〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る接続装置の構成例を示している。図1に示す構成は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示す接続装置2は、本開示の接続装置の一例であり、設置されたケーブル4に対して被覆部材を剥離し、内部の導体(芯線)に結線する。この接続装置2は、たとえばケーブル4を利用したデータ通信、または電力供給などを行う電子装置において、ケーブル4を接続するとともにクランプするコネクタなどのケーブルインターフェースとして機能する。
接続装置2に設置されるケーブル4は被覆導体の一例であり、たとえば通信や送電用に用いられる芯線と、その芯線の外層側に絶縁性の被覆部材を備えた同軸ケーブルで構成される。この芯線は、被覆部材に覆われた導体の一例である。接続装置2は、たとえばケーブル4の被覆部材を剥離するストリッパ6、操作部8、第1の端子10、第2の端子12、ベース部14を備える。さらに接続装置2は、連結具20、係止部22、突部24を備える。
ストリッパ6は、ケーブル4の外層にある被覆部材を剥離する手段の一例である。図2Aに示すストリッパ6は、たとえば上下に第1の剥離刃40、第2の剥離刃44が対向して設置されている。このケーブル4が載置された第1の剥離刃40に対し、第2の剥離刃44が噛み合わされることで、ケーブル4に剥離刃40、44が圧入される。また、剥離刃40、44には、たとえば芯線30が挿通可能な開口部を形成する剥離溝42、46がそれぞれ形成され、ケーブル4の芯線30から被覆部材32のみを剥離する。この芯線30は、たとえば銅線で形成された単線または複数の線を備えた縒り線を利用してもよい。また被覆部材32は、単層または複数層で構成され、たとえばポリエチレンなどの絶縁部材や外部導体、樹脂材料などで構成されたシース(保護部材)を備えている。
剥離溝42、46は、第1の剥離刃40および第2の剥離刃44に対するケーブル4の接触位置に合わせて設定され、たとえばケーブル4の芯線30の外径と同一またはそれ以上の径で形成されている。
ストリッパ6は、たとえば一辺の金属材料の中央部分を折曲げ、その内角が鋭角となるように形成されている。図2Bに示すストリッパ6は、たとえば先端側に第1の剥離刃40が設置され、ケーブル4が載置される第1の剥離辺6aと、先端側に第2の剥離刃44が形成された第2の剥離辺6bとを備えている。第2の剥離辺6bは、支点7を介して第1の剥離辺6aの対向方向に形成されている。そして、第2の剥離辺6bは、第1の剥離辺6aに対して接近し、または支点7による弾性力によって第1の剥離辺6aから離間するように開閉可能に形成されている。この支点7は、ケーブル4をストリッパ6内部に挿抜可能に開口させる開口手段を構成する。
ストリッパ6の内部には、開状態の剥離刃40、44側に対して、ケーブル4の先端から所定の長さまで挿入される。ケーブル4は、たとえば剥離辺6aに対して平行に挿入される。ケーブル4が挿入される位置は、ストリッパ6によって被覆部材32が剥離される長さであり、後述するストリッパ6のスライド量によって設定される。ケーブル4は、たとえば設定された位置を維持するため、図示しない固定手段によって固定されてもよい。そして、ケーブル4が設置された後に第2の剥離辺6bを押し下げると、図2Cに示す第2の剥離辺6bが第1の剥離辺6a側に近接する。ケーブル4の先端側から一定の位置で芯線30を覆う被覆部材32に第1の剥離刃40、第2の剥離刃44が圧入される。第1の剥離刃40と第2の剥離刃44とが係合したとき、たとえば剥離溝42、46内に芯線30が嵌合される。すなわち、ストリッパ6が閉状態になり、剥離刃40、44が被覆導体32に圧入されると、剥離溝42、46は芯線30を挿通可能な開口部を形成する。このような構成により、ケーブル4の剥離処理において、芯線30が剥離刃40、44によって損傷するのを防止できる。
なお、剥離刃40、44に形成される剥離溝42、46は、たとえば設置されるケーブル4の種類や芯線30の外径に応じて形成すればよい。またストリッパ6は、設置されるケーブル4の種類などに応じて、剥離刃40、44を取替え可能に構成してもよい。
図1に示す操作部8は、ストリッパ6に対する操作手段の一例である。操作部8は、ケーブル4に向けたストリッパ6の押下操作、およびケーブル4の軸線方向へのストリッパ6のスライド操作により、被覆部材32の剥離操作を行う。操作部8は、たとえば上下方向に開閉するストリッパ6の可動側である第2の剥離辺6b(図2)の背面側に設置される。操作部8を介して入力されるストリッパ8の押下およびスライド操作は、たとえば利用者の手動または図示しない駆動手段などにより実行される。
第1の端子10は、ケーブル4から露出した芯線30に結線して導通する第1の電極端子の一例である。第1の端子10は、たとえば銅などの導電性材料で構成され、後述する第2の端子12と芯線30を挟持することで、結線状態となる。第1の端子10は、たとえばベース部14に設置され、ストリッパ6に対するスライド操作に連動して移動する。
第2の端子12は、第1の端子10とともにケーブル4の露出した芯線30に結線して導通する第2の電極端子の一例であり、たとえば銅やその他の導電性材料で構成される。第2の端子12は、たとえばスライダ18に設置され、傾斜筐体19に沿って移動可能に設置されている。傾斜筐体19は、たとえば接続装置2を構成する外部筐体の一部であり、配置されるケーブル4の先端側に向けて傾斜している。そして、スライダ18に設置された第2の端子12は、ケーブル4の軸線方向に沿ってスライドすることで、ケーブル4に対して接近または離間する。
またスライダ18は、たとえば操作部8に対して連結具20で連結されている。連結具20は、操作部8およびストリッパ6の移動にスライダ18を追従させる手段の一例である。連結具20は、たとえばスライダ18に対して回動可能に支点固定されている。同様に連結具20は、操作部8の一部に回動可能に支点固定されている。これにより、連結軸20は、スライダ18と操作部8との距離を連結具20の長さを半径とした円弧上で一定に保つ。また連結具20は、たとえば第2の端子12の配置位置や高さなどに応じて回動することで、操作部8およびストリッパ6の動作を阻害しない。
連結具20は、たとえばケーブル4の軸線方向に対して操作部8およびストリッパ6のスライド移動に際し、スライダ18に対して引張り力または押圧力を伝達する。これによりスライダ18および第2の端子12は、操作部8およびストリッパ6の移動に追従して傾斜筐体19上を移動する。
第2の端子12は、たとえば第1の端子10に対して所定の間隔で対向して設置されている。操作部8およびストリッパ6のスライドに追従した第2の端子12は、ケーブル4の先端側に向けて移動し、第1の端子10との間にケーブル4を挟持して結線される。
ベース部14は、たとえばストリッパ6の移動に第1の端子10を連動させる手段である。このベース部14の上面側には、たとえばストリッパ6の剥離辺6aが固定されるとともに、ケーブル4の軸線方向に沿ってストリッパ6から所定の距離をとって第1の端子10が設置されている。ベース部14は、ストリッパ6がケーブル4の軸線方向に沿ってスライドすることで、第1の端子10をケーブル4に沿って移動させる。
ベース部14は、たとえば接続装置2の底部側筐体を構成する載置部16に載置されている。この載置部16には、たとえばベース部14をケーブル4の軸線方向にのみスライド可能にするガイド手段などが設置されてもよい。
係止部22は、たとえばストリッパ6のスライドを制限するとともにストリッパ6の開閉を規制するストッパとして機能する。この係止部22は、たとえば操作部8またはストリッパ6の一部に設置または形成され、ストリッパ6とともにケーブル4の軸線方向にスライドする。そして、係止部22は、スライド線上に配置された突部24に係止されることで、ストリッパ6を停止させるとともに、ストリッパ6が開状態となるのを阻止している。
突部24は、係止部22に係止させることで既述のストッパ機能を構成する。この突部24は、たとえば載置部16、または図示しない筐体などに設置されている。この突部24の設置位置は、たとえばストリッパ6で露出させたケーブル4の芯線30が第1の端子10および第2の端子12によって挟持されるときのストリッパ6の位置に応じて設定すればよい。
なお、ストッパ機能は図1に示す構成に限られず、たとえばストリッパ6側に突部が設置され、かつ載置部16上に係止部を備えてもよい。
<ケーブルの被覆部材の除去>
図3Aに示す接続装置2の操作部8は、たとえばストリッパ6内に設置されたケーブル4をストリッパ6の剥離刃40、44によって挟持させるように、押圧方向に力F1で押圧される。この押圧方向は、たとえば操作部8および開状態のストリッパ6の第2の剥離辺6bに対して直交もしくはそれに同等な方向であればよい。この押圧操作によりストリッパ6の第2の剥離辺6bは、支点7を軸に第1の剥離辺6aに向けて回動する。
操作部8への押圧によってストリッパ6の第1の剥離辺6aと第2の剥離辺6bが閉状態となると、剥離刃40、44によってケーブル4が挟持される。そしてさらに操作部8たとえばケーブル4に対して直交方向に力F2で押圧されると、ストリッパ6の剥離刃40、44がケーブル4の被覆部材32内に圧入する(図3B)。これによりケーブル4の被覆部材32は、剥離刃40、44によって開裂状態となる。
この押圧操作による操作部8の回動に対し、第2の端子12が設置されたスライダ18は、たとえば傾斜筐体19上を移動せず、第1の端子10と第2の端子12とが離間する位置で停止している。このとき連結具20は、たとえばスライダ18との連結部分を中心として、操作部8の回動方向に対して反対方向に回動している。これにより、操作部8に対する押圧力をスライダ18に対して遮断している。
次に、図4に示す操作部8は、ケーブル4の軸線方向に沿って引張り力F3が掛けられ、ストリッパ6がケーブル4から離間するようにスライドする。ケーブル4は、既述のように接続装置2に対して設置した位置に保持されている。そして、ケーブル4の先端側の被覆部材32は、ストリッパ6のスライドに伴い、圧入された剥離刃40、44によって芯線30から削ぎ取られて剥離する。また、ケーブル4の芯線30は、剥離刃40、44に形成された剥離溝42、46内に嵌合されており、ストリッパ6のスライドに伴って外部に露出する。
<芯線に対する端子の結線>
操作部8に引張り力F3が掛けられると、ストリッパ6に伴ってベース部14がケーブル4の軸線方向に沿ってスライドする。これにより、第1の端子部10は、ケーブル4から露出した芯線30に向けてスライドする。また、操作部8のスライドによる引張り力F3は、連結具20を通じてスライダ18に伝達する。スライダ18は、たとえば操作部8からの引張り力F3のうち、傾斜筐体19に対して平行方向の力成分を受けてスライドを開始する。
そして操作部8に対するスライド操作を継続すると、図5に示す第1の端子10と第2の端子12は、ケーブル4から露出した芯線30を挟持し、結線される。接続装置2は、第1の端子10および第2の端子12が芯線30に結線されることでケーブル4とコネクト状態となり、他の電子装置との間でデータの伝送や電力の供給などが可能となる。ケーブル4から剥離された被覆部材32は、たとえば閉状態となったストリッパ6の内部に収納されている。突部24は、露出した芯線30に対して第1の端子10および第2の端子12が接触するときのストリッパ6に設置された係止部22の位置に応じて設置される。
図6は、ストッパの設置例を示す図である。図6に示す構成は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図6Aに示す接続装置2は、操作部8が押下され剥離刃40、44がケーブル4内に圧入された状態となっている。このときのケーブル4に対する剥離刃40、44の圧入位置を位置a、ケーブル4の先端位置を位置bとする。ストリッパ6に設置された係止部22の位置を位置c、ストッパの突部24の設置位置を位置dとする。係止部22の位置cからストッパの突部24の位置dまでの距離L1は、ストリッパ6をスライドさせる移動量を示す。また、剥離刃40、44の圧入位置aからケーブル4の先端位置bまでの距離L2は、被覆部材32の剥離量を示す。
また、第1の端子10の配置位置を位置eとすると、ケーブル4の先端位置bまでの距離L3は、第1の端子10のスライド限界量を示す。また、位置eから剥離位置aまでの距離L4は、第1の端子10が露出した芯線30に接触させるための最低限のスライド量を示す。さらに図6Bに示す第1の端子10と第2の端子12とが芯線30に接触する位置を位置fで示す。第1の端子10が位置eから位置fまで移動する量は、ストリッパ6の移動量L1である。
このような構成において、突部24の設置位置dは、たとえばストリッパ6の移動量に基づいて設定すればよい。具体的には、ストリッパ6のスライドによって第1の端子10が芯線30の露出部分に接触するように移動量L1を設定すればよい。
なお、この実施の形態では操作部8に対する押下操作によってスライダ18を動作させない構成をとっているが、本発明がこれに限られるものではない。たとえばストリッパ6の開口角度や傾斜筐体19の傾斜角度、またはスライダ18と操作部8との距離および連結具20の設定長さにより、スライダ18がストリッパ6に向けて降りるように設定してもよい。この場合、操作部8に対する引張り力F3によるスライドによって第1の端子10と第2の端子12とがケーブル4の芯線30を挟持させるために、スライダ18に対する初期位置を調整すればよい。すなわち操作部8に対する押下前において、たとえば第2の端子12は、第1の端子10よりもスライドする距離を長く設定すればよい。
図7は、ケーブルの接続処理例を示している。図7に示す処理内容、処理手順は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
このケーブル4の接続処理は、本開示の被覆導体の接続方法の一例である。この処理では、たとえば剥離量が設定した値になるように接続装置2のストリッパ6内にケーブル4を配置する(S1)。そして、操作部8の押下によりケーブル4の被覆導体32に対しストリッパ6の剥離刃40、44が圧入される(S2)。
ケーブル4に対してストリッパ6の剥離刃40、44が圧入されると、操作部8は、押込んだ状態を維持したまま、ケーブル4の軸線方向に沿って、ケーブル4の先端方向に向けてスライドさせる(S3)。これにより、ケーブル4の被覆部材32は、芯線30から剥離刃40、44によって剥離され、芯線30が外部に露出する。
そして、操作部8の係止部22がストッパの突部24に係合するまで操作部8をスライドさせると、ストリッパ6を介してスライドするベース部14により第1の端子10が芯線30の剥離位置まで移動する。また、第2の端子12は、操作部8に連結した連結具20によって操作部8に追従し、傾斜筐体19上を芯線30の露出部分に向けて移動する。これにより第1の端子10と第2の端子12が芯線30を挟持して結線し、導通する。
斯かる構成によれば、接続装置2にケーブル4を設置した後、操作部8の押下およびスライド操作でケーブル4の被覆部材32の剥離、および端子10、12との結線が行え、作業の熟練度に関わらず作業効率を向上させることができる。ストリッパ6のスライドに端子10、12を追従させることで、ストリッパ6による剥離位置やケーブル4に対する端子10、12の接触位置を一定化でき、ケーブル4と端子10、12との結線精度を維持できる。これにより接続装置2が搭載される電子装置などの信頼性を向上させることができる。芯線30の露出長さが設定されることで、電極端子に対する接続位置が一定となり、結線状態のばらつきを防止できる。また、露出したケーブルの芯線に対して、適正な結線圧力を維持でき、芯線の損傷などを防止し、接続装置が接続された電子装置の信頼性を維持できる。
〔第2の実施の形態〕
図8は、第2の実施の形態に係る電子装置の構成例を示している。図8に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。なお、図8において、図1ないし図6と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示す電子装置50は、本開示の電子装置の一例である。この電子装置50は、たとえば接続したケーブル4を介して他の電子装置との間で通信や電力供給などを行うPC(Personal Computer)、オーディオ機器などで構成される。
電子装置50は、たとえばケーブル4を接続する接続装置52および基板54を備えている。この接続装置52は、電子装置50に設置されたケーブル4に対し、結線を行うための加工を施すワイヤストリッパ機能およびケーブルコネクタ機能を備える。接続装置52は、基板54に形成された図示しない端子に対して、第1の端子10、第2の端子12のいずれか一方または両方が導通可能に設置されている。基板54には、接続装置52のほか電子装置50の機能部品として、たとえばプロセッサやメモリなどが搭載される。
接続装置52は、既述のように基板54に接触する載置部16の上面側にストリッパ6、操作部8、第1の端子10、第2の端子12、ベース部14、スライダ18のほか、たとえば収納筐体58やケーブルクランプ60を備える。
収納筐体58は、配置されたケーブル4やストリッパ6、操作部8、第1の端子10、第2の端子12などを外部から保護する手段の一例である。収納筐体58は、たとえばベース14の前面側に立壁部62が設置されている。この立壁部62には、たとえばケーブル4の挿入位置をガイドするガイド孔64が開口されている。このガイド孔64は、たとえば設置可能なケーブル4に基づき、収納筐体58内に配置されたストリッパ6の剥離溝42、46(図2)や端子10、12との接触位置に合わせて開口されている。
収納筐体58は、たとえば天井から後背側に掛けて傾斜部66が形成されている。この傾斜部66は既述の傾斜筐体19の一例であり、たとえば第2の端子12およびスライダ18が設置される傾斜角度に合わせて形成されている。この傾斜部66の一部には、操作部8の一部を露出させ、操作部8に対する押下やスライド操作を可能にする開口部68が形成されている。
ケーブルクランプ60は、ケーブル4の本体部を保持する保持手段の一例である。ケーブルクランプ60は、たとえばストリッパ6による被覆部材32の剥離処理においてケーブル4が移動するのを阻止する。
接続装置52には、操作部8がスライドするケーブルの軸線方向に沿って両側面側にガイド壁70、72が立設されている。このガイド壁70、72は、スライドして配置された操作部8の上面側の一部を覆うように、たとえば「逆L字」状に形成されている。このガイド壁70、72の天井側の内部には、操作部8やストリッパ6のストッパを構成する突部24が設置されている。
操作部8は、たとえば収納筐体58の開口部68から露出され、電子装置50の利用者によってケーブル4の結線処理操作のために押下操作およびスライド操作が入力される入力操作部74や、ガイド壁70、72に係止させる係止板76を備えている。ストッパを構成する係止部22は、たとえば係止板76側の平面上に形成されている。図9に示す係止板76は、ガイド壁70、72の設置間隔幅W1と同等に形成されている。これにより操作部8およびストリッパ6のスライド操作では、係止板76がガイド壁70、72の間に配置される。
図9に示す接続装置52には、たとえば収納筐体58の両側面の一部にスライダ18をスライドさせるスライドレール80、82が設置されている。スライダ18は、たとえば両側面をスライドレール80、82の内部に摺動させて第2の端子12とともにストリッパ6側に向けて移動する。スライドレール80、82の設置幅W2は、たとえば収納筐体58の内側の幅によって決定すればよい。また、この設置幅W2に応じて、たとえばスライダ18の横幅が設定される。
そのほか、載置部16の上面側には、ベース部14のスライド方向を規制するガイド溝56が形成されてもよい。ベース部14は、下面側の一部をガイド溝56の内に嵌合させることで、スライド方向を一定に制限できる。
図10に示すガイド壁70、72の立壁高さH1は、たとえば押下操作によって押し下げられたときの操作部8の上面位置に合わせて設定されている。この立壁高さH1は、たとえば載置部16の平面部分からベース部14の上面側までの厚さd1、押し下げられたストリッパ6および操作部8の高さH2、ガイド壁70、72の厚さd2によって設定される。したがって、この立壁高さH1は、操作部8に押下操作が行われなければガイド壁70、72の内部に操作部8などが進入できない高さに設定されている。そしてスライドしたストリッパ6は、たとえば操作部8の係止板76がガイド壁70、72の天井側に係止されるとともに、係止部22と突部24とが係止されることで、閉状態が維持される。このような構成により接続装置52は、ケーブル4の結線処理を行うときに被覆部材32の剥離処理が必ず実行される。
また、第1の端子10は、たとえばベース部14内に第1の端子10の一部を貫通させる接触部84が形成されている。この接触部84は、ケーブル4の芯線30と基板54とを第1の端子10を介して導通させる構成である。また、載置部16は、たとえば基板54に設置して、接続装置52と基板54に形成した回路とを導通させる端子86を備えている。この端子86は、たとえば載置部16の上面側に一端を露出させ、他端側は基板54に形成された接続孔88内に挿入されている。端子86は、たとえば基板54の接続孔88に対して、たとえばはんだ溶接などにより導通可能に接着されている。
図11に示すように、接続装置52は、ケーブル4をガイド孔64に合わせて挿入されることで、開口状態の剥離刃40、44に対して直交方向に配置される。
図12は、クランプの構成例を示している。図12に示す構成は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
ケーブルクランプ60はたとえば樹脂などの弾性材料で構成され、載置されたケーブル4に対し被覆部材32の周囲に圧接することで、ケーブル4の移動を阻止している。図12に示すケーブルクランプ60は、たとえばケーブル4を載置する第1の保持辺90と、この第1の保持辺90と面接触させてケーブル4を挟持する第2の保持辺94で形成されている。第1の保持辺90と第2の保持辺94は、たとえば単一部材が曲げ変形によって成形されている。これによりたとえば第2の保持辺94は、曲げ変形により第1の保持辺90に対してケーブル保持面同士を対向状態、または離間状態にすることでケーブル4の固定またはリリースを切替えが可能となる。
ケーブルクランプ60には、たとえばケーブル4の滑り防止手段として緩衝材92が設置されている。この緩衝材92は、少なくとも第1の保持辺90または第2の保持辺94のいずれかのケーブル載置面に設置されている。緩衝材92は、たとえば摩擦係数の高い樹脂材料などで構成されており、接触するケーブル4が軸線方向に対してスライドするのを防止する。この緩衝材92は、たとえば保持されたケーブル4表面形状、第1の保持辺90または第2の保持辺94のケーブル保持面の変形に対応するために、ケーブル4との接触面に一定の凹凸を設けるなど、変形可能に形成してもよい。
ケーブルクランプ60には、たとえば第2の保持辺94側の先端にケーブル4の保持状態を切替えるための操作辺96が形成されている。ケーブル4のクランプまたはその解除操作では、たとえば操作辺96が利用者に把持され、上下方向に変位される。またケーブルクランプ60は、たとえば第1の保持辺90側の先端に係止爪98が形成されている。さらに第2の保持辺94の一部に係止孔100が形成されている。この係止爪98および係止孔100は、第1の保持辺90と第2の保持辺94とを固定する手段の一例である。係止爪98は、たとえば図12Bに示すように係止孔100内に挿入されて第2の保持辺94を係止する。これにより、第1の保持辺90と第2の保持辺94との圧接状態が維持され、ケーブル4が保持される。
図13および図14は、端子とケーブルとを結線させた状態例を示している。
図13に示す電子装置50は、露出した芯線30に端子10、12が結線した状態を示している。この結線処理では、開口部68に配置された入力操作部74(図8)に対して操作部8の押下操作を行い、ケーブル4の先端側から一定の位置に対してストリッパ6を圧入させる。そして入力操作部74をケーブル4の軸線方向に向けてスライド操作し、ガイド壁70、72の内側に係止板76を挿入させる。これにより、ストリッパ6がケーブル4に圧入され、開裂状態となった被覆部材32の一部が芯線30から剥離される。
また、係止板76がガイド壁内70、72に向けて移動するのに従って、ベース部14およびスライダ18がケーブル4の軸線方向に移動する。第1の端子10および第2の端子12がケーブル4の先端側に向けて移動し、芯線30の露出部分を挟持することで接触する。
図14に示す接続装置52では、たとえばベース部14がケーブル4に沿って移動することにより第1の端子10の接触部84が載置部16の端子86と接触する。端子86は、第1の端子10と第2の端子12が芯線30に導通する位置に合わせて設置されている。この設置位置は、たとえば接続装置52に対するケーブル4の挿入量、操作部8のスライド量に基づいて設定されればよい。剥離された被覆部材32は、たとえば閉状態となったストリッパ6の内部に収納される。これにより、ケーブル4は、接続装置52を介して基板54に形成された図示しない回路に導通させることができる。
操作部8によるケーブル4に対する被覆部材32の剥離処理および結線処理が完了したとき、開口部68には、たとえばスライダ18が配置される。このように開口部68の一部または全部を閉鎖することで、露出した芯線30と第1の端子10および第2の端子12との接触部分を外部から遮断し、異物の混入などによる短絡などの発生を防止している。
図15は、複数本のケーブルを結線させる接続装置の構成例を示している。図15に示す構成は一例である。
図15に示す接続装置52は、複数のケーブルに対して同時に被覆部材32の剥離および端子10、12との結線処理が可能な構造を備えている。この接続装置52には、たとえば4本のケーブル4A〜4Dが配置され、これらのケーブル4A〜4Dに対してそれぞれ端子10A〜10D、12A〜12Dを備えている。また収納筐体58には、各ケーブル4A〜4Dに対する配置位置に合わせてガイド孔64A〜64Dが形成されている。
これに対し、操作部8、ケーブルクランプ60は単一で構成されている。また、ストリッパ6は、単一の剥離刃40、44にケーブル4A〜4Dの配置位置に合わせてそれぞれ剥離溝が形成されている。
このような構成において、接続装置52では、各ケーブル4A〜4Dを同等に収納筐体部58に挿入させた後、ケーブルクランプ60で一纏めに固定する。ケーブルクランプ60は、たとえば各ケーブル4A〜4Dを平行状態で配置させるとともに、クランプ後にケーブル4A〜4D同士の間隔を変化させないように固定する。入力操作部74に対して押下操作が行われると、ケーブル4A〜4Dには、同等の長さで剥離刃40、44が被覆部材32に圧入される。そして入力操作部74のスライド操作が行われると、同等の長さで芯線30が露出され、端子10A〜10D、12A〜12Dがスライドして、結線する。
なお、この実施の形態では、ケーブル4A〜4Dの挿入量を同等にした場合を示したが、これに限られない。たとえば配置されるケーブルの種類、長さ、他の構成部品との配置位置などによってケーブルの挿入量を変化させてもよい。この場合、たとえば端子10A〜10D、12A〜12Dの配置位置を変更してもよい。
図16は剥離手段に対するケーブルの挿入量の設定例について示している。図16に示す構成は一例である。
図16Aに示すストリッパ6では、たとえばケーブル4を内部に挿入させ、端部側に接触させる場合を示している。この場合、ケーブル4に設定される被覆部材32の剥離量は、剥離刃40からストリッパ6内の内部接合部分である支点7までの長さL6に設定される。
また図16Bに示すストリッパ6には、たとえば内部にケーブル4の挿入量を規制する規制壁102が設置され、挿入されたケーブル4の先端に当接させる。これにより、ケーブル4が一定量挿入されると、それ以上の挿入を禁止させる。このときのケーブル4の挿入量L7が被覆部材32の剥離量となる。この挿入量L7は、たとえば接続装置52のスライド量に基づいて設定される。
〔第2の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下の効果が得られる。
(1)スライドするストリッパ6および操作部8に対し、ケーブル4の挿入長さやストッパの位置を適正に設定することで、露出した芯線30に対して、ケーブル4の設置位置毎に計測などを行わなくても確実に端子10、12を結線させることができる。
(2)露出したケーブル4の芯線30に対して、適正な結線圧力を維持でき、芯線30の損傷などを防止し、接続装置が接続された電子装置の信頼性を維持できる。
(3)ケーブルクランプ60によってケーブル4を保持させることで、端子10、12と芯線30との結線部分にケーブルの引張り力などによるケーブルの断線や離間などを防止し、電子装置の信頼性を高めることができる。すなわち、ケーブルクランプ60によって被覆部材上でケーブル4を固定し、端子10、12に結線した芯線30部分に対してテンションなどによるストレスを与えないので、断線リスクを抑制でき、高い信頼性を得られる。
(4)複数本のケーブルを設置した場合、芯線30(導体)の露出長さを揃えることができ、電極端子との接続位置が一定となることで、ケーブル4間における結線状態のばらつきを防止できる。
〔第3の実施の形態〕
図17は、第3の実施の形態に係る接続装置の構成例を示している。図17に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図17に示す接続装置110は、本開示の接続装置、電子装置の一例であり、ストリッパ6と第2の端子12とを係止板112で連結している。この係止板112は、背面側に設置された入力操作部74とともに操作部8を構成しており、たとえば下面側の一部をストリッパ6に固定されるとともに、先端側に第2の端子12が設置されている。この接続装置110では、操作部8への入力操作により開閉およびスライドするストリッパ6に対し、第2の端子12も追従して動作する。すなわちこの第2の端子12は、ストリッパ6に対する距離が一定に保たれる。そこで、ストリッパ6と第2の端子12との距離は、ストリッパ6と第1の端子10との距離と同等に設定すればよい。
接続装置110には、ガイド壁70、72が立設されており、その一部に係止板112が挿入される係止エリア114が形成されている。この係止エリア114は、ストッパを構成しており、たとえば内部に突部24が形成されてもよい。係止エリア114は、たとえばストリッパ6のスライド量に基づき、ガイド壁70、72の端部から一定の長さに形成されている。
図18に示すように接続装置110は、たとえば内部にストリッパ6やベース部14などを収納する筐体部116が形成されている。この筐体部116は、たとえばケーブル4の挿入側にガイド孔64や、係止板112を係止させるガイド壁70、72が形成されている。また、筐体部116は、上部側に開口部118が形成されており、係止板112が開閉可能に配置されている。
この接続装置110による結線処理では、図19に示すように、係止板112が初期位置に配置され、開状態となっている状態でケーブル4が挿入されると、入力操作部74に対してF1の押下操作が加えられる(図19A)。これにより、係止板112がたとえば水平方向に回動することでストリッパ6が閉状態となる。このとき押し下げられた係止板112は、たとえば図18に示す筐体部116の上面開口部に対して嵌合状態となる。
係止板112が水平状態になると、たとえば入力操作部74は、垂直方向に力F2で押下される。この押下によりストリッパ6の剥離刃40、44がケーブル4の被覆部材32に圧入して開裂させる(図19B)。第2の端子12は、たとえば加圧に対して変形可能な柔軟な素材で形成しており、力F2による押圧によりたとえば上下方向に圧縮変形する。
次に、入力操作部74に対して、ケーブル4の軸線方向に水平に力F3が加えられ、ストリッパ6、第2の端子12、ベース部14、第1の端子10が係止板112に追従して移動する。係止板112は、係止エリア114を形成する開口部118の端部に接触することで停止する。このとき、被覆部材32から露出した芯線30に対して第1の端子10と第2の端子12が接触して結線される。
斯かる構成によれば、第2の端子12をスライドさせるスライダおよび傾斜筐体などを省略でき、さらに構造の簡易化を図ることができる。
〔他の実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、操作部8に対して押下操作が入力されていない場合、ストリッパ6は、ケーブル4を挿入可能に開口されている。このストリッパ6は、たとえば図2に示すように、単一の弾性材料を支点7で曲げ、押下の解除によって開状態にする構成であるがこれに限られない。たとえばストリッパ6を開閉可能にする弾性部品を備えてもよい。図20に示す接続装置120は、たとえば第1の剥離辺122と第2の剥離辺124を上下平行に配置し、その間に上下方向に伸縮可能な弾性部品126を備えている。
このストリッパ6では、剥離辺122、124と弾性部品126とを別に構成することで、操作部8を収納筐体58に対して平行に配置している。これにより、たとえば剥離処理において、ケーブル4に対して垂直に押下力が加えられるので、剥離位置に対してより正確に剥離刃40、44を圧入させることができる。
(2)上記実施の形態では、ストリッパ6に備えた剥離刃40、44は、たとえば被覆導体32に対して垂直方向に圧入可能に噛み合わせる場合を示したがこれに限られない。たとえば剥離刃40、44は、ストリッパ6の内部側に向けて刃の方向を傾斜させた、所謂迎え角を設けてもよい。これにより、剥離処理においてケーブルクランプ60に対する引張り負荷を低減させることができ、ケーブル4の移動や損傷を防止できる。また、より少ない力で剥離が行える。
以上説明したように、本開示の接続装置、被覆導体の接続方法および電子装置の好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。