混合物を用いて重合反応を行なうことにより得られるアクリルエマルションは、塩基性物質を用いた中和により、粘性発現効果を有しており、耐タレ性等の塗装作業性に優れた水性ベースコート塗料(Y)を得ることができるので好ましい。
架橋剤としては、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物等の、水酸基と反応し得る架橋剤から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
水性ベースコート塗料(Y)における基体樹脂及び架橋剤の配合割合は、両成分の合計固形分量を基準にして、基体樹脂は一般に50〜90質量%、特に65〜80質量%、架橋剤は一般に10〜50質量%、特に20〜35質量%の範囲内であるのが好ましい。
顔料としては特に制限されるものではなく、例えば、無機系および有機系顔料の着色顔料、体質顔料及び光輝性顔料等を好適に用いることができる。上記着色顔料としては例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などを挙げることができる。上記体質顔料としては、タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどを挙げることができる。上記光輝性顔料としてはアルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などを挙げることができる。
顔料の配合量は、基体樹脂及び架橋剤の固形分合計を基準にして、一般に0.1〜200質量%、特に1〜100質量%の範囲内であるのが好ましい。
水性ベースコート塗料(Y)には、さらに必要に応じて、硬化触媒、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、酸化防止剤等を適宜、使用することができる。
水性ベースコート塗料(Y)の塗装時における不揮発分濃度は、通常15〜65質量%が好ましく、その単独塗膜は不透明または透明のソリッド調もしくはメタリック調の塗膜であることができる。本明細書において、不透明塗膜とは、水性ベースコート塗料単独塗膜の20μmの硬化塗膜における光線透過率が5%未満の塗膜を意味し、透明塗膜とは、20μmの上記硬化塗膜における光線透過率が5%以上の塗膜を意味する。
水性ベースコート塗料(Y)は、塗装粘度を、例えば、B型粘度計を用いて20℃において回転数60rpmで測定したときの値が、通常200〜800cps(センチポイズ)、好ましくは400〜600cps(センチポイズ)となるように調整し、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装等により、必要に応じて静電印加を行なって、硬化塗膜に基づく膜厚が一般に5〜30μm、特に10〜25μmになるように塗装することができる。
本方法では、前記被塗物上に水性ベースコート塗料(Y)を塗装し、次いで2液型クリヤコート塗料(Z)が塗装されるが、2液型クリヤコート塗料(Z)の塗装に先立ち、必要に応じて、水性ベースコート塗料(Y)を塗装して得られる少なくとも1層のベースコート塗膜を50〜100℃程度の温度で予備乾燥を行なってもよい。
この予備乾燥により、少なくとも1層のベースコート塗膜中の揮発性成分をある程度揮散させることができる。
上記予備乾燥により、塗膜がある程度乾燥固化するので、該少なくとも1層のベースコート塗膜上に2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装したときに該塗膜中に含まれる溶剤や低分子樹脂成分等が少なくとも1層のベースコート塗膜中に浸透拡散しても、該少なくとも1層のベースコート塗膜の粘度低下を抑制することができ、メタリック顔料を使用した場合等のメタリック顔料等の再流動を抑制することができ、メタルムラ等の発生を防止することができる。
水性ベースコート塗料(Y)は、少なくとも1層、必要に応じて2層以上塗装することができる。
ベースコート塗膜を2層以上形成させる場合に使用される、各水性ベースコート塗料(Y)は同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
2層以上のベースコート塗膜を形成させる場合、必要に応じて各ベースコート塗膜を形成させるごとに予備乾燥させてもよい。
上記水性ベースコート塗料(Y)を塗装する上記被塗物は未硬化の中塗り塗料(X)が塗装され、中塗り塗膜が形成されていてもよい。
本明細書において中塗り塗料(X)とは、意匠性を担う水性ベースコート塗料(Y)の下に塗装される塗料のことを意味し、前記のように水性第1ベースコート塗料を含むものである。
中塗り塗料(X)
本発明の複層塗膜形成方法において中塗り塗膜は必須ではないが、形成させる場合には従来既知の中塗り塗料を使用することができ、水性塗料及び有機溶剤型塗料のいずれの形態であってもよい。なお、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水または水を主成分とする媒体(水性媒体)に、バインダー成分、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。
中塗り塗料(X)は一般に、基体樹脂、架橋剤および顔料等を媒体中に溶解ないし混合分散することにより調製することができる。
基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基及び水酸基などの架橋性官能基を含有する樹脂を使用することが好ましい。樹脂の種類としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記基体樹脂は単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
架橋剤としては水酸基と反応しうる官能基を有する化合物であることが好ましく、例えばブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等を好適に使用することができる。上記架橋剤は単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
顔料としては特に制限されるものではなく、例えば、無機系および有機系顔料の着色顔料、体質顔料及び光輝性顔料等を好適に用いることができる。上記顔料はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中塗り塗料(X)には、さらに必要に応じて、硬化触媒、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤(増粘剤、流れ防止剤)、沈降防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、酸化防止剤等の通常、塗料に用いられる添加剤を適宜使用することができる。
前記基体樹脂の少なくとも一部としてカルボキシル基含有樹脂を用いた場合、該基体樹脂中のカルボキシル基は中和されていることが好ましい。該中和は、塩基性物質を用いて行うことが好ましい。
中和に用いる塩基性物質としては、前記水性ベースコート塗料(Y)において挙げた塩基性物質を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中和に用いる塩基性物質の使用量は、樹脂中のカルボキシル基に対して0.1〜1当量、特に0.2〜0.8当量の範囲内であるのが適している。
中塗り塗料(X)において、基体樹脂と架橋剤との構成比率は特に制限されないが、該両成分の合計固形分量に基づいて、基体樹脂は40〜90%、特に50〜80%、架橋剤は60〜10%、特に50〜20%の範囲内であるのが好ましい。
中塗り塗料(X)は、塗装粘度を、例えば、フォードカップNo.4を用いて20℃において、希釈溶媒等を用いて13〜60秒、好ましくは15〜40秒の範囲内に調整し、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装等により、必要に応じて静電印加を行なって、硬化塗膜に基づく膜厚が一般に5〜25μm、特に10〜20μmになるように塗装することができる。
中塗り塗料(X)を塗装し中塗り塗膜を形成した後は、未硬化のまま前記水性ベースコート塗料(Y)が塗装される。未硬化の中塗り塗膜形成後、水性ベースコート塗料(Y)を塗装する前には適宜プレヒートを行ってもよい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましい。
中塗り塗膜及び少なくとも1層の水性ベースコート塗膜の硬化時の合計膜厚が20μm以上であるときにフクレ等の不具合が発生しやすいため、本方法を特に好適に使用することができる。
前記水性ベースコート塗料(Y)によって形成される少なくとも1層のベースコート塗膜上に2液型クリヤコート塗料(Z)が塗装される。
2液型クリヤコート塗料(Z)
本発明の複層塗膜形成方法に使用される2液型クリヤコート塗料(Z)は、水酸基含有樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、イソシアネート基のブロック剤(C)、及び沸点が100〜240℃のアルコール化合物(D)を含有する塗料組成物である。
水酸基含有樹脂(A)
水酸基含有樹脂(A)としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂などをあげることができ、好ましいものとして、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有ポリウレタン樹脂をあげることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有不飽和単量体(M−1)及びその他の共重合可能な不飽和単量体(M−2)を常法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有不飽和単量体(M−1)は、1分子中に水酸基と不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物であり、この水酸基は主として架橋剤と反応する官能基として作用するものである。該単量体としては、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物が好適であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをあげることができる。さらに、該単量体として、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンなどのラクトン類との開環重合付加物等も挙げることができる。具体的には、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製、商品名)等を挙げることができる。
水酸基含有不飽和単量体(M−1)の配合割合は、単量体混合物全量に基づいて20〜50質量%、特に、25〜45質量%の範囲内であるのが好ましい。
水酸基含有不飽和単量体(M−1)の配合割合が20質量%未満となると、硬化塗膜の架橋が不十分となって、所定の耐擦り傷性が得られにくくなる場合がある。一方、50質量%を超えると、その他の共重合可能な不飽和単量体(M−2)との相溶性や共重合反応性が低下し、さらに得られた水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物(B)との相溶性が低下することにより、塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
その他の共重合可能な不飽和単量体(M−2)は、上記水酸基含有不飽和単量体(M−1)以外の1分子中に1個の不飽和結合を有する化合物であり、その具体例を以下(1)〜(8)に列挙する。
(1)酸基含有不飽和単量体:1分子中に1個以上の酸基と1個の不飽和結合とを有する化合物で、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などの如きカルボキシル基含有不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどの如きスルホン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルフェニルリン酸などの酸性リン酸エステル系不飽和単量体などを挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記酸基含有不飽和単量体は(A)成分が架橋剤と架橋反応する時の内部触媒としても作用することができるものであり、その使用量は水酸基含有アクリル樹脂を構成するモノマー混合物全量に基づいて、0.1〜5質量%、特に、0.1〜3質量%の範囲内で使用することが好ましい。
(2)アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのモノエステル化物:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、エチル(メタ)クリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシルメタアクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等。
(3)アルコキシシラン基含有不飽和単量体:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等。これらのうち好ましいアルコキシシラン基含有不飽和単量体として、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
(4)芳香族系不飽和単量体:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(5)グリシジル基含有不飽和単量体:1分子中にグリシジル基と不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物で、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等。
(6)窒素含有不飽和単量体:例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等。
(7)その他のビニル化合物:例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、バーサティック酸ビニルエステルであるベオバ9、ベオバ10(ジャパンエポキシレジン)等。
(8)不飽和結合含有ニトリル系化合物:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
これらのその他のビニルモノマー(M−2)は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記単量体(M−1)及び(M−2)からなる単量体混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂を得ることができる。
上記単量体混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂を得るための共重合方法は、特に限定されるものではなく、それ自体既知の共重合方法を用いることができるが、なかでも有機溶剤中にて、重合開始剤の存在下で重合を行なう溶液重合法を好適に使用することができる。
上記溶液重合法に際して使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、高沸点石油系溶剤)などの芳香族系溶剤;酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネートなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、クリヤコート塗料(Z)に使用される水酸基含有アクリル樹脂は高い水酸基価を有するため、樹脂の溶解性の点から高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。また、さらに高沸点の芳香族系溶剤を好適に組み合わせて使用することもできる。
水酸基含有アクリル樹脂の共重合に際して使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのそれ自体既知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は好ましくは80〜200mgKOH/gの範囲内であり、さらに好ましくは100〜170mgKOH/gの範囲内である。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、架橋密度が低いために耐擦り傷性が不十分な場合がある。また、200mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は2500〜40000の範囲内であり、さらに好ましくは5000〜30000の範囲内である。重量平均分子量が2500未満であると耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また、40000を越えると塗膜の平滑性が低下するため、仕上り性が低下する場合がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は−40℃〜85℃、特に−30℃〜80℃の範囲内であるのが好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満であると塗膜硬度が不十分な場合があり、また、85℃を越えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
水酸基含有樹脂(A)として用い得る水酸基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって製造することができる。該多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などが挙げられ、また、該多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、およびトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステ)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入しても良い。
ポリエステル樹脂へカルボキシル基を導入する場合、例えば、水酸基含有ポリエステルに無水酸を付加し、ハーフエステル化することで導入することもできる。
水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は80〜200mgKOH/gの範囲内であり、さらに好ましくは100〜170mgKOH/gの範囲内である。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、耐擦り傷性が不十分な場合があり、また、200mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリエステル樹脂の酸価は得られる塗膜外観の観点から2〜15mgKOH/gの範囲内であり、さらに好ましくは4〜10mgKOH/gの範囲内である。酸価が2mgKOH/g未満であると、耐擦り傷性が不十分な場合があり、また、15mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量は2500〜40000の範囲内であり、さらに好ましくは5000〜30000の範囲内である。重量平均分子量が2500未満であると耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また、40000を越えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移温度は−40℃〜85℃、特に−30℃〜80℃の範囲内であるのが好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満であると塗膜硬度が不十分な場合があり、また、85℃を越えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
また、水酸基含有樹脂(A)には、いわゆるウレタン変性アクリル樹脂及びウレタン変性ポリエステル樹脂も包含される。
水酸基含有ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂をあげることができる。
ポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどをあげることができる。高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどをあげることができる。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがあげられる。ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどをあげることができる。また、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基含有ポリオールも使用することができる。
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;などを挙げることができる。
水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は80〜200mgKOH/gの範囲内であり、さらに好ましくは100〜170mgKOH/gの範囲内である。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、耐擦り傷性が不十分な場合が、また、200mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は2500〜40000の範囲内であり、さらに好ましくは5000〜30000の範囲内である。重量平均分子量が2500未満であると耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また、40000を越えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−40℃〜85℃、特に−30℃〜80℃の範囲内であるのが好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満であると塗膜硬度が不十分な場合があり、また、85℃を越えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
水酸基含有樹脂(A)は単独で又は2種以上を併用して使用することができ、水酸基含有樹脂(A)としては、水酸基含有アクリル樹脂又は水酸基含有ポリエステル樹脂を好適に使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(B)
ポリイソシアネート化合物(B)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体などをあげることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどをあげることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどをあげることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどをあげることができる。
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)及びクルードTDIなどをあげることができる。
これらポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。また、これらポリイソシアネート化合物のうち、耐擦り傷性、耐候性等の観点から、脂肪族ジイソシアネートおよびこれらの誘導体を好適に使用することができる。
イソシアネート基のブロック剤(C)
イソシアネート基のブロック剤(C)は、遊離のイソシアネート基を封鎖するものである。
かかるブロック剤(C)としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチルなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;グリコール酸;グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチルなどのグリコール酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの乳酸エステル;メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系などのブロック剤を挙げることができる。
なかでも得られる塗膜外観の観点からピラゾール系、オキシム系を好適に使用することができ、その中でも特に3,5−ジメチルピラゾール、メチルエチルケトオキシム等を好適に使用することができる。
アルコール化合物(D)
本発明の複層塗膜形成方法に用いるアルコール化合物(D)は、沸点が100〜240℃のアルコール化合物である。
アルコール化合物(D)は沸点が100〜240℃の範囲内であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、
n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、イコサノールなどの脂肪族飽和アルコール;
クロチルアルコール、プロパルギルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール;
シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール;
ベンジルアルコール、クレオソール、イソオイゲノールなどの芳香族アルコール;
フルフリルアルコールなどの複素環式アルコール;
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアセタートなどのエチレングリコール系;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコール系;
プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテルなどのプロピレングリコール系;
グリセリンα−モノメチルエーテルなどのグリセリンエーテル系;
等をあげることができる。
上記アルコール化合物(D)は単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
なかでも得られる塗膜外観および塗膜性能の観点から、アルコール化合物(D)は炭素数4〜8のアルコール化合物であることがより好ましい。
炭素数4〜8のアルコール化合物としては、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等を使用することができ、より好ましいものとしてブタノール、2−エチル−1−ヘキサノールを好適に使用することができる。
また、アルコール化合物(D)としては得られる塗膜外観に優れる観点から1級又は2級アルコールであることが好ましい。
アルコール化合物(D)は、沸点が100〜240℃であり、好ましくは140〜200℃の範囲内である。
また、アルコール化合物(D)は、2液型クリヤコート塗料(Z)の主剤中に初めから存在させていてもよいし、後述する「2液型クリヤコート塗料(Z)の塗装方法」において塗装時の粘度調整のために用いる有機溶剤として使用することで2液型クリヤコート塗料(Z)に存在させることもできる。
2液型クリヤコート塗料(Z)は、水酸基含有樹脂(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が常温でも反応するので、貯蔵安定性の点から、水酸基含有樹脂(A)、イソシアネート基のブロック剤(C)及びアルコール化合物(D)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)とが分離した形態とし、使用直前に両者を混合して使用ことが好ましい。
2液型クリヤコート塗料(Z)において、塗膜の硬化性や耐擦り傷性等の観点から、水酸基含有樹脂(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は好ましくは0.6〜1.4、さらに好ましくは0.8〜1.2の範囲内であることが好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する、ブロック剤(C)の活性水素基の量の比率は、該ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対してモル比で1%〜40%、好ましくは3〜30%、さらに好ましくは5〜20%であることが好適である。
上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対するアルコール化合物(D)中の水酸基の量の比率は、該ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対してモル比で20%〜200%、好ましくは30〜150%、さらに好ましくは40〜100%であることが好適である。
上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する、ブロック剤(C)の活性水素基及びアルコール化合物(D)中の水酸基の合計量の比率は、該ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対してモル比で、21%〜240%、好ましくは33〜180%、さらに好ましくは45〜120%であることが好適である。
その他の成分
2液型クリヤコート塗料(Z)は、前記水酸基含有樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、イソシアネート基のブロック剤(C)及びアルコール化合物(D)を必須成分とする塗料組成物であって、通常、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて、水酸基含有樹脂(A)以外の樹脂、その他の硬化触媒、顔料、顔料分散剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤など通常、塗料の分野で用いられる塗料用添加剤を含有することができる。
水酸基含有樹脂(A)以外の樹脂としては、耐擦り傷性等向上の観点から、比較的低分子量のポリオール化合物を好適に使用することができる。上記ポリオール化合物は数平均分子量が300〜2500、好ましくは350〜2000、より好ましくは400〜1500で、且つ水酸基価が45〜350、好ましくは80〜300であるポリオール化合物を好適に使用することができる。
上記ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を好適に使用することができる。なかでもジオール化合物が好ましく、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等を好適に使用することができる。
ポリオール化合物を使用する場合、塗膜の硬化性や耐擦り傷性等の観点から、通常、水酸基含有樹脂(A)及びポリイソシアネート化合物(B)の固形分総量を基準として、不揮発分として、1〜40質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲内であることが適している。
上記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの有機金属触媒、第三級アミンなどを挙げることができる。
硬化触媒として上記したこれらの化合物は単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。硬化触媒の量はその種類により異なるが、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、通常、0〜0.2質量部、好ましくは0〜0.01質量部程度である。
顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などのメタリック顔料などをあげることができる。
上記したこれらの顔料は単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。顔料の含有量はその種類により異なるが、(A)成分及び(B)成分の固形分合計100質量部に対し、通常、0〜200質量部、好ましくは0〜100質量部程度である。
また、着色顔料の含有量はその種類により異なるが、透明性を阻害しない程度に添加することができる。
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤をあげることができる。
紫外線吸収剤を使用する場合、紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤をあげることができる。
光安定剤を使用する場合、光安定剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
2液型クリヤコート塗料(Z)の塗装方法
2液型クリヤコート塗料(Z)の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。これらのうちエアスプレー塗装が特に好ましい。2液型クリヤコート塗料(Z)の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm、好ましくは20〜40μmとなる量とするのが好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、2液型クリヤコート塗料(Z)の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
該有機溶剤としては、(D)成分として挙げたもののほかに酢酸エチル、酢酸ブチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、トルエン、キシレン、芳香族系混合溶剤等を使用することができ、これらを単独でまたは2種以上を適宜組合せて用いることができる。
特に、2液型クリヤコート塗料(Z)の主剤に予め(D)成分を存在させない場合は上記有機溶剤の全部又は一部に(D)成分を用いることができる。上記芳香族系混合溶剤としては、「スワゾール1000」、「スワゾール1500」(いずれもコスモ石油化学社製、商品名)等を挙げることができる。
2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装してなるウエット塗膜は、未硬化の少なくとも1層のベースコート塗膜、又は、未硬化の中塗り塗膜及び未硬化の少なくとも1層のベースコート塗膜と同時に硬化される。
該硬化は、加熱することにより行うことができ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は、60〜180℃、好ましくは90〜150℃の範囲内にあることが適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが15〜30分間の範囲内であるのが好適である。加熱硬化の前に適宜プレヒートを行ってもよい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとし、また、塗膜の膜厚はいずれも硬化塗膜に基づくものである。
水酸基含有樹脂(A)の製造例
製造例1〜3
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにエトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記表1に示すモノマーと重合開始剤からなる組成配合のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。ついで、155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の水酸基含有樹脂(A−1)〜(A−3)を得た。得られた水酸基含有樹脂の質量固形分濃度(%)及び樹脂性状値を下記表1に示す。
表1におけるガラス転移温度(℃)は、下記式によって算出した。
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・
Tg(℃)=Tg(K)−273
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量分率、T1、T2、・・はそれぞれの単量体のホモポリマ−のTg(K)を表わす。なお、T1、T2、・・は、Polymer Handbook(Second Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)による値である。
Figure 0005843384
(*1)重合開始剤
ポリエステルポリオールの製造例
製造例4
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水分離器を備えた4つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,3−プロパンジオールをモル比で0.6:1.0となるように仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が5mgKOH/g以下となるまで反応させた。得られたポリエステルポリオールの水酸基価は291mgKOH/g、数平均分子量は464であり、固形分は100%であった。
クリヤコート塗料(Z)の製造例
製造例5〜17
上記製造例1〜3で得られた水酸基含有樹脂(A−1)〜(A−3)及び後記表2に記載の原材料を用いて、後記表2に示す配合にてディスパーを用いて攪拌して混合し、塗料化を行い各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)を得た。なお、表2に示す各クリヤコート塗料の配合は各成分の固形分質量比である。
後記表2における(*2)〜(*7)は、それぞれ下記の意味を有し、粘度は50℃でB型粘度計を用いて6rpmの条件で測定した値である。
(*2)N−3300:住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、固形分100%、NCO含有率21.8%。
(*3)タケネートD160N:武田薬品工業社製、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、固形分75%、NCO含量率12.8%。
(*4)T−5650J:旭化成ケミカルズ社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量800、粘度860mPa・s、水酸基価140mgKOH/g、固形分100%。
(*5)UM90(1/1):宇部興産社製、ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,6−ヘキサンジオールであり、1,4−シクロヘキサンジメタノールの質量/1,6−ヘキサンジオールの質量=1/1であるポリカーボネートジオール、数平均分子量900、水酸基価125mgKOH/g、固形分100%
(*6)UV1164:チバガイギー社製、紫外線吸収剤。
(*7)HALS292:チバガイギー社製、光安定剤。
上記製造例5〜17で得られた各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)は、酢酸エチル及び酢酸ブチルで希釈してフォードカップ#No.4を用いて20℃で17秒の粘度に調整した。
Figure 0005843384
試験板の作成
塗膜外観(フクレ)試験用塗板
製造例5〜17で得られた上記各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)の粘度調整したものを使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
実施例1
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させて電着板を得た。
衝撃変形試験機(JIS K 5600−5−3に規定されるデュポン式試験機)に半径1.5mmの撃ち型と受け台を取り付け、上記電着板(70mm×150mm)を該撃ち台と受け台の間に挟んだ。質量100gの錘を500mmの高さから撃ち型の上に落下させ、凹み部を作成した。錘を落下させる場所を約30mmずつずらしながら、かかる落下操作を1枚の電着板につき8回繰り返すことで、約30mmの間隔で凹み部を8個有する下地板を作成した。
上記下地板の凹み部に水を0.1cc滴下した。その上にシーリング材(サンダイン2750、アサヒゴム社製、自動車用シーリング剤)を、0.5mm程度の厚さになるようにへらで表面を均一にした後、常温で30分静置した。
その後、中塗り塗料WAC−141(関西ペイント社製、商品名、アクリル・ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料、有機溶剤型親水性塗料)を膜厚18μmとなるようにエアスプレー塗装し、5分間静置後、該塗膜上に水性メタリックベースコートWBC741N BK23(関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車用上塗ベースコート塗料、黒塗色、水性塗料)を膜厚13μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、70℃で5分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)を膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装した。その後、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して複層塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。
中塗り塗料の有無、クリヤコート塗料の種類を下記表3に示すような組合せにした以外は実施例1と同様にして実施例2〜12、比較例1〜4の試験板を得た。
なお、実施例12および比較例3、4は中塗りの塗装を省略している。
塗膜外観(光沢)試験用塗板
製造例5〜17で得られた上記各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)の粘度調整したものを使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
実施例13
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させて電着板を得た。
その上にシーリング材(サンダイン2750、アサヒゴム社製、自動車用シーリング剤)を、0.5mm程度の厚さになるようにへらで表面を均一にした後、常温で30分静置した。
その後、WAC−141(関西ペイント社製、商品名、アクリル・ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料、有機溶剤型親水性塗料)を膜厚18μmとなるようにエアスプレー塗装し、5分間静置後、該塗膜上に水性メタリックベースコートWBC741N BK23(関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車用上塗ベースコート塗料、黒塗色、水性塗料)を膜厚13μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、70℃で5分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に各クリヤコート塗料(Z−1)〜(Z−13)を膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装した。3分放置してから、さらにKINO6000N(関西ペイント社製、商品名、2液型イソシアネート系自動車外板用クリヤコート塗料)をダスト状にエアスプレー塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して複層塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。
ここで、外板用クリヤコート塗料をダスト状に塗装して試験塗板の外観(光沢)評価をする理由は、本発明は内板に係る複層塗膜形成方法であって、被塗物内板の外観(光沢)は外板塗料のダストの影響を受けるためである。
中塗り塗料の有無、クリヤコート塗料の種類を下記表4に示すような組合せにした以外は実施例13と同様にして実施例14〜24、比較例5〜8の試験板を得た。
なお、実施例24および比較例7、8は中塗りの塗装を省略している。
耐擦り傷性試験用塗板
上記塗膜外観(フクレ)試験用塗板の作製方法により得た試験板を使用した。
性能試験結果
塗膜外観(フクレ):フクレ(上記下地板で凹みが作成されなかった部分よりも塗膜が盛り上がっている部分をいう)の数を目視で数え、そのうち最も大きなフクレ部分のフクレ径をノギスを用いて測定した。フクレ径が小さいほど、塗膜外観に優れることを示す。
塗膜外観(光沢):試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定して評価した。測定値が大きいほど塗膜外観が優れることを示す。
耐擦り傷性:試験台に固定した試験板の上に、泥水(試験用ダスト8種〔JIS Z 8901 試験用粉体及び試験用粒子〕:イオン交換水:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.75%水溶液=3:10:2(重量比)で混合したもの)を滴下し、室温で、Amtec Kistler社製洗車擦り傷試験機を用いて、試験板に水をかけながら洗車ブラシ回転速度150rpmで10秒ずつ20回洗車擦り傷試験を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。
上記性能試験結果を下記表3及び表4に示す。
Figure 0005843384
Figure 0005843384

Claims (7)

  1. 被塗物上に、少なくとも1層の水性ベースコート塗料(Y)を塗装して少なくとも1層のベースコート塗膜を形成し、
    該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜上に、2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、
    該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜及び該未硬化のクリヤコート塗膜を同時に硬化させる複層塗膜形成方法であって、
    上記2液型クリヤコート塗料(Z)が
    水酸基含有アクリル樹脂(A)、
    脂肪族ジイソシアネート及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物(B)、
    ピラゾール系及び/又はオキシム系であるイソシアネート基のブロック剤(C)、及び
    沸点が100〜240℃の炭素数4〜8のアルコール化合物(D)
    を含有し、
    上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
    ブロック剤(C)の活性水素基の量の比率が、モル比で1%〜40%であり、
    上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
    アルコール化合物(D)中の水酸基の量の比率が、モル比で20%〜200%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装して中塗り塗膜を形成し、
    該未硬化の中塗り塗膜上に、少なくとも1層の水性ベースコート塗料(Y)を塗装して少なくとも1層のベースコート塗膜を形成し、
    該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜上に、2液型クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成し、
    該未硬化の中塗り塗膜、該未硬化の、少なくとも1層のベースコート塗膜及び該未硬化のクリヤコート塗膜を同時に硬化させる複層塗膜形成方法であって、
    上記2液型クリヤコート塗料(Z)が
    水酸基含有アクリル樹脂(A)、
    脂肪族ジイソシアネート及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物(B)、
    ピラゾール系及び/又はオキシム系であるイソシアネート基のブロック剤(C)、及び
    沸点が100〜240℃の炭素数4〜8のアルコール化合物(D)
    を含有し、
    上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
    ブロック剤(C)の活性水素基の量の比率が、モル比で1%〜40%であり、
    上記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基の量に対する
    アルコール化合物(D)中の水酸基の量の比率が、モル比で20%〜200%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  3. 上記中塗り塗料(X)及び/又は水性ベースコート塗料(Y)が塩基性物質を含有する請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 上記中塗り塗膜及び少なくとも1層のベースコート塗膜の硬化時の合計膜厚が20μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 上記被塗物がヘミング部を有する自動車車体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. イソシアネート基のブロック剤(C)が、3,5−ジメチルピラゾール及び/又はメチルエチルケトオキシムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
  7. アルコール化合物(D)が、n−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノールから選ばれる少なくとも一種類のアルコール化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
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